
ヴェロニク・サンソンVéronique Sansonの「恋心Amoureuse」は1971年に自作し、1972年の彼女の同名のプルミエアルバムに収録された曲。Wikipediaのこの曲のページには、まず、この曲が世界中でヒットし、6ヶ国語以上で30以上のカヴァーがされているということ、そして、ヴェロニク・サンソンは、愛の夜の後、車でシャンゼリゼ大通りを通った際に、朝の太陽が凱旋門を輝かせているのを見て、この曲のインスピレーションを得たということが書かれています。
いっしょにいても悲しいし、離れていても辛い…。禁じられた恋、先の見えない恋を歌う歌詞です。
Amoureuse 恋心
Véronique Sanson ヴェロニク・サンソン
Une nuit je m'endors avec lui.
Mais je sais qu'on nous l'interdit
Et je sens la fièvre qui me mord
Sans que j'aie l'ombre d'un remords
ある夜、私は彼といっしょに眠っている
けれどそれはいけないことだと分かっている
そして私を蝕む熱情を感じる
悔いの影すら感じぬままに
Et l'aurore m'apporte le sommeil
Je ne veux pas qu'arrive le soleil
Quand je prends sa tête entre mes mains
Je vous jure que j'ai du chagrin
夜明けが私にまどろみをもたらす
日の出の訪れを私は望まない
彼の頭を両手に抱いているとき
悲しい気持ちになるのよ分かって

Et je me demande
Si cet amour aura un lendemain
Quand je suis loin de lui
Quand je suis loin de lui
Je n'ai plus vraiment toute ma tête 注
Et je ne suis plus d'ici
Oh! je ne suis plus d'ici
Je ressens la pluie d'une autre planète
そして自分に問うの
この愛には明日があるのかと
私が彼から遠く離れているとき
私が彼から遠く離れているとき
私はまったく理性を失っていて
もうここにはいない
おお!もうここにはいないのよ
別の星から降る雨をまた感じるの
Quand il me serre tout contre lui
Quand je sens que j'entre dans sa vie
Je prie pour que le destin m'en sorte
Je prie pour que le diable m'emporte
彼が私を強く抱きしめるとき
私が彼の生に入り込むと感じるとき
運命が私を逃げ出させてくれるよう祈る
悪魔が私を連れ去ってくれるよう祈る

Et l'angoisse me montre son visage
Elle me force à parler son langage
Mais quand je prends sa tête entre mes mains
Je vous jure que j'ai du chagrin
そして苦悩が私に彼の面立ちを描き出す
苦悩は私に彼の言葉を話させる
でも彼の頭を両手に抱いているとき
悲しい気持ちになるのよ分かって
Et je me demande
Si cet amour aura un lendemain
Quand je suis loin de lui
Quand je suis loin de lui
Je n'ai plus vraiment toute ma tête
Et je ne suis plus d'ici
Non je ne suis plus d'ici
Je ressens la pluie d'une autre planète
d'une autre planète
そして自分に問うの
この愛には明日があるのかと
私が彼から遠く離れているとき
私が彼から遠く離れているとき
私はほんとうにまるで理性を失っていて
もうここにはいない
おお!もうここにはいないのよ
別の星から降る雨をまた感じるの
[注] n'avoir plus sa tête「分別をなくしている」
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ジャック・ブレルJacques Brelは、1978年10月9日に肺血栓塞栓症でパリ郊外で亡くなり、フランス領ポリネシア、マルキーズ諸島にあるヒヴァ・オア島の墓地に埋葬されました。その墓の近くに、晩年その地に住んでいた画家のゴーギャンGauguin (1848 - 1903)の墓があります。ゴーギャンに関しては、映画「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」(2018年)を観るといいでしょう。ヒヴァ・オア島以前のタヒチでの生活を描いたものですが。
バルバラBarbaraは、1971年にブレルが制作し主演した映画「フランツFranz」に出演し、私的にも親しく付き合っていたようで、ブレルへのオマージュ「ゴーギャン(ジャック・ブレルへの手紙)Gauguin (Lettre à Jacques Brel)」を作り歌いました。1990年のアルバム「ゴーギャンGauguin」に収録されています。
ブレルの命日にあたる10月9日(水)に、《BarbaraとBrelを歌う》と題したコンサートを原宿の「アコスタディオ」で開くことになりました。ブレル、バルバラの個々の曲を追求し続けてきた歌い手たちが歌います。過去に、バルバラを歌うコンサートは、バルバラの命日11月24日の前後に2回おこないましたが、今回はブレルとバルバラの縁を重んじて両者を組み合わせたコンサートにいたします。
Gauguin (Lettre à Jacques Brel) ゴーギャン(ジャック・ブレルへの手紙)
Barbara バルバラ
Il pleut sur l'île d'Hiva-Oa. 注1
Le vent, sur les longs arbres verts
Jette des sables d'ocre mouillés.
Il pleut sur un ciel de corail
Comme une pluie venue du Nord 注2
Qui délave les ocres rouges
Et les bleus-violets de Gauguin.
Il pleut.
Les Marquises sont devenues grises.
Le Zéphir est un vent du Nord, 注3
Ce matin-là,
Sur l'île qui sommeille encore.
ヒヴァ・オア島に雨が降る。
風が、ひょろ長い緑の木々に
黄色い湿った砂を吹き付ける。
サンゴ色の空に雨が降り
北方から来た雨のように
ゴーギャンの赤黄色と
青紫色をぼかす。
雨が降る。
マルキーズは灰色になった。
ゼフュロスは北風だ、
その朝、
まだまどろむ島に吹いた。

Il a dû s'étonner, Gauguin,
Quand ses femmes aux yeux de velours
Ont pleuré des larmes de pluie
Qui venaient de la mer du Nord.
Il a dû s'étonner, Gauguin.
Et toi,
Comme un grand danseur fatigué
Avec ton regard de l'enfance, 注4
Et toi,
Bonjour monsieur Gauguin. 注5
Faites-moi place.
Je suis un voyageur lointain.
J'arrive des brumes du Nord
Et je viens dormir au soleil.
Faites-moi place.
驚いたことでしょう、ゴーギャンは、
ビロードの瞳の彼の女たちが
北方の海からやって来た
雨の涙を流したものだから。
驚いたことでしょう、ゴーギャンは。
あなたは
くたびれた大物ダンサーのように
子供じみた眼をして、
あなたは言う、
こんにちは ゴーギャンさん。
僕に場所を作ってください。
僕は遠くから来た旅人です。
北方の霧のなかから来ました。
そして太陽のもとで眠るつもりです。
私に場所を作ってください。

Tu sais, 注6
Ce n'est pas que tu sois parti
Qui m'importe.
D'ailleurs, pour moi, tu n'es jamais parti.
Ce n'est pas que tu ne chantes plus
Qui m'importe.
D'ailleurs, pour moi, tu chantes encore,
Mais penser qu'un jour, 注7
Les vents que tu aimais
Te devenaient contraire,
Penser
Que plus jamais
Tu ne navigueras
Ni le ciel ni la mer,
Plus jamais, en avril,
Toucher le lilas blanc,
Plus jamais voir le ciel
Au-dessus du canal.
Mais qui peut dire ?
ねえ、
それはあなたが去ってしまったっていうのじゃない
私にはだいじなことなの。
つまりね、私にとっては、あなたはけっして去ってはいない。
それはあなたがもう歌わないっていうのじゃない
私にはだいじなことなの。
つまりね、私にとっては、あなたはまだ歌っているわ、
でも、ある日
あなたが愛した風が
あなたに逆らうようになっていたと思うこと
けっして
空にも海にも、
あなたは行くことはないと
思うこと
もうけっして、4月になっても、
白いリラの花に手を触れることもない、
もうけっして
運河の上の空を見ることもないと。
そんなこと、誰が言えるの?

Moi qui te connais bien,
Je suis sûre qu'aujourd'hui
Tu caresses les seins
Des femmes de Gauguin
Et qu'il peint Amsterdam.
Vous regardez ensemble
Se lever le soleil
Au-dessus des lagunes
Où galopent des chevaux blancs
Et ton rire me parvient,
En cascade, en torrent
Et traverse la mer
Et le ciel et les vents
Et ta voix chante encore.
あなたをよく知っている私はね、
信じているのよ、今
あなたは、ゴーギャンの女たちの
胸を愛撫し
ゴーギャンは、「アムステルダム」を描いているって
あなた方はいっしょに
サンゴの上に
太陽が昇るのを見ている
そこでは白い馬がギャロップで駆けている
そしてあなたの笑い声が私に届いてくる、
瀑布となり、急流となり
海を越え
空を渡り、風を通り抜けて
あなたの声はなおも歌っている。

Il a dû s'étonner, Gauguin,
Quand ses femmes aux yeux de velours
Ont pleuré des larmes de pluie
Qui venaient de la mer du Nord.
Il a dû s'étonner, Gauguin.
驚いたことでしょう、ゴーギャンは、
ビロードの瞳の彼の女たちが
北方の海からやって来た
雨の涙を流したものだから。
驚いたことでしょう、ゴーギャンは。
Souvent, je pense à toi
Qui a longé les dunes
Et traversé le Nord
Pour aller dormir au soleil,
Là-bas, sous un ciel de corail.
C'était ta volonté.
Sois bien.
Dors bien.
Souvent, je pense à toi.
しばしば、私はあなたのことを思う
砂丘を伝って
北の地を横切って
太陽のもとに眠りに行ったあなた
かの地に、サンゴ色の空のもとに
それが、あなたの望みだった。
安らかでいてね。
安らかに眠ってね。
しばしば、私はあなたのことを思うのよ。

Je signe Léonie. 注8
Tu sauras qui je suis,
Dors bien
レオニーとサインするわ。
あなたは私が誰なのか分かるわね、
安らかに眠ってね
[注]
1 先にダリダDalidaが歌ったブレルへのオマージュ「雨のブリュッセルIl pleut sur Bruxelles」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-124.htmlを想起させる。
2 le Nord「北方の国」はブレルの出身地ブリュッセルBruxellesを意味するのであろう。
3 Zéphir「ゼフュロス」ギリシャ神話の西風の神。le Zéphirは風自体を指すが、西風ではなく北風としている。
4 enfanceは「幼年期」が本義だが「幼児退行」した「老衰状態、耄碌」をも意味する。
5 Bonjourからあとは、ブレルがゴーギャンに語る言葉。
6 ここからあとはバルバラがブレルに語っている。
7不定詞の表現を羅列して、Mais qui peut dire ?「(そんなことを)誰が言えるのか」につなげている。un jourは未来ではなく過去の「ある日」。
8 1971年にブレルが主演し制作した映画「我が友フランツ~海辺のふたりFranz」のヒロインLéonie「レオニー」をバルバラBarbaraが演じている。ブレルが演じた役はLéon「レオン」。

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恒例の《東京パリ祭》を7月12日(金)に「ヤマハ銀座スタジオ」で開催いたします。《東京シャンソンコンクール》ほか諸コンクールの入賞者をメインに、午後の部《マティネ》12名、夜の部《ソワレ》12名、計24名の出演者が決まりました。
マテイネ:上村良子 / 佐藤眞弓 / 川西玲子 / Le rêve / 南口順子 / 橋本裕子 / トニー竹内 / あべ晴子 / 井上葉子 / 野村幸子 / 鈴木佳子 / ドミニク・シャニョン
ソワレ:富田宝子 / 青山凉子 / 土屋悦子 / 北島はるか / 寺島寧環 / 矢野達男 / 竹崎清彦 / ポール岡田 / 富沢恵 / 伊藤佐知子 / 宇藤カザン / 朝倉ノニー
ミュージシャンは下記のメンバーです。
マティネ:ピアノ=関根忍、ベース=ドミニク・シャニョン、ドラム=チッコ・ソウマ
ソワレ:ピアノ=上里知巳、ベース=野中英士、ドラム=野口迪生
両公演とも、サックス=斉藤力が一部入ります。
チケットのお申し込みは、下記のいずれかにお電話またはメール(*を@に変えて)で。
東京日仏文化サロン 042-363-2213 chansontokyo*gmail.com
宇藤カザン 080-6490-0218 kazanuto*gmail.com
朝倉ノニー 080-65604655 chatenparadis*gmail.com

マテイネ:上村良子 / 佐藤眞弓 / 川西玲子 / Le rêve / 南口順子 / 橋本裕子 / トニー竹内 / あべ晴子 / 井上葉子 / 野村幸子 / 鈴木佳子 / ドミニク・シャニョン
ソワレ:富田宝子 / 青山凉子 / 土屋悦子 / 北島はるか / 寺島寧環 / 矢野達男 / 竹崎清彦 / ポール岡田 / 富沢恵 / 伊藤佐知子 / 宇藤カザン / 朝倉ノニー
ミュージシャンは下記のメンバーです。
マティネ:ピアノ=関根忍、ベース=ドミニク・シャニョン、ドラム=チッコ・ソウマ
ソワレ:ピアノ=上里知巳、ベース=野中英士、ドラム=野口迪生
両公演とも、サックス=斉藤力が一部入ります。
チケットのお申し込みは、下記のいずれかにお電話またはメール(*を@に変えて)で。
東京日仏文化サロン 042-363-2213 chansontokyo*gmail.com
宇藤カザン 080-6490-0218 kazanuto*gmail.com
朝倉ノニー 080-65604655 chatenparadis*gmail.com

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パトリシア・カースPatricia Kaasの「ホテル・ノルマンディHôtel Normandy」はロック調ながら哀愁のあるステキな曲です。作詞:デディエ・バルブリヴィアンDidier Barbelivien、作曲:フランソワ・ベルンハイムFrançois Bernheim。1993年のアルバム「永遠に愛する人へJe te dis vous」に収録。
スタジオ盤は鳥の声と潮騒の音から始まります。このホテルは海の近くにあるようで、パリの中心部にあるノルマンディー・ホテルHôtel Normandyではなく、ノルマンディーのドーヴィルDeauvilleにあるノルマンディー・バリエール Le Normandy Barrièreという1912年に建てられたホテルのようです。クロード・ルルーシュClaude Lelouchは、1965の秋にドーヴィルの海岸を歩いていた時、遠くに美しい女性が歩いていて、そのそばで小さな女の子が遊んでいるのを見かけて、「男と女Un homme et une femme」の物語を思いつき、1966年にこのホテルで、シャバダバダシャバダバダ♪で知られる映画を撮影したとか。ルルーシュは、1986年に、同じくジャン=ルイ・トランティニャンJean-Louis Trintignant、アヌーク・エーメAnouk Aimée主演で、その男と女が20年後に再会し、かつての二人を題材にした映画を作るという内容の続編「男と女II Un homme et une femme, 20 ans déjà」を公開しています。原題は「男と女、すでに20年」という意味。
そして、またルルーシュは第1作の53年後の今年2019年に第3弾として、88歳のジャン=ルイ・トランティニャンと87歳のアヌーク・エーメ主演のLes plus belles années d'une vieを再びドーヴィルで撮影しています。原題は「人生で最も美しい年月」といった意味。これは53年前のことなのでしょう。でも53年後の今のことかも…。日本で公開されたら確かめに行きましょう。
この曲の歌詞はすべて未来形で書かれ、ドーヴィルでの二人の時間を予測し、またそれを振り返ることも予測しているような、ちょっと不思議な視点です。ひょっとしたら、この曲はルルーシュの映画を念頭に置いて作られたのではないでしょうか?この未来形のニュアンスは、20年後にかつての二人を題材にした映画を作ろうとしている視点のように思えるのですが…。
Hôtel Normandy ホテル・ノルマンディ
Patricia Kaas パトリシア・カース
Y’aura des bateaux sur la mer
Du sable dans nos pull-over
Y’aura le vent, le vent d’automne
Y’aura le temps, le temps qui sonne 注1
海には船が浮かんでいることだろう
私たちのセーターに砂が入り込み
風が、秋の風が吹くだろう
時が、到来した時がそこにあるだろう
Y’aura des enfants sur la plage
Du soleil lourd d’avant l’orage
On aura tout ce temps passé
Et un vieux chien à caresser
海辺には子どもたちがいることだろう
嵐の前の重苦しい太陽が
私たちはこの過ぎ去った時をすべて味わうだろう
そして撫でてやる老いた犬がいるだろう

Il restera de nos amours 注2
Une chambre mauve au petit jour 注3
Et des mots que tu m’avais dits
Hôtel normandy
私たちの愛の名残りに
薄明の薄紫の部屋が
あなたが私にささやいた言葉の数々が残るだろう
ホテル・ノルマンディー
Il restera de notre histoire
Des guitares rock, un piano noir
Le fantôme de David Bowie 注4
Hôtel normandy
私たちの物語の名残りに
ロックギター、黒いピアノ、
ディヴィッド・ボウイーの幻影が残るだろう
ホテル・ノルマンディー
J’aurai une ancienne limousine
Des disques d’or dans mes vitrines
On ira toujours faire un tour
Sur la jetée, au petit jour
私は古いリムジンに乗り
飾り棚にはゴールド・ディスクを置くだろう
私たちは桟橋の上を、夜明けに
いつも一回りするだろう

Les vagues auront gardé ce charme 注5
Qui nous mettaient du vague à l'âme 注6
Y’aura l’ennui des grandes personnes
Et puis le temps, le temps qui sonne
私たちを曖昧から魂へと変えてくれるその魔力を
波は保っていることだろう
大人の倦怠が
そして時が、到来した時がそこにあるだろう
Il restera de nos amours
Une chambre mauve au petit jour
Et des mots que tu m’avais dits
Hôtel normandy
私たちの愛の名残りに
薄明の薄紫の部屋が
あなたが私にささやいた言葉の数々が残るだろう
ホテル・ノルマンディー
Il restera de notre histoire
Des guitares rock, un piano noir
Le fantôme de David Bowie
Hôtel normandy
私たちの物語の名残りに
ロックギター、黒いピアノ、
ディヴィッド・ボウイーの幻影が残るだろう
ホテル・ノルマンディー

Il restera de nos amours
Une chambre mauve au petit jour
Et des mots que tu m’avais dits
Hôtel normandy
私たちの愛の名残りに
薄明の薄紫の部屋が
あなたが私にささやいた言葉の数々が残るだろう
ホテル・ノルマンディー
Il restera de notre histoire
Des guitares rock, un piano noir
Le fantôme de David Bowie
Hôtel normandy
私たちの物語の名残りに
ロックギター、黒いピアノ、
ディヴィッド・ボウイーの幻影が残るだろう
ホテル・ノルマンディー
Il restera de nos amours
Une chambre mauve au petit jour
Et des mots que tu m’avais dits
Hôtel normandy
私たちの愛の名残りに
薄明の薄紫の部屋が
あなたが私にささやいた言葉の数々が残るだろう
ホテル・ノルマンディー

IIl restera de notre histoire
Des guitares rock, un piano noir
Le fantôme de David Bowie
Hôtel normandy
私たちの物語の名残りに
ロックギター、黒いピアノ、
デヴィッド・ボウイーの幻影が残るだろう
ホテル・ノルマンディー
[注]
1 sonnerは「(鐘・ベルなどが)鳴る」ことから、「(鐘・ベルなどで)時が告げられる、(時期が)到来する」の意味で用いられる。ギヨーム・アポリネールGuillaume Apollinaireの詩にレオ・フェレLéo Ferréが曲をつけて歌っている「ミラボー橋Le pont Mirabeau」のVienne la nuit sonne l'heureは、「夜よ来い 鐘よ時を告げるがいい」と訳したが、本当は鐘ではなく時が主語。
2 rester de「…のうちから残る」。シャルル・トレネCharles TrenetのQue reste-t-il de nos amours ? は、「残されし恋には」という意味不明の邦題で知られるが、「私たちの恋のうちの何が残っているのか」という意味であり、このブログでは「恋の名残は?」とした。
3 petit jour「薄明、夜明け」ちなみにgrand jourは「真昼間」
4 David Bowie「デヴィッド・ボウイー」(1947-2016)は、イングランド出身のミュージシャン、シンガーソングライター、音楽プロデューサー、俳優。グラムロックの先駆者として台頭し、ポピュラー音楽の分野で世界的名声を得る。役者の世界にも進出し、数々の受賞実績を持つマルチ・アーティストとして知られている。(以上、google検索で得た解説を引用) ボウイーはこの曲の年はまだ生きているので、fantômeは「幽霊」ではない。彼は奇抜な衣装や化粧で幽玄なムードを演出した時期もあり、アンデッドモンスターたる「ファントム」がふさわしいが、「幻影」にとどめよう。
5 charme「魅力」ではなく「魔法、魔力」
6 前行のvagueは女性名詞で「波」だが、これは男性名詞で「曖昧、中途半端」
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