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2021
03.29

タンゴの時代Le temps du tango

Encore du Léo Ferré


今回は、レオ・フェレLéo Ferré の「タンゴの時代Le temps du tango」です。訳は結構苦労しました。結果、ご覧のとおり注だらけ。1958年。アルバム:Encore du Léo Ferréに収録。作詞:ジャン=ロジェ・コーシモンJean-Roger Caussimon、作曲:レオ・フェレLéo Ferré 。この二人の作詞・作曲のフェレの曲は、「ムッシュ・ウィリアムMonsieur William」と「相棒Mon camarade」hの2曲をすでにご紹介しています。後者はコーシモンも歌っています。コーシモンの曲は、「花を摘めCueille la fleur」をご紹介済み。



ジャン=ロジェ・コーシモンJean-Roger Caussimonの歌は1970年の彼の最初のアルバム:Jean-Roger Caussimon chante Jean-Roger Caussimonに収録。



Le temps du tango  タンゴの時代
Léo Ferré        レオ・フェレ


Moi je suis du temps du tango 注1
Où même les durs étaient dingos
De cette fleur du guinche exotique
Ils y paumaient leur énergie 注2
Car abuser de la nostalgie
C'est comme l'opium, ça intoxique
Costume clair et chemise blanche 注3
Dans le sous-sol du Mikado 注4
J'en ai passé des beaux dimanches
Des belles venaient en avalanche 注5
Et vous offraient comme un cadeau
Rondeurs du sein et de la hanche
Pour qu'on leur fasse danser le tango!

 僕はタンゴの時代の人間だ
 その時代には硬派でさえ狂っていた
 このエキゾティックなダンスの花に
 彼らはそこで自分たちのエネルギーを消耗した
 郷愁を妄用すること
 それは阿片みたいで、それは中毒を起こすからだ
 透けるコスチュームと白いシャツ
 ミカドの地下で
 僕は楽しい日曜日を過ごした
 美女たちがなだれ込んできて
 君らにプレゼントとして
 胸と腰の丸みを差し出し
 僕らはかの女らにタンゴを踊らせることになる!

Le temps du tango2


Ces mômes-là, faut pas vous tromper 注7
C'était de la belle petite poupée 注8
Mais pas des filles, ni des mondaines 注9
Et dame, quand on a travaillé 注10
Six jours entiers, on peut se payer
D'un cœur léger, une fin de semaine
Si par hasard et sans manières 注11
Le coup de béguin venait bientôt
Elles se donnaient, c'était sincère
Ah! ce que les femmes ont pu me plaire
Et ce que j'ai plu!
J'étais si beau!
Faudrait pouvoir faire marche arrière
Comme on le fait pour danser le tango!

 この子たちは、君らを欺くはずがない
 お嬢さんでも、娼婦でもなく
 きれいでかわいい人形だった
 そうさ、6日間ずっと働いたら
 週の終わりに、軽やかな気持ちを
 自分に奮発できるんだ
 たまたまひょっこり
 浮気心がにわかに起こったときには
 彼女らは自分を差し出したものだ、それは本気だった
 ああ!どんなに女たちは僕に気に入られたことか
 そして僕がもてたことったら!
 僕はとてもかっこよかった!
 うしろ向きに歩かせることができなきゃ
 タンゴを踊るときにするようにさ!

Des tangos, y'en avait des tas
Mais moi je préférais "Violetta" 注12
C'est si joli quand on le chante
Surtout quand la boule de cristal
Balance aux quatre coins du bal
Tout un manège d'étoiles filantes 注13
Alors, c'était plus Valentine 注14
C'était plus Loulou, ni Margot
Dont je serrais la taille fine
C'était la reine de l'Argentine
Et moi j'étais son hidalgo 注15
Oeil de velours et main câline
Ah! ce que j'aimais danser le tango!

 タンゴといったら、たくさんあった
 だが僕はね、「ヴィオレッタ」が好きだった
 それは歌うととても美しい
 特にクリスタルボールが
 まるで流れ星の回転のように
 ホールの四隅で揺れる時
 すると、僕がその柳腰を引き寄せているのは
 もはやヴァランティーヌでも
 ルールーでも、マルゴでもなくて
 アルゼンチンの女王だった
 そして僕はそのナイトだった
 ビロードのまなざしと柔らかい手
 ああ!僕はタンゴを踊るのが大好きだった!

Le temps du tango1


Mais doucement passent les jours
Adieu, la jeunesse et l'amour
Les petites mômes et les "je t'aime"
On laisse la place et c'est normal
Chacun son tour d'aller au bal 注16
Faut pas que ça soit toujours aux mêmes
Le cœur, ça se dit: corazon
En espagnol dans les tangos
Et dans mon cœur, ce mot résonne
Et sur le boulevard, en automne
En passant près du Mikado
Je ne m'arrête plus, mais je fredonne
C'était bath, le temps du tango!

 だがゆっくりと日々は過ぎて行く
 さらば、青春よ恋よ
 かわいい娘たちよ「愛の言葉」の数々よ
 ひとはその場所を離れるがそれは当たり前のこと
 それぞれ順番にダンスホールに向かうが
 それがずっと同じであるはずがない
 心、それはタンゴではスペイン語で
 コラソンという
 そして僕の心のなかに、その言葉が響く
 そして通りでは、秋に
 ミカドのそばを通りながら
 僕はもう足を止めない、だが口ずさむのさ
 ステキだったよ、タンゴの時代は! 注16

[注]
1 être de...「…の出身である、…に所属する」
2 paumer本義は「捕まえる」だが話し言葉で「失う」。
3 タンゴを踊る際、女性はcostume clair 「透ける衣装」で、男性はchemise blanche「白いシャツ」が典型。
4 Mikado=Le Mikado Club Paris「ミカドクラブパリ」は、80年以上にわたってパリのナイトライフに欠かせない場所であり、ポルトガル人の間で最も有名なポルトガルのディスコの1つでピガールの中心部にあった。2019年5月17・18に閉店。→この記事により、この店が歌詞中のMikadoであることを確認。ついでながら、フランスではお菓子のポッキーはMIKADOという商品名。
5 en avalanche 「雪崩となって」
6 faut pas「ちがいない」の否定で「はずがない」
7 de la(ou du) ...「…の一種」性質を示す。
8 mondaineはmondain「社交家」の女性形だが、「娼婦」の意味。
9 dameは「婦人」ではなく、感嘆符。
10 Si+半過去…するときはいつも…したものだ。sans manières 「気軽に」
11 tout +不定冠詞「まさに…そのもの」
12 Violetta「ヴィオレッタ」は、ヴェルディVerdiのオペラ「椿姫La Traviata」の主役ViolettaをモチーフにOthmar Klose とRudolf Lukeschが作ったタンゴ。
13 ce n'était plusのneが省略されている。Valentine「ヴァランティーヌ」、Loulou「ルールー」、 Margot 「マルゴ」は一般的な女性名で、ダンスの実際のパートナー。
14 hidalgo 「ヒダルゴ」下級貴族を意味するスペイン語で「郷士」と訳されることが多い。
15 chacun (à) son tour「各自順番に」
16 bath「とてもいい、ステキだ」の意味の俗語。[bat]と発音。ボリス・ヴィアンBoris Vianの「僕はスノッブだJ'suis snob」にc'est bat !という表現があり、英語のbeautifulからきた言葉だという情報を得たが、これも同様であろう。


Mikado.jpg



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