
先日、ヴイッキー・レアンドロスVicky Leandrosの「恋はみずいろL’amour est bleu」を取り上げましたが、今回はそのヴイッキーの「花の時代Le temps des fleurs」を。メリー・ホプキンMary Hopkinの「悲しき天使Those were the days」を、フランス語に翻案した曲です。このメロディは、もともと、1926年にコンスタンチン・ポドレフスキーК. Н. Подревскийの詩にボリス・フォミーンБ. И. Фоминがジプシー民謡を元にした曲をつけた「長い道Дорогой длинною」というロシア語の歌でしたが、ソビエト連邦からの亡命者によって欧米に広められるうち、いつしか作者不詳のロシア民謡と呼ばれるようになり、その後1962年に、イギリスで活躍したアメリカ合衆国出身の歌手、ジーン・ラスキンGene Raskinが編曲しThose were the daysのタイトルで自作として発表しました。そして1968年にポール・マッカートニーSir James Paul McCartneyのプロデュースでメリー・ホプキンMary Hopkinが歌いました。
その後、スペイン語版、ドイツ語版、ヴィッキーによるフランス語版が出て、ダリダDalidaも歌っています。また、メリー・ホプキン自身がイタリア語でも歌っています。そして、森山良子ほかが日本語でも歌い、世界的なヒット曲となりました。「悲しき」などという言葉を冠した邦題が多くてうんざりしますが、ロシア語の原曲も、メリー・ホプキンの曲も、このフランス語の曲も、過ぎし昔を懐かしむ内容です。
ロシア語の原曲
メリー・ホプキン
ヴィッキー・レアンドロス
Le temps des fleurs 花の時代
Vicky Leandros ヴィッキー・レアンドロス
Dans une taverne du vieux Londres
Où se retrouvaient des étrangers
Nos voix criblées de joie montaient de l'ombre 注1
Et nous écoutions nos cœurs chanter
C'était le temps des fleurs
On ignorait la peur
Les lendemains avaient un goût de miel
Ton bras prenait mon bras
Ta voix suivait ma voix
On était jeunes et l'on croyait au ciel
La, la, la...
異邦人同士が再会していた
古い時代のロンドンの酒場で
喜びでいっぱいの私たちの声が物陰から湧き起った
そして私たちは自分たちの心が歌うのを聴いていた
それは花の時代だった
私たちは恐れなんか無視していた
明日は蜜の味だった
あなたの腕は私の腕をとり
あなたの声は私の声に続いた
私たちは若く 天を信じていた

Et puis sont venus les jours de brume
Avec des bruits étranges et des pleurs
Combien j'ai passé de nuits sans lune
A chercher la taverne dans mon cœur
Tout comme au temps des fleurs
Où l'on vivait sans peur
Où chaque jour avait un goût de miel
Ton bras prenait mon bras
Ta voix suivait ma voix
On était jeunes et l'on croyait au ciel
La, la, la ......
そして 妙な音と涙をともなって
霧のたちこめる日がやって来た
私たちが恐れもなく暮らし
毎日が蜜の味だった
花の時代そのままの
心のなかのあの酒場を探して
どれだけの月のない夜を私は過ごしたことか
あなたの腕は私の腕をとり
あなたの声は私の声に続いていた
私たちは若く、天を信じていた
ラ、ラ、ラ...
Je m'imaginais chassant la brume
Je croyais pouvoir remonter le temps
Et je m'inventais des clairs de lune
Où tous deux nous chantions comme avant
La, la, la ......
Ton bras prenait mon bras
Ta voix suivait ma voix
On était jeunes et l'on croyait au ciel
La, la, la ......
On était jeunes et l'on croyait au ciel
私は自分が霧を追い払うのを想像した
私は時間をさかのぼれるものと信じていた
そして、私は自分のために月明かりを創り出した
そこで私たち二人は以前のように歌っていた
それは花の時代だった
私たちは恐れなんか無視していた
明日は蜜の味だった
あなたの腕は私の腕をとり
あなたの声は私の声に続いた
私たちは若く、天を信じていた
ラ、ラ、ラ...
あなたの腕は私の腕をとり
あなたの声は私の声に続いた
私たちは若く、天を信じていた
ラ、ラ、ラ...
私たちは若く、天を信じていた
Et ce soir je suis devant la porte
De la taverne où tu ne viendras plus
Et la chanson que la nuit m'apporte
Mon cœur déjà ne la connaît plus
C'était le temps des fleurs
On ignorait la peur
Les lendemains avait un goût de miel
Ton bras prenait mon bras
Ta voix suivait ma voix
On était jeunes et l'on croyait au ciel
La la la...
そして今夜、私はあの酒場の扉の前にいる
そこに あなたはもはや現れないだろう
そして夜が私に届けてくれる歌を
私の心はもう知らない
それは花の時代だった
私たちは恐れなんか無視していた
明日は蜜の味だった
あなたの腕は私の腕をとり
あなたの声は私の声に続いた
私たちは若く、天を信じていた
ラ、ラ、ラ...

[注] le tempsは「季節」と訳すこともできるが、この曲では昔を懐かしむ内容に合わせて「時代」とした。
1 cribléは「ふるいにかけられた」だが、「(ふるいのように)穴だらけの」からcriblé deは「…だらけの」の意味に。
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