
今回はリーヌ・ルノーLine Renaudの「フルー・フルーFrou-Frou」を取り上げます。この題名は、衣擦れの音をあらわす、フランス語の数少ないオノマトペonomatopée(擬音語)の一つ。日本のサラサラというのと違い過ぎて妙に思えますが、軽やかなワルツのリズムに乗って繰り返されるのを聴いていると、しだいに衣擦れの音に感じられてくる気がします。

のちに、リーヌ・ルノー、ベルト・シルヴァBerthe Sylva 、ダニエル・ダリューDanielle Darrieux、シャルル・トレネCharles Trenet、イヴェット・ジローYvette Giraudら、多くの歌手がリバイバルさせました。
フランスではこの曲をテーマにした映画「サラサラと鳴るFrou-Frou」が1955年に作られました。映画のなかでは、Frou Frouはヒロインの女性のあだ名となっています。また、1923年に作られた同名の無声映画もあったようです。
そしてまた、1937年にジャン・ルノワールJean Renoirが作った映画「大いなる幻影La grande illusion」(音楽担当はピエール・ルイギPierre Louiguyとジョゼフ・コズマJoseph Kosma)で、ジャン・ギャバンJean Gabinがこの歌を口ずさんでいて、映画のサントラ盤La Grande Illusionに入っています。
リーヌ・ルノーの歌がYouTubeになく、自分で作成しました。
リザ・アンジェルLisa Angell
Frou-Frou フルー・フルー
Line Renaud リーヌ・ルノー
La femme porte quelquefois
La culotte dans son ménage
Le fait est constaté je crois
Dans les liens du mariage
Mais quand elle va pédalant
En culotte comme un zouave
La chose me semble plus grave
Et je me dis en la voyant
女は家事のさいには
よく半ズボンをはく
そういったことは結婚の絆のなかでは
認められるもの
だけど歩兵隊の兵士みたいに
半ズボンで自転車のペダルを踏めば
ことはもっと深刻
そういう女を見ると
思ってしまう

{Refrain:}
Frou frou, frou frou par son jupon la femme
Frou frou, frou frou de l'homme trouble l'âme
Frou frou, frou frou certainement la femme
Séduit surtout par son gentil frou frou
フルフルー、フルフルー 女はスカートで
フルフルー、フルフルー 男の心を惑わす
フルフルー、フルフルー たしかに女は
とりわけ優しいフルフルーで男を誘う

La femme ayant l'air d'un garçon
Ne fut jamais très attrayante
C'est le frou frou de son jupon
Qui la rend surtout excitante
Lorsque l'homme entend ce frou frou
C'est étonnant tout ce qu'il ose
Soudain il voit la vie en rose
Il s'électrise, il devient fou
男の子っぽい女など
たいして魅力的じゃない
彼女をとくにきわだたせるのは
スカートのフルフルー
このフルフルーを男が聞いたときの
彼のおこないたるやまったく驚くべき
とつぜん彼にはバラ色の人生が見え
感電し、逆上せてしまう
{Refrain}
En culotte me direz-vous
On est bien mieux à bicyclette
Mais moi je dis que sans frou frou
Une femme n'est pas complète
Lorsqu'on la voit se retrousser
Son cotillon vous ensorcelle
Son frou frou
C'est comme un bruit d'aile
Qui passe et vient vous caresser
自転車に乗るには半ズボンのほうがいいよと
あなたはおっしゃるけど
わたしはねフルフルーなしじゃ
女は完全じゃないって言うわ
女がすそをたくし上げれば
彼女のペチコートがあなたを魅惑する
そのフルフルーは
羽ばたく音のように
行きつ戻りつあなたを愛撫するわ
{Refrain}
Frou frou, frou frou certainement la femme
Séduit surtout par son gentil frou frou
フルフルー、フルフルー たしかに女は
とりわけ優しいフルフルーで男を誘う
[注] タイトルはFrou-FrouあるいはFrou Frouと表記される。映画でヒロインのあだ名に用いられたということもあって、Fを二つとも大文字にするのかもしれない。邦題の表記は「フルー・フルー」が一般的。歌詞の」なかでは、歌に近づけて、「フルフルー」とした。また、ルフランで2度繰り返される部分以外を「衣擦れの音」としたほうが意味が通じやすいが、あえて、オノマトペのままにした。
リーヌ・ルノーは2番しか歌っていない。
Comment:4
コメント
他動詞ですから、se retrousser とすべきですし、確かにそう歌っていますね。直しました。ありがとうございました。
朝倉ノニー
2016.09.21 06:34 | 編集

3番の歌詞で、Lorsqu'on la voit retrousser のところですが、Lorsqu'on la voit se retrousser となっているのを、多く見かけます。この方が歌いやすいようで、Lisa Angell も、そのように歌っています。
江副文臣
2016.09.20 10:49 | 編集

ありがとうございました。確認し訂正しました。
朝倉ノニー
2016.07.26 07:42 | 編集

2番と3番の歌詞は、順序が逆ではないでしょうか。
ルイス・マリアーノとマテ・アルテリィが、どの様に歌っているかが確かめられないのですが、もしこの順序で歌っているとすれば、余程特殊な歌い方で、普通は、La femme ayant l'air d'un garçon... の方が2番で、En culotte me direz-vous...の方が3番になっているようです。
ルイス・マリアーノとマテ・アルテリィが、どの様に歌っているかが確かめられないのですが、もしこの順序で歌っているとすれば、余程特殊な歌い方で、普通は、La femme ayant l'air d'un garçon... の方が2番で、En culotte me direz-vous...の方が3番になっているようです。
江副文臣
2016.07.25 23:58 | 編集
