2015
03.02

闘うジョーBattling joe

Yves Montand battling joe


Battling joe1今回はシャンソンとしては珍しくボクサーがテーマの曲、イヴ・モンタンYves Montandの「闘うジョーBattling joe」(1945年 作詞Jean Guigo、作曲 Loulou Gasté)です。ジョーという名のボクサーといえば、かつて愛読した、ちばてつやの漫画「明日のジョー」を想い出します。「ボクサー・ジョー」という日本映画もあるようですが…。ボクサーの映画の代表といえば、シルヴェスター・スタローンの「ロッキーRocky」。Battling joe2でも私が一番に挙げたいのはラッセル・クロウ主演の「シンデレラマンCinderella man」です。最近のものでは、ヒュー・ジャックマン主演の「リアル・スティールReal steel」がなかなかユニークな内容。実際のボクサーとしてのカリスマ性で言えばモハメド・アリ(カシアス・クレイ)がダントツでしょう。彼ら、すなわち虚構あるいは実在のボクサーたちの画像も交えながら歌詞をご紹介していくことにしましょう。

Battling joe8Battling joe9Battling joe3

モンタンのステージでの表現力は素晴らしいですね。



Battling joe         闘うジョー
Yves Montand        イヴ・モンタン


Dans un village noir de charbon
Dans les ch’minées et les corons
Tout p’tit il battait ses copains
Il était fier de ses deux poings
Presque autant qu’son père le mineur
Qui disait : "Ça f’ra un boxeur"
Le jour de son premier combat
Fallait un nom, l’en n’avait pas 注1
Comme la mode était à l’anglais
Il s’appela "Battling Joe"

  石炭で黒ずんだ村の
  煙突や鉱夫住宅が立ち並ぶところで
  幼い頃から仲間を殴ってきて
  彼は自分の両こぶしに自信があった
  鉱夫の父とほぼ同等に
  その父は言っていた「こいつはボクサーになるだろう」と
  最初の試合の時に
  名前が必要だったが、持っていなくて
  時流に合わせて英語で
  「バトリング・ジョー」と名乗った

Battling joe11


Battling Joe
C’était un peu démesuré
Pour un gosse aux épaules étroites
Mais qui avait une méchante droite 注2

  バトリング・ジョー
  その名は肩幅の貧弱な若造にしては
  ちょっと過ぎた名だった
  だが彼はすごい右パンチを持っていた

Battling Joe
Il gagna son premier combat
Et le soir même avec papa
Il prenait le train pour Paris
Où un boxeur ça vaut son prix
Battling Joe

  バトリング・ジョー
  彼は最初の試合に勝った
  その夜のうちにパパと
  パリ行きの列車に乗った
  そこではボクサーがその値打ちを認めてもらえるんだ
  バトリング・ジョー

Battling joe10


Il croyait bien en f’sant c’truc-là
Être plus libre, mais voilà
Qui dit boxeur dit manager 注3
Le sien avait une poigne de fer
C’était un gars très régulier
Qui pour justifier la moitié
Des bourses de tous ses combats
Lui fit mener une vie d’forçat
"On n’est pas là pour rigoler"
Qu’il disait à Battling Joe

  そうすればもっと自由になれると
  彼は思っていたが、どっこい
  ボクサーでもあるマネージャーは
  鉄の拳を持ち
  とてもきちょうめんな男で
  すべての試合のファイトマネーの
  半分を正当に収奪し
  彼に徒刑囚のような生活を送らせた
  「伊達でやってんじゃないんだぜ」と
  彼はバトリング・ジョーに言っていた

Battling joe12


Battling Joe
Devint un boxeur redouté
Battling faisait des grosses recettes
Battling devint une grosse vedette

  バトリング・ジョーは
  怖れられるボクサーになった
  バトリングはすごく稼いだ
  バトリングはすごい花形になった

Battling Joe
Les dames disaient tout près du ring :
"Il est délicieux ce Battling"
Et elles admiraient son moral
Sans penser qu’les coups, ça fait mal
Battling Joe

  バトリング・ジョー
  女たちはリングのすぐそばで言っていた
  「このバトリングはすてきだわ」
  そして彼女たちは彼の心意気を讃えていた
  そのパンチ、それが有害なものだとは考えもせず
  バトリング・ジョー

Battling devint un grand champion
Jusqu’au triste soir où un gnon
Lui embrouilla soudain les yeux
L’manager dit : "C’est pas sérieux!
Tu d’viens feignant, fais ton métier 注4
Boxe, ça rime pas avec pitié" 注5
La foule eut p’t-êtr’ tort ce soir-là
De siffler la fin du combat
Malgré les lampes et leurs éclairs
Battling Joe... hé Joe... n’voyait plus clair

  バトリングはグランド・チャンピオンになった
  それは、一撃が突然彼の目をくらませた
  あの悲劇的な夜までのことだった
  マネージャーは言った「たいしたこっちゃないぜ!
  怠け者になったのかよ、ちゃんと仕事しろよ
  ボクシングはな、お情けとは無縁だぜ」と
  人々が試合の終りに口笛を吹いたのは
  たぶん間違いだった
  ランプが光を放っていたのにもかかわらず
  バトリング・ジョーは…ヘイ、ジョーは…もうはっきりとは見えなかった

Battling Joe
C’est un nom maint’nant oublié
Une triste silhouette qui penche
Appuyée sur une canne blanche

  バトリング・ジョー
  それはもう忘れられた名前
  白い杖に寄りかかってかしいでいる
  悲しい影だ

Battling joe13


Battling Joe
A tout perdu en un seul soir
Ses yeux son titre et son espoir
Mais il sait comme consolation
Son manager a d’autres champions

  バトリング・ジョー
  ある夜すべてを失った
  両目もタイトルも希望も
  だが彼は知っている
  マネージャーが別のチャンピオンを得たことを
  それがひとつのなぐさめだ

Battling Joe 注6

  バトリング・ジョー

[注]
1 Il fallait…のIlが省略されている。l’en:le(=nom)+en(=de lui)。
2 droite女性名詞で「(ボクシングの右パンチ)」。méchant(e)名詞の前で「危険な、有害な」。
3 Qui dit A dit B「AということはBということだ」ここでは、ボクサーでかつマネージャー。
4 feignant=fainéant「怠惰な」
5 rimer avec qc.「(…と)韻を踏む」「(…と)調和する、歩調を合わせる」
6 これは新チャンピオンの名前。




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