2017
08.21

ピアニストのご紹介

《アミカル・サロン》と《ヴォーカル・サロン》という二つの歌会で定期的にピアノ伴奏を担当してくださる4人の方々のプロフィールをご紹介いたします。すべて、主宰者の宇藤カザンがゾッコン惚れ込んでスカウトしたピアニスト。初見で的確に弾くその即戦力、音色の美しさ、音楽的センス、といったすべての面で並外れた力量の持ち主です。
両サロンの内容内容のご紹介は→こちら。スケジュールは→こちら

《アミカル・サロン》(於:大久保「シャンソン未来」)の伴奏ピアニスト
アニエス晶子:原則毎月第1土曜日
アニエス武蔵野音大ピアノ科卒。 在学中より、クラシックバレエの伴奏を中心に音楽活動を始める。 吉祥寺音楽祭ジャズコンテストにて自己のカルテットで優秀賞受賞を機に、ライブハウスでの活動を始める。現在は、主に歌の伴奏ピアニストとして、シャンソン歌手やミュージカル俳優と共演、その他の分野でも活動している。

太田遊:10月より原則偶数月の第2土曜日
太田佐賀県出身。幼少よりピアノを始め、地元でバンド活動をおこなう。高校卒業後はプロを目指し都内の音楽専門学校に入学。在学中より多くのバンドに参加。ピアニスト小泉たかし氏のサポート演奏活動で、ジャズ・ポピュラー・シャンソン等の現場経験を積む。現在は作詞、作曲での歌手への楽曲提供や、パーカッション・ピアノ演奏でのコンサート、都内のライブハウスでの伴奏で活動。弾き語りで自作の歌を歌う若きヴォーカリストでもあり、デュオで歌ってくれる女性歌手を募集中(ただし26歳以下!)とのこと。

関根忍:原則毎月第3日曜日
関根さいたま市生まれ。幼少よりエレクトーンを学び、ブラスバンドや合唱団に所属、ピアノや声楽を学ぶ。東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。ジャンルを考えない音楽制作を目指すピアニスト・作編曲家・ヴォイストレーナー。各種伴奏活動のほか、「獅音」の名でヴォーカリストとしても活動を展開中。


《ヴォーカル・サロン》(於:市ヶ谷「えとわ~る」)の伴奏ピアニスト
坂下文野:原則奇数月第3水曜日
坂下兵庫県出身。大阪音楽大学音楽学部ピアノ専攻。在学中にヒルトンインターナショナルの専属演奏者となったのちヤマハポピュラーミュージックの講師を務める。メキシコ・キューバでフェスティバルやコンサートにたびたび参加。
最近は、数多くの歌手、タレントの伴奏やCD制作も手がける。ソロピアノの熱烈的なファンも多く、オールジャンルを弾きこなすマルチピアニストとして全国各地で活動。生きる喜びを分かち合うような明るい音色と力強い演奏スタイルは海外でも高く評価されている。



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2017
08.19

ピアノのレッスンLa leçon de piano

Alice Dona La leçon de piano


先月、アリス・ドナAlice Donaの「悲しいピアノLe piano triste」を取り上げましたが、今回もタイトルにpianoが入っている曲、これまたステキな「ピアノのレッスンLa leçon de piano」です。出だしは、聞き覚えがあると思ったら、リヒャルト・ワーグナーWilhelm Richard Wagnerの楽劇「ヴァルキューレDie Walküre」。作詞:クロード・ルメルClaude Lemesle. 作曲:Alice Dona。1981年のアルバム:Vivreに収録されています。




La leçon de piano ピアノのレッスン
Alice Dona     アリス・ドナ


Ah ! vous venez pour la leçon de piano, entrez jeune homme
Ah ! vous verrez comme c'est bon l' va et vient du métronome 注1
Asseyez-vous sur ce banc suffisant
Pour deux personnes, attaquons les rudiments
Les premiers balbutiements 注2
Les fondations du bâtiment

 ああ!ピアノのレッスンにいらしたのね、お若い方お入りなさい
 ああ!メトロノームの動きがなんと的確なのかあとで分かるわ
 この椅子にお座りなさい、
 二人座れるわ、基礎から取りかかりましょう
 初歩的な練習
 構築の基礎よ

Positions des doigts, souples pas comme ça
C'est vrai qu'il doit plaire aux dames
Caressez le do, celui du piano 注3
Puis montez au si pour faire la gamme
Entre nous vous viendrez à bout
De tous les claviers si vous
Arrivez à faire vibrer le mien 注4
Comme il convient qu'il vibre 注5

 指の構えは、そんなじゃなくしなやかにね
 ご婦人方に気に入られなきゃ
 ドを撫でて、ピアノのドよ
 そしてシまで上って行って音階練習よ
 ここだけの話、あなたは
 全鍵盤の端まで行くのよ、あなたが
 私の背を震わせることになったらね
 それは震えて当然だから

La leçon de piano2


Quand vous serez prêt, je vous apprendrai
Les silences et les soupirs 注6
Il est important d' prendre bien son temps
Pour savoir ce que piano veut dire
Faut, c'est sûr, garder la mesure
Tout en sachant bien oser
Quelquefois s'écarter de la partition
Improviser

 あなたに用意ができたら、私はあなたに教えるわ
 休止と休符を
 その拍をちゃんととることが大切よ
 ピアノが言いたいことを知るため
 必要よ、もちろん、拍子を保つことは
 すべてよく知った上ならあえて
 時には譜面を離れて
 即興演奏することもね

Ah ! quel progrès, quel succès
Vous allez avoir jeune homme
Ah ! je me sens George Sand
Vous êtes Chopin en personne 注7
C' n'est pas encore les accords
Que j'adore
Mais c'est tout comme
Certains soirs, de vous à moi 注8
Il m'arrive de regretter
De n' posséder qu'un piano droit

 ああ!なんという進歩、なんという上達
 あなたはものにするわ、お若い方
 ああ!私はジョルジュ・サンドになった気分
 あなたはショパンそのもの
 私が求める
 調和音にはまだ至っていないけれど
 でもそれはまるで
 ここだけの話だけど、ある晩、
 私がアップライト・ピアノしか持っていないことを
 悔やむことになるみたい

Position du corps, genre toréador
Bien cambré, il est parfait
Il faut épouser, presque ventouser 注9
Les moindres contours de la musique
Doucement, puis progressivement
Vous accélérez l' mouv'ment
Allegro, ma non tropo 注10
Puis de plus en plus fortissimo

 姿勢は、闘牛士風
 背筋をよく伸ばして、完璧よ
 ごく細部の音楽のメロディーラインに
 結合して、ほとんど吸いついていかなきゃ
 優しく、そして徐々に
 動きを加速するの
 アレグロ、マ・ノン・トロッポ
 そして次第にフォルテッシモに

La leçon de piano3


En fermant les yeux, je vous entends mieux
Mais retenez-vous un peu
Gardez je vous prie, assez d'énergie
Pour réussir la monter finale
Ah ! Bravo, c'était très très beau
La leçon s'est bien passée
Puisque vous semblez en bonnes dispositions 注11
Recommencez

 目を閉じると、あなたのピアノがもっとよく聴けるわ
 でも少し抑えて
 お願いよ、エネルギーを充分残して
 フィナーレを盛り上げるために
 ああ!ブラヴォー、とってもとっても美しいわ
 レッスンはうまく行ったわ
 だってあなたはご機嫌だったから
 続けてね

La, la, la ...
À demain, pour un quatre mains 注12
À cinq heures dans mon salon
Quand vous s'rez complètement au point 注13
J' vous apprendrai l' violon !

 ラ、ラ、ラ…
 明日、二人で弾くために
 5時に私のサロンで
 あなたが完璧にマスターすれば
 ヴァイオリンをお教えするわ!

[注]
1 va et vient= va-et-vient「(振り子やピストンなどの)往復運動、往来」
2 balbutiement「口ごもること、たどたどしさ」が原義で、「未熟、初期段階」をいう。
3 doはdos「背中」と同じ発音。「背中を愛撫する」という意味を匂わせ、celui du piano「ピアノのド」だと付け加えている。
4 le mienは注3の解釈の延長でmon dosであろう。ここの解釈には自信が無い。
5 il convient que...「…であるべきだ」
6 silence, soupirともに音楽用語で「休止、休符」
7 Chopin(Frédéric François Chopin)「ショパン」は「ピアノの詩人」とも呼ばれるポーランドの作曲家で、フランスの文筆家George Sand「ジョルジュ・サンド」は数年間その愛人であった。en personne (抽象名詞に先立たれて)「…の化身、…そのもの」。ここでは固有名詞に先立たれている。
8 de vous à moi「ここだけの話だが、あなたと私だけのことだが」
9 épouser本義は「結婚する」だが、「適応する、合致する」といった意味合い。「吸い玉、吸盤」の意味の名詞のventouseをépouserに合わせて動詞にしたようだ。
10 イタリア語の音楽用語。Allegro「アレグロ」軽快に速く 。ma non tropo「マ・ノン・トロッポ」しかしあまりはなはだしくなく。fortissimo「フォルティッシモ」きわめて強く。
11 être en bonnes dispositions「機嫌がいい」
12 à quatre mainsは「連弾で」
13 au point「調子よく、整備されて」



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2017
08.15

マダムMadame

Barbara Ma plus belle histoire damour


前回の「この子Cet enfant-là」に続きバルバラBarbaraで、「マダムMadame」という曲。1967年のスタジオアルバム:Ma plus belle histoire d'amour および同年のライブアルバム:Bobino 1967に収録されています。
恋人の母親から彼の戦死を知らせる手紙が届きます。それに対する返事の手紙という形で書かれている歌詞です。この曲が作られたのはベトナム戦争の最盛期であり、世界中で反戦運動が高まっていたということも時代背景として伺えます。



Madame マダム
Barbara  バルバラ


Je reçois, à l´instant où je rentre chez moi
Votre missive bleue, Madame
Vingt fois je la relis, et mes yeux n´y croient pas
Pourtant, c´est écrit là, Madame
Et de votre douleur, je me sens pénétrée 注1
Mais je ne pourrai rien, Madame
Vous savez, aujourd´hui, que de l´avoir perdu
C´est lourd à supporter, Madame

 受け取りました、帰宅した時に
 あなたの青色のお手紙を、マダム
 20回読み返しました、そして私の目は信じることができませんでした
 でも、そこにちゃんと書かれてありました、マダム
 そしてあなたの苦しみが、身に沁みるように感じました。
 でも私には何もできません、マダム
 今、あなたはお分かりでしょう、彼を失ったということは
 辛くて耐えられないことだと、マダム

Madame1.jpg


Vous demandez pardon de n´avoir pas compris
Ce qu´était notre amour, Madame
Vous n´aviez que ce fils, vous aviez peur pour lui
Et vous l´avez gardé, Madame
Ne me demandez pas ce qu´a été ma vie
Quand vous me l´avez pris, Madame
Je me suis toujours tu, ce n´est pas aujourd´hui
Que je vous le dirai, Madame

 あなたは謝っていらっしゃる
 私たちの愛がどんなものか知らなかったことを、マダム
 あなたにはこの息子しかいない、彼のために恐れを抱き
 そして彼を引き止めましたね、マダム
 私の生活がどんなものだったかお訊きにならないで
 あなたが私から彼を取り上げたときに、マダム
 私はいつも口をつぐんできました、今は
 あなたにそれを申し上げるときではありません、マダム

Vous eussiez préféré, je vous retrouve là,
Qu´il fût mort en héros, Madame
Oui, c´eût été plus noble, je vous crois,
Que de mourir d´amour, Madame
Mais qu´il soit mort ici ou qu´il mourût là-bas 注2
Auriez-vous versé moins de larmes?
Il en a décidé, lui seul avait le droit
Il faut vous résigner, Madame

 あなたは望まれたんですね、私にはそう見受けられますが、
 彼が英雄として死ぬことを、マダム
 ええ、それはもっと気高いことだった、でしょうね、
 愛のために死ぬよりも、マダム
 でも、彼がここで死んだとて向こうで死んだとて
 あなたの流す涙に差はあるでしょうか?
 彼はそれを決めました、彼だけがその権利を持っていたのです
 あなたは諦めなくてはなりません、マダム

C´est trop tard, maintenant, pour que je vous revienne
Et vous vieillirez seule, Madame
Et ne m´en veuillez pas si je parais cruelle 注3
Mais je l´ai trop aimé, Madame
Pour qu´à la fin du jour, près d´une cheminée
Nous évoquions ensemble, Madame,
Celui que, vous et moi, nous avons adoré
Et perdu tout ensemble, Madame

 遅すぎます、今となっては、私があなたのところに伺うには
 おひとりで齢を重ねてください、マダム
 もし私が酷い言い方をしていても悪く思わないでください
 でも、私は彼を愛していたのです、マダム、あまりにも
 一日の終わりに、暖炉のそばで、
 あなたと私、私たちが熱愛し、
 そしてともに失ったその人を、マダム
 ごいっしょに、想い起こすにはあまりにも、マダム

Madame2.jpg


Mais le chagrin m´égare, il faut me pardonner
J´ai mal de votre mal, Madame 注4
Mais que faire, et que dire, puisqu´il s´en est allé?
Je ne puis rien pour vous, Madame
Pour la seconde fois, il va nous séparer
Non, je ne viendrai pas, Madame
Car, le perdre deux fois, c´est lourd à supporter
Vous me comprendrez bien, Madame

 いえ悲しみにわれを忘れました、お許しください
 あなたの苦しみに胸が痛みます、マダム
 でも、何をするのか、何を言うのか、彼は逝ってしまったんですから?
 私はあなたのために何もしてあげられません、マダム、
 ふたたび、彼は私たちを引き離します
 ええ、私は参りません、マダム
 なぜなら、二度も彼を失うこと、それは耐え難いからです
 どうか分かってください、マダム...

Je reçois, à l´instant où je rentre chez moi
Votre missive bleue, Madame
Vingt fois je la relis, et mes yeux n´y croient pas
Pourtant, c´est écrit là, Madame
Et, de votre douleur, je me sens pénétrée
Mais je ne puis plus rien, Madame
Vous saurez, comme moi, que de l´avoir perdu
C´est lourd à supporter, Madame...

 受け取りました、帰宅した時に
 あなたの青色のお手紙を、マダム
 20回読み返しました、そして私の目は信じることができませんでした
 でも、そこにちゃんと書かれてありました、マダム
 そしてあなたの苦しみが、身に沁みるように感じました。
 でも私にはもう何もできません、マダム
 あなたはお分かりになるでしょう、私のように、彼を失ったということは
 辛くて耐えられないことだと、マダム…

Madame3.jpg


[注]
1 pénétré(e) de qc.「…が染みこんだ、…に確信を持った、…でいっぱいである」
2 que...que...soit mortは接続法過去、mourûtは接続法半過去。
3 en vouloir à qn.「…を恨む、悪く思う」
4 malはともに「苦痛」




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2017
08.11

この子Cet enfant-là

Barbara seule


バルバラBarbaraの「この子Cet enfant-là」という美しい曲は、「ウィーンVienne」「ア・ペーヌÀ peine」と同様、ロラン・ロマネッリRoland Romanelliが作曲。1981年のアルバム「孤独と夜の中でSeule」に収録されています。このアルバムは日本でも発売されていますので、この曲も邦題が付いているでしょうが、原題を直訳して「この子」といたします。

「この子」は、自分の子ではなく、相手の男性とその恋人か妻のあいだにできた子。状況はよく分かりませんが、その子を受け入れて愛する心情を語っています。



イザベル・ヴァジュラIsabelle Vajraとマチュー・ロザスMathieu Rosazのデュオ



Cet enfant-là この子
Barbara     バルバラ


Cet enfant-là,
Cet enfant-là
Te ressemble, te ressemble.
Il a de toi 注1
Je ne sais quoi:
Le sourire
Ou peut-être,
Quand il marche,
Ta démarche.
Il hésite et s'avance.
Cet enfant-là
Te ressemble
Et j'en tremble.

 この子、
 この子は
 あなたに似ている、あなたに似ている
 彼はあなたにそっくり
 なんだか分からないけど:
 そのほほえみ
 あるいはたぶん、
 歩くときは、
 あなたの歩き方。
 彼はためらってから進む。
 この子は
 あなたに似ている
 私はそのことで心が震える。

Cet enfant-là1


Cet enfant-là,
Tu t'en souviens,
Tu le voulais.
Tu m'en parlais
Et, merveille des merveilles,
Je riais de t'entendre.
Tu me disais:
" Comme je voudrais,
Qu'il te ressemble,
Te ressemble.
Moi je voulais
Que cet enfant
Te ressemble. "

 この子、
 あなたは覚えているかしら、
 あなたはそれを望んでいた。
 あなたはそのことを私に話した
 そして、
 あなたの言うことを聞いて私は笑った。
 あなたは私に言った
 「その子が、
 君に似て、
 君に似て欲しいから。
 僕はね望んでいたんだよ
 その子が
 君に似ていることをね。」

Tu voulais qu'un jour, il soit avocat ou bien médecin.
Nous nous disputions déjà l'avenir
D'un enfant qui n'était pas encore là.
Moi, je voulais qu'il soit berger, jardinier
Ou bien musicien.
Je l'imaginais déjà, tout petit,
Un immense piano au bout de ses doigts.
Il aura des poissons d'or, des jardins de sable
Et de grands voiliers blancs,
Des oiseaux de feu, des îles enchantées,
Des étoiles filantes au fond de ses yeux.
Il ne connaitra que l'ogre gentil
Qui jamais n'a dévoré les enfants.
Mon enfant dieu, mon enfant prince, mon enfant roi,
Mon enfant merveilleux, mon enfant rien qu'à moi,
Nous lui tournions des manèges sous la neige,
Nous lui bâtissions des châteaux en Norvège, en Norvège

 あなたは彼がいつか、弁護士かあるいは医者になることを望んだ。
 私たちはもう未来のことを論議していた
 まだいない子どものことを。
 私は、その子が羊飼いに、庭師に
 あるいはミュージシャンになるよう望んだ。
 私はもう想像していた、とても小さい子が、
 指先で巨大なピアノに向かっているのを。
 彼は得ることだろう、金の魚を、砂の庭園を
 そして大きな白いヨットを、
 火の鳥を、魔法の島を、
 流れ星を瞳の奥に。
 けっして子どもたちを食べない
 優しい人食い鬼しか彼は知らない。
 神のような私の子、王子のような私の子、王のような私の子、
 すばらしい私の子、私だけの私の子、
 私たちは彼のために雪の上でメリーゴ-ラウンドを回した、
 私たちは彼のためにノルウェーに城を建てた、ノルウェーに

Cet enfant-là2


Mais cet enfant-là,
Cet enfant-là
Lui ressemble.
Il a d'elle
Je ne sais quoi:
Le sourire
Ou peut-être,
Quand elle marche,
Sa démarche
Et sa grâce,
Ma disgrâce.
Cet enfant-là
N'a rien de moi 注2
Mais vous ressemble.

 でもこの子は、
 この子は
 彼女に似ている。
 彼は彼女にそっくり
 なんだか分からないけど:
 そのほほえみ
 あるいはたぶん、
 歩くときは、
 彼女の歩き方。
 そして彼女の器量のよさ、
 私の不器量。
 この子は
 私とはまるで似ていない
 でもあなた方に似ている。

Cet enfant-là,
Cet enfant-là
Te regarde,
Me regarde.
Il s'étonne,
Il s'inquiète
Et, timide, il s'avance.
Cet enfant-là
Me tend les bras
Et je l'aime.
Cet enfant-là
N'a rien de moi, mais te ressemble,
Ressemble, ressemble

 この子は、
 この子は
 あなたを見る、
 私を見る。
 彼は動揺する、
 彼は不安になる
 そして、おずおずと、彼は進む。
 この子は
 私に両腕を差し伸べる
 そして私は彼を愛する。
 この子は
 私とはまるで似ていない、でもあなたに似ている、
 似ている、似ている

[注]
1 avoir de qn.= ressembler à qn.「…に似ている」
2 n'avoir rien de...「似ても似つかない、…らしいところがない」



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2017
08.08

蜜の味Le goût de miel

FabienneThibeault Le goût de miel


ビートルズThe Beatlesのナンバーとしても知られる「蜜の味A taste of honny」。私はジュリー・ロンドンJulie Londonの歌が好きで、そのフランス語ヴァージョンがないかなと探していたら、見つかったのは、ケベックのシンガー・ソンガライター:ファビエンヌ・チボーFabienne Thibeaultの「蜜の味Le goût de miel」。まったく別の曲ながらいい曲です。1981年のアルバム:Je suis née ce matinに収録されています。チボーは「世界は石になったLe monde est stone」を先にご紹介しています。
ビートルズの歌詞は「ワインより甘い君のキスの味のために僕はきっと戻って来る」といった内容ですが、こちらは、意気消沈した男に「もっと楽しい甘い人生があるのよ」といざないます。



Le goût de miel   蜜の味
Fabienne Thibeault ファビエンヌ・チボー


Il y a des nuages
Autour de ton visage
Il y a ton cafard
Aux portes du hasard 注1
Regarde la maison
Au bout de l' horizon
Il y a la chaleur et
Les couleurs qui manquent à ton bonheur

 あなたの顔のまわりには
 雲がかかっている
 先行きに向かって
 あなたは憂鬱になっている
 地平の果ての
 家をごらんなさい
 あなたのしあわせには不足している
 熱気と色彩があるわ

Il y a ton passé
Mais tu peux l'oublier
Il y a tous ces tours
Tous ces jours sans amour
Regarde la maison
Et cherche bien au fond
Tu trouveras mon cœur
Et la douceur qui manquent à ton bonheur

 あなたの過去がある
 でもあなたはそれを忘れることができる
 こうしたすべての過程が
 愛のないこうした日々がある
 家をごらんなさい
 そしてその奥を探すのよ
 あなたは私の心と
 あなたのしあわせには足りない優しさを見出すわ

Le goût de miel4


As-tu le goût de vivre
Une vie de velours
Qui fait que l'on s'enivre
À voir venir le jour?
As-tu le goût d'entendre
Mille paroles tendres?
As-tu le goût du goût de miel
Aux couleurs de l'arc-en-ciel?

 一日がやって来るのを見て
 うっとりさせてくれるような
 甘い人生を
 あなたは生きたくない?
 たくさんの優しい言葉を
 あなたは聞きたくない?
 虹の七色をした
 蜜の味が欲しくない?

Si tu voulais courir 注2
Le risque de venir
Tu n'aurais jamais de regrets
Moi je te le promets
Ton cœur est en prison
Et ça n'a rien de bon
Il y a le temps qui passe
Et qui efface la trace des chagrins

 やって来る危険に
 立ち向かいたいと望むならば
 けっして後悔はしないでしょう
 私はあなたにそれを請け合うわ
 あなたの心は牢屋に入っている
 それは何もいいことじゃない
 時は過ぎ行き
 悲しみを消してくれるわ

As-tu le goût de vivre
Une vie de velours
Qui fait que l'on s'enivre
Dans les bras de l'amour?
As-tu le goût de prendre
Ma bouche qui demande?
As-tu le goût du goût de miel
Au cœur de mon arc-en- ciel?
As-tu le goût du goût de miel
Au cœur de mon arc-en-ciel?
Mon arc-en-ciel

 愛に抱かれて
 うっとりさせてくれるような
 甘い人生を
 あなたは生きたくない?
 求めている私の口を
 奪いたくない?
 たくさんの優しい言葉を
 あなたは聞きたくない?
 私の虹のなかの
 蜜の味が欲しくない?
 私の虹の

Le goût de miel6


[注]
1 aux portes(à la porte) de qc.「…の入り口で」
2 courirは他動詞で「(危険などに)立ち向かう」。courir un risqueは「危険を冒す」。




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2017
08.04

ヴァイオリンは回るTournent les violons

Jean-Jacques Goldman Tournent les violons


ジャン=ジャック・ゴールドマンJean-Jacques Goldman の「ヴァイオリンは回るTournent les violons」です。2001年にシングルリリースされました。



Tournent les violons   ヴァイオリンは回る
Jean-Jacques Goldman ジャン=ジャック・ゴールドマン


Grande fête au château il y a bien longtemps
Les belles et les beaux, nobliaux, noble sang 注1
De tout le royaume on est venu dansant

 はるか昔の城の大祭典
 美男美女たち、自称貴族たち、貴族の出の人たちが
 王国のいたるところから踊りながらやって来た

{Refrain :}
Tournent les vies oh tournent les vies oh tournent et s'en vont
Tournent les vies oh tournent les violons

 人生は回るおお人生は回るおお回って過ぎ去る
 人生は回るおおヴァイオリンは回る

Tournent les violons1


Grande fête aux rameaux et Manon a seize ans 注2
Servante en ce château comme sa mère avant
Elle porte les plateaux lourds à ses mains d'enfant

 枝の主日の大祭典でマノンは16才
 以前の母親と同様にこの城の小間使いだ
 幼い両手で重いトレーを運ぶ

{Refrain}

Le bel uniforme, oh le beau lieutenant
Différent des hommes d'ici blond et grand
Le sourire éclatant d'un prince charmant

 美しい軍服、おお美しい中尉
 ここの男たちとは違って金髪で背が高い
 魅惑の王子のはじける微笑

{Refrain}

Redoublent la fête et les rires et les danses
Manon s'émerveille en remplissant les panses 注3
Le bruit, les lumières, c'est lui qui s'avance

 祭典と笑いとダンスはいっそう高まる
 太鼓腹どもを満たしながらマノンは驚嘆する
 音、光、近づいてきたのは彼だ

{Refrain}

En prenant son verre auprès d'elle il se penche
Lui glisse à l'oreille en lui frôlant la hanche
"Tu es bien jolie" dans un divin sourire

 グラスを手に彼女のそばで彼は身を屈める
 彼女の腰に触れながら耳にささやく
 「君はとてもきれいだ」と、すばらしい微笑みを浮かべながら

Tournent les violons2


{Refrain}

Passent les années dures et grises à servir
Une vie de peine et si peu de plaisir
Mais ce trouble là brûle en ses souvenirs

 仕える身の辛くて味気ない年月が過ぎる
 苦しみの人生で喜びはほんのわずか
 だが彼女の記憶にあの心のときめきが燃えている

{Refrain}

Elle y pense encore et encore et toujours
Les violons, le décor, et ses mots de velours
Son parfum, ses dents blanches, les moindres détails

 彼女は何度も何度もいつもそのことを思う
 ヴァイオリン、インテリア、そして彼のビロードのような言葉
 彼の香り、彼の白い歯、最も小さな細部も

{Refrain}

En prenant son verre auprès d'elle il se penche
Lui glisse à l'oreille en lui frôlant la hanche
Juste quatre mots, le trouble d'une vie
Juste quatre mots qu'aussitôt il oublie

 グラスを手に彼女のそばで彼は身を屈める
 彼女の腰に触れながら耳にささやく
 たった4つの言葉、一生のときめき
 彼のほうはすぐさま忘れたたった4つの言葉

{Refrain}

Tournent les violons3


Elle y pense encore et encore et toujours
Elle y pense encore et encore et toujours

 彼女は何度も何度もいつもそのことを思う
 彼女は何度も何度もいつもそのことを思う

{Refrain×2}

[注]
1 nobliau(x)=noblaillon(s)「小貴族、成り上がり貴族」
2 les rameaux「枝の主日」復活祭直前の日曜日
3 panse「ふくらんだ腹、太鼓腹」ジャック・ブレルJacques Brelの「アムステルダムAmsterdam」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-94.htmlにも出てきた。




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2017
08.01

ディエゴ、心は自由Diego, libre dans sa tête

France Gall Diego, libre dans sa tête


リクエストをいただいたのでこの曲を取り上げます。ミッシェル・ベルジェMichel Bergerが作り、フランス・ギャルFrance Gallが創唱(1981年のアルバム:Tout pour la musique)した「ディエゴ、心は自由Diego, libre dans sa tête」です。ベルジェ自身も歌い(1983年のアルバム:Voyou)、その後、ジョニー・アリディJohnny Hallyday(1990年)、ヴェロニク・サンソンVéronique Sanson、ノルウェン・ルロワNolwenn Leroyも歌っています。
ディエゴDiegoとはメキシコ壁画運動の中心的人物であったディエゴ・リベラDiego Rivera(1886年-1957年)のことだという情報もありますが、彼は投獄されたことはないようですし、独裁政治によって発言を封じられ投獄された中南米の活動家の代名詞ということのようです。
1984年にフランス・ギャルは、シャン・ゼリゼChamps-Élyséesというテレビのヴァラエティ番組で、アルゼンチンのピアニスト、ミゲル・アンヘル・エストレージャMiguel Ángel Estrellaの前でこれを歌いました。彼は、1976年に亡命生活に入り、1977年にはウルグアイ軍事政権により投獄され拷問を受け、1980年に解放されました。ダニエル・バラヴォアンヌDaniel Balavoineは1983年にFrappe avec ta têteという曲を彼に捧げています。

フランス・ギャルFrance Gall



ミッシェル・ベルジェMichel Berger



ジョニー・アリディJohnny Hallyday



ノルウェン・ルロワNolwenn Leroy



Diego, libre dans sa tête ディエゴ、心は自由
France Gall      フランス・ギャル


Derrière des barreaux
Pour quelques mots
Qu'il pensait si fort
Dehors il fait chaud
Des milliers d'oiseaux
S'envolent sans effort

 心に強く思った
 いくつかの言葉のために
 彼は鉄格子のなか
 外は暑い
 無数の鳥が
 ゆうゆうと飛び立つ

Diego1.jpg


Quel est ce pays
Où frappe la nuit
La loi du plus fort ? 

 夜に
 強者の支配を課す
 この国はいったい何だ?

Diego, libre dans sa tête
Derrière sa fenêtre
S'endort peut-etre...

 ディエゴ、心は自由だ
 窓の後ろで
 たぶん眠っている…

Diego2.jpg


Et moi qui danse ma vie
Qui chante et qui rit
Je pense à lui

 そして人生を踊って暮らし
 歌ったり笑ったりしている僕は
 彼のことを思う

Diego, libre dans sa tête
Derrière sa fenêtre
Déjà mort peut-être...

 ディエゴ、心は自由だ
 窓の後ろで
 たぶん死んでいる…

Diego3.jpg


[注] la loi du plus fort「強者(勝者)の支配」



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