2017
06.08

バラの木通りLa rue des Rosiers

Pia Colombo La rue des Rosiers


1967年。作詞者のシルヴァン・ライネルSilvain Reinerはルーマニア系の作家で、家族をアウシュビッツでなくしました。この曲は、1942年7月16日~17日に行われた最大のユダヤ人大量検挙事件すなわちRafle du Vél' d'Hiv「ヴェル・ディヴ事件」を思い起こさせる内容で、彼は、Cette chanson s’est faite comme un champignon sur ma peau... 「この歌は私の皮膚にキノコのように生えた…」と言っています。作曲:ジョエル・オルメスJoël Holmès。1967年にピア・コロンボPia Colomboが歌いました。

Rue des Rosiers


La rue des Rosiers(バラの木通り)は、パリ右岸のマレー地区Maraisを東西に伸びる通りで、この名前は1230年に、バラの木が近隣に植えられていたのでつけられたそうです。マレー地区は17-18世紀には貴族たちの邸宅街でしたが、その後ユダヤ人の商業地域になりました。この曲には「バラの花咲く道」という邦題がありますが、バラは咲いてはいない…ので、直訳の邦題を付けました。



La rue des Rosiers バラの木通り
Pia Colombo     ピア・コロンボ


{Refrain:}
Il n'y a plus de roses
Dans la rue des Rosiers
Il n'y a plus de roses
Elles sont mortes en été.

 もうバラはない
 バラの木通りに
 もうバラはない
 夏に枯れた

La rue des Rosiers2


C'était en plein marais 注1
Une rue où grouillait
La vie belle et sa rage
Une rue qui sentait
Le hareng qu'on fumait
Et la folie des sages
Un bonjour se chantait,
Se riait, se criait,

 そこは沼地のただなかだった
 その通りにはひしめいていた
 美しい人生とその熱気が
 その通りは
 燻ったニシンの匂いがし
 知識人たちの狂乱があった
 ボンジュールとひとは歌い、
 笑い、叫んだ

Bonjour à la française
Un beau jour une affaire 注2
Un beau jour une misère
Doux comme un lit de fraises
La rue des oubliés
La rue des émigrés
La rue des retrouvailles
Du Polac au roumain
Tous l'aiguille à la main
Trimaient pour leur marmaille
Il faut être malin
Pour garnir de cumin
Le pain noir, la volaille
Encore un bel été
Un mois de liberté
Avant que ça déraille.

 フランス人にボンジュール
 ある日にはひとつの事件
 ある日にはひとつの惨事
 イチゴのベッドのように甘い
 忘却の通り
 移民の通り
 再会の通り
 ポーランド人からルーマニア人に至るまで
 みんなが針を手にし
 自分の子たちのためにがんばって働く
 抜け目ないようにならねば
 クミンを付け合せるために
 黒パンに、鶏に
 また美しい夏が来る
 自由の月だ
 それがおかしくなってしまうまでは。

{Refrain}

Une étoile au veston 注3
Ce n'est pas une prison
Peut-être une malchance.
Il faut être logique
L'allemand c'est la musique 注4
C'est la dernière chance.
Quand vient le grand matin
Il n'y a pas de tocsin

 上着につけた星
 それは監獄ではない
 たぶんひとつの不運だ。
 賢しくあるべし
 アルマンド、それは音楽だ
 それは最後のチャンスだ。
 暁が訪れれば
 警鐘は鳴らない

La rue des Rosiers1


On frappe à votre porte
Dans la rue des camions
Serrés comme des lampions
Les étoiles se portent.
Un peu plus chaque nuit
D'autres vies qui s'enfuient
Ouvraient toutes les portes.
Quel est donc en plein jour

 誰かがあなたのドアをノックする
 通りをトラックが
 カンテラのようにぎゅうぎゅうに
 星を詰め込んで行く。
 そしてまた毎晩
 逃げ去ったほかの生者は
 ドアをすべて開ける。
 さて昼間はどんなになるだろう

Ce désert sans contour
Qu'elle est cette rue morte ?
C'était en plein marais
Un peuple qui grouillait
Un peuple d'enfants sages 注5
Une rue qui grondait
Une rue qui chantait
L'espoir comme l'orage.

 この輪郭のない砂漠
 この死んだ通りは何なんだ?
 それは沼地のただなかだった
 ひしめき合う人々
 たくさんの利口な子供たち
 轟きわたる通りだった
 嵐のような希望を
 謳歌する通りだった。

Il n'y a plus de roses
Dans la rue des Rosiers
Il n'y a plus de roses
Elles sont mortes en été.
Que reviennent les roses
Dans la rue des Rosiers,
Que fleurissent les roses
Sur les anciens rosiers !

 もうバラはない
 バラの木通りに
 もうバラはない
 夏に枯れた。
 バラたち戻って来てよ
 バラの木通りに、
 バラたち咲いてよ
 古いバラの木に!

La rue des Rosiers3


[注]
1 en plein+n.「…の真ん中で」。marais「沼、湿地」はMarais「マレー地区」のこと。
2 un beau jour「ある日」
3 étoile「星」ナチス・ドイツはその占領地において、ユダヤ人を識別するための標識として、ユダヤ人に黄色で描いた星型紋様をつけることを義務づけた。これはJudenstern「ユダヤの星」またはZionstern「シオンの星」と呼ばれた。これは、ユダヤ教、あるいはユダヤ民族を象徴する✡「ダビデの星」に由来する。
4 allemandは「ドイツ人、ドイツ語」以外に、ドイツで生まれた舞曲の「アルマンド」をも意味する。
5 un peuple de「たくさんの」




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