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2019
09.17

異国の人L'étranger

Damia Létranger


「異国の人L'étranger」は、1935年に、ジャーナリストのロベール・マルロンRobert Malleronが作詞し、マルグリット・モノーMarguerite Monnotがアコーディオニストのロベール・ジュエルRobert Juelとともに作曲し、ダミアDamiaが創唱した曲で、同年、アネット・ラジョンAnnette Lajonが歌ってシャルル・クロのディスク大賞Grand Prix de l'Académie Charles Crosを獲得し、マルグリット・モノーの出世作となりました。そして1936年に、エディット・ピアフEdith Piafが歌いました。モノーとピアフのコンビはこの曲から始まったわけで、ピアフの曲として取り上げられることも多いのですが、元々はダミアの曲。ダミアは港の娼婦の歌が多く、ピアフは街の娼婦の歌が多いようです。

アルベール・カミュAlbert Camusの同名の小説(1942年刊)は「異邦人」という邦題が付けられていますね。étrangerは外国人に限らず、ほかの地から来た者を意味する語で、歌詞中では1箇所だけ用いられていますが、文脈上、邦題の「異国の人」ではなく、「よそ者」と訳しました。 je ne sais où「どこかから」やってきて「どこかへ」去ってしまった船乗りを想う娼婦の心を歌った切ない歌です。

ダミア



アネット・ラジョン



エディット・ピアフ



L'étranger  異国の人
Damia     ダミア


Il avait un air très doux
Des yeux rêveurs un peu fous
Aux lueurs étranges
Comme bien des gars du Nord
Dans ses cheveux un peu d'or
Un sourire d'ange
J'allais passer sans le voir
Mais quand il m'a dit“bonsoir !”
D'une voix chantante
J'ai compris que ce soir-là
Malgré la pluie et le froid
Je serais contente
Il avait un regard très doux
Il venait de je ne sais où

 彼はとても優しげだった
 夢見るような瞳はいくらか変で
 妙な光を放っていた
 北方の若者たちによくある
 ちょっと金色がかった髪をして
 天使のように微笑んだ
 私は彼に目を向けずに通り過ぎるところだったが
 彼が私に、「今晩は!」と
 歌うような声で言ったとき
 私には分かったわ、その夜は
 雨が降っていたし寒かったけど
 私はしあわせな気分になれると
 彼のまなざしはとても優しかった
 彼はやって来た、どこからか

Létranger1


“D'où viens-tu ? Quel est ton nom ?”
“Le navire est ma maison
La mer mon village
Mon nom, nul ne le saura
Je suis simplement un gars
Ardent à l'ouvrage
Ici, j'ai le cœur trop lourd
Vends-moi donc un peu d'amour
J’ai soif de caresses”
Et moi, fille au cœur blasé
J'ai connu sous ses baisers
Une folle ivresse
Il avait un regard très doux
Il venait de je ne sais où

 「どこから来たの?あんたの名は?」
 「船が俺の家
 海が俺の村
 俺の名前、それは誰も知りやしない
 俺はただの男
 仕事熱心な男さ
 今、俺はとても辛い気持ちなんだ
 愛をちょっと分けてくれ
 優しく抱かれたいんだ」
 そして私ったら、荒んだ心の女ながら
 彼に接吻されているうちに
 狂おしい陶酔を味わった
 彼のまなざしはとても優しかった
 彼はやって来た、どこからか

Simplement, sans boniments
J'aimais mon nouvel amant
Mon époux d'une heure ;
Comme tout les malheureux
Il croyait voir en mes yeux
La femme qu'on pleure
Et follement j'espérais
Qu'un matin il me dirait :
“Suis-moi je t'emmène”
J'aurais dit“oui”, je le sens
Mais il a fui me laissant
Rivée à ma chaîne
Il avait un regard très doux
Il s'en allait je ne sais où

 あっけなく、口説きの言葉もなく
 私は、この新しい恋人を
 ひとときだけの夫を愛した
 不幸な男たちによくあるように
 彼も私の目のなかに
 ひとに憐れまれる女を読み取った
 そして愚かにも私は望んでしまった
 朝になって、彼が私に言ってくれると
 「ついて来い、連れてってやる」と
 私は「ええ」と言ったことだろう、そう思うわ
 でも彼は消えた、私を
 鎖につながれたまま残して
 彼のまなざしはとても優しかった
 彼は行ってしまった、どこかへ

Létranger2


J'ai rêvé de l'étranger
Et, le cœur tout dérangé
Par les cigarettes
Par l'alcool et le cafard
Son souvenir chaque soir
M'a tourné la tête
Mais on dit que, près du port
On a repêché le corps
D'un gars de marine
Qui, par l'amour délaissé
Ne trouva pour le bercer
Que la mer câline
Il avait un regard très doux
Il est parti je ne sais où

 私はあのよそ者を夢に見た
 そして、心は乱れきった
 煙草や
 お酒や憂鬱で
 夜ごと彼の思い出が
 私の頭をくらくらさせた
 けれどうわさでは、港の近くで
 若い船乗りの
 死体が上がったという
 その男は、恋に破れ
 彼を揺すって慰めてくれるものは
 優しい海だけだったと
 彼のまなざしはとても優しかった
 彼は去ってしまった、どこかへ

Létranger3




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