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2017
08.15

マダムMadame

Barbara Ma plus belle histoire damour


前回の「この子Cet enfant-là」に続きバルバラBarbaraで、「マダムMadame」という曲。1967年のスタジオアルバム:Ma plus belle histoire d'amour および同年のライブアルバム:Bobino 1967に収録されています。
恋人の母親から彼の戦死を知らせる手紙が届きます。それに対する返事の手紙という形で書かれている歌詞です。この曲が作られたのはベトナム戦争の最盛期であり、世界中で反戦運動が高まっていたということも時代背景として伺えます。



Madame マダム
Barbara  バルバラ


Je reçois, à l´instant où je rentre chez moi
Votre missive bleue, Madame
Vingt fois je la relis, et mes yeux n´y croient pas
Pourtant, c´est écrit là, Madame
Et de votre douleur, je me sens pénétrée 注1
Mais je ne pourrai rien, Madame
Vous savez, aujourd´hui, que de l´avoir perdu
C´est lourd à supporter, Madame

 受け取りました、帰宅した時に
 あなたの青色のお手紙を、マダム
 20回読み返しました、そして私の目は信じることができませんでした
 でも、そこにちゃんと書かれてありました、マダム
 そしてあなたの苦しみが、身に沁みるように感じました。
 でも私には何もできません、マダム
 今、あなたはお分かりでしょう、彼を失ったということは
 辛くて耐えられないことだと、マダム

Madame1.jpg


Vous demandez pardon de n´avoir pas compris
Ce qu´était notre amour, Madame
Vous n´aviez que ce fils, vous aviez peur pour lui
Et vous l´avez gardé, Madame
Ne me demandez pas ce qu´a été ma vie
Quand vous me l´avez pris, Madame
Je me suis toujours tu, ce n´est pas aujourd´hui
Que je vous le dirai, Madame

 あなたは謝っていらっしゃる
 私たちの愛がどんなものか知らなかったことを、マダム
 あなたにはこの息子しかいない、彼のために恐れを抱き
 そして彼を引き止めましたね、マダム
 私の生活がどんなものだったかお訊きにならないで
 あなたが私から彼を取り上げたときに、マダム
 私はいつも口をつぐんできました、今は
 あなたにそれを申し上げるときではありません、マダム

Vous eussiez préféré, je vous retrouve là,
Qu´il fût mort en héros, Madame
Oui, c´eût été plus noble, je vous crois,
Que de mourir d´amour, Madame
Mais qu´il soit mort ici ou qu´il mourût là-bas 注2
Auriez-vous versé moins de larmes?
Il en a décidé, lui seul avait le droit
Il faut vous résigner, Madame

 あなたが望まれていたのだったら、私はあなたを見直しますわ、
 彼が英雄として死ぬことをね、マダム
 ええ、それはもっと気高いことだったでしょうね、もちろん、
 愛のために死ぬよりも、マダム
 でも、彼がここで死ぬとて向こうで死んだとて
 あなたの流す涙に差はあるでしょうか?
 彼はそれを決めました、彼だけがその権利を持っていたのです
 あなたは諦めなくてはなりません、マダム

C´est trop tard, maintenant, pour que je vous revienne
Et vous vieillirez seule, Madame
Et ne m´en veuillez pas si je parais cruelle 注3
Mais je l´ai trop aimé, Madame
Pour qu´à la fin du jour, près d´une cheminée
Nous évoquions ensemble, Madame,
Celui que, vous et moi, nous avons adoré
Et perdu tout ensemble, Madame

 遅すぎます、今となっては、私があなたのところに伺うには
 おひとりで齢を重ねてください、マダム
 もし私が酷い言い方をしていても悪く思わないでください
 でも、私は彼を愛していたのです、マダム、あまりにも
 一日の終わりに、暖炉のそばで、
 あなたと私、私たちが熱愛し、
 そしてともに失ったその人を、マダム
 ごいっしょに、想い起こすにはあまりにも、マダム

Madame2.jpg


Mais le chagrin m´égare, il faut me pardonner
J´ai mal de votre mal, Madame 注4
Mais que faire, et que dire, puisqu´il s´en est allé?
Je ne puis rien pour vous, Madame
Pour la seconde fois, il va nous séparer
Non, je ne viendrai pas, Madame
Car, le perdre deux fois, c´est lourd à supporter
Vous me comprendrez bien, Madame

 いえ悲しみにわれを忘れました、お許しください
 あなたの苦しみに胸が痛みます、マダム
 でも、何をするのか、何を言うのか、彼は逝ってしまったんですから?
 私はあなたのために何もしてあげられません、マダム、
 ふたたび、彼は私たちを引き離します
 ええ、私は参りません、マダム
 なぜなら、二度も彼を失うこと、それは耐え難いからです
 どうか分かってください、マダム...

Je reçois, à l´instant où je rentre chez moi
Votre missive bleue, Madame
Vingt fois je la relis, et mes yeux n´y croient pas
Pourtant, c´est écrit là, Madame
Et, de votre douleur, je me sens pénétrée
Mais je ne puis plus rien, Madame
Vous saurez, comme moi, que de l´avoir perdu
C´est lourd à supporter, Madame...

 受け取りました、帰宅した時に
 あなたの青色のお手紙を、マダム
 20回読み返しました、そして私の目は信じることができませんでした
 でも、そこにちゃんと書かれてありました、マダム
 そしてあなたの苦しみが、身に沁みるように感じました。
 でも私にはもう何もできません、マダム
 あなたはお分かりになるでしょう、私のように、彼を失ったということは
 辛くて耐えられないことだと、マダム…

Madame3.jpg


[注]
1 pénétré(e) de qc.「…が染みこんだ、…に確信を持った、…でいっぱいである」
2 que...que...soit mortは接続法過去、mourûtは接続法半過去。
3 en vouloir à qn.「…を恨む、悪く思う」
4 malはともに「苦痛」




コメント
ご指摘ありがとうございました。いわゆる、条件法過去第2形としての接続法大過去。誤訳でした。
日本語の歌詞は知りません。
時代背景として反戦運動に触れましたが、この歌が反戦の歌ではないことは、ご指摘の箇所以外だけでも理解していたつもりです。
朝倉ノニーdot 2018.02.11 12:14 | 編集
不躾ながら申し上げます。
この歌の根幹となる部分が、誤訳になっています。接続法大過去の訳が違っています。本来は条件法過去で表されても良い部分ですが、これを直説法的にとらえておられます。

Vous eussiez préféré, je vous retrouve là,
Qu´il fût mort en héros, Madame
Oui, c´eût été plus noble, je vous crois,
Que de mourir d´amour, Madame

この歌は反戦などの歌ではありません。もっとぞっとする怖い歌です。上記の部分、ご再考ください。
日本語でこの歌を歌われる世の中のシャンソン歌手の方々も、最初の訳詞がやはり間違っていたためか、同じ轍を踏みながらまるで違う歌になってしまっています。
Blanche Neigedot 2018.02.11 09:53 | 編集
この歌は何度か耳にしています。メロディーが好きです。アンヌイな歌い方が好きです。歌詞の中には好きな単語が沢山ありました。

こういう意味の歌でしたか?成程。
あきdot 2017.08.16 07:33 | 編集
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