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2014
08.31

眠れぬままに朝が来てLes insomnies

Barbara Les insomnies


今回はバルバラBarbaraの「眠れぬままに朝が来てLes insomnies」です。

個人的な話から始めさせていただきますが、実は私、ここ数日間、夜眠れずに悶々として朝を待つという状態が続いておりました。
状況としては、まずは、8月12日から、2011年1月より続けてきたYahoo!ブログが、なぜか投稿も書き直しも削除もできなくなり、何をしてもいくら問い合わせても埒が明かず、途方にくれ、結局は引越しを考えて、15日にこのブログを新設しました。広告のいっぱい入るYahoo!よりFC2のほうがエレガントだし、投稿システムもよくできていて、とても気に入っています。ちょうど新築マンションに引っ越してピアピカのフロアーに新しい家具を持ち込んだみたいなルンルン気分で、おおいに張り切っていっぱい記事を書き始めた、そんなつもりでしたが…。

まだYahoo!ブログはそのまま、何もさわれない状態です。700曲ほど訳してあるのですが、間違いに気づいても訂正できません。2曲だけ全面的に書き直してこちらに移しましたが、新しい曲も取り上げたいし、すべてこちらに運ぶことは不可能。引越しを喜びながらも、残念な気持ちは根強く残ります。いずれYahoo!側の対処が進んで、私がやりたいことができるようになったとしても、もう、さよならを決めた私は、後片付けに出向くだけです。

そうしたことがきっかけだったのかもしれませんが、頭では割り切れるけど気分として割り切れないことが、ほかにもあれこれ脳裏に浮かんで、布団のなかで悶々としながら考え続けてしまうようになりました。眠れないなんて今まであまりなかった私なのに…。

そして今日、そういえばバルバラが不眠症がテーマの曲を歌っていたなと、この曲を思い出しました。たいへん面白い歌詞で、訳しているとなんだか気分が楽になってきた気がします。ま、なんとか元気を取り戻しましょう。

バルバラは1974年の6月に、自宅で大量の睡眠薬を飲んで病院に運ばれたことがあります。その実体験がこの歌詞の裏にあるようです。1978年の同名のアルバム(オランピア劇場でのライブ)に収録されています。



不眠を少々違った切り口で扱った曲としては、ジャック・プレヴェールJacques Prévertの詩をもとにした「あなたが眠るときQuand tu dors」があります。バルバラはこれも歌っています。



Les insomnies            眠れぬままに朝が来て
Barbara               バルバラ


A voir tant de gens qui dorment et s´endorment à la nuit,
Je finirai, c´est fatal, par pouvoir m´endormir aussi.
A voir tant d´yeux qui se ferment, couchés dans leur lit,
Je finirai par comprendre qu´il faut que je m´endorme aussi.

  夜に眠る人たちそして眠りにつくたくさんの人たちを見るけれど、
  私もまた、避けられないことだけど、最後には眠りにつくことができるだろう。
  ベッドに横たわって、閉じる目をたくさん見るけれど、
  私もまた眠りにつかなければならないと私は最後には理解するだろう。

J´en ai connu des grands, des beaux, des bien bâtis, des gentils
Qui venaient pour me bercer et combattre mes insomnies
Mais au matin, je les retrouvais, endormis dans mon lit
Pendant que je veillais seule, en combattant mes insomnies.

  立派な、美しい、がっしりした、やさしい男たちを私は知っている
  彼らは私をやさしく揺すり私の不眠とたたかうためにやって来る
  けれど朝には、彼らが私のベッドで寝入っているのを私は見る
  かたや私はひとり、不眠とたたかいながら寝ずの番をしていたというのに。

A force de compter les moutons qui sautent dans mon lit,
J´ai un immense troupeau qui dans mes nuits.
Qu´ils aillent brouter ailleurs, par exemple, dans vos prairies.
Labourage et pâturage ne sont pas mes travaux de nuit,

  ベッドのなかで飛び跳ねている羊を数えていると、
  夜のあいだに巨大な群れが歩き回っている。
  羊たちはよそへ草を食べに行けばいいわ、たとえば、あなたの畑に。
  農耕や放牧は私の夜の仕事じゃないのよ、

compter les moutons2


Sans compter les absents qui me reviennent dans mes nuits.
J´ai quelquefois des vivants qui me donnent des insomnies
Et je gravis mon calvaire, sur les escaliers de la nuit. 注1
J´ai déjà connu l´enfer, connaîtrai-je le paradis?

  夜なかに私のところに戻ってくる亡者たち以外に、
  私に不眠をもたらす生者たちも時にはいる。
  そして私はこの苦難から這い上がる、夜の階段を伝って。
  私はすでに地獄を知った、天国を知ることはあるのかしら?

Le paradis, ce serait, pour moi, de m´endormir la nuit
Mais je rêve que je rêve qu´on a tué mes insomnies
Et que, pâles, en robe blanche, on les a couchées dans un lit
A tant rêver que j´en rêve, les revoilà, mes insomnies.

  天国、それは、私にとって、夜眠りにつくこと
  けれど私の不眠たちが殺され
  青ざめて、白い衣装をまとって、ベッドに横たえられる夢を見ることを夢見る
  そんな夢を見ることを夢見ても、あいつたちはまた現れる、私の不眠たちは

Je rôde comme les chats, je glisse comme les souris
Et Dieu, lui-même, ne sait pas ce que je peux faire de mes nuits.

  私は猫のようにうろつき、私は鼠のように忍び込む
  でも神さまは、ご自身、私が自分の夜をどうできるかご存知ない。

Mourir ou s´endormir, ce n´est pas du tout la même chose.
Pourtant, c´est pareillement se coucher les paupières closes.
Une longue nuit, où je les avais tous deux confondus,
Peu s´en fallut, au matin, que je ne me réveille plus. 注2

  死ぬか眠るか、それはまったく同じことじゃない。
  だけど、同様にまぶたを閉じて横たわること。
  長い一夜、私はそれら二つを混同してしまった、
  朝に、私はもう目覚めないなんてことに危うくなりそうだった。

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Mais au ciel de mon lit, y avait les pompiers de Paris.
Au pied de mon lit, les adjudants de la gendarmerie.
Ô Messieurs dites-moi, ce que vous faites là, je vous prie.
Madame, nous sommes là pour veiller sur vos insomnies.

  でも私のベッドの上にはパリの消防士たちがいた
  ベッドの足元には、憲兵隊の曹長たちが。
  おお殿方たちねぇ、そこで何をしているの、いったい。
  奥様、私たちはあなたの不眠を夜通し見張るためにいるんですよ。

En un cortège chagrin, viennent mes parents, mes amis.
Gravement, au nom du Père, du Fils et puis du Saint-Esprit, 注3
Si après l´heure, c´est plus l´heure, avant, ce ne l´est pas non plus,
Ce n´est pas l´heure en tout cas, mais grand merci d´être venus.

  葬列を組んで、両親が、友人たちがやって来る。
  おごそかに、父の、子と精霊のみ名によりてと唱え、
  遅れたら、もはやその時じゃない、早すぎたら、それもダメ、
  いずれにせよそのタイミングじゃないのよ、でも来てくださってとってもありがとう。

Je les vois déjà rire de leurs fines plaisanteries,
Ceux qui prétendent connaître un remède à mes insomnies.
Un médecin pour mes nuits, j´y avais pensé, moi aussi.
C´est contre lui que je couche mes plus belles insomnies.

  私は彼らが気のきいた冗談を言ってもう笑っているのを見る、
  私の不眠に効く薬を知っているふりをする人たちが。
  私の夜のための医者、そのことは考えたわ、私も。
  私は彼に逆らったやり方で私のこの上なく美しい不眠を寝かせるわ。

A voir tant de gens qui dorment et s´endorment à la nuit,
J´aurais fini, c´est fatal, par pouvoir m´endormir aussi
Mais si s´endormir c´est mourir, ah laissez-moi mes insomnies.
J´aime mieux vivre en enfer que dormir en paradis.
Si s´endormir c´est mourir, ah laissez-moi mes insomnies.
J´aime mieux vivre en enfer que de mourir en paradis...

  夜に眠る人たちそして眠りにつくたくさんの人たちを見るけれど
  私もまた、避けられないことだけど、最後には眠りにつくことができるだろう。
  でももしも眠りにつくことが死ぬことなら、ああ不眠を私に残しておいて。
  私は天国で死んでいるよりも地獄で生きているほうがいいわ。
  もしも眠りにつくことが死ぬことなら、ああ不眠を私に残しておいて。
  私は天国で死んでいるよりも地獄で生きているほうがいいわ…

[注]
1 calvaire「(カルヴァリーの丘のキリストの)受難、苦難」
2 peu s´en fallut que…(ne)…「危うく…するところだった」
3 au nom du Père, du Fils et puis du Saint-Esprit (十字を切るときに唱える言葉)「父の、子と精霊のみ名によりて」



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