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2019
01.02

モントーバンの火Flambée montalbanaise

明けましておめでとうございます。今日は書き初めの日なので1曲取り上げます。去年から引きずっていた厄介な曲なので「恥かき初め」となりそうですが…。

André Minvielle Flambée montalbanaise


ギュス・ヴィズールGus Viseurが作曲し演奏した「モントーバンの火Flambée montalbanaise」はミュゼットの名曲とされる曲で、聴くだけでゾクゾクしてきます。彼はベルギー生まれで、あらゆるジャンルのミュゼットをこなし、初めてジャズを演奏したアコーデオン奏者。ジプシー系ギタリストのジャンゴ・ラインハルトDjango Reinhardtとも共演し、エディット・ピアフÉdith Piaf の伴奏も務めました。



Montalbanは、南仏のオック語で「柳の生える丘」を意味する地名(フランス語ではモントーバンMontauban)で、13世紀後半より、ラングドック地方Languedocとアキテーヌ地方Aquitaineを結ぶ交通の要衝として繁栄しました。そして17世紀初め頃はプロテスタントのカルヴァン派ユグノーの根拠地となっていましたが、1621年に、年若きルイ13世がここを崩落させようと包囲し、脅しのために城壁に400発もの砲弾を浴びせましたが効を奏せず、3ヵ月後国王軍は断念し撤退しました。「モントーバンの400発Les quatre cents coups de Montauban」と呼ばれるエピソードです。これが、トリュフォーFrançois Roland Truffautの映画「大人は判ってくれないLes quatre cents coups」(1959年)のタイトルのように、無鉄砲な行動を意味する言葉となりました。

Montauban1.pngこの曲が生まれたのは第2次世界大戦中の1940年、すなわちナチス・ドイツのフランス侵攻とパリ陥落の年。モントーバンは、ヨーロッパ北部から逃れてきた何十万人もの人々の終着点となりました。モントーバンは画家ドミニク・アングルJean-Auguste-Dominique Ingresの生地で別名「アングルの町la Cité d'Ingres」とも呼ばれますが、レオナルド・ダ・ヴィンチLéonard de Vinciのモナ・リザMona Lisaをはじめ、ルーヴルLouvreやヴェルサイユのミュゼmusée de Versaillesの芸術作品の数々も、モントーバンのアングル美術館musée Ingresのなかにかくまわれました。
flambéeは「焚き火、燃える火」のことで、この曲は第2次世界大戦でモントーバンが戦火に見舞われたことを題材にしているといわれますが、そのような記録はなく、また上に見てきたように、モントーバンは1621年にも1940年にも、人々を護りとおした町であるという実績を持ちます。「人々の心を燃やす熱い炎」という意味ではないかと私は勝手に思っています。

これに歌詞をつけてアンドレ・マンヴィエイユAndré Minvielleが1990年に歌いました。彼はパーカッショニストであり、フランス語とオック語にスキャットもまじえて歌うユニークな歌手でもあり、2008年仏ヴィクトワール・ド・ラ・ミュージック賞の最優秀ジャズヴォーカリストに選ばれました。この歌詞はギュス・ヴィズールの音楽活動に対するオマージュ的な内容ですが、正直なところチンプンカンプン。これで精一杯というところで出させていただきます。ほんと、自動翻訳かと思えるような訳文ですが、後日、理解が深まったら適宜修正いたします。



Flambée montalbanaise  モントーバンの火
André Minvielle      アンドレ・マンヴィエイユ


※元の歌詞はもっと細かく行を分けていますが、言葉を詰め込んだ早口の歌唱と照合しやすいようにフレーズに合わせてまとめなおしました。

Oyez la mélodie le fond du soir un café 注1
Écoutez, c'est le blues du coin l’Gus y joue du biniou comme fait Bach 注2
Pour une chanson, pucelle aux ailes déployées,
Rame, langue albatros, pique et trame au papier le cap et la falaise, balèze ! 注3
J'écoutais Montalbanaise une envolée de braises,
Noyé, je m'eau de vie-gueur Viseur au cœur, liqueur sœur, 注4
A cloche-pieds, cigarette, une bouffée volée yé
Au vent de la postérité.  注5

 聴け!メロディーを夜更けにカフェで
 聴けよ、それはブルースだ 隅っこでギュスがアコーデオンで演奏している バッハがやるように
 ひとつの歌のため、広げた羽を持つ処女、
 怠惰、アルバトロスの言葉、皮肉と紙上のたくらみ突端と断崖、どでかい!
 俺はモントーバンの曲を聴いた真っ赤な火の湧出、
 溺れる、俺は火の酒にど真ん中をねらう奴ヴィズール、酒は妹分
 片足飛び、たばこ、ひと息吐いて、イエィ
 後世の風上に。

Allez vas-y va, chaloupe ta mélopée ma chanson de café,
Charlie passe Parker, et l'Gus au biniou souffle aussi comme black au sax. 注6
Si le be-bop à valser devait sceller vos nuits,  注7
Blues et polka piquée, temps, tu nous réconcilies, m'entends-tu d'accordéon ? 注8
Monteille c'était tout petit le paradis d'été 注9
Sambapathie, dada plouc, on ramait bal d'amour flou 注10
Mais un souffle est dévoilé, une poussée bleue, d'envie,
M'accroche au cœur thank you Viseur.

 行け、それ行け、君の曲はボート 僕のカフェの歌を乗せ、
 チャーリー行けパーカー、そしてギュスもアコーデオンを吹き鳴らす サックスの黒人のように。
 ワルツを踊るのにビバップがあんた方の夜を封じるというのなら
 ブルースとスタッカートポルカ 今こそ、君は我々を融和させる 君は僕の歌にアコーデオンを聴くかい?
 モンテイユ、それはちっぽけな夏の楽園だった
 サンバもどき、田舎っぺの十八番 ゆるやかな愛でダンスホールを漕ぎ渡った
 だが、ひとつの息吹が姿を現した、羨望の青い高まりが、
 僕の心に引っかかる ありがとう、ヴィズール。

Gus viseur


Et ceux, les "griffe le temps" ont mis les doigts de cordes,
Apaches et Django Mississippi Didi guitare aussi m'a dit 注11
Et Paris loue, Paris prie, le tango bord de Marne
Chavire la valsouze intemporelle et blues 注12

 そして彼ら、「時をひっかく人たち」は弦に指を置く、
 アパッチそしてジャンゴ、ミシシッピ、ディディ、ギターは僕に語る
 そしてパリは賞賛し、パリは祈る、マルヌ川沿いのタンゴは
 時を越えたワルツとブルースを転覆させる

Goutte à goutte ces divines My Lady valsées,
Filles et femmes tam-tam au fil du temps funambules et modernité, 注13
Comme on jette à l'eau du calme un caillou ricochet,
Par ondes d'ondes là passe-passe l'écho des papis d'au-delà du top. 注14
Réveillez la mélodie, la chanson des cafés,
Vocalise la bob french, scat et valsez one more, d'oc,  注15
Comme un souffle dévoilé, Une poussée bleue d'envie,
Accroche au cœur thank you Viseur.

 すこしずつこれらの女神たちマイレディーは放り出され、
 娘たちや女たちのタムタム 時の流れとともに綱渡りと現代性と、
 静かな水に投げ込むように跳ね返る小石
 波の波の手品のような頂点を越えたじいさんたちのエコー。
 メロディーを目覚めさせろ、カフェの歌、
 フランスのボップをヴォカリーズ、スキャットとワルツをもう一度、オック語で、
 ひとつの息吹が姿を現し、羨望の青い高まりが
 僕の心に引っかかる ありがとう、ヴィズール。

André Minvielle


{instrumental+scat}

Oyez la mélodie Le fond du soir un café
Écoutez, c'est du coin l’Gus y joue du biniou comme fait Bach
Si le be-bop à valser devait voler vos nuits,
Blues et polka piquée temps, tu nous réconcilies m’entends-tu d’accordéon ?
Réveillez la mélodie, la chanson des cafés,
Vocalise la bob french, scat et valsez one more, d'oc,
Comme un souffle dévoilé, une poussée bleue d'envie,
Accroche au cœur thank you Viseur.

 聴け!メロディーを夜更けにカフェで
 聴けよ、隅っこでギュスが演奏しているアコーデオンでバッハがやるように
 ビバップダンスが君たちの夜を盗むなら
 ブルースとスタッカートポルカ 今こそ、君は我々と折り合う 君はアコーデオンで僕の声を聴くか?
 目覚めさせろメロディーを、カフェの歌を、
 フランスのボブをヴォカリーズ、スキャットとワルツをもう一度、オック語で、
 ひとつの息吹が姿を現し、羨望の青い高まりが、
 僕の心に引っかかる ありがとう、ヴィズール。

[注]
1 Oyez(=oyes) 古期フランス語で「聞け!, 謹聴!, 静粛に! 」法廷の廷吏や伝令使が通例で3度連呼する。
2作曲者のギュス・ヴィズールGus Viseurのgusは一般名詞として「兵士、あいつ」の意味。biniou「バグパイプ」は「ラッパ」も「アコーデオン」も意味する。
3 rameは「櫂」のほかに「怠惰」。albatros「あほうどり」はドイツ軍の戦闘機の名称でもある。piqueは「槍」のほかに「辛らつな言葉、皮肉」。trameは「横糸、骨組み、脈絡」のほかに「陰謀」。balaize(=balèze, balès)「でっかい、たくましい、力強い、」
4 eau-de-vie「ブランデー」のvieをvigueur「力強さ、活力」に変えて意味をより強めた造語のようだ。ギュス・ヴィズールGus Viseurのviseurは一般名詞として「狙撃者」の意味。liqueur は女性名詞なので「親密な者」の意味でsœur「姉妹」としたのか。
5 postérité「後世」のau vent「風上」に立つ、すなわち後世に影響を与えた。
6 Charlie Parker「チャーリー・パーカー」はアメリカの黒人アルトサックス奏者。passeが間に入っているのが意味不明。
7 be-bop「ビバップ」(英語)1940年代から発達したモダンジャズの演奏形式とそれに合わせて踊るダンスのこと。ギュス・ヴィズールは50年代にビバップを演奏していたという。
8 polka piquée「スタッカートポルカ」。tu「君」はギュス・ヴィズールであろう。
9 Monteilleノルマンディー地域圏、カルヴァドス県に属するコミューン。モントーバンからはほど遠い地。
10 sambapathie=samba+sympathie「サンバもどき」と訳した。dada「ダダイズム」のほかに幼児語の「お馬さん」、話し言葉の「固定観念、十八番」の意味もある。
11 Apaches「アパッチ族」が本義だが、大都会特にパリの「ならず者、無頼漢」の意味もある。Django Reinhardt「ジャンゴ・ラインハルト」は、ロマ音楽とスウィング・ジャズを融合させたジプシー・スウィングの創始者として知られるギタリスト。Mississippiはアメリカ合衆国南部の「ミシシッピ州」。B.B.キングB. B. Kingやエルヴィス・プレスリー Elvis Aron Presleyの出身地。Didiはステファン・グラッペリStéphane Grappelliの影響を受けたというヴァイオリニストのディディエ・ロックウッドDidier Lockwoodか?
12 valsouze=valse+blues ?
13 tam-tam「タムタム」アフリカの太鼓。
14 passe-passe「手品」。papa→papi「おじいさん」(mama→mamie「おばあさん」)。topは英語。
15 vocaliser「母音唱法で歌う」。辞書にはbobという語が4つあった。「ボブスレー」「釣鐘型帽子」「シリング貨幣、ドル」「さいころ」の意味で、すべて男性名詞なので該当しない。


Montauban2.jpg



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