2014
11.19

今宵ただひとりJe suis seule ce soir

Leo Marjane


「今宵ただひとりJe suis seule ce soir」は、以前、放送大学のフランス語の科目でジュリエット・グレコJuliette Grécoの歌を学びましたが、もともとは、レオ・マルジャーヌLéo Marjaneが1941年に、単にSeule ce soirという曲名で歌っていた曲です。フランスがドイツに占領されていた時代で、夫がドイツで捕虜になっている女性たちの共感を呼び、彼女は一躍有名になりました。



この動画の英文の解説には、「レオ・マルジャーヌは、1930年代と1940年代のフランスの偉大な歌手のひとりでした。彼女の独特の"悲しそうに笑う"深みのある声と強い劇的な表現は、20年後、フランスのシャンソンの他の偉大なスター:ジュリエット・グレコにインスピレーションを与えました。レオ・マルジャーヌの壮大なキャリアは第二次世界大戦の終わりとともに突然終了しました。フランス人たちは、占領中に彼女がナチスを楽しませるのに少し熱心すぎたことを思い出しました。 1945年以降、彼女は引退しました。
この美しいメランコリックなスロー・フォックスは、シャルル・トレネによって作られました。画像は20世紀の偉大な写真家の一人、ブラッサイBrassai(彼のハンガリー名はジュラハラス)の写真。録音:Disqueグラモフォン、1941」といったことが書かれています。

ちょっと書き足しておきましょう。
スロー・フォックスとは、1910年代に米国で流行した、4分の4拍子または2分の2拍子の社交ダンスである、フォックス・トロット風のスローな曲のこと。
シャルル・トレネによって作られたというのは誤りで、作詞:ポール・デュランPaul Durand、作曲:ローズ・ノエルRose Noël& ジャン・カザノヴァJean Casanova。
レオは声を和らげるためにマイクロフォンに自分の絹のストッキングをかぶせることを思いついた人で、アメリカのコール・ポーターCole Porterやデューク・エリントンDuke Ellingtonらの曲も歌い、ジャズをフランスに紹介したのは自分だと言っています。

ジュリエット・グレコJuliette Grécoの歌はこちら。歌詞は順序が変わり、一部省略されています。



リュシエンヌ・ドリールLucienne Delyle、ジャクリーヌ・フランソワJacqueline François、ミレイユ・マチューMireil、アンドレ・クラヴォーAndré Claveauらも歌っています。

Je suis seule ce soir            今宵ただひとり
Léo Marjane               レオ・マルジャーヌ


Je viens de fermer ma fenêtre,
Le brouillard qui tombe est glacé 注1
Jusque dans ma chambre il pénètre,
Notre chambre où meurt le passé.

  われ 窓を閉ざしたり、
  たち込めし霧の冷たくて
  わが寝屋まで入りきたるに、
  昔日の失せしわれらが寝屋に。

Je suis seule ce soir4


{Refrain}:
Je suis seule ce soir avec mes rêves,  注2
Je suis seule ce soir sans ton amour.
Le jour tombe, ma joie s'achève,
Tout se brise dans mon cœur lourd.
Je suis seule ce soir avec ma peine
J'ai perdu l'espoir de ton retour,
Et pourtant je t'aime encor' et pour toujours 注3
Ne me laisse pas seule sans ton amour.

  今宵われひとり 夢いだきつ、
  今宵われひとり 君の愛なくして。
  日は暮れて、歓び潰え、
  わが重き心のうち すべて砕けし。
  今宵われひとり 悲しみいだき
  君の還り来る希みうしないて、
  けれどいまだとこしえに君を愛す
  われひとり君の愛なく残したもうな。

Je suis malade1


Dans la cheminée, le vent pleure,
Les roses s'effeuillent sans bruit,
L'horloge, en marquant les quarts d'heure,
D'un son grêle berce l'ennui. 注4

  炉の内奥に、風はうめき、
  音もなく薔薇の花びら散り、
  大時計は、四半時を示しつ、
  その甲高き音色にて憂きこころを慰むる。

Je suis seule ce soir5


{Refrain}

[注]ちょっと古めかしい訳語をあえて用いてみた。男性が歌う場合はseuleがseuleとなるが発音は変わらない。
1 Le brouillard tombe.「霧がたち込める」
2 グレコはこのルフランから歌い出し、第1節を歌い、またルフランを歌っておしまいで、Dans la cheminéeの節は歌っていない。
このルフラン部分は、一般の歌詞ではJe suis seule ce soirで行を替えているが、脚韻に合わせて区切りを変えた。
3 pour toujours「永遠に」
4 grêle「(音が)甲高くて弱い」




コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top