
今回はニノ・フェレールNino Ferrerの 「マドゥレイラ通りLa rua Madureira」というポルトガル語のタイトルの悲しいラブストーリーです。マドゥレイラはブラジルのリオデジャネイロのカーニバルが開催される街の1つで、貧しい地域。 つまり街の名前ですから「マドゥレイラの通り」ということでしょう。マドゥレイラに住む彼女とどこかほかの国から来た彼。彼女が乗ったカラベル機が墜落し、恋人たちは永遠に別れることになります。カラベル機とは、フランスのシュド・エスト社が開発製造した西側諸国初の短中距離路線向けジェット旅客機で、正式名称はシュド・カラベル(SE 210 Caravelle)で、帆船の一形式であるキャラベル船に由来します。近距離の街に帰る彼女が搭乗するわけですから、国内線として運行されていたのでしょうか。関連した飛行機事故がその時代にあったかなと調べましたら、1968年にカラベル機:エールフランス1611便が地中海上空で火災事故を起こし墜落し、乗客全員が亡くなっています。この曲は、その事故の翌年1969年のアルバム:Agataに収録されていますので、その事故がヒントになったのかもしれません。
ステイシー・ケントStacey KentはクリックしてYouTubeでご覧ください。2017年のアルバム:I know I dreamに収録。
バンジャマン・ビオレBenjamin Biolay&メルヴィル・プポーMelvil Poupaud。2018年のアルバム:Songbookに収録。
La rua Madureira マドゥレイラ通り
Nino Ferrer ニノ・フェレール
Non, je n’oublierai jamais la baie de Rio
La couleur du ciel le long du Corcovado
La rua Madureira, la rue que tu habitais
Je n’oublierai pas pourtant je n’y suis jamais allé
いや、僕はけっして忘れはしない、リオの湾を
コルコヴァードの丘に沿った空の色を
マデュレイラ通り、君が住んでいた通りを
僕は忘れない、だがそこへ行ったことはない

Non, je n’oublierai jamais ce jour de juillet
Où je t’ai connue, où nous avons du nous séparer
Pour si peu de temps, et nous avons marché sous la pluie
Je parlais d’amour, et toi tu parlais de ton pays.
いや、僕はけっして忘れはしない、 7月のあの日を
その日は君と知り合った日、別れなければならなかった日だ
ほんのしばしの時間、僕たちは雨のなかを歩いた
僕は愛を語り、君は自分の国を語った
Non, je n’oublierai pas la douceur de ton corps
Dans le taxi qui nous conduisait à l’aéroport
Tu t’es retournée pour me sourire avant de monter
Dans un Caravelle qui n’est jamais arrivée 注1
いや、僕はけっして忘れはしない、君の体の甘美さを
僕たちを空港へと運ぶタクシーのなかでの
君はカラベル機に乗り込む前に僕に微笑もうと振り向いた
そのカラベル機はけっして到着することはなかった

Non, je n’oublierai jamais ce jour où j’ai lu
Ton nom mal écrit parmi tant d’autres noms inconnus 注2
Sur la première page d’un journal brésilien
J’essayais de lire et je n’y comprenais rien
いや、僕はけっして忘れはしない、君の名前を見つけたあの日を
それはブラジルの新聞の第1面に
多くの見知らぬ名前のあいだに無念ながら記されていた
僕は読もうとしたが何も理解できなかった
Non, je n’oublierai jamais la baie de Rio
La couleur du ciel le long du Corcovado
La rua Madureira, la rue que tu habitais
Je n’oublierai pas pourtant je n’y suis jamais allé
いや、僕はけっして忘れはしない、リオ湾を
コルコヴァードの丘に沿った空の色を
マデュレイラ通り、君が住んでいた通りを
僕は忘れない、だがそこへ行ったことはない

Non, je n’oublierai pas la douceur de ton corps
Dans le taxi qui nous conduisait à l’aéroport
Tu t’es retournée pour me sourire avant de monter
Dans un Caravelle qui n’est jamais arrivée
いや、僕はけっして忘れはしない、君の体の甘美さを
僕たちを空港へと運ぶタクシーのなかでの
君はカラベル機に乗り込む前に僕に微笑もうと振り向いた
けっして到着することのないカラベル機に
Non, je n’oublierai jamais la baie de Rio
La couleur du ciel le long du Corcovado
La rua Madureira, la rue que tu habitais
Je n’oublierai pas pourtant je n’y suis jamais allé
いや、僕はけっして忘れはしない、リオ湾を
コルコヴァードの丘に沿った空の色を
マデュレイラ通り、君が住んでいた通りを
僕は忘れない、だがそこへ行ったことはない
[注]
1 la baie de Rio「リオの湾」とはBaía de Guanabara「グァナバーラ湾」のこと。
2 Corcovado「コルコバードの丘」はリオデジャネイロにある標高710メートルの丘で、世界遺産「リオデジャネイロ:山と海との間のカリオカの景観群」(2012年登録)に含まれる。そこに、巨大なキリスト像Cristo Redentor「クリスト・ヘデントール」が1922年のブラジル独立100周年を記念して、1922年から1931年にかけて建設された。
3 qui n’est jamais arrivée「(その飛行機は、そのあと)けっして到着することはなかった」。
2 mal écritは「下手に書かれた」ではなく「書かれていることが残念だ」ということ。

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