2014
12.18

私の兵隊さんMon légionnaire

Marie Dubas Mon légionnaire


「私の兵隊さんMon légionnaire」(作詞:レイモン・アッソRaymond Asso、作曲:マルグリット・モノーMarguerite Monnot)は、1936年にマリー・デュバMarie Dubasが創唱し、エディット・ピアフÉdith Piafも自分のレパートリーとしました。

マリー・デュバ




エディット・ピアフ



その後、セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgがファンク調にアレンジして歌いました。女性の立場のままの歌詞で歌うことでホモセクシュアルなイメージをあえて出しているようです。1987年のアルバム:You're Under Arrestに収録。



légionnaireとは外人部隊の兵士のこと。娼婦が一夜をともにした外人部隊の兵士への思いを語る、悲しい歌です。外人部隊すなわち「フランス外国人部隊Légion étrangère」とは、フランス陸軍所属の外国人の志願兵で構成される正規部隊で、1831年に創設されて以来現代まで一貫して存続し、設立初期からアルジェリアでの活動が中心となっていました。1930年のアメリカ映画「モロッコMorocco」(ジョセフ・フォン・スタンバーグJosef von Sternberg 監督)ではゲイリー・クーパーGary Cooperが外人部隊の兵士を、マレーネ・ディートリヒMarlene Dietrichがその恋人を演じ、この映画は当時の外人部隊の姿を忠実に伝えていると賞賛されています。

日本の歌謡曲ですが、エト邦枝の「カスバの女」(1955年)は酒場の女の歌で、その歌詞は「外人部隊の白い服」というフレーズで終わります(→ちあきなおみの歌唱)。これはジャン・ギャバンJean Gabin主演のフランス映画「望郷Pépé le Moko」(ジュリアン・デュヴィヴィエJulien Duvivier監督)を下敷きにして大高ひさをが作詞したそうです。この映画は当時のフランス領アルジェリアの中心都市アルジェの無法地帯であるカスバにたむろする流れ者や犯罪者を描いたもので、Mon légionnaireの作られた1936年に撮影されました。

1998年に製作されたアメリカ映画「レジョネア 戦場の狼たちLegionnaire」(ピーター・マクドナルドPeter MacDonald監督)は、プロボクサーが、マフィアの追及を逃れるために外人部隊に入隊する話で、この映画で、ドイツの女優ウテ・レンパーUte LemperがMon légionnaireを歌っています。
映画「モロッコMorocco」のシーンを用いた動画です。



Mon légionnaire             私の兵隊さん
Marie Dubas              マリー・デュバ


Il avait de grands yeux très clairs
Où parfois passaient des éclairs
Comme au ciel passent des orages.
Il était plein de tatouages
Que j' ai jamais très bien compris.
Son cou portait : "Pas vu, pas pris."
Sur son cœur on lisait : "Personne"
Sur son bras droit un mot : "Raisonne".

  彼はとても澄んだ大きい目をしていた
  その目には時々、光が走った
  空に稲妻が走るみたいに。
  彼はいっぱい刺青をしていて
  私にはその意味があまりよく分からなかった。
  首には「見つからねば捕われぬ。」
  胸には「誰もいない」と読めた。
  右の腕には「考えろ」の一言。

Mon légionnaire2


{Refrain:}
J' sais pas son nom, je n' sais rien d' lui.
Il m' a aimée toute la nuit,
Mon légionnaire!
Et me laissant à mon destin,
Il est parti dans le matin
Plein de lumière!
Il était minc', il était beau,
Il sentait bon le sable chaud,
Mon légionnaire!
Y avait du soleil sur son front
Qui mettait dans ses cheveux blonds
De la lumière!

  名前も知らず、彼のことは何も知らない。
  私を一晩中愛したわ、
  私の兵隊さんは!
  そして私を私の運命にあずけ、朝のうちに
  陽の光あふれるなかを出て行ったわ!
  彼は痩せていて、美しくて、
  熱い砂のようないい匂いがした、
  私の兵隊さんは!
  彼の額の上に輝く太陽が
  金色の髪に
  光を投げかけていた!

Mon légionnaire1


Bonheur perdu, bonheur enfui,
Toujours je pense à cette nuit
Et l' envie de sa peau me ronge.
Parfois je pleure et puis je songe
Que lorsqu' il était sur mon cœur,
J' aurais dû crier mon bonheur...
Mais je n' ai rien osé lui dire.
J' avais peur de le voir sourire!

  失われたしあわせ、消えたしあわせ、
  いつも私はこの夜のことを思いだす
  彼の肌を求める気持ちが私を蝕む。
  時々、私は泣きそして思う
  彼が私の胸にいたとき、
  しあわせだと叫ぶべきだったと…
  でも私は何も彼に言えなかった。
  彼に笑われるのを恐れていたから!

{Refrain}

On l' a trouvé dans le désert.
Il avait ses beaux yeux ouverts.
Dans le ciel, passaient des nuages.
Il a montré ses tatouages
En souriant et il a dit,
Montrant son cou : "Pas vu, pas pris"
Montrant son cœur : "Ici, personne."
Il ne savait pas...Je lui pardonne.

  彼は砂漠で見つかった。
  美しい目を開いたままだった。
  空には、雲が流れていた。
  彼は刺青を見せたわ
  微笑を浮かべつつ、そして彼は言ったのよ、
  首を見せて「見つからねば捕われぬ。」
  胸を見せて「ここには誰もいない。」
  彼は知らなかったのよ…私は彼を許すわ。

Mon légionnaire4


J' rêvais pourtant que le destin
Me ramèn'rait un beau matin
Mon légionnaire,
Qu'on s' en irait seuls tous les deux
Dans quelque pays merveilleux
Plein de lumière!
Il était minc', il était beau,
On l' a mis sous le sable chaud
Mon légionnaire!
Y avait du soleil sur son front
Qui mettait dans ses cheveux blonds
De la lumière!

  でも私は夢見ていた、運命が
  ある朝、私のところに連れてきてくれると
  私の兵隊さんを!
  私たちは二人だけで行くんだと
  光あふれる
  どこかのすばらしい国に!
  彼は熱い砂の下に埋められた
  私の兵隊さんは!
  彼の額の上に輝く太陽が
  金色の髪に
  光を投げかけていた!

[注] Pas vu, pas pris.「悪いことをしても、人に見られなければ捕えられない。」


コメント
セルジュ・ゲンズブールのはかっこよすぎですね
この曲購入しました
チューザルdot 2015.01.02 21:53 | 編集
ノニーさんこんにちは。
シャンソンにうたわれる、娼婦と兵士、娼婦と水夫は、ファンタジーと思う
ことにしていますが、この、ノニーさんの訳詞を読んでいると、涙があふれます。8年あまり前、北川フラム氏の訳詞でこの曲に出会いました。最近、改めて、この曲と向かい合っています。なぜ歌うのかと、自問しながら。
よぶすま草dot 2016.10.09 11:11 | 編集
私も、この曲の歌詞を思うと泣きたくなります。自分では歌いませんが…。よぶすま草さん、いつか聴かせていただきたいです。
朝倉ノニーdot 2016.10.09 14:56 | 編集
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