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2020
09.27

彼らに言わなくちゃIl faudra leur dire

Fancis Cabrel Il faudra leur dire


今回は久しぶりにフランシス・カブレルFancis Cabrelで、曲名は「彼らに言わなくちゃIl faudra leur dire」。作詞・作曲はカブレル自身。1986 年にシングルリリースされました。
Cabrelet les enfantsというクレジットが付されていますが、1946年から活動していた子供たちのコーラス・グループ:レ・プティ・シャントゥール・ダスニエールLes petits chanteurs d'Asnièresのメンバーのヤニック・リュスYannick Luce、フレデリック・マチュゥFrédéric Mathieu、アレクサンドラ・パイィAlexandra Paillyほかが参加しています。
この曲は後年、キッズ・ユナイテッドKids Unitedレ・プレトル(聖職者たち)Les Prêtres、ヴォワ・アンジェリ Vox Angeliなどがカヴァーしています。
歌詞内容については余計なことは申しません。拙訳をお読みください。いえ、歌を聴くだけでいいですね。



Il faudra leur dire  彼らに言わなくちゃ
Fancis Cabrel    フランシス・カブレル


Si c'est vrai qu'il y a des gens qui s'aiment
Si les enfants sont tous les mêmes
Alors il faudra leur dire
C'est comme des parfums qu'on respire
Juste un regard
Facile à faire
Un peu plus d'amour que d'ordinaire

 愛し合っている人々が本当にいるのなら
 子どもたちがみんなそうなら
 彼らに言わなきゃ
 それは吸い込む香りのようなものなんだ
 まなざしだけでいいんだ
 普通よりもう少し愛するのは
 易しいことなんだよ

Il faudra leur dire2


Puisqu'on vit dans la même lumière
Même s'il y a des couleurs qu'ils préfèrent
Nous on voudrait leur dire
C'est comme des parfums qu'on respire
Juste un regard
Facile à faire
Un peu plus d'amour que d'ordinaire

 なぜならひとは同じ光のもとで生きているから
 たとえ好む色合いが異なっていようと
 僕たちは彼らに言わなきゃ
 それは吸い込む香りのようなものなんだ
 まなざしだけでいいんだ
 普通よりもう少し愛するのは
 易しいことなんだよ

Juste un peu plus d'amour encore
Pour moins de larmes
Pour moins de vide
Pour moins d'hiver
Puisqu'on vit dans les creux d'un rêve
Avant que l’amour ne touche nos lèvres
Nous on voudrait leur dire

 さらにもう少し愛を
 涙を少なくするため
 虚しさを少なくするため
 寒い冬を少なくするために
 なぜならひとは夢の洞のなかで生きているから
 愛が僕たちの唇に触れるまでに
 僕たちはね、彼らに言いたい

Il faudra leur dire1


Les mots qu'on reçoit
C'est comme des parfums qu'on respire
Il faudra leur dire
Facile à faire
Un peu plus d'amour que d'ordinaire

 ひとが受け取る言葉
 それは吸い込む香りのようなものなんだ
 彼らに言わなきゃ
 易しいことなんだよ
 普通よりもう少し愛するのは

Si c'est vrai qu'il y a des gens qui s'aiment
Si les enfants sont tous les mêmes
Alors... il faudra leur dire
Les mots qu'on reçoit
C'est comme des parfums qu'on respire
Il faudra leur dire
Facile à faire

 愛し合っている人々が本当にいるのなら
 子どもたちがみんなそうなら
 なら…彼らに言わなきゃ
 ひとが受け取る言葉
 それは吸い込む香りのようなものなんだ
 彼らに言わなきゃ
 易しいことなんだよ

Il faudra leur dire3




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2020
09.22

パパウテPapaoutai

Stromae Papaoutai


ストロマエStromaeは1985年生まれ、ベルギー・ブリュッセル出身のヒップホップ・電子音楽のミュージシャン、シンガーソングライターです。Stromaeという名前はマエストロmaestro の倒語で、ご紹介する曲のタイトル「パパウテPapaoutai」 は Papa ou t'es ? 「パパはどこ?」 という意味の造語。2013年シングル盤がリリースされ、同年アルバム:Racine carréeに収録されました。ストロマエは2015年のアフリカ・ツアーで、マラリア予防のために抗マラリア剤を使用し、その副作用でひどい体調不良を起こしていまだ回復せず、復帰の目処は立っていないといわれます。
「亭主元気で留守がいい」というのは日本での1986年の流行語。ママはそうかもしれないけど、僕はパパに家にいてもらいたいよ、「パパはどこ?」…その歌詞内容には、ストロマエ自身の自叙伝的な要素がうかがえるそうです。



Papaoutai パパウテ
Stromae  ストロマエ



Dites-moi d'où il vient
Enfin je saurai où je vais
Maman dit que lorsqu'on cherche bien
On finit toujours par trouver
Elle dit qu'il n'est jamais très loin
Qu'il part très souvent travailler
Maman dit "travailler c'est bien"
Bien mieux qu'être mal accompagné
Pas vrai ?

 あの人がどこから来るのか教えてよ
 そうすりゃ僕がどこに行けばいいのか分かるから
 ママは言う、よく探せば
 最後にはきっと見つかるわと
 彼女は言う、あの人はけっしてうんと遠くにいるわけじゃなくて
 しょっちゅう働きに行くのよと
 ママは言う、「働くのはいいことよ」
 へたに一緒にいられるよりずっといいわ
 そうじゃない?と

Où est ton papa ?
Dis-moi où est ton papa ?
Sans même devoir lui parler
Il sait ce qui ne va pas
Ah sacré papa
Dis-moi où es-tu caché ?
Ça doit, faire au moins mille fois que j'ai
Compté mes doigts

 君のパパはどこにいるんだい?
 言ってみろよ、君のパパはどこにいるんだい?
 そいつに話すまでもなく
 うまく行っていないことをそいつは知っている
 ああ、いまいましいパパ
 教えて、あなたはどこに隠れているの?
 そのせいで、僕は千回以上も
 指折り数えちゃったよ

{Refrain:}
Où t'es, papaoutai ?
Où t'es, papaoutai ?
Où t'es, papaoutai ?
Où t'es, où t'es où, papaoutai ? (x2)

 Où t'es, où t'es où t'es, où t'es où t'es, où t'es...

 どこなの?パパどこなの?
 どこなの?パパどこなの?
 どこなの?パパどこなの?
 どこなの、どこなのどこ、パパどこなの?

  どこなの、どこなの、どこなの、どこなの…

Papaoutai1.jpg


Quoi, qu'on y croit ou pas
Y aura bien un jour où on y croira plus
Un jour ou l'autre on sera tous papa
Et d'un jour à l'autre on aura disparu
Serons-nous détestables ?
Serons-nous admirables ?
Des géniteurs ou des génies ? 注1
Dites-nous qui donne naissance aux irresponsables ?
Ah dites-nous qui, tiens
Tout le monde sait comment on fait les bébés
Mais personne sait comment on fait des papas
Monsieur Je-sais-tout en aurait hérité, c'est ça
Faut l'sucer d'son pouce ou quoi ? 注2
Dites-nous où c'est caché, ça doit
Faire au moins mille fois qu'on a, bouffé nos doigts
Hé!

 信じようが信じまいが
 もう信じられなくなる日が来るだろう
 いつの日か僕らはみんなパパになっちゃう
 そしていつの日か僕らは消えちゃう
 僕らはダメなパパになるのかな?
 僕らは素晴らしいパパになるのかな?
 生み出すだけのパパかそれとも秀でたパパか?
 教えてよ、無責任なパパたちを生んだのは誰なの?
 ああ、教えてよ誰なのか、ねえ
 どうやって赤ちゃんを作るのか誰だって知ってる
 でもどうやってパパを作るのかは誰も知らない
 全知全能の神様がパパを受け継いだ、そういうことなんだ
 親指をしゃぶって考えなきゃってことかい?
 どこに隠れちゃったのか僕らに教えてよ、そのせいで
 僕らは千回以上も指を食っちゃうことになるよ
 ヘー!

{Refrain x2}

Papaoutai2.jpg


Où est ton papa ?
Dis-moi où est ton papa ?
Sans même devoir lui parler
Il sait ce qui ne va pas
Ah sacré papa
Dis-moi où es-tu caché ?
Ça doit, faire au moins mille fois que j'ai
Compté mes doigts (x2)

 君のパパはどこにいるんだい?
 君のパパがどこにいるか教えろよ!
 友達に打ち明けるまでもなく
 友達はうまく行っていないのを察している
 ああ、いまいましいパパ!
 教えて、パパはどこに隠れているの!
 そのせいで、僕は千回以上も
 指折数えてしまったよ

{Refrain x2}

Papaoutai3.jpg


[注]
1 géniteur本来は「種畜」だが皮肉で「生物学的な父親」を意味し、先述のdétestableに当たる。génie「天才」のほか「精霊、神」をも意味し、「優良な資質を持った父親」ということで先述のadmirableに当たる。
2 sucer de son pouce はベルギーの方言で「当てる」とか「推量する」という意味だという。ここではその意味で捉えていいと思われるが、子供の「指しゃぶり」の意味自体も検討してみたい。「日本では愛情不足などネガティブなイメージでとらえられることが多いが、欧米では、ストレスから生じる感情から自分なりに感情を立て直そうとする行為であり子どもの自立への一歩だと考えられている」という。(→参照)。また、se manger les poucesはs'ennuyer 「退屈する」の意味で用いられる。これは大人の場合か?



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2020
09.19

サン・サルヴァドルSan Salvador

Françoise Hardy Soleil


名曲「愛のロマンスRomance Anónimo」は、19世紀後半にギターの練習用としてスペインのギター奏者アントニオ・ルビーラAntonio Rubiraが作曲したとされ、1952年のフランス映画「禁じられた遊びJeux interdits 」の主題曲としてナルシソ・イエペスNarciso Yepesが編曲・演奏して広く知られるようになりました。この曲をフランソワーズ・アルディFrançoise Hardyが「サン・サルヴァドルSan Salvador」というタイトルでフランス語の歌詞で歌っています。前回の「月の花Fleur de Lune」と同様、1970年のアルバム:Soleilに収録されています。作詞:ユーグ・ド・クールソンHugues de Courson&パトリック・モディアーノPatrick Modiano。

サン・サルバドルSan Salvadorは、中央アメリカ中部に位置するエルサルバドル共和国 República de El Salvadorの首都です。でも、この歌詞のなかで「あなた」が想い出すサン・サルバドルはその街ではなく、夢のなかか前世かで知ったパラダイスなのです。そして、主語が「私」ではなく「あなた」とされていることは、私の本棚で50年以上も眠っている倉橋由美子の「暗い旅」を読み返したい気持ちを引き起こします。その地に戻ることその人に再び会うことは無理なのでしょうか…。



San Salvador   サン・サルヴァドル 
Françoise Hardy フランソワーズ・アルディー


Pendant la nuit
L'hiver est revenu
Dans les rues aujourd'hui
Tous les arbres sont morts
En écoutant la pluie
Tu penses à ce pays
Dont le nom était San Salvador

 夜のあいだに
 今日、通りに
 冬が戻ってきた
 木々はすべて枯れた
 雨音を聴きながら
 あなたはその地を想う
 その名はサン・サルヴァドルだった

San Salvador1


Tu te souviens
Quand tu fermes les yeux
D'un étrange jardin
D'où montait le matin
Des milliers de parfums
Et des papillons bleus
C'était peut-être San Salvador

 目を閉じると
 あなたは想い出す
 ある不思議な庭を
 そこから
 香りに満ち溢れ
 青い蝶たちが飛び交う朝が明ける
 それはおそらくサン・サルヴァドルだった

San Salvador
Tu répètes ce mot
Comme si tu voulais
Retrouver le reflet 注1
Des crépuscules mauves
Et des galions du port
Qui revenaient de l'île au trésor

 サン・サルヴァドル
 あなたはこの言葉を繰り返す
 あたかも望んでいるかのように
 紫いろの夕映えを
 そして宝島から戻ってきた
 港のガリオン船の影を
 見出すことを

San Salvador3


Tu ne sais plus
Comment y retourner
Qui sait si ce pays 注2
A jamais existé 注3
Si c'était dans tes rêves
Ou dans une autre vie
Que tu as connu San Salvador

 あなたにはもう分からない
 そこに戻るすべが
 誰が知っているの
 その地がかつて存在したのか
 またあなたがサン・サルヴァドルを知ったのが
 夢のなかだったのか
 あるいは前世だったのかを

San Salvador
Le vent souffle aux carreaux
Dans le bruit de la pluie
Tu entends un écho
Une chanson perdue
Qui te vient d'un pays
Que tu ne reverras jamais plus

 サン・サルヴァドル
 風が窓ガラスに吹き付け
 雨音のなかで
 あなたは残響を聴く
 失われた歌を
 その歌はとある地からあなたのところにやって来た
 その地をあなたはもう決して見ることはない

San Salvador4


[注]
1 reflet は、reflet des crépuscules「夕映え」、reflet des galions「ガリオン船の影」と、つながりにより訳語を変えた。
2 Qui sait…「誰が知っているのか」は「誰も知らない」の意味を含む。
3 jamaisは「かつて」の意味で、複合過去a existéに組み込まれているのであり、à jamais「いつまでも、永遠に」ではない。



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2020
09.13

月の花Fleur de lune

Françoise Hardy Soleil


フランソワーズ・アルディFrançoise Hardyの1970年のアルバム:Soleilのタイトルトラック「太陽Soleil」は先にご紹介しましたが、このアルバムには月に因む曲も入っています。「月の花Fleur de lune」というとても詩的な歌詞内容の曲です。そういえば、その30年以上のちの2004年に、「月影でÀ l'ombre de la lune」という哀しく美しい曲も歌いましたね。

先日、ドラマーの野口迪生さんから、「月下美人が咲いたよ」と写真がメールで送られてきました。香りまで届いてきたようで、コロナで憂鬱な気持ちが続くなか、とてもうれしかったです。月下美人Epiphyllum oxypetalumは、年に1度か2度一晩だけ咲く花。フランス語ではbelle de nuitと呼ばれるほかfleur de luneとも呼ばれます。また、スパティフィラムSpathiphyllumもfleur de luneと呼ばれます。この曲で歌われているのはどちらなのかな?いえ、幻の花、夢の花くらいにとらえていいかもしれませんね。

原曲はSong of Winterという英語の曲で、作詞:ミッキー・ジョーンズMicky Jones 、作曲:トミー・ブラウンTommy Brown。フランス語の作詞はアルディー自身。



アルディは英語のSong of Winterも歌っています。 1970年の英語歌唱アルバム:Alone(One-Nine-Seven-Zero)に収録。




Fleur de lune   月の花
Françoise Hardy フランソワーズ・アルディ


Suis-je la fleur de lune
Ou bien l'eau qui dort
Je suis née dans une brume
Là où le vent vient du nord

 私は月の花かしら
 それともまたまどろむ水
 私は霧のなかで生まれた
 北から風が吹いてくるところで

Fleur de lune2


Suis-je l'herbe sauvage
Ou le ciel de pluie
Viens te prendre à mon mirage
Te noyer dans mes yeux gris

 私は野の草かしら
 それとも雨の空
 私のまぼろしをとりに来て
 私の灰色の目のなかでおぼれに来て

{Refrain:}
Ou que tu sois je t'appelle
Je sais que tu m'entends
Je sais qu'il faudra que tu viennes
Ma cage est grande ouverte et ma prison t'attends

 どこにいようとあなたを呼ぶわ
 聞こえてるってわかっている
 あなたは来なきゃならないってわかっている
 私の檻は大口開いて私の牢獄はあなたを待っている

Fleur de lune3


Suis-je l'étoile ou l'algue
Suis-je le faux semblant
Viens t'enrouler dans mes vagues
Elles ont comme un gout de sang 

 私は星それとも海草かしら
 私はまがい物なのかしら
 私の波に呑まれに来て
 波は血のような味よ

{Refrain}

Suis-je la fleur de lune
Ou bien l'eau qui dort
Suis-je l'herbe sauvage
Ou le ciel de pluie
Viens dans mon mirage
Au fond de mon nid

 私は月の花かしら
 それともまたまどろむ水
 私は野の草かしら
 それとも雨の空
 私の巣の奥の
 私のまぼろしのなかに来て

Fleur de lune1


[注] comme un gout de sang正確には「血の味のようなもの」だが意訳した。



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2020
09.11

生きる詩Vivant poème

Barbara.jpg


バルバラBarbaraは、16年間スタディオから遠ざかったのち、1996年に新しい12曲を録音してアルバム:Barbara をリリースしました。このアルバムはバルバラの白鳥の歌chant du cygneとなりました。そのなかの1曲、ロックグループのテレフォンヌTéléphoneのメンバーであったジャン=ルイ・オーベールJean-Louis Aubertが作詞した「生きる詩Vivant poème」をご紹介いたしましょう。先に訳したこのアルバムの曲「疲れ果ててFatigue」は、題名どおり陰気な内容でした。今回の曲は、暗い曲のように聴こえるかもしれませんが、そうではありません。「生きる詩Vivant poème」というmot-cléを用いて、「さぁ、世界に歩み出して自分の人生を生きるのよ」と子供の背中を押して励ます内容です。以前は、バルバラの晩年の録音は聞き苦しいと思っておりましたが、今回、美しい声では表現しえない境地があるということを再認識いたしました。



バルバラBarbaraとジャン=ルイ・オーベールJean Louis Aubertのデュオ



マチュウ・ロザスMathieu Rosaz



Vivant poème 生きる詩
Barbara    バルバラ


Va. Ce monde, je te le donne.
Va. Jamais n'abandonne.
C'est vrai qu'il n'est pas à l'image
Des rêves d'un enfant de ton âge.
Je sais. Le monde a des accents.
Souvent, il nous montre les dents.
Mais je l'aime comme je t'aime.
Et je voudrais tant que tu l'aime.
Je voudrais tant.
Tu en es le vivant poème. 注1

 行きなさい。この世界をあなたにあげるわ。
 行きなさい、けっして投げ出さないで。
 たしかに、世界はあなたのとし頃の子供が夢みる
 イメージにはそぐわない。
 知っているわ。世界はいろんな口調を持つ。
 時には、私たちに牙をむくのよ。
 でも私はあなたを愛するように世界を愛している。
 そして私はあなたが世界を愛するようとても望んでいる。
 とても望んでいるわ。
 あなたはその生きる詩なの。

Vivant poème2


Pars. Le monde est un espoir.
L'espoir, jamais ne l'abandonne.
Oui, le monde est notre histoire
De matins clairs et de nuits noires.
Je sais,
Je sais que le monde a des armes.
Que le monde parfois nous désarme.
Mais il t'aimera comme tu l'aimes.
Il t'aimera.
La vie est un poème
Que tu vas écrire toi-même.

 出発しなさい。世界は希望よ。
 希望、けっしてそれを投げ出さないで。
 そうよ、世界は私たちの物語
 明るい朝のそして暗い夜の。
 知っている、
 知っているわ、世界は武器を持っているって。
 世界は時には私たちを腑抜けにする。
 でも世界はあなたを愛してくれるわ、あなたがそれを愛するように。
 世界はあなたを愛してくれるわ
 人生はあなた自身が書こうとしている
 一篇の詩なのよ。

Va. Ce monde, va le voir.
Jamais ne perds l'espoir.
Va. Dans ce monde, va te voir.
Traverse les miroirs.
Je sais,
Je sais que le monde a des dents.
Comme nous, le monde se défend.
Mais il t'aimera comme tu l'aimes.
Et je voudrais tant que tu l'aime.
La vie est un long je t'aime
Un long je t'aime.

 行きなさい。この世界を、見に行きなさい。
 けっして希望を失わないで。
 行きなさい。この世界のなかに、自分を見に行きなさい。
 鏡を通り抜けなさい。
 知っているわ、
 知っているわ、世界は牙を持っているって。
 私たちのように、世界は身を護る。
 でも世界はあなたを愛してくれるわ、あなたがそれを愛するように。
 そして私はあなたが世界を愛するようとても望んでいる。
 人生は長いジュテーム
 長いジュテームなのよ。

Vivant poème3


Parce que monde est vouloir, 注2
Traverse les miroirs.
Et jamais jamais n'abandonne.
Va, va.
La vie est un long je t'aime
Que tu veux écrire toi-même.
Va, et jamais jamais n'abandonne.
Va, va,
Va. Traverse les miroirs
Où se reflète ton regard.
Tu es un vivant poème.
La vie est un long je t'aime
Dont tu es le vivant poème,
Le vivant poème,
Le vivant poème,
Mon vivant poème.

 世界は願望なのだから、
 鏡を通り抜けなさい。
 そしてけっしてけっして投げ出さないで。
 行きなさい、行きなさい。
 人生はあなた自身が書くことを望む
 長いジュテームなの。
 行きなさい、行きなさい、
 行きなさい。あなたの目が映る
 鏡を通り抜けなさい。
 あなたは生きる詩。
 人生は長いジュテームで
 あなたはその生きる詩、
 生きる詩、
 生きる詩、
 私の生きる詩なのよ。

[注] バルバラ、JLオーヴェールとのデュオ、マチュウ・ロザスそれぞれ、歌詞が違うところが多々あるが、バルバラの歌唱を基準とした。
1 Tu en es le vivant poème.=Tu es le vivant poème du monde.最後の節では「世界」を「人生」に変えた類似した表現がみられる。La vie est un long je t'aime / Dont tu es le vivant poème,
2 デュオ、マチュウはPars. Ce monde, va le voir.と歌っているが、バルバラの歌はこう聴こえた。


Vivant poème1



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2020
09.06

彼はそこにいた(客席)Il était là (Le fauteuil)

Michel Sardou Il était là


「彼はそこにいた(客席)Il était là (Le fauteuil)」は、ミッシェル・サルドゥーMichel Sardouの1982年の11番目のスタディオアルバムのタイトルトラック。作詞:ミッシェル・サルドゥーMichel Sardou&ピエール・ドラノエPierre Delanoë、作曲:ジャック・ルヴォーJacques Revaux。「君の瞳に見守られ」という邦題がありますが、原題を直訳した邦題にいたしました。 Le fauteuilという副題もつけられています。おもに「肘掛け椅子」と訳されますが、ここでは劇場や映画館の1階の椅子席のことです。
始めてステージに立った自分を父親が客席で見守ってくれた。その後、自分の息子がその席に座る。そしていつか、その息子がステージに立ち、自分がその席で彼を見守ることになるだろう。といった歌詞内容です。サルドゥーの祖父ヴァランタンValentinは俳優。父親フェルナンFernandは俳優で歌手。母親ジャッキーJackieも俳優。この曲の6年前の1976年に父親は亡くなっています。サルドゥーの長男ロマンRomainは1974年生まれで当時8歳。初めて一人で客席に座るに相応しい年齢。彼はのちに作家となりましたが、1978年生まれの次男ダヴィDavyはのちに俳優となりました。この曲は、祖父、父、本人、次男という、4代にわたるステージ稼業を物語っているようです。なお、サルドゥーは、シャンソンを離れ演劇に専念するために2018年3月23日・24日に最後のコンサートを開きました。



Il était là (Le fauteuil)  彼はそこにいた(客席)
Michel Sardou       ミッシェル・サルドゥー


Il était là , dans ce fauteuil,
Mon spectateur du premier jour,
Comme un père débordant d'orgueil
Pour celui qui prenait son tour,

 彼はそこにいた、この席に、
 初日の僕の観客、
 出番の回ってきた者にとっては、
 尊大さに満ち溢れた父親のよう、

Il était là , dans ce fauteuil,
Premier témoin de mes faux pas,
Le cœur tremblant comme une feuille,
Croyant que je ne savais pas.

 彼はそこにいた、この席に、
 僕のしくじりの最初の目撃者、
 心臓が木の葉のように震える、
 知らぬ存ぜぬを 決め込みながらも。

Il était là , sur ma galère,  注1
Lieutenant de la providence
M'envoyant des ondes légères
Comme le ciel de sa Provence,  注2

 彼はそこにいた、僕のつらい状況に際して、
 神の代理人は
 僕に持ち前のプロヴァンスの空のような、
 軽やかな波動を送りつつ

Il était là , dans ce fauteuil,
Qu'il a loué pour l'éternité
Pour m'applaudir du coin de l'œil
Et de temps en temps rigoler.

 彼はそこにいた、この席に、
 彼は長い間褒め称え続けた
 目の隅で僕を称賛し
 時折は笑って。

Michel Sardou début


Petit, tu m'as fait bien plaisir:
Tu m'as rappelé ton grand-père.
Entre ses larmes et son sourire,
Il n'y avait pas de frontière.

 おチビちゃん、君は僕を喜ばせる
 君は君のおじいちゃんを思い出させる。
 彼の涙と笑みのあいだには、
 境い目はなかった。

Il était là , dans ce fauteuil,
Quand j'ai fait ma première grimace, 注1
Quand j'ai osé montrer ma gueule 注2
Aux petits copains de ma classe, 注3

 彼はそこにいた、この席に、
 僕が初めて演技をしたとき、
 僕がクラスの友達の前で
 あえてステージに立ったとき、

Plein de pudeur et d'indulgence
Pour la violence de mes passions,
Pour cette belle intransigeance
Que suivraient tant de concessions.

 僕の情熱の激しさに対しての
 また、多くの譲歩をもたらす
 この上等な一徹さに対しての
 羞恥と寛大さに満ちて。

Il était là , dans ce fauteuil,
Mon spectateur du premier jour,
Comme un père débordant d'orgueil
Pour celui qui prenait son tour,

 彼はそこにいた、この席に、
 初日の僕の観客、
 出番の回ってきた者にとって
 尊大さに満ち溢れた父親として、

Dans le halo du projecteur
Il vient s'installer tous les soirs
Comme tout autre spectateur,
Mais je suis le seul à le voir.

 プロジェクターの光のなかに
 毎晩、彼は身を置く
 ほかの観客たちみんなと同様に、
 だが彼を見るのは僕だけだ。

Michel Sardou2


Petit, tu m'as fait bien plaisir:
Tu m'as rappelé ton grand-père
Entre ses larmes et son sourire
Il n'y avait pas de frontière

 おチビちゃん、君は僕を喜ばせる
 君は君のおじいちゃんを思い出させる
 彼の涙と笑みのあいだには
 境い目はなかった

Il était là dans ce fauteuil
Où mon fils aîné va s'asseoir
Quatre générations l'accueillent 注4
Et il sait déjà qu'un beau soir

 彼はこの席にいた
 そこに僕の長男が座ろうとしている
 四つの世代が彼を迎える
 そして彼はすでに知っている、ある日

Je serai là dans ce fauteuil
Son spectateur du premier jour
Comme un père débordant d'orgueil
Pour celui qui prendra son tour

 僕がこの席にいるだろうということを
 初日の彼の観客、
 出番の回ってきた者にとって、
 尊大さに満ち溢れた父親として、

Michel Sardou1


Petit tu me feras plaisir
Tu me rappelleras ton grand-père.
Entre ses larmes et son sourire,
Il n'y avait pas de frontière

 おチビちゃん、君は僕を喜ばせる
 君は君のおじいちゃんを思い出させる
 彼の涙と笑みのあいだには
 境い目はなかった

[注] 
1 faiseur de grimaceが「俳優」なので、faire sa première grimaceh「初めて演技をする」と解釈。
2 montrer sa gueule=se présenter, se montrer publiquement「顔を出す、姿を現す」
3 サルドゥーはまだ学生であった17歳の頃からステージで歌い始めた。
4 彼を迎えるquatre générations「四つの世代」とは、彼(息子本人)を除くならば、「祖父」「父」「自分」「息子の子供」かと考えられるが、主旨としては「祖父」「父」「自分」「息子」の4代であろう。ちなみにquatreは明確な数字ではなく「わずかな」「いくらかの」の意味でも用いられる語である。




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