
今回は、カミーユ・クトーCamille Couteauが歌っている「僕になついちゃった猫Un chat que j'ai apprivoisé」。J'ouvre une fenêtreという2009年のアルバムに収録されています。この曲はもともと、アコーディオン奏者シヴーカSivucaが1947年に作った原曲にシコ・ブアルキChico Buarqueが1977年に「ホアンとマリアJoão e Maria」 というタイトルで歌詞を付けたブラジルの曲。カミーユ・クトーはそれにフランス語の歌詞を付けました。
シコ・ブアルキがシヴーカとともにギターを演奏し歌っている原曲
シコ・ブアルキとナラ・レオンNara Leãoとのデュオ
クトーは、自分はchanteur(歌手)ではなくchantonneur(歌を口ずさむ者)だと言います。子どもたちのための歌を作りたいんだとも言っています。アマゾンを何度か旅したことがあるという変わった人物。
apprivoiserという動詞は「(動物を)飼いならす、(人を)なつかせる」といった意味で、アントワーヌ・マリー・ジャン=バティスト・ロジェ・ド・サン=テグジュペリAntoine Marie Jean-Baptiste Roger, comte de Saint-Exupéryの「星の王子さまLe Petit Prince」では、キツネとの話のなかでとても重要な言葉になっていました。この曲名は「僕が飼いならした(あるいは、なつかせた)猫」ということになりますが、「僕になついちゃった猫」と意訳しました。
この曲の優しさがとっても気に入って、(一人で?)歌いたいなと思いましたが、耳のいい友人に言わせると、「なんともビミョーな音程が猫が喋っているように聞こえる」とのこと。それでくすぐられるのかも…。
Un chat que j'ai apprivoisé 僕になついちゃった猫
Camille Couteau カミーユ・クトー
※パートを色分けして表記しています。■男・■女・■男女
Aujourd’hui et demain
Il n’y a rien sur terre qui m’appartienne
Les lignes de ma main sont emmêlées aux lignes de la tienne
今日も明日も
この地上で僕のものなんか無い
僕の手の運命線が君の手の運命線と交わる

Tu es tendre et désabusé
あなたは優しくて悟りきってる
Je ne sais rien te refuser
僕は君を拒むすべを知らない
Nous partageons tout,
même les croissants, les problèmes, l’argent, les café-crème.
Je sais que tu sais bien qu’à part toi
Rien vraiment ne me retient.
Ne t’en va pas trop loin
Mon cœur ne sait plus battre sans le tien
Mon amour, tu es un chat que j'ai apprivoisé
Un papillon qui voudrait se poser
La mélodie que je viens d’épouser
僕たちはすべてを分かち合っている。
クロワッサンも、問題も、お金も、カフェ・クレームも。
君以外に何も僕を引きとめるものはないって
君にはよく分かってる、って僕には分かってる
あまり遠くに行かないで
僕の心臓はもうきみの心臓なしには鼓動できない
恋人よ、きみは僕になついちゃった猫
羽根をやすめようとするチョウチョ
僕がたまたま取り入れたメロディー
Toi au bord de l’eau
Au bas du dos délicieuse fossette
Pensées échevelés, allongée nue et insouciante
きみは水のほとりにいて、
背中の下のほうの魅力的な窪み
思考が混乱し、無頓着に裸で横たわっている

Toi qui siffle fort quand une chanson te trotte dans la tête
Toi qui rêves éveillé, toi qui visites les îles flottantes
頭のなかで歌が去来すると、大きな音で口笛を吹くあなた
目覚めたまま夢を見るあなた、浮き島を訪ねるあなた
Perdu dans tes pensées
En mâchonnant une fleur de pissenlit
Tu regardes passer les nuages au-desus de notre lit
Mon amour, tu es un chat que j'ai apprivoisé
Tout est si simple et semble improvisé depuis que nos regards se sont croisés
想像の中で自分を見失い
タンポポの花をもぐもぐ咬みながら
君は僕たちのベッドの上で雲が流れていくのを見つめている
恋人よ、きみは僕になついちゃった猫
僕たちの視線が交わって以来、すべてはとても簡単でなんでも即興でできちゃうみたい
Toi beauté volée, tu me regardes un coin quand tu te cambres
Tu sais m’ensorceler comme une starlette débutante
きみはすばやく動く美しさ、身を反らせるときも目の端で僕を見つめるんだ
きみは新米のスターレットのように、僕を虜にするすべを知っている
Toi, sans m’en parler, tu voudrais quitter Paris dés septembre
Toi qui rêves éveillé, toi qui sépares les étoiles les filantes
あなたはね、私に言わずに、9月になったらパリから出て行こうと思っている
あなたは目覚めながら夢を見て、流れ星と普通の星を見分けている

Aujourd’hui et demain
Il n’y a rien sur terre qui m’appartienne
Les lignes de ma main sont emmêlées aux lignes de la tienne
Mon amour, tu es un chat que j'ai apprivoisé
Un papillon qui voudra se poser
Comme sur tes lèvres je pose un baiser
今日も明日も
この地球上で僕のものなんか無い
僕の手の運命線がきみの手の運命線と交わる
恋人よ、きみは僕になついちゃった猫
羽根を休めようとするチョウチョ
僕がきみの目の上にキスを着陸させるみたいに
カミーユ・クトーの作詞・作曲だと思っていましたが、コメントをいただき、ブラジルの曲のフランス語翻案だと分かりましたので、記事を訂正し、原曲の動画を加えました。(2015年12月23日)
歌詞に関する情報をいただき、大幅に訂正いたしました。(2020年8月16日)
Comment:1
コメント
これはカミーユ・コクトーの曲ではなく、ブラジルのシコ・ブアルキという人の曲です。
YAM
2015.12.23 03:28 | 編集
