2015
03.02

18歳の彼Il venait d'avoir 18 ans

Dalida Il venait davoir 18 ans


今回はダリダDaliaの「18歳の彼Il venait d'avoir 18 ans」です。
ダリダは、生涯に12人ほどの男性と交際し、そのうち3人が自殺。12人のうちのひとりは、ダリダが34歳の時に付き合っていたルチオという18歳のローマの学生で、彼の子ができたのですが出産をあきらめ、そのために妊娠できない身体になったそうです。
1973年、ダリダが41歳の年に、パスカル・セヴランPascal Sevranが作詞し、それにパスカル・オーリアPascal Auriatが曲を付けて持って行ったところ、ダリダは自分の体験ともつながるこの曲が気に入ってさっそく歌い、彼女の6枚目のアルバム「ジュリアンJulien...」に収録されました。そして9カ国でヒットチャート第1位に輝きました。

歌詞では、彼は18歳で自分はその2倍の歳、すなわち36歳ということで、歳の違いを気にする女の心の揺らぎが表現されていますが、これは男の作詞家の目線なんでしょうか。エディット・ピアフÉdith Piafは46歳で20歳下のテオ・サラポThéo Sarapoと結婚し、彼らがデュオで歌っている「恋は何のためにÀ quoi ça sert l'amour?」では年上の女の逞しさが表われています。ダリダの歌詞に出てくる、1954年のクロード・オータン=ララClaude Autant-Lara監督の「青い麦Le blé en herbes」という映画は、シドニー=ガブリエル・コレットSidonie-Gabrielle Coletteの1922年の小説を元にしていて、少年が同世代の恋人がいるのに年上の夫人と関係を持ってしまうという話でしたが、コレット自身は62歳の時に17歳年下の男性と再再婚。また、作家のマルグリット・デュラスMarguerite Durasは66歳の時から81歳で亡くなるまで38歳下の恋人ヤン・アンドレアYann Andréaと暮らしました。こうした例に比較すると、36歳なんて若い若い。…と、70歳に手が届きそうな私としては思います。



ララ・ファビアンLara Fabianは、ダリダへの手紙を朗読したあと歌います。



Il venait d'avoir 18 ans      18歳の彼
Dalida                ダリダ


Il venait d’avoir 18 ans
Il était beau comme un enfant
Fort comme un homme
C’était l’été évidemment
Et j’ai compté en le voyant 注1
Mes nuits d’automne

  彼は18歳になったばかりだった
  少年らしく美しく
  青年らしくたくましかった
  あれはたしか夏のできことだった
  それからわたしは彼を見ながら
  何度かの秋の夜を過ごした

Il venait davoir 18 ans1


J’ai mis de l’ordre à mes cheveux
Un peu plus de noir sur mes yeux 注2
Ça l’a fait rire
Quand il s’est approché de moi
J’aurais donné n’importe quoi 注3
Pour le séduire

  わたしは髪をととのえ
  アイラインを少し強く引いた
  そのことが彼を笑わせた
  彼が近づくと
  わたしは何だって与えてしまいたかった
  彼を誘惑するためなら

Il venait d’avoir 18 ans
C’était le plus bel argument
De sa victoire
Il ne m’a pas parlé d’amour
Il pensait que les mots d’amour
Sont dérisoires

  彼は18歳になったばかりだった
  それがなによりの武器だった
  彼が優位に立つための
  彼はわたしに愛を語りはしなかった
  彼は思っていた 愛の言葉なんて
  馬鹿げたものだと

Il m’a dit: "j’ai envie de toi"
Il avait vu au cinéma
Le blé en herbes 注4
Au creux d’un lit improvisé 注5
J’ai découvert émerveillée
Un ciel superbe

  彼は私に言った「君が欲しい」と
  彼は映画で観たことがあった
  「青い麦」を
  間に合わせのベッドの上で
  私は驚嘆しつつすばらしい空を
  目の当たりにした

Il venait davoir 18 ans3


Il venait d’avoir 18 ans
Ça le rendait presqu’insolent
De certitude
Et pendant qu’il se rhabillait
Déjà vaincue, je retrouvais
Ma solitude

  彼は18歳になったばかりだった
  それが彼にぞんざいなまでに
  自信を抱かせた
  そして彼が服を着るあいだ
  わたしは、征服された身で、ふたたび感じていた
  孤独を

J’aurais voulu le retenir 注6
Pourtant je l’ai laissé partir
Sans faire un geste
Il m’a dit "c’était pas si mal"
Avec la candeur infernale
De sa jeunesse

  わたしは彼を引き留めておきたかった
  でも行かせた
  彼はなんら身ぶりもせずに
  わたしに言った「そう悪くはなかったよ」と
  若さゆえの
  どうしようもなく無邪気な調子で

Il venait davoir 18 ans2


J’ai mis de l’ordre à mes cheveux
Un peu plus de noir sur mes yeux
Par habitude
J’avais oublié simplement
Que j’avais deux fois 18 ans.

  わたしは髪をととのえ
  アイラインを少し強く引いた
  いつもの癖で
  ただ忘れていたのだった
  わたしが18歳の2倍の歳だっていうことを。

[注]
1 「夜の数を数えた」というのは、何度もの夜を過ごしたということ。
2 se mettre du noir aux yeuxは「(黒の)アイラインを引く」。
3 条件法過去形は、条件法現在形と同様に話者の意欲・意図が介在する語気緩和の表現で、過去のある時点で話者が望んだこと。
4 Le blé en herbesは解説に書いた映画のタイトル「青い麦」で、en herbesは、麦などが「まだ青く未熟なこと」。 
5 Au creux d’un lit improvisé「間に合わせのベッドの窪みに」は、屋外で身を横たえる場所を選んだことを言っている。
6 注3と同様。



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