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2019
04.20

ドミニク・シャニョンの《シャンソンレッスン》

去年から始まったドミニク・シャニョンのセミナーを、2019年度は《シャンソンレッスン》と題しておこないます。ピアノ伴奏はドミニク自身。ほかでは学べない曲を選んでのグループレッスンもあります。第1回目は1月27日におこない、第2回目は4月20日(日)に決まりました。会場は《アミカル・サロン》と同様、大久保「シャンソン未来」です。受講枠は満了いたしました。聴講は前日まで申し込み可能です。特に発音に関する指導は、聴講のみでも非常に有益です。
以後も3ヶ月に1度開催の予定で、次回は7月か8月に夏期講習風におこなう予定です。日程が決まり次第お知らせいたしますので、受講ご希望の方は早めにお申し込みください。

Dominique20avril_4s.jpg




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2019
04.15

マドレーヌMadeleine

Jacques Brel Madeleine


前回のジャック・ブレルJacques Brelの「マチルドMathilde」の記事に「ブレルが、Mの字で始まる名前の女性に対する愛を歌った歌はあと二つあります」と書きましたが、そのひとつ「マドレーヌMadeleine」を取り上げましょう。作詞:ブレル、作曲:ジェラール・ジュアネストGerard Jouannest、ジャン・コルティ Jean Corti。1961年にオランピアで創唱。翌62年にシングルリリースされ、アルバム:Les Bourgeoisに収録されました。
マドレーヌは、ブレルが顧客だったブリュッセルの花屋の店主、マリー・マドレーヌ・リゾンMarie-Madeleine Lisonだといわれています。彼女は若い頃に有名な写真家のモデルをしていて、リラの花に囲まれた彼女の当時の写真にブレルはインスピレーションを得てこの曲を作ったといわれます。また別説として、マドレーヌはジョルジュ・ブラッサンスGeorges Brassensに紹介された、マドレーヌ・ゼッファ・ビヴェールMadeleine Zeffa Biverだともいわれます。その父親はコミュニストで母親はユダヤ人で、ナチの迫害を逃れ、その後、夫の暴行を逃れて来て、二十歳の頃に美容室のモデルをしていて、サン=ジェルマン・デ・プレSaint Germain des Présの芸術家たちと出会ったと。でも、この曲の舞台はブリュッセルなので、先の説のほうが合っているように思います。

女性の名前を連発する速いテンポの曲としては、ミッシェル・ポルナレフMichel Polnareffの「いとしのヴェロニックChère Véronique」のほうが私個人としては好き。ですが、ブレルのこの曲は、音の響きが聴いていて気持ちがいいですね。繰り返されるj'attends Madeleineに加えてtram trente-trois、またmの音が多いことも効いているのかなと。

ブレルのパフォーマンスが楽しめる動画です。



Madeleine  マドレーヌ
Jacques Brel ジャック・ブレル


Ce soir j'attends Madeleine
J'ai apporté du lilas
J'en apporte toutes les semaines
Madeleine elle aime bien ça
Ce soir j'attends Madeleine
On prendra le tram trente-trois 注1
Pour manger des frites chez Eugène 注2
Madeleine elle aime tant ça
Madeleine c'est mon Noël
C'est mon Amérique à moi
Même qu'elle est trop bien pour moi
Comme dit son cousin Joël
Ce soir j'attends Madeleine
On ira au cinéma
Je lui dirai des "je t'aime"
Madeleine elle aime tant ça

 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 僕はリラの花束を持って来た
 毎週持って来るんだ
 マドレーヌはね、とってもそれが好きなんだ
 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 僕たちは33号の路面電車に乗る
 ウジェーヌの店でポテトフライを食べるために
 マドレーヌはそれがとっても好きなんだ
 マドレーヌは僕のクリスマスだ
 僕のアメリカだ
 いとこのジョエルが言うように
 彼女が僕にはもったいないとしてもね
 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 僕たちは映画に行くんだ
 彼女に言うよ「愛してる」って
 マドレーヌはそれがとっても好きなんだ

Elle est tellement jolie
Elle est tellement tout ça
Elle est toute ma vie
Madeleine que j'attends là

 彼女はとってもきれいだ
 彼女はほんとにすべてなんだ
 彼女は僕のいのちのすべてなんだ
 僕がここで待っているマドレーヌは

Madeleine3.jpg


Ce soir j'attends Madeleine
Mais il pleut sur mes lilas
Il pleut comme toutes les semaines
Et Madeleine n'arrive pas
Ce soir j'attends Madeleine
C'est trop tard pour le tram trente-trois
Trop tard pour les frites d'Eugène
Et Madeleine n'arrive pas
Madeleine c'est mon horizon
C'est mon Amérique à moi
Même qu'elle est trop bien pour moi
Comme dit son cousin Gaston
Mais ce soir j'attends Madeleine
Il me reste le cinéma
Je lui dirai des "je t'aime"
Madeleine elle aime tant ça

 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 だが僕のリラに雨が降ってくる
 毎週と同じに雨が降る
 そしてマドレーヌはやって来ない
 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 33号の路面電車に乗るには遅すぎる
 ウジェーヌの店でポテトフライ食べるには遅すぎる
 そしてマドレーヌはやって来ない
 マドレーヌは彼方の地平線だ
 僕のアメリカだ
 いとこのジョエルが言うように
 彼女が僕にもったいないとしてもね
 でも今夜、僕はマドレーヌを待つ
 映画が残っている
 彼女に言うよ「愛してる」って
 マドレーヌはそれがとっても好きなんだ

Elle est tellement jolie
Elle est tellement tout ça
Elle est toute ma vie
Madeleine qui n'arrive pas

 彼女はとってもきれいだ
 彼女はほんとにすべてなんだ
 彼女は僕のいのちのすべてなんだ
 やって来ないマドレーヌは

le tram trente-trois2


Ce soir j'attendais Madeleine
Mais j'ai jeté mes lilas
Je les ai jetés comme toutes les semaines
Madeleine ne viendra pas
Ce soir j'attendais Madeleine
C'est fichu pour le cinéma
Je reste avec mes "je t'aime"
Madeleine ne viendra pas
Madeleine c'est mon espoir
C'est mon Amérique à moi
Sûr qu'elle est trop bien pour moi
Comme dit son cousin Gaspard
Ce soir j'attendais Madeleine
Tiens le dernier tram s'en va
On doit fermer chez Eugène
Madeleine ne viendra pas

 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 だが僕はリラを投げ捨てた
 毎週と同じにリラを投げ捨てた
 マドレーヌは来ないだろう
 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 映画はおしまいだ
 「愛してる」の言葉とともに僕は残る
 マドレーヌは来ないだろう
 マドレーヌは僕の希望だ
 僕のアメリカだ
 いとこのガスパールが言うように
 彼女が僕にはもったいないとしてもね
 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 最終路面電車が行ってしまう
 ウジェーヌの店は閉まる
 マドレーヌは来ないんだよ

Elle est tellement jolie
Elle est tellement tout ça
Elle est toute ma vie
Madeleine qui ne viendra pas

 彼女はとってもきれいだ
 彼女はほんとにすべてなんだ
 彼女は僕のいのちのすべてなんだ
 やって来ないマドレーヌは

Madeleine2.jpg


Demain j'attendrai Madeleine
Je rapporterai du lilas
J'en rapporterai toute la semaine
Madeleine elle aimera ça
Demain j'attendrai Madeleine
On prendra le tram trente-trois
Pour manger des frites chez Eugène
Madeleine elle aimera ça
Madeleine c'est mon espoir
C'est mon Amérique à moi
Tant pis si elle est trop bien pour moi
Comme dit son cousin Gaspard
Demain j'attendrai Madeleine
On ira au cinéma
Je lui dirai des "je t'aime"
Madeleine elle aimera ça

 明日、僕はマドレーヌを待つだろう
 僕はリラの花束を持って来るだろう
 毎週持って来るだろう
 マドレーヌはね、とってもそれが気に入るだろう
 明日、僕はマドレーヌを待つだろう
 僕たちは33号の路面電車に乗るだろう
 ウジェーヌの店でポテトフライを食べるために
 マドレーヌはそれがとっても気に入るだろう
 マドレーヌは僕のクリスマスだ
 僕のアメリカだ
 いとこのガスパールが言うように
 彼女が僕にはもったいないとしてもね
 明日、僕はマドレーヌを待つだろう
 僕たちは映画に行くだろう
 彼女に言うだろう「愛してる」って
 マドレーヌはそれをとっても喜ぶだろうさ

[注]
1 le tram trente-trois「路面電車33号線」 その時代、ブリュッセルの南西の郊外、ジャック・ブレル駅のあるアンデルレヒトAnderlechtの中心部、ブレルが若い頃住んでいた家の近くのアンリ・レイ広場square Henri Rey と南の郊外ボワフォールBoitsfortをつないでいた路線。1960年からバス路線に換えられた。その後、この曲のおかげでか33号線は復活したが、かつてとは異なり、ブリュッセルを北東から南西へと斜めに縦断する。
2 chez Eugene「ウジェーヌの店」は、ブリュッセルの南の郊外ユックルUccleleに実在する。市の中心から遠くて行くのがたいへんだが、その店のfrites「ポテトフライ」はわざわざ行く価値があるほど美味しいという。



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2019
04.08

マチルドMathilde

Jacques Brel Ces gens-là


今回はリクエストのあった曲、ジャック・ブレルJacques Brelの「マチルドMathilde」です。1963年のアルバム:Ces gens-làに収録されています。作詞はブレル自身。作曲は、当時のブレルのピアニストで、のちにジュリエット・グレコJuliette Grécoの夫となったジェラール・ジュアネストGérard Jouannest。出て行った妻(恋人)が戻って来た時の喜びをひねった形で表現しています。うまい語り口!私の甥が去年復縁したのですが、こんな気持ちだったのかな。
ブレルが、Mの字で始まる名前の女性に対する愛を歌った歌はあと二つあります。1961年のマリクMariekeとマドレーヌMadeleine。順次取り上げていきましょう。



1974年にクロード・ヌガロClaude Nougaroが歌詞のTon JacquesをTon Claudeに変えてカヴァーしています。



2006年にはジュリエット・グレコJuliette Grécoがカヴァー。



Mathilde    マチルド
Jacques Brel ジャック・ブレル


Ma mère voici le temps venu
D’aller prier pour mon salut 注1
Mathilde est revenue
Bougnat tu peux garder ton vin
Ce soir je boirai mon chagrin
Mathilde est revenue
Toi la servante toi la Maria
Vaudrait peut-être mieux changer nos draps
Mathilde est revenue
Mes amis ne me laissez pas
Ce soir je repars au combat
Maudite Mathilde puisque te v‘là

 母さん、僕の救済のために
 祈りに行く時が来たよ
 マチルドが戻って来たんだ
 ブーニャ、君のワインは残しておけるよ
 今夜、僕は自分の悲しみを飲むから
 マチルドが戻って来たんだ
 召使のマリア、君は
 僕たちのシーツを替えてくれたほうがいいかも
 マチルドが戻って来たんだ
 友たちよ、僕をほうっておくなよ
 今夜また僕は戦いに出るんだ
 いまいましいマチルド、君がいるから

Mon cœur mon cœur ne t’emballe pas 注2
Fais comme si tu ne savais pas
Que la Mathilde est revenue
Mon cœur arrête de répéter
Qu’elle est plus belle qu’avant l’été
La Mathilde qui est revenue
Mon cœur arrête de bringuebaler 注3
Souviens-toi qu’elle t’a déchiré
La Mathilde qui est revenue
Mes amis ne me laissez pas
Dites-moi dites-moi qu`il ne faut pas
Maudite Mathilde puisque te v’là

 僕の心よ僕の心よ夢中になるな
 マチルドが戻って来たなんて
 知らないように装え
 僕の心よ何度も言うな
 彼女が夏の前よりもっときれいだと
 戻って来たマチルドが
 僕の心よ揺れるのはやめろ
 思い出せ彼女がおまえを苦しめたことを
 戻って来たそのマチルドが
 友たちよ、僕をほうっておくなよ
 僕に言ってよ言ってよ、そんな必要はないと
 いまいましいマチルド、君がいるから

Jacques Brel3


Et vous mes mains restez tranquilles
C`est un chien qui nous revient de la ville 注4
Mathilde est revenue
Et vous mes mains ne frappez pas
Tout ça ne vous regarde pas 注5
Mathilde est revenue
Et vous mes mains ne tremblez plus
Souvenez-vous quand je vous pleurais dessus 注6
Mathilde est revenue
Vous mes mains ne vous ouvrez pas
Vous mes bras ne vous tendez pas
Sacrée Mathilde puisque te v’là 注7

 そして僕の両手よ、じっとしてろ
 町から戻ってきたのは犬っころなんだ
 マチルドが戻って来たんだ
 そして僕の両手よ、拍手するんじゃない
 こうしたことはすべておまえらには関係ないんだ
 マチルドが戻って来たんだ
 僕の両手よ、もう震えるな
 思い出せ、僕がおまえらの上に涙を流したときのことを
 マチルドが戻って来たんだ
 僕の両手よ、開くんじゃない
 僕の両腕よ、伸びるんじゃない
 こん畜生のマチルド、君がいるから

Ma mère arrête tes prières
Ton Jacques retourne en enfer
Mathilde m’est revenue
Bougnat apporte-nous du vin
Celui des noces et des festins
Mathilde m’est revenue
Toi la servante toi la Maria
Va tendre mon grand lit de draps
Mathilde m’est revenue
Amis ne comptez plus sur moi
Je crache au ciel encore une fois 注8
Ma belle Mathilde puisque te v’là te v’là

 母さん、祈りをやめろ
 あんたのジャックは地獄に舞い戻る
 マチルドが僕のところに戻って来たんだ
 ブーニャ、ワインを僕らに届けてくれ
 婚礼と祝宴のためのやつをな
 マチルドが僕のところに戻って来たんだ
 召使のマリア、君は
 僕の大きなベッドにシーツを掛けに行け
 マチルドが僕のところに戻って来たんだ
 友たちよもう僕を当てにするな
 僕はもう一度、天に唾する
 僕の美しいマチルド、君がいる、君がいるから

Jacques Brel4


[注]
1 salut本義は「挨拶」だが、ここでは「救い、救済」の意味。
2 emballerは「梱包する」だが、s’emballerは「熱狂する」。
3 bringuebaler=brinquebaler=brimbaler「続けざまに揺れる」
4 nous=moi+mes mains
5 Ça(Cela) ne vous regarde pas.「あなたがたには関係の無いことだ。」
6 je vous pleurais dessus=je pleurais sur vous(=mes mains)
7 sacré名詞の後で「聖なる」。名詞の前ではmauditと同様「嫌な、いまいましい」。
8=cracher contre le ciel「天に唾する、天を呪う」



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2019
04.07

《第6回 東京シャンソン・コンクール》本選出場者決定

《第6回 東京シャンソン・コンクール》の予備審査が4月3日におこなわれ、フランス語部門18名、日本語部門28名、計46名の方々が5月5日の本選に進まれることになりました。

<フランス語部門18名>

あべ晴子 L'aigle noir 黒い鷲
井上周行 Padam padam パダム パダム
上村良子 J'oublie 忘却
桜井理恵子 Hymne à l'amour 愛の讃歌
佐藤眞弓 Et maintenant そして今は
首藤マキ Milord ミロール
白川かおる Trois petites notes de musique 三つの小さな音符
竹崎清彦 La chanson des vieux amants 歳月を経し恋人たちの歌
田辺元子 Mon mec à moi モン メッカ モア
田辺優理子 Je vais t'aimer 愛の叫び
玉井大司 Jardin d'hiver 冬の庭
継枝ゆみ子 Gare de Lyon リヨン駅
土屋悦子 L'aigle noir 黒い鷲
富沢恵 Paris, je t'aime d'amour パリ、ジュテーム
夏紀 Padam padam パダム パダム
日栄照美 La nuit 夜のメロディー
水澤三津男 Le revenant 幽霊
ル・レーヴ Je te veux あなたが欲しい

<日本語部門28名>

青山凉子 帰り来ぬ青春 Hier encore
石川尚美 哀しみの終わりに La maison est en ruine
伊藤ひろ子 ジョジョ Jojo
今井ともみ それぞれのテーブル Tables séparées
川西玲子 ハンブルグにて C'est à Hambourg
神戸愛 ダルマーニュ D'Allemagne
具志堅ナヲ 夜の通行人に捧ぐ Hommage au passant d'un soir
keiko スカーフ L'écharpe
幸道輝子 愛の讃歌 Hymne à l'amour
澤口勢津子 夜のメロディー La nuit
白井聡 脱走兵 Le déserteur
杉浦鈴子 一本指のシンフォニー Ma petite symphonie
鈴木佳子 サンジャンの私の恋人 Mon amant de Saint-Jean
千輝世美 愛の追憶 Mein lieber herr
龍田香住美 もうあなたに愛を語らない Je viens pas te parler d'amour
津田潤子 夜のメロディー La nuit
トニー竹内 愛の生命 La vie dans la vie
西塚祥子 それが貴方なら Si tu étais
藤田優子 かなしみのヴェニス Que c'est triste Venise
藤原八重子 兵士の別れ C'est fini
堀江順子 秋のソナタ Sonate
ポール長岡 サバの女王 Ma reine de Saba
道子 ドミノ Domino
南口順子 行かないで Ne me quitte pas
三村陽子 世界の果てに Emmenez-moi
向井陽実 もしもあなたに逢えずにいたら Que serais-je sans toi ?
八木百合子 愛はあなたのよう L'amour te ressemble
横井さゆり ピエロのリュリュ Le gros Lulu


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2019
04.04

愛の終わりまで私を踊ってDanse-moi vers la fin de l'amour

Graeme Allwright Dance-moi vers la fin de lamour


加藤登紀子の「哀しみのダンス」という曲。なんだか変わったテイストなのでちょっと興味が出て調べてみると、カナダのシンガー・ソングライター、レナード・コーエンLeonard Cohenが1984年に作り歌ったDance me to the end of loveという英語の曲が原曲だと分かりました。女性歌手マドレーヌ・ペイルーMadeleine Peyrouxのカヴァーはもっとジャズ風にアレンジしていてさらに魅力的です。それらを聴いているうちにますます興味が高まり、フランス語に自分で翻訳して歌おうと思い立ちました。一応、原曲に即した内容でちゃんと韻を踏んだ形で出来上がりましたので、スブリームSublimeさんに歌詞の修正と歌唱の指導をしていただきました。
そのあとで、とっくの昔にニュージーランド生まれのフランスのシンガー・ソングライター、グレアム・オールライトGraeme AllwrightがDanse-moi vers la fin de l'amourというタイトルでフランス語で歌っていてYouTubeに出ていることが分かったのです。な~んだ、原曲の翌1985年にシングル・リリースされていました。上の画像は、コーエンへのトリビュート・アルバムをCDに再録したアルバム:Suzane Vol.3。
英語のタイトルでだけ検索していたので見つからなかった訳ですね。これまた原曲の歌詞を翻訳したものですから、私が作った歌詞と共通したところがかなり多いのは当然のこと。でも韻を踏もうとするところで言葉が分かれたようです。また、私の方は、スブリームさんの提案でユニークな表現に変わったところもあります。このページではグレアム・オールライトの歌詞を取り上げ、せっかく作った自分の歌詞Danse-moi jusqu’à la fin de l’amourも最後にご紹介しましょう。

英語のdance me、フランス語のdanse-moiはちょっと変な表現です。dance with meやdanse avec moiとしないで「私を踊って」と言っている…それは結婚するカップルが愛し合うことのようで、「哀しみのダンス」というよりむしろ「幸せのダンス」です。あ、急に思い出した曲があります。それはクロード・ヌガロClaude Nougaro の「僕の上で踊れDansez sur moi 」、この曲の裏側を表現したような歌詞です。

レナード・コーエンのDance me to the end of love



マドレーヌ・ペイルーのDance me to the end of love



グレアム・オールライトのDanse-moi vers la fin de l'amour



アメリー&レ・サンジュ・ブルーAmélie & Les Singes Bleusというグループが、私と同じタイトルDanse-moi jusqu’à la fin de l’amourdで歌っていたこともまたあとで分かりました。グレアム・オールライトのと私のと似た箇所がちらほらある歌詞ですが、変わったアレンジ。



Danse-moi vers la fin de l'amour  愛の終わりまで私を踊って
Graeme Allwright            グレアム・オールライト


Danse-moi à ta beauté avec un violon en flammes
Danse-moi dans la panique jusqu'au repos de mon âme
Lève-moi comme un olivier, sois ma colombe de retour 注1
Danse-moi vers la fin de l'amour
Danse-moi vers la fin de l'amour

 燃えるヴァイオリンに乗ってあなたの美しさで私を踊って
 錯乱のうちに私を踊って心安らぐまで
 オリーブの小枝のように私をくわえて、私の帰途の鳩になって
 愛の終わりまで私を踊って
 愛の終わりまで私を踊って

Danse-moi1.jpg


Laisse-moi voir ta beauté quand les témoins sont partis
Laisse-moi te sentir bouger comme un Babylone jadis 注2
Révèle-ce dont je vois les limites et le doute
Danse-moi vers la fin de l'amour
Danse-moi vers la fin de l'amour

 見ている人たちがいなくなったらあなたの美しさを見せて
 昔のバビロン人のようにあなたが動くのを感じさせて
 限界と疑惑が見えるものを私に明かして
 愛の終わりまで私を踊って
 愛の終わりまで私を踊って

Danse-moi à la noce, oh danse-moi tout le temps
Danse-moi tellement tendrement, danse-moi très longtemps
Tous les deux, nous sommes en dessous, au dessus de notre amour
Danse-moi vers la fin de l'amour
Danse-moi vers la fin de l'amour

 婚礼の宴で私を踊って、おおいつも私を踊って
 とても優しく私を踊って、ずっと長いあいだ私を踊って
 私たち二人は、私たちの愛以下、愛以上よ
 愛の終わりまで私を踊って
 愛の終わりまで私を踊って

Danse-moi3.jpg


Danse-moi vers les enfants demandant à naître en paix
À travers les rideaux que nos baisers ont usés
Lève une tente pour s'abriter, les fils déchirés toujours
Danse-moi vers la fin de l'amour
Danse-moi vers la fin de l'amour

 平和のうちに生まれたいと望む子どもたちのために私を踊って
 私たちの口づけが摩りきらしたカーテンを通り抜けて
 愛の終わりまで私を踊って
 愛の終わりまで私を踊って

Danse-moi à ta beauté avec un violon en flammes
Danse-moi dans la panique jusqu'au repos de mon âme
Touche-moi avec ta main nue, ou gantée de velours
Danse-moi vers la fin de l'amour
Danse-moi vers la fin de l'amour

 燃えるヴァイオリンに乗ってあなたの美しさで私を踊って
 錯乱のうちに私を踊って心安らぐときまで
 あなたの手で私に触れて、素手でもしくはビロードの手袋をして
 愛の終わりまで私を踊って
 愛の終わりまで私を踊って

Danse-moi4.jpg


Danse-moi vers la fin de l'amour
Danse-moi vers la fin de l'amour

 愛の終わりまで私を踊って
 愛の終わりまで私を踊って

[注]
1 旧約聖書『創世記』の「ノアの方舟の神話」:40日間の洪水の7日後にノアが鳩を放すと、鳩はオリーブの葉をくわえて船に戻ってきた。
2 アンリ・サルヴァドールHenri Salvadorの「シラキューズSyracuse」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-44.htmlにも出て来たメソポタミアの古代都市。ジェーン・バーキンJane Birkinの「バビロンの妖精Baby alone in Babylone」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-74.htmlのタイトルにもなっている。ここでは不定冠詞unが付いて「一人のバビロン人の男性」を意味し、男性が歌うのだが女性の立場の歌詞だと判断する。


----------*------------


ノニー作の歌詞もついでにご紹介。歌う場合のメロディーラインやサイズは、松尾明トリオのCD:Alone togetherに入っているDance me to the end of love(i-tuneで買えます)を参照しています。訳は出さないでおきます。音源もまだ練習中なので無し。

Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour

Danse-moi pour ta beauté avec un violon brûlant
Danse-moi tout en panique avant qu’on me cueille doucement
Prends-moi comm’un branche d’olivier, sois ma colombe blan- 注1
che Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour

Oh ! laisse -moi voir ta beauté pendant qu’il n’ y a personne
Laisse -moi te sentir bouger comm’ on faisait à Babylone
Montre-moi ton geste lent’ment glisse et tourbillonne
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour

Danse-moi pour le mariage, ah oui, danse-moi tout le temps
Danse-moi tellement tendrement et danse-moi très longuement
Sommes-nous au-dessous de l’amour ? non, au-dessus sûrement
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour

{Instrumental}

Danse-moi pour les enfants qui ne demandent qu’à naître
Danse-moi à travers les rideaux de nos baisers-fenêtres 注2
Dresse la tente de l’abri, même s’il doit disparaître
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour

Danse-moi pour ta beauté avec un violon brûlant
Danse-moi tout en panique avant qu’on me cueille doucement
Touche-moi avec ta main nue ou touche-moi avec ton gant
Oh ! danse-moi jusqu’à la fin de l’amour
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour

[注]
1 colombeは女性名詞でblancはblancheとなり韻を踏めない。スブリームさんはmon oiseau blancに変えることを提案。でも、ノアの方舟の鳩にこだわる私は、フランソワーズ・アルディーFrançoise Hardyの「さよならを教えてComment te dire adieu? 」で、exで韻を踏むために単語を切り分けているゲンズブールの手口を真似てみた。
2 baisers-fenêtresは窓越しのキスのこと。




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2019
04.01

アブサンL' absinthe

Barbara La Fleur damour


バルバラBarbaraの「アブサンL' absinthe」という曲、そのタイトルはお酒の名前。アブサンはニガヨモギのほかアニシードなど数々のハーブが配合されたアルコール度数の高いハーブリキュールで、18世紀にスイスで生まれました。独特の風味と香りがあり、「緑の妖精」と呼ばれる美しい緑色、水を入れると白濁することや、アルコール度数が高いため火が付くことなどを活かしたさまざまな飲み方が楽しめるユニークなリキュールです。

アブサンの主原料であるニガヨモギは、苦味があり強壮作用をもつとされる薬草。学名はArtemisia absinthiumで、artemisiaはヨモギ属を意味するギリシャ神話の狩猟を司る女神アルテミスἌρτεμιςに由来し、absinthiumは古代ギリシャ語のἀψίνθιονヨハネの黙示録に登場する「星」を意味するとのことです。ニガヨモギにはツヨンThujoneとカリオフィレンcaryophylleneを主成分とする揮発油が含まれます。ツヨンは向精神作用として幻覚や錯乱を引き起こすとされ、そのためアブサンはこの歌詞に出てくる詩人のヴェルレーヌPaul VerlaineやランボーArthure Rimbaud、そして画家のゴッホVincent van GoghやロートレックToulouse-Lautrecなど非日常的感覚を嗜好する多くの芸術家を虜にしました。
アブサンは、その向精神作用が大麻同様に懸念され、19世紀末以降、多くの国で製造・販売が禁止されましたが、20世紀末に世界保健機関WHOが、ツヨンの残存許容量の基準値を定めたことで各国で製造が再開し、現在では、その銘柄の数は400種類以上にのぼっています。→ウィキペディアの記事

この曲は、1972年のアルバム:La fleur d'amourに収録されています。
作詞:バルバラBarbara&フレデリック・ボトンFrédéric Botton、作曲:バルバラBarbara




L' absinthe アブサン
Barbara   バルバラ


Ils buvaient de l' absinthe
Comme on boirait de l' eau
L' un s' appelait Verlaine
L' autre, c' était Rimbaud
Pour faire des poèmes
On ne boit pas de l' eau
Toi, tu n' es pas Verlaine
Toi, tu n' est pas Rimbaud
Mais quand tu dis "je t' aime"
Oh mon dieu, que c' est beau
Bien plus beau qu' un poème
De Verlaine ou de Rimbaud

 彼らはアブサンを呑んでいた
 ひとが水を飲むように
 ひとりはヴェルレーヌといった
 もうひとり、それはランボー
 詩を作るためには
 ひとは水なんか飲まない
 あなたはね、ヴェルレーヌじゃない
 あなたはね、ランボーじゃない
 でもあなたが「ジュテーム」と言うとき
 おおまぁ、なんと美しいのかしら
 ヴェルレーヌあるいはランボーの
 一篇の詩よりもずっと美しいわ

Absinthe4.jpg


Pourtant que j' aime entendre
Encore et puis encore
La chanson des amours
Quand il pleut sur la ville 注1
La chanson des amours
Quand il pleut dans mon cœur
Et qu' on a l' âme grise 注2
Et que les violons pleurent 注3
Pourtant, je veux l' entendre
Encore et puis encore
Tu sais qu' elle m' enivre
Comme les bateux ivres 注4
La chanson de ceux-là
Qui s' aiment et qui en meurent
Et si j' ai l' âme grise
Tu sécheras mes pleurs

 でも私は聞くのが好き
 何度も何度も
 愛の歌を
 巷に雨が降るとき
 愛の歌を
 私の心に雨が降るとき
 そして暗い気持ちのとき
 そしてヴァイオリンが泣くとき
 でも、私はそれを聞きたいの
 何度も何度も
 そうよ、それは私を酔わせるのよ
 死ぬほどの想いで愛し合った
 彼らの歌はね
 そして私が暗い気持ちでいたら
 あなたは私の涙を乾かしてくれるわ

Ils buvaient de l' absinthe
Comme l' on boit de l' eau
Mais l' un, c' était Verlaine
L' autre, c' était Rimbaud
Pour faire des poèmes
On ne boit pas de l' eau
Aujourd'hui, les "je t' aime"
S' écrivent en deux mots
Finis, les longs poèmes
La musique des mots
Dont se grisait Verlaine
Dont se saoulait Rimbaud 注5

 彼らはアブサンを呑んでいた
 ひとが水を飲むように
 ひとりはヴェルレーヌといった
 もうひとり、それはランボー
 詩を作るためには
 ひとは水なんか飲まない
 今では「ジュテーム」は
 2語で書かれるわ
 終わったの、長い詩は
 ヴェルレーヌが陶酔した
 ランボーが酩酊した
 言葉の調べはね

Absinthe2.jpg


Car je voudrais connaître
Ces alcools dorés, qui leur grisaient le cœur
Et qui saoulaient leur peine
Oh, fais-les-moi connaître
Ces alcools d' or, qui nous grisent le cœur
Et coulent dans nos veines
Et verse-m' en à boire
Encore et puis encore
Voilà que je m' enivre
Je suis ton bateau ivre
Avec toi, je dérive

 なにせ私は知りたいの
 彼らの心をとろけさせ、
 彼らの苦しみを麻痺させた
 その金色の酒を
 おお、それを私に教えて
 私たちの心をとろけさせ
 私たちの血管を流れる
 その黄金の酒を
 私に呑めよと注いで
 何度も何度も
 もう私は酔っちゃった
 私はあなたの酔いどれ舟よ
 あなたといっしょに、私は漂流するわ

Et j' aime et j' en meurs
Les vapeurs de l' absinthe
M' embrument
Je vois des fleurs qui grimpent
Au velours des rideaux
Quelle est donc cette plainte
Lourde comme un sanglot
Ce sont eux qui reviennent
Encore et puis encore
Au vent glacé d' hiver
Entends-les qui se traînent

 そして私は好きよ、死ぬほどに
 アブサンの香気が
 私を包む
 ビロードのカーテンを
 這い上がる花々が見えるわ
 いったい何なのかしら
 嘆きのように重いこのうめき声は
 戻って来たのは彼らだわ
 何度も何度も
 冬の冷たい風に
 うろついている彼らの声を聴いて

Absinthe1.jpg


Les pendus de Rimbaud 注6
Les noyés de Verlaine
Que la mort a figés
Aux eaux noires de la Seine
J' ai mal de les entendre
Encore et puis encore
Oh, que ce bateau ivre
Nous mène à la dérive
Qu' il sombre au fond des eaux
Et qu' avec toi, je meure 注7

 ランボーの首つり人たち
 ヴェルレーヌの溺死者たち
 死は彼らを閉じ込める
 セーヌ川の黒い水に
 私には彼らの声がよく聴こえない
 何度も何度も
 おお、この酔いどれ舟が
 私たちを漂流させ
 水の底に沈んでくれたら
 そしてあなたといっしょに、死ねたら

On a bu de l' absinthe
Comme on boirait de l' eau
Et je t' aime, je t' aime
Oh mon dieu, que c' est beau
Bien plus beau qu' un poème
De Verlaine ou de Rimbaud...

 私たちはアブサンを呑んだ
 ひとが水を飲むように
 ジュテーム、ジュテーム
 おおまぁ、なんて美しいの
 ヴェルレーヌあるいはランボーの
 一篇の詩よりもずっと美しいわ…

Absinthe5.jpg


[注] 二人の詩人に関してはウィキペディアを参照されたい。→ポール・ヴェルレーヌPaul Marie Verlaine / →アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud
1 Il pleure dans mon cœur/Comme il pleut sur la ville「巷に雨の降るごとく わが心にも涙ふる」(堀口大学訳) ヴェルレーヌがランボーに捧げた詩の冒頭。「雨のブリュッセルIl pleut sur Bruxelles」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-124.htmlのページで少し触れた。
2 que=quand
3 les violons pleurentヴァイオリンが泣く」というのはヴェルレーヌの詩Chanson d'automn「落葉」のLes sanglots longs/Des violonsを念頭に置いた表現であろう。「君に別れを告げに来たJe suis venu te dire que je m'en vais」http://chantefable2.blog.fc2.com /blog-entry-89.htmlのページの最後にその詩を紹介した。
4ランボーの詩集のタイトルLe bateau ivre「酔いどれ舟」
5 saouler=soûler
6 ランボーの詩集のタイトルLe bal des pendus「首つり人の舞踏会」
7 que+接続法は願望を示し、mèneとsombreは直説法と同形だが接続法と判断するが、ここはネット上の歌詞はすべてmeursで直説法。接続法meureに訂正した。


Absinthe3.jpg


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