2015
04.15

子供の頃Mon enfance

Barbara Le soleil noir


前回のジャック・ブレルJacques Brelの「子供の頃Mon enfance」(1967年)と同じ題名の曲を、バルバラBarbaraも歌っていて、1968年のアルバム「黒い太陽Le Soleil noir」に収録されています。
ブレルは1929年生まれで、バルバラが1930年生まれ。この二つの同名の曲は制作年も近く、ともに戦争が始まったことが歌詞に書かれていて、好一対だといっていいと思います。

バルバラは1943年7月から1945年の8月まで、家族といっしょにローヌ=アルプRhône-Alpes地方のサン=マルスランSaint-Marcellinに住んでいました。この想い出の町を訪ねる内容の歌詞です。
難しくて少々苦労しましたが、バルバラらしい深い感性に貫かれた曲で、その美しい言葉の流れについ引き寄せられてついて行くと、いつしか寒さに震える自分に気づくような、そんな気が…。



Mon enfance           子供の頃
Barbara              バルバラ


J'ai eu tort, je suis revenue,
Dans cette ville, au loin, perdue,
Où j'avais passé mon enfance,
J'ai eu tort, j'ai voulu revoir,
Le coteau où glisse le soir,
Bleu et gris, ombre de silence,

  私は間違いをした、私は戻って来たのだ、
  子供の頃を過ごした、
  遠くて辺鄙なこの町に、
  私は間違いをした、私はまた見たいと望んだのだ、
  夜になると、
  蒼色と灰色の、静寂の影がさす丘を、

Et j'ai retrouvé, comme avant,
Longtemps après,
Le coteau, l'arbre se dressant,
Comme au passé,
J'ai marché, les tempes brûlantes,
Croyant étouffer sous mes pas,
Les voix du passé qui nous hantent,
Et reviennent sonner le glas,

  そして私はふたたび見出した、以前のままに、
  長い時を経て、
  木がまっすぐに立っている、丘を、
  昔のままに、
  私は歩いた、こめかみを熱くさせて、
  私たちにつきまとい、
  弔鐘を鳴らしに戻って来る、過去からの声を、
  私の足下で踏み鎮めているのだと信じつつ、

Mon enfance Barbara6


Et je me suis couchée sous l'arbre,
Et c'était les mêmes odeurs,
Et j'ai laissé couler mes pleurs,
Mes pleurs,
J'ai mis mon dos nu à l'écorce,
L'arbre m'a redonné des forces,
Tout comme au temps de mon enfance,
Et longtemps, j'ai fermé les yeux,
Je crois que j'ai prié un peu,
Je retrouvais mon innocence,

  そして私は木の下に横たわった、
  同じ匂いがした、
  そして私は涙が流れるままにした、
  涙が、
  私は裸の背中を樹皮にもたせかけた、
  木は私に活力を取り戻させた、
  子供の頃とまるで同じように、
  そして長いあいだ、私は目を閉じていた、
  ちょっと祈っていたように思う、
  私は無垢な心を取り戻した、

Avant que le soir ne se pose,
J'ai voulu voir,
La maison fleurie sous les roses,
J'ai voulu voir,
Le jardin où nos cris d'enfants,
Jaillissaient comme sources claires,

  夜になるまえに、
  私は見たかった、
  バラに覆われた花いっぱいの家を、
  私は見たかった、
  私たちの子供の頃の叫び声が、
  澄んだ泉のように湧き上がる庭を、

Mon enfance Barbara7


Jean-Claude et Régine et puis Jean, 注1
Tout redevenait comme hier,
Le parfum lourd des sauges rouges,
Les dahlias fauves dans l'allée,
Le puits, tout, j'ai retrouvé,
Helas

  ジャン=クロード、レジーヌ、そしてジャン、
  みんな昨日の姿に戻っていた、
  赤セージのきつい香り、
  小道の褐色のダリア、
  井戸、すべてを、私はまた見出した、
  ああ

La guerre nous avait jetés là,
D'autres furent moins heureux, je croix,
Au temps joli de leur enfance,
La guerre nous avait jetés là,
Nous vivions comme hors-la-loi,

  戦争がその時私たちを放り出した、
  他の人たちはそれほど幸せじゃなかった、と私は思う、
  彼らの子供の頃の結構な時代には
  戦争がその時私たちを放り出した、
  私たちは無法者のように生きていた、

Et j'aimais cela, quand j'y pense,
Oh mes printemps, oh mes soleils,
Oh mes folles années perdues,
Oh mes quinze ans, oh mes merveilles,
Que j'ai mal d'être revenue,
Oh les noix fraîches de Septembre,
Et l'odeur des mûres écrasées,
C'est fou, tout, j'ai tout retrouvé,
Hélas,

  そして私はそれが気に入っていた、考えてみると、
  おお私の春、おお私の太陽、
  おお失われた私の狂おしい歳月、
  おお私の15歳の頃、おお私の素晴らしいものたち、
  戻って来てなんと辛いことか、
  おお9月の新鮮なクルミと、
  そしてつぶれた黒イチゴの匂い、
  それはすごいこと、すべて、私はすべてをまた見いだした、
  ああ、

Mon enfance Barbara4


Ils ne faut jamais revenir,
Au temps caché des souvenirs,
Du temps béni de son enfance,
Car parmi tous les souvenirs,
Ceux de l'enfance sont les pires,
Ceux de l'enfance nous déchirent,
Vous, ma très chérie, ô ma mère, 注2
Où êtez-vous donc, aujourd'hui,
Vous dormez au chaud de la terre,
Et moi, je suis venue ici,
Pour y retrouver votre rire,
Vos colères et votre jeunesse,
Mais je suis seule avec ma détresse,
Hélas,

  けっして立ち戻るべきじゃない、
  子供の頃の祝福されるべき時代の、
  想い出に覆い隠された時代に、
  なぜならすべての想い出のなかで
  子供の頃の想い出は最もひどいものだから、
  子供の頃の想い出は私たちを引き裂く、
  あなた、私のとても愛しい人、おお私のお母さん、
  いったいどこにあなたはいるの、いま、
  あなたは暖かい土に眠っている、
  そして私は、ここにやって来た、
  あなたの笑いを、
  あなたの怒りを、あなたの若さをまた見出したいと、
  でも私は悲しみを抱えてひとりぼっち、
  ああ、

Mon enfance Barbara8


Pourquoi suis-je donc revenue,
Et seule, au détour de ses rues,
J'ai froid, j'ai peur, le soir se penche,
Pourquoi suis-je venue ici,
Où mon passé me crucifie,
Elle dort à jamais mon enfance...

  いったいなぜ私は戻って来たのか、
  そしてひとり、回り道して、
  寒さを感じ、恐れを感じている、夜の更けゆくなか、
  なぜ私はここに戻って来たのか、
  私の過去が私を苛むこの地に、
  私の子供時代は永遠に眠る…

[注]
1 すべてバルバラの兄弟の名前。
2 母親は、この曲の前年の67年に亡くなっている。



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