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2018
10.21

愛と戦争L'amour et la guerre

Charles Aznavour Je mvoyais déjà


前回、反戦歌の古典として「ルノー王Le roi Renaud」を取り上げましたが、シャルル・アズナヴールCharles Aznavourの急逝の余韻が冷めやらぬ今、彼の歌った反戦歌を取り上げたいと思います。そう、歌っていたんです!「愛と戦争L'amour et la guerre」です。作詞:ベルナール・ディメイBernard Dimey、作曲:アズナヴール自身。1960年のアルバム:Je m'voyais déjàに収録されています。この曲は、クロード・オータン=ララClaude Autant-Lara監督の1961年のフランス・ユーゴスラヴィア・リヒテンシュタイン合作映画:Tu ne turas point(英題:Thou Shalt Not Kill なんじ殺すなかれ)、の主題歌。メル・ギブソンMel Gibsonの2016年の同名の映画とは別です。主演のスザンヌ・フロンSuzanne Flonが1961年のベネチア映画祭で主演女優賞を得ましたが、1963年にフランスで上映されただけであまり評判にならず、アズナヴールのこの曲もあまり注目されませんでした…。
この映画にはL'objecteur(兵役忌避者)という別名がありますが、アズナヴール自身、第2次世界大戦のとき、パリのアパルトマンに身を隠し、兵役にはつかなかったようです。




L'amour et la guerre 愛と戦争
Charles Aznavour  シャルル・アズナヴール


Pourquoi donc irais-je encore à la guerre
Après ce que j'ai vu, avec ce que je sais ?
Où sont-ils à présent les héros de naguère ? 注1
Ils sont allés trop loin chercher la vérité

 いったいどうして僕がまた戦争に行くというんだ
 自分がすでに目にしたのちに、自分がもう知っている事柄とともに?
 近年のヒーローたちは今どこにいるのか?
 彼らは真実を求めてあまりにも遠くに行ってしまった

Lamour et la guerre2


Quel que soit le printemps, les cigognes reviennent 注2
Que de fois, le cœur gros, je les ai vues passer
Elles berçaient pour moi des rêveries anciennes 注3
Illusions d'un enfant dont il n'est rien resté

 いつだって春になれば、コウノトリたちはまたやって来る
 幾たび、辛い思いで、僕は彼らを見送ったことか
 彼らは僕のために古い夢をはぐくんでくれた
 幼時の幻想はもう何も残っていない

Toutes les fleurs sont mortes aux fusils de nos pères
Bleuets, coquelicots, d'un jardin dévasté
J'ai compris maintenant ce qu'il me reste à faire
Ne comptez pas sur moi, si vous recommencez

 花々はすべてオヤジたちの銃のもとで死に絶えた
 荒れた庭の、ヤグルマギク、ヒナゲシ
 僕は今、自分に残された仕事を理解している
 僕を当てにしないでくれ、あんたがたがまたおっ始めるのなら

Lamour et la guerre1


Tout ce que l'on apprend dans le regard des femmes
Ni le feu, ni le fer n'y pourront jamais rien 注4
Car l'amour - et lui seul - survit parmi les flammes
Je ferai ce qu'il faut pour défendre le mien

 すべて女たちのまなざしのなかで伝えられるものには
 火だって鉄だって何の手出しもできやしない
 なぜって愛は、愛だけが、炎のなかで生き延びる
 僕はわが愛を守るためにやるべきことをやるんだ

Pourquoi donc irais-je offrir ma jeunesse
Alors que le bonheur est peut-être à deux pas ?
Je suis là pour t'aimer, je veux t'aimer sans cesse
Afin que le soleil se lève sur nos pas

 いったいどうして僕が自分の青春を捧げに行くというんだ
 幸せがすぐそこにあるってときに?
 僕は君を愛するためにここにいる、僕は君をたえず愛したい
 太陽が僕たちの足元から昇るために

Aznavour1.jpg

[注]
1 naguère=Il n’y a guère (de temps)「最近、少し前」
2 cigogneはコウノトリ科の鳥の総称。ヨーロッパには生息するのは、ドイツの民話で、赤ちゃんを運んでくるといわれるシュバシコウで、東洋に生息するコウノトリとは異なるが「コウノトリ」と訳した。
3 ellesは前行のlesとともに前々行のles cigognes(女性名詞)であるが、あえて「彼ら」と訳した。
4 feu「火」は「砲火、戦火…」fer「鉄」は「剣、鉄砲…」で、ともに戦争における武力や脅威を表す。n'y pouvoir rien「手の施しようが無い」 




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