
今回はジャック・ブレルJacques Brelの「夏の夕べにJe suis un soir d'été」です。1968年にリリースされた10番目のアルバム:J'arriveに収録されています。造語が多用され言葉遣いがたいへん特殊な歌詞です。あえて支離滅裂な情景描写をしているのでしょうか。納得のいかない箇所が複数残っていますが、思い切って出しましょう、夏のうちに。
Je suis un soir d'été 夏の夕べに
Jacques Brel ジャック・ブレル
Et la sous-préfecture
Fête la sous-préfète
Sous le lustre à facettes
Il pleut des orangeades 注1
Et des champagnes tièdes
Et des propos glacés
Des femelles maussades
De fonctionnarisés
Je suis un soir d’été
そして郡庁では
輝く名声のもとに
副知事夫人を祝福する
オレンジエードが
そしてなまぬるいシャンパンが
そして官吏たちの
ぶすっとした夫人たちの
冷え切った話題が降り注ぐ
僕はある夏の夕べを過ごしている

Aux fenêtres ouvertes
Les dîneurs familiaux
Repoussent leurs assiettes
Et disent qu’il fait chaud
Les hommes lancent des rots
De chevaliers teutons 注2
Les nappes tombent en miettes
Par-dessus les balcons
Je suis un soir d’été
開いた窓の側らで
家族で夕食をする人たちは
料理の皿をはねつけ
暑いと言う
ドイツ人のナイトの
男たちはゲップをする
テーブルクロスはばらけて落ちる
バルコニーの上に
僕はある夏の夕べを過ごしている
Aux terrasses brouillées
Quelques buveurs humides
Parlent de haridelles 注3
Et de vieilles perfides
C’est l’heure où les bretelles 注4
Soutiennent le présent
Des passants répandus
Et des alcoolisants 注5
Je suis un soir d’été
曇天のテラスでは
何人かの汗をにじませた男たちが
がりがりののっぱの女たちのことや
年増の尻軽たちのことを話している
今は サスペンダーが
散って行く通行人たちや
アル中たちの現在をつなぎとめる時間だ
僕はある夏の夕べを過ごしている

De lourdes amoureuses
Aux odeurs de cuisine
Promènent leur poitrine
Sur les flancs de la Meuse 注6
Il leur manque un soldat
Pour que l’été ripaille 注7
Et monte vaille que vaille 注8
Jusqu’en haut de leurs bas 注9
Je suis un soir d’été
鈍重な恋する女たちは
厨房の匂いで
胸の想いを馳せる
ムーズ河の岸辺へと
彼女たちは一人の兵士が恋しくて
夏が宴を開いて
なんとかストッキングの上までやって来てくれと願う
僕はある夏の夕べを過ごしている
Aux fontaines les vieux
Bardés de références
Rebroussent leur enfance
A petits pas pluvieux
Ils rient de toute une dent 注10
Pour croquer le silence
Autour des filles qui dansent
A la mort d’un printemps
Je suis un soir d’été
身元証明を身に付けた
老人たちは 泉のほとりで
雨に濡れつつとぼとぼと
幼年時代に戻る
彼らは1本歯で大笑いする
静寂を噛み砕くために
春の終わりに
踊る娘たちのまわりの静寂を
僕はある夏の夕べを過ごしている
La chaleur se vertèbre 注11
Il fleuve des ivresses 注12
L’été a ses grand-messes 注13
Et la nuit les célèbre
La ville aux quatre vents
Clignote le remords
Inutile et passant
De n’être pas un port
Je suis un soir d’été
灼熱が背を伸ばし
酔いが流れ出す
夏は歌ミサを有し
夜がそれをいとなむ
街は四方に
無駄で一時的な
悔恨をしばたたかせる
安息の地となり得ないという悔恨を
僕はある夏の夕べを過ごしている

[注] 題名および歌詞中のJe suis un soir d’étéは「私が夏の夕べを過ごしている」という、時間をあらわす表現。
1 Il pleut「雨が降る」だが、orangeade「オレンジエード」などの液体や液体以外の諸々のものまでが「降り注がれる」という表現に用いている。
2 teuton「チュートン人、テウトニ族(古代ゲルマン人の一種族)」あるいは「ドイツ人、ゲルマン人」を軽蔑的に指す。chevalierは「(中世の)騎士」だが、「(女性の)同伴者」の意味でも用いられる。
3 haridelle「やせ馬」。「痩せて背の高い女」のことも言う。
4 bretelle「物を背負うためのヒモ、革」。複数形で「サスペンダー、ズボン吊り」。
5 alcoolisant:alcooliser「…を酔わせる、アルコール中毒にする」の現在分詞を造語的に名詞として用いている。
6 Meuse「ムーズ河」フランス東部に発し、ベルギー、オランダを経て北海に注ぐ河。
7 ripailler「ご馳走をたらふく食べる、大宴会をおこなう」。
8 vaille que vaille「どうにか、ともかく」
9 en haut de「…の上部に、頂に」。bas「ストッキング」
10 rire de toutes ses dentes「呵々大笑いする」という表現を、老人なのでune dentとしたのだろう。
11 vertèbreは「椎骨」、vertèbréは「脊椎のある」で、se vertèbrerは造語。
12 fleuve「大河、流れ」をfleuverという動詞にしている。
13 grand-messe「歌ミサ」
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ニコラ・ペイラックNicolas Peyracは1949年にパリで生まれたシンガー・ソングライターで小説家。ギターとクラヴィエも弾きます。1975年の曲「そしておやじはEt mon père」は、自分が生まれる前の戦後の時代に父親が見てきたパリの左岸の様子を題材にしています。アラン・スーションAlain Souchonの「リヴ・ゴーシュRive Gauche」は同じ時代の同じ場所をテーマにした曲。ほかにも挙げきれないほどあります。
Et mon père そしておやじは
Nicolas Peyrac ニコラ・ペイラック
Quand vous dansiez en ce temps-là,
Pas besoin de pédale wah-wah. 注1
C'était pas la bossa nova
Mais ça remuait bien déjà.
Les caves étaient profondes
Et la ronde
Ne s'arrêtait pas.
Un vieux piano bastringue
Et les dingues
Tournoyaient déjà.
当時、ダンスをするのに、
ワウワウペダルは要らなかったんだ。
それはボサノヴァじゃなかった
が、ほんとにもう動きの激しいものだった。
地下室は奥深くて
ロンドは
止まるところを知らなかった。
1台の古いピアノががなり立て
そして気違いたちが
もうくるくる回っていた。

Et Juliette avait encore son nez.
Aragon n'était pas un minet.
Sartre était déjà bien engagé.
Au Café de Flore, y avait déjà des folles 注2
Et mon père venait de débarquer.
Il hantait déjà les boutiquiers.
Dans sa chambre, on troquait du café.
Il ignorait qu'un jour, j'en parlerais.
そしてジュリエットは嗅覚を維持していた。
アラゴンはきざなヤツじゃなかった。
サルトルはすでにちゃんと政治参加していた。
フロールのカフェには、ホモたちがすでにいた
そして僕のおやじは船から降りたばかりだった。
彼はすでに商人たちとよく付き合っていた。
彼の部屋で、コーヒーを物々交換していた。
彼は、いつか僕がそれを話すだろうとは思いもしなかった。

Quand vous flirtiez en ce temps-là,
Vous vous touchiez du bout des doigts.
La pilule n'existait pas.
Fallait pas jouer à ces jeux-là.
Vous vous disiez "je t'aime",
Parfois même
Vous faisiez l'amour.
Aujourd'hui, deux salades,
Trois tirades
Et c'est l'affaire qui court.
当時は恋愛ごっこをするとき、
指先で触り合うんだ。
ピルは存在しなかった。
こうした遊びはするもんじゃなかった。
「愛している」と言い合ったんだよ、
そしてときにはだが
情事をおこなった。
今日では、でまかせ2回、
長舌3回
そしてコトはあっという間。
L'oncle Adolf s'était déjà flingué.
Son Eva l'avait accompagné,
Des fois qu'il aurait voulu draguer : 注3
Qui sait si, là-haut, il n'y a pas des folles ?
Et mon père allait bientôt planter
Cette graine qui allait lui donner
Ce débile qui essaie de chanter.
Il ignorait que viendraient mes cadets.
アドルフ叔父さんはもう自殺しちまった。
妻のエヴァはいっしょに付いてった、
彼は女をひっかけようとするかも知れなかったが:
天国にホモたちがいないかどうか誰に分かる?
そして僕のおやじはまさに植え付けようとしていた
歌おうとするこの薄弱児を
彼にもたらすこの種を。
彼は僕の弟たちが生まれることは思ってなかった。

Quand vous chantiez en ce temps-là,
L'argent ne faisait pas la loi. 注4
Les hit parades n'existaient pas,
Du moins, ils n'étaient pas de poids.
Tu mettais des semaines
Et des semaines,
Parfois des années.
Si t'avais pas de tripes,
Ta boutique, eux,
Pouvaient la fermer
この時代に歌っているときには、
金なんか問題じゃない。
ヒット・パレードなんて存在しなかった。
少なくとも、それはたいしたものじゃなかった。
あんたは何週間も
何週間も
時には何年もかけた。
もしもあんたが人の心をとらえなきゃ、
彼らはあんたを
廃業させることができたんだ
Et Trenet avait mis des années,
Brassens commençait à emballer
Et Bécaud astiquait son clavier.
Monsieur Brel ne parlait pas encore des folles
Et mon père venait de débarquer
Là ou restait quelque humanité,
Là où les gens savaient encore parler
De l'avenir... même s'ils sont fatigués.
そしてトレネは何年も費やし、
ブラッサンスは暴走し始め
そしてベコーは自分の鍵盤を磨いていた。
ブレル氏はまだホモたちのことを歌っていなかった
そして僕の父は船から降りたばかりだった。
そこにはいくばくかの人間性が残っていた、
そこでは人々はまだ話すことができた
未来について…くたびれていながらも。

Et Juliette avait encore son nez.
Aragon n'était pas un minet.
Sartre était déjà bien engagé.
Au Café de Flore, y avait déjà des folles
Et mon père venait de débarquer
Là ou restait quelque humanité,
Là où les gens savaient encore parler
De l'avenir... même s'ils sont fatigués.
そしてジュリエットは嗅覚を維持していた。
アラゴンはきざなヤツじゃなかった。
サルトルはすでにちゃんと政治参加していた。
フロールのカフェには、ホモたちがすでにいた
そして僕の父は船から降りたばかりだった。
そこにはいくばくかの人間性が残っていた、
そこでは人々はまだ話すことができた
未来について…くたびれていながらも。
[注] 登場する著名人の名を先に挙げて置こう。ルイ・アラゴンLuis Aragonは詩人。ジャン=ポール・サルトル Jean-Paul Sartreは哲学者。ジュリエット・グレコJuliette Gréco、シャルル・トレネCharles Trenet、ジョルジュ・ブラッサンスGeorge Brassens、ジルベールGilber Bécaud、ジャック・ブレルJacque Brelは歌手。
1 wah-wah pédale「ワウワウペダル」エレキ・ギターやベース、キーボード、クラビネット、トランペットなど、多くの楽器で使用されるエフェクター。ペダルを足で操作して、聴感上強調される周波数帯を変える。
2 Café de Flore「カフェ・ド・フロール」は戦後の左岸文化人のたまり場だったサンジェルマン大通りのカフェで現存する。fouの女性形のfolle(名詞)は「ホモ、ゲイ」の意味。
3 Des fois que「ひょっとして…することがあれば、…するかもしれないので」
4 faire la loi (à qn.)「(…を)支配する、我が物顔にふるまう」
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ミッシェル・ポルナレフMichel Polnareffが歌った「僕は男だJe suis un homme」と同じ原題で内容の異なる曲を、シンガー・ソングライターのザジZazieが作り歌っていますので、ご紹介しましょう。2008年に出た彼女のベストアルバム: Zest of Zazieに収録されています。ザジに関しては、以前「わたしは要らないJ'envoie valser」を取り上げた際に解説していますので参照ください。
この曲では、「男だ」ではなく「人間だ」で、人間存在の問題点なるものを、「私」という一人称で代表させて表現しています。
Je suis un homme 私は人間
Zazie ザジ
Je suis un homme de Cro-Magnon
Je suis un singe ou un poisson
Sur la Terre en toute saison
Moi je tourne en rond, je tourne en rond. 注1
私はクロマニョン人
私はサルあるいはサカナ
オールシーズン、地上にいる
私ったら、ぐるぐると回り回ってるの。

Je suis un seul puis des millions
Je suis un homme au cœur de lion
A la guerre en toute saison
Moi je tourne en rond, je tourne en rond.
私は独り そして何百万
私はライオンの心を持つ人間
戦争においてはねいつだって
私ったら、ぐるぐると回り回ってるの。
Je suis un homme plein d’ambition
Belle voiture et belle maison
Dans la chambre ou dans le salon
Moi je tourne en rond, je tourne en rond.
私は野心満々の人間
カッコいいクルマに美しい家
寝室でリビングで
私ったら、ぐるぐると回り回ってるの。
Je fais l’amour et la révolution
Je fais le tour de la question 注2
J’avance, avance à reculons
Et je tourne en rond, je tourne en rond.
私は恋愛をし革命もやる
私は問題を一通りチェックし
前進し、後退する
私ったら、ぐるぐると回り回ってるの。
Tu vois, j’suis pas un homme,
Je suis le roi de l’illusion
Au fond, qu’on me pardonne 注3
Je suis le roi, le roi des cons.
ほらね、私は人間じゃない、
幻想の王よ
結局のところ、許してもらいたいの
私は王、バカたちの王。
Je fais le monde à ma façon
Coulé dans l’or et le béton
Corps en cage, jeté en prison
Moi je tourne en rond, je tourne en rond.
私は世界を私流に作る
金のそしてコンクリートの鋳型に流し込んで
投獄されて、身体は檻のなか
私ったら、ぐるぐると回り回ってるの。

Assis devant ma télévision
Je suis de l’homme, la négation 注4
Pur produit de consommation 注5
Oui, mon compte est bon
Mon compte est bon.
テレビの前に座って
私は人間、否定的存在
単なる消費材
ええ、私の考えは正しい
私の考えは正しいわ。
Tu vois, j’ suis pas un homme,
Je suis le roi de l’illusion
Au fond, qu’on me pardonne
Je suis le roi, le roi des cons.
ほらね、私は人間じゃない、
幻想の王よ
結局のところ、許してもらいたいの
私は王、バカたちの王。
C’est moi, le maître du feu,
Le maître du jeu, le maître du monde
Et vois ce que j’en ai fait,
Une Terre glacée, une Terre brûlée,
La Terre des hommes que les hommes abandonnent.
それは私、火を支配する者
ゲームを支配する者、世界を支配する者
私の所業をご覧なさい、
凍った大地、焼けた大地、
人間たちが放り出した人間の大地
Je suis un homme au pied du mur 注6
Comme une erreur de la nature
Sur la Terre sans d’autres raisons
Moi je tourne en rond, je tourne en rond.
私は行き詰った人間
自然の失敗作みたいなもの
なんら別の理由もなく地上にいる
私ったら、ぐるぐると回り回ってるの。

Je suis un homme et je mesure
Toute l’horreur de ma nature
Pour ma peine, ma punition,
Moi je tourne en rond, je tourne en rond(×2)
私は人間 そして私は推し量る
自分の本性の醜悪さをすべて
自ら苦しむため、自らを罰するため
私ったら、ぐるぐる回り回ってるの。
Moi je tourne en rond, je tourne en rond
私ったら、ぐるぐると回り回ってるの。
rond
ぐるぐると
[注]
1 tourner en rond「(物事が)うまく運ぶ、円滑に作動する」という意味のほか「堂々巡りで進歩がない」の意味がある。
2 faire le tour de qc.「巡る、一周する、ひとわたり検討する」
3 au fond「結局のところ」
4 de l’homme部分冠詞を用いて類別を示している。
5 pur名詞の前に置かれると「単なる、まったくの」
6 être au pied du mur「追い詰められ、決断を迫られる」
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前回に引き続き、「島」がテーマです。
パリの中央を流れるセーヌ川にあるサン=ルイ島Île Saint-Louisは、のあるシテ島Île de la Citéとともに「パリ発祥の地」と呼ばれ、パリの中心部に位置するセーヌ川の中州。サン=ルイ島は古くから大貴族や著名人が邸宅を構える最高級住宅地として知られ、両側の岸およびシテ島と5本の橋でつながっています。

ご紹介する「サン=ルイ島L'île Saint-Louis」という曲は、そのサン=ルイ島がシテ島のそばにいることに飽きて川を下って海に出て行くという不思議な内容。大きなシテ島にちょっとどいてもらわないと行けないはず…いえいえ、余計な理屈は引っ込めましょう。
作詞:レオ・フェレLéo Ferré&フランシス・クロードFrancis Claude、作曲:レオ・フェレLéo Ferré。ジャクリーヌ・ヴァロワJacqueline Valoisが1948年にラジオで創唱し、1952ルネ・ルバRenée Lebas、ミッシェル・アルノーMichèle Arnaudが歌い、翌1953年にはカトリーヌ・ソヴァージュCatherine Sauvageも歌いました。
レオ・フェレ自身の歌は1954年のアルバム:Chansons de Léo Ferréに収録されています。
ミッシェル・アルノーは作詞したフランシス・クロードの経営する店でこの歌を歌ってデヴューし、彼と結婚することになりました。私は彼女の歌が一番好きですが、フェレの元の歌詞を全部は歌っていません。
カトリーヌ・ソヴァージュ
L'île Saint-Louis サン=ルイ島
Léo Ferré レオ・フェレ
L'île Saint-Louis en ayant marre
D'être à côté de la Cité
Un soir a rompu ses amarres
Elle avait soif de liberté
Avec ses joies, avec ses peines
Qui s'en allaient au fil de l'eau
On la vit descendre la Seine
Ell' se prenait pour un bateau.
サン=ルイ島は
シテ島のそばにいることにうんざりして
ある晩 舫い綱を断ち切った
彼女は自由を渇望したのだ
喜びと、苦しみとともに
彼女は水の流れに乗った
ひとは彼女がセーヌ川を下るのを見た
彼女は船になったつもりだった。

Quand on est une île
On reste tranquille
Au cœur de la ville
C'est ce que l'on dit,
Mais un jour arrive
On quitte la rive
En douce on s'esquive 注1
Pour voir du pays.
島であるからにゃ
街の真ん中で
静かにじっとしているもんだ
とひとは言う、
だけどある日
岸辺を離れ
ひそかに逃げ出すのだ
国々を見るために。
De la Mer Noire à la Mer Rouge
Des îles blanches, aux îles d'or
Vers l'horizon où rien ne bouge
Point n'a trouvé l'île au trésor, 注2
Mais tout au bout de son voyage
Dans un endroit peu fréquenté
On lui raconta le naufrage
L'île au trésor s'était noyée.
黒海から紅海まで
白い島々から、金色の島々まで
動くものとて無い水平線のあたりには
宝島なんてまるで見つからなかった
だが旅の最後に
あまり人の訪れないところで
彼女は難破の話を聞かされた
宝島は海に溺れたんだ。
Quand on est une île
On vogue tranquille
Trop loin de la ville
Malgré c'que l'on dit,
Mais un jour arrive
Où l'âme en dérive,
On songe à la rive
Du bon vieux Paris
島でありながら
街からとても遠いところで
静かに漂っている
ひとの言うことに逆らって、
だが魂がそこから引き返す
日がやって来る
古き良きパリの
岸辺を思い出すのさ

L'Ile Saint-Louis a de la peine
Du pôle Sud au pôle Nord
L'océan ne vaut pas la Seine
Le large ne vaut pas le port
Si l'on a trop de vague à l'âme 注3
Mourir un peu n'est pas partir 注4
Quand on est île à Notre-Dame 注5
On prend le temps de réfléchir.
サン=ルイ島は苦しむ
南極から北極までの
海はセーヌ川には匹敵しない
外海は港には匹敵しない
もしもあまりに物憂い気持ちだったとしても
ちょっとばかり死ぬことは行ってしまうことじゃない
ノートル=ダムに属する島であるからにゃ
よく考える時間を持つことだ。
Quand on est une île
On reste tranquille
Au cœur de la ville
Moi je vous le dit,
Pour les îles sages
Point de grands voyages
Les livres d'images 注6
Se font à Paris
島であるからにゃ
街の真ん中で
静かにじっとしているもんだ
僕はねあなたにそう言うよ、
お利口さんの島々にとっちゃ
大旅行なんて関係ないんだ
絵本はね
パリで作られるものさ

[注]
1 en douce「ひそかに、こっそりと」。
2 否定の意味のpointが主語とされるのは稀だが、他の例としてはPoint n’est besoin de+inf.「…する必要はまったくない。」がある。
3 vagueには「波」「虚空」「(心の)中途半端さ、どっちつかず」という3つの意味があり、avoir du vague à l'âme「物憂い(物悲しい)心地である」は3番目の意味。
4 mourir un peuが主語。
5 隣のシテ島にはノートルダム大聖堂Cathédrale Notre-Dame de Parisがあり、サン=ルイ島はその後ろに位置する。
6 livres d'images se font à Paris「絵本はパリで作られる」。大旅行して世界を回らなくてもパリであらゆるものが見られる。
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今回はローラン・ヴールズィLaurent Voulzyの「ベル=イル=アン=メール、マリー=ガラントBelle-Île-en-Mer, Marie-Galante」です。1985年。作詞:アラン・スーションAlain Souchon。作曲:ローラン・ヴールズィLaurent Voulzy。 Les nuits sans Kim Wildeというシングル盤のB面の曲でしたが、後にこちらをA面にして再販されたそうです。
ベル=イル=アン=メールBelle-Île-en-Merは、フランスのモルビアン県に属するブルターニュ沿岸最大の島。Marie-Galanteマリー=ガラント島はカリブ海の小アンティル諸島のリーワード諸島に浮かぶフランス領グアドループに属する島。
ローラン・ヴールズィはこの二つの島で幼年期を過ごしました。そして、母親がマリー=ガラント島の現地人であり、肌の色の違いによって感じさせられてきた孤立感も表現されています。1990年にヴィクトワール賞を受賞しました。
Belle-Île-en-Mer, Marie-Galante ベル=イル=アン=メール、マリー=ガラント
Laurent Voulzy ローラン・ヴールズィ
{Refrain:}
Belle-Ile-en-Mer 注1
Marie-Galante
Saint-Vincent 注2
Loin Singapour
Seymour Ceylan 注3
Vous c´est l´eau, c´est l´eau
Qui vous sépare
Et vous laisse à part
ベル=イル=アン=メール島
マリー=ガラント島
サン=ヴァンサン島
遠くはシンガポール島や
シーモア島セイロン島
君たちそれは水だ、それは水だ
君たちを引き離し
そして君たちを別々にさせるのは

Moi des souvenirs d´enfance
En France
Violence
Manque d´indulgence
Par les différences que j´ai
Café
Léger
Au lait mélangé
Séparé petit enfant
Tout comme vous
フランスでの
僕にとっての幼年期の思い出は
暴力
寛容の欠如
僕の持つ相違によって
ミルクの混じった
薄い
コーヒー色の肌
差別された小さい子ども
君たちのように
{Chœurs:}
Je connais ce sentiment
De solitude et d´isolement
僕は知ったこの感情を
孤独と孤立の

{Refrain}
Comme laissé tout seul en mer
Corsaire
Sur terre
Un peu solitaire
L´amour je l´voyais passer
Ohé Ohé
Je l´voyais passer
Séparé petit enfant
Tout comme vous
Je connais ce sentiment
De solitude et d´isolement
たった一人海にとり残された
海賊
地上では
ちょっと孤独
愛なんて僕は通り過ぎるのを見ていた
オーイオーイ
僕はそれが通り過ぎるのを見ていた
差別された小さい子ども
君たちのように
僕は知ったこの感情を
孤独と孤立の

{Refrain}
Karukera 注4
Calédonie 注5
Ouessant 注6
Vierges des mers 注7
Toutes seules
Tout l´temps
Vous c´est l´eau c´est l´eau
Qui vous sépare
Et vous laisse à part
Oh oh...
カルケラ島
ニュー・カレドニア島
ウェサン島
ヴァージン諸島
まったく孤独だ
いつも
君たちそれは水だ、それは水だ
君たちを引き離し
そして君たちを別々にさせるのは
オーオー…

[注]
1 Belle-Île-en-merリエゾンして「ベリランメール」と読むはずだが、一般的な日本語表記にした。ザーズZAZの歌っている「ポール・コトンPort Coton」はこの島にある。
2 Saint-Vincent「サン・ヴァンサン島」東カリブ海
3 Seymour「シーモア島」ガラパゴス諸島に属する。
4 Karukera「カルケラ島」カリブ語で、「美しい水の島」の意味で、グランド・テール島île de Grande-Terreとともにカリブ海のグアドループ島を形成するバス=テール島île de la Basse-Terreのこと。ここで生産されるラム酒もKarukeraと呼ばれる。
5 Calédonie「カレドニア島」は、古ラテン語でグレートブリテン島の北部(現在のスコットランド)を意味する地方の名称.。ここではNouvelle-Calédonie「ニュー・カレドニア島」のことで、グランドテール島Grande Terreおよびロワイヨテ諸島からなるフランスの海外領土。
6 Ouessant「ウェサン島」イギリス海峡のブルターニュ地域圏の島。ジャック・プレヴェールJacques Prévertの詩をイヴ・モンタンYves Montandが歌っている「バルバラBarbara」にも出てくる。
7 Vierges des mers「海の処女たち」とは「ヴァージン諸島」のことで、カリブ海の西インド諸島に属する多数の島々。西側半分は約50の島々からなるアメリカ領で、東側半分は約60の島々からなるイギリス領。
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ザーズZAZを続けます。「私のパリDans mon Paris (Swing manouche version)」です。2015年のアルバム:パリParisに収録された曲。作詞:Isabelle Geffroy, Ilan Abou, Thierry Faure。作曲:Ilan Abou, Guillaume Juhel, Thierry Faure。
Dans mon Paris(Swing manouche version) 私のパリ
ZAZ ザーズ
Dans le Paris des petits quartiers
Oubliez les touristes,
Les cartes postales et leurs vieux clichés 注1
La tour Eiffel s’la joue aux yeux des passants 注2
Mais moi j'vous emmène à Ménilmontant 注3
V'nez prendre un p'tit verre, vous êtes mes invités
パリの小さな界隈じゃ
忘れてよ旅行者たちを
絵葉書とその古い原板を、
エッフェル塔は通行人たちの目を欺いてる
でもあたいはあんたをメニルモンタンに連れてく
ちょっと一杯やりにおいでよ、あんた方はあたいのお客さんだよ

Dans le Paris des gens ordinaires
On est plus souvent sur l'boulevard Voltaire 注4
Qu'aux Champs Élysées
La Tour d'Argent fait d'l'oeil aux dignes chalands 注5
Mais y'a la Goutte d'Or où j'dîne en m'marrant 注6
Autour de la table de la simplicité
パリじゃ普通の人たちゃ
よくヴォルテール大通りとか
シャンゼリゼ通りにいるよ
トゥール・ダルジャンはご立派なお客さんを呼び込む
でもあたいが楽しみながら食事するグット・ドールってところがあるのさ
そこのテーブルはごくシンプルさ
Au marché de Belleville, 注7
On entend chanter les accents mélangés
Aux Puces de Saint-Ouen, 注8
L'esprit de Django plane sur les bistrots 注9
A Barbès au Hammam, je vais me ressourcer 注10
Au milieu des parfums de fleur d'oranger
C’est à Paris Montmartre que vous m’avez connu
Vous allez découvrir les musiques de ma rue
ベルヴィルの市場じゃ、
いろんな言葉が混ざった歌が聞こえる
サン=トゥアンの蚤の市じゃ、
ジャンゴの精神が居酒屋に漂う
バルベ・オー・ハマンに、あたいは元気を取り戻すために行く
オレンジの花の香りに包まれて
あんた方があたいに出会ったのはパリのモンマルトル
あんた方はあたいの街のミュージシャンを見つけるんだよ

Dans ce Paris, moi j'aime flâner
Loin des clichés, des cartes postales et des vacanciers
Les beaux quartiers vous sont familiers
Mais là où j'vous emmène vous découvrirez
Ces endroits oubliés qui me font tant vibrer
このパリを、あたいはねうろつきたいんだ
紋切り型から、絵葉書から、そして観光客から遠く離れて
美しい界隈はあんた方にはおなじみ
でもあたいがあんた方を連れて行くところであんた方は見つけるよ
あたいの心をとても揺さぶるこの忘れられた場所を
{Scat}
Quand au lever du jour
J'sors des Trois Maillets, la voix défoncée 注11
J'vais croquer Ma Pomme en Colimaçon, comme à la maison 注12
L'marcher des Enfants Rouges m'emmène autour du monde 注13
Au métro Robespierre tous mes potes vagabondent 注14
C’est à Paris Montmartre que vous m’avez connue
Venez donc écouter les musiques de ma rue
夜が明けるとき
あたいはトロワ・マイエを出る、声を枯らして
あたいはマ・ポム・アン・コリマソンに行く、自分ちみたいなものさ
アンファン・ルージュ市場はあたいを世界一周に連れてってくれる
ロベスピエール駅にあたいの仲間がみんなうろついてる
あんた方があたいに出会ったのはパリのモンマルトル
さぁあたいの街の音楽を聴きに来なよ

Dans ce Paris j'aime me balader
Au gré des jardin, des portes cochères et des escaliers
Tous ces quartiers me sont familiers
Avec des gens simples et d'la sincérité
C'est le Paris que j'aime partager
このパリであたいは歩き回りたい
気ままに公園や、両開きの門や階段を
どの界隈もみんなあたいにはおなじみさ
気取らない人たちがいて率直さがあって
あたいがわかち合いたいパリはこれさ
{Parlé}
Ha c'est des chiens et si on essayait 注15
Aïe hé, aïe ho, les mecs!
Et si, arrêtes heu!
Et si on essayait une version big band avec des cuivre trompette saxophone tout ça
J'pense que ça pourrait être vachement bien
アーこりゃヒドイよ、そんでもしもやってみたら
アイエー、アイオー、アンタたち!
そんでもしも、やめてよ!
そんでもしも銅のトランペットやサックスなんかなんでも入れてビッグバンド・ヴァージョンやってみたら
すっごくいいんじゃない

[注]
1 cliché「(印刷の)凸版、(写真の)ネガ」などをいうが、その延長で「型に嵌った考え、紋切り型」の意味にも用いられる。
2 la joue とする歌詞が多いが、聴いてCDの歌詞カードの通りs’la joueと判断した。se la joueと表記する歌詞もある。laが意味不明だが…。aux yeux de qn.「…の目の前で、…の見解では」。
3 Ménilmontant「メニルモンタン」は、20区の下町情緒溢れる地域。
4 boulevard Voltaire「ヴォルテール通り」は11区にある大通り。
5 La Tour d'Argent「トゥール・ダルジャン」は高級レストラン。fait d'l'oeil à qn.「…に色目を使う、食欲(購買欲)を起こさせる」。
6 la Goutte d'Or(Le quartier de la Goutte-d'Or)「グット・ドール」は18区のモンマルトルの東側にある地区。
7 marché de Belleville「ベルヴィルの朝市」19区・11区のベルヴィル大通りboulevard de Bellevilleで開かれる朝市。
8 Puces de Saint-Ouen「サン=トゥアンの蚤の市」パリ郊外3大蚤の市の1つで、パリの北に隣接するサン=トゥアンで開かれる。「クリニャンクールClignancourtの蚤の市」とも呼ばれる。
9 Django=Django Reinhardt「ジャンゴ・ラインハルト」。はjazz manouche (gypsy swing)と言われる、フランス在住ジプシーによるジャズの創始者。この曲のタイトルにはSwing manouche versionと付記され、まさにそのスタイルの曲である。
10 Barbès au Hammam「バルベ・オー・ハマン」18区にあるサウナ&ハンマーム(トルコ式公衆浴場)のチェーン店。
11 (aux) Trois Mailletz「オー・トロワ・マイエ」カルティエ・ラタンQuartier latinにあるライブハウス。
12 Ma Pomme en Colimaçon「マ・ポム・アン・コリマソン」メニルモンタンにある庶民的なカフェ。
13 L'marcher des Enfants Rouges「アンファン・ルージュ市場」3区に17世紀からある古い市場。
14 métro Robespierre「ロベスピエール駅」メトロ9号線の駅でパリの東に隣接するモントルイユMontreuilにある。
15 chien「犬」はつまらないもの、ひどいものを言う罵倒の言葉だが、ひょっとしたら反語的な表現かも。
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今回はザーズZazの「月La Lune」というとてもメルヘンティックな曲。「オニラOn ira」l「もしもSi」と同様、2013年のアルバム:Recto versoに収録されています。
La Lune 月
Zaz ザーズ
J'irai moi aussi sur la lune
Demain c'est sûr je tisserai
Un fil de ma terre à sa brume
Et vers elle je me glisserai
Pour offrir des fleurs à ses dunes
Lui dire que je l'aime de plus près
私も月に行くわ
明日きっと私は
私のいる地面から月の霧へ糸を張る
そして月に向かって滑って行く
その砂丘に花々を届けて
愛しているって月にうんと近くで言うために

J'irai moi un jour sur la lune
J'en peux plus de l’imaginer
Et quand le soleil m'abandonne
Qu'il rougit de me délaisser
Je sens l'aura de l'aréole
M'envahir et me kidnapper
私はいつか月に行くわ
想像する以上に私にはできるわ
そして太陽が私を見捨てて
私を放り出したことを恥じたとき
私は乳輪のオーラが
私を満たし私を連れ去ると感じるの
{Refrain :}
C'est sûr j'irai un jour là haut
Puiser des secret à la louche
Aussi pour lui faire un cadeau
A dos d'éléphant et mouche
J'irai c'est sûr un jour là haut
J'ai déjà prévu l'escalier
Avec des ailes pour mieux grimper
Au milieu de la voie lactée
私はきっといつかあの高みに行くわ
レードルで秘密を汲み取りに
そしてまた月に贈り物をするために
ゾウの背にそしてハエの背に乗って
私はいつかあの高みに行くわきっとよ
私はもう階段を準備した
翼もよもっとうまく登れるように
銀河の真ん中まで

J'irai moi aussi sur la lune
Pour un échange de secrets
Les siens emballés dans son tulle
Les miens en hublot de Noé 注Noah
J'irai la voir un jour c'est sûr
Et j'serai même pas déguisée
私も月に行くわ
秘密を交換するために
月の秘密はチュールの布に包まれていて
私のはノアの方舟の窓にある
私は月に逢いに行くきっとよ
そして私は変装もしないわ
{Refrain}
J'irai moi aussi sur la lune
J'irai c'est sûr monter là haut
Des baisers semés par nos bouches
Et des rêves d'humanité
J'irai pour la réconforter
Lui dire que je l'aime de plus près
私も月に行くわ
私はいつかあの高みに行くわきっとよ
私たちの口から撒かれたキッスで
人々の夢で
私は月を励ますために
愛しているって月にうんと近くで言うために
{Refrain×2}

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ヴァネッサ・パラディVanessa Paradis が、新しい恋人だと噂されるバンジャマン・ビオレBenjamin Biolayとデュオで歌っている「城壁Le Rempart」という曲をご紹介しましょう。作詞・作曲: Mathieu Boogaerts。ヴァネッサの2013年のアルバム:Love Songsに収録されています。
Le rempart 城壁
Vanessa Paradis & Benjamin Biolay ヴァネッサ・パラディ&バンジャマン・ビオレ
Hey à quoi ça sert
À quoi ça sert de venir te voir
À quoi ça sert De quoi j’ai l’air
Quand je frappe à ta porte ce soir
Qu’est-ce que j’espère, Qu’est-ce que j’espère?
ねぇなんになるの
あなたに逢いに来てなんになるの
それがなんになるの 私は何みたいなの
今夜あなたのドアを叩くとき
私は何を望んでいるの、私は何を望んでいるの?

Oui qu’est-ce que j’espère?
Qu’on me dise la fin de l’histoire
Qu’on me libère, qu’on me repère,
Qu’on me dise si je viens, ou si je pars
Que l’on m’éclaire Que l’on me fasse voir
ああ僕は何を望んでいるんだ?
物語の終わりを告げられること
解放されること、見つけられること、
来るか、あるいは行くかと問われること
光を当てられること見せられること
Ce qu’il y a derrière
Derrière cette histoire
Derrière ce rempart
C’est un mystère
後ろにあるもの
この物語の後ろに
この城壁の後ろにあるもの
それは謎

Moi j’ai peur du noir
J’ai peur de la nuit du hasard
J’ai peur ici de n’plus savoir
J’ai peur de me perdre, il est tard
Là sans lumière, J’ai quel espoir?
暗闇が怖い
ふいにやって来る夜が怖い
よく知らないこの場所が怖い
道に迷うのが怖い、もう遅いわ
光のないところで、私にどんな希望があるの?
Hein qu’est-ce que j’dois faire?
C’est vrai j’dois bien finir quelque part
Loin de tes terres, de ta mémoire,
Je voulais juste te dire: "Au revoir"
Juste une dernière... Fois, te revoir
ねぇ僕は何をしなきゃいけないんだ?
確かに僕はどこかで消えなきゃいけないんだ
君の土地から、そして君の記憶から遠いところに
君になんとか言いたい「また会おう」と
最後にもう…一度だけ、君と会いたい
Avant que j’erre
Que je m’égare
J’aim’rais qu’on se serre
Puis qu’on se sépare
私がさまよう前に
僕が道に迷う前に
抱き合いたい
それから別れたい

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今回は、ミレーヌ・ファルメールMylène Farmerのデヴュー曲である「ママンは間違っているMaman a tort」。この曲は、ハリウッド女優フランシス・ファーマーFrances Elena Farmerの実録映画「女優ファーマー」をもとに、彼女が作ったものです。有能で美貌のハリウッド女優だったフランシス・ファーマーは、酒酔い運転で逮捕されたことをきっかけにどんどん道を踏み外し、精神病と認定され、母親に精神病院に送り込まれ、この間、90回ものインシュリン・ショック療法を施され、繰り返し電気ショックを与えられたり、氷風呂に入れられるなどの荒療治を受けます。そして解放されてのち女優として復帰して、自伝を書き、56歳でガンで亡くなりました。
ミレーヌはファーマーに入れ込み、彼女にちなんで芸名をファルメールとし、母親への抗議と愛、狂った生き様、病院といった内容のこの曲を作りました。当初は多くのレコード会社に門前払いされたすえ、ようやくリリースされたそうで、歌手ミレーヌ・ファルメールの原点ともいえる曲です。また、アメリカのロック・バンド:ニルヴァーナNirvanaもFrances Farmer Will Have Her Revenge on Seattleという曲をファーマーに捧げています。
Maman a tort ママンは間違っている
Mylène Farmer ミレーヌ・ファルメール
Un maman a tort 注1
Deux c'est beau l'amour
Trois l'infirmière pleure
Quatre je l'aime
Cinq il est d'mon droit
Six de tout toucher
Sept j'm'arrête pas là
Huit j'm'amuse
1、ママンは間違ってる
2、愛は美しい
3、看護婦は泣いている
4、わたしは彼女を愛している
5、わたしの権利なんだ
6、何にでも手を出すのは
7、わたしは止めない
8、わたしは楽しむ

Un quoiqu'maman dise
Deux elle m'oubliera
Trois les yeux mouillés
Quatre j'ai mal
Cinq je dis c'que j'veux
Six j'suis malheureuse
Sept j'pense pas souvent
Huit et vous ?
1、ママンがなんと言おうが
2、彼女はわたしを忘れるだろう
3、涙ぐんで
4、わたしは辛い
5、わたしは言いたいことを言う
6、わたしは不幸だ
7、わたしはあまり考えない
8、あなたはどうなの?
J'aime ce qu'on m'interdit
Les plaisirs impolis
J'aime quand elle me sourit
J'aime l'infirmière maman
ひとが禁じることをわたしは好き
慎みのない快楽が
彼女がわたしにほほえむとき好きよ
看護婦のママンが好きよ
Un j'suis très sereine
Deux et j'ai bien fait
Trois d'vous en parler
Quatre j'm'amuse
Cinq quoiqu'maman dise
Six elle était belle
Sept cette infirmière
Huit je l'aime
1、わたしはとても平静よ
2、そしてわたしはうまくやってのけた
3、あなたがたに話すことを
4、わたしは楽しむ
5、ママンがなんと言おうが
6、彼女はきれいだった
7、この看護婦は
8、わたしは彼女を愛している
Un l'infirmière chante
Deux ça m'fait des choses
Trois comme l'alouette
Quatre j'ai peur
Cinq c'est dur la vie
Six pour un sourire 注2
Sept j'en pleure la nuit
Huit et vous ?
1、看護婦は歌う
2、それはわたしに作用する
3、ヒバリみたいに
4、わたしは恐れる
5、生きるのは辛い
6、微笑みの代償に
7、夜になると泣く
8、あなたはどうなの?

J'aime ce qu'on m'interdit
Les plaisirs impolis
J'aime quand elle me sourit
J'aime l'infirmière maman
ひとが禁じたことがわたしは好き
慎みのない快楽が
わたしにほほえむとき好きよ
看護婦のママンが好きよ
Un maman a tort
Deux c'est beau l'amour
Trois l'infirmière pleure
Quatre je l'aime
Cinq maman a tort
Six c'est beau l'amour
Sept à l'hôpital
Huit j'ai mal
1、ママンは間違ってる
2、愛は美しい
3、看護婦は泣いている
4、わたしは彼女を愛している
5、ママンは間違ってる
6、愛は美しい
7、病院で
8、わたしは苦しんでいる
Un maman a tort
Deux c'est beau l'amour...
1、ママンは間違ってる
2、愛は美しい…
[注] 1から8までの数字で箇条書きした、変わった形の歌詞である。
1 avoir tort「間違っている」
2 このpourは、「…の代償に」といった意味で次行に続く。

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レ・リタ・ミツコLes Rita Mitsoukoは、1980年にパリで結成した、ギタリストのフレッド・シシャンFred Chichin(1954年-2007年)と歌手のカトリーヌ・ランジェCatherine Ringer(1957年生まれ)のデュオ。ゲランの香水「ミツコMitsouko」から付けられた名称です。2007年にフレッドががんで亡くなりましたが、カトリーヌ・ランジェは歌手としてその後も活動を続けています。

ファースト・アルバムRita Mitsoukoに収められた「マルシアは踊るMarcia Baïla」が大ヒットしましたが、この曲は、32歳の若さで亡くなったアルゼンチンのダンサー、マリシア・モレットMaricia Moretto(1949-1981)に捧げられた曲です。
右の写真はマリシアです。ダンスしている写真や動画を探しましたが、1983年に封切りされた映画Rock and Torahに、マリシアが出演していることだけ分かりました→こちら。黄色い衣装の髪の無い女性のようです。
レ・リタ・ミツコ「マルシアは踊る」
オリヴィア・ルイズOlivia Ruizが、歌詞を見ながら椅子に座って…。
Marcia baïla マルシアは踊る
Les Rita Mitsouko レ・リタ・ミツコ
※歌詞中の画像はレ・リタ・ミツコのカトリーヌ・ランジェ
Marcia, elle danse sur du satin, de la rayonne
Du polystirène expansée à ses pieds
Marcia danse avec des jambes
Aiguisées comme des couperets
Deux flêches qui donnent des idées
Des sensations
Marcia, elle est maigre
Belle en scène, belle comme à la ville
La voir danser me transforme en excité
マルシア、彼女は足元で膨らんだ、サテンの、レーヨンの
ポリエステルの上で踊る
マルシアは肉切り包丁のように研ぎ澄まされた
両脚で踊る
アイデアを感動を
与える2本の矢だ
マルシア、彼女は細くて
舞台では美しい、街なかにいる時のように美しい
彼女が踊るのを見るのは私を興奮状態にさせる
Moretto 注1
Comme ta bouche est immense
Quand tu souris et quand tu ris
Je ris aussi, tu aimes tellement la vie
Quel est donc ce froid que l´on sent en toi?
モレット
あんたの口はなんと大きいのか
あんたが微笑んだ時、あなたが笑った時
私もまた笑う、あんたはこんなにも人生を愛している
人があんたのなかに感じるこの冷たさはいったい何だろう?

Mais c´est la mort qui t´a assassinée, Marcia
C´est la mort qui t´a consumée, Marcia
C"est le cancer que tu as pris sous ton bras
Maintenant, tu es en cendres, cendres
La mort, c´est comme une chose impossible
Et même à toi qui est forte comme une fusée
Et même à toi, qui est la vie même, Marcia
C´est la mort qui t´a emmenée
でもあんたを殺したのは死だ、マルシア
あんたを滅ぼしたのは死だ、マルシア
あんたが腕に抱え込んだのはガンだ
今、あんたは灰になった、灰に
死、それはどうすることもできないもののようだ
またロケット弾のように強力なあんたにとっても
また生命そのもののあんたにとっても、マルシア
あんたを連れ去ったのは死だ
Marcia danse un peu chinois 注2
La chaleur
Dans les mouvements d´épaules
A plat 注3
Comme un hiéroglyphe inca 注4
De l´opéra 注5
マルシアはちょっと妙に踊る
両肩の動きにある
熱気は
オペラピンクの
インカのヒエログリフのように
平面的だ
Avec la tête
Elle danse aussi très bien
Et son visage
Danse avec tout le reste
Elle a cherché
Une nouvelle façon
Et l´a inventée.
頭でも
彼女はたいへんうまく踊る
そして彼女の顔は
ほかのすべての部分とともに踊る
彼女は求めた
新しい方法を
そしてそれを生み出した。
C´est elle, la sauterelle
La sirène en mal d´amour
Le danseur dans la flanelle
Ou le carton.
それは彼女だ、螽斯(キリギリス)
恋に苦しむ人魚
フランネルのなかの
あるいは段ボールのなかの
ダンサー

Moretto
Comme ta bouche est immense
Et quand tu souris et quand tu ris
Je ris aussi, tu aimes tellement la vie
Quel est donc ce froid
Que l´on sent en toi?
モレット
あんたの口はなんと大きいのか
あんたが微笑む時、あなたが笑う時
私もまた笑う、あんたはこんなにも人生を愛している
この冷たさはいったい何だろう
人があんたのなかに感じるこの冷たさは?
Mais c´est la mort
Qui t´a assassinée, Marcia
C´est la mort
Tu t´es consumée, Marcia
C´est le cancer
Que tu as pris sous ton bras
Maintenant
Tu es en cendres, en cendres
La mort
C´est comme une chose impossible
Pour toi
Qui est la vie même, Marcia
Et même à toi
Qui est forte comme une fusée
C´est la mort
Qui t´a emmenée
Marcia...
だがそれは死だ
あんたを殺したのは、マルシア
それは死だ
あんたを滅ぼしたのは、マルシア
それはガンだ
あんたが腕に抱え込んだものは
今
あんたは灰になった、灰に
死
それはどうすることもできないもののようだ
生命そのものの
あんたにとって、マルシア
そしてまた
ロケット弾のように強力な
あんたにとって
それは死だ
あんたを連れ去ったのは
マルシア…
[注]
1 morettoはイタリア語で「黒人の若者」。マルシアのことなら、女性形のmorettaとなるはずだが。
2 chinois「中国の」だが、un peu chinoisは「ちょっとややこしい」といった意味。
3 à plat「平らな」「へしゃげた、ペシャンコの」
4 hiéroglyphe「ヒエログリフ」は古代エジプトのもの。マルシアの土地ということでinca「インカ」としたのだろうが、インカは文字文化を持たなかった。
5 opéraは色名「オペラピンク」ととらえた。
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今回は「たぐいなき恋Un amour comme le nôtre」という古い曲です。作詞:アクセル・ファレルAxel Farel、作曲:シャルル・ボレル=クレールCharles Borel Clerc。1935年にルシエンヌ・ボワイエLucienne Boyerが歌いました。
40年後の1975年に、1967年のユーロヴィジョンのフランス代表として3位入賞したノエル・コルディエNoëlle Cordierがたいへん新鮮な感覚でこの曲を蘇らせましたが、残念ながらコルディエのYouTube動画は削除され音源も入手できません。
ルシエンヌ・ボワイエ
ジャン・サブロンJean Sablonとジェルメーヌ・サブロンGermaine Sablon(ジャンの姉)のデュオ。ギターはジャンゴ・ラインハルト Django Reinhardt。
サッシャ・ディステルSacha Distel
Un amour comme le nôtre たぐいなき恋
Noëlle Cordier ノエル・コルディエ
Pourquoi lis tu tant de romans
Pierre Benoit ou Paul Morand
Penses-tu trouver dans leurs livres
De quoi rêver des nuits des jours
Quand le plus beau roman d'amour
Nous sommes en train de le vivre
どうしてあなたはたくさん小説を読むの
ピエール・ブノワとかポール・モラン
あなたは思っているの 彼らの本のなかに
夜ごと日ごと夢みるものが見つかると
最も美しい恋物語を
私たちは生きているというのに
N'avons nous pas assez lutter
Pour vivre ensemble et nous aimer
Ferme les yeux recueille toi 注
Car tu sais aussi bien que moi
私たちは十分に戦わなかったのかしら
ともに生き、愛し合うために
目を閉じて心静かに考えてみて
だってあなたは私と同じくらいよく分かっているはずよ
Un amour comme le notre, il n'en existe pas deux
Ce n'est pas celui des autres, c'est quelque chose de mieux
Sans me parler je sais, ce que tu veux me dire
A mon regard tu vois, tout ce que je désire
私たちの愛は、二つとないもの
それは他の人たちのとは違って、もっといいものよ
言わないで分かっているから、あなたが私に言いたいことは
私の目を見ればわかるでしょう、私の望んでいることが

Pourquoi demander aux autres, un roman plus merveilleux
Un amour comme le notre, il n'en existe pas deux
なぜほかに求めるの、より素晴らしいロマンを
私たちの愛は、二つとないものなのに
Je sais les romans c'est certain
T'emmènent dans des pays lointains
Sous des ciels bleus de clairs rivages
Oui mais là-bas qu'y trouve t-on
Des rues des taxis des maisons
Chéri méfie-toi des mirages
分かっているわ、それらの小説はきっと
青い空のもと明るい浜辺の
遠い国にあなたを連れていくのね
ええ、でもそこに何が見いだせるの
街、タクシー、家々
あなた、まぼろしに気をつけて
Tiens regarde notre intérieur
Des livres des chansons des fleurs
Et mes deux bras pour te bercer
Et mon coeur pour toujours t'aimer
ねえ私たちの家のなかを見て
本や歌や花
そしてあなたを抱く私の両腕
そしていつもあなたを愛する私の心を
Un amour comme le notre, il n'en existe pas deux
Ce n'est pas celui des autres, c'est quelque chose de mieux
Sans me parler je sais, ce que tu veux me dire
A mon regard tu vois, tout ce que je désire
私たちの愛は、二つとないもの
それは他の人たちのとは違って、もっといいものよ
言わないで分かっているから、あなたが私に言いたいことは
私の目を見ればわかるでしょう、私の望んでいることが

Pourquoi demander aux autres, un roman plus merveilleux
Un amour comme le notre, il n'en existe pas deux
なぜほかに求めるの、より素晴らしいロマンを
私たちの愛は、二つとないものなのに
[注] se recueiller「思いにふける、瞑想する」
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今回はザーズZazの「オニラ On ira」。世界一周クルーズの宣伝に使えそうな曲です。邦題は原題の読みを仮名表記しました。「行こうよ」としてもよかったかな…。
2013 年の彼女の2枚目のアルバム:Recto versoに収録されています。作詞 : オリヴィエ・ヴォロヴィッチOlivier Volovitch、ルイーズ・ベキュLouise Bécue、ケレディン・ソルタニKerredine Soltani。作曲 : トリスTryss、ケレディン・ソルタニKerredine Soltani。
On ira オニラ
Zaz ザーズ
On ira écouter Harlem au coin de Manhattan 注1
On ira rougir les thés dans les souks à Amman 注2
On ira nager dans le lit du fleuve Sénégal 注3
Et on verra brûler Bombay sous un feu de Bengale 注4
マンハッタンの片隅にハーレムの音楽を聴きに行こうよ
アマンの市場に紅いお茶を飲みに行こうよ
セネガル河の川底に泳ぎに行こうよ
そしてボンベイがベンガルの炎で燃えるのを見ようよ

On ira gratter le ciel en-dessous de Kyoto 注5
On ira sentir Rio battre au cœur de Janeiro 注6
On lèvera nos yeux sur le plafond de la chapelle Sixtine 注7
Et on lèvera nos verres dans le café Pouchkine 注8
Ahahah
京都の街に空を引っかきに行こうよ
リオがジャネイロの真ん中で鼓動するのを感じに行こうよ
システィーナ礼拝堂の天井画を見上げようよ
そしてカフェ・プーシュキンで盃を挙げようよ
あははー
Oh qu'elle est belle notre chance
Aux milles couleurs de l'être humain
Mélangées de nos différences
A la croisée des destins
おお私たちに与えられるチャンスはなんて美しいの
運命の交点で
私たちの違いがミックスされた
人類の幾千もの色彩

Vous êtes les étoiles, nous sommes l'univers
Vous êtes un grain de sable, nous sommes le désert
Vous êtes milles phrases et moi je suis la plume
Oohohohohohohoh
あなた方は星、私たちは宇宙
あなた方は砂粒、私たちは砂漠
あなた方は千の言葉で私はペン
オオオオオオオ
Vous êtes l'horizon et nous sommes la mer
Vous êtes les saisons et nous sommes la Terre
Vous êtes le rivage et moi je suis l'écume
Oohohohohohohoh
あなた方は水平線で私たちは海
あなた方は四季で私たちは地球
あなた方は浜辺で私は海の泡
オオオオオオオ

On dira que les poètes n'ont pas de drapeaux
On fera des jours fêtes quand on a deux héros
On saura que les enfants, sont les gardiens de l'âme
Et qu'il y a des Reines autant qu'il y a de femmes
詩人たちは旗印を掲げないと私たちは言うでしょう
英雄が二人いれば私たちは祝祭日を設けるでしょう
私たちは知るでしょう、子どもたちは魂の守り神なのだと
そして女性がいるかぎり女王がいるのだと
On dira que les rencontres font les plus beaux voyages
On verra qu'on ne mérite que ce qui se partage
On entendra chanter des musiques d'ailleurs
Et l'on saura donner, ce qu'on a de meilleur
出会いがもっとも美しい旅となるのだと私たちは言うでしょう
分け合ったものしか価値がないのだと私たちは知るでしょう
他国のミュージシャンが歌うのを私たちは聴くでしょう
そして差し出すことを知るでしょう、自分が持っている最上のものを

Oh qu'elle est belle notre chance
Aux milles couleurs de l'être humain
Mélangées de nos différences
A la croisée des destins
おお私たちに与えられるチャンスはなんて美しいの
運命の交点で
私たちの違いがミックスされた
人類の幾千もの色彩
Vous êtes les étoiles, nous sommes l'univers
Vous êtes un grain de sable, nous sommes le désert
Vous êtes milles pages et moi je suis la plume
Oohohohohohohoh
あなた方は星、私たちは宇宙
あなた方は砂粒、私たちは砂漠
あなた方は幾千ものページで私はペン
オオオオオオオ

Vous êtes l'horizon et nous sommes la mer
Vous êtes les saisons et nous sommes la Terre
Vous êtes le rivage et moi je suis l'écume
Oohohohohohohoh
あなた方は水平線で私たちは海
あなた方は四季で私たちは地球
あなた方は浜辺で私は海の泡
オオオオオオオ
Vous êtes les étoiles, nous sommes l'univers
Vous êtes un grain de sable, nous sommes le désert
Vous êtes milles phrases et moi je suis la plume
Oohohohohohohoh
あなた方は星、私たちは宇宙
あなた方は砂粒、私たちは砂漠
あなた方は幾千もの言葉で私はペン
オオオオオオオ

Vous êtes l'horizon et nous sommes la mer
Vous êtes les saisons et nous sommes la Terre
Vous êtes le rivage et moi je suis l'écume
Oohohohohohohoh
あなた方は水平線で私たちは海
あなた方は四季で私たちは地球
あなた方は浜辺で私は海の泡
オオオオオオオ
[注]
1 Harlem「ハーレム」ニューヨーク市マンハッタン区Manhattan北部アフリカ系アメリカ人の文化の中心地。ポピュラー音楽の殿堂アポロ・シアターApollo Theatreやゴスペルが歌われる教会やジャズクラブがあり、路上でもジャズやソウル、ヒップポップ等さまざまな音楽が演奏される。
2 Amman「アマン」
3 Sénégal「セネガル川」アフリカ西部を流れる河川で、流域はギニア、マリ、モーリタニア、セネガルにおよぶ。
4 Bombay「ボンベイ」インドの西海岸に面するインド最大の都市。現地語での名称はMumbai「ムンバイ」。Bengale「ベンガル地方」南アジア北東部の地域で今日ではインドとバングラデシュによって分断されている。
5 Kyoto「京都」gratter le ciel 「空を削り取る」というのは、京の夏の夜空を焦がす名物行事「五山送り火」(毎年8月16日)を想定しているようだ。
6 これはリオ・デ・ジャネイロで今まさにおこなわれているオリンピックを見越した表現かもしれない。Rioはポルトガル語で「川」の意味。Janeiroはポルトガル語で「一月」の意味。1502年にポルトガル人探検家ガスパール・デ・レモスたちがグアナバラ湾の湾口であるこの地に到達。グアナバラ湾は湾口が狭まっているため大きな川であると誤認し、発見した月に因みリオ・デ・ジャネイロRio de Janeiro「一月の川」と命名した。原義を活かすと「川が一月のさなかに鼓動する」となる。
7 la chapelle Sixtine「システィーナ礼拝堂」バチカンに所在。ミケランジェロが描いた天井画「最後の審判」で知られる。
8 le café Pouchkine「カフェ・プーシュキン」ロシアの詩人プーシュキンの名を店名としたモスクワのカフェ。ジルベール・ベコー Gilbert Bécaudの「ナタリーNathalie」の歌詞で、フランス語圏で知られるようになった。パリのオペラ座にも同系列のカフェがある。

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今回はフランソワーズ・アルディFrançoise Hardyの「月影でÀ l'ombre de la lune」というとてもきれいな曲。バンジャマン・ビオレBenjamin Biolayが作詞・作曲し、アルディの息子のトマ・デュトロンThomas Dutroncが制作に参加しています。
2004年のアルバム:Tant de belles choses:に収録されています。このアルバムのタイトルトラック「たくさんのすてきなことTant de belles choses」は先にご紹介いたしました。。
À l'ombre de la lune 月影で
Françoise Hardy フランソワーズ・アルディ
À l´ombre de la lune
Comble d´infortune 注1
J´ai tissé le fil qui nous défait
Dans les langueurs marines
Des marées salines
J´ai gâché le grand amour, le vrai
月影で
不幸のどん底で
わたしたちを引き離した糸を織る
塩を含む波の打ち寄せる
海の憂いのなかで
わたしは大きな愛をだめにした、本当の愛を。

{Refrain:}
Car l´unique inoubliable
Amour est si friable
Il se délite au vent
Rien ne sera jamais plus comme avant
Comme avant
ただひとつの忘れられない
愛はとても脆いから
風ではがれてしまう
もう何ひとつ元通りにならない
元通りには
À l´ombre de la lune
Je comble mes lacunes 注2
Je bats la campagne 注3
À grand regret
月影で
わたしはこころの溝を埋め
想いを巡らせる
おおいに悔やみつつ

Dans les vapeurs soudaines 注4
De ces soirées mondaines 注5
J´ai gâché le grand amour, le vrai
こうした夜会で
突然に逆上せて
わたしは大きな愛をだめにした、本当の愛を。
{au Refrain}
Comme avant
元通りには
{au Refrain}
[注] 詩的な言葉遣いなので捉えにくく直訳しにくいため、適宜意訳した。
1 combleは名詞としては「絶頂、極み」の意味で、comble d´infortuneは「不幸のどん底」の意味だが、ここではcombleは形容詞として「私」の状態を「不幸でいっぱい」だと表現している。
2 battre la campagne「田野を歩き回る、さまよう、とりとめのないことを考える」
3 1節目と異なり、動詞のcomblerを用いている。combler une lacune「欠落を埋める」。
4 vapeur本来は「蒸気」だが、複数形で「頭の働きを鈍らせるもの」「気ふさぎ、いらいら、のぼせ」などを意味する。les vapeurs du vin「酔い」、les vapeurs de la colère「いらいら」など。
5 soirée mondaine「社交パーティ」
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「月に聞いたJ'ai demandé à la lune」は、ロック・グループMickey 3Dのリーダーでシンガー・ソングライターのMickael Furnonが作った曲ですが、1981年に結成されたロック・グループ、アンドシーヌIndochineが歌って、2002年のアルバムParadizeに収録され、そののちシングル・リリースされて大ヒット曲となりました。ヴォーカルのニコラ・シルキスNicola Sirkis(ギター、シンセサイザー、ハーモニカもこなします)ほか当時6人のメンバーが、ギター、ベース、打楽器、鍵盤楽器を演奏。8歳の女の子が最後の節のコーラスに加わっているのが効果的です。

この曲のビデオ・クリップはたいへん評判になりました。シルキスに抱かれている赤ん坊が成長していき、最後は歌っている8歳の女の子になります。
J'ai demandé à la lune 月に聞いた
Indochine アンドシーヌ
J’ai demandé à la lune
Et le soleil ne le sait pas
Je lui ai montré mes brûlures
Et la lune s’est moquée de moi
Et comme le ciel n’avait pas fière allure
Et que je ne guérissais pas
Je me suis dit quelle infortune
Et la lune s’est moquée de moi
僕は月に聞いた
太陽の知らないことだ
僕は月に自分の火傷を見せた
すると月は僕をあざけった
そして空は威厳がなく
おまけに僕は癒されなかったので
なんたる不運かと僕は思った
そして月は僕をあざけった

J’ai demandé à la lune
Si tu voulais encore de moi
Elle m’a dit "j’ai pas l’habitude
De m’occuper des cas comme ça"
Et toi et moi
On était tellement sûr
Et on se disait quelques fois
Que c’était juste une aventure
Et que ça ne durerait pas
僕は月に聞いた
君がまだ僕を望んでいるのかと
月は僕に言った「私は
そんなことにかかずらう習慣は持っていないわ」と
そして君と僕
二人は非常に確信した
そして何度か言い合った
これはただの一時的な恋だ
そして続きはしないだろうと
Je n’ai pas grand chose à te dire
Et pas grand chose pour te faire rire
Car j’imagine toujours le pire
Et le meilleur me fait souffrir
僕は君に言えるような大したことは持っていない
また君を笑わすような大したことも
だって僕はいつも最悪のことを想像し
そして最良のものは僕を辛い気持ちにさせるから

J’ai demandé à la lune
Si tu voulais encore de moi
Elle m’a dit "j’ai pas l’habitude
De m’occuper des cas comme ça"
Et toi et moi
On était tellement sûr
Et on se disait quelques fois
Que c’était juste une aventure
Et que ça ne durerait pas
僕は月に聞いた
君がまだ僕を望んでいるのかと
月は僕に言った「私は
そんなことにかかずらう習慣は持っていないわ」と
そして君と僕
二人は非常に確信した
そして何度か言い合った
これはただの一時的な恋だ
そして続きはしないだろうと
[注] avoire fière allure「威厳がある、堂々としている」
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今回はバルバラBarbaraの「マリエンバードMarienbad」です。 1973年のアルバム:La Louveに収録されています。このアルバムの曲はすべて、作詞:フランソワ・ウェルテメール( ドイツ語読みはウェルトハイマー)François Wertheimer、作曲:バルバラBarbara。
Marienbadはドイツ語の地名(ドイツ語ではマリエンバート、フランス語ではマリエンバードと読む)で、チェコ語でマリアーンスケー・ラーズニェMarianske Lazneといい、プラハの西方、ドイツ寄りにある温泉療養地。
マリーエンバードというと、アラン・レネAlain Resnais監督の映画「去年、マリエンバートでL'Année dernière à Marienbad」がまず思い出されます。この映画は、1961年公開のフランス・イタリア合作映画で、脚本はアラン・ロブ=グリエAlain Robbe-Grillet。その題名は、ゲーテJohann Wolfgang von Goetheの恋愛詩「マリエンバート悲歌Marienbader Elegie」に由来するといわれます。また、この詩は、80歳のゲーテがある女性に恋をして失恋したことから生まれたそうです。
バルバラのこの曲はとても不思議な言葉が連なった歌詞ですが、レネの映画やゲーテの詩を意識して作ったような気もします。
Marienbad マリエンバード
Barbara バルバラ
Sur le grand bassin du château de l´idole,
Un grand cygne noir portant rubis au col,
Dessinait sur l´eau de folles arabesques,
Les gargouilles pleuraient de leurs rires grotesques, 注1
Un Apollon solaire de porphyre et d´ébène,
Attendait Pygmalion, assis au pied d´un chêne,
偶像の城の大きな池で、
首にルビーを付けた大きな黒鳥が、
水の上に途方もないアラベスクを描いていた
ガーゴイルたちは自分たちのグロテスクな笑いを嘆いていた、
斑岩と黒檀の太陽神アポロンは、
ピュグマリオンを待っていた、楢の木の根元に座って、

Je me souviens de vous,
Et de vos yeux de jade,
Là-bas, à Marienbad,
Là-bas, à Marienbad,
Mais où donc êtes-vous?
Où sont vos yeux de jade,
Si loin de Marienbad,
Si loin de Marienbad,
あなたを想い出すわ、
あなたの翡翠の眼を、
かの地で、マリエンバードで、
かの地で、マリエンバードで、
けれどあなたはいったいどこにいるの?
翡翠の眼はどこに、
マリエンバードからとても遠く離れて、
マリエンバードからとても遠く離れて
Je portais, en ces temps, l´étole d´engoulevent,
Qui chantait au soleil et dansaient dans les temps, 注2
Vous aviez les allures d´un dieu de lune inca,
En ces fièvres, en ces lieux, en ces époques-là,
Et moi, pauvre vestale, au vent de vos envies, 注3
Au cœur de vos dédales, je n´étais qu´Ophélie,
私は、あの頃、夜鷹のストールをまとっていた、
夜鷹は太陽に向かって歌いずっと踊っていた、
あなたはインカの月の神のようだった、
あの熱気のなかで、あの場所で、あの時代に、
そして哀れな巫女である私は、あなたの欲望の風上に置かれ、
あなたの迷路の真ん中にいて、ただのオフェーリアにすぎなかった
Je me souviens de vous,
Du temps de ces aubades, 注4
Là-bas, à Marienbad,
Là-bas, à Marienbad,
Mais où donc êtes-vous?
Vous chantez vos aubades,
Si loin de Marienbad,
Bien loin de Marienbad,
あなたを想い出す、
あのオーバードを聴いた頃を思い出す、
かの地で、マリエンバードで、
かの地で、マリエンバードで、
けれどあなたはいったいどこにいるの?
あなたはオーバードを歌う
マリエンバードからとても遠く離れて、
マリエンバードからずっと遠く離れて

C´était un grand château, au parc lourd et sombre,
Tout propice aux esprits qui habitent les ombres,
Et les sorciers, je crois, y battaient leur sabbat, 注5
Quels curieux sacrifices, en ces temps-là,
J´étais un peu sauvage, tu me voulais câline,
J´étais un peu sorcière, tu voulais Mélusine, 注6
それは大きな城だった、重苦しく暗い庭園のある、
日陰に宿る精神にはまったく好都合な、
そして魔法使いたちが、きっと、そこでサバトの宴を開いたのよ、
どんな奇妙な生贄があったんでしょう、その時代には、
私はちょっと残酷だった、あなたは私が可愛いことをお望みだったわね、
私はちょっとした魔女だった、あなたはメリュジーヌをお望みだったわね、
Je me souviens de toi
De tes soupirs malades,
Là-bas, à Marienbad,
A Marienbad,
Mais où donc êtes-vous?
Où sont vos yeux de jade,
Si loin de Marienbad,
Bien loin de Marienbad,
あなたを想い出す、
あなたのけだるいため息を
かの地で、マリエンバードで、
マリエンバードで、
けれどあなたはいったいどこにいるの?
あなたの翡翠の眼はどこにあるの
マリエンバードからとても遠く離れて、
マリエンバードからずっと遠く離れて
Mais si vous m´appeliez, un de ces temps prochains,
Pour parler un instant aux croix de nos chemins,
J´ai changé, sachez-le, mais je suis comme avant,
Comme me font, me laissent, et me défont les temps, 注7
J´ai gardé près de moi l´étole d´engoulevent,
Les grands gants de soie noire et l´anneau de diamant,
けれどもしもあなたが私を呼んでくれたら、近いうちに、
私たちの道が交わる時に話をするために、
私は変わったわ、分かってよ、でも私は以前のとおり、
時が私に為し、私にさせ、私にやめさせたとおりよ、
私は手元に取ってあるわ、夜鷹のストールを、
大きな絹の黒手袋とダイアモンドの指輪を、

Je serai à votre heure,
Au grand château de jade,
Au cœur de vos dédales,
Là-bas à Marienbad,
Nous danserons encore
Dans ces folles parades,
L´œil dans tes yeux de jade,
Là-bas, à Marienbad,
私はあなたの時間に合わせるわ
翡翠の大きな城で、
あなたの迷路の真ん中で、
かの地で、マリエンバードで、
また踊りましょう
あの狂ったパレードのなかで、
あなたの翡翠の眼を見つめながら
かの地で、マリエンバードで、
Avec tes yeux de jade,
Nous danserons encore,
Là-bas, à Marienbad,
Là-bas, à Marienbad,
Mais me reviendras-tu?
Au grand château de jade,
A Marienbad...
あなたの翡翠の眼といっしょに
また踊りましょう、
かの地で、マリエンバードで、
かの地で、マリエンバードで、
けれどあなたは私のもとに帰ってくるの?
大きな翡翠の城に、
マリエンバードの…
[注]
1 gargouille「ガーゴイル」ゴシック建築で怪獣などをかたどった雨水の吐水口。
2 quiの先行詞はengoulevent以外に考えられないが、それをストールにしてまとうことで、自分がengouleventになっていると推測される。
3 au vent de「…の風上に」いるということは、餌食として狙われていることを意味する。
4 aubade「表敬のため人の家の前や窓の下で夜明け、午前中におこなう音楽」。ここでは、夕べに男性が女性に恋する気持ちを伝えるために歌い奏でるセレナーデと同義のようだ。
5 sabbat「安息日」の意味もあるが、ここでは「魔女たちの集会」。ここでは不思議なことにbattreという動詞を使っているが。
6 Mélusine「メリュジーヌ」ケルト神話の美女で下半身が蛇。
7 この行の動詞は、すべて主語がles tempsで倒置されている。
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ヴィリアム・シェレール(ウィリアム・シェラー)William Sheller は作曲・編曲をこなし、一時、バルバラBarbaraの家に滞在してアルバムの編曲を手伝っていたこともあり、バルバラと深いつながりのある歌手です。
今回取り上げる「しあわせな男Un homme heureux」は1991年のアルバム:Sheller en solitaireの中の1曲で、自作でピアノの弾き語りです。 翌1992年にヴィクトワール賞Victoires de la musiqueを受賞しました。
Un homme heureux しあわせな男
William Sheller ヴィリアム・シェレール
Pourquoi les gens qui s'aiment
Sont-ils toujours un peu les mêmes?
Ils ont quand ils s'en viennent
Le même regard d'un seul désir pour deux
Ce sont des gens heureux
なぜ愛し合う人たちは
つねにどこか似ているのだろう?
彼らはやって来たとき
二人のためのただひとつの望みを抱く同じ目つきをしている
しあわせな人々だ

Pourquoi les gens qui s'aiment
Sont-ils toujours un peu les mêmes?
Quand ils ont leurs problèmes
Ben y a rien à dire
Y a rien à faire pour eux
Ce sont des gens qui s'aiment
なぜ愛し合う人たちは
つねにどこか似ているのだろう?
彼らが問題を抱えたときに
まぁ彼らのために言うことはなんにもないし
してやることもなんにもない
愛し合う人たちなんだ
Et moi j'te connais à peine
Mais ce s'rait une veine 注1
Qu'on s'en aille un peu comme eux
On pourrait se faire sans qu'ça gêne
De la place pour deux
Mais si ça n'vaut pas la peine 注2
Que j'y revienne 注3
Il faut me l'dire au fond des yeux
Quel que soit le temps que ça prenne
Quel que soit l'enjeu
Je veux être un homme heureux
僕はね 君のことをあまり知らない
だが 幸運なことだ
僕たちがちょっと彼らみたいになるのはね
僕たちは気が引けることなく
二人のための場所を持つことができる
だが僕が戻って来るには及ばないというのなら
目の奥でそう僕に言うべきだ
それがどれだけ時を必要としようと
何を賭けることになろうと
僕は幸せな男になりたい

Pourquoi les gens qui s'aiment
Sont-ils toujours un peu rebelles?
Ils ont un monde à eux
Que rien n'oblige à ressembler à ceux
Qu'on nous donne en modèle
なぜ愛し合う人たちは
いつもちょっと反逆的なんだろうか?
彼らは自分たちの世界を持っている
ひとが自分たちにモデルとして与えたものに
類似させるように強いることは何もないんだ
Pourquoi les gens qui s'aiment
Sont-ils toujours un peu cruels?
Quand ils vous parlent d'eux
Y a quelque chose qui vous éloigne un peu
Ce sont des choses humaines
なぜ愛し合う人たちは
いつもちょっと冷酷なんだろうか?
彼らがひとに自分たちのことを話すとき
ひとをちょっと遠ざけるような何かがある
それは人間らしいものだ

Et moi j'te connais à peine
Mais ce s'rait une veine
Qu'on s'en aille un peu comme eux
On pourrait se faire sans qu'ça gêne
De la place pour deux
Mais si ça n'vaut pas la peine
Que j'y revienne
Il faut me l'dire au fond des yeux
Quel que soit le temps que ça prenne
Quel que soit l'enjeu
Je veux être un homme heureux
Je veux être un homme heureux
Je veux être un homme heureux
僕はね 僕は君のことをあまり知らない
だが 幸運なことだ
僕たちがちょっと彼らみたいに始めるのは
僕たちは気が引けずに
場所を二人のために用意することができる
だが僕が戻って来るには及ばないというのなら
目の奥でそう僕に言うべきだ
それがどれだけ時を必要としようと
何を賭けることになろうと
僕は幸せな男になりたい
僕は幸せな男になりたい
僕は幸せな男になりたい
[注]
1 veine「静脈」のほかに「運、つき」という意味がある。
2 valoir la peine de+inf.「…するに値する」
3 y revenir「元に戻る」「繰り返す」
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ジュリアン・クレールJulien Clercのタンゴ調のちょっと変わった曲「火山の心臓Le cœur volcan」をご紹介しましょう。
彼が若くて長髪の頃の姿が見られる動画です。上のジャケットの写真はもう少し後年のもの。
カナダの女性歌手イザベル・ブーレイIsabelle Boulayが歌っている動画です。前奏がとても長いですが、待っているとちゃんと歌が始まります。
Le cœur volcan 火山の心臓
Julien Clerc ジュリアン・クレール
Comme un volcan devenu vieux
Mon cœur bat lentement la chamade 注1
La lave tiède de tes yeux
Coule dans mes veines malades
Je pense si souvent à toi
Que ma raison en chavire
Comme feraient des barques bleues
Et même les grands navires
年老いた火山のように
僕の心臓がゆっくりと打つ
君のまなざしのなまぬるい溶岩が
僕の病んだ静脈を流れ下る
君のことをあまりに頻繁に思って
僕の理性は揺らぐ
青い小舟が
また大きな船が揺れるように

J'ai la raison arraisonnée 注2
Dans un port désert dérisoire
Toute ma vie s'est arrêtée
Comme s'arrêterait l'Histoire (x2) 注3
僕は理性を臨検される
人気のないちっぽけな港に繋留されて
僕の生はすべて停止した
歴史が停止するみたいに
Comme une légende qui s'éteint
Comme un grand peuple en décadence 注4
Comme une chanson qui se meurt
Comme la fin de l'espérance
Mon cœur volcan devenu vieux 注5
Bat lentement la chamade
La lave tiède de tes yeux
Coule dans mes veines malades
死に絶える伝説のように
帝国衰退期の民衆のように
消え去る歌のように
希望の終焉のように
年老いた火山の僕の心臓は
ゆっくりと打つ
君のまなざしのなまぬるい溶岩が
僕の病んだ静脈を流れる

Comme une armée de vaincus
L'ensemble sombre de mes gestes
Fait un vaisseau du temps perdu
Dans la mer morte qui me reste 注6
Mon cœur volcan devenu vieux
Bat lentement la chamade
La lave tiède de tes yeux
Coule dans mes veines malades (x2)
敗北した軍隊のように
僕の身ぶりの陰気な総体は
僕に残された死んだ海に浮かぶ
失われた時代の船となる
年老いた火山の僕の心臓は
ゆっくりと打つ
君のまなざしのなまぬるい溶岩が
僕の病んだ静脈を流れ下る
[注]
1 battre la chamade「(心臓が)早鐘のように打つ」。したがってcœurは、題名ともに「心」ではなく「心臓」。ここではlentementとあるので「ゆっくり打つ」。
2 arraisonner「(船舶を)立ち入り検査する、臨検する」。avoir la raison arraisonnée「臨検された理性を持つ」→「理性を臨検される」。すなわち、「船=理性が、立ち入り検査のために足止めされる」という意味だろう。
3 Histoireは大文字にされているし、「物語」ではなく「歴史」だと解釈した。
4 décadenceここでは、「(19世紀末の)デカダンス」ではなく、「(特にローマ帝国の)衰退」。
5 mon cœur とvolcanは同格。
6 非人称表現の、il reste qc/qn à qn「…に…が残っている」と同様の表現。
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先に取り上げた「ペルランパンパンPerlimpinpin」、「春Printemps」と同じアルバムに入っているバルバラBarbaraの曲をまたもう一つご紹介しましょう。アルバムのタイトルとされているAmours incestueusesです。incestueux(se)とは「近親相姦の」という意味で、母親の息子への恋心を歌っています。日本版の邦題は「不倫」とされていますが、内容に近づけるため私は「禁断の恋」としました。 そういえば、セルジュ・ゲンズブールSerge Gainzbourgが娘のシャルロット・ゲンズブールCharlotte Gainsbourgと歌っている「レモン・インセストLemon incest」は父親と娘との関係。
特殊なテーマを題材にしたということでは注目したい曲ですが、私にはちょっと受け入れがたく思えます。総じてバルバラの曲は、彼女の実体験や実際に感じたことが背景にあるようで、とても心に響くものをもっていますが、この曲にはそれが感じられず、絵空事のように思えるのです。いえ、これは私の個人的な見方に過ぎません。皆さん、それぞれご自身の感覚で受け止めてください。
Amours incestueuses 禁断の恋
Barbara バルバラ
Mon amour, mon beau, mon roi,
Mon enfant que j´aime,
Mon amour, mon beau, ma loi,
Mon autre moi-même,
Tu es le soleil couchant
Tombé sur la terre,
Tu es mon dernier printemps.
Mon dieu, comme je t´aime. 注1
私の愛しい人、私の美しい人、私の王よ、
私の愛するわが子よ、
私の愛しい人、私の美しい人、私の王よ、
もう一人の私自身、
あなたは 大地に沈んだ
夕陽、
あなたは私の最後の春。
ああ、なんとあなたを愛していることか。
J´avais déjà fait ma route.
Je marchais vers le silence
Avec une belle insolence.
Je ne voulais plus personne.
J´avançais dans un automne,
Mon dernier automne, peut-être.
Je ne désirais plus rien
Mais, comme un miracle,
Tu surgis dans la lumière
私はすでに道程を終えていた。
私は静寂に向かって歩んでいた
いたって尊大に。
私はもう誰も必要としていなかった。
私は秋を生きていた、
私の最後の秋を、たぶん。
私はもう何も望んでいなかった
だが、奇跡のように、
あなたが光のなかに現れた
Et toi, mon amour, mon roi,
Brisant mes frontières,
Et toi, mon soleil couchant,
Mon ciel et ma terre,
Tu m´as donné tes vingt ans
Du cœur de toi-même.
Tu es mon dernier printemps.
Mon dieu, comme je t´aime.
そしてあなたは、私の愛しい人、私の王よ、
私の境界を破って、
そしてあなた、私の夕日、
私の空、また私の大地よ、
あなたは私にあなたの二十歳の若さをくれた
あなた自身の誠心誠意をもって。
あなたは私の最後の春。
ああ、なんとあなたを愛していることか。

J´ai toujours pensé
Que les amours les plus belles
Etaient les amours incestueuses.
Il y avait, dans ton regard,
Il y avait, dans ton regard
Une lumineuse tendresse.
Tu voulais vivre avec moi
Les plus belles amours,
Les amours les plus belles.
私はずっと思っていた
もっとも美しい愛は
近親間の愛だと。
あなたの瞳には、
あなたの瞳には
優しい光があった。
あなたは私と生きることを望んでいた
もっとも美しい愛を、
もっとも美しい愛を。
J´ai réouvert ma maison,
Grandes, mes fenêtres
Et j´ai couronné ton front,
J´ai baisé ta bouche
Et toi, mon adolescent,
Toi, ma déchirure,
Tu as couché tes vingt ans
A ma quarantaine.
私は自分の館を再び開いた、
大きく、窓を開けた
そしてあなたの額に王冠をかぶせ、
あなたの口に接吻した
そしてあなた、わたしの若者よ、
あなた、私の傷心よ、
あなたは自分の二十歳を
私の四十路にくれた。
Mais, à peine sont-elles nées
Qu´elles sont déjà condamnées,
Les amours de la désespérance.
Pour que ne ternisse jamais
Ce diamant qui nous fut donné,
J´ai brûlé notre cathédrale.
Les amours les plus belles,
Les plus belles amours
Sont les amours incestueuses.
だが、芽生えるやいなや
もう咎めを受けた、
絶望の愛。
私たちに与えられたこのダイアモンドの
輝きをけっして失わないようためにと、
私は私たちの聖堂を燃やした。
愛としてもっとも美しいのは、
もっとも美しい愛は、
近親間の愛。
Adieu mon amour, mon roi,
Mon enfant que j´aime.
Plus tard, tu le comprendras.
Il faut, quand on aime,
Partir au plus beau, je crois 注2
Et cacher sa peine.
Mon amour, mon enfant roi,
Je pars et je t´aime.
さようなら私の愛しい人、私の王、
私の愛する子よ。
もっと後に、あなたは理解するわ。
ひとが愛するときには、
一番いいところで去らなければ、そうよ
そして自分の辛さを隠さなければならないのよ。
私の愛しい人、私の幼い王よ、
私は去るわ そしてあなたを愛しているわ。

Ceci est ma vérité,
Du cœur de moi-même...
これが私の真実、
私自身の誠心誠意の…
[注]
1 mon dieu「おお、ああ」といった間投詞ととらえた。mon amour, mon roiなどと呼んでいる部分と分離しているので。
2 au plus beau (de qc.)「(…の)いちばん大事な(面白い)ところで」
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以前、ヒット曲「学校は終わったL'école est finie」をご紹介したシェイラSheilaは、一度引退して復帰しましたが、現在も活動を続けています。
今回は1975年に歌った「いのち尽きるまでに愛すAimer avant de mourir」という美しい曲です。
Aimer avant de mourir いのち尽きるまでに愛す
Sheila シェイラ
S’envoler
Et ne plus penser
Faire de la poésie
Sans jamais s’arrêter
飛び立つこと
そしてもう考えないこと
詩を創ること
けっして休むことなく
Rester seul
Dans l’immensité
Qui te donne
La sérénité
無辺の広がりのなかに
ひとりでいること
それはあなたに
平穏をもたらす

Quand tu as fait le vide
Au fond de toi
Tu peux donner
Un sens à ta vie
あなたがすっかり
心を空にしたなら
あなたは自分の人生に
意味を与えることができる
Alors tu sais que la vérité
C’est d’aimer avant de mourir
そのときあなたは気づく 大切なことは
いのちの尽きるまでに愛することだと
Na, na, na, na, na, na, na, na
ナ、ナ、ナ、ナ、ナ、ナ、ナ、ナ、
C’est d’aimer avant de mourir
いのち尽きるまでに愛すること
Alors tu sais
Que pour exister
Il faut aimer avant de mourir
そのときあなたは知るだろう
存在するためには
いのちの尽きるまでに愛さなければならないと

Alors tu sais que la vérité
C’est d’aimer avant de mourir
そのときあなたは知るだろう 真実とは
いのち尽きるまでに愛すことだと
Alors tu sais que la vérité
C’est d’aimer avant de mourir.
そのときあなたは知るだろう 真実とは
いのち尽きるまでに愛すことだと
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「ネイチャー・ボーイNature boy」という英語の曲は、ブルックリン出身のエデン・アーベEden Ahbezが1947年に作りました。エデンは、ネイチャー・ボーイ(自然児)を地で行く、ヒッピーの先駆者とも言われる人物でした。
ハーマン・ヤブラコフHerman Yablokoffという人が自分の歌を真似たものだと訴え、エデンは最初否定していましたが、最終的には非を認め示談金を支払ったそうです。また、この曲の最初の部分は、ドヴォルザークのピアノ五重奏イ長調第2番作品81第2楽章とメロディーが類似していると言われますが、エデンが真似たのか偶然の類似なのか不明なようです。しかし、聴いてみるとたしかに似ています。この曲およびエデンに関しては、ブログAudio-Visual Triviaに詳しく解説されていますので参照ください。
1948年にナット・キング・コールNat King Coleが歌ってレコーディングし、一躍有名になった後、多くのミュージシャンが歌い、また演奏し、ジャズのスタンダード・ナンバーとなりました。私はかつて、スタン・ゲッツStan Getzやアート・ペッパーArt Pepperのサックス演奏をよく聴いていました。
2001年のミュージカル映画「ムーランルージュMoulin Rouge」でもこの曲が用いられています。
フランス語の歌詞(作詞:Louis Hennevé & Louis Palex)で、シュジィ・ソリドールSuzy Solidor(1900-1983)が最初に1948年に歌いました。彼女は同性間の恋を多く歌った風変わりな歌手だったとか。
このブログでは、ジャクリーヌ・フランソワJacqueline Françoisの歌としてご紹介しましょう。
ジョルジュ・ブランメルGeorge Brummell
リュシエンヌ・ドリールLucienne Delyleも歌っていますが、動画はみつかりません。
Etrange garçon(Nature boy) ネイチャー・ボーイ
Jacqueline François ジャクリーヌ・フランソワ
Un grand garçon
Aux yeux de charme et de mystère 注1
Et qui dit-on venait de loin 注2
De très loin
D'au-delà des mers
背の高い男の子
魅力的で神秘的な目をしていて
遠くから来たようだった
とっても遠くから
海の向こうから
Son beau regard
Etrange et doux
Semblait connaître tout
その美しい瞳は
不思議で優しくて
すべてを知り尽くしているようだった

Puis un matin
Il a passé sur mon chemin
Il m'a parlé de roi de fous
Et de l'eau
Puis il dit soudain
彼は私と出会った
彼は私に、王について気狂いについて
水について話した
そして突然言った
La vérité 注2
Depuis toujours
C'est d'être aimé
Et d'aimer en retour.(×2) 注3
大事なことは
いつも
愛されること
そしてお返しに愛することだと。
[注] 第3節の歌詞が、各歌詞サイトでは、Puis vers la mer / Il disparut dans les flots verts / Et j'entendis encore de loin / De très loin / L'écho de sa voix となっているが、ジャクリーヌ・フランソワおよびシュジー・ソリドールの歌を聞き取って直した。シュジーの歌にはまだ続きがある。
1 grandには多様な意味があり、名詞の前につく場合と後につく場合で意味の変わることがある。辞書では、grand garçonは「背の高い少年」「一人前の男の子」の両義が示されているが、前者を選んだ。
2 dit-on「ということだ」挿入句として用いられる。
3 La vérité, c’est…「本当のところは…なのだ」
4 en retour「その代わりに、お返しに」

原曲の動画と歌詞の邦訳を加えます。
エデン・アーベ
ナット・キング・コール
セリーヌ・ディオンCeline Dion
ネイチャー・ボーイ
一人の少年がいた
とても風変わりで 魅力的な少年だ
旅して来たのだのだそうだ
とても遠いところを、陸や海を越えて
彼はちょっとはにかみ屋で目に憂いを湛えていた
けれどとても聡明だった
そしてある日、
ある不思議な日に 彼は僕と行きあった
その間、二人は多くのことを話した
愚か者たちや王たちのことを
彼は僕にこう言った
君が学ぶべき一番重要なことは
人を愛すことそしてお返しに人から愛されることだと
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シャルル・アズナブールCharles Aznavourの「悲しみのヴェニスQue c'est triste Venise」(1964年)。ヴェニスは美しい街、特に恋人たちにとっては最高にステキな街です。でも恋が終ったとき、その美しさは反転して悲しい街に変わります。いい歌です。
Live 1972
Live 2004
Que c'est triste Venise 悲しみのヴェニス
Charles Aznavour シャルル・アズナブール
Que c'est triste Venise
Au temps des amours mortes
Que c'est triste Venise
Quand on ne s'aime plus
ヴェニスは何と悲しい街か
恋が終わった時
ヴェニスは何と悲しい街か
僕たちがもう愛し合わなくなった時
On cherche encore des mots
Mais l'ennui les emporte
On voudrais bien pleurer
Mais on ne le peut plus
交わす言葉を見つけようとて
倦怠が奪い去ってしまう
泣きたいと思うけれど
もう泣けやしない
Que c'est triste Venise
Lorsque les barcarolles
Ne viennent souligner
Que des silences creux
ヴェニスは何と悲しい街か
舟歌が
うつろな沈黙しか
際立たせなくなる時

Et que le cœur se serre
En voyant les gondoles
Abriter le bonheur
Des couples amoureux
なんと胸が締め付けらることか
愛し合う恋人たちの
しあわせを守る
ゴンドラを眺めて
Que c'est triste Venise
Au temps des amours mortes
Que c'est triste Venise
Quand on ne s'aime plus
ヴェニスは何と悲しい街か
恋が終わった時
ヴェニスは何と悲しい街か
僕たちがもう愛し合わなくなった時

Les musées, les églises
Ouvrent en vain leurs portes
Inutile beauté
Devant nos yeux déçus
美術館、教会は
扉を開いているが空しいこと
僕たちの落ち込んだ目には
無用の美だ
Que c'est triste Venise
Le soir sur la lagune
Quand on cherche une main 注1
Que l'on ne vous tend pas
ヴェニスは何と悲しい街か
夕暮れの干潟で
救いの手を求めど
差し伸べられはしない

Et que l'on ironise
Devant le clair de lune
Pour tenter d'oublier
Ce qu'on ne se dit pas
交わされなかった言葉を
忘れようと
月の光のもとで
皮肉を並べるとは
Adieu tout les pigeons
Qui nous ont fait escorte
Adieu Pont des Soupirs 注2
Adieu rêves perdus
僕たちについてきてくれた
すべての鳩たちよさようなら
「ため息橋」よさようなら
失われた夢よさようなら

C'est trop triste Venise
Au temps des amours mortes
C'est trop triste Venise
Quand on ne s'aime plus
ヴェニスは何と悲しい街か
恋が終わった時
ヴェニスは何と悲しい街か
僕たちがもう愛し合わなくなった時
[注]
1 cherche une main secourable「救いの手を求める」の意味。このonは次行でvousとなり、次行のl'on は別人で手を差し伸べるはずの人。
Pont des Soupirs「ため息橋」はバルバラBarbaraの「リヨン駅Gare de Lyon」にも出てくる。そのページに写真を入れた。
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「幸福を売る男」というと、森園みるくの漫画のタイトルだと思う人が多いかもしれませんね。ノンノン、ここはシャンソンのブログ!「幸福を売る男Le marchand de bonheur」(作詞:Jean Broussolle作詞、作曲:Jean-Piere Calvet)は、コーラス・グループのシャンソンの友Les compagnons de la chansonが1960年に歌ってヒットした曲です。フレッド・メッラFred Mellaやダリオ・モレノDario Morenoも歌っています。
シャンソンの友
ダリオ・モレノ
Le marchand de bonheur 幸福を売る男
Les compagnons de la chanson シャンソンの友
Je suis le vagabond, le marchand de bonheur,
Je n'ai que des chansons à mettre dans les cœurs
Vous me verrez passer, chacun à votre tour,
Passer au vent léger, au moment de l'amour
僕はさすらい人、しあわせ売りさ、
心にとどける歌しか持っていない
君たちは僕が通りかかるのを見る、みんなそれぞれ、
軽やかな風に乗って通りかかるのを、愛が訪れた時に

J'ai les 4 saisons pour aller flâner
et semer des moissons de baisers
J'ai l'automne et l'hiver, le ciel et la mer
Le printemps et l'été pour chanter
僕は四季を通じて歩き回って
キッスの種を蒔くんだ
秋も冬も、空も海も
春も夏も、僕の歌のネタさ
Vous êtes des enfants qui vous donnez du mal
Du mal pour vous aimer et du mal pour pleurer
Et moi j'arrive à temps, à temps c'est bien normal
Pour aller réparer ce que vous déchirez
君たちは自分に苦労をかける子どもだ
今の自分を愛す難しさや悲しい思いをするつらさをね
だから僕はやって来るんだよそんな時に、当然ながらそんな時に
君たちを苦しめるものを治そうと
J'ai les 4 saisons pour sécher vos pleurs
et changer l'horizon de vos cœurs
J'ai l'automne et l'hiver, le ciel et la mer
Le printemps et l'été pour chanter
僕は四季を通じて君の涙を乾かし
君の気持ちをガラリと変えてあげる
秋も冬も、空も海も
春も夏も、僕の歌のネタさ

Je donne à bon marché de quoi rire de tout
De quoi rire de tout, plutôt que d'en pleurer
Je ne demande rien pour me dédommager
Que voir sur mon chemin la joie que j'ai semée
なんであれ笑えるネタを安くゆずるよ
なんであれ笑えるネタだよ、嘆くネタよりもね
振り撒いた喜びを道すがら見られればそれで
僕は報われるからお代は要らない
J'ai les 4 saisons pour sécher vos pleurs
et changer l'horizon de vos cœurs
J'ai l'automne et l'hiver, le ciel et la mer
Le printemps et l'été pour chanter
僕は四季を通じて君の涙を乾かし
君の気持ちをガラリと変えてあげる
春も夏も、僕の歌のネタさ
Je suis le vagabond, le marchand de bonheur,
Je n'ai que des chansons à mettre dans les cœurs
Vous me verrez passer, chacun à votre tour,
Passer au vent léger, au moment de l'amour
僕はさすらい人、しあわせ売りさ
心にとどける歌しか持っていない
君たちは僕が通りかかるのを見る、みんなそれぞれ、
軽やかな風に乗って通りかかるのを、愛が訪れた時に

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フレデリック・フランソワFrédéric Françoisは、1950年にイタリアのシシリー島で生まれたシンガー・ソングライターで、ベルギーに住んでいます。この名前は、ショパンに因んだのだそうです。
1963年にバンドの、ギターリスト・歌手としてデヴュー。1965年にリエージュの音楽学校に入り、ヴァイオリンを専攻し、発声法と歌唱を学びます。1966年から新しいバンドに加わっていましたが、1969年にベルギーのプロデューサーと出会って契約し、本格的なソロ活動を始めます。その後は、4つの言語で350曲を歌い、レコードの売上は35万枚。アルバムやシングルは85枚、ビデオやDVDは15枚がゴールド・ディスクとなりました。2008年に、コーチゾンの乱用により病気となり2度入院します、その後復帰し活動を再開。今年4月にニューアルバム:Les femmes sont la lumière du mondeを出し、来年4月に15回目のオランピア出演を予定しています。 ジャック・ブレルJacques Brel、サヴァトーレ・アダモSalvatore Adamoと並ぶベルギー国籍の男性人気歌手です。
取り上げるのは「サン・ミッシェルのオルガンLes orgues de Saint-Michel」という1969年の曲。当時はあまりヒットしなかったようですが、2006年のアルバム:Mes Préférencesに再録されています。
Les orgues de Saint-Michel サン=ミッシェルのオルガン
Frédéric François フレデリック・フランソワ
{Parlé : }
Les orgues de Saint-Michel ont le chant triste aujourd'hui.
Et moi, devant cet autel, je m'imagine le cœur en pluie. 注1
Demain pour moi elle sera perdue, parce que demain elle sera mariée.
Pourquoi ne m'a t-elle pas attendu?
Pourquoi a t-elle tout effacé?
サン=ミッシェルのオルガンはきょうは悲しい歌を奏でている。
そして僕は、この祭壇の前で、心が雨に濡れたみたいに感じている。
明日 僕にとって彼女は遠い人となる、なぜなら明日 彼女は結婚するから。
なぜ彼女は僕を待たなかったのか?
なぜ彼女はすべてを消してしまったのか?

Pourtant je sais qu'elle m'aime encore et quand le moment viendra,
Son cœur brisé par l'effort criera Avé Maria.
だが彼女がまだ僕を愛していることは分かっている そしてその時が来たら、
彼女の傷ついた心は必死に声を上げてアヴェ・マリアを歌うだろう
Oui le rêve est passé, et je me retrouve seul.
J'étais venue écouter les orgues de saint-Michel.
ああ 夢は過ぎ去り、僕は一人になった。
僕はかつてサン=ミッシェルのオルガンを聴きに来たものだった。
Les orgues de saint-Michel chantaient de joie quand vint le jour.
Rempli des serments éternels ou chaque mois était un souffle d'amour,
Au printemps, lorsque j'ai du partir, j'avais alors sur sa prière juré juré de me revenir comme l'oiseau après l'hiver.
Mais trois longues années ont sonné dans son cœur
La crainte de voir s'écrouler ses rêves et son seul bonheur.
(Avé Maria)
その日が来てサン=ミッシェルのオルガンは喜びの歌を歌っていた。
愛の吐息の一言一言で綴られた永遠の誓いで心は満たされ、
僕が出発しなければならなかった春、彼女の懇願にきっと帰ると強く誓ったのだった、冬が過ぎて渡り鳥が帰るように、
だが3年の月日は彼女の心に
彼女の夢と唯一の幸せが消えるのを見るんじゃないかという恐れを植え付けた。
(アヴェ マリア)

Oui le temps a passé et je me retrouve seul.
J'étais venu écouter les orgues de saint-Michel.
ああ 時が過ぎ去り 僕は僕は一人になった。
僕はかつてサン=ミッシェルのオルガンを聴きに来たものだった。
[注] Saint-Michelの名のコミューンや教会・聖堂は数多いが、フランソワはベルギー国籍なので、まずはブリュッセルBruxellesのサン・ミッシェル大聖堂Cathédrale Saints-Michel-et-Gudule だと考えるのが妥当だろう。だが、マイナーな小さな教会とした方が歌詞内容に似つかわしい。
現在形、単純未来形、複合過去形、大過去形、単純過去形、半過去形と、多くの時制を含んでいる歌詞だ。すなわち、明日起こるはずのことを思い、現状を述べ、過去を回想しているのである
1 empliとする歌詞もあるが、je m'imagine 「(自分の状態を)イメージする」の内容としてイメージ的な表現が合うと思われるし、確かにen pluieと聞こえる。。
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フランソワーズ・アルディーFrançoise Hardyが「水の輪Des ronds dans l'eau」という曲を歌っていますが、それと同じタイトルの別の曲をアンリ・サルヴァドールHenri Salvador
も歌っています。「冬の庭Jardin d'hiver」と同じく、2000年に出たアルバム「Chambre Avec Vue(サルヴァドールからの手紙)」に収録されています。
一篇の詩です。サルヴァドールといっしょに水の輪をつくったり、風や雨を肌に受けたり、風にそよぐ草を見たり、海の波の音を聞いたり…そんな気持ちで聴きたいです。
Des ronds dans l'eau 水の輪
Henri Salvador アンリ・サルヴァドール
Ça fait des siècles que j'attends
Sous le paravent
Le vent du désert m'allonger
M'allonger sous le paravent
Sous le sable blanc
Tout près de la mer à côté
それは僕が待っている時代を作る
風よけの下に
砂漠の風は僕を倒れさせる
風よけの下に倒れ込ませる
白い砂の下に
隣接した海のすぐ近くの
Un palais un palace
Pour voir le temps qui passe
Je ne suis pas sur la photo
Je suis au bord de l'eau
Être en vie n'est pas assez ni trop
宮殿や豪邸
過ぎゆく時を見るのに
私は写真には拠らない
私は水辺にいる
生きていることは十分でも過分でもない

Je sais c'est rien mais je préfère
La seule chose que je sais faire
Des ronds dans l'eau
Les herbes folles et la rivière 注1
Les plages du Finistère 注2
Et la mer
何でもないことだと知りつつ好きだ
唯一私にできること
水の輪づくり
風にそよぐ草と川
フィニステールの浜辺
そして海
Ça fait des siècles que j'entends
Les pas de passants
L'eau de la fontaine et la pluie
La pluie qui tombe sur les passants
Et sur le paravent
Tout près de la Seine à l'abri
それは私に聞こえる時代を作る
通行人の歩み
泉の水と雨
通行人の上に
そして風よけの上に降る雨
セーヌ川のすぐ近くの安全なところに
Un palais un palace
Quand on oublie, hélas
Je n'ai pas vu le temps passer
Les soleils se coucher
Être en vie n'est jamais trop ni assez
宮殿や豪邸
ひとが失念するとき、ああ
私は過ぎゆく時を見なかった
沈む太陽を
生きていることはけっして過分でも十分でもない

Je sais c'est rien mais je préfère
La seule chose que je sais faire
Des ronds dans l'eau
Les herbes folles et la rivière
Les plages du Finistère
Et la mer...
Oh...
何でもないことだと知りつつ好きだ
唯一私にできること
水の輪づくり
風にそよぐ草と川
フィニステールの浜辺
そして海…
おお…
[注]
1 herbes folles「伸び放題の草、風に揺れそよぐ草」
2 Finistèreはブルターニュ半島の尖端にある県。その名は「地の果て」を意味する。

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今回は、1975年にニノ・フェレールNino Ferrerが作った「南Le sud」です。フェレールは、「もう取り返せない(別離)C'est irreparable」「泉の傍の家La maison près de la fontaine」をすでにご紹介しています。
この曲は、当時たいへんヒットしました、歌詞にあるOn dirait le Sudというフレーズはよく使われるようになり、Ondiraitlesudという一語にもなっています。
Le sud 南
Nino Ferrer ニノ・フェレール
C´est un endroit qui ressemble à la Louisiane
À l´Italie
Il y a du linge étendu sur la terrasse
Et c´est joli
それはルイジアナに
イタリアに似たところだ
テラスに布が拡げられていて
それはすてきだ

On dirait le Sud 注
Le temps dure longtemps
Et la vie sûrement
Plus d´un million d´années
Et toujours en été.
まるで南国のようだ
ときはゆっくりと過ぎゆき
人生は安泰
百万年以上ものあいだ
そして常に夏だ。
Il y a plein d´enfants qui se roulent sur la pelouse
Il y a plein de chiens
Il y a même un chat, une tortue, des poissons rouges
Il ne manque rien
芝生に転がる大勢の子どもたち
何匹もの犬
そして猫も、カメも、金魚も
すべてそろっている

On dirait le Sud
Le temps dure longtemps
Et la vie sûrement
Plus d´un million d´années
Et toujours en été.
まるで南国のようだ
ときはゆっくりと過ぎゆき
人生は安泰
百万年以上ものあいだ
そして常に夏だ。
Un jour ou l´autre il faudra qu´il y ait la guerre
On le sait bien
On n´aime pas ça, mais on ne sait pas quoi faire
On dit c´est le destin
いつの日にかきっと戦争があるだろう
皆そのことをよく知っている
皆それが好きじゃない、けどどうしたらいいか分からない
運命みたいなものだ
Tant pis pour le Sud
C´était pourtant bien
On aurait pu vivre
Plus d´un million d´années
Et toujours en été.
南国にとっては関係がない
いいことだったさ
百万年以上ものあいだ
そして常に夏を
ひとが生きることができていたっていうのは。
[注] sud「南」がle Sudと表記される場合は「(国の)南部地域」あるいは「南半球にある地方」という二つの意味となる。le Midiと同様、「南仏」としてもいいが、歌詞中では、On dirait…「まるで…のようだ」と喩えた文脈なので「南国」とした。題名は、「南仏」のニュアンスも持たせているようなので、両方を兼ねて「南」とした。
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エリック・ラルティゴーÉric Lartigau監督の「エール!La famille Bélier」(2014年)という感動的な映画では、ミシェル・サルドゥMichel Sardouの曲が複数用いられ、特に「ジュ・ヴォルJe vole」は、主人公ポーラ役を演じるルアンヌ・エメラLouane Emeraが歌ってたいへん注目されました。1978年にサルドゥとピエール・ビヨンPierre Billonが作詞し、サルドゥが作曲した曲です。
サルドゥ
ルアンヌ・エメラ
Je vole ジュ・ヴォル
Louane Emera ルアンヌ・エメラ
Mes chers parents je pars
Je vous aime mais je pars
Vous n'aurez plus d'enfants
Ce soir
Je ne m'enfuis pas je vole
Comprenez bien je vole
Sans fumée, sans alcool
Je vole, je vole
愛しい父さんと母さん私は旅立つわ
あなたがたを愛しているけれど旅立つわ
もう父さんと母さんの子どもはいない
今夜
逃げるのじゃなく飛び立つの
分かってね飛び立つの
タバコも吸わず、お酒も飲まず
飛び立つの、飛び立つの

Elle m'observait hier
Soucieuse, troublée, ma mère
Comme si elle le sentait
En fait elle se doutait
Entendait
きのう母さんが私の様子を伺っていた
心配そうで、困惑してた、母さんは
そのことを感じていたみたい
そこで疑ったわ
尋ねたわ
J'ai dit que j'étais bien
Tout à fait l'air serein
Elle a fait comme de rien
Et mon père démuni
A souri
大丈夫よと私は言った
まったく平然とね
母さんは何もなかったことにし
手立てのない父さんは
微笑んでいた
Ne pas se retourner
S'éloigner un peu plus
Il y a à Gard une autre gare
Et enfin l'Atlantique
振り返らず
ちょっと遠ざかるだけ
ガール県に別の駅があって
それはもう大西洋なの
Mes chers parents je pars
Je vous aime mais je pars
Vous n'aurez plus d'enfants
Ce soir
Je ne m'enfuis pas je vole
Comprenez bien je vole
Sans fumée, sans alcool
Je vole, je vole
愛しい父さんと母さん私は旅立つわ
あなたがたを愛しているけれど旅立つわ
もう父さんと母さんの子どもはいない
今夜
逃げるのじゃなく飛び立つの
分かってね飛び立つの
タバコも吸わず、お酒も飲まず
飛び立つの、飛び立つの

Je me demande sur ma route
Si mes parents se doutent
Que mes larmes ont coulé
Mes promesses et l'envie d'avancer
道々考える
パパとママは思うかも
私の涙が決意と進みたい欲求を
流してしまったんじゃないかと
Seulement croire en ma vie
Voir tout ce qui m'est promis
Pourquoi, où et comment
Dans ce train qui s'éloigne
Chaque instant
自分の人生を信じるだけ
すべてが約束されていることが分かるだけ
なぜ、どこで、どうやって生きるかが
刻一刻
遠ざかっていく列車の中で
C'est bizarre cette cage
Qui me bloque la poitrine
Je ne peux plus respirer
Ça m'empêche de chanter
車内は変な感じで
胸を苦しくさせる
もう息ができなくて
歌うことができないの
Mes chers parents je pars
Je vous aime mais je pars
Vous n'avez plus d'enfants
Ce soir
Je ne m'enfuis pas je vole
Comprenez bien je vole
Sans fumée, sans alcool
Je vole
愛しい父さんと母さん私は旅立つわ
あなたがたを愛しているけれど旅立つわ
もう父さんと母さんの子どもはいない
今夜
逃げるのじゃなく飛び立つの
分かってね飛び立つの
タバコも吸わず、お酒も飲まず
飛び立つの、飛び立つの
Lalalala
Lalalala
Lalalala
ララララ
…

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シャルル・アズナヴールCharles Aznavour は、60年代に、過去への郷愁や恋をテーマとした曲を続々と出しました。「のらくらものTu t’laisses aller」 (1960年)、「 コメディアンLes comédiens」 (1962年)、「だけどEt pourtant」「ラ・マンマLa mamma」 (1963年),、「フォーミー・フォルミダブルFor Me Formidable」 「帰り来ぬ青春Hier Encor」(1964年)、「ラ・ボエームLa bohème」(1965年)、そのほか Il faut savoir (1961年) Que c'est triste Venise (1964年) Emmenez-moi (1967年) Désormais (1969年)など。
この「結婚記念日Bon anniversaire」という曲も、1963年の作品。普通、Bon anniversaireというと、「誕生日おめでとう」という意味で、日本で1964年に最初に発売されたときは、邦題が「すばらしい誕生日」とされ、長いあいだこのタイトルで知られていました。しかし原題の意味が本当は「結婚記念日おめでとう」という意味だったので、最近ようやく、「素晴らしい結婚記念日」に変えられるようになりました。でも、この「素晴らしい」という形容もまた問題で、フランスでは、いろいろハプニングが起こるという歌詞の内容を反映させて「悲惨な結婚記念日Bon anniversaire calamiteux de mariage」と呼ばれることもあるようです。
たぶん、上のジャケットのアルバムに収録されているのと同じ2000年のパレ・デ・コングレでしょう。ジェスチャーと表情がいろいろ語ってくれて楽しめるステージです。
Bon anniversaire 結婚記念日
Charles Aznavour シャルル・アズナヴール
J'ai mis mon complet neuf, mes souliers qui me serrent
Et je suis prêt déjà depuis pas mal de temps 注1
Ce soir est important, car c'est l'anniversaire
Du jour où le bonheur t'avait vêtue de blanc
Mais je te sens nerveuse au bord de la colère
Alors je ne dis rien, mieux vaut être prudent 注2
Si je disais un mot, ton fichu caractère
M'enverrait sur les roses et l'on perdrait du temps 注3
僕は ぴったりの新調の三つ揃えと靴を身に着け
だいぶ前から準備を終えていた
今夜は大事な夜だ、
幸せが君に白い衣装を着けさせた日の記念日だから
でも僕は君が神経が高ぶって癇癪を起す寸前のように感じる
だから僕はなにも言わない、慎重になったほうが得策だ
もし僕がなにか言ったら、君のひどい性格が
僕をたたき出し、時間も無駄になりそうだ
Il est huit heures un quart et tu attends la robe
Qu'on devait te livrer ce matin au plus tard 注4
Pour comble tes cheveux au peigne se dérobent 注5
Tout semble se liguer pour qu'on soit en retard
Si tout va de ce train la soirée au théâtre 注6
Et l'auteur à la mode, on s'en fera un deuil 注7
Adieu pièce d'Anouilh, d'Anouilh ou bien de Sartre
Je ne sais plus très bien, mais j'ai deux bons fauteuils
Bon anniversaire ! Bon anniversaire !
8時半、君は待っている
遅くとも今朝には届けられるはずだったドレスを
さらに悪いことに 櫛をさした髪が崩れる
すべてが 遅らせるようにと結束しているようだ
もしこの調子で行けば
劇場の夕べと流行作家をあきらめることになる
さよならアヌイ、アヌイあるいはサルトルの席
いずれにせよ、僕は二つのいい席を取っている
記念日おめでとう!記念日おめでとう!

Ta robe est arrivée, enfin tu respires
Moi pour gagner du temps je t'aide de mon mieux
Tout semble s'arranger mais soudain c'est le pire
La fermeture arrête et coince au beau milieu 注8
On s'énerve tous deux, on pousse et puis l'on tire
On se mêle les doigts, on y met tant d'ardeur
Que dans un bruit affreux le tissu se déchire 注9
Et je vois tes espoirs se transformer en pleurs
ドレスが届き、やっと君はほっとする
僕のほうは 時間を稼ぐためできるかぎり君を手伝う
すべて準備が整ったと思われたが 突然 最悪の事態が起こる
ファスナーが止まって ど真ん中で動かなくなる
二人とも苛立って、押したり引いたり
指を重ねて、あまりに一生懸命力を込めたら
すごい音がして生地が裂ける
そして君の希望が嘆きにとって代わる
Aux environs de onze heures enfin te voilà prête 注10
Mais le temps d'arriver, le théâtre est fermé
Viens, viens on ira souper tous deux en tête à tête 注11
Non tu as le cœur gros, non tu préfères rentrer
Par les rues lentement nous marchons en silence
Tu souris, je t'embrasse et tu souris encore
La soirée est gâchée mais on a de la chance
Puisque nous nous aimons l'amour est le plus fort
Bon anniversaire ! Bon anniversaire !
Bon anniversaire !
ほぼ11時くらいにやっと君は準備できた
でも時間が来て、劇場は閉まった
ほら、ほら差し向かいで夕食を食べに行こうよ
いや君は気が重くて、帰りたがる
道すがら僕たちは黙って静かに歩く
君は微笑み、僕は君にキスをして微笑む
夜は台無しになったが ラッキーだ
だって 僕たちは愛し合っているし 愛がより強まったから
記念日おめでとう!記念日おめでとう!記念日おめでとう!

[注]いろんな時制交えた表現に注目したい。特に現在形を用いて臨場感を高めている部分に。
1 depuis pas mal de tempsだいぶ前から
2 mieux vaut=il vaut mieux「…するほうがいい」
3 envoyer qn. sur les roses「…を追い払う、たたき出す」
4 au plus tard「遅くとも」
5 pour comble「さらに悪いことに」
6 si tout va de ce train「すべてこの調子で行けば」
7 à la mode「流行の」。se faire un deuil de qc.=faire son deuil de qc.「…を断念する」
8 au beau milieu「ど真ん中で」。
9 queは前行のtantにつながり、「非常に…なので…である」。
10 人称代名詞+voilà「ほら(はい)…です」
11 en tête à tête「差し向かいで、二人きりで」
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「去って行った人L'absent」は、1960年に、当時失恋の痛手に苦しんでいたグロリア・ラッソGloria Lassoのために、ルイ・アマードLouis Amadeの作詞、ジルベール・ベコーGilbert Bécaudの作曲で作られた曲です。ジルベール・ベコー自身も歌っています。亡くなった友の不在を悲しむ内容の歌ですが、ボサノヴァ風のメロディーがとてもおしゃれで、皆さんに知っていただきたい、歌っていただきたい曲の一つです。
グロリア・ラッソ
ジルベール・ベコー
シェイラSheilaも歌っています。
L'absent 去って行った人
Gilbert Bécaud / Gloria Lasso ジルベール・ベコー / グロリア・ラッソ
Qu'elle est lourde à porter l'absence de l'ami,
L'ami qui tous les soirs venait à cette table
Et qui ne viendra plus, la mort est misérable,
Qui poignarde le cœur et qui te déconstruit.
なんと耐え難いことか 友の不在は、
毎晩このテーブルに来ていた友
彼はもう来ないんだ、死とは悲惨なもの、
心に突き刺さり君を打ち砕く。
Il avait dit un jour : "Lorsque je m'en irai
Vers les lointains pays au-delà de la terre,
Vous ne pleurerez pas, vous lèverez vos verres
Et vous boirez pour moi à mon éternité."
彼はいつか言っていた「僕が
この世の向こうの遠い国へと旅立つとき、
君たちは泣かないでくれ、グラスを上げて
僕のために僕の永遠を祈って乾杯してくれ。」と

Dans le creux de mes nuits, alors, je voudrais bien
Boire à son souvenir pour lui rester fidèle,
Mais j'ai trop de chagrin et sa voix qui m'appelle
Se plante comme un clou dans le creux de ma main.
夜の空疎な時間には、私だって
彼の想い出に乾杯したい 彼にたいして誠実でいるために、
だがあまりにも悲しくて私を呼ぶ彼の声が
私の手のひらに釘のように突き刺さる。
Alors je reste là au bord de mon passé,
Silencieux et vaincu, pendant que sa voix passe
Et j'écoute la vie s'installer à sa place,
Sa place qui pourtant demeure abandonnée.
だから私は過去のふちから離れられずにいる、
黙々と打ちひしがれて、彼の声が通り過ぎる間は
そして彼の居た場所に生活が住み着こうとしている気配がする、
だが彼の居た場所は打ち捨てられたままだ。
La vie de chaque jour aux minuscules joies
Veut remplir à tout prix le vide de l'absence 注
Mais elle ne pourra pas, avec ses manigances,
Me prendre mon ami pour la seconde fois.
日ごとにささやかな喜びのある生活は
なんとしてでも不在の空隙を埋めようとする
だが、いくら小細工を弄しても、
私の友を再び取り上げることなどできはしない。

Qu'elle est lourde à porter l'absence de l'ami.
Qu'elle est lourde à porter l'absence de l'ami !
なんと耐え難いことか 友の不在は。
なんと耐え難いことか 友の不在は!
[注]
à tout prix「どんな代価を払っても、ぜひとも」
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ミッシェル・サルドゥーMichel Sardouの「サリュSalut」は、1997年の同名のアルバムに収録されています。Salutは、「それじゃ、また」などと訳せる軽い挨拶の言葉であり、「挨拶」という意味でもあります。この歌では、ステージの終焉時の歌手の挨拶の言葉としていますが、ひとつのステージが一期一会の出会いであるという歌手の気持ち、そして観客との連帯感が、この短い言葉に託されているようです。
Salut サリュ
Michel Sardou ミッシェル・サルドゥー
Maint'nant coupez tous les projos 注1
Faites-moi une nuit étoilée
Juste un rayon sur mon piano
Et sur le public un bleu voilé
Juste vous et moi pour finir
Comme nous étions pour commencer
Et une petite musique pour vous dire
Que le spectacle est terminé
もうスポットライトをすべて消してください
星明かりの夜を僕に作ってください
僕のピアノの上に一筋の光だけを
そして観客の上にはぼんやりとした青い光を
結局のところすなわちあなたがたと僕だ
まず初めに僕たちがそうであったのと同様
そしてショーが終わったことを
あなたがたに伝えるためのちょっとした音楽を
Ça fait déjà longtemps qu'on se connaît
Même si c'est vrai je n'vous parle jamais
Je n'sai's pas faire le premier pas
Mais vous savez déjà tout ça
Je n'suis pas l'homme de mes chansons voilà
僕たちが知り合ってからもうずいぶんになるけれど
そうだとしても僕はあなたがたにけっして語りかけない
僕は最初の一歩を踏み出せずにいるんです
しかしあなたがたは先刻すべてご承知でしょう
僕は自分の歌のなかの人物ではありません
Et puis je n'suis pas non plus c'que j'écris
Que cela vous déçoive ou non tant pis
Le seul moment où tout est vrai
Le seul moment où tout est dit
C'est quand le spectacle est fini
だからまた僕が書いたような人物ではありません
そのことがあなたがたを失望させようがしまいが致し方ないことですが
すべてが真実になる唯一の瞬間
すべてがあらわになる唯一の瞬間
それはショーが終わった時なんです

Salut salut 注2
Je suis venu vous dire salut
Et puis merci d'être venus
Une autre année un autre endroit
Adieu jusqu'à la prochaine fois
Salut
サリュ サリュ
僕はあなたがたにお別れを告げました
そして来てくださったことへの感謝を
あらたな年にあらたな場所で
次の機会までさようなら
サリュ
Quant à l'image que l'on donne de moi
Ma gueule mari fidèle et caetera
Ça doit sûr'ment vous amuser
Vous savez mes fidélités
Ma seule histoire d'amour c'est nous
ひとが僕について抱くイメージに関しては
貞節な夫などといった僕の風貌
それはきっとあなたがたを楽しませるに違いありません
あなたがたは僕の貞節をご存知です
僕の唯一の恋物語、それは僕たちのことです
Et même si on n's'est pas toujours compris
Que cela vous surprenne ou non tant pis
Les grands moments que nous avons
Ne sont pas seul'ment les chansons
C'est quand le spectacle est fini
そしてもしも僕たちが常にお互い理解し合っていなくても
そのことがあなたがたを驚かせようがしまいが致し方ないことですが
僕たちが持つ大いなる瞬間は
ただ単に歌だけではありません
それはショーが終わった時なんです
Salut salut
Je suis venu vous dire salut
Et puis merci d'être venus
Un clin d'oeil entre vous et moi
Bien sûr que l'on se reverra
Salut
サリュ サリュ
僕はあなたがたにお別れを告げました
そして来てくださったことへの感謝を
あなたがたと僕との目配せのお約束
きっと僕たちはまた会えるでしょう
サリュ

Vous nous connaissez bien nous les artistes
On est trop gais un soir on est trop tristes
Tout I 'monde veut naître en matinée 注3
Tout l'monde veut mourir en tournée
Tout I'monde veut finir en beauté
あなたがたはタレントである僕たちをよくご存知です
僕たちはある夜はあまりにも陽気だったりあまりにも悲しげだったりします
みんなマチネーでデヴューすることを望み
みんな巡業で命を終えることを望み
みんな美しいうちに果てることを望みます
Je viens de vous je vais vers vous
Ça fait des jours et des années
Le seul moment où je dis nous
C'est lorsque je parle de vous
Quand le spectacle est terminé
僕はあなたがたから出て、あなたがたに向かいます
何日も何年もかけてのことです
「僕たち」と僕が言う唯一の瞬間
それは僕があなたがたのことを話す時です
ショーが終わった際に
Salut salut
Il est venu vous dire salut
Et puis merci d'être venus
Une autre année un autre endroit
Adieu jusqu'à la prochaine fois
サリュ サリュ
彼はあなたがたにお別れを告げました
そして来てくださったことへの感謝を
あらたな年にあらたな場所で
次の機会までさようなら
Salut salut
Il est venu vous dire salut
Et puis merci d'être venus
Tous les soirs entre chien et loup 注4
Quelqu'un lui manquera c'est vous
サリュ サリュ
彼はあなたがたにお別れを告げました
そして来てくださったことへの感謝を
いつもたそがれ時になると
彼が恋しく思う人、それはあなたなんです

Salut salut
Il est venu vous dire salut
Tout ça n'peut pas durer toujours
D'autres paroles parl'ront d'amour
D'autres spectacles suivront toujours
サリュ サリュ
彼はあなたがたにお別れを告げました
これ(このステージ)はずっと続くわけではありません
ほかの歌詞は恋を歌うでしょう
ほかのショーが常にあとに続くことでしょう
Salut salut
Je suis venu vous dire salut
Et puis merci d'être venus
Une autre année un autre endroit
Adieu jusqu'à la prochaine fois
サリュ サリュ
僕はあなたがたにお別れを告げました
そして来てくださったことへの感謝を
あらたな年にあらたな場所で
次の機会までさようなら
[注]
1 projoは、辞書では「弾丸、砲弾」だが、projecteur「投光機、プロジェクター」の意味だろう。
2ここではsalutは挨拶の言葉そのものだが、題名同様、日本語に置き換えず、読みをカナ表記した。次行では「お別れ」と訳した。
3 それまで、je「私」としていたが、三人称のil「彼」に変えて、「ひとりの歌手」というニュアンスを持たせている。matinéeは「午前中」のほかに「マチネー、昼興行」の意味がある。tournée は「巡業」。naîtreとmourirはタレント生命に関して言っている。
4 entre chien et loup「たそがれ時」犬とオオカミの区別ができなくなるころの意。
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ミッシェル・フュガン&ビッグ・バザールMichel Fugain & Big Bazarを続けます。「明日いのち尽きるかのように歌えChante comme si tu devais mourir demain」です。前回の「美しい物語Une belle histoire」と同様、作詞:ピエール・ドラノエPierre Delanoë、作曲:ミッシェル・フュガンで、1973年に作られました。「すべてが変わるだろうTout va changer」と同様、アルバム「Fugain et le Big Bazar - numéro 2」に収録されています。「美しい物語Une belle histoire」を「Mr.サマータイム」というタイトルで歌っているサーカスが、この曲は「愛で殺したい」というタイトルで日本語で歌っていますが、このタイトルはちょっといただけません。このブログでは原題に即した邦題にいたしました。
Chante comme si tu devais mourir demain 明日いのち尽きるかのように歌え
Michel Fugain & Big Bazar ミッシェル・フュガン&ビッグ・バザール
Chante la vie chante
Comme si tu devais mourir demain
Chante comme si plus rien n´avait d´importance
Chante, oui chante
Aime la vie aime
Comm´ un voyou comm´ un fou comm´ un chien
Comme si c´était ta dernière chance
Chante oui chante
Tu peux partir quand tu veux
Et tu peux dormir où tu veux
Rêver d´une fille
Prendre la Bastille
Ou claquer ton fric au jeu
Mais n´oublie pas.
歌え生を歌え
明日いのち尽きるかのように
もう何もかも大したことじゃないかのように歌え
歌え、そうだよ歌え
愛せ生を愛せ
よた者のように気違いのように犬のように
それが最後のチャンスであるかのように
歌えよ歌え
君は好きな時に出発できる
そして君は好きなところで眠ることが
ひとりの女の子を夢みることが
バスティーユを奪い取ることが
あるいは賭け事に金を費やすことができる
だが忘れるな。

Chante la vie chante
Comme si tu devais mourir demain
Chante comme si plus rien n´avait d´importance
Chante, oui chante
Fête fais la fête
Pour un amour un ami ou un rien
Pour oublier qu´il pleut sur tes vacances
Chante oui chante
Et tu verras que c´est bon
De laisser tomber sa raison
Sors par les fenêtres
Marche sur la tête
Pour changer les traditions
Mais n´oublie pas.
歌え生を歌え
明日いのち尽きるかのように
もう何もかも大したことじゃないかのように歌え
歌え、そうだよ歌え
浮かれて羽目を外せ
恋のため友のためまた何のためでもなく
君のヴァカンスが雨天だということを忘れるために
歌えよ歌え
そして君は知るだろう
分別を捨てることはいいことだと
窓から出て行くんだ
逆立ちして歩くんだ
しきたりを変えるために
だが忘れるな。

Chante la vie chante
Comme si tu devais mourir demain
Chante comme si plus rien n´avait d´importance
Chante, oui chante
La la la....
歌え生を歌え
明日いのち尽きるかのように
もう何もかも大したことじゃないかのように歌え
歌え、そうだよ歌え
ラララ…
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ミッシェル・フュガンMichel Fugainは1942年フランスのグルノーブルで生まれました。医学の勉強をあきらめたのち作曲の勉強をして、エルヴェ・ヴィラールHerve Vilard、ダリダDalida、マリー・ラフォレMarie Laforêtなどに曲を提供しました。1967年に自身の最初のアルバムを出したのち、1972年に、11人のミュージシャンと15人のその他のメンバーからなるグループBig Bazarを結成し、Fais comme l’oiseauやこの曲「美しい物語Une belle histoire」などを発表し、話題になります。その後、フュガンはグループを去り、Big Bazarも数年後に活動を終えます。1979年、彼はニースに音楽のワークショップ(若手アーティストのための教育の場)を設立しました。そして、1988年にViva la Vidaという曲でカムバックしました。その後、シャルル・アズナヴールCharles Aznavour、ミッシェル・サルドゥーMichel Sardouなどから提供された曲も歌っていたようです。最近では2011年から2012年にかけて、「良い年、悪い年Bon an, mal an」と題したアルバムを3つ出しています。ジャケットの写真を見ると、髭で黒々しかった顔立ちが一変していて別人のようです。
この曲「美しい物語Une belle histoire」は、1972年に、ミッシェル・フュガン&ビッグ・バザールMichel Fugain & Big Bazarのファーストアルバムに収録されています。フュガン自身の作曲でピエール・ドラノエPierre Delanoëの作詞。この年、フュガンはステファニーStéphanieと結婚し、34年間連れ添うことになります。その意味では「愛の歴史」の始まりでした。が、フランス語のhistoireは「歴史」と「物語」と二つの意味があり、この曲の内容は行きずりの恋の「物語」であって、進展・変化の過程を持った「歴史」というものではけっしてないのです。日本のグループのサーカスが「ミスターサマータイム」としてカヴァー。歌詞の内容はまったく違いますが、夏のヴァカンスでの恋ということでは、原曲の内容を引き継いでいます。
黒ひげフュガンの歌っている動画があったのですが、後半に女性とデュエットしているところがフランス語ではないのでやめました。選んだこちらの動画は、音源がBig Bazar当時のものですし、モノクロのパリの写真もなかなかいいです。
Une belle histoire 美しい物語
Michel Fugain & Big Bazar ミッシェル・フュガン&ビッグ・バザール
C'est un beau roman, c'est une belle histoire 注1
C'est une romance d'aujourd'hui
Il rentrait chez lui, là-haut vers le brouillard
Elle descendait dans le midi, le midi
Ils se sont trouvés au bord du chemin
Sur l'autoroute des vacances
C'était sans doute un jour de chance 注2
Ils avaient le ciel à portée de main 注3
Un cadeau de la providence
Alors pourquoi penser au lendemain
それは美しい小説、美しい物語
それは今日の恋の歌
彼は、霧に向かって北上し、家路につくところだった
彼女は南へと下っていた、南へと
彼らは出会ったんだ
ヴァカンス用高速道路の端で
それはたぶん 幸運な日だった
彼らには空が手の届くところにあった
神さまからの贈り物なんだ
そんな時どうして明日のことを考えようか

Ils se sont cachés dans un grand champ de blé
Se laissant porter par les courants
Se sont racontés leur vies qui commençaient
Ils n'étaient encore que des enfants, des enfants
Qui s'étaient trouvés au bord du chemin
Sur l'autoroute des vacances
C'était sans doute un jour de chance
Qui cueillir le ciel au creux de leurs mains
Comme on cueille la providence 注4
Refusant de penser au lendemain
彼らは広い麦畑に隠れて
風の向くままに身を任せつつ
始まったばかりの彼らの生活について語り合った
彼らはまだ子供に過ぎなかった、子供に
ヴァカンス用高速道路の端で出会ったんだ
それはたぶん 運のいい日だった
空を手でつかみ取ったんだ
神さまをつかみ取るみたいに
明日のことを考えるのをこばみながら

C'est un beau roman, c'est une belle histoire
C'est une romance d'aujourd'hui
Il rentrait chez lui, là-haut vers le brouillard
Elle descendait dans le midi, le midi
Ils se sont quittés au bord du matin
Sur l'autoroute des vacances
C'était fini le jour de chance
Ils reprirent alors chacun leur chemin
Saluèrent la providence en se faisant un signe de la main
それは美しい小説、美しい物語
それは今日の恋の歌
彼は、霧に向かって北上し、家路につくところだった
彼女は南へと下っていた、南へと
朝になって彼らは別れた
ヴァカンス用高速道路の端で
幸運な日は終わった
そして彼らは各々再び自分の道に戻り
手を振りながら神さまに挨拶した

Il rentra chez lui, là-haut vers le brouillard
Elle est descendu là-bas dans le midi
彼は霧に向かって北上し、家路につき
彼女は南へと下った
C'est un beau roman, c'est une belle histoire
C'est une romance d'aujourd'hui
それは美しい小説、美しい物語
それは今日の恋の歌
[注]
1 romanは「小説」。histoireは、ここでは「物語」。romanceは「恋愛詩、恋の歌」で、日本で言うロマンスとは意味が違う。
2 jour de chance「何をやってもうまくいく日、ついている日」
3 à portée de (la) main「手近に」
4 providence神学用語では「節理」。大文字で「神」。一般的には「救いの神、頼みの綱、天の助け」。この歌詞では「神さま」そのものとしたほうがふさわしいと思われる。
Comment:1