2017
12.24

青春の過ぎ去りし今Maintenant que la jeunesse

Marc Ogeret chante Aragon


今回は、ルイ・アラゴンLouis Aragonの詩を歌詞とした「青春の過ぎ去りし今Maintenant que la jeunesse」です。以前、この曲の既存の日本語歌詞が原曲の内容とあまりにも違っていて残念だというコメントをいただき、訳してみましょうとお返事しました。お待たせしましたが、やっと出します。
アコーディオン奏者のリノ・レオナルディLino Léonardiが作曲し、その妻のモニック・モレリMonique Morelliが創唱し、1966年のアルバム:Aragon. 12 Chansons inédites de Léonardiに収録されました。続いてマルク・オジュレMarc Ogeretが歌い、1967年のアルバム:Marc Ogeret chante Aragonに収録されました。そのアルバムはCDとして再版され、86年にディスク大賞を受賞しました。
「過ぎ去りし青春の日々」という邦題の日本語歌詞で歌われていますが、原曲は、青春が過ぎ去ったあとのmaintenant「今」がテーマで、その「今」は、非常に晴れやかであるというのです。けっして、過ぎ去った青春を惜しんでいるのでもないし、若さを失った今を嘆いているのでもありません。



モニック・モレリMonique Morelli



イザベル・オーブレIsabelle Aubret



Maintenant que la jeunesse 青春の過ぎ去りし今
Marc Ogeret          マルク・オジュレ


Maintenant que la jeunesse 注1
s'éteint au carreau bleui
Maintenant que la jeunesse
machinale m'a trahi

 青ざめた窓ガラスに
 青春が消えゆく今
 こころない青春が
 僕を裏切った今

Maintenant que la jeunesse
t'en souviens-tu souviens-t-en
Maintenant que la jeunesse
chante à d'autres le printemps
Maintenant que la jeunesse
Détourne ses yeux lilas

 青春が
 君はそれを思い出すだろ 思い出すだろ 今
 青春が
 ほかの者たちに春を歌う今
 青春が
 リラの花の色の目を逸らす今

Louis Aragon20


Maintenant que la jeunesse
n'est plus ici n'est plus là
Maintenant que la jeunesse
vers d'autres chemins légers
Maintenant que la jeunesse
suit un nuage étranger

 青春が
 もはやここにもどこにもない今
 青春が
 手軽な道へと今
 青春が
 知らない雲について行く今

Maintenant que la jeunesse
a fui , voleur généreux
me laissant mon droit d'aînesse 注2
et l'argent de mes cheveux 注3
Il fait beau à n'y pas croire 注4
Il fait beau comme jamais

 青春が
 太っ腹の詐欺師が
 僕に長子相続権と
 銀貨の色の髪を残して逃げ去った今
 とても信じられないほどに晴れやかだ
 かつてないほどに晴れやかだ

Quel temps quel temps sans mémoire 注5
on ne sait plus comment voir
ni se lever ni s'asseoir
Il fait beau comme jamais

 なんという天気 なんという天気 すべて忘れ
 どうして見たらいいのか
 起き上がればいいのか座ればいいのかももう分からない
 かつてないほどに晴れやかだ

Louis Aragon10


C'est un temps contre nature 注6
comme le ciel des peintures
comme l'oubli des tortures
Il fait beau comme jamais

 自然の摂理に反する天気だ
 絵に描かれた空のようだ
 責め苦の忘失のようだ
 かつてないほどに晴れやかだ

Frais comme l'eau sous la rame
un temps fort comme une femme
un temps à damner son âme 注7
Il fait beau comme jamais

 舟の櫂の下の水のように新鮮な
 女性のように頼もしい季節だ
 身を滅ぼすほど夢中にさせる季節だ
 かつてないほどに晴れやかだ

Un temps à rire et à courir
un temps à ne pas mourir
un temps à craindre le pire
Il fait beau comme jamais

 笑うべき 走るべき時だ
 死になどしない時だ
 最悪のことを厭う時だ
 かつてないほどに晴れやかだ

[注] 
1 Maintenant que...「…した今は、今では…だから」。「…」である「今」の状態が前提・原因とされ、現状・結果を示す部分があとに続く形で用いられる表現。歌詞中はla jeunesseのふるまいがさまざまに表現され、歌詞の後半に、Il fait beauなど現状を表す表現が出てくる(注4)。なお、タイトルは、前提部分の主語la jeunesseのあとは示されない形なので「過ぎ去りし」を補って邦題とした。
2 droit d'aînesse「長子(相続)権」
3 argentは「金銭」の意味とcheveux d’ argent「銀髪」の「銀」をかけている。
4 Il fait beau以下は前提部分のMaintenant que...(注1)にともなう現状を表す表現となる。à n'y pas croire「信じられないような」。次行のcomme jamaisは「かつてないほどの」
5 tempsには「天気」の意味のほか「時」「時代」「季節」「(人生の)時期」など多様な意味がある。Il fait beauとあるので「天気」としたが、時期的な意味も含んでいると思われ、一部、訳語を変えてみた。
6 contre nature「自然の摂理に反した」
7 damnerの本義は「地獄に落とす、劫罰に処する」だが、このdamner son âmeは「身を滅ぼすほど夢中にさせる」という意味合い。





コメント
マルク・オジュレの歌うこの曲が大好きなので🎶
何て嬉しいこと^^ イザベル・オーブレが歌うのは初めて聞きました。彼女らしくて、こちらも胸が温かくなりますね♪
ノニーさんが素敵なクリスマスを過ごされますよう💛
mimihadot 2017.12.25 07:48 | 編集
いつもありがとうございます。
モニック・モレリではなく、マルク・オジュレを選びました。
秋の澄んだ空気を深く味わうようなすがすがしさと力強さを感じます。
mimihaさん、良いお年をお迎えください。
朝倉ノニーdot 2017.12.25 11:41 | 編集
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