2015
01.18

フランスへの手紙(哀しみのエトランゼ)Lettre à France

Michel Polnareff Jai tellement


ミッシェル・ポルナレフMichel Polnareffは、「シェリーに口づけTout,tout pour ma chérie」「ノンノン人形La poupée qui fait non」が日本でも大ヒット、大きなサングラスとカールしたロングへアーをトレード・マークとし、お尻を露出したポスターやサングラスと帽子だけを付けたヌード写真を披露するなど、スキャンダラスな行動で世間を騒がせた人物です。
でもその裏に、幼時よりクラシック音楽の教育を受け、コンセルバトワール(パリ音楽院)に通っていたという、音楽的素養をきちんと持っています。その彼の音楽的下地の確かさが、この曲Lettre à Franceにも表れています。ポロポロと弾かれるピアノの旋律の美しさ、独特の前倒しの歌い方がとても印象的です。一般的には「哀しみのエトランゼ」という邦題で呼ばれていますが、それは副題とし、直訳の題名を用いることにしました。エトランゼを、エトランジェと訂正したいところでもありますし。

1973年、税務担当者の横領によって数年間の納税未納が発覚し、彼はアメリカに逃げ延びることになりますが、この曲は、彼方の国から祖国フランスに宛てたラブレターというかたちで作られた曲です。ジャン=ルー・ダバディJean-Loup Dabadieが作詞し、ポルナレフが作曲し1977年に、シングル版でリリースされ、翌78年のアルバム「美しきロマンの復活Coucou me revoilou」に収録されました。ポルナレフが5年ぶりの帰国をした時に作った「言いたいことはこんなにある(天使の遺言)J'ai tellement de choses à dire」と同じアルバムです。この曲は先にご紹介しています。



Lettre à France        フランスへの手紙(哀しみのエトランゼ)
Michel Polnareff        ミッシェル・ポルナレフ


Il était une fois 注1
Toi et moi
N'oublie jamais ça
Toi et moi !

  昔々
  君と僕がいた
  けっしてそれを忘れないで
  君と僕がいたんだ!

Depuis que je suis loin de toi
Je suis comme loin de moi
Et je pense à toi tout bas
Tu es à six heures de moi
Je suis à des années de toi
C'est ça être là-bas 注2

  僕が君から遠く離れてからは
  僕は自分自身からも遠くなったみたいだ
  そして僕は君をひそかに思ってる
  君は僕から6時間の距離に
  僕は君から何年もの距離にいる
  こっちにいるってそういうことさ

Lettre à France3


La différence
C'est ce silence
Parfois au fond de moi

  違いはね
  時おり僕の心の奥におとずれる
  この静けさなんだ

Tu vis toujours au bord de l'eau
Quelquefois dans les journaux
Je te vois sur des photos
Et moi, loin de toi
Je vis dans une boite à musique
Electrique et fantastique
Je vis en chimérique 注3

  君はいつも水のほとりで生きている
  時々は新聞のなかで
  僕は君を写真で見る
  君から遠いところにいる僕は
  ファンタスティックな電気仕掛けの
  オルゴールのなかで生きている
  ぼくは空想のなかに生きている

Lettre à France2


La différence
C'est ce silence
Parfois au fond de moi

  違いはね
  時おり僕の心の奥におとずれる
  この静けさなんだ

Tu n'es pas toujours la plus belle
Et je te reste infidèle
Mais qui peut dire l'avenir
De nos souvenirs ?
Oui, j'ai le mal de toi parfois 注4
Même si je ne le dis pas
L'amour c'est fait de ça

  君は常に一番きれいってわけじゃない
  そして僕は君に不実なままだ
  でも誰が 僕たちの思い出の
  その後のことを言えるだろう?
  そう、僕は時々君が懐かしくなる
  かりに僕がそう言わなくったってね
  愛ってそんなものさ

Lettre à France1


Il était une fois
Toi et moi
N'oublie jamais ça
Toi et moi !

  昔々
  君と僕がいた
  けっしてそれを忘れないで
  君と僕がいたんだ!

Depuis que je suis loin de toi
Je suis comme loin de moi
Et je pense à toi là-bas
Oui, j'ai le mal de toi parfois
Même si je ne le dis pas
Je pense à toi tout bas

  僕が君から遠く離れてからは
  僕は自分自身からも遠くなったみたいだ
  そして僕はかなたの君を思っている
  そう、僕は時々君が懐かしくなる
  かりに僕がそう言わなくったってね
  僕は君をひそかに思っているんだ

[注]
1 Il était une fois…「昔々、あるところに…がいました」といった、おとぎ話の書き出し。
2 là-basは、「向こう」とか「あっち」という意味だが、ここでは自分のいるところを、君から見て「向こう」として示すので、「こっち」と訳した。後半で、君がいるところを指す部分では「かなた」と訳した。
3 avoir le mal de qqn は、être en mal de qqnと同義で、誰かの不在を辛く思うという意味。
4 chimériqueは、空想の、架空のという意味の形容詞だがここでは名詞的に用いられ、Amériqueすなわちアメリカ(大陸)をかけている。



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