2014
08.15

ピアノ運搬屋のチャールストンLe charleston des déménageurs de piano

Serge Gainsbourg Le charleston des déménageurs de piano


「ピアノ運搬屋のチャールストンLe charleston des déménageurs de piano」は、セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgの1958年のファーストアルバムDu chant à la une !に収録された曲の一つです。10月13日の《ゲンズブールを歌う》でこの曲を歌う方があって急きょ取り上げることにしたのですが、予想以上に難しくて何日ものあいだ悶えた末、これ以上は無理だと自覚した時点で出すことにいたします。

「チャールストンは、ダンスの一種で、1920年代のアメリカで一世を風靡した。サウスカロライナ州チャールストン市が発祥。リズムに合わせて両膝をつけたまま、足を交互に跳ね上げるのが特徴。」(ウィキペディアより引用)
ピアノの運搬がチャールストンとどう関連するのでしょう?両腕はピアノを支え持ち、足だけがちょこちょこと動く様子が似ているのかなと…。

チャールストン・ダンス



ピアノの運搬



ゲンズブール



Le charleston des déménageurs de piano   ピアノ運搬屋のチャールストン
Serge Gainsbourg                セルジュ・ゲンズブール


C'est nous les déménageurs de pianos,
Des Steinway, des Pleyel et des Gaveau
Du tintement des pourboires économiques,
Nous on connaît la musique, 注1
Pour ce qui est du reste, ça c'est pas nos oignons, 注2
Artistes nous on ne l'est pas pour deux ronds 注3
Quand la musique vous a brisé les reins,  注4
Y'a pas de Charleston qui tient. 注5

  ピアノの運搬屋ってのは俺たちさ、
  スタンウェイ、プレイエルそしてガヴォーのね
  格安チップのチャリンチャリンの、
  音楽を俺たちゃ知ってる
  あとのことは、俺たちの知ったことじゃない
  たった2スーで俺たちは芸術家になんかなりゃしない
  音楽があんたを叩きのめしたとき、
  チャールストンじゃ歯が立たない

5 Charleston Lesson(3)


Pour nous prendre aux tripes, 注6
Faut se lever de bonnes heures, 注7
Dire qu'il y a des types, 注8
Qui sur cet engin de malheur 注9
Arrivent à faire croire à tout les ballots, 注10
Que la vie c'est comme au piano.

  俺たちが腹の底まで感動させられるには、
  朝早く起きることだ、
  この不幸な機械で
  人生ってのはピアノで弾くようなものだって
  馬鹿どもみんなを信じさせる
  やつらがいるんだから。

De l'amour ils en font tout un cinéma,
A les écouter de vrai y'aurait que ça,
Qu'est ce qui resterait pour les déménageurs,
Qu'en ont des tonnes sur le cœur, 注11

  彼らは愛をすべて大袈裟に演出する、
  彼らの演奏を聴くと実際それしかないのさ、
  運搬屋たちに残されてるのは何だ、
  俺たち運搬屋はそれがすごく気になっている。

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Il nous resterait qu'à nous noircir sur le zinc
Mais là encore faut se farcir le bastringue
Il se trouve toujours parmi nous un tocard
Pour y glisser ses pourboires.

  俺たちに残されてるのはカウンターの上で酔っ払うことだけだ
  だがそれにはダンスホールを満席にしなきゃならない
  いつだって俺たちの傍らにはマヌケがいる
  チップをそっと握らせてくれるような。

Pour tous les faire taire,
Y'a vraiment qu'une façon,
Les envoyer faire, un petit tour au charbon 注12
Sur le piano de massacre de la réalité
Ils toucheraient du doigt la purée. 注13

  みんなを黙らせるには、
  やり方は実際ひとつだけ、
  彼らを送り出してやらせるんだ、ひと仕事を、
  現実を打ち砕くピアノの上で
  彼らは指でじかに悲惨さに触れるのさ。

C'est nous les déménageurs de pianos,
Des Steinway, des Pleyel et des Gaveau
Du tintement des pourboires économiques,
Nous on connaît la musique,
Au fond à quoi que ça sert de discuter,
Comme l'a dit l'autre, a chacun son métier,
Tirer sur le pianiste, c'est pas notre boulot,
Nous on tire sur le piano
Nous on tire sur le piano.

  ピアノの運搬屋ってのは俺たちさ、
  スタンウェイ、プレイエルそしてガヴォーの
  格安チップのチャリンチャリンの、
  音楽を俺たちゃ知ってる
  実のところ議論したって何になる、
  他のやつが言うように、それぞれ自分の仕事を持つんだ
  ピアニストを引っ張ること、それは俺らの仕事じゃない
  俺たちゃピアノを引っ張るのさ
  俺たちゃピアノを引っ張るのさ

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[注]
1 nousとonは、同義の語を重ねている。
2 Ce n'est pas (nos)mes oignons.「私(たち)の知ったことではない。」
3 l'estのleはartistes。rondは「スー(sou)、小銭」
4 briser les reins à qn.「…を叩きのめす、…を破滅に追い込む」
5 Il n’y a pas de qc. qui tienne.「…ではとても歯が立たない、…ではダメだ」。本来は接続法を用いる。
6 prendre aux tripes「心の底まで感動させる」。再帰的な形ととらえた。
7 de bonnes heures「朝(夜)早く、早めに」
8 Dire que…!「…というじゃないか、…というんだから」。type「型、タイプ」が本義だが、会話では「男、やつ」の意味でも用いられる。
9 engin「道具、機械」「兵器、ミサイル、戦車」などの意味のほか、「(名前の分からない
奇妙な)もの」という意味でも用いられる。
10 ballot本義は「(商品・衣類の)包み」だが、会話では「ばか、うすのろ」などの意味でも用いられる。
11 avor qc. sur le cœur「…が気にかかる」。des tonnes de+複数名詞「莫大な量の」。
12 un petit tour au charbon はaller au charbon「(臨時に)骨の折れる仕事をする、厄介な役目を果たす」から類推し「ひと踏ん張り、一仕事」といった意味か。
13 puréeは「(野菜などを煮て裏ごしした」ピュレ」の意味のほかに「貧乏、貧乏人」の意味がある。



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