
リーヌ・ルノーLine Renaudの歌う「昔の歌Ce refrain d'autrefois」は、1972年にリーヌ・ルノー自身が作詞し、彼女の夫のルールー・ガステLoulou Gastéが作曲した曲で、日本語でよく歌われています。リーヌの歌の動画はありましたが、フランス語の歌詞が見つからず、歌を聴きながらかなり苦労して歌詞を再現してみました。
屋根裏で誰かが書いた古い歌の譜面を見つけた…という内容ですが、母親か誰かここに以前住んでいた人が昔、恋人から贈られたものなのか…。本人が昔、恋人から贈られたのを、このように表現しているということもあり得るでしょう。
リーヌ・ルノーの動画は、2種類ご紹介いたします。
Ce refrain d'autrefois 昔の歌
Line Renaud リーヌ・ルノー
J’ai retrouvé dans un grenier
Parmi quelques objets fanés
Ce refrain d'autrefois
わたしは屋根裏で見つけた
いくつかの色あせた物のあいだに
この昔の歌を
Il gisait là sur le plancher 注1
Près d’un bouquet de fleures sèchées
Ce refrain d'autrefois
それは床の上に落ちていた
乾いた花束のかたわらに
この昔の歌は

En vague ce papier jauni
Un inconu avait écrit
A toi, à toi pour la vie
Et la mélodie en était si joli
Les mots plein de poèsie
はっきりしないけど この黄ばんだ紙は
誰か知らない人が書いたもの
あなたのために、一生あなたのためにと
そしてそのメロディーはとても美しく
歌詞は詩に満ちていた
Depuis ce jour-là dans ma tête
Tous ces notes désuettes 注2
Chantent en moi ce refrain d'autrefois
Sur mon piano je l'ai posé
Un musicien me l’a joué 注3
Ce refrain d'autrefois
その日から私の脳裏で
これらの古めかしい音符が
この昔の歌を歌う
私はピアノにこの歌を置いた
ひとりのミュージシャンが私に演奏してくれた
この昔の歌を

Les yeux fermés j’imaginais
Les violons et des cœurs chantaient
Ce refrain d'autrefois
目を閉じて私は想像した
ヴァイオリンと二つの心が
この昔の歌を歌っていた
mmmm
A toi, à toi pour la vie
Cette mélodie si simple et si jolie
Racontait une autre vie
Où les amants prenaient le temps
De se dire ‘je t’aime’ simplement
En chantant ce refrain d'autrefois
ムムムム
あなたのために、一生あなたのためにと
そしてとても素朴でとても美しいそのメロディーは
ある別の人生を物語っていた
そこでは恋人たちはただ愛をささやき合うだけの
時を過ごしていた
この昔の歌を歌いながら

…
Ce refrain d'autrefois
…
この昔の歌
…
Ce refrain d'autrefois
…
この昔の歌
mmmm
A toi, à toi pour la vie
Quand dans son écrin j’ai rangé ce refrain 注4
Des notes se sont envolés
Depuis la pluie sur mes volets fredonne toute la journée avec moi
Ce refrain d'autrefois
Ce refrain d'autrefois
ムムムム
あなたのため、一生あなたのためにと捧げた歌
私が宝石箱にこの歌をしまうと
音符たちは舞い散った
以来、部屋の雨戸を叩く雨音が私といっしょにひねもす口ずさむ
この昔の歌を
この昔の歌を
[注]
1 gisait:文章用語のgésir「横たわる、落ちている」の3人称単数半過去
2 désuet(te)「すたれた、古くさい」
3 ピアノにce refrain つまり譜面を置いた。ひとりのミュージシャンが演奏したというのは、心のなかで描いているのか、あるいは本人がピアノで弾いたということだろう。
4 sonはce refrainのために用意したという意味合いだろう。いただいたコメントに示唆され、オルゴール付きの宝石箱を想定すると理解しやすくなった。
Comment:4
コメント
最後のson écrinのsonについての私の解釈は注4に書きました。
コメントをいただき、この宝石箱はオルゴール付きの宝石箱を想定しているのかと気づき、「音符が舞い散る」と訳語を訂正しました。
注3に書いた部分、ピアノに譜面を置いたら、ひとりのミュージシャンが私に演奏してくれたということともつながるので。
コメントをいただき、この宝石箱はオルゴール付きの宝石箱を想定しているのかと気づき、「音符が舞い散る」と訳語を訂正しました。
注3に書いた部分、ピアノに譜面を置いたら、ひとりのミュージシャンが私に演奏してくれたということともつながるので。
朝倉ノニー
2019.05.18 07:24 | 編集

最後のson écrinのsonは何を指すのか。以下、試訳。
あなたのもの、生涯あなたのものよ、
わたしが彼の宝石箱にこの歌をしまうと
音符が飛び散って
それ以来、雨が雨戸を叩いて一日中わたしと一緒に歌うの
あの昔の歌を
あの昔の歌を
あなたのもの、生涯あなたのものよ、
わたしが彼の宝石箱にこの歌をしまうと
音符が飛び散って
それ以来、雨が雨戸を叩いて一日中わたしと一緒に歌うの
あの昔の歌を
あの昔の歌を
藤井康生
2019.05.18 06:19 | 編集

コメントありがとうございました。お役に立ててうれしいです。どうぞ引用してお使いください。
朝倉ノニー
2016.01.11 07:47 | 編集

歌好きの74才男性です。「昔の歌」はとても好きな歌で、カラオケ店では金子由香利に合わせたものをよく歌います。それを聴いたある女性が自分も覚えたいというのでCDを贈ることにしたのですが、私はこんな時には曲の解説を添付することがしばしばあります。今回もこの曲のルーツを調べるためにネットで検索したら、貴方様のすばらしいブログが見つかり、拝見して感激しました。
歌の中に「敗れた窓に打つ雨がまだ歌ってる・・・」という部分があって、この情景がどうもしっくりしない思いがこれまであったのですが、今回その背景が理解できてとてもすっきりしました。記事から引用してフランス語訳も全部添付することにしますので、きっと彼女もこの曲に愛着を感じるようになると思います。ありがとうございました。
歌の中に「敗れた窓に打つ雨がまだ歌ってる・・・」という部分があって、この情景がどうもしっくりしない思いがこれまであったのですが、今回その背景が理解できてとてもすっきりしました。記事から引用してフランス語訳も全部添付することにしますので、きっと彼女もこの曲に愛着を感じるようになると思います。ありがとうございました。
星野嘉邦
2016.01.11 05:26 | 編集
