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2014
12.26

酔いしれてJ’ai bu

Georges Ulmer Pigalle


忘年会シーズンなので、、、今回はジョルジュ・ユルメールGeorges Ulmerの「酔いしれてJ’ai bu」を。この曲の歌詞は、無名時代のシャルル・アズナヴールCharles Aznavourが「ロッシュとアズナヴールRoche et Aznavour」というデュオで共に歌っていたピアニストのピエール・ロッシュPierre Rocheが作曲しました。アズナヴールもこの曲を歌っています。1945年に出たユルメールのレコードは1947年のACCディスク大賞を受賞しました。

シンガー・ソングライターで俳優でもあったユルメールは、1919年にデンマークのコペンハーゲンで生まれ、スペインで育ちました。映画の制作や出演に携わっていましたが、1938年にフランスに移り、第2次大戦中に楽団に入りギターを演奏するようになりました。1942年に南仏のニースで歌手としてデヴュー。そして1944年に「ピギャールPigalle」を発表して、これがたいへんなセンセーションを引き起こします。ちょうど新宿の歌舞伎町のような界隈の情景を歌った歌詞で、当初はラジオ放送を禁じられたりしました。しかし人気は高まっていき、その後も、多くの歌手に歌われました。

ユルメールはその後、1950年代までは人気を保っていましたが、イヴ・モンタンの人気に押されて次第に影が薄くなっていき、1981年に故郷のコペンハーゲンでさよなら公演をおこない、89年に亡くなりました。



シャルル・アズナヴール



J’ai bu      酔いしれて
Georges Ulmer  ジョルジュ・ユルメール


J’ai bu
J’ai joué et j’ai tout mis sur le tapis
A la roulette de la vie
T’as tout gagné moi j’ai perdu
Alors j’ai bu

  僕は呑んだ
  僕は賭け、掛金をぜんぶ置いた
  人生のルーレットの台に
  君は全勝し僕は負けちまった
  そこで僕は呑んだ

J’ai bu1


J’ai bu
J’ai dit les mots qui passaient dans mon âme
Mais toi dans ta p’tite tête de femme
T’as pas compris qu’j’étais perdu
J’ai bu

  僕は呑んだ
  僕は自分の心の奥から出てきた言葉を言った
  だが君はね 女のちっちゃな頭で
  君は僕が負けたことを分かろうとしなかった
  僕は呑んだ

Et fou
J’ai senti malgré ma tristesse
Dans la chaleur de mon ivresse
Que tu mentais

  そしていかれちまった
  僕は悲しい気持ちにもかかわらず
  酔いのせいで熱くなって
  君が嘘をついていると感じたんだ

J’ai bu
Pourtant je t’aimais d’un amour sincère
Mais un jour malgré mes prières
Tu m’as quitté, n’en parlons plus
Alors j’ai bu

  僕は呑んだ
  けれど心からの愛情で君を愛していたんだ
  でもある日僕の祈りにもかかわらず
  君は僕を捨てた、その話はやめよう
  そこで僕は呑んだ

Fine, whisky, gin 注1
Tous les alcools me sont permis
Ce qui m’chagrine
Si des barmen je suis l’ami
Des réverbères je suis l’enn’mi

  ブランデー、ウイスキー、ジン
  どんなアルコールでもOK
  悲しいことに
  バーテンには僕は友だちだが
  街灯には僕は敵だ

J’ai bu2


Sur le palier
Le trou d’serrure joue à cache-cache 注2
Avec ma clef
Ma maison a une drôle de mine
Tous les objets font philippine 注3

  踊り場で
  鍵穴はかくれんぼごっこをやっている
  僕の鍵と
  僕の家は様子が変だ
  物がぜんぶフィリピーヌ遊びをやっている

J’ai bu
J’ai joué et j’ai tout mis sur le tapis
A la roulette de la vie
T’as tout gagné moi j’ai perdu
Alors j’ai bu

  僕は呑んだ
  僕は賭け、掛金をぜんぶ置いた
  人生のルーレットの台に
  君は全勝し僕は負けちまった
  そこで僕は呑んだ

J’ai bu
J’ai dit les mots qui passaient dans mon âme
Mais toi dans ta p’tite tête de femme
T’as pas compris qu’j’étais perdu
J’ai bu

  僕は呑んだ
  けれど心からの愛情で君を愛していたんだ
  でもある日僕の祈りにもかかわらず
  君は僕を捨てた、その話はやめよう
  そこで僕は呑んだ

Et saoul 注4
J’ai vite oublié tes caresses
Je m’plais bien mieux dans mon ivresse
Et loin de toi

  そして酔っぱらった
  僕は君の愛撫をとっくに忘れた
  僕は酔っぱらってるほうが
  そして君から離れているほうがずっといいんだ

Je bois
Le trottoir n’est plus assez grand pour moi
En titubant, j’crie à pleine voix
Les flics sont des p’tits potes à moi
Oulàlàlàlà, j’ai bu

  僕は呑む
  舗道は僕には十分な広さじゃない
  千鳥足で、僕は声をかぎりに叫ぶ
  おまわりさんは僕にはだいじな友達さ
  オーララララ、僕は呑んだ

J’ai bu3


J’ai bu
La radio joue un Ave Maria
Elle est marrante cette chanson-là
Les paroles sont en auvergnat 注5
J’ai bu

  僕は呑んだ
  ラジオからアヴェ・マリアが聞こえる
  この歌は滑稽だね
  言葉がオーヴェルニュ方言だ
  僕は呑んだ

Je bois
Je suis heureux et ce qui fait ma joie
Je n’penserai plus jamais à toi
Tralalala
Et c’est pour ça
Que j’bois

  僕は呑む
  僕はしあわせだし飲むと楽しくなる
  もう君のことなんか絶対に考えない
  トララララ
  そのためさ
  僕が呑むのは

[注]
1 fine (champagne)=Eau-de-vie「ブランデー」
2 ouer à cache-cache「隠れん坊をする、(互いに)行き違いになる」
3 philippine「フィリピーヌ遊び」とは、アーモンドに核がふたつあるとき、核をふたりで分け合い、次に会ったとき、先に「ボンジュール・フィリピーヌ」と言ったほうが贈り物をもらうというゲームとのこと。ここでは、酔いのせいで、家じゅうのものが勝手に動いているように思えることを言っている。
4 saoul=soûl話し言葉で「酔った」の意味。
5 auvergnat「オーヴェルニュ方言」は、ロワール川以南で話されていたオック語langue d’ocのひとつ。ここでは、酔っぱらっているせいか、変に聞こえて聞きとりにくいことを言っている。




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