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2020
02.18

パリParis

Bernard Lavilliers Champs du possible


「パリParis」と題された曲はすでに5つ取り上げました。カミーユCamilleエディット・ピアフÉdith Piaf、エロディー・フレジェElodie Frégé、マルク・ラヴォワンヌ&スーアド・マッシMarc Lavoine & Saoud Massiオリヴィア・ルイズOlivia Ruizです。
今回は6つ目で、ベルナール・ラヴィリエBernard Lavilliersの「パリParis」です。この曲、2014年の12月に訳してして、出すのを忘れていました。実は、Windows7のままにしていたデスクトップパソコンが、トラブルが多発し余命が危ぶまれる状態になり、急きょノートパソコンをあらたに購入し、元のパソコンのデータを整理してから新しいパソコンに移そうとしていて見つかった次第です。

ラヴィリエは1946年生まれの現役シンガー・ソングライターそして俳優。ロックやレゲーという分野にもまたがる音楽活動をおこなっています。父親が大戦中のレジスタンス運動の活動家であり、彼自身も共産党に入党するなど政治的志向を持ちます。20歳でブラジルに渡ったのち帰国してパリ左岸で音楽活動を始めました。1967年に初めて出した45回転のレコードのLa Frimeという曲で、スイスのモントルーでRose d'or賞を獲得。翌68年に初めてのアルバム:Chanson pour ma mieをリリース。79年に船を買って、ジャマイカやニューヨーク、ブラジルに行き、帰国後の翌80年に出したアルバム:O gringoが彼の代表作。
自作の曲のみならず、シャルル・ボードレールCharles Baudelaire、ルイ・アラゴンLouis Aragon、ギヨーム・アポリネールGuillaume Apollinaire、アルチュール・ランボーArthur Rimbaud、ポール・ヴェルレーヌPaul Verlaineなどの詩をもとにした曲やボリス・ヴィアンBoris Vianの曲なども歌い、2009年にはLavilliers chante Ferré(ラヴィリエ、フェレを歌う)というアルバムを出しています。

作詞は、ラヴィリエ自身で、作曲はパスカル・アロヨPascal Arroyo。1994年にリリースしたアルバム:Champs du possibleに収録。このアルバムではアロヨはベーシストとして演奏に加わっています。



Paris         パリ
Bernard Lavilliers ベルナール・ラヴィリエ


J'adore le ciel de Paris
J'adore cette fille de bandit 注1
Qui se balade en guêpière 注2
Quand je retourne en enfer

 僕はパリの空に焦がれる
 コルセットをつけてうろつく
 この悪女に焦がれる
 僕が地獄に舞い戻ったとき

Mon capital de bas noirs 注3
Tu changes de fille tous les soirs 注4
Et dans les bulles de cristal
Me balances les fleurs du mal 注5

 黒いストッキングの僕の首都
 君は毎晩別の女になり代わる
 そしてクリスタルの泡のなかで
 僕に悪の華を投げつける

Lavilliers Paris2


{Refrein:}
Tu me manques terriblement
Tu me manques passionnément
Tu me manques, c'est fascinant
Paris, t'es si belle encore
Paris, tu changes de décor
Paris, tu ressembles à personne 注6

 僕は君が無性に恋しい
 僕は君が熱烈に恋しい
 僕は君が恋しい、魅力的だ
 パリ、君は今なおとても美しい
 パリ、君は様変わりした
 パリ、君は誰にも似ていない

Ma capitale de douleur
Vienne la nuit, sonne l'heure 注7
Un rouge baiser, un miroir
Tout redevient provisoire

 僕の苦悩の首都
 夜よ来い、鐘よ時を告げるがいい
 赤き唇の口づけ、1枚の鏡
 すべてかりそめのものに戻る

Paris, t'as des yeux gris-bleus
T'es plutôt brune à mes yeux
Entre Desnos et Prévert 注8
Tu choisis Apollinaire

 パリ、君はブルーグレーの目をしている
 君は僕の目にはむしろ褐色の髪だ
 デスノスとプレヴェールのあいだで
 君はアポリネールを選んだ

{Refrein}

Je t'aime, ma fille de faubourg
Avec tes chansons d'amour
Je t'aime, vipère du trottoir 注9
Plumant le micheton dans le noir 注10

 君が好きだ、僕の下町娘
 君の恋の歌とともに
 君が好きだ、舗道の毒蛇は
 暗がりでカモから金を巻き上げる

Lavilliers Paris1


Mon ange exterminateur 注11
T'es dure avec le malheur 注12
Tu fais de cadeaux à personne 注13
Et là, Paris, tu déconnes

 僕の滅びの天使
 君は不幸な者に冷酷で
 君は誰にも甘い顔を見せない
 そしてそこで、パリ、君はバカなことをやらかす

{Refrein}

Paris, j'veux pas qu'on t'épouse
Reste infidèle et jalouse
Paris, tu ressembles à personne

 パリ、僕は誰かが君を娶ることなど望まない
 不実で嫉妬深いままでいてくれ
 パリ、君は誰にも似ていない

[注]
1 bandit「強盗、山賊」が本義だが、「ろくでなし、悪い奴」等の意味でも用いられる。deは連結語として同格の意味。
2 guêpière「ゲピエール」ウエストニッパーに似た、胴を細く整える女性下着。
3 capital「首都」と「元金、資本、財産」の両義を兼ねた表現であろう。2節あとのMa capitale de douleurも同様。
4 changer de qc.「…を取り替える」。例文:Cette classe a changé de professeur「このクラスは担任が替った」。ここでは、パリがいろんな娘に変わることを言っている。
5 balancer「揺り動かす、振る、秤にかける」等が本義だが、ここでは「ほうり投げる」の意味。fleurs du malはシャルル・ピエール・ボードレールCharles-Pierre Baudelaireの詩集「悪の華Les Fleurs du mal」(初版:1857年)をもじっている。
6 à personne「誰にも」neを省いているが否定的な意味。
7 Vienne la nuit, sonne l'heure「夜よ来い、鐘よ時を告げるがいい」はギヨーム・アポリネールGuillaume Apollinaireの詩「ミラボー橋Le pont Mirabeau」の1節。画家マリー・ローランサンとの恋とその終焉を綴った詩で、ポピュラーなシャンソンとして広く歌われている。
8 vipère du trottoir「舗道の毒蛇」は「娼婦」を意味するが、1922年にジョルジェルGeorgelが創唱し、1956年にジョルジェット・プラーナGeorgette Plana が歌ったシャンソン: La vipère du trottoir (作詞:ジャン・ロドールJean Rodor、作曲:ヴァンサン・スコットVincent Scotto)のタイトルを踏まえているのであろう。
9 ロベール・デスノスRobert Desnos(1900 - 1945):シュールレアリスム運動に参加し、言葉遊びを多用した平易な詩を書いた詩人。ジャック・プレヴェールJacque Prévert(1900 - 1977):分かり易い言葉で心に響く詩を書き、広く愛された詩人。シャンソンとして歌われている詩も多い。ギヨーム・アポリネールGuillaume Apollinaire(1880 - 1918):キュビスム運動に参加し実験的な詩や散文を多く書いた。代表作は注4に示した「ミラボー橋Le pont Mirabeau」。
10 micheton「(売春婦の)客、カモ、だまされやすい人」
11 ange exterminateur「滅びの天使」旧約聖書におけるユダヤ民族を苦しめたエジプト人に罰を与えるため、エジプトの初子を皆殺しにする天使。
12 être dure avec qn.「…に対して無情な、厳しい」le malheur「不幸] は「不幸な人たち」の意味合い。
13 ne pas faire de cadeaux à qn.「…に甘い態度を見せない、わずかなことでも容赦しない」。




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