2015
04.10

愛せることSavoir aimer

Savoir Aimer


今回はフローラン・パニーFlorent Pagnyの「愛せることSavoir aimer」(作詞:リオネル・フロランスLionel Florence、作曲:パスカル・オビスポPascal Obispo)。この曲は1997年の同名のアルバムに収録され、同年、シングル盤もリリースしました。150万枚の売り上げで、パニーはこの曲で翌98年にヴィクトワール賞の男性歌手賞を受賞しました。
歌いやすいメロディーですが、たいへん哲学的な内容の歌詞です。

パニーは1961年にブルゴーニュで生まれ、72年にオート・サヴォアに家族で移り住みました。13歳の時から地元で歌い始め、16歳で学校を中退してパリに出て、いろんなアルバイトをして生活したのちに、映画、テレビの俳優の仕事を始めました。歌手への転向は、1987年に出した最初のシングルN'importe quoiのヒットで始まり、90年に最初のアルバムを出します。95年に出したアルバム「わが家へようこそBienvenue chez moi」にはパヴァロッティpavarottiの「カルーソーCaruso」のカヴァー(動画は→こちら)を加え、話題になりました。次がSavoir aimerの大ヒット。以後のものとしては、04年のオペラのアリアを集めたアルバム「バリトンBariton」、09年の「パニー、ブレルを歌うPagny chante Brel」がユニークな内容です。昨年2010年にも、未発表のオリジナル曲で構成したアルバムTout et son contraireを出しました。
アルゼンチン女性と結婚し、1997年からはパタゴニアとパリを行き来して生活し、2009年からマイアミに一時住んだものの、またパタゴニアに戻っています。

彼の手話風の動作が間違っているという指摘があり、ちょっと問題になっているようです。



スーアド・マッシSouad Massiとのデュオ。



Savoir aimer               愛せること
Florent Pagny              フローラン・パニー


Savoir sourire, 注1
À une inconnue qui passe,
N'en garder aucune trace,
Sinon celle du plaisir
Savoir aimer
Sans rien attendre en retour,
Ni égard, ni grand amour,
Pas même l'espoir d'être aimé,

  微笑むことができること、
  通りかかる見知らぬ人に、
  その余韻を何も残さないこと、
  喜びの余韻を除いて
  愛することができること
  見返りを何も期待しないで、
  敬意も、大きな愛も、
  また愛されたいという望みすらも、

{Refrain:}
Mais savoir donner,
Donner sans reprendre,
Ne rien faire qu'apprendre
Apprendre à aimer,
Aimer sans attendre,
Aimer à tout prendre, 注2
Apprendre à sourire,
Rien que pour le geste, 注3
Sans vouloir le reste
Et apprendre à Vivre 注4
Et s'en aller.

  また与えることができること、
  取り返すことなく与えることが、
  学ぶことのほかに何もしないこと
  愛することを学ぶことの、
  期待せずに愛することを、
  よく考えて愛することを、
  微笑むことを学ぶこと、
  ただふるまいとしてだけで、
  ほかは望まずに
  そして生きることを学ぶこと
  また死に行くことを。

Savoir Aimer2


Savoir attendre,
Goûter à ce plein bonheur 注5
Qu'on vous donne comme par erreur, 注6
Tant on ne l'attendait plus. 注7
Se voir y croire 注8
Pour tromper la peur du vide 注9
Ancrée comme autant de rides 注10
Qui ternissent les miroirs

  待つことができること、
  この充分な幸福を味わうこと
  まるで期待していなかったから、
  間違って与えられたかに思える幸福を。
  自分がそれを信じていることに気づくこと
  鏡を曇らせる顔の皺と同様に根付いてしまった
  虚無への恐怖を紛らすために

{Refrain}

Savoir souffrir
En silence, sans murmure,
Ni défense ni armure
Souffrir à vouloir mourir 注11
Et se relever
Comme on renaît de ses cendres,
Avec tant d'amour à revendre 注12
Qu'on tire un trait sur le passé.

  苦しむことができること、
  沈黙のうちに、つぶやきもせず、
  防御もせず甲冑もつけず
  死にたくなるほど苦しむこと
  そして立ち直ること
  灰のなかから再生するように、
  線を引いて過去を消してしまえるほどに
  余剰の愛に溢れて。

Savoir aimer6


{Refrain}

Apprendre à rêver
À rêver pour deux,
Rien qu'en fermant les yeux,
Et savoir donner
Donner sans rature 注13
Ni demi-mesure
Apprendre à rester. 注14
Vouloir jusqu'au bout 注15
Rester malgré tout, 注16
Apprendre à aimer,
Et s'en aller,
Et s'en aller...

  夢見ることを学ぶこと
  ふたりのために夢見ることを、
  ただ目を閉じながら、
  そして与えることができること
  削ったり加減したりせずに
  与えること
  とどまることを学ぶこと。
  どんなことがあってもとことん最後まで
  とどまることを望むこと、
  愛することを学ぶこと、
  そして死に行くこと、
  そして死に行くこと…

Savoir Aimer7


[注]
1 savoir+inf. 「…できる、能力を備えている」。
2 à tout prendre「すべてを考え合わせると、結局のところ」
3 rien que「ただ…だけ(のために)」
4 Vivreは大文字で重要性を示している。次行のs'en allerはそれとの対比で「死ぬ」こととなる。
5 goûter à「…の味をみる」。plein名詞の前で「完全な、十分の」
6 par erreur「間違って」
7 Tant(原因を表す節を導く)「それほど…」
8 se voir「自分を…だと知る」。yはà ce plein bonheur。
9 le vide「空虚」は「死」を意味するようだ。
10 ancréeは前行のla peurを修飾。
11 à+inf.(程度・結果)「…するほどまでに」
12 tant…que「とても…なので…」
13 sans rature ni surcharges「削除も加筆もせずに」という表現がある。demi-mesure「その場逃れ、中途半端」と合わせ、いさぎよくそっくり全部与えることを表現している。
14 軽微なものから重要なものへ、というのはフランス語の表現すべてに共通。この歌詞も、sourire から始まり、最後になって出てくるresterは大きな意味を持つ。動じないこと、逃げないこと、あるがままでいること…、そして愛することを学び続ける。かくして生を全うした後にs'en allerさよならするのである。
15 jusqu'au bout「最後まで」
16 malgré tout「是が非でも」



コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top