2014
11.13

競売場(貴婦人) Drouot

Barbara Drouot


「競売場(貴婦人) Drouot」は、1970年、バルバラ自身の作詞・作曲。題名のDrouot(ドルオ)は競売所を運営する会社組織の名前で、競売所の代名詞のように用いられています。「貴婦人」という邦題で知られていますので、少々違和感を感じながらもそれを副題としました。日本語の歌詞では、(ケチばかりつけるようで申し訳ないですが…)20歳から30年経ったとしながら「老婦人」という表現をしていますが、50歳ってもう「老婦人」と呼ばれる歳なんでしょうか?ちなみに、国連では60歳以上、WHOでは65歳以上を高齢者と呼ぶようで、私なんぞしっかり該当します。

この曲も私のレパートリーの一つです。バルバラの歌い方を直接真似ず、楽譜通りのワルツのメロディーに即した歌い方にして取り組んできましたが、同じメロディーが何度も繰り返されるなかで物語が展開していくこの曲はとても難しいです。今後もさらに時間をかけて歌いこんでいきたいと思っています。

動画を自分で作成して投稿しました。その音源は、昔買った1970年版のLPをパソコンに取り込んだものです。



Drouot     競売場(貴婦人)
Barbara    バルバラ


Dans les paniers d’osier de la salle des ventes
Une gloire déchue des folles années trente
Avait mit aux enchères, parmi quelques brocantes
Un vieux bijou donné par quel amour d’antan 注1

  競売所の柳の籠のなかに入れられて
  狂おしい30年の歳月の地に落ちた栄光が
  古物商のあいだで、競りにかけられていた
  古い宝石はどのような昔の恋の賜物なのか

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Elle était là, figée, superbe et déchirante
Les mains qui se nouaient, se dénouaient tremblantes
Des mains belles encore, déformées, les doigts nus 注2
Comme sont nus, parfois, les arbres en Novembre

  彼女はそこにいた、こわばった、美しく痛ましい面持ちで
  その手は震えながら結ばれたりほどけたりしていた
  その手はまだ美しいけれど、形はゆがみ、指輪のない指は
  しばしば裸になる11月の木々を思わせた

Comme chaque matin, dans la salle des ventes
Bourdonnait une foule, fiévreuse et impatiente
Ceux qui, pour quelques sous, rachètent pour les vendre
Les trésors fabuleux d’un passé qui n’est plus

  毎朝のように、競売所では
  興奮して待ち切れない様子で、人々がざわめいていた
  彼らは、わずかのお金で、売却用に買い取るのだ
  過ぎた昔のとんでもない宝物を

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Dans ce vieux lit cassé, en bois de palissandre
Que d’ombres enlacées, ont rêvé à s’attendre
Les choses ont leurs secrets, les choses ont leurs légendes
Mais les choses murmurent si nous savons entendre 注3

  紫檀でできた、この壊れた古いベッドで
  絡み合った影が、かつて夢み待ち望んだ
  彼らの持ち物が彼らの秘め事を身につけ、彼らの伝説を身につけることを
  だがもしも私たちに聞く耳があったならとそれらの物はささやく

Le marteau se leva, dans la salle des ventes
Une fois, puis deux fois, alors, dans le silence
Elle cria: "Je prends, je rachète tout ça
Ce que vous vendez là, c’est mon passé à moi"

  競売所で、木槌が振り上げられた
  一度、そして二度、そして、静寂のなかで
  彼女は叫んだ「わたしがいただくわ、わたしがそれをぜんぶ買い戻すわ
  あなた方がそこでお売りの品、それはわたしの過去なのよ」

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C’était trop tard, déjà, dans la salle des ventes
Le marteau retomba sur sa voix suppliante
Tout se passa si vite, à la salle des ventes
Tout se passa si vite, on ne l’entendit pas

  遅すぎた、すでに、競売所では
  彼女の哀願する声を押しつぶすように木槌が再び打ち下ろされた
  すべてはとても速く過ぎ、競売場では
  すべてはとても速く過ぎ、彼女の声は聞かれなかった

Près des paniers d’osier, dans la salle des ventes
Une femme pleurait ses folles années trente
Et revoyait soudain défiler son passé
Défiler son passé, défiler son passé

  競売所の、柳の籠のそばで
  ひとりの女が狂おしい30年の歳月を嘆いていた
  そして突然目の当たりにした、自分の過去がよぎるを
  自分の過去がよぎるのを、自分の過去がよぎるのを

Je suis malade14


Car venait de surgir, du fond de sa mémoire
Du fond de sa mémoire, un visage oublié
Une image chérie, du fond de sa mémoire
Son seul amour de femme, son seul amour de femme

  なぜなら現れて来たから、彼女の記憶の底から
  彼女の記憶の底から、忘れていた面影が
  いとしい姿が、彼女の記憶の底から
  女としてのただひとつの恋が、女としてのただひとつの恋が

Hagarde, elle sortit de la salle des ventes
Froissant quelques billets, dedans ses main tremblantes
Froissant quelques billets, du bout de ses doigts nus
Quelques billets froissés, pour un passé perdu

  取り乱して、彼女は競売所を出た
  震える手のなかで、何枚かの紙幣をしわくちゃにしながら
  裸の指の先で、何枚かの紙幣をしわくちゃにしながら
  しわくちゃになった紙幣は、失われた過去の代替だった

Hagarde, elle sortit de la salle des ventes
Je la vis s’éloigner, courbée et déchirante
De son amour d’antan, rien ne lui restait plus
Pas même ce souvenir, aujourd’hui disparu...

  取り乱して、彼女は競売所を出た
  わたしは彼女が、背をかがめて憔悴した様子で遠ざかって行くのを見た
  彼女のかつて恋の名残は、なにももう残っていなかった
  想い出さえも、今日 消え去った…

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[注]
1 antanは「去年」の意味のほかに、「昔、かつて」の意味で用いられる。
2 les doigts nus「裸の指」は、結婚指輪や婚約指輪をつけていない、つまり、独り身だということを表す。les mains nuesなら「(手袋をしない」素手」。
3 競売所でそれらの物品を購入しようという人々には、それらに込められたもとの所有者の想いが伝わらない。




コメント
毎度お世話になります。
今日、私の所に
Barbaraの「Drouout」は
Roland Romanelliが作曲したのですか
という問い合わせがありました。
検索してみますと
朝倉様のブログがヒット。
どこからRomanelliの作曲という情報を持っていらしたのでしょうか?
岩元ガン子dot 2016.02.14 20:15 | 編集
間違えた情報を発信し申し訳ありませんでした。訂正いたしました。
朝倉ノニーdot 2016.02.15 07:58 | 編集
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