2015
02.19

オオカミと牝鹿と騎士(優しい歌)Le loup, la biche et le chevalier (Une chanson douce)

Henri Salvador Le loup, la biche et le chevalier


アンリ・サルヴァドールHenri Salvadorの「オオカミと牝鹿と騎士Le loup, la biche et le chevalier」(作曲:アンリ・サルヴァドール、作詞:モーリス・ポンMaurice Pon)には「優しい歌Une chanson douce」という副題がついています。1950年に、アンリはジャクリーヌJacquelineに出会い、「あなたを32年間待っていたんだ」と言い、二人は結婚しました。この曲が発表されたのは1955年。僕の一生の終りまでこの「優しい歌」を君のために歌い続けると、愛する妻に捧げた歌です。しかし、1976年にジャクリーヌは亡くなります。アンリが亡くなったのは2008年ですから、「僕の一生の終り」は30年以上もあとのこと。彼にはのちにあらたな出会いもあり、僕の一生の終りまでというわけにはいかなかった(「冬の庭(温室) Jardin d'hiver」の記事参照)のですが、ペール・ラシェーズPère-Lachaiseのお墓で二人はいっしょに眠っています。



Le loup, la biche et le chevalier (Une chanson douce)
                   オオカミと牝鹿と騎士(優しい歌)        
Henri Salvador          アンリ・サルヴァドール


Une chanson douce
Que me chantait ma maman
En suçant mon pouce
J'écoutais en m'endormant
Cette chanson douce
Je veux la chanter pour toi
Car ta peau est douce
Comme la mousse des bois

  ママが歌ってくれた
  優しい歌
  親指をしゃぶりつつ
  眠りに落ちながら
  この歌を聴いていたもんだよ
  僕は君のためにこれを歌いたい
  だって君の肌は
  森の苔みたいに
  滑らかだから

La petite biche est aux abois 注1
Dans le bois, se cache le loup
Ouh, ouh, ouh ouh !
Mais le brave chevalier passa
Il prit la biche dans ses bras
La, la, la, la

  小さな牝鹿が猟犬に追いつめられ
  森では、オオカミが身を潜めてるんだ
  ウー、ウー、ウーウー!
  でも勇敢な騎士が通りかかり
  牝鹿を腕に抱きとったよ
  ラ、ラ、ラ、ラ

Une chanson douce1


La petite biche
Ce sera toi, si tu veux
Le loup, on s'en fiche 注2
Contre lui, nous serons deux
Une chanson douce
Que me chantait ma maman
Une chanson douce
Pour tous les petits enfants

  小さな牝鹿
  それは君だよ、お望みならね
  オオカミなんてへいちゃらさ
  僕らは二人で立ち向かうんだもの
  ママが歌ってくれた
  優しい歌
  ちっちゃな子供みんなの
  優しい歌

Une chanson douce3


Ô le joli conte que voilà, 注3
La biche en femme se changea
La, la, la, la
Et dans les bras du beau chevalier
Belle princesse elle est restée
A tout jamais

  おーこんなすてきな話なんだよ、
  牝鹿は女性に姿を変えたんだ
  ラ、ラ、ラ、ラ
  そして美しい騎士の腕のなかに
  美しい王女さまはとどまった
  永遠に

Une chanson douce4


La belle princesse
Avait tes jolis cheveux
La même caresse 注5
Se lit au fond de tes yeux
Cette chanson douce
Je veux la chanter aussi
Pour toi, ô ma douce
Jusqu'à la fin de ma vie
Jusqu'à la fin de ma vie.

  美しい王女様は
  君みたいなきれいな髪をしていた
  同じ優しさが
  きみの瞳の奥に読み取れる
  この優しい歌を
  僕も歌いたい
  君のためにね、僕の優しい人
  僕の一生の終りまで
  僕の一生の終りまで。

[注]
1 biche「牝鹿」は、きれいな女性の代名詞ともされ、ma bicheと言うと「いとしい人、おまえ」の意味。aboiは「獲物を追いつめた猟犬の吠え声」で、aux abois「猟犬に追いつめられた、窮地に陥った」。
2 se ficher de qn/qc「…を馬鹿にする、無視する」
3 que voilà「次のような、そこにある」
4 à tout jamais「いつまでも、永遠に」
5 caresseは「愛撫、優しく触れること」だが、caresse de regard「まなざしの優しさ」といった表現にも用いられる。文脈から、「王女様と同じ(優しさ)」ということだろう。




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