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2018
09.19

私はギターを聞くJ'écoute la guitare

Jean Lumière Jécoute la guitare


夏のあいだ、伊豆高原駅の駅員さんたちは、いろとりどりのアロハ・シャツを着ていました。つい「素敵ですね!」と声をかけたくなりました。夏が終わり駅員さんたちは制服姿に戻ってしまいましたが、今回は、駅員さんたちのアロハ・シャツを思い出しながらハワイに関連した曲をご紹介いたしましょう。ジャン・リュミエールJean Lumière(1895-1979)の「私はギターを聞くJ'écoute la guitare」です。1932年。作詞:Charlys et Rick、作曲:Charlys。ジャン・リュミエールはティノ・ロッシTino Rossi(1907-1983)よりひと回りほど年上で、「魅惑の歌手Chanteur de charme」の先駆けと言ってもいい歌手(ティノ・ロッシおよび「魅惑の歌手」に関しては「小雨降る径Il pleut sur la route」の記事参照)ですが、歌の先生でもあり、マルセル・アモンMarcel Amont、グロリア・ラッソGloria Lasso、コラ・ヴォケール Cora Vaucaire、ミレイユ・マチューMireille Mathieuなども指導を受けたそうです。
クレール・エルジエールClaire Elzièreのカヴァーが、アルバム「パリ、愛の歌 第2楽章~永遠のシャンソン名曲集~」(2009年)に収録されていて、私はそれを聴いてこの曲を知りました。
夜に聞こえてくるギターの音色に、ハワイを思い出し、ハワイの女性を思い出すという内容で、ハワイアン・ミュージック的なメロディーです。「カイマナヒラKaimanahila」と「ブルー・ハワイBlue Hawaii」くらいしか急には出てこないのですが、ハワイアン・ミュージックでは、ギターがよく用いられます。ウィキペディアによると、メキシコ人が持ち込んだギターやポルトガル人が伝えた楽器からハワイ原住民が発展させたウクレレが融合され、1890年代にハワイ独特の楽器としてスティール・ギターやスラックキー・ギターが生み出され、1920年ごろまでにこうした弦楽器を弾きながらソロ・ボーカルやコーラスを楽しむ、いわゆるハワイアン・ミュージックの標準的なスタイルが確立されたそうです。日本では「バッキー白片とアロハ・ハワイアンズ」がハワイアン・ミュージックを広めてくれましたね。



J'écoute la guitare 私はギターを聞く
Jean Lumière    ジャン・リュミエール


Dans la nuit troublante
Au bord des flots mystérieux
La guitare chante
Un doux refrain mélodieux
Et la nostalgie
De son accent triste et berceur
Met du rêve dans mon cœur

 物憂い夜に
 神秘的な流れの傍らで
 ギターが歌っている
 美しいメロディーの甘い歌を
 そしてその悲しく心癒す調子の
 郷愁は
 私の心にとある夢をもたらす

Jécoute la guitare1


Cette voix si tendre
Éveille en moi tous les désirs
Et je crois entendre
Au loin chanter mes souvenirs
Musique jolie
Qui plus d'un soir m'a retenu
Sous le ciel d'Honolulu

 このとてもやさしい音色は
 私の胸裏にあらゆる望みを呼び起こし
 遠くで自分の記憶が
 美しい音楽を歌っているのが
 聴こえた気がする
 ホノルルの空のもとで
 ひと夜ならず私をとらえた音楽を

{Refrain:}
J'écoute la guitare
Plaintive dans la nuit
Dont le rythme bizarre
Éveille un chant plus joli
Plus rien ne me sépare
De cet heureux pays
Et mon rêve s'égare
Jusque aux îles d'Hawaï

 うめくようなギターが
 夜に聞こえる
 その不思議なリズムは
 もっと美しい歌を呼び起こす
 あのしあわせな国から
 もう何も私を引き離せない
 そして私の夢は旅立つ
 ハワイの島々へと

Jécoute la guitare3


À l'heure du rêve
À l'heure grise où tout s'endort
Une voix s'élève
Une guitare aux doux accords
Et la mélopée
De sa musique au rythme lent
Fait vibrer mon cœur ardent

 夢の時間に
 もの皆眠る灰色の時間に
 ある音色が湧き起こる
 甘い和音のギターは
 そしてそのゆっくりしたリズムの音楽の
 旋律は
 私の熱い心を震わせる

Sa chanson lointaine
Évoque en moi quand vient le soir
La belle indigène 
Au rire clair, aux grands yeux noirs
Les nuits parfumées
Par ses plus doux baisers d'amour
Je m'en souviendrai toujours

 遠くのその歌は
 夕べになるとわが胸裏に
 晴れやかな笑顔と大きな黒い瞳の
 美しいハワイの女を想起させる
 彼女のとても甘い愛のくちづけがもたらした
 かぐわしい夜
 私はそれをいつも思い出すことだろう

{au Refrain}

Jécoute la guitare2


[注]
この節には女性ヴァージョンがある。異なる部分を下記に示す。
La belle indigène「原住民の美女」。すなわちポリネシア系であり「美しいハワイの女」と意訳した。→Le ciel indigène「現地の空」。
Au rire clair, aux grands yeux noirs→Où j'ai connu des mots d'espoir「そこで私は希望の言葉を知った」
Par ses plus doux baisers d'amour→Par les plus doux baiser d'amour(sesがlesに変わり、)「二人の」という意味合いになる。
Je m'en souviendrai toujours→Dont je me souviens toujoursさほど意味は変わらない。



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