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2020
12.22

花に水やりArrose les fleurs

Allain Lepres Quand auront fondu les banquises


アラン・ルプレストAllain Leprest(1954 - 2011)は、「20世紀のアルチュール・ランボーArthur Rimbaud」「最後の酔いどれ詩人」などと称されるように詩人であり、作詞家としてジュリエット・グレコ Juliette Grécoやエンゾ・エンゾEnzo Enzoなどに歌詞を提供してきた延長で自分でも歌うようになった歌手です。アコーディオン奏者のリシャール・ガリアーノRichard Gallianoと共演したアルバム:Voce a Manoは、発売翌年の1993年にアカデミー・シャルル・クロ・グランプリを受賞しました。2000年代に脳腫瘍と肺癌を発症しましたが、音楽活動を再開し、2008年にはアルバム:Quand auront fondu les banquisesを発表。そして肺癌の苦しみのために2011年に自殺しました。
今回取り上げる「花に水やりArrose les fleurs」は、2008年のアルバム : Quand auront fondu les banquisesに収録されている曲です。出て行った彼女が「週に一度花に水を遣ってね」と手紙に書いてきます。でも1週間以内に帰って来るというのなら、結局は1回遣るだけになる。庭が広くて1回だけでもたいへんなのかな?1日1回なら分かるけど…とかまずは思いましたが、最後に、彼女が帰ってからいっしょに週に一度花に水を遣りながら庭をめぐることを思い浮かべます。そうか、二人の長い未来を含めての週に1度だったんですね!



エンゾ・エンゾEnzo Enzoも歌っています。



Arrose les fleurs  花に水やり
Allain Leprest    アラン・ルプレスト


J’ai reçu ce matin la lettre où tu m’écris
De prendre soin de moi et je t’en remercie 注1
Que tu vas me reviendre et tout ça et qu’on s’aime 注2
“Et arrose les fleurs une fois par semaine”

 僕は今朝、手紙を受け取った、それに君は書いていた
 体に気を付けるようにと、それは感謝するよ
 僕のところに戻って来るつもりだとなど、そして愛し合っていると
 「そして週に一度花に水を遣ってね」と

Arrose les fleurs5


Mon amour, je te jure, les fleurs, je les fais boire
Ensemble on est pétés, tu pourrais pas le croire 注3
Je re-siffle ces mots “Je suis partie sans haine 注4
Mais arrose les fleurs une fois par semaine”

 愛する人、僕は君に誓う、花たちに飲ませるよ
 僕たちはいっしょに酔っぱらうよ、君は信じられないだろうね
 僕は件の言葉を繰り返し口ずさむ「私は悪意なく出て行ったの
 でも週に一度花に水を遣ってね」

À quoi me sert, sans toi, de me priver de clopes 注5 
Ou d’un Saint-Emilion? J’ai sur moi l’enveloppe 注6
Où ta main a tracé “Je rentre sous huitaine 注7
Mais arrose les fleurs une fois par semaine”

 僕にとって何になるんだ、君がいなきゃ、タバコや
 ワインを取り上げて?僕は封筒を持つ
 君の手が「1週間のうちに帰るわ
 でも週に一度花に水を遣ってね」と記した封筒を

Arrose les fleurs4


Avec toi, j’ai appris à parler végétal
Et je compte les jours comme autant de pétales
Je relis ton courrier et c’est pas un problème
Sauf d’arroser les fleurs une fois par semaine

 君のおかげで、僕は植物語を話すことを学んだ
 そして僕は花びらの数で日にちを数える
 僕は君の手紙を読み返す、問題ないよ
 週に一度花に水を遣るってことを除けばね

J’ai reçu ce matin la lettre où tu m’écris
De prendre soin de moi et je t’en remercie
J’imagine un jardin où nos pas se promènent
En arrosant les fleurs une fois par semaine {x2}

 僕は今朝、手紙を受け取った、それに君は書いていた
 体に気を付けるようにと、それは感謝するよ
 僕は想像する、僕たちの足が辿る庭を
 週に一度花に水を遣りながら

[注]
1 tu m’écris「君が僕に書く」内容は、2行目のde...と3行目の2つのque...と4行目の“...”。
2 reviendreはrevenirを言い換えた造語のようだ。et tout「などなど、エトセトラ」。çaは特に意味のない強意。
3 pété「酔っぱらった」「壊れた」
4 re-sifflerは「また、口笛を吹く」という意味のはずだが、「繰り返し口ずさむ」とした。
5 clope「タバコの吸いさし」
6 Saint-Emilion 「サン・テミリオン」はワインのブランド。avoir sur soi「…を身に着けている。携帯している」
7 sous huitaine「1週間以内に」


Allain Leprest1



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