2017
02.16

芸術家の人生La vie d'artiste

Léo Ferré La chanson du scaphandrier


今回は、レオ・フェレLéo Ferréの曲のなかでも古典ともいえる「芸術家の人生La vie d'artiste」です。1950年に最初の妻オデットOdetteと離婚し、その余韻のなかでフランシス・クロードFrancis Claude(ミシェル・アルノーMichèle Arnaudの夫)の協力を得て作られた曲(1952年にフェレが作った同名のオペラとは無関係)です。まずはピアノの弾き語りで1954年のアルバム:Chansons de Léo Ferréに収録されました(朗唱版)。フェレは50年に知り合ったマドレーヌMadeleineと52年に結婚しましたが68年に離婚。翌69年にこの曲をJean-Michel Defayeのオーケストラをバックに、早いテンポで歌っています(アルバム:Les Douze Premières Chansons de Léo Ferré)。そして1972年のヴァージョンでは、ピアノを弾きながら歌わずに語っています。まさに弾き語り(アルバム:Les chansons d'amour de Léo Ferré)。そして1974年にフェレはマリー=クリスチーヌMarie-Christineと3度目の結婚。この曲は芸術家フェレの人生と重なる曲です。

レオ・フェレ(朗唱版)後半は別の曲です。



レオ・フェレ(語り版)



この曲は、多くの歌手が歌っています。ミシェル・アルノーMichèle Arnaudコラ・ヴォケールCora VaucaireバルバラBarbaraルネ・クロードRenée Claudeアニック・シザルクAnnick Cisaruk などです。

ミシェル・アルノーMichèle Arnaud



La vie d'artiste  芸術家の人生
Léo Ferré     レオ・フェレ


Je t'ai rencontrée par hasard,
Ici, ailleurs ou autre part,
Il se peut que tu t'en souviennes.
Sans se connaître on s'est aimés,
Et même si ce n'est pas vrai,
Il faut croire à l'histoire ancienne.
Je t'ai donné ce que j'avais
De quoi chanter, de quoi rêver.
Et tu croyais en ma bohème,
Mais si tu pensais à vingt ans
Qu'on peut vivre de l'air du temps, 注1
Ton point de vue n'est plus le même.

  僕は君に偶然出会った
  ここかあそこかあるいはまた別のところか、
  君は覚えているかもしれない。
  お互いを知りもしないで僕たちは愛し合い、
  本当ではないにせよ、
  古い物語を信じなきゃならない。
  僕は君に自分の持てるものを捧げた
  歌うものを、夢見るものを。
  そして君は僕の自由な生き方を信頼した、
  だが二十歳の時に君がもし
  無一文で暮らしていけると考えていたのなら
  君の見方はもう変わっただろう。

La vie dartiste1


Cette fameuse fin du mois 注2
Qui depuis qu'on est toi et moi,
Nous revient sept fois par semaine
Et nos soirées sans cinéma,
Et mon succès qui ne vient pas,
Et notre pitance incertaine.
Tu vois je n'ai rien oublié
Dans ce bilan triste à pleurer 注3
Qui constate notre faillite.
" Il te reste encore de beaux jours
Profites-en mon pauvre amour,
Les belles années passent vite."

  この例の月末の金欠ってやつは
  君と僕が連れ合ってこのかた、
  週に7回もやって来た
  そして僕たちの映画なしの夜、
  そしてやってこない僕の成功、
  そして僕たちの得体の知れないエサ。
  そうさ僕は何も忘れちゃいない
  僕たちの破産を証明する
  この泣けるような惨めな決算書には
  「君にはまだ晴天の日々が残っている
  僕のかわいそうな恋人よそれを大事にしろ、
  美しい年月は早く過ぎてしまう。」とある。

Et maintenant tu vas partir,
Tous les deux nous allons vieillir
Chacun pour soi, comme c'est triste. 注4
Tu peux remporter le phono,
Moi je conserve le piano,
Je continue ma vie d'artiste.
Plus tard sans trop savoir pourquoi
Un étranger, un maladroit,
Lisant mon nom sur une affiche
Te parlera de mes succès,
Mais un peu triste toi qui sais
" Tu lui diras que je m'en fiche... 注5
que je m'en fiche..."

  そして今君は出て行くところだ、
  僕たちは二人とも年老いていく
  おのれ大事ってのは、なんと悲しいことか。
  プレーヤーは持って行っていい、
  僕にはピアノがある、
  芸術家の生き方を続けるよ。
  もっと後にどういうわけか
  あるよそ者が、船乗りが、
  僕の名前をビラで読んで
  君に僕が成功したことを話すだろう、
  だがちょっと悲しい気もしながら君には分かっているから
  君は彼に言うだろう、あの人にとっちゃどうでもいいこと…
  どうでもいいこと…と

La vie dartiste3


[注]
1 vivre de l'air du temps「無一文である、かすみを食って生きる」
2 fin du mois「月末、給料前」
3 bilan「貸借対称表」は二人の関係(結婚)の総括を経理的な用語で表現している。 Il te reste 以下がその内容で、フェレが妻に言う言葉であり、この辺のつながりは意訳した。faillite「破産」も二人の関係がご破算になること、すなわち離婚。
4 chacun pour soi「得手勝手主義、エゴイズム」。Chacun pour soi, Dieu pour tout「各人は自分のために、神は万人のために」というキリスト教のことわざから。
5 最後の2行は引用符で括られているが、そのなかに間接話法が組み込まれ、que je m'en ficheのjeはフェレであり、「あの人」と訳した。



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