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2018
11.25

家族のスキャンダルScandale dans la famille

Dalida Scandale dans la famille


ダリダDalidaが歌った「家族のスキャンダルScandale dans la famille」は、もともと、ジャック・ターナーJacques Tourneurがシャロット・ブロンテCharlotte Brontëの小説「ジェーン・エアJane Eyre」をもとに(内容は全く異なるが)制作したアメリカ映画「私はゾンビと歩いたI Walked with a Zombie」(1943年。フランス語のタイトル:Vaudou)のためにサー・ランスロットSir Lancelotが作詞・作曲し映画の中で歌ったShame and Scandal in the Familyというカリプソcalypsoスタイルの曲です。
その後、アレンジを加えられたり、翻案されたりして世界中で歌われヒットしました。
ダリダDalidaの歌ったフランス語版は1965年にモーリス・テゼMaurice Tézéが作詞。サッシャ・ディステルSacha Distelなども歌いました。ダリダはイタリア語でも歌っています。
11月10日の《大阪ヴォーカルコンクール》で大西千夏さんが「オーパパ」と題して日本語で歌い、歌唱賞を受賞しました。

カリプソは20世紀に生まれた音楽のスタイルのひとつで、アフリカ人奴隷たちがお互いに言葉が通じず音楽でコミュニケーションをしたのが始まりで、イギリス領、フランス領のカリブの島々、特にトリニダード・トバゴTrinidad and Tobago(フランス語ではTrinité-et-Tobago)のカーニバルで発達し、レゲエのルーツの一つとなりました。トリニダード・トバゴは23の島々からなり、その主島トリニダード島Trinidadの名前が歌詞に出てきます。ちなみに、日本でも有名になったハリー・ベラフォンテHarry Belafonteの「バナナ・ボートBanana Boat Song」はトリニダードの労働者がバナナを船に積み込むときに歌う労働歌を元に作られた曲で、ジャマイカ民謡のメントの曲ですが、当時のアメリカではメントの知名度が低く、より有名なジャンルであるカリプソとして売り出されたそうです。どんどんわき道に逸れていきそうなのでこれくらいに。

ダリダ




サッシャ・ディステル



Scandale dans la famille 家族のスキャンダル
Dalida            ダリダ


Waoh papa !
Quel malheur, quel grand malheur pour moi
Waoh papa !
Quel scandale si maman savait ça

 オーパパ!
 なんという不運、僕にとってなんという大きな不運
 オーパパ!
 なんというスキャンダル、もしママが知ったら

À Trinidad, tout là-bas aux Antilles 注1
À Trinidad vivait une famille

 アンティル諸島の、トリニダードに
 トリニダードに、ある家族が住んでいた

Scandale3.jpg


La mama et le papa et leur grand fils aîné
Qui à 40 ans n'était pas encore marié
Un jour il trouva la fille qu'il voulait
Il dit à son père : "Je voudrais l'épouser"
Hélas mon garçon, hélas tu n'peux pas
Car cette fille est ta sœur et ta mère ne le sait pas

 ママとパパとお兄ちゃん
 彼は40歳でまだ未婚
 ある日彼は好みの娘を見つけた
 彼は父親に言った「彼女と結婚したい」と
 アアお前、アアそれはできないよ
 だってこの娘はお前の妹だ ママは知らないが

Waoh papa !
Quel malheur, quel grand malheur pour moi
Waoh papa !
Quel scandale si maman savait ça

 オーパパ!
 なんという不運、僕にとってなんという大きな不運
 オーパパ!
 なんというスキャンダル、もしママが知ったら

Scandale1-2.jpg


À Trinidad, tout là-bas aux Antilles
À Trinidad, woh woh quelle famille

 アンティル諸島の、トリニダードに
 トリニダードに、ウォーウォーどんな家族が

Deux ans passèrent puis le garçon un soir
Vînt trouver son père et lui dit plein d'espoir
La maîtresse d'école veut bien m'épouser
Mais le pauvre père prit un air accablé
Mon fils tu n'peux pas, tu n'peux pas faire ça
Car cette fille est ta sœur et ta mère ne le sait pas 注2

 2年が経ち息子はある晩
 父親をつかまえて期待を込めて言った
 学校の先生が僕と結婚したいってさ
 でも哀れな父親は困った様子
 お前、ああそれはできないよ
 だってこの娘はお前の姉だ ママは知らないが

Waoh papa !
Quel malheur, quel grand malheur pour moi
Waoh papa !
Quel scandale si maman savait ça

 オーパパ!
 なんという不運、僕にとってなんという大きな不運
 オーパパ!
 なんというスキャンダル、もしママが知ったら

À bout de patience, il courut écœuré
Raconter à sa mère toute la vérité
La mère se mit à rire et lui dit : "Ne t'en fais pas !" 注3
Ton père n'est pas ton père et ton père ne le sait pas 注4

 たまらなくなり、彼はがっかりして
 母親に真実を全部告げに走った
 母親は笑って言った「心配しないで!」
 父さんはおまえのお父さんじゃなくて父さんはそれを知らないのよ

Scandale5.jpg


Waoh mama !
Quel bonheur, quel grand bonheur pour moi
Waoh mama ! quel scandale, si papa savait ça
Waoh mama ! quel scandale, si papa savait ça
Waoh mama ...

 オーママ!なんという幸運、僕にとってなんという大きな幸運
 オーママ!なんというスキャンダル、もしパパが知ったら
 オーママ!なんというスキャンダル、もしパパが知ったら
 オーママ…

[注] タイトルおよび歌詞中のscandaleはスキャンダルとカナで書くともっぱら「醜聞」の意味となるが、フランス語としては「ひんしゅく、物議、大問題」などの意味合いももつ言葉。ここでは「大問題」くらいがふさわしいのだが、「スキャンダル」のほうが言葉として面白いのであえて用いた。
1.Antilles「アンティル諸島」は中央アメリカに位置し、西インド諸島の主要部を構成する諸島。そのなかの小アンティル諸島のまたそのなかのウィンドワード諸島にトリニダード・トバゴTrinidad and Tobagoがあり、その主島Trinidad「トリニダード島」がある。
2 sœurは「姉」「妹」のいずれか特定できないが、先の娘を「妹」とし、la maîtresse d'école 「学校の女教師」であるこちらを「姉」としてみた。
3 s'en faire「心配する、気にする」
4 ton père はton père ではなくて、ton père はそれを知らない。1番目と3番目のton père は「あなたが父親だと思っている人」で、2番目のton père は「あなたの実の父親」。「父さん」と「お父さん」に訳し分けた。


Scandale6.jpg



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2018
11.20

彼女からのお返事D'elle à lui

Barbara La chanteuse de minuit


バルバラBarbaraが歌った「彼女からのお返事D'elle à lui」は1934年にポール・マリニエPaul Marinierが作詞・作曲した古い曲で、アンナ・チボーAnna Thibaudが創唱し、後に、イヴェット・ギルベールYvette Guilbertが歌っていました。「結婚するから俺と別れてくれ」という手紙に対する彼女からの返事。相手の男性にあらたな恋人ができて別れを持ち出された立場の曲としてまず浮かぶのは「ボン・ヴォワヤージュBon voyage」ですが、それよりずっと生々しくて、「恋は切なくEmportez mon amour」の一歩手前。相手がどんな男なのかもよく分かります。

バルバラの歌は2001年のアルバム:La chanteuse de minuitに収録されています。



D'elle à lui  彼女からのお返事
Barbara   バルバラ


Tu me dis, Léon, qu'il faut que je t'oublie,
Parce que dans quelques jours, tu vas te marier.
Ce qu'tu demandes là,
Mais c'est de la folie,
Car il y a des amours qu'on ne peut oublier.

 あんたは私に、レオン、あんたを忘れろと言うのね
 近々、あんたが結婚するからと。
 あんたの要求は、
 とんでもないことよ、
 だって忘れられない恋ってものがあるのよ。

Delle à lui7


Je te l'ai toujours dit :
Tu fus le premier homme
Qui m'ait, chaste et pure, tenue dans ses bras.
Oui, ça te fait sourire.
Ben souris, mon bonhomme,
Mais ça, c'est une chose
Qu'une femme n'oublie pas.

 私、あんたにいつも言っていた:
 あんたが、私を、貞節で清純な私をその腕に抱いた
 最初の男だって。
 ええ、あんたを笑わせることよね。
 さぁ笑いなさいよ、私のいい人、
 でもそれは、それはね
 女には忘れないことなの。

Ah oui, j'étais pure !
C'était ridicule.
Des choses de la vie,
J'savais rien de rien,
A ce point que toi,
Pourtant, qu'est pas un hercule, 注1
Ben, ce que tu m'faisais,
J'trouvais ça très bien.

 ああそうよ、私は清純だった!
 おかしな話よ。
 人生のいろんなことを、
 私はまったくもって分かっていなかった、
 その時は、あんたが
 英雄ヘラクレスじゃないってことを、
 ま、あんたが私にしてくれたことはね、
 私はとても快く受け止めていたのよ。

Ah ! t'aurais tout de même pas
Fait comme ce colosse
Des choses épatantes
Entre les deux repas.
Mais non, mon ami,
Non je ne suis pas rosse.
Y a tout de même des choses
Qu'une femme n'oublie pas.

 ああ!あんたはやっぱり
 この巨人のようには
 派手なことはしなかったわ
 2回の食事のあいだに。
 でもね、あんた、
 いいえ、私は性悪じゃないの。
 でもね、やっぱりあるのよ
 女には忘れられないことが。

En ce temps là, t'étais pas vêtu comme un prince.
Tu gagnais quelque chose
Comme cent francs par mois.
Quand on a le ventre creux, on a la taille mince.
J'aime pas les gros hommes,
Ben, t'étais de mon choix.
Je menais une vie sobre tout autant que rangée.

 あの頃、あんたは王子様みたいには装っていなかった。
 あんたはなにがしかは稼いでいた
 月に100フランとか。
 ひとはお腹が満ち足りないと、スリムな体型になる。
 私は太った男は好きじゃないの、
 ええ、あんたは私の好みだった。
 私は相応の質素な生活を送っていたわ。

Delle à lui1


Ah ! Tu te souviens pas de ça,
Maintenant que tu es gras !
Ce que j'en ai bouffé, d'la vache enragée 注2
Et ça c'est une chose
Qu'une femme n'oublie pas,
Ce qui t'empêchait pas de faire
Des p'tites bombances 注3
Et chercher ailleurs un autre bien que le tien.

 ああ!あんたは覚えていないの、
 おデブさんになっちゃった今!
 私が食うや食わずの暮らしをしていたこと
 それは
 女が忘れないことなのよ、
 そしてあんたがちょっとご馳走を食べたり
 自分のとは違うほかのいいものを欲しがるのは
 邪魔しなかったわ。

Ah ! Tu m'en as fait voir 注4
De toutes les nuances
Et tu prétendais même que le jaune m'allait bien... 注5
Et quand je pense que moi,
Moi, j'étais fidèle.
Dans la vie d'une femme, ça compte.
En tout cas, le cas est assez rare
Pour que j'me le rappelle
Et ça, c'est une chose que j'n'oublierai pas.

 ああ!あんたは私を辛い目にあわせた
 いろんな風にね
 あんたは黄色が私に似合うとさえ言い張ったわ…
 わが身を振り返るに、
 私は、従順だったわ。
 女の人生では、それって貴重なこと。
 いずれにせよ、たぐい稀なケースよ
 思い出してみるとね
 そして、それは私が忘れられないことよ。

Et le jour où je t'appris
Que j'allais être mère,
Un enfant à nous,
Mais c'était fabuleux...
Tiens :
Je l'ai ta voix, dans le creux de mon oreille :
"Ah non, pas d'enfant !
On est assez de deux !"

 そして私が母親になるだろうって
 あんたに告げた日、
 私たちの子どもよ、
 でもそれは作り話…
 ほら
 あんたの声が、私の耳に
 「ああいや、子どもはだめだ!
 僕たちは二人で充分だ!」と

Ah ! Tu te fiches bien
De ma vie, de ma souffrance,
Ce qui prouve, mon ami,
Que si t'es mufle, au fond,
C'est pas d'aujourd'jui
Que j'en fais l'expérience
Car il y a des choses
Qu'une femme n'oublie pas.

 ああ!あんたはないがしろにする
 私の人生を、私の苦しみを、
 それは示すのよ、あんた、
 あんたが実は、粗野な人間かどうか、
 それは今のことじゃない
 私がその経験をしたのは
 だってあるのよ
 女には忘れられないことが。

Delle à lui3-2


Ah ! Puis tiens, tu me rendrais méchante.
Si je remue tout ça,
C'est que j'ai tant de peine.
J'croyais qu'on vivrait toujours, tous les deux...
Mais non ! J'irai pas chez toi
Faire des scènes. 注6
Tu veux t'en aller ? Va t'en, sois heureux,

 ああ!だからさ、あんたは私を意固地にした。
 こんなこといろいろ持ち出すのは、
 とても辛いからなのよ。
 私たちはずっと二人で生きて行くと信じてた…
 でもいいえ!わたしはあんたんちに
 喧嘩を売りに行かないわ。
 あんたは行きたいの?行ってよ、しあわせになってよ、

Mais t'oublier, non.
Je t'avoue ma faiblesse.
Songeant au passé, je pleurerai parfois
Car ce temps-là, vois-tu,
C'est toute ma jeunesse
Et ça, c'est une chose
Qu'une femme n'oublie pas

 でもあんたを忘れるなんて、できない。
 私は自分の弱さをあんたにさらけた。
 昔のことを思うと、ときどき泣けてくるわ
 だってあの時代は、ねえあんた、
 私の青春のすべてよ
 そしてそれはね、
 女には忘れられないことなのよ。

[注]
1 Herculeギリシャ神話の英雄「ヘラクレス」。ここでは普通名詞として「英雄、逞しい男」の意味。次の節でce colosse「この巨人」と言い換えている。
2 manger de la vache enragée「窮乏生活を送る」bouffer=manger
3 faire bombance「ご馳走を食べる」
4 en faire voir à qn.「…を辛い目にあわせる」
5 jaune「黄色」は屈辱の色。aller bien「似合う」。
6 scèneは「舞台、シーン」が本義だが、「(現実生活の)場面」の意味に用いられ、その延長で、faire une scène / faire des scènesは「喧嘩を売る」、子どもだと「駄々をこねる」の意味に。



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2018
11.10

《第3回大阪ヴォーカルコンクール》

第3回大阪ヴォーカルコンクールの本選出場者は下記の27名の方々です。

安藤ゆきお   旅芸人のバラード   兵庫県
アンナ   それが貴方なら   大阪府
伊勢田好美(すみ)   ポルトガルへの愛   兵庫県
糸井勇   それが貴方なら   京都府
枝川曉美   アラビア   滋賀県
太田倫代   ジュテーム   三重県
大西千夏   オーパパ   岡山県
岡本郁子   ヴィアナへ行こう   大阪府
カルロス松本   ラ・クンパルシータ   滋賀県
川西玲子   北の故郷   滋賀県
きよ子   ねぇ!仲間たち   兵庫県
小嶋繁樹   青春の旅立ち   兵庫県
西條伊里也   熱愛   大阪府
坂井隆子   青空に住もう   福岡県
シュウ岩田   シュゼット   兵庫県
SUZUKO   バラの咲く庭   兵庫県
千輝世美   歌おう愛の歓びを   兵庫県
龍田香住美   生きる時代   兵庫県
田中かよ   水に流して   兵庫県
どひかほる   想い出のソレンツァラ   京都府
富永順子   ピエロのリュリュ   千葉県
藤田優子   さよならを教えて   兵庫県
松本洋子   遠い道   兵庫県
森田公司   スカーフ   兵庫県
柚希(ゆずき)   ウエイヴ   愛知県
吉井利明   黒い鷲   兵庫県
吉住克也   甘いささやき   東京都

2018osakavocal60A2.jpg

◎受賞者を発表いたします。

<グランプリ>
柚希   ウエイヴ   愛知県

<準グランプリ>
富永順子 ピエロのリュリュ 千葉県
松本洋子   遠い道   兵庫県

<歌唱賞>
アンナ  それが貴方なら  大阪府
伊勢田好美 ポルトガルへの愛 兵庫県
大西千夏   オーパパ   岡山県
川西玲子   北の故郷   滋賀県
シュウ岩田  シュゼット  兵庫県



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2018
11.07

甘い言葉Les mots tocs

Zaza Fournier La vie à deux


今回は、以前「マドモワゼルMademoiselle」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-691.htmlを取り上げたザザ・フルニエZaza Fournierの「甘い言葉Les mots tocs」。「マドモワゼルMademoiselle」と同様、2008年のファーストアルバム:Zaza Fouriner(La vie à deuxとも呼ばれています)に収録されています。
Les mots tocsというタイトルのtocとは、もともと「こつん」といった物がぶつかる音をあらわす擬音語でしたが、「まがい物の、偽の、価値の無い」という意味の形容詞として用いられます。逆説的な意味を込めて「甘い言葉」と訳しました。最初はJe t'aimeなどと言ってもらわなくて結構よと強がりを言っていますが、それが変わっていき、最後に本音が出てきます。なかなかおもしろい歌詞ですが、口語的な言い回しが多くて訳すのはちょいとたいへんでした。



Les mots tocs  甘い言葉
Zaza Fournier  ザザ・フルニエ


Tu me dis "Je t'aime"
Je te dis "Toi même"
Je n'suis pas de celles-la
Qui disent des mots tendres
Qui se laissent prendre 注1
Par un mâle de surcroît 注2

 あなたはわたしに言う「君を愛してる」
 わたしはあなたに言う「あなたはね」
 わたしは違うのよ
 やさしい言葉を言って
 それで男にだまされる
 女たちとはね

Zaza Fournier1


Tu me dis "Je t'aime"
Je te dis "La ferme" 注3
On ne m'aura pas comme ça 注4
Aux grands sentiments
J'préfère un amant
Un de ceux qui n'parlent pas

 あなたはわたしに言う「君を愛してる」
 わたしはあなたに言う「黙ってよ」
 こんなことで私を騙せないわ
 崇高な感情よりも
 わたしは好きなの
 無口な恋人がね

J'aime pas les caresses
Et les mots qui blessent
Je les donne à qui mieux mieux 注5
Je suis pas une tendre
J'préfère les esclandres
Aux chichis des amoureux 注6

 愛撫は好きじゃないわ
 傷つける言葉を
 わたしはどんどんぶつけるの
 わたしは優しい女じゃないの
 はゴタゴタが好きなの
 恋人たちのもったいぶりよりもね

Tu me dis "J'ai mal"
Je te dis "Normal"
La vie c'est pas qu'du bonheur
On fait comme tu veux
Les yeux dans les yeux
Mais tu n'auras pas mon cœur

 あなたはわたしに言う「僕はつらいよ」
 わたしはあなたに言う「当然だわ」
 人生っていいことばかりじゃない
 あなたが望むみたいに
 みんなは目と目で見つめ合うけど
 あなたはわたしの心をつかまえられないわ

Je suis pas méchante
Juste un peu méfiante
Les poilus je connais ça 注7
Toi et ton sourire
Je vous vois venir 注8
Je ne mange pas de ce pain-là 注9

 わたしは意固地じゃない
 ちょっぴり用心深いだけ
 男たちのこと、わたしは分かってる
 あなたが微笑みを浮かべつつ
 やってくるのが見える
 わたしはそんなのいただけないわ

Zaza Fournier2


J'aime pas les poèmes
Les lettres qui traînent
Je suis pas une littéraire 注10
Les glaces à deux boules 注11
Les mélos qui coulent
Tout cet amour m'exaspère

 わたしは好きじゃないわ、詩や
 だらだらした手紙は
 わたしは文学少女じゃない
 ダブルアイスクリーム
 流れるメロドラマ
 こうした愛はみなわたしをいらだたせるわ

Je suis pas morose
J'vois la vie en rose
J'suis pas du tout déprimée
J'veux pas qu'on m'chuchote
Des mots bleus en toc 注12
A l'oreille toute la journée

 わたしは陰気じゃない
 バラ色の人生が見えるの
 わたしはまったく落ち込んじゃいない
 わたしは望まないわ
 誰かが耳元で一日中
 いつわりのきれいな言葉をささやくことを

Je suis pas morose
J'vois la vie en rose
Et je pleure toute la journée
Je veux qu'on m'chuchote
Des mots bleus en toc
Ou je sens que j'vais craquer

 わたしは陰気じゃない
 バラ色の人生が見えるの
 そしてわたしは一日中泣いてるの
 わたしは望んでいるの
 誰かが耳元で一日中
 いつわりのきれいな言葉をささやくことを
 でないと、わたし壊れてしまいそう

Zaza Fournier3


Je veux qu'on m'chuchote
Des mots bleus en toc
Ou je sens que j'vais craquer
Je veux qu'on m'bécote
Je veux qu'on m'tripote
J'veux d'l'amour à en crever (x3) 注13

 わたしは望んでいるの
 誰かが耳元で一日中
 いつわりのきれいな言葉をささやくことを
 でないと、わたし壊れてしまいそう
 誰かがわたしにキスをして欲しいの
 誰かがわたしに触って欲しいの
 わたし恋がしたいの、ものすごく

[注]
1 se laissent prendre「つかまる、だまされる]
2 de surcroît「そのうえ、おまけに」
3 La ferme=Ferme-la「黙れ」
4 avoire qn.「…を騙す」
5 à qui mieux mieux「競って、われ勝ちに」
6 chichi「気取ること、もったいぶること」
7 poilu形容詞「毛むくじゃらの」から、名詞としてhomme quelconque「平凡な男」あるいは「兵隊さん」
8 toiとton sourireでvous「あなた方」となる。
9 Je ne mange pas de ce pain-là「そんな仕事に加わるわけにはいかない」
10 une littéraire形容詞→名詞「文科系の教授(学生)、文学好き」
11•à deux boules=à trois balles「安物の」 という成句があるが、glace à deux boulesは、二つ盛られた「ダブルアイスクリーム」らしい。
12 Des mots bleus:クリストフChristopheの「青い言葉Les mots bleus」では、「青い瞳が語る言葉」だったが、ここでは「ロマンティックな、美しい」という意味合い。en toc「まがい物の」、タイトルは逆説的に「甘い言葉」とした。
13 à creverは「過度に、異常に」だが、en=de cela「そのために」があいだに入っているので、「そのために死にそうなくらい」という意味合い。




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