
2005年にサントリーのチューハイの、そして2008年にソフトバンクモバイルのCMソングに使われた曲ってご存知でしょうか?それは、1980年にイギリスのフロリー・パーマーFlorrie Palmerが作りスコットランド出身のシーナ・イーストンSheena Eastonが歌った「モーニング・トレイン(9時から5時まで)Morning Train (Nine To Five)」です。歌詞の内容は、どうってことありません。夫が9時の列車に乗って仕事に行き、5時に家に帰って来るという、平凡だけど幸せな生活を描いたものです。
この曲を、翌81年にミッシェル・マロリーMichel Malloryがフランス語に翻案してシルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanが歌ったのがこちら。
L'amour c'est comme une cigaretteという曲名を直訳すると「恋はタバコみたい」ですが、「恋はジタンのかおり」という邦題で知られています。これはなかなかインパクトがあっていいと思います。ただし、この「ジタン」というタバコの銘柄名は、「ジタンヌ」とされるべきです。でもこれは、日本専売公社、じゃなかった、日本たばこ産業株式会社の責任でしょうね。
この曲を持ち出したのは、けっして喫煙を勧めるためではありません。私は正直に言って昔は喫煙しておりましたが、大事な人を喫煙が原因で亡くし、今は喫煙に大反対の立場です。タバコは絶対に身体に悪いです。けれどあえてこの曲を取り上がるのは、歌詞の出来が大変よくて、あの平凡な内容がこんなにみごとに変身したことは評価すべきだと思うからです。また、「嗅ぎたばこ」は王権の象徴、「パイプたばこ」は革命の象徴。ナポレオンのシンボルは「葉巻」といったように、フランスの歴史とタバコは密接な関係を持っていますし、それに、「ジタン」などのフランスタバコの愛好者は、フランス文化の担い手たちでしたから、かれらに敬意を表してこの曲を取り上げましょう。
来年2月21日のプティコンセール《アダモ&ヴァルタンを歌う》で、私はこれを歌います。練習していて吸いたくならないかちょっと心配。
L'amour c'est comme une cigarette 恋はジタンのかおり
Sylvie Vartan シルヴィー・ヴァルタン
Quand tu es dans la lune 注1
Les idées en panne
Je me voudrais brune
Comme une gitane 注2
Me glisser entre tes doigts
Et puis me brûler
Me consumer pour toi
N'être que fumée
Quand tu es dans ce monde
Où tes rêves t'entraînent
Je me voudrais blonde
Comme une américaine
Être douce et sage ou sucrée
T'emmener sur mon nuage de fumée
あなたがうわの空で
頭が働かない時
赤毛になるわ
ジプシー女みたいに
私をあなたの指のあいだに滑り込ませ
私を燃やし
私をあなたのために焼き尽くすの
煙になるだけ
夢があなたを駆り立てるこの世に
あなたがいるあいだ
金髪になるわ
アメリカ女のように
おとなしくてお利口で優しくしているわ
あなたを私の煙の雲の上に連れてったげる

L'amour c'est comme une cigarette
Ça brûle et ça monte à la tête
Quand on ne peut plus s'en passer 注3
Tout ça s'envole en fumée.
L'amour c'est comme une cigarette
Ça flambe comme une allumette
Ça pique les yeux ça fait pleurer
Et ça s'envole en fumée.
恋はタバコみたいなもの
燃えて頭に昇っていく
なしで済ませられなくなった時には
煙になって消えていく
恋はタバコみたいなもの
マッチのように燃え
目を刺激して泣かせ
そして煙になって消えていく
Je peux être française
En robe bleue 注4
Anglaise,
Si tu le veux
Ou être à la menthe
En bague dorée
Ne crois-pas que je mente
Tout n'est que fumée
フランス女になれるわ
青いドレスを着て
イギリス女に、
お望みならね
あるいはメンソール入りに
金色のバンド付きに
私がウソをつくと思わないで
ぜんぶ煙でしかないんだから

L'amour c'est comme une cigarette
Ça flambe comme une allumette
Ça pique les yeux ça fait pleurer
Et ça s'envole en fumée
恋はタバコみたいなもの
マッチのように燃え
目を刺激して泣かせ
そして煙になって消えていく
On fait tout un tabac
Quand l'amour s'en vient ou s'en va
On est les cigarettes
Qu'il roule quand il a envie
Et je deviens fumée
Pour t'intoxiquer
De moi
Blonde ou brune
Brune ou blonde
Je le serai pour toi
人はみなタバコを吸う
恋が訪れた時も 去った時も
私は
彼が気が向くと巻くタバコよ
そして私は煙になるわ
あなたを私に
病み付きにさせるために
金髪か赤毛に
赤毛か金髪に
あなたのために私はなるの

L'amour c'est comme une cigarette
Ça brûle et ça monte à la tête
Quand on ne peut plus s'en passer
Tout ça s'envole en fumée
L'amour c'est comme une cigarette
Ça flambe comme une allumette
Ça pique les yeux ça fait pleurer
Et ça s'envole en fumée.
恋はタバコみたいなもの
燃えて頭に昇っていく
それなしで済ませられなくなった時には
煙になって消えていく
恋はタバコみたいなもの
マッチのように燃え
目を刺激して泣かせ
そして煙になって消えていく
L'amour c'est comme une cigarette
Ça flambe comme une allumette
Ça pique les yeux ça fait pleurer
Et ça s'envole en fumée.
恋はタバコみたいなもの
マッチのように燃え
目を刺激して泣かせ
そして煙になって消えていく
[注]
1 être dans la lune「うわの空である」

3 s'en passer「なしで済ませる」

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