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2017
12.24

青春の過ぎ去りし今Maintenant que la jeunesse

Marc Ogeret chante Aragon


今回は、ルイ・アラゴンLouis Aragonの詩を歌詞とした「青春の過ぎ去りし今Maintenant que la jeunesse」です。以前、この曲の既存の日本語歌詞が原曲の内容とあまりにも違っていて残念だというコメントをいただき、訳してみましょうとお返事しました。お待たせしましたが、やっと出します。
アコーディオン奏者のリノ・レオナルディLino Léonardiが作曲し、その妻のモニック・モレリMonique Morelliが創唱し、1966年のアルバム:Aragon. 12 Chansons inédites de Léonardiに収録されました。続いてマルク・オジュレMarc Ogeretが歌い、1967年のアルバム:Marc Ogeret chante Aragonに収録されました。そのアルバムはCDとして再版され、86年にディスク大賞を受賞しました。
「過ぎ去りし青春の日々」という邦題の日本語歌詞で歌われていますが、原曲は、青春が過ぎ去ったあとのmaintenant「今」がテーマで、その「今」は、非常に晴れやかであるというのです。けっして、過ぎ去った青春を惜しんでいるのでもないし、若さを失った今を嘆いているのでもありません。



モニック・モレリMonique Morelli



イザベル・オーブレIsabelle Aubret



Maintenant que la jeunesse 青春の過ぎ去りし今
Marc Ogeret          マルク・オジュレ


Maintenant que la jeunesse 注1
s'éteint au carreau bleui
Maintenant que la jeunesse
machinale m'a trahi

 青ざめた窓ガラスに
 青春が消えゆく今
 こころない青春が
 僕を裏切った今

Maintenant que la jeunesse
t'en souviens-tu souviens-t-en
Maintenant que la jeunesse
chante à d'autres le printemps
Maintenant que la jeunesse
Détourne ses yeux lilas

 青春が
 君はそれを思い出すだろ 思い出すだろ 今
 青春が
 ほかの者たちに春を歌う今
 青春が
 リラの花の色の目を逸らす今

Louis Aragon20


Maintenant que la jeunesse
n'est plus ici n'est plus là
Maintenant que la jeunesse
vers d'autres chemins légers
Maintenant que la jeunesse
suit un nuage étranger

 青春が
 もはやここにもどこにもない今
 青春が
 手軽な道へと今
 青春が
 知らない雲について行く今

Maintenant que la jeunesse
a fui , voleur généreux
me laissant mon droit d'aînesse 注2
et l'argent de mes cheveux 注3
Il fait beau à n'y pas croire 注4
Il fait beau comme jamais

 青春が
 太っ腹の詐欺師が
 僕に長子相続権と
 銀貨の色の髪を残して逃げ去った今
 とても信じられないほどに晴れやかだ
 かつてないほどに晴れやかだ

Quel temps quel temps sans mémoire 注5
on ne sait plus comment voir
ni se lever ni s'asseoir
Il fait beau comme jamais

 なんという天気 なんという天気 すべて忘れ
 どうして見たらいいのか
 起き上がればいいのか座ればいいのかももう分からない
 かつてないほどに晴れやかだ

Louis Aragon10


C'est un temps contre nature 注6
comme le ciel des peintures
comme l'oubli des tortures
Il fait beau comme jamais

 自然の摂理に反する天気だ
 絵に描かれた空のようだ
 責め苦の忘失のようだ
 かつてないほどに晴れやかだ

Frais comme l'eau sous la rame
un temps fort comme une femme
un temps à damner son âme 注7
Il fait beau comme jamais

 舟の櫂の下の水のように新鮮な
 女性のように頼もしい季節だ
 身を滅ぼすほど夢中にさせる季節だ
 かつてないほどに晴れやかだ

Un temps à rire et à courir
un temps à ne pas mourir
un temps à craindre le pire
Il fait beau comme jamais

 笑うべき 走るべき時だ
 死になどしない時だ
 最悪のことを厭う時だ
 かつてないほどに晴れやかだ

[注] 
1 Maintenant que...「…した今は、今では…だから」。「…」である「今」の状態が前提・原因とされ、現状・結果を示す部分があとに続く形で用いられる表現。歌詞中はla jeunesseのふるまいがさまざまに表現され、歌詞の後半に、Il fait beauなど現状を表す表現が出てくる(注4)。なお、タイトルは、前提部分の主語la jeunesseのあとは示されない形なので「過ぎ去りし」を補って邦題とした。
2 droit d'aînesse「長子(相続)権」
3 argentは「金銭」の意味とcheveux d’ argent「銀髪」の「銀」をかけている。
4 Il fait beau以下は前提部分のMaintenant que...(注1)にともなう現状を表す表現となる。à n'y pas croire「信じられないような」。次行のcomme jamaisは「かつてないほどの」
5 tempsには「天気」の意味のほか「時」「時代」「季節」「(人生の)時期」など多様な意味がある。Il fait beauとあるので「天気」としたが、時期的な意味も含んでいると思われ、一部、訳語を変えてみた。
6 contre nature「自然の摂理に反した」
7 damnerの本義は「地獄に落とす、劫罰に処する」だが、このdamner son âmeは「身を滅ぼすほど夢中にさせる」という意味合い。





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2017
12.15

ロンドンに雨が降るIl pleut sur London

Sylvie Vartan Il pleut sur London


今回は、シルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanの「ロンドンに雨が降るIl pleut sur London」です。作詞:ディディエ・バルブリヴィアンDidier Barbelivien、作曲:ジョルジュ・ルイ・ルンギーニGeorges Louis Lunghini / レイモン・ジョルジュ・ドネRaymond Georges Donnez。1989年のアルバム: Confidansesに収録。
1960年代後半、アメリカでヒッピー達が起こした従来の価値観を覆すムーブメントが世界に広がって行きました。その頃、イギリスではビートルズが活動していました。この曲にはジョン・レノンJohn Winston Ono Lennonが出てきます。またフランスではイエイエyéyéと呼ばれるポップスが流行していました。若き日のシルヴィー・ヴァルタンもその旗手のひとり。
私(フランス人?)は雨のロンドンを歩きながら、そんな時代を懐かしみます。哀愁のあるとてもステキな曲です。



Il pleut sur London ロンドンに雨が降る
Sylvie Vartan    シルヴィー・ヴァルタン


Il pleut sur London comme il pleuvait autrefois
J'ai ton téléphone, pourtant je n'appellerai pas
La voix de Lennon chante encore " Instant Karma "  注1
J'ai le cœur qui déconne
C'est sûrement le temps qui veut ça.

 ロンドンに雨が降る 昔降ったのと同じように
 あなたの電話番号は分かっている でもかけない
 レノンの声はまだ「インスタント・カーマ」を歌っている
 私の心はばかなことをつぶやく
 きっと時代がそれを要求するのよ。

Il pleut sur London1


Il pleut sur London et les guitares sont rangées
Vieil électrophone au musée des jeans usés
Que Dieu me pardonne de n'pas savoir oublier
Rêve et révolution de nos jours passés 注2
Longtemps après, que reste-t-il de nos révoltes ?  注3
De l'Ile de Wight, de Carnaby Street, de Woodstock ?  注4
Oh, dis-moi,
Longtemps après, que reste-t-il de cette époque ?
Qui a mis un peu de slow dans ton rock ?

 ロンドンに雨が降り ギターは片づけられた
 博物館の古い電蓄 擦り切れたジーンズ
 神よ忘れることができない私を許して
 過ぎた日々の夢とレヴォリューション
 時を経て、私たちの反抗の何が残っているというの?
 ワイト島での、カーナビー・ストリートでの、ウッドストックでの?
 おお、答えて
 時を経て、この時代の何が残っているというの?
 あなたのロックンロールをちょっとスローにした時代は?

Il pleut sur London
Il pleut sur London....

 ロンドンに雨が降る
 ロンドンに雨が降る

Il pleut sur London2


Il pleut sur London
Mais rien n'a vraiment changé
C'est à Kensington que je t'avais retrouvé  注5
L'Amiral Nelson nous voyait nous embrasser  注6
Drôle de satisfaction, l'amour à l'heure du thé
Longtemps après, que reste-t-il de nos amours
Même en anglais forever n'est pas pour toujours
Oh, dis moi
Longtemps après, que reste-t-il de cette époque ?
Qui a mis un peu de slow dans ton rock ?
Il pleut sur London.....

 ロンドンに雨が降る
 でも何も本当は変わってはいない
 私があなたに再会したのはケンジントンでだった
 ネルソン提督は私たちを見て私たちにキスした
 妙な満足、ティータイムの恋
 時を経て、私たちの恋の何が残っているというの?
 英語のフォーエヴァーは「永久に」ってことじゃない
 おお、答えて
 時を経て、この時代の何が残っているというの?
 あなたのロックンロールをちょっとスローにした時代は?
 ロンドンに雨が降る…

Il pleut sur London3


Longtemps après, que reste-t-il de nos révoltes ?
De l'Ile de Wight, de Carnaby Street, de Woodstock ?
Oh, dis-moi
Longtemps après, que reste-t-il de cette époque ?
Qui a mis un peu de slow dans ton rock ?
Longtemps après, que reste-t-il de nos amours
Même en anglais forever n'est pas pour toujours 注7
Oh ! dis-moi
Longtemps après, que reste-t-il de cette époque?
Qui a mis un peu de slow dans ton rock ?

 時を経て、私たちの反抗の何が残っているというの?
 ワイト島での、カーナビー・ストリートでの、ウッドストックでの?
 おお、答えて
 時を経て、この時代の何が残っているというの?
 あなたのロックンロールをちょっとスローにした時代は?
 時を経て、私たちの恋の何が残っているというの?
 英語のフォーエヴァーは「永久に」ってことじゃない
 おお!答えてよ
 時を経て、この時代の何が残っているというの?
 あなたのロックンロールをちょっとスローにした時代は?

Il pleut sur London4


[注]
1 Instant Karma=Instant Karma! (We All Shine On)「インスタント・カーマ」は、1970年にジョン・レノンJohn Winston Ono Lennonがプラスティック・オノ・バンドPlastic Ono Band名義で発表した最後のシングル曲。ジョン・レノンは東洋思想に傾倒していたことで知られるが、タイトルにある「カルマKarma」は、日本では「業(ごう)」とされるインド哲学の概念。輪廻転生を信じる思想において、現世での行いである「業」が来世での運命の原因とされる。歌詞内容から見ると、原因ではなく結果すなわち 「業」の報いを意味しているようだ。instantという形容詞は「即時に襲いかかってくる」といった意味合いであろう。ヴァルタンが歌っている通り「インスタント・カルマ」と発音したほうがいいだろう。
2 1968年8月にビートルズが発表した18枚目のオリジナル・シングル「ヘイ・ジュードHey Jude」のB面曲は「レヴォリューションRevolution」。ジョン・レノンの作った曲で、12分もの長い曲だったが短くアレンジされて収録された。元々のスロー・ヴァージョンは「レヴォリューション1Revolution1」として、1988年にCDアルバム「パスト・マスターズ Vol.2 Past Masters Volume Two」に収録された。あとに出てくる「ロックンロールをスローにする」という表現は、この曲のことを言っているのかもしれない。
3 que reste-t-il de...というフレーズが繰り返されるが、シャルル・トレネCharles Trenetの「恋の名残は?(残されし恋には)Que reste-t-il de nos amours」を念頭に入れた表現。後で実際に、que reste-t-il de nos amoursも出てくる。
4 l'Ile de Wightミッシェル・デルペッシュMichel Delpech「ワイト・イズ・ワイトWight is wight」参照のこと。
Carnaby Street「カーナビー・ストリート」イギリスロンドンの代表的なファッション通り。Woodstock=Woodstock Music and Art Festival「ウッドストック・フェスティバル」1969年8月15日(金)午後から18日(日)午前にかけての4日間)、アメリカ合衆国ニューヨーク州サリバン郡ベセルで開かれた、ロックを中心とした大規模な野外コンサート。初の大規模な野外コンサート
5 Kensington「ケンジントン」ロンドンのケンジントン・アンド・チェルシー王立特別区Royal Borough of Kensington and Chelseaに属する地区。ジョン・レノン・ドライヴJohn Lennon driveという通りがある。また、ジョン・レノンとジョージ・ハリスンが弾いたギターは、1966年にVOX社がプロトタイプとして製造し、ジョン・レノンに贈られたギターで、通称「ケンジントンKensington」→こちらを参照。
6 L'Amiral Nelson=Horatio Nelson「初代ネルソン子爵ホレーショ・ネルソン」は、アメリカ独立戦争、ナポレオン戦争などで活躍したイギリス海軍提督。アブキール湾の戦いでフランス艦隊を破り、さらにトラファルガー海戦でも、フランス・スペイン連合艦隊を破って勝利した。イギリスの国民的英雄である。ここではトラファルガー広場Trafalgar Squareに聳え立つ「ネルソン記念柱Nelson's Column」を言っているのであろう。
7 英語のforeverはpour toujours「永久に、いつまでも」じゃないと言っているが、仏英辞典ではforeverはpour toujoursである。




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2017
12.11

ミストラル・ガニャンMistral gagnant

Renaud Mistral gagnant


「ミストラル・ガニャンMistral gagnant」は、シンガー・ソングライターのルノーRenaud(ルノー・セシャンRenaud Séchan)が自らの幼年時代の「伝説のボンボン」の名前を連ねながら、娘に、人間同士として人生を語るという内容の歌詞です。娘とは、のちに童話作家となったロリータLolitaです。ミストラルmistralは南仏に吹く冷たい北風で、gagnantとは「勝った、当たりの」といった意味の形容詞。でも、この「ミストラル・ガニャンMistral gagnant」は、Renaudの子どもの頃にあり、もう販売されていない砂糖菓子の商品名。父親と娘というテーマ、そして不定詞を多用していることもイヴ・デュテイユIves Duteilの「子供を抱いてPrendre un enfant」と共通しています。

Renaudはこの曲はあまりに個人的なもので、公開するべきではないと考えていました。録音前に、妻のドミニクDominiqueにロスアンジェルスから電話で歌ったところ、妻は、録音しないなら、あなたと別れるわと言ったそうです。1985年の同名のアルバムに収録されました。

2015年に、ジャック・ブレルJacques Brelの「行かないでNe me quitte pas」とバルバラBarbaraの「黒いワシL'aigle noir」以上にフランスで好まれているシャンソンであると認められました。



クール・ド・ピラトCœur de pirate


ララ・ファビアンLara Fabian


Mistral gagnant ミストラル・ガニャン
Renaud      ルノー


À m'asseoir sur un banc cinq minutes avec toi
Et regarder les gens tant qu'il en a
Te parler du bon temps qu'est mort ou qui reviendra
En serrant dans ma main tes petits doigts
Puis donner à bouffer à des pigeons idiots
Leur filer des coups d' pieds pour de faux
Et entendre ton rire qui lézarde les murs
Qui sait surtout guérir mes blessures
Te raconter un peu comment j'étais minot
Les bonbecs fabuleux qu'on piquait chez l' marchand 注1
Car-en-sac et Minto, caramel à un franc
Et les mistrals gagnants

 おまえと5分間ベンチに座り
 そこを通る人々をみな見ながら
 過ぎ去ったあるいはまたこれから来る時代のことをおまえに話そう
 おまえの小さな指をこの手で握り締めながら
 それから、ばかなハトたちに餌をやり
 そいつらを足で蹴っ飛ばすフリをするんだ
 そして壁をひび割れさせるようなおまえの笑い声を聞く
 それは僕の傷を癒してくれる
 僕がどんなガキだったかおまえにちょっと話そう
 僕らが店からくすねた「伝説のボンボン」たち
 カーランサック、ミント、1フランのキャラメル
 そしてミストラル・ギャニャンのことを

car-en-sac1.jpg

Minto1.jpg


À remarcher sous la pluie cinq minutes avec toi
Et regarder la vie tant qu'il en a
Te raconter la Terre en te bouffant des yeux
Te parler de ta mère un petit peu
Et sauter dans les flaques pour la faire râler 注2
Bousiller nos godasses et s' marrer
Et entendre ton rire comme on entend la mer
S'arrêter, repartir en arrière
Te raconter surtout les carambars d'antan et les cocos boères
Et les vrais roudoudous qui nous coupaient les lèvres
Et nous niquaient les dents
Et les mistrals gagnants

 雨のなかを5分間おまえと歩き
 現に生きている人生を思い
 世界のことをおまえに話そう お前の目を食い入るように見ながら
 おまえの母さんのこともちょっと話そう
 そして母さんを怒らせるために水溜りに飛び込んで
 靴に泥を塗り、そして笑い転げるんだ
 おまえの笑い声を 海の波の音のように聞き
 立ち止まっては、引き返し
 おまえに話そう、とくに昔のカランバールとココ・ボエール
 そして本物のルドゥドゥのことを、それらは僕らの唇を切り
 歯を悪くした。
 そしてミストラル・ガニャンのことを

Carambar1.png

cocos bohères

roudoudous1.jpg


A m'asseoir sur un banc cinq minutes avec toi
Et regarder le soleil qui s'en va
Te parler du bon temps qui est mort et je m'en fou
Te dire que les méchants c'est pas nous
Que si moi je suis barge, ce n'est que de tes yeux 注3
Car ils ont l'avantage d'être deux 注4
Et entendre ton rire s'envoler aussi haut
Que s'envolent les cris des oiseaux
Te raconter enfin qu'il faut aimer la vie
Et l'aimer même si le temps est assassin
Et emporte avec lui les rires des enfants
Et les mistrals gagnants

 おまえと5分間ベンチに座り
 沈んでいく太陽を眺めながら
 おまえに昔のことを話そう、過ぎてしまったことだしどうでもいいが
 おまえに言う、根性が悪いのは僕らじゃないと
 もしも僕が狂っているとしても、おまえ自身の目で見てそうなだけだ
 なにせ、おまえの目は二つだという利点があるから
 そしておまえの笑い声が
 鳥の鳴き声と同じほどの高みに響き渡るのを聴く
 ともあれおまえに言おう。人生を愛さなきゃならないと
 愛さなきゃならないんだ、たとえ時が殺し屋で
 そいつが奪い去ったとしても、子どもたちの笑いを
 そして、ミストラル・ガニャンを
 そして、ミストラル・ガニャンを。

MIstral gagnant1


[注]
1 bonbec=bonbon「ボンボン」。fabuleux「神話の、伝説の」。bonbecs fabuleux「伝説のボンボン」とは、いわゆる駄菓子だが、当時の子どもたちにとってはすばらしいものであった。そして、今では思い出のなかにのみ存在する。
car-en-sac「カーランサック」カプセルの形で、緑色、青色、白色または赤色にコーティングされた甘草味の小さなキャンディで袋入り。
minto「ミント」ミント(薄荷、フランス語でmenthe)の味の砂糖菓子。いわゆるミント・キャンディで、プラスティックの小さなケースに入っていて、金属製の蓋は指で押すと簡単に開く。
Mistral gagnant「ミストラル・ガニャン」緑の紙袋に入った甘草味の粉末の砂糖で、舌に乗せるとパチパチ弾ける。袋にストローを差し込んで食した。いくつかの袋には「当たりgagnant」と書かれていて、それを持って行くともうひとつタダでもらえた。
carambars「カランバール」スティック状のキャラメル。d'antan「昔の」。carambars d'antanという商品名ではない。
cocos boères「ココ・ボエール」丸い小さな丸い缶に入った粉状の菓子で、唾液で濡らした指にその粉を付けて舐めた。
roudoudous「ルドゥドゥ」は、香りの付いた砂糖で作られた菓子で、プラスチックの小さな貝殻状の容器に張り付いていて、そのまま舐めて味わった。
「ミストラル・ガニャン」「ココ・ボエール」「ミント」はもう販売されていない。
これら、この曲に出てくるボンボンを解説しているサイト(→こちら)がある。
2 faire râler「怒らせる」
3 barge=fou「狂った」
4 avoir l'avantage de inf.「(…には)…という利点(長所)がある」。And they benefit from being twoという英訳があるが、これはbeing twoが原因とされて、成句の意味と少々ずれる。また、これは「彼らは二人でいることで利益を得る」と訳したくなるが、これは違うだろう。ilsは前行のtes yeuxとしか考えられない。



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2017
12.02

《第2回大阪ヴォーカルコンクール》受賞者

11月30 日に行われました、《第2回大阪ヴォーカルコンクール》の受賞者を発表いたします。

☆グランプリ
 名島将浩 「愛遥かに」 大阪府

☆準グランプリ
 大西千夏 「待っていた男」 岡山県

☆歌唱賞
 芥川浩子 「ブエノスアイレスで私は死のう」 滋賀県 
 石田尚美 「最後のコーヒー」 京都府
 伊勢田好美 「夜の通行人に捧ぐ」 兵庫県
 小林雅子 「旦那様のお友達」 東京都
 シュウ岩田 「初恋のニコラ」 兵庫県
 チャーリー ニーシオ 「マイボーイ~愛の限り~」 大阪府

そのほかの本選出場者全員に☆奨励賞が授与されました。

また、審査員の先生方からのご提案で、今回特別に下記の賞が設けられました。

☆審査員特別賞
 吉住克也 「夜のストレンジャー」 東京都


審査員
 大野修平 村上信夫 加藤順子 別府葉子 宇藤カザン




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2017
12.02

生きるMa derniere volonté

Serge Reggiani Venise nest pas en Italie


今回は、セルジュ・レジアーニSerge Reggiani「生きるMa derniere volonté」です。作詩:シルヴァン・ルベルSylvain Lebel、作曲:アリス・ドナAlice Dona。1977年のアルバム:Venise n'est pas en Italieに収録されています。

複数形のdernières volontésは「遺言」ですが、ここでは単数形であり、volontéの原義である「意志」あるいは「意思」そのものです。人生の終わりを目前にして、自分が最後に望むことは「生きることvivre」だといいます。でもそれは、死にたくないという意味ではありません。行くべき時には行く、つまり死ぬ時には死ぬだけだ。近づく死にとらわれたり怯えたり、それに備えることに費やしたりしないで、残されたいのちを生き切りたいというのです。
日本では「生きる」という邦題で歌われており、これをそのまま用いることにいたします。美川憲一も歌っていますね。ただ、日本語の歌詞は、原詞の持ち味とは違って、私には妙に湿っぽく聞こえます。



Ma dernière volonté 生きる
Serge Reggiani    セルジュ・レジアーニ


Moi qui ai vécu sans scrupules
Je devrais mourir sans remords
J'ai fait mon plein de crépuscules
Je n'devrais pas crier "encore"
Moi le païen, le pauvre diable
Qui prenait Satan pour un Bleu
Je rends mon âme la tête basse
La mort me tire par les cheveux

 臆面も無く生きてきた俺は
 後悔なんぞなく死んで行くさ
 俺は自分の晩年を目一杯生きたから
 「もっと」と叫ぶこともない
 不信神な俺、哀れな男は
 空の青のかわりにサタンを選んだ
 こうべを垂れて僕の魂をお返しするぜ
 死が髪をつかんで俺を引き寄せるんだ

Serge Reggiani2


Vivre, vivre
Même sans soleil, même sans été
Vivre, vivre
C'est ma dernière volonté

 生きる、生きる
 たとえ日が昇らずとも、夏が来ずとも
 生きる、生きる
 それが僕の最後の望みだ

Dites-moi que le Bon Dieu existe
Qu'il a une barbe et des mains
Que Saint-Pierre est le brave type
Qu'on m'a décrit dans les bouquins
Dites-moi que les anges ont des ailes
Dites-moi que les poules ont des dents
Que je jouerai du violoncelle
Là-haut dans mon costume blanc

 顎鬚と両手を持つ
 神が存在するって
 書物に描かれているように
 聖ペテロはいいヤツだって言えよ
 天使には羽があるって言えよ
 鶏には歯があるって
 あの世で白いスーツを着て
 俺がチェロを弾くだろうって言えよ

Vivre, vivre
Même sans maison, même sans souliers
Vivre, vivre
C'est ma dernière volonté

 生きる、生きる
 家が無くとも、履物さえ無くても
 生きる、生きる
 それが俺の最後の望みだ

Serge Reggiani3


J'avais le blasphème facile
Et j'entends d'ici mes copains
Crier: "le traître, l'imbécile
Il meurt comme un vulgaire chrétien" 注1
Qu'ils m'excusent si je suis lâche
Je veux bien rire autant qu'on veut
Mais quand on se trouve à ma place
On prend quand même un coup de vieux

 俺は安易な暴言を吐いていた
 そしてここで俺は聞いたんだ、仲間が
 「裏切り者、愚か者、
 ヤツはごく普通のキリスト教徒として死ぬよ」と叫ぶのを
 俺が卑劣でもあいつらは俺を大目に見てくれるのさ
 俺は思う存分笑いたいよ
 だが誰だって俺の立場になりゃ
 やはり急に老け込むだろう

Vivre, vivre
Même bancal, même à moitié 注2
Vivre, vivre
C'est ma dernière volonté

 生きる、生きる
 びっこでも、半端でも
 生きる、生きる
 それが俺の最後の望みだ

Je vois de la lumière noire
C'est ce qu'a dit le père 注3
Moi qui ne pense pas à l'histoire
Je manque d'esprit d'à-propos 注4
Non, je n'ai vraiment plus la force
De faire un dernier jeu de mots
Je sors par la petite porte
J'ai le trouillomètre à zéro 注5

 俺には暗い光が見える
 それはユーゴー爺さんが言っていたものだ
 筋道を考えない俺は
 当意即妙の才に欠ける
 いや、俺にはもう最後のクロスワードパズルを
 やる気力がもうまったく残っちゃいない
 俺は小さな扉から出て行く
 俺は心底ゾッとするよ

Serge Reggiani1


Vivre, vivre
Quand faut y aller, il faut y aller
Vivre, vivre
Monsieur Saint-Pierre, la charité

 生きる、生きる
 行くべき時には、行くさ
 生きる、生きる
 聖ペテロ様、どうかお慈悲を

Vivre, vivre
En plein soleil, en plein été
Vivre, vivre
C'est ma dernière volonté

Vivre, vivre, vivre, vivre...

 生きる、生きる
 炎天下で、真夏に
 生きる、生きる
 それが俺の最後の望みだ

 生きる、生きる、生きる、生きる…

[注]
1 vulgaire本義は「俗悪な、卑劣な」だが、名詞の前では「ありふれた、ごく普通の」。
2 à moitié 後に形容詞か名詞が付き「半分…だ」という表現となるが、ここでは何も付いていない。前のbancal「びっこの」を言うのか、不特定なことがらなのか不明。「半端」で間に合わせた。
3 le père Hugo=Victor, Marie Hugo「ヴィクトル・ユーゴー」19世紀の小説家で、代表作は「レ・ミゼラブルLes Misérables」。今わの際の言葉が「黒い光が見えるje vois de la lumière noire」。宮沢賢治が「今夜は電燈が暗いなあ」と言い、ゲーテJohann Wolfgang von Goetheが「もっと光を!Mehr Licht!」と言ったことと類似している。
4 esprit d'à-propos「機転、当意即妙の才」
5 trouillomètre=trouille「おじけ」+mètre「メートル尺」。trouillomètre à zéro「激しい恐怖」の言い回しでのみ用いられる。



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