
シャルル・アズナヴールCharles AznavourのIl faut savoirという曲は、失恋した時に人がとるべきいさぎよい振る舞いをいろいろ述べ、だが君をあまりにも愛している僕にはそれができない、といった内容です。邦題は「それがわかれば」とされていますが、「わかれば」ではなくて「わかってはいるができない」のです。savoirは本来「知っている、わかる」という意味の動詞ですが、不定詞とつながった場合は、「…できる能力を備えている、すべを心得ている」といった意味合いです。アズナヴールは英語でYou've got to learnと歌っており、英語のlearnに当たります。ということで邦題は「心得るべきは」としました。
1961年の同名のアルバムに収録されています。
65年
ジョニー・アリディJohnny Hallydayと
Il faut savoir 心得るべきは
Charles Aznavour シャルル・アズナヴール
Il faut savoir encore sourire
Quand le meilleur s'est retiré
Et qu'il ne reste que le pire
Dans une vie bête à pleurer 注1
心得るべきはなおも微笑むこと
最高のものが去ったとき
泣きたいほどひどい人生に
どうしようもないものしか残っていないとき
Il faut savoir, coûte que coûte, 注2
Garder toute sa dignité
Et, malgré ce qu'il nous en coûte, 注3
S'en aller sans se retourner
心得るべきは、いかなる犠牲を払おうと、
誇りを保つこと
そして、たとえそれが辛かろうと、
踵を返さずに立ち去ること

Face au destin, qui nous désarme,
Et devant le bonheur perdu,
Il faut savoir cacher ses larmes
Mais moi, mon cœur,je n'ai pas su
士気を削ぐ運命と向き合い、
失った幸せを前にして、
心得るべきは涙を隠すこと
だが僕は、僕の心は、できなかった
Il faut savoir quitter la table
Lorsque l'amour est desservi
Sans s'accrocher, l'air pitoyable,
Mais partir sans faire de bruit
心得るべきはテーブルを離れること
恋の料理が下げられたとき
哀れな態度で居座らずに、
静かに席を立つことだ
Il faut savoir cacher sa peine
Sous le masque de tous les jours
Et retenir les cris de haine
Qui sont les derniers mots d'amour
心得るべきは平生の仮面の下に
苦しみを隠すこと
恋の終わりの言葉としての
憎しみの叫びをこらえること

Il faut savoir rester de glace 注4
Et taire un cœur qui meurt déja
Il faut savoir garder la face
Mais moi je t'aime trop
心得るべきは冷静なままでいること
すでに息絶えた心に語らせないこと
学ぶべきは面目を保つこと
だが僕は、僕の心は、君を愛しすぎている
Mais moi je ne peux pas
Il faut savoir
Mais moi je ne sais pas
だが僕には無理だ
心得るべきだ
だが僕にはできない
[注]
1 bête à pleurer「泣きたくなるほど愚かしい」
2 coûte que coûte「どんな犠牲を払っても」
3 en coûter「費用がかかる」「(…にとって)つらいことである。」の2義。ここでは後者。
4 de glace「冷淡な、無感動の」
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レオ・フェレLéo Ferréが作詞・作曲した「バルバリーBarbarie」という曲があります。ちょっとわらべ歌を思わせるようなメロディーのワルツで、歌詞内容も大人のためのわらべ歌(形容矛盾ですが…)って感じ。barbarieは一般名詞としては「粗野、野蛮」といった意味ですが、この曲では呼び名です。そういえばバルバラBarbaraの歌を歌うバルバリーBarbarieという歌手がいますね。この曲は1950年に録音され、1954年のアルバム:Chansons de Léo Ferré に収録され、後年2000年のアルバム:Le Temps des roses rougesに収録されました。このCDアルバムはフェレがピアノで弾き語りしているいい曲がずらっと入っていてお勧めです。そのうち「潜水夫の歌La Chanson du scaphandrier」「ムッシュ・ウィリアムMonsieur William」「芸術家の人生La vie d'artiste」「サン=ジェルマン=デ=プレでÀ Saint-Germain-des-Prés」「サン=ルイ島L'Île Saint-Louis」はすでに取り上げました。ほかの曲も今後少しずつ取り上げていきましょう。
レオ・フェレLéo Ferré
カトリーヌ・ソヴァージュCatherine Sauvageはミッシェル・ルグラン・オーケストラMichel Legrand Orchestraをバックに歌っています。
そしてバルバラBarbaraも。
Barbarie バルバリー
Léo Ferré レオ・フェレ
Dans la rue anonyme,
Y a partout des Jésus
Qui vont quêter leur dîme
Avec des yeux battus.
Barbarie, donne lui quelques sous.
Barbarie, ose cet air aigre doux. 注1
Barbarie, après tout, je m'en fous.
ごくありきたりの通りに
あちこちにイエスがいて
おどおどした目をして
お布施を集めている。
バルバリー、彼に何スーかおやり。
バルバリー、とげとげしくも優しいそんな態度をおとり。
バルバリー、ともかく、俺にはどうでもいい。
Dans la rue où l'on pèche, 注2
Y a des filles d'amour
Qui mettent leur chair fraîche
A l'étal des carrefours.
Barbarie, garde donc ton écu.
Barbarie, c'est toi qui l'a voulu.
Barbarie, le remède est connu.
ひとが猟色する通りに、
娼婦たちがいて
若々しい体を
四つ角の陳列台に並べている、
バルバリー、お前の銀貨をお取り。
バルバリー、それを欲しがったのはお前。
バルバリー、手立ては知ってのとおり。

Dans la rue à nausée,
Y avait un assassin
Qui donna la saignée
Au galant pèlerin.
Barbarie, ce fut accidentel.
Barbarie, en sortant de l'hôtel,
Barbarie, le péché fut mortel.
吐き気をもよおす通りに
人殺しがいた
そいつは慇懃な巡礼者に
血を流させた。
バルバリー、それは偶発的なことだった。
バルバリー、ホテルを出て、
バルバリー、犯罪は致命的だった。
Dans la rue infernale
Qui nous mène au sapin, 注3
Lave ton linge sale
Mais prend garde aux pépins.
Barbarie, si tu veux de l'amour,
Barbarie, méfie toi des discours.
Barbarie, le bonheur est si court.
俺たちを棺桶にみちびく
地獄のような通りで、
お前の汚い下着を洗うんだ
でも厄介ごとには気をつけろ。
バルバリー、お前が恋を望んでいたら、
バルバリー、おしゃべりには用心しろ。
バルバリー、幸せはつかの間だ。

[注]
1 aigre-douxとつなげて1語の形容詞としても用いられる。「甘酸っぱい」「優しそうでとげを含んだ」
2 pècher「(宗教上の)罪を犯す」「(魚を)釣る」の二つの意味があり、ここでは両者をかけているようだ。
3 sapin「モミの木」はクリスマスツリーに用いられる木だが、「棺桶」の材料でもあり「棺桶」そのものをも意味する。
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一昨日、映画「ピアソラ 永遠のリベルタンゴAstor Piazzolla inédito/Piazzolla, The Years of the Shark」を見ました。最終日でやたら混んでいました。アストル・ピアソラAstor Piazzollaに関心のある人がこれほどいたとは…。一人の人間としてピアソラを捉えたドキュメンタリー映画なわけですが、ミーハーならぬミーバーの私としてはただただ、片膝に乗せたバンドネオンを演奏しているピアソラのかっこよさにゾクゾクするばかりでした。慾を言えば、曲名を逐一テロップで出して欲しかったなと。邦題の「リベルタンゴ」とは1974年の彼の名曲の曲名Libertangoで、libertad「自由」とtango「タンゴ」と合わせた造語。ピアソラのタンゴ革命そのものを表します。
ピアソラの曲でフランス語で歌われている曲はこのブログですでにいくつか取り上げています。「忘却J'oublie(Oblivion)」「チェ・タンゴ・チェChe tango che」「ブレヒトとブレルの間でEntre Brecht et Brel」です。また、ピアソラへのオマージュであるクロード・ヌガロClaude Nougaroの「ヴィー・ヴィオランスVie violence」も。
「ピアソラ音の出る図書館」というブログに、ピアソラとその音楽に関する情報が多く載せられていますので、興味のある方はご覧下さい。
その名曲Libertangoにフランス語の歌詞をつけて、1975年にギィ・マルシャンGuy Marchandが歌いました、Moi, je suis tango, tangoというそのタイトルは、直訳すると「僕はタンゴだ、タンゴだ」ということになりますが、邦題は原曲通りの「リベルタンゴ」といたします。ギィ・マルシャンは「運命Destinée」という曲を先に取り上げています。
1981年にグレイス・ジョーンズGrace JonesがI've Seen That Face Beforeというタイトルで英語で歌いました。
そして2007年にはジュリー・ゼナッティJulie Zenattiもフランス語で(Tango) Princesseというタイトルで歌っています。
Moi, je suis tango, tango リベルタンゴ
Guy Marchand ギィ・マルシャン
{Refrain :}
Moi je suis tango, tango
J'en fais toujours un peu trop
Moi je suis tango, tango
Je ne connais que des rimes en o 注1
Moi je suis tango, tango
J'ai cette musique dans la peau
Moi je suis tango, tango
Elle me glace jusqu'aux os 注2
Moi je suis tango, tango
Je l'étais dans mon berceau
Moi je suis tango, tango
Je le serai jusqu'au tombeau
Moi je suis tango, tango
Toutes les femmes sont des roseaux 注3
Moi je suis tango, tango
Que je plie dans un sanglot 注4
僕はタンゴ、タンゴ
いつもちょっとやりすぎさ
僕はタンゴ、タンゴ
Oで韻を踏むことしか知らない
僕はタンゴ、タンゴ
この音楽を皮膚の内側に持つ
僕はタンゴ、タンゴ
この音楽は骨の髄まで僕を凍らせる
僕はタンゴ、タンゴ
揺りかごにいた時からそうだった
僕はタンゴ、タンゴ
墓に入る時までそうだろう
僕はタンゴ、タンゴ
女たちはみんな葦だ
僕はタンゴ、タンゴ
嗚咽のうちに手折る葦だ
{Refrain}

J'aime...
Dire "je vous aime" 注5
Même...
Si c'est un blasphème
J'aime dire
"Je t'aimerai toujours"
Même si...
Ça ne dure qu'un jour
僕は…
言いたい「あなたを愛している」と
たとえ…
もしもそれが冒涜だとしても
僕は言いたい
「君をずっと愛すだろう」と
たとえもしも…
それが1日しか続かなくても
Même si...
Je n'ai jamais eu d'humour
Il ne m'en faut pas
Pour te faire l'amour
Je te serai
Toujours fidèle
Comme je le suis
A Carlos Gardel 注6
たとえもしも…
僕にまったくユーモアのセンスがなくても
君を愛するのに
そんなの必要ない
僕は君にいつも貞節だろう
カルロス・ガルデルに対して
そうであるように
{Refrain×2}

[注]
1 tangoを含め、ルフラン部分はすべて‘O’で韻を踏んでいる。
2 elleは前々行のcette musique。すなわちtangoのことだが、tangoは男性名詞。
3 roseau「葦」。フランスの哲学者、自然哲学者であったブレーズ・パスカルBlaise Pascalの「パンセPensées」(1670年)に書かれていた有名な言葉は人間を葦に例えている。L’homme n’est qu’un roseau, le plus faible de la nature; mais c’est un roseau pensant. 「人間はひとくきの葦にすぎず、自然の中で最も弱いものである。しかし、考える葦である」これは、人間は葦のようにひ弱なものであるが、考えるという点で優れている」という事を示している。
4 queの先行詞は前々行のdes roseaux。繰り返されるMoi je suis tango, tangoはいわば合いの手で、それ以外の部分が文脈的につながっている。
5 ピアソラの立場に立った歌詞で、ルフランでは自分がタンゴそのものだと言い、ここでは、vous「あなた」tu「君」すなわちタンゴに愛を語っている。…と解釈する。
6 Carlos Gardel「カルロス・ガルデル」(1890年-1935年)は不世出のタンゴ歌手として知られるアルゼンチンの歌手・作曲家・俳優で、その人気の絶頂期に飛行機事故で急逝した。ここでは昔からのタンゴの代名詞として彼の名を出している。代表曲「想いの届く日El día que me quieras」は彼の末年1935年に主演した同名の映画の主題曲として彼が作曲したが、その映画に少年の頃のピアソラが端役で出演している。

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明けましておめでとうございます。今日は書き初めの日なので1曲取り上げます。去年から引きずっていた厄介な曲なので「恥かき初め」となりそうですが…。

ギュス・ヴィズールGus Viseurが作曲し演奏した「モントーバンの火Flambée montalbanaise」はミュゼットの名曲とされる曲で、聴くだけでゾクゾクしてきます。彼はベルギー生まれで、あらゆるジャンルのミュゼットをこなし、初めてジャズを演奏したアコーデオン奏者。ジプシー系ギタリストのジャンゴ・ラインハルトDjango Reinhardtとも共演し、エディット・ピアフÉdith Piaf の伴奏も務めました。
Montalbanは、南仏のオック語で「柳の生える丘」を意味する地名(フランス語ではモントーバンMontauban)で、13世紀後半より、ラングドック地方Languedocとアキテーヌ地方Aquitaineを結ぶ交通の要衝として繁栄しました。そして17世紀初め頃はプロテスタントのカルヴァン派ユグノーの根拠地となっていましたが、1621年に、年若きルイ13世がここを崩落させようと包囲し、脅しのために城壁に400発もの砲弾を浴びせましたが効を奏せず、3ヵ月後国王軍は断念し撤退しました。「モントーバンの400発Les quatre cents coups de Montauban」と呼ばれるエピソードです。これが、トリュフォーFrançois Roland Truffautの映画「大人は判ってくれないLes quatre cents coups」(1959年)のタイトルのように、無鉄砲な行動を意味する言葉となりました。
この曲が生まれたのは第2次世界大戦中の1940年、すなわちナチス・ドイツのフランス侵攻とパリ陥落の年。モントーバンは、ヨーロッパ北部から逃れてきた何十万人もの人々の終着点となりました。モントーバンは画家ドミニク・アングルJean-Auguste-Dominique Ingresの生地で別名「アングルの町la Cité d'Ingres」とも呼ばれますが、レオナルド・ダ・ヴィンチLéonard de Vinciのモナ・リザMona Lisaをはじめ、ルーヴルLouvreやヴェルサイユのミュゼmusée de Versaillesの芸術作品の数々も、モントーバンのアングル美術館musée Ingresのなかにかくまわれました。
flambéeは「焚き火、燃える火」のことで、この曲は第2次世界大戦でモントーバンが戦火に見舞われたことを題材にしているといわれますが、そのような記録はなく、また上に見てきたように、モントーバンは1621年にも1940年にも、人々を護りとおした町であるという実績を持ちます。「人々の心を燃やす熱い炎」という意味ではないかと私は勝手に思っています。
これに歌詞をつけてアンドレ・マンヴィエイユAndré Minvielleが1990年に歌いました。彼はパーカッショニストであり、フランス語とオック語にスキャットもまじえて歌うユニークな歌手でもあり、2008年仏ヴィクトワール・ド・ラ・ミュージック賞の最優秀ジャズヴォーカリストに選ばれました。この歌詞はギュス・ヴィズールの音楽活動に対するオマージュ的な内容ですが、正直なところチンプンカンプン。これで精一杯というところで出させていただきます。ほんと、自動翻訳かと思えるような訳文ですが、後日、理解が深まったら適宜修正いたします。
Flambée montalbanaise モントーバンの火
André Minvielle アンドレ・マンヴィエイユ
※元の歌詞はもっと細かく行を分けていますが、言葉を詰め込んだ早口の歌唱と照合しやすいようにフレーズに合わせてまとめなおしました。
Oyez la mélodie le fond du soir un café 注1
Écoutez, c'est le blues du coin l’Gus y joue du biniou comme fait Bach 注2
Pour une chanson, pucelle aux ailes déployées,
Rame, langue albatros, pique et trame au papier le cap et la falaise, balèze ! 注3
J'écoutais Montalbanaise une envolée de braises,
Noyé, je m'eau de vie-gueur Viseur au cœur, liqueur sœur, 注4
A cloche-pieds, cigarette, une bouffée volée yé
Au vent de la postérité. 注5
聴け!メロディーを夜更けにカフェで
聴けよ、それはブルースだ 隅っこでギュスがアコーデオンで演奏している バッハがやるように
ひとつの歌のため、広げた羽を持つ処女、
怠惰、アルバトロスの言葉、皮肉と紙上のたくらみ突端と断崖、どでかい!
俺はモントーバンの曲を聴いた真っ赤な火の湧出、
溺れる、俺は火の酒にど真ん中をねらう奴ヴィズール、酒は妹分
片足飛び、たばこ、ひと息吐いて、イエィ
後世の風上に。
Allez vas-y va, chaloupe ta mélopée ma chanson de café,
Charlie passe Parker, et l'Gus au biniou souffle aussi comme black au sax. 注6
Si le be-bop à valser devait sceller vos nuits, 注7
Blues et polka piquée, temps, tu nous réconcilies, m'entends-tu d'accordéon ? 注8
Monteille c'était tout petit le paradis d'été 注9
Sambapathie, dada plouc, on ramait bal d'amour flou 注10
Mais un souffle est dévoilé, une poussée bleue, d'envie,
M'accroche au cœur thank you Viseur.
行け、それ行け、君の曲はボート 僕のカフェの歌を乗せ、
チャーリー行けパーカー、そしてギュスもアコーデオンを吹き鳴らす サックスの黒人のように。
ワルツを踊るのにビバップがあんた方の夜を封じるというのなら
ブルースとスタッカートポルカ 今こそ、君は我々を融和させる 君は僕の歌にアコーデオンを聴くかい?
モンテイユ、それはちっぽけな夏の楽園だった
サンバもどき、田舎っぺの十八番 ゆるやかな愛でダンスホールを漕ぎ渡った
だが、ひとつの息吹が姿を現した、羨望の青い高まりが、
僕の心に引っかかる ありがとう、ヴィズール。

Et ceux, les "griffe le temps" ont mis les doigts de cordes,
Apaches et Django Mississippi Didi guitare aussi m'a dit 注11
Et Paris loue, Paris prie, le tango bord de Marne
Chavire la valsouze intemporelle et blues 注12
そして彼ら、「時をひっかく人たち」は弦に指を置く、
アパッチそしてジャンゴ、ミシシッピ、ディディ、ギターは僕に語る
そしてパリは賞賛し、パリは祈る、マルヌ川沿いのタンゴは
時を越えたワルツとブルースを転覆させる
Goutte à goutte ces divines My Lady valsées,
Filles et femmes tam-tam au fil du temps funambules et modernité, 注13
Comme on jette à l'eau du calme un caillou ricochet,
Par ondes d'ondes là passe-passe l'écho des papis d'au-delà du top. 注14
Réveillez la mélodie, la chanson des cafés,
Vocalise la bob french, scat et valsez one more, d'oc, 注15
Comme un souffle dévoilé, Une poussée bleue d'envie,
Accroche au cœur thank you Viseur.
すこしずつこれらの女神たちマイレディーは放り出され、
娘たちや女たちのタムタム 時の流れとともに綱渡りと現代性と、
静かな水に投げ込むように跳ね返る小石
波の波の手品のような頂点を越えたじいさんたちのエコー。
メロディーを目覚めさせろ、カフェの歌、
フランスのボップをヴォカリーズ、スキャットとワルツをもう一度、オック語で、
ひとつの息吹が姿を現し、羨望の青い高まりが
僕の心に引っかかる ありがとう、ヴィズール。

{instrumental+scat}
Oyez la mélodie Le fond du soir un café
Écoutez, c'est du coin l’Gus y joue du biniou comme fait Bach
Si le be-bop à valser devait voler vos nuits,
Blues et polka piquée temps, tu nous réconcilies m’entends-tu d’accordéon ?
Réveillez la mélodie, la chanson des cafés,
Vocalise la bob french, scat et valsez one more, d'oc,
Comme un souffle dévoilé, une poussée bleue d'envie,
Accroche au cœur thank you Viseur.
聴け!メロディーを夜更けにカフェで
聴けよ、隅っこでギュスが演奏しているアコーデオンでバッハがやるように
ビバップダンスが君たちの夜を盗むなら
ブルースとスタッカートポルカ 今こそ、君は我々と折り合う 君はアコーデオンで僕の声を聴くか?
目覚めさせろメロディーを、カフェの歌を、
フランスのボブをヴォカリーズ、スキャットとワルツをもう一度、オック語で、
ひとつの息吹が姿を現し、羨望の青い高まりが、
僕の心に引っかかる ありがとう、ヴィズール。
[注]
1 Oyez(=oyes) 古期フランス語で「聞け!, 謹聴!, 静粛に! 」法廷の廷吏や伝令使が通例で3度連呼する。
2作曲者のギュス・ヴィズールGus Viseurのgusは一般名詞として「兵士、あいつ」の意味。biniou「バグパイプ」は「ラッパ」も「アコーデオン」も意味する。
3 rameは「櫂」のほかに「怠惰」。albatros「あほうどり」はドイツ軍の戦闘機の名称でもある。piqueは「槍」のほかに「辛らつな言葉、皮肉」。trameは「横糸、骨組み、脈絡」のほかに「陰謀」。balaize(=balèze, balès)「でっかい、たくましい、力強い、」
4 eau-de-vie「ブランデー」のvieをvigueur「力強さ、活力」に変えて意味をより強めた造語のようだ。ギュス・ヴィズールGus Viseurのviseurは一般名詞として「狙撃者」の意味。liqueur は女性名詞なので「親密な者」の意味でsœur「姉妹」としたのか。
5 postérité「後世」のau vent「風上」に立つ、すなわち後世に影響を与えた。
6 Charlie Parker「チャーリー・パーカー」はアメリカの黒人アルトサックス奏者。passeが間に入っているのが意味不明。
7 be-bop「ビバップ」(英語)1940年代から発達したモダンジャズの演奏形式とそれに合わせて踊るダンスのこと。ギュス・ヴィズールは50年代にビバップを演奏していたという。
8 polka piquée「スタッカートポルカ」。tu「君」はギュス・ヴィズールであろう。
9 Monteilleノルマンディー地域圏、カルヴァドス県に属するコミューン。モントーバンからはほど遠い地。
10 sambapathie=samba+sympathie「サンバもどき」と訳した。dada「ダダイズム」のほかに幼児語の「お馬さん」、話し言葉の「固定観念、十八番」の意味もある。
11 Apaches「アパッチ族」が本義だが、大都会特にパリの「ならず者、無頼漢」の意味もある。Django Reinhardt「ジャンゴ・ラインハルト」は、ロマ音楽とスウィング・ジャズを融合させたジプシー・スウィングの創始者として知られるギタリスト。Mississippiはアメリカ合衆国南部の「ミシシッピ州」。B.B.キングB. B. Kingやエルヴィス・プレスリー Elvis Aron Presleyの出身地。Didiはステファン・グラッペリStéphane Grappelliの影響を受けたというヴァイオリニストのディディエ・ロックウッドDidier Lockwoodか?
12 valsouze=valse+blues ?
13 tam-tam「タムタム」アフリカの太鼓。
14 passe-passe「手品」。papa→papi「おじいさん」(mama→mamie「おばあさん」)。topは英語。
15 vocaliser「母音唱法で歌う」。辞書にはbobという語が4つあった。「ボブスレー」「釣鐘型帽子」「シリング貨幣、ドル」「さいころ」の意味で、すべて男性名詞なので該当しない。


ギュス・ヴィズールGus Viseurが作曲し演奏した「モントーバンの火Flambée montalbanaise」はミュゼットの名曲とされる曲で、聴くだけでゾクゾクしてきます。彼はベルギー生まれで、あらゆるジャンルのミュゼットをこなし、初めてジャズを演奏したアコーデオン奏者。ジプシー系ギタリストのジャンゴ・ラインハルトDjango Reinhardtとも共演し、エディット・ピアフÉdith Piaf の伴奏も務めました。
Montalbanは、南仏のオック語で「柳の生える丘」を意味する地名(フランス語ではモントーバンMontauban)で、13世紀後半より、ラングドック地方Languedocとアキテーヌ地方Aquitaineを結ぶ交通の要衝として繁栄しました。そして17世紀初め頃はプロテスタントのカルヴァン派ユグノーの根拠地となっていましたが、1621年に、年若きルイ13世がここを崩落させようと包囲し、脅しのために城壁に400発もの砲弾を浴びせましたが効を奏せず、3ヵ月後国王軍は断念し撤退しました。「モントーバンの400発Les quatre cents coups de Montauban」と呼ばれるエピソードです。これが、トリュフォーFrançois Roland Truffautの映画「大人は判ってくれないLes quatre cents coups」(1959年)のタイトルのように、無鉄砲な行動を意味する言葉となりました。

flambéeは「焚き火、燃える火」のことで、この曲は第2次世界大戦でモントーバンが戦火に見舞われたことを題材にしているといわれますが、そのような記録はなく、また上に見てきたように、モントーバンは1621年にも1940年にも、人々を護りとおした町であるという実績を持ちます。「人々の心を燃やす熱い炎」という意味ではないかと私は勝手に思っています。
これに歌詞をつけてアンドレ・マンヴィエイユAndré Minvielleが1990年に歌いました。彼はパーカッショニストであり、フランス語とオック語にスキャットもまじえて歌うユニークな歌手でもあり、2008年仏ヴィクトワール・ド・ラ・ミュージック賞の最優秀ジャズヴォーカリストに選ばれました。この歌詞はギュス・ヴィズールの音楽活動に対するオマージュ的な内容ですが、正直なところチンプンカンプン。これで精一杯というところで出させていただきます。ほんと、自動翻訳かと思えるような訳文ですが、後日、理解が深まったら適宜修正いたします。
Flambée montalbanaise モントーバンの火
André Minvielle アンドレ・マンヴィエイユ
※元の歌詞はもっと細かく行を分けていますが、言葉を詰め込んだ早口の歌唱と照合しやすいようにフレーズに合わせてまとめなおしました。
Oyez la mélodie le fond du soir un café 注1
Écoutez, c'est le blues du coin l’Gus y joue du biniou comme fait Bach 注2
Pour une chanson, pucelle aux ailes déployées,
Rame, langue albatros, pique et trame au papier le cap et la falaise, balèze ! 注3
J'écoutais Montalbanaise une envolée de braises,
Noyé, je m'eau de vie-gueur Viseur au cœur, liqueur sœur, 注4
A cloche-pieds, cigarette, une bouffée volée yé
Au vent de la postérité. 注5
聴け!メロディーを夜更けにカフェで
聴けよ、それはブルースだ 隅っこでギュスがアコーデオンで演奏している バッハがやるように
ひとつの歌のため、広げた羽を持つ処女、
怠惰、アルバトロスの言葉、皮肉と紙上のたくらみ突端と断崖、どでかい!
俺はモントーバンの曲を聴いた真っ赤な火の湧出、
溺れる、俺は火の酒にど真ん中をねらう奴ヴィズール、酒は妹分
片足飛び、たばこ、ひと息吐いて、イエィ
後世の風上に。
Allez vas-y va, chaloupe ta mélopée ma chanson de café,
Charlie passe Parker, et l'Gus au biniou souffle aussi comme black au sax. 注6
Si le be-bop à valser devait sceller vos nuits, 注7
Blues et polka piquée, temps, tu nous réconcilies, m'entends-tu d'accordéon ? 注8
Monteille c'était tout petit le paradis d'été 注9
Sambapathie, dada plouc, on ramait bal d'amour flou 注10
Mais un souffle est dévoilé, une poussée bleue, d'envie,
M'accroche au cœur thank you Viseur.
行け、それ行け、君の曲はボート 僕のカフェの歌を乗せ、
チャーリー行けパーカー、そしてギュスもアコーデオンを吹き鳴らす サックスの黒人のように。
ワルツを踊るのにビバップがあんた方の夜を封じるというのなら
ブルースとスタッカートポルカ 今こそ、君は我々を融和させる 君は僕の歌にアコーデオンを聴くかい?
モンテイユ、それはちっぽけな夏の楽園だった
サンバもどき、田舎っぺの十八番 ゆるやかな愛でダンスホールを漕ぎ渡った
だが、ひとつの息吹が姿を現した、羨望の青い高まりが、
僕の心に引っかかる ありがとう、ヴィズール。

Et ceux, les "griffe le temps" ont mis les doigts de cordes,
Apaches et Django Mississippi Didi guitare aussi m'a dit 注11
Et Paris loue, Paris prie, le tango bord de Marne
Chavire la valsouze intemporelle et blues 注12
そして彼ら、「時をひっかく人たち」は弦に指を置く、
アパッチそしてジャンゴ、ミシシッピ、ディディ、ギターは僕に語る
そしてパリは賞賛し、パリは祈る、マルヌ川沿いのタンゴは
時を越えたワルツとブルースを転覆させる
Goutte à goutte ces divines My Lady valsées,
Filles et femmes tam-tam au fil du temps funambules et modernité, 注13
Comme on jette à l'eau du calme un caillou ricochet,
Par ondes d'ondes là passe-passe l'écho des papis d'au-delà du top. 注14
Réveillez la mélodie, la chanson des cafés,
Vocalise la bob french, scat et valsez one more, d'oc, 注15
Comme un souffle dévoilé, Une poussée bleue d'envie,
Accroche au cœur thank you Viseur.
すこしずつこれらの女神たちマイレディーは放り出され、
娘たちや女たちのタムタム 時の流れとともに綱渡りと現代性と、
静かな水に投げ込むように跳ね返る小石
波の波の手品のような頂点を越えたじいさんたちのエコー。
メロディーを目覚めさせろ、カフェの歌、
フランスのボップをヴォカリーズ、スキャットとワルツをもう一度、オック語で、
ひとつの息吹が姿を現し、羨望の青い高まりが
僕の心に引っかかる ありがとう、ヴィズール。

{instrumental+scat}
Oyez la mélodie Le fond du soir un café
Écoutez, c'est du coin l’Gus y joue du biniou comme fait Bach
Si le be-bop à valser devait voler vos nuits,
Blues et polka piquée temps, tu nous réconcilies m’entends-tu d’accordéon ?
Réveillez la mélodie, la chanson des cafés,
Vocalise la bob french, scat et valsez one more, d'oc,
Comme un souffle dévoilé, une poussée bleue d'envie,
Accroche au cœur thank you Viseur.
聴け!メロディーを夜更けにカフェで
聴けよ、隅っこでギュスが演奏しているアコーデオンでバッハがやるように
ビバップダンスが君たちの夜を盗むなら
ブルースとスタッカートポルカ 今こそ、君は我々と折り合う 君はアコーデオンで僕の声を聴くか?
目覚めさせろメロディーを、カフェの歌を、
フランスのボブをヴォカリーズ、スキャットとワルツをもう一度、オック語で、
ひとつの息吹が姿を現し、羨望の青い高まりが、
僕の心に引っかかる ありがとう、ヴィズール。
[注]
1 Oyez(=oyes) 古期フランス語で「聞け!, 謹聴!, 静粛に! 」法廷の廷吏や伝令使が通例で3度連呼する。
2作曲者のギュス・ヴィズールGus Viseurのgusは一般名詞として「兵士、あいつ」の意味。biniou「バグパイプ」は「ラッパ」も「アコーデオン」も意味する。
3 rameは「櫂」のほかに「怠惰」。albatros「あほうどり」はドイツ軍の戦闘機の名称でもある。piqueは「槍」のほかに「辛らつな言葉、皮肉」。trameは「横糸、骨組み、脈絡」のほかに「陰謀」。balaize(=balèze, balès)「でっかい、たくましい、力強い、」
4 eau-de-vie「ブランデー」のvieをvigueur「力強さ、活力」に変えて意味をより強めた造語のようだ。ギュス・ヴィズールGus Viseurのviseurは一般名詞として「狙撃者」の意味。liqueur は女性名詞なので「親密な者」の意味でsœur「姉妹」としたのか。
5 postérité「後世」のau vent「風上」に立つ、すなわち後世に影響を与えた。
6 Charlie Parker「チャーリー・パーカー」はアメリカの黒人アルトサックス奏者。passeが間に入っているのが意味不明。
7 be-bop「ビバップ」(英語)1940年代から発達したモダンジャズの演奏形式とそれに合わせて踊るダンスのこと。ギュス・ヴィズールは50年代にビバップを演奏していたという。
8 polka piquée「スタッカートポルカ」。tu「君」はギュス・ヴィズールであろう。
9 Monteilleノルマンディー地域圏、カルヴァドス県に属するコミューン。モントーバンからはほど遠い地。
10 sambapathie=samba+sympathie「サンバもどき」と訳した。dada「ダダイズム」のほかに幼児語の「お馬さん」、話し言葉の「固定観念、十八番」の意味もある。
11 Apaches「アパッチ族」が本義だが、大都会特にパリの「ならず者、無頼漢」の意味もある。Django Reinhardt「ジャンゴ・ラインハルト」は、ロマ音楽とスウィング・ジャズを融合させたジプシー・スウィングの創始者として知られるギタリスト。Mississippiはアメリカ合衆国南部の「ミシシッピ州」。B.B.キングB. B. Kingやエルヴィス・プレスリー Elvis Aron Presleyの出身地。Didiはステファン・グラッペリStéphane Grappelliの影響を受けたというヴァイオリニストのディディエ・ロックウッドDidier Lockwoodか?
12 valsouze=valse+blues ?
13 tam-tam「タムタム」アフリカの太鼓。
14 passe-passe「手品」。papa→papi「おじいさん」(mama→mamie「おばあさん」)。topは英語。
15 vocaliser「母音唱法で歌う」。辞書にはbobという語が4つあった。「ボブスレー」「釣鐘型帽子」「シリング貨幣、ドル」「さいころ」の意味で、すべて男性名詞なので該当しない。

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