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2021
12.25

カテドラルの時代Le temps des ⅽathédrales

Notre-Dame de Paris


「ノートルダム・ド・パリNotre-Dame de Paris」は、ヴィクトル・ユーゴーVictor-Marie Hugoの同名の小説(1831年出版。「ノートルダムのせむし男」の邦題でも知られる。→ウィキペディア) を基にしたミュージカル。台本・作詞:リュック・プラモンドンLuc Plamondon、作曲:リッカルド・コッチャンテRichard Cocciante。1998年にパレ・デ・コングレ・ド・パリPalais des congrès de Parisでの初演以来、毎年世界のさまざまな国で公演を続けています。
このミュージカルには素晴らしい曲が多々ありますが、最初にご紹介するのは、詩人で戯曲家のピエール・グランゴワールPierre Gringoire(実在人物)役が冒頭で歌う「カテドラルの時代Le temps des ⅽathédrales」です。この物語の舞台であるカテドラルすなわちノートルダム大聖堂Cathédrale Notre-Dame de Parisは、パリのシテ島l'île de la Citéにあるゴシック建築を代表する建物。1163年に司教モーリス・ド・シュリーMaurice de Sullyによって着工され、最終的な竣工は1345年。
ユーゴーの年代設定でもこの歌詞でもこの物語は1482年のこととされていますが、特に大きな出来事があった年ではなく、ホイジンガJohan Huizingaが「中世の秋Automne du Moyen Âge」(1919)と表現した中世末期に当たり、14世紀にイタリアで生まれたルネサンス運動Renaissanceがフランスに波及する少し前、百年戦争が終わり、ペストの流行も収まり、教会の権力が衰退し王権が増大し、パリを始めとして都市化が進んだ時代です。

ブルーノ・ペルティエBruno Pelletierは初演から2000年まで演じました。



リシャール・シャレストRichard Charestは2016年以来演じています。



1998年公演の全編をYouTubeで見られます。

Le temps des ⅽathédrales  カテドラルの時代

C’est une histoire qui a pour lieu
Paris la belle en l’an de Dieu
Mil quatre cent quatre-vingt-deux
Histoire d’amour et de désir

 これは至上の年
 1482年の
 うるわしきパリを舞台とする物語
 愛のそして欲望の物語だ

Notre-Dame de Paris1998


Nous les artistes anonymes
De la sculpture ou de la rime
Tenterons de vous la transcrire
Pour les siècles à venir

 彫刻や詩にたずさわる
 われら無名の芸術家は
 来たるべき世紀に向けて
 君たちに史実を伝えんと試みる

Il est venu le temps des cathédrales
Le monde est entré
Dans un nouveau millénaire
L’homme a voulu monter vers les étoiles
Écrire son histoire
Dans le verre ou dans la pierre

 カテドラルの時代がおとずれた
 世界は
 新たな千年に入った
 ひとは星々に向かって登りつめんと
 ガラスの中にあるいは石の中に
 みずからの歴史を刻まんと欲した

Notre-Dame11.jpg


Pierre après pierre, jour après jour
De siècle en siècle avec amour
Il a vu s’élever les tours
Qu’il avait bâties de ses mains

 石に石を重ね、日に日を重ね
 世紀から世紀へと愛を込めて
 みずからの手で築かれた塔たちが
 高く聳え立つのをひとは見た

Les poètes et les troubadours
Ont chanté des chansons d’amour
Qui promettaient au genre humain
De meilleurs lendemains

 詩人たちと吟遊詩人たちは
 愛の歌を歌い
 人類に約束した
 より良き未来を

Notre-Dame2.jpg


Il est venu le temps des cathédrales
Le monde est entré
Dans un nouveau millénaire
L’homme a voulu monter vers les étoiles
Écrire son histoire
Dans le verre ou dans la pierre (×2)

 カテドラルの時代がおとずれた
 世界は
 新たな千年に入った
 ひとは星々に向かって登りつめんと
 ガラスの中にあるいは石の中に
 みずからの歴史を刻まんと欲した

Il est foutu le temps des cathédrales
La foule des barbares
Est aux portes de la ville
Laissez entrer ces païens, ces vandales 注1
La fin de ce monde 注2
Est prévue pour l’an deux mille
Est prévue pour l’an deux mille

 カテドラルの時代は潰え去った
 粗野な人々の群は
 街の門に群がり
 この異教徒らやこの破壊者らも入れろと
 この世の終わりは
 2000年と予知された
 2000年と予知された

Notre-Dame de Paris1998


[注]
1 vandale「バンダル人」5世紀ごろ民族移動を開始した最も戦闘的なゲルマン人。無知で粗暴な破壊者の代名詞とされる。
2 フランスのルネサンス期の医師・占星術師ノストラダムスMichel Nostradamus(1503年-1566年)は「1999年7月、空から降ってくる恐怖の大王によって、世界は滅亡する。」と予言した。歌詞ではその予言を踏まえつつ押韻のため2000年l’an deux milleとされている。その名前は本名であるMichel de Nostredameをラテン語風に綴ったものだが、ノートルダム大聖堂Notre-Dameの名に合わせる意図も伺える。
ちなみにノストラダムスは2019年4月の「ノートルダム大聖堂火災」も予言したとされる。「フランスやスペインのキリスト教の象徴は、浄化の火で燃えるだろう。聖母は、私たち全員のために泣き、遠くに輝く。春の到来とともに、いつでも教会は罪人のために燃えるようになる。」と。


Notre-Dame4.jpg





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