
今回は、カミーユCamilleの「空のおうちLa demeure d'un ciel」です。
カミーユは1978年パリ生まれ。パリ政治学院在学中に作成したテープがアンリ・サルヴァドールHenri Salvadorの目に留まり、2002年にデビュー・アルバム「パリジェンヌと猫とハンドバッグLe Sac des Filles」(直訳すると「女の子たちのバッグ」)を出しました。このアルバムが学校の企業研修の単位として認められて卒業。この曲はそのなかの1曲です。「カミーユのワンダーランド」という邦題がつけられていますが、アルバムの邦題にも増して気に入りませんので無視して直訳に近い題名をつけました。
La demeure d'un ciel 空のおうち
Camille カミーユ
On s'est connu
En bas des marches
Du palais
Tout en bas de l'escalier de glace
Tes pieds dansaient
nus sur la neige
Et tu chantais cet air plein de malice et de grâce
私たちは知り会った
宮殿の
階段の下で
氷の階段の真下で
あなたの足は踊っていた
はだしで雪の上で
そしてあなたは茶目っ気と優美さにあふれるこの歌を歌っていた

Ôte maintenant
Tes souliers
Et chausse à ton pied
Quelques pelotes de nuées 注1
Car ici désormais
Est la demeure d'un ciel 注2
La demeure d'un ciel
今は退けておいて
あなたの靴を
そしてあなたの足に
一玉の雲を履かせて
なぜならこれからはここが
空のおうち
空のおうちだから

On a monté
Toutes les marches
Du palais
Jusqu'en haut de l'escalier de glace
Un ingénu 注3
Nous attendait
Et nous a mariés
Parmi les oiseaux sauvages
私たちは登った
宮殿の
すべての階段を
氷の階段の上まで
ひとりの無垢な人が
私たちを待っていて
私たちを結婚させた
野生の鳥たちのあいだで

Ôte maintenant
Tes souliers
Et chausse à ton pied
Quelques pelotes de nuées
Car ici désormais
Est la demeure d'un ciel
La demeure d'un ciel
今は退けておいて
あなたの靴を
そしてあなたの足に
一玉の雲を履かせて
なぜならこれからはここが
空のおうちだから
[注]
1 peloteは「(糸や毛糸などの)玉」。nuéeは文章に用いられる語で「大きな雲」を表す。刺繍などを表すnuéという語とのイメージ的なつながりも裏にあるようだ。
2 demeure d'un cielはdemeure céleste「天国」と同義ともとれるが、文脈のニュアンスから「空のおうち」とした。
3 ingénuは男性名詞としては「無邪気な人、天真爛漫な人」の意味で、具体的には「神様」あるいは「天使」ということになろう。
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