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2019
10.29

孤独の歳月Années de solitude

Milva&Piazzolla Joublie(Oblivion)


Milva&Astor Piazzollaと題された、1984年のパリ公演および1988年の東京公演で、ミルヴァがピアソラの伴奏で歌った曲のなかでフランス語歌詞の曲は、「忘却J'oublie(Oblivion)」「チェ・タンゴ・チェChe tango che」「ブレヒトとブレルの間でEntre Brecht et Brel」はすでに取り上げましたが、あと1曲残っていました。「孤独の歳月Années de solitude」です。作曲:アストル・ピアソラAstor Piazzolla、作詞はフランスのシンガー・ソングライター:マキシム・ル・フォレスティエMaxime Le Forestier。
ミルヴァ自身がピアソラのことを歌っているような歌詞内容ですが、タイトルは、コロンビアのガブリエル ガルシア=マルケスGabriel Garcia Marquezの小説「百年の孤独Cien Años de Soledad」(1967年。スペイン語。1982年にノーベル文学賞を受賞)を、南米の地というつながりでもじっているらしく、cent années de solitude(百年の孤独)という言葉自体が歌詞中に組み込まれています。



Années de solitude 孤独の歳月
Milva          ミルヴァ


Pas d’autre chance n’est donnée
chantait l’américain du sud
Aux fils des lignées condamneées
A cent années de solitude

 二度とはない機会に
 その南米の男は歌った
 百年の孤独の刑を
 宣告された血筋の子孫たちに

Quand il pleurait ses tangos dans les bars
Et que j’avais si soif
Décrépitude
Une taffe 注1
Et un qualude 注2
Une bière
Et va dormir
Chez mes souv’nirs
Tout l’monde se sauve
J’enterre
Tout c’que je sais, sauf

 彼が酒場で自作のタンゴを泣くように歌うとき
 そして私が、喉が渇ききって
 老いさらばえているとき
 タバコを一吹き
 睡眠薬を一錠
 ビールを一杯
 それで眠り込むわ
 想い出に包まれて
 世界はすべて姿を消し
 知るかぎりのものを
 私は葬り去り、残すのはただ

Années de solitude3


Un bandonéon qui m’attend
Entre la mort et l’inquétude
Et me dit qui vivra cent ans
Vivra cent ans de solitude

 バンドネオンだけ、それは私を待っているわ
 死と不安のあいだで
 そして私に問うの、誰が百年を生きるだろうか
 孤独の百年を生きるだろうかと

Longues les nuits
Sans les bras autour
Longue la vie
Sans amour
Longue est l’année qui passe
Sans passer par le cœur

 夜は長い
 抱いてくれる腕が無ければ
 人生は長い
 愛が無ければ
 過ぎゆく歳月は長い
 心を通り過ぎてゆかなければ

Longs les jours
Sans tendress à faire
Plutôt que manger la terre
Tourner autour

 日々は長い
 施す優しさが無ければ
 大地を味わうというよりむしろ
 その周りを回っているだけよ

Années de solitude2


Au premier chien de mer 注3
Que je trouve en partance
Qu’il m’emmène à Buenos-Aires
Un soir de danse

 出航時に最初に出会う
 サメに願うわ
 ブエノスアイレスに私を連れてって
 ダンスの夜にと

Là je retrouverai
L’américain du sud
Pour un tango j’oublierai
Cent ans de solitude

 そこで私は
 その南米の男と再会するでしょう
 1曲のタンゴで
 私は百年の孤独を忘れるでしょう

Années de solitude1


[注]
1 taffe=bouffée de cigarette「タバコの一吹き」
2 qualude「クオルード」メタカロンMethaqualone、マンドレックスMandraxなどの商品名で売られている鎮痛・催眠剤。
3 chien de mer「海の犬」という意味だが鮫の一種の別称。1979年にピアソラは、ヴァイオリン奏者フェルナンデス・スアレス・パスFernando Suarez Pazのために「鮫Escualo」という曲を書いている。また、映画「ピアソラ 永遠のリベルタンゴPiazzolla, los anos del tiburon」で、ピアソラは、1979年からの3年間の休業期間を「サメの時代」と呼び、サメ釣りを趣味としていたことを述べている。



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2019
10.18

幼年期の傷Blessures d'enfance

Yves Duteil Blessures denfance


今回はイヴ・デュテイユYves Duteilの「幼年期の傷Blessures d'enfance」。デュテイユ自身の作詞・作曲で1990年の同名のアルバムに収録されています。彼は子供たちを守るためのメッセージや子供たちへの愛をテーマとした曲を多く歌っていますが、これは彼自身が子供だった頃から思春期に至るまでの体験を元にしていると思われる内容。でも、子供たちへの愛がテーマであることには変わりありません。そうとう歌詞を練ったのだろうことは語句の選び方で分かる気がします。その分、邦訳は少々たいへんでしたが、その声のように優しい心が彼の歌から伝わってきて訳し甲斐が有ります。



Blessures d'enfance 幼年期の傷
Yves Duteil      イヴ・デュテイユ


On ne sait pas toujours à quel point les enfants 注1
Gardent de leurs blessures le souvenir longtemps 注2
Ni comme on a raison d'aider à s'épanouir
Cette fleur dans leur âme qui commence à s'ouvrir

ひとは常に理解している訳ではない
子供たちがどれほど自分の傷の記憶を長いあいだ留めているかを
彼らの魂のなかで開き始めたこの花が咲くのを
手助けするのがどれほど当然なことなのかも

Moi qui rêvais d'amour de musique et d'espoir
Je m'endormais cerné de frayeurs dans le noir
Certain que tous les rêves étaient sans lendemain
Je m'éveillais toujours le vide entre les mains

 愛や音楽や希望を夢見ていた僕は
 暗闇のなかで恐怖に取り囲まれて眠っていた
 たしかに、すべての夢は明日の無いもので
 僕はいつも両手が空のまま目覚めた

Chacun vivait pour lui dans sa tête en silence 注3
Et je chantais mon âme en pleine indifférence
Encombré de mes joies troublé de mes envies
Faisant semblant de rien pour que l'on m'aime aussi 注4

 それぞれが自分の内側で黙々と自身のために生きていた
 そして僕はまったくどこ吹く風で自分の心を歌っていた
 喜びに満ち欲望で乱されつ
 ひとが僕を愛してくれるよう、なんでもないふりをしながら

L'été on m'envoyait sur le bord de la mer
Ou au fond du Jura profiter du grand air 注5
Écrire à mes parents que je m'amusais bien
Et m'endormir tout seul blotti dans mon chagrin

 夏には、僕は海辺に連れて行かれた
 さもなきゃジュラの山奥で大気を満喫し
 両親に僕はとても楽しんでいると手紙を書き
 ひとりぼっちで悲しみのなかで背を丸めて眠ったことだろう

Blessures denfance2


J'essayais de grandir, de m'envoler peut-être 注6
Pour cueillir des étoiles à ceux qui m'ont vu naître 注7
J'ai longtemps attendu ce geste ou ce regard
Qui n'est jamais venu, ou qui viendra trop tard

 僕は成長しようと、飛び立とうと試みた
 両親らの点数を稼ぎたくて
 僕は長い間、そんな身振りあるいはそんなまなざしを待っていたが
 それはけっしてやって来なかった、あるいはやって来ても遅すぎる

Puis mon frère est parti pour un lycée banal
En pension pour trois ans parce qu'on s'entendait mal 注8
J'avais cherché sans cesse à croiser son chemin 注9
Sans jamais parvenir à rencontrer sa main 注10

 そして僕の兄はごく普通の高校に入り
 3年のあいだ寄宿舎にいた、お互いよく理解し得ず
 僕は彼と接点を持とうと常に試みたが、
 けっして彼の手を握るには至らなかった

Tous mes élans d'amour brisés dans la coquille
J'essayais de renaître en regardant les filles
Aimer c'était malsain pervers ou malséant
Pourtant c'était si doux si tendre et si troublant

 僕の愛のほとばしりはすべて自分の殻のなかで壊れ
 女の子たちを眺めながら立ち直ろうとしていた
 愛すること、それは不健康な、よこしまな、あるいは不作法なものだった
 だが、それはとても甘くとても優しくそしてとても悩ましいものだった

Aujourd'hui j'ai grandi mais le silence est là
Menaçant, qui revient, qui tourne autour de moi
Je sais que mon destin, c'est d'être heureux ailleurs
Et c'est vers l'avenir, que j'ai ouvert mon cœur

 今、僕は成長した、だが静寂は残る
 おびやかしつ、やって来て、僕を取り囲む
 僕の運命、それはほかで幸せになることだと分かっている
 そして、それはのちのことだ、僕が心を開いたのは

Blessures denfance4


Mais j'ai toujours gardé de ces années perdues
Le sentiment profond de n'avoir pas vécu
L'impression de sentir mon cœur battre à l'envers 注11
Et la peur brusquement d'aimer à découvert 注12

 だが僕は常に持ち続けた、この失われた歳月の
 生きることが能わなかったという内奥の感情を
 心臓がでたらめに鼓動しているような感覚を
 そして率直に愛を表すことに対する突然の恐れを

On ne sait pas toujours à quel point les enfants
Gardent de leurs blessures un souvenir cuisant
Ni le temps qu'il faudra pour apprendre à guérir
Alors qu'il suffisait peut-être d'un sourire 注13

 ひとは常に理解している訳ではない
 子供たちがどれほど自分の傷の、ひりひりするような記憶を留めているかを
 癒えることを学ぶためにかかる時間も
 きっとひとつの微笑みで充分だったのに

Moi qui rêvais d'amour de musique et d'espoir
J'ai attendu en vain ce geste ou ce regard
Mais quand un enfant pleure ou qu'il a du chagrin
Je crois savoir un peu ce dont il a besoin

 愛や音楽や希望を夢見ていた僕は
 そんな身振りあるいはそんなまなざしをむなしく待っていた
 だが、ひとりの子供が泣いているとき、あるいは悲しみを抱いているとき
 彼が欲しているものを少しは分かると信じている

[注]
1 否定文ではtoujoursの位置がpasの前か後かで意味が異なる。à quel point「どれほど」
2 gardent le souvenir de leurs blessuresと語順を変えると理解できる。
3「頭の中で」なら通常dans la têteであり、sa têteとしているのは、「頭」のみならず「心、身体、生命」までも含んだ意味合い。en silence「黙々と」。
4 ne faire semblant de rien「そしらぬふりをする、何食わぬ顔をする」。neがないが意味は同じ。
5 ouのあとの不定詞profiter écrire m'endormirは、実現されなかった行動を示す。
6 peut-êtreは文末に付加された場合は「たぶん、恐らく」とは訳し得ないニュアンスがあり、「…と思う」と訳した。
7 étoileレストランやホテルの等級を表す「星印」に準じて「評価」の意味。voir naître qn.「…が生まれた時に生きていた、…が生まれたのを知っている」つまり、両親や年上の身内。
8 s'entendre「互いに理解し合う」s'entendre mal
9 croiser le chemin de qn.は「…の行く手を遮る、邪魔をする」の意味もあるが、ここは「すれ違う、出会う」ことで、それも物理的な意味ではなく精神的な意味。
10 rencontrer sa main「彼の手に出会う」はすなわち「彼に出会って握手する」。
11 cœurは「心」ではなく、「心臓」。à l'envers本来は、「(上下、左右、前後、裏表を)逆に」の意味だが「間違って、乱雑に」の意味にも用いられる。
12 à découvert「あらわに、あからさまに」
13 alors qu...「…なのに」



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2019
10.12

イゼールの夜哨La garde de nuit à l'Yser

Damia La garde de nuit à lYser


大型台風ハギビス襲来!雨風の音を不安な気持ちで聞きながら訳します。

「イゼールの夜哨La garde de nuit à l'Yser」は、第一次世界大戦の始まった1914年に、エルネスト・ジャンヴァルErnest Genvalが書いた詩にリュシアン・ボワイエLucien Boyerが曲を付け、大戦終了直後にダミアDamiaがオランピア劇場で創唱した曲です。
l'Yser「イゼール川」は北フランスの砂岸丘陵地からベルギー西部を経て北海に流入する小海岸河川で、全長77kmのうちベルギー領内の約50kmは運河化されています。第1次世界大戦中の1914年10月17日から31日にかけての15日間、その流域のイゼール平原において、イギリスの海岸を目標にフランスの港湾都市ダンケルク、カレーに進軍しようとしたドイツ軍と,これを阻止しようとするベルギーとフランスの連合軍の間で激しい戦闘が繰り広げられました。イゼール平原の地形は平坦で、海抜も低いことから、ベルギー政府は意図的に運河の堤防を決壊させて洪水作戦を敢行し、連合軍が左岸を確保しドイツ軍の前進は阻止されました。しかし、一帯の風景は変貌しノーマンズランドと化しました。
Yser4.jpg
当時の戦いは塹壕戦が主であったため、冬を迎えるなかで、両軍の兵士は想像を絶する劣悪な環境に置かれたそうです。塹壕と言っても、イゼール平原は湿地であるため塹壕を掘る代わりに、連合軍は土手を築き数万の土の袋を積み上げました。この歌詞は、その激戦地イゼールYserの塹壕戦において、ひとりの夜哨の見聞きした情景を絵画、いいえ映画のように描いており、ヴィクトル・ユーゴーVictor Hugoの詩「魔神Les Djinns」(1829 年の詩集:Les Orientalesに収録)を思わせます。
作詞者のジャンバルはベルギー人で、戦争の初期に負傷したのち、戦争を題材にした歌詞を作り、「軍のシャンソニエchansonnier de l'armée」と呼ばれるようになった人で、その作品のなかで、この曲がもっとも有名です。彼は1925年からはコンゴでいくつかの映画を作り、映画監督としても知られています。第2次大戦ではレジスタンス運動に加わり、ゲシュタポに捕えられ1945年にチフスで亡くなりました。

録音は1933年



La garde de nuit à l'Yser イゼールの夜哨
Damia            ダミア


Un rien de lumière 注1
Lueur éphémère
Rampe encore sur terre
Au long des boyaux
La nuit tombe, tombe
Apprêtant la tombe
Et la mort en trombe 注2
Pour bien des héros
C'est l'heure indicible
Où l'humaine cible
Frissonne impassible
Au fond de son cœur
Et c'est l'heure obscure
Où sous notre armure
S'insinue, sûre
La main de la peur

 わずかな光が
 つかの間の薄明かりが
 塹壕に沿い
 まだ地を這っている
 夜のとばりが降りる、降りる
 英雄たちのために
 墓穴を
 そして劇的な死を用意しつつ
 それは言葉で表せない時間で
 人身の標的が
 平然としつつおののいている
 心の奥底で
 また、それは暗い時間で
 我々の甲冑の内側に
 滑り込むのだ、たしかに
 恐怖の手が

Bah, léger mécompte
L'angoisse se dompte
Et le sang remonte
Orgueilleux et vif
Doigt sur la gâchette
Le soldat furète
Et par la nuit guette
D'un œil attentif
Les canons rugissent...
Les balles ratissent...
Les abris gémissent...
Sous les coups du fer
Et plus cela barde 注3
Et plus l'on bombarde
Plus belle est la garde 注4
Au bord de l'Yser

 ふぅ、ちょっとした見込み違いだ
 不安は治まり
 血はまた巡る
 堂々と、はつらつと
 引き金に指をかけて
 兵士は獲物を探す
 そして、闇のなか
 耳を澄まして窺う
 大砲が轟く…
 一斉の掃射…
 鉄弾の雨のもと
 塹壕も揺れる…
 それが激しさを増すほど
 爆撃が激しさを増すほど
 イゼールの
 夜哨は美しい

Yser1.jpg


Clarté fulgurante
Fleur éblouissante
Traînée sanglante
Dans le ciel tout noir...
C'est une fusée
Qui monte... irisée
De l'enfer lâchée...
Comme un feu d'espoir...
Alors tout se fige
Alors, ô prodige
Par le seul prestige
De cet œil ouvert
Tous les nerfs se tendent
Les âmes se bandent
Et les cœurs attendent
L'holocauste offert...

 まばゆい閃光
 まぶしい火花
 赤い軌跡が
 真っ暗な空に…
 それはロケット弾だ
 昇って来る…虹色に輝いて
 地獄から放たれて…
 まるで希望の火のように…
 その時、すべてが凍り付く
 その時、おお驚くべきことだ
 この見開かれた片眼の
 眼力だけにより
 全神経が伸び
 精神は張りつめ
 心は待ち構える
 差し出された生贄を…

Mais le vent se lève
Là-bas vers la grève
Il assaille et crève
Le manteau des cieux
Les nues s'affaissent
Fuient... se dépècent
Des étoiles naissent
En clignant des yeux
Et soudain, près d'elles
De lugubres ailes 注5
Des ailes mortelles
Passent en vrombissant
Quelque gothas passe 注6
Il passe... vorace
Jalonnant sa trace 注7
De flaques de sang...

 だが風が起こる
 あちらの砂地のほうに
 風は襲いかかって
 空のマントを引きちぎる
 雲は崩れて
 遠ざかり…雲散する...
 星が出現する
 またたきながら
 すると突然、そのかたわらに
 陰鬱な翼が
 死をもたらす翼が
 ブルンブルンと音を立てながら通り過ぎる
 何機かのゴタ(ドイツの爆撃機)が通り過ぎる
 通り過ぎる…貪欲なやつ
 血だまりの航跡を
 点々と残しながら

Yser2.jpg


Et le temps s'enroule
Et la mort se saoûle
Du sang qui s'écoule
En flots monstrueux
Grisée de tumulte
La Camarde exulte 注8
Et son geste insulte
Aux plus valeureux
Elle arrive lente...
Lâche... patiente
Immonde... démente
Implacable - Hélas
Et sa main fantasque
Dédaignant le casque
Glisse sous le masque
Le poison des gaz..

 そして時は巡り
 大量に横溢し
 流れ出す血に
 死は酔いしれる
 ざわめきに酔い
 死神は歓喜し
 その身ぶりは
 最も勇敢な者たちをあざ笑う
 死神はやってくる、ゆっくりと…
 卑怯で…執拗で
 下劣で…気違いじみて
 冷酷な奴、ああ
 そしてその気まぐれな手は
 鉄兜を侮り
 ガスマスクの下まで
 滑り込む。

Enfin l'accalmie... !
Une voix amie
Une voix bénie
S'élève soudain
Le gnasse taciturne 注9
Sent dans l'air nocturne
Le clocher de Furnes 注10
Qui s'émeut... lointain
Il s'émeut et chante
La chanson vivante,
L’heure de détente
Du prochain éveil 注11
La nuit se lézarde
L'aube naît... blafarde...
Finie est la garde
Voici le soleil !

 やっと小康状態に...!
 味方の声が
 祝福の声が
 突如、沸きあがる
 無口な男は
 夜の空気のなかに感じ取る
 フールネの町の鐘の音を...
 それは遠くで…鳴っている
 鳴り響き、そして、歌っている
 生命あふれる歌を、
 間近の目覚めの
 一息つく時間を
 夜が裂けて
 暁が生まれる…青白い暁が…
 夜哨は終わりだ
 朝日が昇る !

Yser3.jpg


[注]
1 un rien de…「ほんの少しの」
2 trombe「竜巻」。en trombe「すさまじい勢いで」
3 barder「(状況などが)険しくなる」
4 garde(女性名詞)「歩哨、見張り」およびgarde de nuit「夜哨、夜警」は勤務内容で、その人自身を指すものではない。
5 複数名詞の前に形容詞がつくとdesはdeに変わる。
6 gotha 第1次大戦でドイツが用いた爆撃機。Gotha「ゴタ」はドイツの都市。
7 jalonner「点々と並べる」爆撃機
8 camarde本義は「ししっ鼻」だが、「死」をも意味する。頭が大文字なので「死神」と訳した。
9 gnasse俗語で「人、男」。yass「ヤス」としている歌詞が多いが、これはスイスのトランプゲームのことで採用できない。
10 Furnes「フールネ」ベルギーのウエストフランダース州にある都市。
11 朝は、夜間に続いていた戦闘が収まる時間。



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2019
10.09

《BarbaraとBrelを歌う》

10月9日(水)はジャック・ブレルJacques Brelの命日。この日に《BarbaraとBrelを歌う》と題したコンサートをおこないます。バルバラBarbaraの命日は11月24日で、11月にバルバラの曲を歌うコンサートを今までに2回おこないました。「ゴーギャン(ジャック・ブレルへの手紙)Gauguin (Lettre à Jacques Brel)」にも書きましたように、バルバラを歌うコンサートを、バルバラの命日11月24日の前後にすでに2回おこなっており、今回はブレルとバルバラの縁を重んじて両者を組み合わせたコンサートにいたします。原宿「アコスタディオ」にて13時半開場、14時開演。サジキ幸代、笹環来、橋本裕子、大木明、竹崎清彦、宇藤カザン、そして私。追求し練りこんできた歌を、ブレル、バルバラそれぞれへのオマージュとして懸命に歌います。ピアノ伴奏はアニエス晶子さん。

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2019
10.04

《世界の歌を美しい日本語で》

10月4日 第36回 日本訳詩家協会主催 訳詩コンサート《世界の歌を美しい日本語で》に出演いたします。入場無料ですが入場券が必要です。ご希望の方は私にメール(chatenparadis*gmail.comの*を@に換えて)でご連絡ください。お送りいたします。

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