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2018
06.26

小さな靴屋さんLe petit cordonnier

Francis Lemarque Le petit cordonnier


今回は、前回の「カエル」と同じくフランシス・ルマルクFrancis Lemarqueが作り歌ったメルヘンティックな曲で、「小さな靴屋さんLe petit cordonnier」(1953年)です。歌詞内容は、ハンス・クリスチャン・アンデルセンHans Christian Andersen作の童話「赤い靴De røde Sko」を元にしているようで、靴を履いたために踊り続けることになったお話。
ちなみに、アンデルセンの父親は貧しい靴屋でした。アンデルセンの異腹の姉 Karen Marie Andersenがこの童話の主人公カーレンKarenの名前の由来で、話自体もアンデルセンの幼少期の出来事:靴屋の父が姉のために丹精込めて作ったダンスシューズ(バレーシューズ)に対して、その姉が言った一言で父が怒り靴を切り裂いたという話がベースになっているとか。
「小さな靴屋さん」というとお店が小さいみたいですが、歌詞では靴屋自身が小柄だということで、そのために相手の美女にバカにされます。アンデルセンは醜男で何度も失恋したそうですが、ルマルクはその意味でもアンデルセンを靴屋のモデルにしたのかもしれませんね。童話ではカーレンが足首を切断するという悲惨な結末ですが、この曲では最後に美女が靴屋の望みを受け入れてめでたしめでたしです。



イヴェット・ジローYvette Giraudはこの曲も歌っています。



Le petit cordonnier 小さな靴屋さん
Francis Lemarque  フランシス・ルマルク


Un petit cordonnier qui voulait aller danser  注1
Avait fabriqué de petits souliers
Une belle est entrée qui voulait les acheter
Mais le cordonnier lui a déclaré :

 小さな靴屋さんがダンスに行きたくて
 小さな靴を作ったよ
 ひとりの美人さんが入ってきてそれを買いたいと言った
 すると靴屋は彼女にはっきり言ったよ

"Ils seront à vous sans qu'ils vous coûtent un sou
Mais il vous faudra danser avec moi" (x2)

 「お代は払わないでもこの靴はあなたのもの
 でもあなたは僕とダンスしなきゃならないんだ」

red shoes2


{Refrain:}
Petit cordonnier t'es bête, bête
Qu'est-ce que t'as donc dans la tête, tête ?
Crois-tu que mon cœur s'achète, chète
Avec une paire de souliers ?

 小さな靴屋さんあんたはバカよ、バカよ
 いったい何を考えてるの、その頭で、頭で?
 思っているの、私の心が買えると、買えると
 靴一足で?

Mais la belle accepta, elle emporta sous son bras
Les petits souliers pour aller danser
L'cordonnier tout réjoui a mis ses plus beaux habits
Et s'est pomponné pour la retrouver

 でも美人さんは承諾した、ダンスに行くために
 彼女は腕に小さな靴をかかえた
 大喜びの靴屋は一番きれいな服を着て
 着飾った 彼女にまた会うために

Mais hélas quand il voulut la faire danser
Elle lui rit au nez d'un p'tit air futé. (x2)

 だけど彼女にダンスしてもらおうとすると
 女はちょっと小ざかしい様子で鼻先で笑う

{Refrain}

Mais à peine la belle avait-elle fait trois pas
Que ses p'tits souliers furent ensorcelés
Elle se mit à tourner comme une toupie déréglée
Et les musiciens n'y comprenaient rien

 だけど美人さんが3歩踏み出すやいなや
 靴は魔法にかけられて
 彼女は狂った独楽のように回り始め
 ミュージシャンたちにはさっぱり訳が分からなかった

red shoes1


Elle tourna, tourna jusqu'au petit matin
Et toute épuisée se mit à pleurer (x2)

 彼女は回った、回った夜明けまで
 そしてすっかりくたびれて泣き始めた

Petit cordonnier arrête, rête
Tu me fais tourner la tête, tête
Tu ne dois pas être bête, bête
Pour m'avoir ensorcelée

 小さな靴屋さんやめて、やめて
 あんたはくらくらさせる私の頭を、頭を
 あんたはバカなはずがないわ
 私を魔法にかけたんだから

Petit cordonnier arrête, rête
Que ta volonté soit faite, faite
Toute ma vie le cœur en fête, fête
Dans tes bras je vais danser
Gentil petit cordonnier

 小さな靴屋さんやめて、やめて
 あんたの思い通りになるわ、なるわ
 一生のあいだ心うきうき、うきうき
 あなたの腕のなかで私はダンスするわ
 優しい小さな靴屋さん


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2018
06.15

カエルLa grenouille

Francis Lemarque La grenouille


「カエルLa grenouille」というメルヘンティックな曲は、「兵隊が戦争に行くときQuand un soldat」や「ア・パリÀ Paris」を作詞・作曲したフランシス・ルマルクFrancis Lemarqueが1955年に作詞・作曲しました。
「三つの願いを叶えてもらう」という設定はグリム童話の「三つの願い」を思わせますが、これは、貧乏な人が神さまを家に泊めてもてなし、お礼として三つの願いを叶えてもらい幸せになった。それを知った金持ちは自分も神さまに三つの願いを叶えてもらったが、欲張ったために願い方を失敗してたいへんな目にあったというお話。また、グリム童話には「かえるの王様」という変身譚があります。王子がカエルに変身させられていて、王女がそのカエルを壁に叩きつけたことで人間に戻り、二人は幸せになったというお話。
この歌は、この二つのグリム童話を合体したような内容です。男の子が捕まえたカエルを逃がしてあげて、三つの願いを叶えてもらいます。二つはお金と権力。それでも幸せにならない彼は三つ目の願いとして「愛」を望んだところ、カエルが美しい娘に変身して恋人になったというお話。カエルgrenouilleは女性名詞なので女性にしたのでしょう。でも人間の娘がカエルに変身させられていたのが人間にカエるのではなく、カエルは自身の姿をカエることで彼の願いを叶えたわけです。めでたしめでたし!
なお、私が時々参照するネット上の隠語辞書Bobによると、カエルgrenouilleは娼婦を意味する隠語でもあります。「猫の歌Chanson du chat」と同様、エリック・サティErik Satieの歌曲集「潜水人形Ludions」に入っている「アメリカの蛙La grenouille américaine」に描かれているカエルはそのようです。蛇足でした…



イヴェット・ジローYvette Giraudの歌でも知られています。



La grenouille    カエル
Francis Lemarque フランシス・ルマルク


Un garçon part en vadrouille
Au bord d'un étang
Il attrape une grenouille
Qui dit en tremblant :
"Laisse-moi m'en aller
Et je te promets
De réaliser
Trois de tes souhaits"

 ある男の子が池のほとりに
 散歩に行った
 彼は一匹のカエルをつかまえた
 するとカエルは震えながら言った
 「私を逃がして
 そうしたらあなたに約束するわ
 あなたの願いを
 三つ叶えるって」

La grenouille1


"Fais un vœu, mon bonhomme
Car je peux, mon bonhomme
Si tu veux, mon bonhomme
Te donner le bonheur"

 「ひとつ願いごとをなさい、あなた
 だってわたしはね、あなた
 あなたが望むなら、あなた
 しあわせをあげることができるのよ」

Tout surpris par ce langage
Il lui dit : "Je veux
Beaucoup d'or dans mes bagages
Des habits soyeux."
Mais au bout d'un mois
Il revint la voir
Et lui demanda :
"Donne-moi la gloire."

 この言葉にとっても驚いて
 彼はカエルに言った「僕は欲しいな
 この荷物にたくさんの金を
 たくさんの絹の服を。」
 だがひと月後
 彼はカエルにまた会いに行った
 そして頼んだ
 「栄光を与えておくれ。」と

"Fais un vœu, mon bonhomme
Car je peux, mon bonhomme
Si tu veux, mon bonhomme
Te donner le bonheur"

 「ひとつ願いごとをなさい、あなた
 だってわたしはね、あなた
 あなたが望むなら、あなた
 しあわせをあげることができるのよ」

La grenouille2


De tous les puissants sur Terre
Il devint le roi
Mais dans son cœur solitaire
Y avait pas de joie
Il revint un jour
Triste et malheureux
"Donne-moi l'amour
C'est mon dernier vœu."

 地上を制する諸力のすべてで
 彼は王になった
 だが孤独な心のなかには
 喜びはなかった
 彼はある日またやって来た
 悲しくて不幸な様子で
 「愛を与えておくれ
 僕の最後の願いだ。」

"Ce vœu-là, mon bonhomme
Tu l'auras, mon bonhomme
Et cela, mon bonhomme
Sera le vrai bonheur"

 「その願い、あなた
 叶えてあげるわ、あなた
 それはね、あなた
 本当の幸せになるわ」

Poussant une plainte étrange
La grenouille alors
Devant lui soudain se change
En fille aux cheveux d'or
La main dans la main
Ils s'en sont allés
Et sur leur chemin
Les oiseaux soufflaient :

 奇妙なうめき声を上げて
 カエルは
 彼の前で突然に変身した
 金色の髪の娘に
 手に手を取って
 彼らは行った
 彼らの行く道には
 小鳥たちがさえずっていた

La grenouille3


"Sois heureux, mon bonhomme
Car ton vœu, mon bonhomme
Pour toujours, mon bonhomme
T'a donné le bonheur"

 「幸せになってよ、あなた
 だってあなたの願いはね、あなた
 いつまでも、あなた
 あなたに幸せを与えてくれるわ。」


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2018
06.03

なおも君に愛をJ'te l'dis quand même

Patrick Bruel Jte ldis quand même


今回はパトリック・ブリュエルPatrick Bruelの「なおも君に愛をJ'te l'dis quand même」です。ブリュエル自身の作詞・作曲で、1989年のアルバム:Alors regardeに収録されています。タイトルを直訳すると「それでも僕は君にそれを言う」ですが、「それ」とはJe t’aimeという言葉のことです。今までも「それ」を言い過ぎたけれど、別れたのちも「それ」を言い続けるよ、と。邦題は新たにつけました。



イスラエル系のシンガー・ソングライターのアミールAmir Haddadがこの曲をカヴァーしています。これは、ブリュエルといっしょにステージで歌っている動画です。



J'te l'dis quand même なおも君に愛を
Patrick Bruel      パトリック・ブリュエル


On aurait pu se dire tout ça
Ailleurs qu'au café d'en bas 注1
Que t'allais p't être partir
Et p't être même pas revenir
Mais en tout cas, ce qui est sûr
C'est qu'on pouvait en rire

 僕たちはそうしたことをすべて話し合うこともできた
 君がたぶん去ることになり
 そしてたぶん戻って来ることもなくなるだろう
 下のカフェ以外のところでね
 だがいずれにせよ、確かなのは
 笑ってすませられたということだ

Alors on va s'quitter comme ça
Comme des cons devant l'café d'en bas
Comme dans une série B 注2
On est tous les deux mauvais
On s'est moqué tellement d'fois
Des gens qui faisaient ça 注3

 僕たちはこうして別れようとしている
 下のカフェの前にいるバカなやつらのように
 B級映画に見るように
 僕たちはふたりとも愚か者だ
 こんな風に破局を迎えた人たちを
 僕たちは何度もバカにしてたのに

Patrick Bruel4


Mais j'trouve pas d'refrain à notre histoire
Tous les mots qui m'viennent sont dérisoires
J'sais bien que j'l'ai trop dit
Mais j'te l'dis quand même, je t'aime

 だが僕たちの恋物語にリフレインはない
 浮かんでくる文句はすべて取るに足りないものだ
 僕はあまりにもこの言葉を言い過ぎたことは分かっている
 それでもなおこの言葉を君に言いたい、ジュテーム

J'voulais quand même te dire merci
Pour tout le mal qu'on s'est pas dit 注4
Certains rigolent déjà
J'm'en fous, j'les aimais pas
On avait l'air trop bien
Y en a qui n'supportent pas

 それでもなお君にありがとうと言いたい
 僕たちが何も悪い言葉をぶつけ合うことがなかったことを
 あるやつらはもうせせら笑っている
 僕は気にしない、そんなやつらは嫌いだ
 僕たちはあまりにもいい感じだった
 それが鼻持ちならないってやつらがいたのさ

Patrick Bruel3


Mais j'trouve pas d'refrain à notre histoire
Tous les mots qui m'viennent sont dérisoires
J'sais bien que j'l'ai trop dit
Mais j'te l'dis quand même, je t'aime

 だが僕たちの恋物語にリフレインはない
 僕に浮かんでくる文句はすべて取るに足りないものだ
 僕はあまりにもこの言葉を言い過ぎたことは分かっている
 それでもなおこの言葉を君に言いたい、ジュテーム

J'sais bien que j'l'ai trop dit
Mais j'te l'dis quand même, je t'aime

 僕はあまりにもこの言葉を言い過ぎたことは分かっている
 それでもなおこの言葉を君に言いたい、ジュテーム

Je t'aime

 ジュテーム

[注]
1 d'en bas「階下の」。上の階のアパルトマンに住んでいるということか。
2 (film de) série B「B級(低予算)映画」
3 この行は意訳した。
4 この行も意訳した。
5 j'l'ai trop ditと次行のj'te l'disのleは、冒頭の解説に書いたように、je t'aimeという言葉。




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