
今回はギー・マルシャンGuy Marchandの「運命Destinée」。彼は1937年にパリで生まれた俳優・歌手・ミュージシャンで、ピアノ、サキソフォン、クラリネットも演奏します。ジャンルはジャズとタンゴがメイン。
この曲は、以前取り上げたジョー・ダッサンの「インデアン・サマーL'été indien」(1975年)ととても似ていますが、実際、そのメロディーをひっくり返す形で作られたといわれます。1982年にギー・マルシャンが出演したコメディー「ザ・カンニング アルバイト情報Les sous-doués en vacances」のために自身が作詞し、ウラジミール・コスマVladimir Cosmaとともに作曲したもので、科学者にラヴ・マシーンを作らせ、ダンスを踊る男女に二人の愛情波が最高になるような曲を聴かせる、という場面でこの曲が登場します。
まだ会えない運命の人に熱烈に呼びかけます…でも会えずに終わってしまう…といった内容の歌詞。コミカルな意図を含みつつも、平凡な出逢いまでも奇蹟に変えてしまうような力を持っていて、誰かに歌ってもらいたい、あるいは誰かに歌って聴かせたい気もしてしまいます。またメロディーも1度聴くとなぜか耳に残る魅力があり、その後さまざまな別の歌詞でも歌われています。
ともかく男性の立場の歌ですから、ホワイトデ-の今日を選びました。が、ホワイトデ-とはそもそも何?とウィキペディアを調べましたら、やはり日本の企業の発案。中国語では「白色情人節」と言うそうです。そしてこの記事で面白かったのは「関連項目」の欄。別れ話を切り出すのに最適な日というのが、5月13日のメイストームデーだそうです。この日は別れを歌った曲を取り上げる予定に。
Destinée 運命
Guy Marchand ギー・マルシャン
Destinée,
On était tous les deux destinés 注1
A voir nos chemins se rencontrer
A s'aimer sans demander pourquoi
Toi et moi
運命なんだ、
僕らは二人とも運命づけられてるんだ
僕たちの道が交わるように
なぜと問うことなく愛し合うように
君と僕は
Destinée,
Inutile de fuir ou de lutter
C'est écrit dans notre destinée
Tu ne pourras pas y échapper
C'est gravé
運命なんだ、
逃げてもあらがっても無駄だ
僕たちの運命に記されているんだ
君は免れることはできないんだ
それは刻まれているんだ

{Refrain :}
L'avenir,
Malgré nous doit toujours devenir 注2
Tous nos désirs d'amour inespérés, imaginés, inavoués
Dans la vie,
Aucun jour n'est pareil tu t'ennuies
Tu attends le soleil impatiemment, éperdument, passionnément.
未来は、
常に僕たちの思いと異なるようになる
僕たちの恋の望みは、予想以上の、想像上の、意識できないものだ
人生では、
どの日だってこんなじゃなくて君はうんざりしている
君は太陽を、じりじりしながら、気も狂うほどに、熱烈に待ちわびている
Destinée,
Depuis longtemps j'avais deviné
Qu'à toi l'amour allait m'enchaîner
Quand je rencontrerai quelque part, ton regard,
運命なんだ、
ずっと前から僕は分かっていた
愛が僕を君に結び付けるだろうって
どこかで、僕が君の視線と出合ったときに、

Destinée,
Où es tu toi qui m’es destinée
Si jamais vous vous reconnaissez
Je voudrais vous entendre crier 注3
M'appeler
運命なんだ、
僕と運命づけられている君はどこにいるんだ?
ひょっとしてあなたが自分がそうなんだと分かったら
叫んでほしい
僕を呼んでほしい
{Refrain}
Destinée,
Encore une fois le cœur déchiré
Je suis un clown démaquillé
Le grand rideau vient de se baisser
Sur l'été 注4
運命なんだ、
また再びこころは張り裂ける
僕は化粧を落としたピエロだ
大きな幕が下りたところだ
夏に
Destinée,
On était tous les deux destinés
A voir nos chemins se rencontrer
A s'aimer sans demander pourquoi
Toi et moi
運命なんだ、
僕らは二人とも運命づけられてるんだ
僕たちの道が交わるように
なぜと問うことなく愛し合うように
君と僕は
{Refrain}
Destinée,
On était tous les deux destinés
A voir nos chemins se rencontrer
A s'aimer sans demander pourquoi
Toi et moi
運命なんだ、
僕らは二人とも運命づけられてるんだ
僕たちの道が交わるように
なぜと問うことなく愛し合うように
君と僕は

Destinée
Inutile de fuir ou de lutter
C'est écrit dans notre destinée
Tu ne pourras pas y échapper
C'est gravé
運命なんだ、
逃げてもあらがっても無駄だ
僕たちの運命に記されているんだ
君は免れることはできないんだ
それは刻まれているんだ
Destinée
Encore une fois le cœur déchiré
Je suis un clown démaquillé
Le grand rideau vient de se baisser
Sur l'été
運命なんだ、
また再びこころは張り裂ける
僕は化粧を落としたピエロだ
大きな幕が下りたところだ
夏に
[注]
1 tous les deux は挿入されており、onがnousの代用なので、受動態の過去分詞はdestinésと複数形になり、3行目と4行目のà…につながる。なお、題名および冒頭のDestinéeは名詞。
2 通常の語順に直すと、L'avenir doit toujours devenir malgré nous
3 vousは不特定な人々への呼びかけとして用いられている。
4 前回のユーグ・オーフレイHugues Aufrayの「また春が来たらDès que le printemps revient」では、春が恋の季節だったが、フランスではもっぱらヴァカンスシーズンの夏が恋の季節。夏の上にカーテンが下りるというのは、すなわち恋の季節に幕が下りるということ。秋が恋の終りだということも、多くの歌のテーマになっている。
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