
シャルル・アズナヴールCharles Aznavourの「君対僕Toi contre moi」は、内容を知らずに聴くとステキな曲で、恋がテーマなのかなと思ってしまいますが、実は、先にご紹介したミッシェル・デルペッシュMichel delpecheの「哀しみの別離Les divorcés」と同様、離婚がテーマです。でも結局は、離婚は止めようといいます。が、相手を同意させることが本当にできるのでしょうか…? デルペッシュのほうが、実際の体験に基づいているからなのか、説得力がある、と私は思います。
作詞:アズナヴール、作曲:アズナヴールとジャック・プラントJacques Plante。1986年のアルバム:Embrasse-moiに収録。
Toi contre moi 君対僕
Charles Aznavour シャルル・アズナヴール
Toi contre moi, il est bête à pleurer 注1
Cet orgueil des parents déchirés.
Toi contre moi c'est un combat, on se déchire on se bat
Aidés par nos avocat !
君対僕、泣きたくなるほど愚かしい
この分裂した親の傲慢は。
君対僕、それは戦いだ、いがみ合って争う
それぞれの弁護士に助けられて!
Toi contre moi, contre le monde entier,
Sans répit, sans merci, sans pitié.
Quand l'amour meurt, ça devient chacun pour soi,
Mais les enfants dans tout ça ?
君対僕は、世界全体を敵に回す、
猶予なく、苛烈に、容赦なく。
愛が死ぬとき、愛は各々自分のためのものとなる、
だがこんな事態に子どもたちは?

Quel est leur tort, quel est leur crime,
Pourquoi seraient-ils victimes
De notre échec à nous deux, pourquoi eux ?
Qu'ont-ils fait pour souffrir de nos problèmes,
Eux qui sont ce que quand même nous avons fait de mieux ? !
彼らの過失は何なんだ、彼らの罪は何なんだ、
なぜ彼らは僕たち二人の失敗の
犠牲になるのか、なぜ彼らは?
彼らは何をしたから僕たちの問題を苦しむことになったのか
それでも彼らは僕たちが生み出した良い子たちじゃないか?!
Toi contre moi, quelle raison donner
Au pourquoi des enfants étonnés ?
Toi tu voudrais me les ôter, je devrais les emprunter,
Les prendre et les rapporter !
君対僕、どんな言い訳をするのか
驚いている子どもたちの疑問に
君は僕から彼らを取り上げることを望み、僕は彼らを借りたり、
取り上げたり、戻したりしなければならない!
Toi contre moi, à ce jeu sans issue,
Il ne sort ni vainqueur ni vaincu.
Au bout du compte, il n'y a que les enfants 注2
Qui pour finir sont perdants !
君対僕、逃げ道のないこのゲームに
勝者も敗者も生まれない。
結局のところ、最後に被害を蒙った者は
子どもたちしかいない!

Non aux sorties à la sauvette, aux dimanches et jours de fêtes 注3
Que peut accorder la loi chaque mois !
Tes amis auront beau dire et beau faire:
Je remuerai ciel et terre, 注4
Tu ne les auras pas !
法律が月ごとに認めうる
人目を避けた日曜日や旗日の外出などたくさんだ!
君の友人たちが何を言おうが何をしようが無駄だ
僕はどんな手段でも講じる、
君は彼らを手に入れないだろう
Toi contre moi, c'est l'enfer, c'est l'horreur,
Et pourtant hier, c'était le bonheur !
Toi contre moi, c'était la vie, ses merveilles et ses folies,
Dans tes bras et dans ton lit !
君対僕、それは地獄、それは恐怖
だが昨日は、それは幸福だった!
君対僕、それは人生で、その驚異と狂気だった
君の腕のなかで君のベッドのなかで!
Toi contre moi, ce passé qui nous lie,
Il faudrait le garder à tout prix. 注5
Se retrouver face à face au Tribunal
Ne nous ferait que du mal !
君対僕、僕たちを結びつけるこの過去、
なんとしてもそれを守らねばならない。
法廷で対峙する形で再会することは
僕たちを苦しめるだけだ
Viens ! Faisons amende honorable, évitons l'irréparable 注6
Et le point de non retour, pour qu'un jour
Affleurant de ce drame pitoyable
Il ne reste plus que toi contre moi, mon amour !
さあ!お互いに非を認め謝り合おう、取り返しのつかない事態は
そして帰還不能地点に達するのは避けよう、そうすればいつか
この惨めな事件から浮上して
もはや君対僕の関係しか残らない、愛する人よ

[注]
1 bête à pleurer「泣きたくなるほど愚かしい」
2 au bout du compte「結局のところ」
3 à la sauvette「すぐ逃げ出せるように、大急ぎで、人目を避けて、こっそりと」
4 remuer ciel et terre「あらゆる手段に訴える」
5 à tout prix「どんな代価を払っても、ぜひとも」
6 faire amende honorable「自らの非を認めて謝罪する」
Comment:1
コメント
私自身が体験した詞です。
私の父がこのアズナヴールと同じ考えでした。
裁判になりませんでしたが別居はしました。
最後は母の体調で同居しましたが残念ながら仲良くはならなかったです。
それでも両親が揃って家にいるというのは私には幸せなことでした。口を利かなくとも。
そしてただ一度だけ父が意識のなかった母の病院に見舞いに行った夜中に母は逝きました。
待っていたかのように。
私の父がこのアズナヴールと同じ考えでした。
裁判になりませんでしたが別居はしました。
最後は母の体調で同居しましたが残念ながら仲良くはならなかったです。
それでも両親が揃って家にいるというのは私には幸せなことでした。口を利かなくとも。
そしてただ一度だけ父が意識のなかった母の病院に見舞いに行った夜中に母は逝きました。
待っていたかのように。
キャサリン
2019.03.18 11:58 | 編集
