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2016
07.31

昔は(恋のダウンタウン)Downtown

Petula Clark


前回に引き続きペトゥラ・クラークPetula Clarkを。
世界的な大ヒットとなった1964年の「恋のダウンタウンDowntown」は英語の歌で、ダウンタウンでの明るく楽しい生活を表現しています。それを1965年にフランス語に翻案して本人が歌ったのが、今回取り上げるDans le tempsで、タイトルの音の響きがよく合っています。でも、歌詞はまったく違って、過去を懐かしむ暗い内容。
邦題は、原題の直訳に英語の原曲の邦題(「恋の」は気に入りませんが…)を添えることにします。

彼女は4つの言語に翻案して歌ったそうですが、フランス語、ドイツ語と、ほかは未確認です。

Downtown



Dans le temps




Dans le temps  昔は(恋のダウンタウン)
Petula Clark   ペトゥラ・クラーク


Il n'y a plus, dans cette ville, la joie
Qu'il y avait avant
Dans le temps
Je suis perdue dans cette ville sans toi
Toi qui m'aimais pourtant
Dans le temps

  この街には、もう無くなってしまった
  以前にはあった
  昔はあった歓びが
  あなたのいないこの街で私は道に迷う
  だけどあなたは私を愛してくれていた
  昔はね

Je m'en vais seule au long des rues
Retrouver le passé
D'un amour qui n'existe plus
Mais qui a commencé
Dans cette ville
J'ai beau chercher mais plus rien 注1
J'ai beau chercher dans les rues mais
Pourtant c'est en vain, tu sais

  私はひとりで通りを歩く
  いまはもう消えてしまったけれど
  この街で
  始まった恋の
  昔日を追い求めて
  私は尋ねまわるけれど何も見つからない
  私は通りを尋ねまわるけれど
  でもそれは無駄なこと、そうよね

Dans le temps4


Dans le temps
Comme on s'aimait, oh oui
Dans le temps
Je m'en souviens, oh oui
Dans le temps
Qui a passé depuis
Dans le temps {x2}

  昔
  私たちはどれほど愛し合ってきたか、ああそうよ
  昔のこと
  思い出すわ、ああそうよ
  昔のことよ
  それ以来何があったのだろう
  昔のことね

Dans ce quartier où l'on ne vit que la nuit
Il y a comme avant
Dans le temps
Autant de vie, de lumière et de bruit
On y venait souvent
Dans le temps

  夜にしか生活していないこの界隈では
  以前のような
  昔のような
  同じだけの人生、光や騒音がある
  よくここにやって来たものだったわ
  昔は

Au club où l'on allait danser
J'ai traîné mon ennui
Quand le barman m'a vue rentrer 注2
Toute seule, il a compris
Ma grande peine
Il n'a rien dit mais je sais
Qu'il a compris. Il a mis l'air 注3
Que l'on fredonnait, tu sais

  私たちが踊りに通っていたクラブを
  私は憂鬱を引きずって訪ねた
  たったひとりで入ってきた私を見て
  バーテンは気づいた
  私の深い苦しみに
  彼はなにも言わないけれどわかるわ
  彼が気づいたことが。彼は
  私たちが口ずさんでいた曲をかけてくれたのよ

Dans le temps2


{Refrain:}
Dans le temps
Quand on s'aimait, oh oui
Dans le temps
Tu t'en souviens, oh oui
Dans le temps
Qui a passé depuis
Dans le temps {x3}

  昔
  私たちが愛し合っていたころ、ええそう
  昔のこと
  あなたは思い出すわ、きっと
  昔のこと
  それ以来何があったのだろう
  昔のことよ

Dans le temps

  昔のことよね

Dans cette ville rien n'a changé
Si tu reviens un jour
Avec au cœur quelque regret,
Rêvant de notre amour
Dans cette ville
Rien n'a changé mais pourtant
Tu vas marcher dans les rues mais
Rien n'est comme avant, tu sais

  この街ではなにも変わっていないわ
  もしあなたがいつか戻ってきたら
  なにがしかの後悔を胸に抱き、
  私たちの恋を夢見て
  この街では
  なにも変わっていないわ だけど
  あなたは街を歩くでしょうけれど
  なにも以前のとおりではないのよ

{au Refrain}

[注] 題名の dans le tempsは、au temps jadisと同義で「昔、かつては」という意味。歌詞内では、前後のつながりで少々訳語を変えた。「期間内に」「時間経過とともに、時を経て」という意味で、「新旧の」「分割払い」などの表現にも用いられることがあり、少々面倒な成句。
1 avoir beau+inf.「たとえいくら…しても(無駄である)」
2 rentrer「入る」の意味で用いられるのは、entrerの誤用とされる。
3 mettre「つける、かける」。l'air「歌」




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2016
07.30

わたしの歌C'est ma chanson

Petula Clark Cest ma chanson


Cest ma chanson1この曲は、チャーリー・チャップリンCharles Chaplinの最後の監督作品となった喜劇映画「伯爵夫人 The countess from Hong Kong」(珍しいことにチャップリンは主演せず、マーロン・ブランド、ソフィア・ローレンが主演)の主題曲として1966年にチャップリン自らが作曲しました。そして、アル・ジョンソンAl Jolsonに歌わせようと考えましたが、彼女はすでにこの世になく、映画ではインストルメンタルのみで収録されました。同年、チャップリンはペトゥラ・クラークPetula Clarkに歌唱をもちかけました。彼女は英語のみならず、フランス語、ドイツ語、イタリア語でこの曲を収録し、翌67年にリリースされました。映画の不人気とは裏腹に、この曲は世界的な大ヒットとなりました。
フランス語の歌詞「わたしの歌C'est ma chanson」はピエール・ドラノエPierre Delanoéが手がけました。ペトゥラ・クラークPetula Clarkは、1932年生まれの60年代に活躍したイギリスの歌手・女優。彼女の歌は、「ぬかるみLa gadoue」を先に取り上げています。

C'est ma chanson



C'est ma chanson   わたしの歌
Petula Clark      ペトゥラ・クラーク


L’hiver, le vent, la pluie
Chantent leur mélodie
La brume ou le soleil
A mes yeux, c’est pareil
Ne cherchez pas pourquoi
Tout est si beau pour moi
Pourquoi ce gris pays
Prend des airs d’Italie
Et moi, je m’imagine
Heureuse dans la nuit
Que mille mandolines
Jouent pour ma rêverie.

  冬、風、雨が
  それぞれのメロディーを歌う
  霧だって太陽だって
  わたしの目には、同じに見える
  なぜかと問わないで
  すべてがわたしにはとても美しいのよ
  なぜこの灰色の国は
  イタリアの空気を帯びているの
  そしてわたしは、
  夜にしあわせな気分で想像する
  幾千ものマンドリンが
  わたしの夢のために演奏してくれていると。

Charles Chaplin2


Oui, toute la terre
A composé cette chanson pour toi
L’oiseau et la rivière
L’avaient chantée bien avant moi

  ええ、この世のすべてが
  あなたのためにこの歌を作ったの
  鳥や川が
  わたしの前でそれを歌ったわ

Ce sont des mots de tous les jours
Pourtant ce sont des mots d’amour
L’amour, c’est ma chanson
Quatre saisons la chanteront pour toi. (×2)

  聴き慣れた言葉だけど
  それは愛の言葉
  愛、それはわたしの歌
  四つの季節があなたのために歌ってくれるわ。

Charles Chaplin4


英語の歌



フランク・シナトラFrank Sinatraアンディー・ウィリアムズAndy Williams ほかも歌っています。

This is my song

Why is my heart so light?
Why are the stars so bright?
Why is the sky so blue
Since the hour I met you?
Flowers are smiling bright
Smiling for our delight
Smiling so tenderly
For the world, you and me
I know why the world is smiling
Smiling so tenderly
It is the same old story
True all eternity
Love, this is my song
Here is a song
A serenade to you
The world cannot be wrong
If in this world there’s you
I care not what the world may say
Without your love there is no day
小さい文字So Love this is my song
Here is a song, a serenade, to you

Charles Chaplin1

素顔のチャーリー・チャップリンはとっても美男子!



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2016
07.30

プティコンセール《映画音楽を歌う》

映画音楽を歌います!よく知られている曲も、あまり知られていない曲も、楽しい曲も、悲しい曲も。映画音楽ならではのムードある歌を20曲以上、ギターとヴァイオリンとベースという3つの弦楽器の伴奏でお届けします。当日券ありますので、ぜひぜひおいでください。
60730eiga.jpg


曲目をご紹介しましょう。タイトルをクリックするとこのブログかアミカル・ド・シャンソンのブログのその曲のページが開きます。
「」内は映画の邦題です。

Une vie d’amour 永遠の愛「テヘラン43」
La maison sous les arbres 木の下の家「パリは霧にぬれて」
Gelsomina ジェルソミーナ「道」
Mélancolie メランコリー「ジブラルタルの鮫」
Emmanuelle エマニュエル「エマニエル夫人」
Sans toi あなたがいなくて「5時から7時までのクレオCléo de 5 à 7」
Chanson des jumelles et La chanson d'um jour d'été 双子姉妹の歌&夏の日の歌「ロシュフォールの恋人たち」
Belleville rendez-vous ベルヴィル・ランデヴー「ベルヴィル・ランデヴー」
C'était écrit 手のひらに書いてあったから「歓楽通り」
Quelle temps fait-il à Paris パリのお天気は?「ぼくの伯父さんの休暇」
Trois petites notes de music 三つの小さな音符「かくも長き不在」
Moon river ムーン・リヴァー「ティファニーで朝食を」」
Les moulins de mon cœur 風の囁き「華麗なる賭け」
L’un part et l’autre reste 一人は去り、一人は残る「一人は残り、一人は去る」
T’en va pas 行かないで「悲しみのヴァイオリン」
L’été 42 おもいでの夏「おもいでの夏」
Sous le ciel de Paris パリの空の下「巴里の空の下セーヌは流れる」
Les parapluies de Cherbourg シェルブールの雨傘「シェルブールの雨傘」
La plus belle pour aller danser 踊りに行くために一番きれいに「アイドルを探せ」
La chanson d'Orphée カーニヴァルの朝「黒いオルフェ」
Moulin rouge ムーラン・ルージュの歌「赤い風車」


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2016
07.29

じっとこうしてReste

Charles Aznavour reste


今回は、シャルル・アズナヴールCharles Aznavourの「じっとこうしてReste」。1965年にアズナヴール自身が作詞・作曲した曲です。たいへんエロティックな内容の歌詞だと言えますが、ゲンズブールのように即物的ではなく、あくまでもムーディーです。



Reste          じっとこうして
Charles Aznavour  シャルル・アズナヴール


Reste encore まだこのままでいてくれ

Avec moi 僕といっしょに

Sur mon corp 僕のからだの上で

Dans mes bras 僕の腕のなかに

Enlacée 抱かれて

Essoufflé 息を切らせ

Assouvie 満ち足りて

Etourdie ぼうっとして

Reste3.jpg

Reste au chaud 熱いままでいてくれ

Alanguie ぐったりして

D'un l'enclos 囲まれて

De la nuit 夜の闇に

Sur mon cœur 僕の胸のうえで

Sans pudeur 恥じらいを忘れ

Eperdue 乱れたままで

Presque nue ほとんど裸体で

Reste2.jpg

Reste ainsi こうしていてくれ

Sur ta faim 餓えつつ

Sur ma vie 僕のいのちの上で

Dans mes mains 僕の手で

Décoiffée 髪を乱されて

Possédée 虜になり

Etendue 横たわり

Détendue 弛みきって

Reste1.jpg

Reste là そこにいてくれ

Sans un mot 何も言わず

Sur ta joie 喜びにひたり

Sur ma peau 僕の肌の上で

Dans l'espoir 希望につつまれて

Dans le noir 闇のなかで

Jusqu'au jour 夜が明けるまで

Mon amour 恋人よ


[注] rester sur sa faim「食い足りない、何も食べていない」「(期待外れで)物足りない」。食べ物に限らず、なんらかの欲求を抱いている状態。


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2016
07.28

疲れ果ててFatigue

Barbara.jpg


バルバラBarbaraの「疲れ果ててFatigue」は1996年の彼女の最後のアルバム:Barbaraに収録された曲。
fatigueをどう訳すか悩みました。「疲労」はダサいし「疲れ」は軽いし「疲弊」は堅すぎるし「倦怠」ならタイトルらしいし訳文にもうまくハマるけれど意味がズレる…。結局、歌詞中では「疲れ」と訳し、邦題は「疲れ果てて」としました。
ご注意!元気のない時に聴くと余計に落ち込むかも。



Fatigue  疲れ果てて
Barbara  バルバラ


Fatigue,
C'est la fatigue
Qui me vertige
Et je tombe.

  疲れ、
  それは疲れだ
  私をふらつかせ
  私を倒れさせるのは。

Fatigue,
C'est la fatigue
Qui me dérive, 
Vagabonde

  疲れ、
  それは疲れだ
  私を横道に導くのは
  放浪者へと

Mais
Qu'est-ce qui m'arrive?
Où va-t-il, ce train?
J'ai perdu la rive
Qui s'efface
Au loin.

  でも
  何が私に起こったの?
  どこへ行くの、この列車は?
  岸は遠くへと
  消え去り
  私は寄る辺を失った。

Barbara03.jpg


Vos voix qui s'éloignent
M'éloignent
De tout.

  あなたの声は遠ざかり
  私をすべてから
  遠ざける。

Je crie
En silence
Mais
Personne ne vient.

  静寂のなかで
  私は叫ぶ
  でも
  誰も来ない。

Mais
Qu'est-ce qui m'arrive?
Nausée,
J'ai la nausée
Dans la lourdeur
D'un ciel
Qui me plombe.

  いったい
  何が起こったの?
  吐き気、
  吐き気がする
  私に鉛を詰める
  空の
  重苦しさのなかで。

Je cherche mon chemin
Mais c'est fatigue
Dans ma tête.

  私は道を探す
  でも疲れが
  頭のなかに。

Barbara04.jpg


Embrumée,
Je tourne
Dans le vide
Mais
Où me poser?
Je sombre
En silence.

  霧が立ち込め、
  私はきびすを返す
  虚しさのなかに
  でも
  どこに身を置くの?
  私は沈み込む
  静寂のなかに。

Je tombe
En eaux troubles.
Diffuse,
Ma pensée
Confuse
Se cogne
Et j'ai mal,
J'ai peur,
Dans ma fatigue.

  私は落ちる
  濁った水のなかに。
  拡散し、
  混乱した
  私の思考は
  つまづく
  そして私は苦痛を感じ、
  恐れを感じる、
  疲れのなかで。

Arrêtez ce train
Qui m'emporte,
Qui m'emporte
Au loin
Dans ma fatigue,
Fatigue,
Fatigue

  この列車を止めて
  私を運んでいく
  遠くへと
  私を運んでいくこの列車を
  疲れのなかで、
  疲れの、
  疲れの

[注] dériverには3つの意味があるが、「わきに逸らす」の意味の他動詞とした。



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2016
07.27

ひとりは去り、ひとりは残るL'un part, l'autre reste

Charlotte Gainsbourg


シャルロット・ゲンズブールCharlotte Gainsbourgは、ご存じセルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgの娘で、母親はジェーン・バーキンJane Birkin。1971年生まれですから今年40歳を迎えます。彼女が最初に話題になったのは、1984年、15歳のときに父親のセルジュとデュエットで歌った「レモン・インセストLemon incest」。1986年には父のプロデュースで初のアルバム「魅少女シャルロットCharlotte for ever」をリリース(再販盤のタイトルはLemon incest)。また同年、クロード・ミレール Claude Miller監督の「なまいきシャルロットL'Effrontée」でセザール賞の有望若手女優賞を受賞しました。自身の主演映画で3度主題歌を歌っていますが、歌手としてより、女優としての活動のほうが多く、1984年にデヴューして以来、数多くの映画に出演しています。2009年には、ラース・フォン・トリアー監督の心理ホラー作品「アンチクライストAntichrist」でヒロイン役を演じ、第62回カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞。歌手としては、2006年9月に20年ぶりのアルバム:5:55を、2009年には:IRMをリリース。ともに英語の曲がメイン。私生活では、夫の俳優・映画監督のイヴァン・アタルYvan Attalとの間に3人の子供がいます。

今回取り上げるのは、彼女自身が出演したクロード・ベリClaude Berri監督の映画「ひとりは残り、ひとりは去るL'un reste, l'autre part」 (2005年)の主題曲です。題名が曲名とは異なるのでご注意を。作詞:ナタリー・ライムNathalie Rheims、作曲:フレデリック・ボトンFrédéric Botton。「レモン・インセスト」が苦手だった私ですが、この曲を聴いてその印象が完全に払拭されました。



シャルロットの母親、ジェーン・バーキン



なお、シルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanが、アルバム:Tout peine confonduesにこの曲のカヴァーを入れています。こちらもなかなかいいです。



L'un part, l'autre reste  ひとりは去り、ひとりは残る
Charlotte Gainsbourg   シャルロット・ゲンズブール


Ont-ils oublié leurs promesses? 
Au moindre rire, au moindre geste
Les grands amours n'ont plus d'adresse 注1
Quand l'un s'en va et l'autre reste 注2

  彼らは約束を忘れてしまったのかしら?
  わずかな笑み、わずかな身ぶりさえ
  熱愛者たちは手立てをなくした
  ひとりが行ってしまいもうひとりが残るとき

N'est-il péché que de jeunesse? 注3
N'est-il passé que rien ne laisse? 注4
Les grands amours sont en détresse
Lorsque l'un part et l'autre reste

  若気の罪にすぎないのかしら?
  なんでもないことが残した過去かしら?
  熱愛者たちは窮地に陥る
  ひとりが去りもうひとりが残ったら

Lun reste, lautre part4


Reste chez toi
Vieillis sans moi
Ne m'appelle plus
Efface-moi
Déchire mes lettres
Et reste là
Demain peut-être
Tu reviendras

  あなたは自分の家にいて
  私なしで歳を重ねて
  私をもう呼び出さないで
  私を消して
  私の手紙を破いて
  そしてそこにいて
  いつの日か
  あなたは帰って来るわ

Geste d'amour et de tendresse
Tels deux oiseaux en mal d'ivresse 注5
Les grands amours n'ont plus d'adresse
Quand l'un s'en va et l'autre reste

  愛のこもった優しいしぐさに
  これら二羽の鳥は酔いたいところだけど
  熱愛者たちはもううまく振る舞えない
  ひとりが行ってしまいもうひとりが残るとき

Lun reste, lautre part3


Sont-ils chagrins dès qu'ils vous blessent? 注6
Au lendemain de maladresses 注7
Les grands amours sont en détresse
Lorsque l'un part, et l'autre reste

  ひとを傷つける以上それは悩み事でしょう?
  不器用な振る舞いののち
  熱愛者たちは窮地に陥る
  ひとりが去り、そしてもうひとりが残ったら

De tristes adieux
Que d'illusions
Si c'est un jeu
Ce sera non
Rends-moi mes lettres
Et reste là
Demain peut-être
Tu comprendras
{×2}

  悲しい別離
  錯覚だらけ
  それが戯れなら
  いやよ
  わたしの手紙を返して
  そしてそこにいて
  いつの日か
  あなたも分かるわ

Ils n'oublieront pas leurs promesses
Ils s'écriront aux mêmes adresses
Les grands amours se reconnaissent
Lorsque l'un part et l'autre reste

  彼らは約束を忘れないでしょう
  同じ住所に手紙を出し合うでしょう
  熱愛者たちは自分を取り戻す
  ひとりが去りもうひとりが残ったとき

Lun reste, lautre part2


[注] 歌詞に関連があるようなので、仏文の解説を訳して映画のあらすじを示しておく。
長い間の友人であるダニエルとアランは50代で、ともに15年ほどの結婚生活だったが、双方ともに恋に落ちた。ダニエルの相手は、ジュディス(シャルロット・ゲンズブール)で、最初の妻アンヌ=マリーとの間にもうけた息子がバイク事故で転落して四肢麻痺になったときに出会った。 ダニエルは妻イザベラと別れることになるが、この別離は彼らの息子に問題を引き起こすことになる。アランの相手はファリダで、彼のアフリカンアートの店に売り子として雇った若いセネガル女性。アランは美しいファリダをあきらめて妻ファニーのもとにとどまることになる。ダニエルとアランを通して、自分の人生を変えることをためらう瞬間に至った際の、恋と情熱と罪悪感がもたらす疑惑と錯覚とが表現されている。

1 grand amourは「大恋愛」といった意味。映画の二組のカップルの恋ということで複数形。大恋愛の当事者たち自体を指す。
adresseは「住所」ではなく「器用さ、巧みさ」。avoir l’adresse de+inf.「…するこつ(要領)を知っている」。
2 Quand l'un s'en va et l'autre resteは、ダニエルが去り、アランが残るという意味か。Lorsque l'un part, et l'autre resteとも言い換えている。
3 ilはceやcelaと同様で「それ、そのこと」。péché「罪」。観念を表す語なので冠詞がない。péché de jeunesseは「若気のあやまち」。ne…que…「…しか…ない」の構文で、queがde jeunesseの前にあるので、直訳すると「若気にすぎない罪」。
4 前行(注3の箇所)と形が相似するが異なる文法構造。(一応訳したが解釈に疑問が残る。)
5 tel(le)は無冠詞で「ある、さる、これこれの」。deux oiseauxつがいの鳥は恋人たちをあらわすのによく用いられる。en mal de「…を求めて、欲して」。
6 vousは不特定の人をあらわす。
7 au lendemain de qc「…の直後に」



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2016
07.26

ジェーンB.〜私という女Jane B.

Jane Birkin Serge Gainsbourg


ジェーン・バーキンJane Birkinの「ジェーンB.〜私という女Jane B.」は、フレデリック・ショパンFrédéric François Chopinの「24の前奏曲作品28 第4番 ホ短調Chopin Prelude Op 28 No. 4」の旋律を元に、セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgが作ったもので、歌詞は、ジェーンB.という名の行方不明者の身体的特徴の箇条書きという変わった形態です。
この曲が収録された1969年のアルバム「ジェーン&セルジュJane Birkin Serge Gainsbourg」は文字通り二人のヴォーカルを集めたもので、ゲンスブールの作詞・作曲によるものがほとんど。以前ブリジット・バルドーBrigitte Bardotと歌った「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ Je t'aime... moi non plus」やフランス・ギャルFrance Gallの「アニーとボンボン Les sucettes」も、ジェーンによる再録音で加えられています。


マルタ・アルゲリッチMartha Argerichのショパン。



ジェーン B.



Jane B.    ジェーン B.〜私という女
Jane Birkin  ジェーン・バーキン


Signalement
Yeux bleus
Cheveux châtains
Jane B.
Anglaise
De sexe féminin
Âge : entre vingt et vingt et un
Apprend le dessin
Domiciliée chez ses parents

  身体的特徴
  目は青
  髪は栗色
  ジェーン B.
  英国人
  女性
  年齢:20歳から21歳
  デッサンを習っている
  両親の家に居住

Jane Birkin1


Yeux bleus
Cheveux châtains
Jane B.
Teint pâle, le nez aquilin
Portée disparue ce matin 注1
À cinq heures moins vingt

  目は青
  髪は栗色
  ジェーン B.
  色白、鷲鼻
  行方不明者として登録される
  5時20分前に

Yeux bleus
Cheveux châtains
Jane B.
Tu dors au bord du chemin

  目は青
  髪は栗色
  ジェーン B.
  君は道端で眠っている

Jane Birkin2


Une fleur de sang à la main
La la la la la la
La la la la la la


  血痕の花を手に持って
  ラ ラ ラ ラ ラ ラ
  ラ ラ ラ ラ ラ ラ
  …

[注] Bはフランス語では「べー」と読むが、ジェーンは英語的に「ビー」と言っている。
1 être porté(e) disparu(e)「(未確認戦死者あるいは)行方不明者として登録される」


Parodie pour Nonnie (#^.^#)

Signalement
Presbytie
Cheveux sépia
Nonnie A.
Japonaise
De sexe féminin
Âge : un peu moins de soixante-dix
Apprend la chanson
Domiciliée chez son fils

Presbytie
Cheveux sépia
Nonnie A.
Teint jaune, les traits délicats
Portée disparue ce matin
À cinq heures moins vingt

Presbytie
Cheveux sépia
Nonnie A.
Tu dors au bord du chemin

Une fleur de sang à la main
La la la la la la
La la la la la la


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2016
07.25

届かぬ愛Il y a trop de gens qui t'aiment

Hélène Ségara


今回はエレーヌ・セガラHélène Ségaraの「届かぬ愛Il y a trop de gens qui t'aiment」です。作詞:クリスチャン・ヴィエChristian Vié、作曲:ティエリィ・ジェオフレィThierry Geoffroy。1999年にシングル盤がリリースされ、翌2000年の彼女のセカンド・アルバム:Au nom d'une femmeに収録されました。邦題は、直訳すると長すぎるので、私としては珍しく超意訳です。

エレーヌ・セガラは「彼女をあなたは愛しているElle tu l’aime」と「愛は太陽L'amour est un soleil」をすでに取り上げました。「彼女を…」の記事に彼女の経歴を少々書いていますので参照ください。



Il y a trop de gens qui t'aiment  届かぬ愛
Hélène Ségara            エレーヌ・セガラ


Je te regarde parler avec les gens
Tu me sembles si léger même transparent
J'regarde passer les jours, la vie en me disant
Je n'cherche pas l'amour, je m'y attends
J'te regarde t'amuser et je fais semblant
Mais je n'peux pas t'empêcher d'être un enfant
Toi tu fais de grands gestes, tu as l'air si content
Tu vois des fois j'déteste ce que je ressens

  あなたがみんなと話しているのを私は見ている
  あなたは透けるほど軽やかに見える
  私は日々が人生が過ぎて行くのを眺めている、自分に言い聞かせつつ
  愛なんか求めちゃいないと、でもそれを待っている
  あなたが楽しんでいるのを見て私も楽しいふりをする
  でもあなたが無邪気に振舞うのを妨げられない
  あなたったら大げさな身振りをして、満足げな様子ね
  分かるかしら私が何度も自分の感じることが嫌になるって

Hélène Ségara2


Il y a trop de gens qui t'aiment
Et tu ne me vois pas
Je ne sortirai pas indemne
De cet amour avec toi
Il y a trop de gens qui t'aiment
Qui tournent autour de toi
Tous les mots d'amour
Que je sème tu ne les entends pas

  あなたを愛する人があまりにも多い
  あなたは私を見てくれない
  私は無傷では逃れられない
  あなたとのこの愛から
  あなたを愛する人はあまりにも多くて
  あなたの周りを取り巻いている
  私が投げかける愛の言葉は
  まるであなたには聞こえない

J'me sens si loin de toi à des moments
Je n'voudrais pas qu'tu crois que je t'attends
J'me force à espérer, mais je me mens
Alors je te regarde t'éloigner tout doucement

  私は時々あなたからとても遠く離れている気がする
  あなたを待っているとあなたに思われたくない
  期待しようと努力する、でも自分を偽ってしまう
  そしてあなたがそっと去っていくのを眺める

Hélène Ségara4


Il y a trop de gens qui t'aiment
Et tu ne me vois pas
Je ne sortirai pas indemne
De cet amour avec toi
Il y a trop de gens qui t'aiment
Qui tournent autour de toi
Et moi évidemment,
Je t'aime à mes dépends 

  あなたを愛する人があまりにも多い
  あなたは私を見てくれない
  私は無傷では逃れられない
  あなたとのこの愛から
  あなたを愛する人はあまりにも多くて
  あなたの周りを取り巻いている
  そしてあきらかに私は、
  辛い気持ちでであなたを愛している

Il y a trop de gens qui t'aiment
Et tu ne me vois pas
Je ne sortirai pas indemne
D'cet amour avec toi
Il y a trop de gens qui t'aiment
Et tu ne vois même pas
Qu'c'est à cause de toi
Que je mène chaque jour ce drôle de combat

  あなたを愛する人があまりにも多い
  あなたは私を見てくれない
  私は無傷では逃れられない
  あなたとのこの愛から
  あなたを愛する人はあまりにも多い
  そしてあなたは分かってはいない
  私が日々、このばかげた葛藤を引きずるのは
  あなたのせいだってことも

Hélène Ségara3


Il y a trop de gens qui t'aiment
Et tu ne vois même pas
Qu'c'est à cause de toi
que je mène chaque jour ce drôle de combat

  あなたを愛する人があまりにも多い
  あなたは私を見てくれない
  あなたのせいなのよ
  日々、このばかげた葛藤を引きずるのは

[注] à ses dépends「苦い経験を通じて」


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2016
07.24

愛の願いLove me please love me

Michel Polnareff Love me please love me


ミッシェル・ポルナレフMichel Polnareffの「愛の願い Love me, please love me」は英語のタイトルですが、フランス語の曲。シャルル・アズナヴールCharles Aznavourの「フォーミー・フォルミダブルFor me... formidable」はフランス人の男性がイギリス人の女性を口説く内容ですが、この曲もそうなのかな?「ノンノン人形La poupée qui fait non」と同様、1966年にフランク・ジェラールFrank Géraldが作詞し、ポルナレフが作曲。同年リリースした彼のファースト・アルバムのタイトル曲となりました。 この時、ポルナレフは22歳になったばかり!のちに、ジェーン・バーキンJane Birkin主演の映画「アニエスv.によるジェーンb.(原題:Jane B. par Agnès V.)」(1987年)にもこの曲は使用されました。



1967年のライブ。ピアノが素晴らしい!(スタジオ盤と歌詞が違っている)



サンディー・ショウSandie Shawは英語でカヴァーしたのち、イタリア語ヴァージョンAmami, ti prego amami も歌っています。



Love me please love me  愛の願い
Michel Polnareff       ミッシェル・ポルナレフ


Love me, please love me
Je suis fou de vous
Pourquoi vous moquez-vous chaque jour
De mon pauvre amour ?
  
 僕を愛して、どうか僕を愛して
 僕はあなたに夢中なんだ
 なぜあなたはいつの日も無視するの
 僕の哀れな恋心を?

Love me, please love me
Je suis fou de vous
Vraiment prenez-vous tant de plaisir
A me voir souffrir

 僕を愛して、どうか僕を愛して
 僕はあなたに夢中なんだ
 ほんとにすっかり楽しんでるのかい
 僕が苦しんでいるのを見て

Polnareff1.jpg


Si j'en crois votre silence
Vos yeux pleins d'ennui
Nul espoir n'est permis
Pourtant je veux jouer ma chance
Même si, même si
Je devais y brûler ma vie

 あなたの沈黙と
 困惑に満ちたあなたの目を信じるなら
 なんの希望も許されはしない
 でも、僕はチャンスに賭けたい
 たとえ、たとえ
 僕のいのちを燃やし尽くさなきゃならなくても

Love me, please love me
Je suis fou de vous
Mais vous moquerez-vous toujours
De mon pauvre amour ?

 僕を愛して、どうか僕を愛して
 僕はあなたに夢中なんだ
 でもあなたはずっと無視するのかい
 僕の哀れな恋心を?

Polnareff2.jpg


Devant tant d'indifférence
Parfois j'ai envie
De me fondre dans la nuit
Au matin je reprends confiance
Je me dis, je me dis
Tout pourrait changer aujourd'hui

 あなたのあまりの冷たさを前にすると
 しばしば僕は宵闇に溶けてしまいたい
 欲求に陥る
 でも朝になると自信を取り戻し
 僕は心に思う、心に思うんだ
 今日はすべてが変わるかもと

Love me, please love me
Je suis fou de vous
Pourtant votre lointaine froideur
Déchire mon cœur

 僕を愛して、どうか僕を愛して
 僕はあなたに夢中なんだ
 でもあなたのよそよそしい冷たさが
 僕の胸を引き裂く

Love me, please love me
Je suis fou de vous
Mais vous moquerez-vous toujours
De mes larmes d'amour ?

 僕を愛して、どうか僕を愛して
 僕はあなたに夢中なんだ
 でもあなたはずっと無視するのかい
 僕の愛の涙を?

Polnareff3.jpg


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2016
07.23

生きる時代Le temps de vivre

Georges Moustaki Le métèque


ジョルジュ・ムスタキGeorge Moustakiの「生きる時代Le temps de vivre」は、1968年のフランスの「五月革命Mai 68」をテーマとした曲です。この曲は、革命の翌年1969年にベルナール・ポールBernard Paul監督が作った同名の映画のためのもので、エンディングの場面でHénia Sucharが歌いました。映画はヒットせずこの曲も注目されませんでしたが、ムスタキは同年にリリースしたアルバムLe métèqueのなかでこの曲を自ら歌い、それが大ヒットしました。「五月革命」に関しては「ああ!パリの美しき5月!Ah!le joli mois de mai a Paris!」のページに少々書いていますのでご覧ください。
ムスタキのこの歌はとても短くてシンプルですが、嵐が去って、従来の価値観がすべて洗い流され、自由ないのちだけを元手に再出発するといった内容で、人生のさまざまな節目で、心をリフレッシュしてくれる歌です。



Le temps de vivre  生きる時代
George Moustaki  ジョルジュ・ムスタキ


Nous prendrons le temps de vivre
D'être libres mon amour
Sans projets et sans habitudes
Nous pourrons rêver notre vie

  恋人よ僕たちは生きる時代を
  自由な時代を選択するだろう
  計画もなく習慣もなく
  僕たちは自らの人生を思い描くことができるだろう

Le temps de vivre1


Viens je suis là je n'attends que toi
Tout est possible tout est permis

  おいでよ僕はここにいて君だけを待っている
  すべてが可能ですべてが許されるんだ

Viens, écoute ces mots qui vibrent
Sur les murs du mois de mai
Ils nous disent la certitude
Que tout peut changer un jour

  おいで、五月の壁で震えている
  言葉をお聞き
  それは僕たちに伝えている
  いつかすべてが変わり得るという確信を

Le temps de vivre2


Viens je suis là je n'attends que toi
Tout est possible tout est permis

  おいでよ僕はここにいて君だけを待っている
  すべてが可能ですべてが許されるんだ

Nous prendrons le temps de vivre
D'être libres mon amour
Sans projets et sans habitudes
Nous pourrons rêver notre vie

  恋人よ僕たちは生きる時代を
  自由な時代を選択するだろう
  計画もなく習慣もなく
  僕たちは自らの人生を思い描くことができるだろう

Le temps de vivre3


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2016
07.22

美しい人生La belle vie

Sacha Distel La belle vie


「美しい人生La belle vie」は、もともと1962年にサッシャ・ディステルSacha Distelがロジェ・ヴァディムRoger Vadimの映画「七つの大罪Les Sept Péché scapitaux」の「傲慢l'orgueil」を描写するために作った「マリナMarina」という器楽曲でした。※「七つの大罪」および「傲慢」の意味については、エディット・ピアフÉdith Piafの「メア・キュルパ(夜は恋人) Mea culpa」のページを参照ください。

翌1963年、この曲はアメリカに渡り、The Good LifeというタイトルでJack Reardonが作詞し、トニー・ベネットTony Bennettが歌って大ヒットしました。そしてベネットの代表曲となり自伝にもこのタイトルを用いています。その後、多くの歌手が歌い、スタンダード・ナンバーとなりました。

同年、この英語の歌詞をジャック・ブルソルJean Broussolleがフランス語に翻案し直し、サッシャ・ディステル自身が歌ったのが「美しい人生La belle vie」です。

英語の歌詞とフランス語の歌詞は同じ意味のタイトルながら、若干ニュアンスが異なります。両方示しますので比べてみてください。

Marina



Sacha Distel, La belle vie



アルバムForever Gentlemen(2013年)で、ダニー・ブリアンDany Brillant, ダミアン・サルグDamien Sargue, ロッシュ・ヴォワジヌRoch Voisine がフランス語で歌っています。



La belle vie   美しい人生
Sacha Distel  サッシャ・ディステル


Ô la belle vie
Sans amour
Sans soucis
Sans problème.
Hum la belle vie
On est seul
On est libre
Et l'on s'aime.
On s'amuse à passer avec tous ses copains
Des nuits blanches
Qui se penchent 
Sur les petits matins.

  おお美しい人生よ
  愛もなく
  心配もなく
  問題もない。
  うん美しい人生よ
  僕たちは孤独だ
  僕たちは自由だ
  僕たちは愛し合う。
  僕たちは仲間たちみんなと
  夜を徹して興じ
  夜明けの訪れを
  案じる。

La belle vie2


Mais la belle vie
Sans amour
Sans soucis
Sans problème.
Oui la belle vie
On s'enlace
On est triste
Et l'on traîne.
Alors pense que moi je t'aime
Et quand tu auras compris
Réveille-toi
Je serai là
Pour toi.

  だが美しい人生よ
  愛もなく
  心配もなく
  問題もない。
  そう美しい人生よ
  僕たちははぐれ
  僕たちは悲しみ
  僕たちはさまよう。
  そのとき僕は君を愛しているんだと知る
  そして君が気づいてくれたなら
  目を覚ましてよ
  僕はそこにいるよ
  君のために。

[注] se pencher sur「…のことを心配する」




The Good Life  グッド・ライフ
Tony Bennett  トニー・ベネット


Oh, the good life,
full of fun seems to be the ideal
Mm, the good life,
let's you hide all the sadness you feel
You won't really fall in love
for you can't take the chance
So please be honest with yourself,
Don't try to fake romance

  おお、いい人生だ、
  喜びに満ち望ましく思える
  うん、いい人生だ、
  君が感じる悲しみをすべて隠してくれる
  君は恋に落ちることはけっしてない
  チャンスをつかめないからだ
  だから自分自身に正直であってくれ、
  ロマンスなどでっちあげようとしないでくれ

It's the good life
to be free and explore the unknown
Like the heartaches
when you learn you must face them alone
Please remember I still want you,
and in case you wonder why
Well, just wake up,
kiss the good life goodbye

  いい人生だよ
  自由で未知のものを探るのは
  心の痛みなどのね
  学ぶにはひとりでそれらに向かわなきゃならない
  どうか覚えていてくれ僕にはまだ君が必要なんだ、
  君がなぜなんだろうと思ったなら
  さぁ、目を覚まして、
  いい人生にさよならのキスをするんだ

Tony Bennett





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2016
07.21

名もない人々Les gens sans importance

Yves Duteil Les gens sans importance


イヴ・デュテイユYves Duteilの曲はすでに何曲か取り上げました。今回ご紹介する「名もない人々Les gens sans importance」は、「夜の通行人に捧ぐHommage au passant d'un soir」とともに、1981年に出たアルバムCa n est pas c' qu'on fait qui compteに収録されています。



Les gens sans importance  名もない人々
Yves Duteil           イヴ・デュテイユ


Ce sont des gens sans importance 注1
Avec des gestes quotidiens
Qui font renaître l’espérance
Et le bonheur entre leurs mains.

  それは平凡なふるまいをする
  名もない人々だ
  手のうちで
  希望と幸福をよみがえらせるのは。

Yves Duteil4


Ce sont des gens sans artifices
Qui vous sourient quand ils sont bien
Et vont cacher leurs cicatrices
Parmi les fleurs de leurs jardins.

  それは作為のない人々だ
  元気なときにはあなたがたに微笑みかけ
  庭の花々のあいだに
  自分の傷を隠そうとするのは。

Ils ont le cœur un peu fragile
Et la pudeur de leurs chagrins
Leur donne un doux regard tranquille,
Un peu lointain.

  彼らはちょっとばかり繊細な心を持っているから
  自分の悲しみに対する恥じらいが
  彼らに 静かで、ちょっとぼやっとした
  優しいまなざしをもたらしている。

Yves Duteil2


Ce sont des gens sans importance
Et qui parfois ne disent rien
Mais qui sont là par leur silence,
Quand ils sont loin.

  それは名もない人々で
  ときには何も言わない
  だが彼らは遠くにいても、
  沈黙という形で存在している。

Moi j’ai le cœur en plein Décembre. 注2
L’ami Pierrot s’en est allé 注3
En emportant mes chansons tendres
Et ton passé 注4

  僕ときたら真冬の気分だ。
  友だちのピエロが行ってしまった
  持ち去って 僕の優しい歌と
  君の過去の思い出を

Yves Duteil1


Et tous les mots sans importance 注5
Qui résonnaient dans la maison,
Mais qui sont lourds de son absence
Dans ma chanson.

  そして 家のなかで響いていた、
  たあいのない言葉もすべて、
  だがそれらは彼の不在によって重く残る
  僕の歌のなかに。

C’est peut-être à ceux-là qu’on pense 注6
Quand la mort vient rôder, pas loin, 注7
En emportant notre insouciance
Un beau matin.

  僕らが思うのはたぶんあの人々のことだ
  遠からず、死がうろつき始めたときに、
  僕らの無頓着を奪って
  ある朝に。

Yves Duteil3


À tous ces gens sans importance
Avec lesquels on est si bien
Qui font renaître l’espérance
Et sans lesquels on n’est plus rien.

  これら名もない人々すべてのことだ
  彼らといると僕たちはとても元気で
  彼らは希望をよみがえらせてくれる
  彼らがいなければ僕らはもう無力だ。

[注]
1 sans importance「重要性のない」「権威を持たない」という意味だが、一般的な邦題の「名もない」を採用した。「遠くの親戚より近くの隣人(他人)」という格言が思い出される。Ce sont … qui …:後続の節との関連で、「それは…で、彼らは…だ」という形で訳していたが、.「…するのは…だ。」という構文として訳し直した。
2 Décembre「12月」というより「冬」で、en plein Décembre「真冬」。le cœurを修飾し「暗い気持ち」をあらわしている。
3 l’ami Pierrot:前回の「ラ・ダム・ブリュンヌ(褐色の髪の女性)La dame brune」で紹介したフランスの古い童謡「月明かりでAu clair de la lune」のmon ami Pierrotを「友だち」の代名詞としている。
4 ton passé「君の過去の姿、君が残した思い出」という意味合いであろう。君とはmon ami Pierrot。
5 tous les motsも前節のemportantの目的語に含まれると解釈する。
6 ceux-là 「あの人々(物たち)」は次節のtous ces gens sans importanceとなる。
7 pas loin「(時間的に)遠くない」と捉えた。



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2016
07.20

褐色の髪の女性La dame brune

Barbara Ma plus belle histoire damour


今回は、ジョルジュ・ムスタキGeorges MoustakiがバルバラBarbaraのために作り、二人で歌っている「褐色の髪の女性La dame brune」です。この歌詞はフランスの古い童謡「月明かりでAu clair de la lune」を踏まえて作られていますが、この童謡は、月の光の中でペンと明かりを貸して欲しいという歌詞の裏に、男が女に部屋に入れて欲しいと求愛する意味が隠されています(ページの最後に動画・歌詞・邦訳を入れましたのでご覧ください)。女好きで知られるムスタキがこの曲によって褐色の髪の女性すなわちバルバラに求愛したということではないにせよ、敬愛の念はたいへんに込められているようです。 バルバラの1967年のアルバム:Ma plus belle histoire d'amour に収録されています。



La dame brune          褐色の髪の女性
Barbara & Georges Moustaki  バルバラ&ジョルジュ・ムスタキ

        
Pour une longue dame brune, j'ai inventé
Une chanson au clair de la lune, quelques couplets.
Si jamais elle l'entend un jour, elle saura
Que c'est une chanson d'amour pour elle et moi.

  すらりとした褐色の髪の女性のために、僕は作った
  月明かりのシャンソンを、何節かの。
  もしも彼女がいつかこれを聴いたら、分かってくれるだろう
  これが彼女と僕との愛のシャンソンだということを


La dame brune1


Je suis la longue dame brune que tu attends.
Je suis la longue dame brune et je t'entends.
Chante encore au clair de la lune, je viens vers toi.
Ta guitare, orgue de fortune, guide mes pas. 注1

  わたしはあなたが待っているすらりとした褐色の髪の女性よ。
  わたしはすらりとした褐色の髪の女性であなたの歌を聴くわ。
  また月明かりを歌ってよ、あなたのところへ行くから。
  オルガンの代用の、あなたのギターがわたしを導いてくれるわ。


Pierrot m'avait prêté sa plume ce matin-là.
A ma guitare de fortune j'ai pris le la. 注2
Je me suis pris pour un poète en écrivant 注3
Les mots qui passaient par ma tête comme le vent.

  ピエロがその日の朝、僕にペンを貸してくれていた。
  僕は間に合わせのギターにラの音を合わせた。
  僕は自分を詩人だと思い込んだんだ
  風のように頭のなかを通り過ぎる言葉を書きとめながら。


Pierrot t'avait prêté sa plume cette nuit-là.
A ta guitare de fortune, tu pris le la,
Et je t'ai pris pour un poète en écoutant
Les mots qui passaient par ta tête comme le vent.

  ピエロがその日の夜、あなたにペンを貸してくれたのね。
  あなたは間に合わせのギターに、ラの音を合わせ、
  そしてわたしはあなたを詩人だと思ったわ
  風のように頭のなかを通る言葉を聞きながら。


J'ai habillé la dame brune dans mes pensées
D'un morceau de voile de brume et de rosée.
J'ai fait son lit contre ma peau pour qu'elle soit bien,
Bien à l'abri et bien au chaud contre mes mains.  注4

  僕は心のなかで褐色の髪の女性に
  霧と露でできた一枚のベールを着せた。
  僕は彼女のベッドを作った、彼女が心地いいようにと僕の肌に沿わせ、
  とても安全で暖かいようにと僕の手に沿わせて。


Habillée de voile de brume et de rosée
Je suis la longue dame brune de ta pensée.
Chante encore au clair de la lune, je viens vers toi
A travers les monts et les dunes,. j'entends ta voix.

  霧と露でできた一枚のベールを着せられ
  わたしはすらりとした褐色の髪の女性。
  また月明かりのシャンソンを歌ってよ、あなたのところへ行くから
  山を越えて丘を越えて、あなたの声が聴こえてくるわ。


La dame brune3


Pour une longue dame brune, j'ai inventé
Une chanson au clair de la lune, quelques couplets.
Je sais qu'elle l'entendra un jour, qui sait demain,
Pour que cette chanson d'amour finisse bien.

  すらりとした褐色の髪の女性のために、僕は作った
  月明かりのシャンソンを、何節かの。
  彼女はいつかこれを聴くと僕は知っていて、彼女もまもなく知るさ、
  この愛のシャンソンがめでたく終わることになると。


Bonjour, je suis la dame brune, j'ai tant marché.
Bonjour, je suis la dame brune, je t'ai trouvé.
Fais-moi place au creux de ton lit, je serai bien,
Bien au chaud et bien à l'abri contre tes reins.

  こんにちは、私は褐色の髪の女性よ、たくさん歩いたわ。
  こんにちは、私は褐色の髪の女性よ、あなたを見つけたわ。
  あなたのベッドの窪みにわたしの場所を空けてね、わたしは心地よくなるわ、
  あなたの腰にぴったり寄り添ってとても暖かくて安全で。


La la la la…

[注]
1 de fortune「間に合わせの、仮の」
2 prendre le la「ラの音を合わせる」
3 prendre pour…「…だと思い込む」
4 à l'abri「安全な場所に」。au chaud「暖かいところに」




Au clair de la lune  月明かりで

Au clair de la lune, mon ami Pierrot
Prête-moi ta plume, pour écrire un mot.
Ma chandelle est morte, je n'ai plus de feu.
Ouvre-moi ta porte, pour l'amour de Dieu.

  月明かりのもと、お友だちのピエロ君、
  ペンを貸してよ、手紙を書くため。
  僕のろうそくは消えて、明かりがないんだよ。
  ドアを開けてよ、お願いだから

Au clair de la lune, Pierrot répondit:
«Je n'ai pas de plume, je suis dans mon lit.
Va chez la voisine, je crois qu'elle y est
Car dans sa cuisine, on bat le briquet.»

  月明かりのなか、ピエロは答えた:
  「ペンは持ってないし、もうベッドにいるんだ。
  お隣へおゆき、彼女はいるはずだよ
  だって台所で、火打石を打っているよ。」

Au clair de la lune, l'aimable Lubin
Frappe chez la brune. Elle répond soudain:
«Qui frappe de la sorte ?, il dit à son tour:
―Ouvrez votre porte, pour le Dieu d'Amour ! »

  月明かりのなか、優しいリュバンは
  褐色の髪の人の戸を叩く。彼女はすぐさま答える。
  「誰が戸を叩くの?」彼は応じて言う
  「扉を開けてよ、愛の神に免じて!」

Au clair de la lune, on n'y voit qu'un peu.
On chercha la plume, on chercha du feu.
En cherchant d'la sorte je n'sais c'qu'on trouva.
Mais je sais qu'la porte sur eux se ferma.

  月明かりでは、よく見えない。
  彼らはペンを探した、明かりを探した。
  戸口を探しつつ、彼らが何を見つけたか僕は知らないよ。
  でも知ってるんだ、扉が彼らの後ろで閉まったって。

La dame brune4



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2016
07.19

私の天使Un ange comme ça

Lucienne Delyle Un ange comme ça


前回の曲とは反対で、私の彼は天使だという曲です。リュシエンヌ・ドリールLucienne Delyleの「私の天使Un ange comme ça」は、1947年に、ダニエル・オルティスDaniel Hortisが作詞し、ギ・マジャンタGuy Magentaが作曲しました。



Un ange comme ça  私の天使
Lucienne Delyle    リュシエンヌ・ドリール


C'est du tonnerre de posséder un ange comme ça
C'est du tonnerre de pouvoir dire qu'il est à moi
Ses yeux rieurs, son teint bronzé
Son rire joyeux, son grain de beauté 注1
Ils sont à moi, ils sont ma joie, j'en suis cinglée
C'est pas du vent, c'est du réel et croyez-moi 注2
Apollon même à côté de lui n'existe pas
Imaginez un demi dieu
Que je suis seule à rendre heureux
C'est du tonnerre de posséder un ange comme ça

  こんな素晴らしい天使を持ってるって最高よ
  それが私のものだって言えるって最高よ
  にこやかな目、日焼けした顔色
  快活な微笑、ほくろ
  みんな私のもの、みんな私の喜び、私はそれにまいっちゃった
  絵空言じゃないわ、本当のことよ信じて
  アポロンでさえ、その傍じゃ影が薄い
  私だけがしあわせにすることができる
  半神を想像してみて
  こんな素晴らしい天使を持ってるって最高よ

Un ange comme ça2


S'il est modeste et ne se croit pas un beau garçon
On ne peut pas dire que je l'ai choisi pour ses millions
Il est fauché comme un champ de blé à la moisson 注3
Mais je m'en fou, j'ai de l'amour plein la maison
Mais puisqu'il m'aime, puisque je l'aime, puisqu'il est là
Pourquoi chercher et des raisons et des pourquoi
Je suis heureuse, j'ai pas de soucis
Je l'suis au bal tous les samedis
C'est du tonnerre de posséder un ange comme ça

  もし彼が平凡で自分が美男子だとは思っていなくても
  私が彼を財産目当てで選んだとはだれにも言えない
  彼はすっからかんの一文なし
  でもそんなことどうでもいい、私は家いっぱいの愛を持っているから
  そしてまた彼は私を愛し、私は彼を愛し、彼はここにいるから
  どうして探すの、理由やら訳やら
  私はしあわせ、心配なんかない
  毎土曜日には彼について踊りに行くの
  こんな素晴らしい天使を持ってるって最高よ

C'est du tonnerre de posséder un ange comme ça
J'ai dit un ange mais sincèrement c'est bien mieux que ça
Je suis violente et ça me désole
Je casserais tout, me perds la boussole 注4
Quand on le regarde, quand il s'attarde
Je deviens folle
Mais dans ses bras je me blottis comme un bambin
Il me sourit et dans ses yeux y a du chagrin
Je suis un démon, lui c'est un ange
Et c'est pour ça que tout s'arrange
C'est du tonnerre de posséder un ange comme ça

  こんな素晴らしい天使を持っているって最高よ
  天使と言ったけれど本当はそれ以上
  困ったことに私は激しい性格
  すべてをぶち壊し、自分を見失う
  誰かが彼に目を向け、あの人がかかずらっていると
  私はカッカしてしまう
  それでもあの人の腕のなかでは子供のように身を寄せるのよ
  彼は私に微笑みその目には悲しみが宿る
  私は悪魔、彼ったら天使
  すべてうまく行ってるのはそんな訳
  こんな素晴らしい天使を持ってるって最高よ

Un ange comme ça3


[注]
1 grain de beauté「ほくろ」
2 du vent「無価値・無意味なもの、実体のないもの」
3 fauché comme un champ de blé=fauché comme les blé「すかんぴんである」。fauché自体が「刈り取られた」「文無しの」という意味で、「麦畑のようにfauchéである」という言い回しで「文無し」であることを冗語法的に表現した成句。
4 boussoleは「羅針盤」で、perdres la boussoleは「頭が変になる、取り乱す」




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2016
07.18

ジョニー、あなたは天使じゃないJohnny, tu n'es pas un ange

Édith Piaf Johnny, tu nes pas un ange


エディット・ピアフÉdith Piafの歌う、「ジョニー、あなたは天使じゃないJohnny, tu n'es pas un ange」の原曲は、Richard Steinが1937年に作ったルーマニア民謡Sanie cu zurgălăi (「鈴のついた橇」の意味)です。
これを、1953年にJohnny Is The Boy For Meという題名の英語の曲としてアメリカのレスター・ウィリアム・ポルスファスLester William Polsfuss(通称:レス・ポールLes Paul)が編曲し、妻のメアリー・フォードMary Fordとのデュオで歌いました。レス・ポールは、歌手、作曲家、ギタリストで、ピアノ、バンジョー、ハーモニカも演奏し、発明家でもあり、エレクトリック・ギター「ギブソン・レスポール」の生みの親として知られています。
そして、同年にフランシス・ルマルクFrancis Lemarqueがそのフランス語歌詞を作り、ピアフが歌いました。「ドミノDomino」と同様、ジョニーはつれない恋人です。

Sanie cu zurgălăi



Johnny Is The Boy For Me



Johnny, tu n'es pas un ange



Johnny, tu n'es pas un ange  ジョニー、あなたは天使じゃない
Édith Piaf             エディット・ピアフ


Johnny, tu n´es pas un ange 注1
Ne crois pas que ça m´ dérange
Jour et nuit, je pense à toi
Toi, tu te souviens de moi
Au moment où ça t´arrange
Et quand revient le matin
Tu t´endors sur mon chagrin
Johnny, tu n´es pas un ange!

  ジョニー、あんたは天使じゃない
  だからって私が悩んでいると思わないで
  昼も夜も、私はあんたのことを思う
  あんたときたら、あんたに都合のいい時に
  わたしのことを思い出す
  朝がやってくれば
  あんたは私の悲しみのうえで眠る
  ジョニー、あんたは天使じゃない

{Refrain:}
Johnny! Johnny!
Si tu étais plus galant
Johnny! Johnny!
Je t´aimerais tout autant

  ジョニー!ジョニー!
  もしあんたが女に優しかったら
  ジョニー!ジョニー!
  私はもっとあんたを愛したろうに

Johnny, tu nes pas un ange1


Johnny, tu n´es pas un ange
Ne crois que pas que ça m´ dérange
Si tu me réveilles la nuit
C´est pour dire que tu t´ennuies
Que tu veux une vie de rechange
Mais quand revient le matin
Tu t´endors sur mon chagrin
Johnny, tu n´es pas un ange!

  ジョニー、あんたは天使じゃない
  だからって私が悩んでいると思わないで
  あんたが夜に私を起こすとしたら
  あんたがうんざりしていて
  別の生活がしたいって言うためなの
  でも朝が来ると
  あんたは私の悲しみのうえで眠る
  ジョニー、あんたは天使じゃない!

{au Refrain}

Johnny, tu nes pas un ange2


Johnny, tu n´es pas un ange
Entre nous, qu´est-ce que ça change?
L´homme saura toujours trouver
Toutes les femmes du monde entier
Pour lui chanter ses louanges 注2
Dès qu´il en sera lassé
Elles seront vite oubliées
Vraiment, vous n´êtes pas des anges!

  ジョニー、あんたは天使じゃない
  私たちの関係で、だからって何が変わるというの?
  男はいつだって世界中から自分をあがめる女たちを
  見つけることができて
  男が飽きたときにゃ
  女たちはすぐさま忘れられてしまう
  ほんとに、あんたたち男は天使じゃないわ!

Johnny! Johnny!
Depuis que le monde est né 注3
Johnny! Johnny!
Il faut tout vous pardonner

  ジョニー!ジョニー!
  天地開闢以来
  ジョニー!ジョニー!
  あんたたち男をみんな許さなきゃならないのね

Ahh! Johnny...

  ああ!ジョニー…

[注]
1 ange「(徳、優しさ、美しさにおいて)天使のような人」。この歌詞では、第2節に出てくるgalant「(女性に)親切な、礼儀ただしい」という表現に合うような男。
2 chanter les louanges de…「…を誉めそやす」
3 depuis que le monde est né「天地開闢以来、当初から」。depuis que le monde est mondeともいう。



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2016
07.17

恋の季節Le temps de l'amour

Le temps de lamour


フランソワーズ・アルディーFrançoise Hardyの「恋の季節Le temps de l'amour」(作詞: André Salvet, Lucien Morisse、作曲: Pierre Grascolas)を、最近ふと耳にして、古い曲で音質も悪いし、野暮ったい伴奏だなと思いつつも、心の奥をくすぐられるような感じがして、妙にこの曲が気になりました。リリースされたのは1962年。ちょうど、弘田三枝子の「悲しき片思い」(61年)、「ヴァケイション」(62年)と同じ頃で、ミコちゃんと同い年の私は実際に「悲しき片思い」を少しばかり経験していました。そしてその後、ピンキーとキラーズの「恋の季節」(68年)は、私自身の「恋(+失恋)の季節」そのものでした。私と同じ団塊の世代の方々にとっては、60年代すなわちイエイエYéyéの時代は青春と重なりますね。和製ポップスのみならずイエイエの曲も、その頃ちゃんと聴いていなくても、今聴くとなにか懐かしさのようなものを感じさせるのではないでしょうか?

歌詞の最後に、「ひとはそれを思い出すOn s'en souvient」が繰り返されます。「恋の季節」を思い出す人のための曲なんですね。




旦那のジャック・デュトロンとデュオで歌っている動画もあります(→こちら)。歌詞の書かれた紙を掲げて二人の前にしゃがみ込んでいるおじさんが、なんともおかしいです。

Le temps de l'amour   恋の季節
Françoise Hardy     フランソワーズ・アルディー


C'est le temps de l'amour
Le temps des copains et de l'aventure 注1
Quand le temps va et vient
On ne pense à rien malgré ses blessures

  それは恋の季節
  仲間たちとアヴァンチュールの季節
  季節が行ったり来たりするとき
  ひとは傷つきながらもなにも考えやしない

Car le temps de l'amour c'est long et c'est court
Ça dure toujours, on s'en souvient 注2

  なぜなら恋の季節は長くもあり短くもある
  それはずっと続き、ひとはそれを思い出す

On se dit qu'à vingt ans 注3
On est le roi du monde
Et qu'éternellement
Il y aura dans nos yeux tout le ciel bleu

  二十歳のころは
  自分を世界の王だと思っている
  そして青空がまるごと自分の眼の中に
  永遠にあるだろうと

Françoise Hardy1


C'est le temps de l'amour
Le temps des copains et de l'aventure
Quand le temps va et vient
On ne pense à rien malgré ses blessures

  それは恋の季節
  仲間たちとアヴァンチュールの季節
  季節が行ったり来たりするとき
  ひとは傷つきながらもなにも考えない

Car le temps de l'amour ça vous met au coeur
Beaucoup de chaleur et de bonheur

  なぜなら恋の季節はあなたの心に
  たくさんの熱情と幸福を与えるから

Un beau jour c'est l'amour 注4
Et le coeur bat plus vite
Car la vie suit son cours 注5
Et l'on est tout heureux d'être amoureux

  ある日には それは恋
  そして心臓はもっと速く打つ
  なぜなら人生は予想通りになるものだから
  そしてひとは恋しているととても幸せ

Françoise Hardy3



C'est le temps de l'amour
Le temps des copains et de l'aventure
Quand le temps va et vient
On ne pense à rien malgré ses blessures

  それは恋の季節
  仲間たちとアヴァンチュールの季節
  季節が行ったり来たりするとき
  ひとは傷つきながらもなにも考えない

Car le temps de l'amour c'est long et c'est court
Ça dure toujours on s'en souvient
On s'en souvient
On s'en souvient
On s'en souvient

  なぜなら恋の季節は長くもあり短くもある
  それはずっと続き、ひとはそれを思い出す
  ひとはそれを思い出す
  ひとはそれを思い出す
  ひとはそれを思い出す

Françoise Hardy4


[注] le tempsには「時」「時代」「(人生の)時期」「季節」など、複数の意味があるが、ピンキラの曲名と同じ「恋の季節」という邦題を用いた。日本語の「季節」も、「四季」のみならず、人生の「時期」という意味合いで用いられるので、歌詞中もそれに合わせた。訳語を使い分けたほうがいい個所もあるが、同じ語の繰り返しを活かすことにした。
1 aventure「冒険」と訳してもよかったが、「情事」などのニュアンスを含んだ「アヴァンチュール」は日本語でも通用するので。
2 toujours「常に」「今でも」「永遠に」という複数の意味があり、文脈で判断するしかない。
3 se dire「自分に言う→心に思う」。vingt ans「二十歳=青春」
4 前節に、「恋の季節」が、たくさんの「熱情」と「幸福」を与えるとあり、それが或る日には「恋」だという。
5 suivre son cours「通常の経過をたどる、予想通りになる」



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2016
07.16

サンドリオンCendrillon

Téléphone


今回は「灰かぶり」すなわち[シンデレラ]を歌った曲をご紹介します。フランス語で書かれたペローの童話の題名どおりの「サンドリオンCendrillon」という曲です。歌っているのは、若手(だった?)ロック・グループ、テレフォンヌTéléphone。このグループはJean-Louis Aubert(ギター、ヴォーカル)、Luis Bertignac(ギター、ヴォーカル)、Richard Kolinka(ドラム)の男性3人と、女性ベーシストCorine Marienneauの4人で、1976に結成し1986年に解散。ちょうど10年間の活動でした。彼らはルックスと音楽センスの良さで海外でも高い評価を受け、1984年には来日して多くのファンを喜ばせてくれました。代表曲は、ほかに「夜が明けてLe jour s’est levé」「Un autre monde」「New York avec toi」など。

もとの童話では、かわいそうな境遇だったサンドリオンは王子様と結ばれて末永くしあわせに暮らすことになっていますが、この歌では、そんなにうまくは行きません。未来への夢を描きつつもどんどん悲惨な運命を辿っていくサンドリオン。人生の不条理を残酷童話風に描いてるといったところでしょうか。最後に、神様にいちゃもんをつけて終わります。

ステージで歌っている動画です。解散を惜しんだ人は多かったことでしょうね。



Cendrillon  サンドリオン(シンデレラ)
Téléphone  テレフォンヌ


Cendrillon pour ses vingt ans
Est la plus jolie des enfants
Son bel amant, le prince charmant
La prend sur son cheval blanc
Elle oublie le temps
Dans ce palais d’argent
Pour ne pas voir qu’un nouveau jour se lève
Elle ferme les yeux et dans ses rêves
Elle part, jolie petite histoire (2x) 注1

  20歳のサンドリオンは
  子供たちのなかでいちばんきれいだ
  美しい恋人、魅惑の王子は
  彼女を自分の白馬に乗せた
  彼女はときを忘れた
  銀の宮殿で
  新たな日の出を見ないために
  彼女は目を閉じた そして夢のなかで
  彼女はハジけた、美しい小さな物語だよ

Cendrillon2.jpg


Cendrillon pour ses trente ans
Est la plus triste des mamans
Le prince charmant a foutu l’camp 注2
Avec la belle au bois dormant 注3
Elle a vu cent chevaux blancs
Loin d’elle emmener ses enfants
Elle commence à boire
A traîner dans les bars 注4
Emmitouflée dans son cafard 注5
Maintenant elle fait le trottoir 注6
Elle part, jolie petite histoire (2x)

  30歳のサンドリオンは
  ママたちのなかでいちばん悲しい
  魅惑の王子は行ってしまった
  眠れる森の美女といっしょに
  彼女は100頭の白馬が
  彼女の子供たちを遠くに連れ去るのを見た
  彼女はバーに入りびたって
  酒を飲むようになった
  憂鬱に包み込まれて
  今では彼女は客の袖を引いている
  彼女は道を外れた、美しい小さな物語だよ

Cendrillon1.jpg


Dix ans de cette vie ont suffi
A la changer en junkie
Et dans un sommeil infini
Cendrillon voit finir sa vie
Les lumières dansent
Dans l’ambulance
Mais elle tue sa dernière chance
Tout ça n’a plus d’importance
Elle part
Fin de l’histoire

  10年もこの生活が続けば十分だった
  彼女を麻薬中毒に変えるためには
  そして醒めることのない眠りのなかで
  サンドリオンは自分の人生が終わるのを見た
  光が踊っている
  救急車のなかで
  だが彼女は最後のチャンスを殺してしまった
  そんなことはすべてもはや大事じゃない
  彼女は逝った
  物語はおしまいさ

Cendrillon3.jpg


Notre Père qui êtes si vieux 注7
As-tu vraiment fait de ton mieux?
Car sur la Terre et dans les Cieux
Tes anges n’aiment pas devenir vieux 注8

  いと年老いたるわれらが父よ
  あんたほんとにベストを尽くしたのかい?
  だって地上でも天上でも
  あんたの天使たちは年老いたくなんぞないんだよ

[注]
1 このelleは最初、後続のjolie petite histoireと考えたが、指摘を受け、これはCendrillonであり、3回出てくるElle partはそれぞれ意味が異なることを理解して訂正した。
2 foutre le camp (話し言葉で)「立ち去る、逃げる」=ficher le camp。
3 la belle au bois dormant同じくペローの童話の「眠れる森の美女」。「ほかの女性」くらいの意味で使われている。
4 traînerはここでは自動詞で、「うろつく、むだに時間を過ごす」
5 cafard「憂鬱」。
6 faire le trottoir「(街娼が)客の袖を引く」
7 Notre Père qui êtes aux cieux「天にまします我らが神よ」という、Pater Noster「主の祈り」をもじっている。ここでは、êtesを用いてvouvoyerしているが、次行からはtutoyerに変わっている。歌詞サイトから引いてきた歌詞だが、実際は、Notre Père qui es si vieuxと歌っているのかもしれない。
8 tes angesは、上の行にsur la Terre et dans les Cieuxとあることから、地上の人間たちも含めた表現。




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2016
07.15

《アフタヌーン シャンソンライブ》

17日に、広尾・恵比寿の「ファンタスティコ」でシャンソンライブをおこないます。岩手の一條荘子さんと東京の伊藤桂子さんは東京シャンソンコンクールの入賞者。そして、真鶴の小口鮎子さん、宇藤カザン、私の5人がそれぞれ4曲ずつ歌います。昨日、銀座ヤマハホールでの午後・夜2部構成の《アミカル巴里祭》を無事に終えた今、私としては、こんなリラックスできるライブはとてもうれしいです。《アミカル巴里祭》マティネの部の関根忍さんのピアノは素晴らしかったですが、17日も関根さんなので、巴里祭で歌った曲をもうちょっと磨いて歌い直してみたいと思っています。当日券はありますので、お時間があればどうぞいらしてください。

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2016
07.15

希望に満ちてJe m'voyais déjà

Charles Aznavour Je mvoyais déjà


今回は、1960年にシャルル・アズナヴールCharles Aznavourが歌った「希望に満ちてJe m'voyais déjà」です。自らのことを語る口調の歌詞ですが、アズナヴール自身のことではなく、歌手として大成功する夢を実現することができずに終わった歌手の話。でも、自分とは異なる境遇の人たちのこととしてではなく、大歌手である自分も彼らと同類で、同じ気持ちを分かち合えるんだというメッセージが込められているようです。題名のJe m'voyais déjàは、「栄光に輝く将来の自分の姿がまるで目に見えるようだった」ということをあらわしています。「希望に満ちて」という邦題で呼ばれていますが、それを用いることにいたします。1980年の「自叙伝Autobiographie」という曲は、本当にアズナヴール自身の自伝的内容の曲です。そのうち取り上げましょう。



Je m'voyais déjà   希望に満ちて
Charles Aznavour  シャルル・アズナヴール


A dix-huit ans j'ai quitté ma province
Bien décidé à empoigner la vie
Le cœur léger et le bagage mince
J'étais certain de conquérir Paris

  18歳で故郷を去った
  人生をつかみ取ろうという決意で
  心軽やかにわずかな荷物を携え
  パリを征服するんだと確信していた

Chez le tailleur le plus chic j'ai fait faire
Ce complet bleu qu'était du dernier cri 注1
Les photos, les chansons et les orchestrations
Ont eu raison de mes économies 注2

  もっともシックなテイラーで
  最新流行の青い三つ揃いをあつらえた
  写真、歌そして編曲が
  貯金を食いつぶした

Je mvoyais déjà1


Je m'voyais déjà en haut de l'affiche 注3
En dix fois plus gros que n'importe qui mon nom s'étalait
Je m'voyais déjà adulé et riche
Signant mes photos aux admirateurs qui se bousculaient

  僕にはもう見えるようだった、ポスターの一番上に
  誰よりも10倍も大きく僕の名前が出ているのが
  僕にはもう見えるようだった、もてはやされて裕福で
  押しかけるファンたちのために写真にサインしている自分が

J'étais le plus grand des grands fantaisistes
Faisant un succès si fort que les gens m'acclamaient debout
Je m'voyais déjà cherchant dans ma liste
Celle qui le soir pourrait par faveur se pendre à mon cou

  僕は、観衆が総立ちで拍手喝采するほどの大当たりを取り
  大物タレントのなかでも最も大物のタレントになっていた
  僕にはもう見えるようだった、リストから選んでいる自分が
  夜に僕の首に抱きつく特権にあずかる女性を

Mes traits ont vieilli, bien sûr, sous mon maquillage
Mais la voix est là, le geste est précis et j'ai du ressort 注4
Mon cœur s'est aigri un peu en prenant de l'âge
Mais j'ai des idées, j'connais mon métier et j'y crois encor 注5

  僕の化粧の下の顔かたちは、もちろん老けたよ
  だが声は健在だし、動作はキビキビしているし気力もある
  歳を重ねるうちに気持ちが少々すさんで来たが
  だが僕は創意に富み、自分の仕事を知っていたしまだそれに信を置いていた

Rien que sous mes pieds de sentir la scène 注6
De voir devant moi le public assis, j'ai le cœur battant
On m'a pas aidé, je n'ai pas eu d'veine
Mais au fond de moi, je suis sur d'avoir du talent

  足もとにステージを感じただけで
  自分の前に座っている観客を見ただけで、胸が高鳴る
  援助を得ることもなく、ツイてもいなかった
  だが心のなかでは、自分には才能があると信じている

Je mvoyais déjà2


Ce complet bleu, y a trente ans que j'le porte
Et mes chansons ne font rire que moi
J'cours le cachet, j'fais du porte à porte 注7
Pour subsister j'fais n'importe quoi

  青い三つ揃い、それをもう30年も着ている
  そして僕の歌は僕だけしか楽しませやしない
  個人レッスンをし、訪問販売もする
  生きていくためには何だってやる

Je n'ai connu que des succès faciles 注8
Des trains de nuit et des filles à soldats 注9
Les minables cachets, les valises à porter
Les p'tits meublés et les maigres repas

  僕はショボいヒットしか得られなかった
  夜行列車や低級娼婦しか
  なさけないギャラ、旅行カバン
  ちっぽけな家具付きアパルトマン、粗末な食事

Je m'voyais déjà en photographie
Au bras d'une star l'hiver dans la neige, l'été au soleil
Je m'voyais déjà racontant ma vie
L'air désabusé à des débutants friands de conseils

  僕にはもう見えるようだった、写真に収まっている自分が
  冬には雪のなかで、夏には太陽のしたでスターと腕を組んで
  僕にはもう見えるようだった、
  助言を得たがる新人たちに悟りきった様子で自らの人生を語っている自分が

Je mvoyais déjà3


J'ouvrais calmement les soirs de première 注10
Mille télégrammes de ce Tout-Paris qui nous fait si peur 注11
Et mourant de trac devant ce parterre
Entré sur la scène sous les ovations et les projecteurs

  僕は初日の幕を落ち着いて開けた
  ひとを畏れ入らせるパリのお歴々からの千通もの電報
  1階席を前にして死ぬほど上がりながら
  喝采をうけスポットライトを浴びてステージに出て行った

J'ai tout essayé pourtant pour sortir de l'ombre
J'ai chanté l'amour, j'ai fait du comique et d'la fantaisie
Si tout a raté pour moi, si je suis dans l'ombre
Ce n'est pas ma faut' mais cell' du public qui n'a rien compris

  日陰から抜け出すためにあらゆることを試みた
  恋の歌を歌ったり、滑稽なもの、奇抜なものをやったりした
  僕が不発に終わったのは、僕が不遇なのは
  僕のせいじゃなくて何も分かってくれなかった観客のせいだ

On ne m'a jamais accordé ma chance
D'autres ont réussi avec un peu de voix mais beaucoup d'argent
Moi j'étais trop pur ou trop en avance
Mais un jour viendra je leur montrerai que j'ai du talent

  僕はまったくチャンスを与えてもらえなかった
  ほかのやつらは少しの声とたくさんのカネとで成功した
  僕はといえば、純粋過ぎたか先を行き過ぎたんだ
  だが僕に才能があることを彼らに見せつける日がいつか来るさ

[注]
1 dernier cri「最新(型)の」
2 se voire「自分を…だと想像する」。
3 avoir raison de…「…に打ち勝つ」
4 avoir du ressort「根性・気力がある」
5 avoir des idées「創意に富んでいる」
6 rien que…「ただ…だけで、ただ…だけのために」
7 courir le cachet「出稽古(家庭教師)をして回る」。faire du porte à porte「戸別訪問する」。
8 succès本義は「成功」だが、ここでは「ヒット、ヒット曲」と捉えたい。
9 fille(ou femme) à soldats「低級娼婦」
10 この節も想像した内容。
11 Tout-Paris(集合的に単数で)「パリの名士たち、パリのお歴々」




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2016
07.14

祭りはつづくLa fête continue

Édith Piaf La Fête Continue


Édith Piafエディット・ピアフの「祭りはつづくLa fête continue」は、イヴ・モンタンYves Montandが歌う「そして祭りはつづくEt la fête continue」とは別の曲で、とてもおもしろい内容です。http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-702.html
1950年、作詞・作曲:ミッシェル・エメールMichel Emer。



La fête continue  祭りはつづく
Édith Piaf      エディット・ピアフ


{Refrain :}
La fête bat son plein, musique et manèges, 注1
Nougats, carabines, voyantes, femmes nues.
Du matin au soir, c'est un long cortège :
Chansons, balançoires, la fête continue...

  祭りはたけなわだ、音楽や回転木馬、
  砂糖菓子、カービン銃、辻占の女たち、裸の女たち。
  朝から晩まで、えんえんと連なる:
  歌、ブランコ、祭りはつづく…

La fête continue6


A l'étage en-dessous, 'y a des gosses qui braillent.
Le père est malade, la mère est partie.
Il fout des taloches à toute la marmaille
Mais le bruit d' la fête couvre tous leurs cris.
Au-dessus, deux jeunes gens. Faut voir comme ils s'aiment,
Oui, mais leurs parents ne veulent rien savoir.
Ils ont décidé qu'ils s'aimeraient quand même
Et qu'ils se tueraient... et c'est pour ce soir...

  下の階では、わめいているガキたちがいる。
  父さんは病気で、母さんは出て行った。
  うるさいガキどもみんなにビンタをくらわす
  だが祭りのざわめきがその子らの叫び声をぜんぶ覆い隠す。
  上の階には、若い二人。彼らがどんなに愛し合ってるか見なくちゃ、
  そうさ、けど彼らの両親は何も分かろうとしない。
  彼らはそれでも愛し合おうと決め
  そして命を絶ったんだ…それは今夜のこと…

{Refrain}

Plus haut, c'est une veuve. Plus rien n' l'intéresse.
Elle n'avait qu'un fils, c'était toute sa vie
Il a disparu, emportant la caisse.
Depuis ce temps-là, elle pleure jour et nuit.
Le petit garçon qui sort de l'école
A eu un zéro, il sera puni
Et dimanche prochain, c'est ça qui l' désole,
Au lieu de la fête, il restera chez lui.

  さらに上の階は、後家さんだ。もう何も彼女の興味を引かない。
  彼女にはたった一人の息子しかいなくて、彼女のいのちだった
  彼は消えたんだ、金庫の金を持って。
  その時いらい、彼女は昼夜泣いて暮らしている。
  小さな男の子は下校する、
  0点を取ったから、罰をくらうだろう
  そして次の日曜日は、残念がるだろうが、
  祭りに行く代わりに、家にいることになる。

{Refrain}

La fête continue1


En face les p'tits vieux qui sont bien aimables
Ont perdu leur fille depuis vingt-cinq ans.
Ils n'ont qu'une marotte : faire tourner les tables.
Esprit, es-tu là ?... Et ils sont contents...
Et moi comme tout le monde, j'assiste à ces drames
Mais je ferme les yeux, j' pense à mon bonheur.
Nous nous sommes donnés tout deux corps et âme.
On est trop heureux pour avoir du cœur...

  お向かいさんはとても愛想のいい年寄り夫婦で
  25年前に娘を亡くした。
  彼らには妙な癖があって:テーブルをひっくり返すんだ。
  魂よ、そこにいるのかい?…そして彼らは満足する…
  そして私はねみんなと同様、こうしたできごとを目にする
  でも私は目を閉じ、自分のしあわせを思う。
  私たちは二つの体と心を与えられている。
  私たちは情を持つにはあまりにもしあわせすぎて…

{Refrain}

[注]
1 battre son plein「満潮で波が岸を打つ」という意味から、La fête bat son plein.「祭りはたけなわだ。」



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2016
07.14

《アミカル巴里祭》

7月14日(木)に《アミカル巴里祭》を開きます。午後と夜の2回公演です。詳細は下のリーフレットをご覧ください。当日券あります。

parissaij.jpg


曲目をご紹介しましょう。原題をクリックすると、このブログかアミカル・ド・シャンソンのブログのページが開きます。邦題が先に書かれているのは日本語歌唱です。

<マティネの部>
Je veux 私が欲しいものは
Sous le ciel de Paris パリの空の下
Mon amant de Saint-Jean サン・ジャンの私の恋人
Il venait d'avoir 18 ans 18歳の彼
J'oublie 忘却
C'est ma vie わが人生
La java bleu 青色のジャヴァ
Je ne veux pas travailler 働きたくないの
Ce n'est rien 何でもないさ
Inch'Allah インシャラー
Youkali tango ユーカリ・タンゴ
Message personnel 告白
Milord ミロール
Les moulins de mon cœur 風のささやき
Mon mec à moi モン・メッカ・モワ
Habanera ハバネラ
Vie violence ヴィー・ヴィオランス
Amsterdam アムステルダム
Quand on n'a que l'amour 愛しかない時
Le bal des Laze ラーズ家の舞踏会

<ソワレの部>
Je veux 私が欲しいものは
ナタリー Nathalie
Le cabotin 大根役者
L'amour c'est pour rien 恋心
Quand tu dors près de moi ブラームスはお好き
Parlez-moi d'amour 聞かせてよ愛の言葉を
La mer ラ・メール
La maison sous les arbres 木の下の家
Mes emmerdes うんざりな事
あの頃
生きる時代 Le temps de vivre
J'ai tellement de choses à dire 言いたいことはこんなにある
Hymne à l'amour 愛の讃歌
Love me, please love me 愛の願い
小雨降る径 Il pleut sur la route
Où es-tu passé mon St Germain des prés 想い出のサン=ジェルマン・デ・プレ
Que c'est triste Venise 悲しみのヴェニス
Padam…padam… パダム・パダム
Vie violence ヴィー・ヴィオランス
Et maintenant そして今は
Je m'voyais déjà 希望に満ちて
La bohème ラ・ボエーム


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2016
07.13

私は歌うJe chante

Charles Trenet Je chante


前回はジェラール・ルノルマンGérard Lenormanの「そして私は歌うEt moi je chante」を、そして以前に、シルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanの「わたしが歌うとしたらSi je chante」を取り上げましたが、本家本元を出しましょう。シャルル・トレネCharles Trenetの「私は歌うJe chante」です。

トレネと映画音楽を得意とするポール・ミスラキPaul Misrakiが、クリスチャン・スタンジェルChristian Stengelの同名の映画のために1938年に作りました。最後は幽霊になるという、ちょっと変わった歌詞です。

トレネの出演している映画の映像は→こちら



Je chante     私は歌う
Charles Trenet  シャルル・トレネ


Je chante!
Je chante soir et matin,
Je chante sur mon chemin
Je chante, je vais de ferme en château
Je chante pour du pain je chante pour de l´eau
Je couche
La nuit sur l´herbe des bois
Les mouches 注1
Ne me piquent pas
Je suis heureux, j´ai tout et j´ai rien
Je chante sur mon chemin
Je suis heureux et libre enfin.

  僕は歌う!
  僕は歌う夜も朝も、
  僕は歌う道すがら
  僕は歌う、僕は農園から城まで行く
  僕は歌うパンのため水のため
  僕は寝る
  夜に森の草の上で
  虻たちは
  僕を刺さない
  僕はしあわせだ、僕はなんでも持ってるしなんにも持ってない
  僕は歌う道すがら
  僕はしあわせで自由だってこと。

Je chante3


Les elfes
Divinités de la nuit,
Les elfes
Couchent dans mon lit.
La lune se faufile à pas de loup
Dans le bois, pour danser, pour danser avec nous.
Je sonne
Chez la comtesse aujourd'hui:
Personne,
Elle est partie,
Elle n´a laissé qu´un plat d´riz pour moi
Me dit un laquais chinois

  妖精たちは
  夜の女神さ、
  妖精たちは
  僕のベッドで寝る。
  月は忍び足で入り込む
  森のなかに、ダンスをするために、僕たちとダンスをするために。
  僕は呼び鈴を鳴らす
  今日は伯爵夫人宅の
  「誰もいないよ
  奥さまはあんたにご飯を一皿しか残されなかったよ」
  と、中国人の従僕が僕に言う

Je chante
Mais la faim qui me pousuit
Tourmente 注2
Mon appétit.
Je tombe soudain au creux d´un sentier,
Je défaille en tombant et je meurs à moitié
"Et Gendarmes,
Qui passez sur le chemin
Gendarmes,
Je tends la main.
Pitié, j´ai faim, je voudrais manger,
Je suis léger... léger..."

  僕は歌う
  だが空腹が僕につきまとい
  食欲が僕を蝕む。
  僕は突然、小道の窪みに倒れ込む、
  僕は倒れながら気を失い、半分死んだようになる
  「ねぇ、おまわりさんたち、
  通りがかった
  おまわりさんたち、
  僕は手を伸べているんだ。
  後生だよ、飢えてるんだ、なにか食べたいんだ、
  僕はガリガリだよ…ガリガリ…」

Je chante2


Au poste,
D´autres moustaches m´ont dit,
Au poste,
"Ah! mon ami, oui, oui, oui, oui
C´est vous le chanteur vagabond?
On va vous enfermer... oui, votre compte est bon." 注3
Nos ficelle,
Tu m´as sauvé de la vie,
Ficelle,
Sois donc bénie
Car, grâce à toi j´ai rendu l´esprit, 注4
Je me suis pendu cette nuit... et depuis...

  留置場で、
  別の髭面のおまわりたちが僕に言った、
  留置場で、
  「やぁ!お前さん、はいはいはいはい
  さすらいの歌うたいってのはあんただね?
  あんたを留置するぜ…そうさ、あんたは痛い目に遭うのさ。」と
  われらが紐よ、
  おまえは僕を人生から救い出してくれた、
  紐よ、
  祝福あれ
  なぜなら、おまえのおかげで僕は死ぬことができたんだから、
  僕は今夜、首を吊った…そしてそれからは…

Je chante!
Je chante soir et matin,
Je chante sur les chemins,
Je hante les fermes et les châteaux,
Un fantôme qui chante, on trouve ça rigolo
Et je couche,
La nuit sur l´herbe des bois,
Les mouches
Ne me piquent pas
Je suis heureux, ça va, j´ai plus faim,
Et je chante, sur mon chemin.

  僕は歌う!
  僕は歌う夜も朝も、
  僕は歌う道すがら、
  僕は農園から城までうろつく、
  歌う幽霊を、ひとは奇妙だと思う
  そして僕は寝る、
  夜に森の草の上で、
  虻たちは
  僕を刺さない
  僕はしあわせだ、いい調子だ、僕はもう空腹じゃない、
  僕は歌う、道すがら。

Je chante4


[注]
1 moucheは「蠅」ではなく、刺す「虻」。
2 動詞tourmenterと主語mon appétitが倒置されている。
3 son compte est bon「…は痛い目に遭う」
4 rendre l´esprit「息を引き取る、死ぬ」



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2016
07.12

そして私は歌うEt moi je chante

Gérard Lenorman Et moi je chante


シンガー・ソングライターのジェラール・ルノルマンGérard Lenormanは、Zazと歌った「しあわせのバラードLa ballade des gens heureux」を以前取り上げました。彼は、ジュリアン・クレールJulien Clercの後をつぎ、1970年から1年間、ミュージカル「ヘアーHair」の主役をこなしたことでも知られています。
今回は1975年にディディエ・バルブリヴィアンDidier Barbelivienとともに作った「そして私は歌うEt moi je chante」です。

わが心の風車(風の囁き)Les moulins de mon cœur」のアモリ・ヴァッシリAmaury Vassiliとデュオで歌っている動画。



Et moi je chante  そして私は歌う
Gérard Lenorman  ジェラール・ルノルマン


Je vois un train venir sur un nuage d´autrefois
Je vois une main tenir des fleurs mais elle n´a pas de doigts
Je vois un chien mourir d´avoir voulu suivre mes pas
Je vois l´hiver sourire aux années bleues de l´au-delà

  私は見る 昔の雲の上をやって来る列車を
  私は見る 花を持つ一つの手を だがその手には指がない
  私は見る 私のあとについて来たがった末に死んだ犬を
  私は見る あの世の蒼い歳月に冬が微笑みかけるのを

J´entends tomber la pluie dans le jardin des magiciens
J´entends des symphonies jouées par mille musiciens
J´entends un oiseau gris hurler au vent dans le lointain
J´entends pleurer la vie dans ma mémoire sans lendemain

  私は聞く 魔術師の庭に雨が降るのを
  私は聞く 千人のミュージシャンが演奏するシンフォニーを
  私は聞く 遠方で灰色の鳥が風に向かって咆哮するのを
  私は聞く 私の記憶のなかの明日のない人生が嘆くのを

Gérard Lenorman2


Je vois couler des villes au milieu d´océans cachés
Je vois des yeux qui brillent au silence des grands rochers
Je vois un jeu de quilles que je ne peux pas faire tomber 注1
Je vois une petite fille ensevelie au miroir des années

  私は見る 秘められた海の真ん中を街々が流れるのを
  私は見る 大きな岩山の静寂のなかに輝く瞳を
  私は見る 私には倒すことのできない九柱戯を
  私は見る 歳月の鏡に隠された小さな女の子を

Et moi je chante, je chante, je chante,
Je ne sais faire que ça je chante
De tout mon désespoir je chante, je suis heureux
Et moi et moi je chante, je chante, je chante
Je ne sais faire que ça je chante
De tout mon désespoir je chante, je suis heureux.

  そして私は歌う、私は歌う、私は歌う、
  私は歌うことしかできない
  すべての絶望から私は歌う、私は幸せだ
  そして私は私は歌う、私は歌う、私は歌う
  私はそれしかできない私は歌う
  すべての絶望から私は歌う、私は幸せだ

Gérard Lenorman3


J´entends tomber la pluie dans le jardin des magiciens
J´entends des symphonies jouées par mille musiciens
J´entends un oiseau gris hurler au vent dans le lointain
J´entends pleurer la vie dans ma mémoire sans lendemain
J´entends un vieux tambour sonner la charge des statues 注2
J´entends un cri d´amour que je n´ai jamais reconnu
J´entends les derniers jours frapper à mort ma tête nue 注3
J´entends un troubadour chanter le temps qui ne reviendra plus

  私は聞く 魔術師の庭に雨が降るのを
  私は聞く 千人のミュージシャンが演奏するシンフォニーを
  私は聞く 遠方で灰色の鳥が風に向かって咆哮するのを
  私は聞く 私の記憶のなかの明日のない人生が嘆くのを
  私は聞く 古い太鼓が彫像たちの突撃の合図を鳴らすのを
  私は聞く 私にはまったく聞き覚えのない愛の叫びを
  私は聞く 最後の日々が私の無帽の頭を死ぬほど打つのを
  私は聞く ひとりのトルバドゥールが戻らぬ時を歌うのを

Et moi je chante, je chante, je chante
Je ne sais faire que ça, je chante
De tout mon désespoir je chante, je suis heureux
Je chante, je chante, je chante
Je chante
Je chante

  そして私は歌う、私は歌う、私は歌う、
  私はそれしかできない、私は歌う
  すべての絶望から私は歌う、私は幸せだ
  私は歌う、私は歌う、私は歌う
  私は歌う
  私は歌う

Gérard Lenorman4


Je chante, je chante, je chante
Je ne sais faire que ça je chante
De tout mon désespoir je chante!

  そして私は歌う、私は歌う、私は歌う、
  私は歌うことしかできない
  すべての絶望から私は歌う!

[注]
1 jeu de quilles「九柱戯」ボウリングの前身とされるゲーム。
2 sonner la charge「突撃の太鼓(らっぱ)を鳴らす」
3 à mort「死ぬほど、ひどく」




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2016
07.11

急流Le torrent

Gloria Lasso Le torrent


グロリア・ラッソGloria Lassoの曲は、「愛の物語Histoire d'un amour」「マガリMagali」「ボン・ヴォワヤージュBon voyage」をすでに取り上げています。今回は、彼女の代表曲とされる「急流Le torrent」です。この曲はもともと、Lao Carmiが作曲し1955年のサン・レモ音楽祭で第2位に入賞したカンツォーネ「急流Il torrente」で、ピエール・ドラノエPierre Delanoëとピエール・アヴェPierre Havetがフランス語に翻案し、57年にグロリア・ラッソが歌ってフランスでもヒットしました。この曲は、彼女のライバルのダリダも歌っています。



Le torrent   急流
Gloria Lasso  グロリア・ラッソ


La la la…
Comme un torrent qui vient tout droit de la montagne
Et qui s'enfuit en bondissant parmi les champs
Découvrant dans la campagne toutes les fleurs du printemps
Mon cœur tout neuf est descendu parmi la ville
Gonflé d'amour et de bonheur à partager
Mais mon âme est moins tranquille
Depuis que j'ai tout quitté

  ラララ…
  山からまっすぐ流れ落ち
  畑のあいだを突き進んでいく急流のように
  野原にあらゆる春の花を見つけながら
  分かち合いたい愛と幸せに胸ふくらませ
  私のうぶな心は 町に降りたった
  だけど私の魂はあまり平穏ではなくなった
  すべてを捨て去ってからは

Le torrent1


Là-haut tout est lumière
En bas tout est chimère 

  上の世界ではすべてが輝きに充ち
  下の世界ではすべてがおぞましさに充ちている

Mais le torrent oublie bien vite sa montagne
Et comme lui suivant mon destin je descends
Et de colline en campagne
J'ai perdu mon cœur d'enfant

  けれど急流はすぐにふるさとの山を忘れる
  それと同じように私は運命のままに
  丘から野原へとくだって来て
  私は子どもの頃の心をうしなった

Pourtant souvent je pense
Au ciel de mon enfance

  でも私はしばしば想いを馳せる
  子どもの頃の空に

Le torrent2


Ce soir tu vois je me retrouve la vie douce
Vivre avec toi dans la clarté de mes vingt ans
Et remonter vers la source d'où jaillissent les printemps
Dans le silence
Des sapins blancs
Tu connaîtras près du torrent
Mon cœur d'enfant.

  ねぇあなた 今宵私はすてきな生活を取り戻す
  あなたとともに青春の輝きのなかに生きるのよ
  そして春が湧き出る泉へと遡るの
  雪で白くなった樅の木立の
  静けさに包まれて
  急流のほとりであなたは
  私の子どもの頃のままの心を知ってくださるわ。

[注] chimèreは、ギリシャ神話に出てくる怪獣「キマイラ」。「妄想」という意味でも用いられる。ここでは、là-haut「上のほう」すなわち「山」ではすべてがlumière「光」すなわち、「明るく輝くもの」であることに対して、en bas「下のほう」すなわち「町」ではすべてが「暗く、おぞましいもの」であると言っている。



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2016
07.10

さよなら エマニュエル夫人Good-Bye Emmanuelle

Good-Bye Emmanuelle Serge Gainsbourg


前回は映画「エマニエル夫人Emmanuelle」のテーマソングでしたが、「エマニエル三部作」の3作目の映画「さよなら エマニュエル夫人Good-Bye Emmanuelle」(1977年)のテーマソングは、セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgが作りジェーン・バーキンJane Birkinと歌っています。アルバム: De Gainsbourg à Gainsbarreにも収録。エマニュエル、エマニュエルという繰り返しにゲンズブール特有の言葉遊びを加えた歌詞。
なお、この3部作の主演女優:シルヴィア・クリステルSylvia Kristelは2010年に60歳で亡くなりました。「さよなら エマニュエル夫人Good-Bye Emmanuelle」は彼女への哀悼の言葉となりました。



Good-Bye Emmanuelle  さよなら エマニュエル夫人
Serge Gainsbourg     セルジュ・ゲンズブール


Emmanuelle, Emmanuelle, Emmanuelle, Good Bye
Emmanuelle aime les caresses buccales et manuelles
Emmanuelle aime les intellectuels et les manuels
Emmanuelle, Emmanuelle, Emmanuelle, Good Bye

  エマニュエル、エマニュエル、エマニュエル、グッバイ
  エマニュエルは口と手の愛撫が好きだ
  エマニュエルはインテリの男たちも肉体労働者たちも好きだ
  エマニュエル、エマニュエル、エマニュエル、グッバイ

Good-Bye Emmanuelle1


Emmanuelle, Emmanuelle, Emmanuelle, Good Bye
Emmanuelle n'a pas appris à aimer dans les manuels
Emmanuelle a besoin de sa dose de "Je t'aime" annuelle 
Emmanuelle, Emmanuelle, Emmanuelle, Good Bye

  エマニュエル、エマニュエル、エマニュエル、グッバイ
  エマニュエルは手引き書で愛し方を学んだわけじゃない
  エマニュエルは一年分の「ジュテーム」が必要だ
  エマニュエル、エマニュエル、エマニュエル、グッバイ

Emmanuelle, Emmanuelle, Emmanuelle, Good Bye
Emmanuelle aime les caresses buccales et manuelles
Emmanuelle aime les intellectuels et les manuels
Emmanuelle, Emmanuelle, Emmanuelle, Good Bye

  エマニュエル、エマニュエル、エマニュエル、グッバイ
  エマニュエルは口と手の愛撫が好きだ
  エマニュエルはインテリの男たちも肉体労働者たちも好きだ
  エマニュエル、エマニュエル、エマニュエル、グッバイ

Good-Bye Emmanuelle2


[注] doseは「分量」の意味で、sa doseは「自分の服用量、いつもの量」。話し言葉では、avoir sa dose「酔う、たたきのめされる」、en avoir sa dose「うんざりしている」といった表現も用いられる。



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2016
07.10

《マスター・クラス》

7月10日(日) に、スブリームのシャンソンセミナー《マスター・クラス》をおこないます。スブリーム・メソッドによる公開レッスンです。10時より大久保「シャンソン未来」にて。聴講は3000円で予約制です。ピアノ伴奏は、須藤信一郎さんに決まりました(下のリーフレットを訂正いたします)。

60710master.jpg




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2016
07.09

エマニュエルEmmanuelle

Pierre Bachelet Emmanuelle


ポルノ映画に分類されるようですが、ジュスト・ジャカンJust Jaeckin監督の「エマニエル夫人Emmanuelle」(1974年)という美しいフランス映画がありました。1959年にタイのバンコクで生まれた女流作家エマニュエル・アルサンEmmanuelle Arsanが書いた小説「エマニュエルEmmanuelle」を映画化したものです(→こちらのブログに詳しく解説されていますので参照ください)。ピエール・バシュレPierre Bacheletが歌っているそのテーマソングを今回取り上げます。ピエール・バシュレPierre Bacheletとエルヴェ・ロイHervé Royが作ったというデータがあります。この映画とその続編である「続エマニエル夫人Emmanuelle 2」(1975年)と「さよならエマニエル夫人Goodby Emmanuelle」(1977年)が「エマニエル3部作」とされ、3作すべてに主演したシルビア・クリステルSylvia Kristelは、2012年に60歳で亡くなっています。(※映画の邦題は一般的な表記に合わせ「エマニエル」としましたが、曲名は「エマニュエル」とします。)



ベルギーのグループ:Isolde et Les Bensのカヴァー



Emmanuelle    エマニュエル
Pierre Bachelet  ピエール・バシュレ


Mélodie d'amour chante le cœur d'Emmanuelle
Qui bat cœur à corps perdu
Mélodie d'amour chante le corps d'Emmanuelle
Qui vit corps à cœur déçu

  エマニュエルの心は愛のメロディーを歌う
  体いとわず心ときめき
  エマニュエルの体は愛のメロディーを歌う
  心うつろに体は生きて

Emmanuelle 3


Tu es encore
Presque une enfant
Tu n'as connu
Qu'un seul amant
Mais à vingt ans
Pour rester sage
L'amour est un
Trop long voyage

  君はいまだ
  まるで子どものようだ
  君は知らない
  ただ一人の恋人しか
  だがはたちの歳で
  慎ましくしているには
  恋は
  あまりにも長い旅だ

Mélodie d'amour chante le cœur d'Emmanuelle
Qui bat cœur à corps perdu
Mélodie d'amour chante le corps d'Emmanuelle
Qui vit corps à cœur déçu

  エマニュエルの心は愛のメロディーを歌う
  体いとわず心ときめき
  エマニュエルの体は愛のメロディーを歌う
  心うつろに体は生きて

Emmanuelle 5


L'amour à cœur
Tu l'as rêvé
L'amour à corps
Tu l'as trouvé
Tu es en somme
Devant les hommes
Comme un soupir
Sur leur désir

  心の愛
  君はそれを夢見た
  体の愛
  君はそれを見いだした
  君は結局
  男たちの前で
  彼らの欲望に対する
  ため息のようなものだ

{Instrumental}

Tu es si belle
Emmanuelle
Cherche le cœur
Trouve les pleurs
Cherche toujours
Cherche plus loin
Viendra l'amour
Sur ton chemin

  君はとても美しい
  エマニュエル
  心を探し
  悲しみを見つけるんだ
  つねに探し
  もっと探すんだ
  愛がやって来るだろう
  君の行く手に

Emmanuelle 2


Mélodie d'amour chante le cœur d'Emmanuelle
Qui bat cœur à corps perdu
Mélodie d'amour chante le corps d'Emmanuelle
Qui vit corps à cœur déçu.

  エマニュエルの心は愛のメロディーを歌う
  体いとわず心ときめき
  エマニュエルの体は愛のメロディーを歌う
  心うつろに体は生きて。

[注] à corps perdu「必死で、がむしゃらに」という成句があるが、ここはcœur「心」とcorps「体」の状態を対比させる表現としてとらえた。


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2016
07.08

幸せな愛はないIl n'y a pas d'amour heureux

Il ny a pas damour heureux


「幸せな愛はないIl n'y a pas d'amour heureux」 は、1943年に書かれたルイ・アラゴンLouis Aragonの詩。アラゴンは「愛」の概念を「絶対に到達不能のものun absolu inaccessible」として描きました。なかでも最後の節は、レジスタンス運動につながる内容を込められたものとなっています。この詩は、最後の節を除き、ジョルジュ・ブラッサンスGeorges Brassensによって、彼独特の祈りを込めたメロディーに乗せてシャンソンとして歌われ、その後、さまざまなアーティストによって 60 回以上も歌われました。例えば、ユーグ・オーフレイHugues Aufray、バルバラBarbara、カトリーヌ・ソヴァージュCatherine Sauvage、ニーナ・シモンNina Simone、フランソワーズ・アルディーFrançoise Hardy、ケレン・アンKeren Annそして、映画「8人の女たち Huit Femmes」のなかのダニエル・ダリューDanielle Darrieuxなどです。

ルイ・アラゴン自身の朗読



ジョルジュ・ブラッサンス



ほかは、バルバラだけ選びました。最後、途中で切れているみたいです。



Il n'y a pas d'amour heureux  幸せな愛はない
Georges Brassens        ジョルジュ・ブラッサンス


Rien n'est jamais acquis à l'homme 注1
Ni sa force, ni sa faiblesse, ni son cœur
Et quand il croit ouvrir ses bras
Son ombre est celle d'une croix
Et quand il veut serrer son bonheur
Il le broie
Sa vie est un étrange et douloureux divorce

  人にはちゃんと獲得し得たものなどまったくなにもない
  自分の強さも、弱さも、心も
  そして自分では腕を広げて迎え入れているつもりでも
  その影は十字架の形をしている
  また幸せをつかみたくても
  それを押しつぶしている
  その人生は奇妙な苦しい離別だ

Il n'y a pas d'amour heureux

  幸せな愛はない

Louis Aragon2


Sa vie, elle ressemble à ces soldats sans armes
Qu'on avait habillés pour un autre destin
A quoi peut leur servir de se lever matin
Eux qu'on retrouve au soir désarmés incertains
Dites ces mots ma vie et retenez vos larmes 注2

  その人生、それは武器のないこの兵士たちに似る
  なにか別の定めのために軍服を着せられた兵士たちに
  朝起きることが彼ら自身になんの役に立つのか
  夕べには武装解除され無力な姿を人目にさらす彼らに
  わが人生よこの言葉を呟いて涙をこらえるがいい

Il n'y a pas d'amour heureux

  幸せな愛はない

Mon bel amour, mon cher amour, ma déchirure
Je te porte dans moi comme un oiseau blessé
Et ceux-là sans savoir nous regardent passer
Répétant après moi ces mots que j'ai tressés 注3
Et qui pour tes grands yeux tout aussitôt moururent

  わが美しき愛よ、わがいとしき愛よ、わが苦痛よ
  私はお前を傷ついた小鳥のように心に抱く
  そして彼らはそんなことも知らずに私たちが通るのを眺める
  私が編み出したこの言葉を復唱しながら
  そして彼らはお前の大きな目に見つめられると即、死に絶えた

Il n'y a pas d'amour heureux

  幸せな愛はない

Louis Aragon4


Le temps d'apprendre à vivre 注4
Il est déjà trop tard
Que pleurent dans la nuit nos cœurs à l'unisson 注5
Ce qu'il faut de regrets pour payer un frisson
Ce qu'il faut de malheur pour la moindre chanson
Ce qu'il faut de sanglots pour un air de guitare

  生きることを学んでいる間に
  時すでに遅し
  私たちの心は夜なかに声を合わせてどれだけ泣くことか
  身の震えを償うのにどれほど悔やまねばならないのか
  ささいな歌にどれほど不幸が必要とされるのか
  ギターの音色にどれほどすすり泣かねばならないのか

Il n'y a pas d'amour heureux

  幸せな愛はない

Il n'y a pas d'amour qui ne soit à douleur 注6
Il n'y a pas d'amour dont on ne soit meurtri
Il n'y a pas d'amour dont on ne soit flétri 注7
Et pas plus que de toi l'amour de la patrie
Il n'y a pas d'amour qui ne vive pleurs 注8

  苦痛を伴わない愛はない
  それによって傷つけられないような愛はない
  それによって罪に問われないような愛はない
  そして祖国への愛は君以上ではないかもしれないが
  涙によって生きることのない愛はない

Il n'y a pas d'amour heureux
Mais c'est notre amour à tous deux

  幸せな愛はない
  だがそれは僕たち二人の愛のことだ

Louis Aragon3


[注]アラゴンはすべて朗読しているが、ブラッサンスが歌っていない部分は色を変えて表示した。
代名詞がそれぞれ何を指すかが分かりづらい歌詞である。その点に関しての私の解釈をまず述べておこう。
1節目では或る男とその人生を語っている。ilはその男。
2節目ではその男の人生を兵士たち(複数)に譬え、私の人生にvousで呼びかけ、Il n'y a pas d'amour heureuxという言葉をつぶやくように命じる。
3節目では、「愛」と「恋人」というamourの二つの意味をかけて、自分の心に抱く愛にtuで呼びかける。ここでは、nousは、「愛を抱いた私」を「私+恋人」風に表現しているようだ。私の人生を、これも兵士たちだということでceux-là「彼ら」と呼び替え、それは私が編み出した言葉Il n'y a pas d'amour heureuxを復唱しながら、tuすなわち私が抱く愛の大きな目に見つめられて死んでしまうという。
後半では、tuは呼びかける相手に、nousは「人間一般」になり、最後の行では、「私+恋人」に。
歌詞全体を通じて、愛は決して人生を幸せにするものではなく、人生がその犠牲になることも覚悟しなければならないという趣旨だが、Il n'y a pas d'amour qui ne soit à douleur以後の節は、それを総括し、祖国への愛もそうした愛のひとつだという。
最後に、それは私たち二人の愛で、その苦しい愛を二人で分かち合おうと締めくくる。
1 acquis à「…に確実に与えられた、正当に所有された」
2 ces mots=ma vieという解釈も可能だろうが、ma vieにvousと呼びかけていて、ces motsは、次行のIl n'y a pas d'amour heureuxであると解釈する。でないと、vousが不明のままになる。
3 このces motsもIl n'y a pas d'amour heureux。
4 Le temps de+inf, …「…している(短い)間に、…。」
5 Que…!, Ce que…!「なんて、どんなに」
6 Il n'y a pas…qui ne soit…主節が否定または疑問の場合、接続法に置かれた関係節あるいは従属節内で「…でない…はない」
7 動詞flétrirには2つの意味がある。「萎れさせる」と「(罪人に)烙印を押す」。形容詞flétriとしては「萎れた、色あせた」の意味がメインだが、ここではon人が主語なので「烙印を押された」という意味を取り上げたい。
8 pleur複数形で「涙」。他動詞としてのvivreの目的語で、観念を表すので無冠詞。



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2016
07.07

コメディアンLes comédiens

Charles Aznavour Les comédiens


シャルル・アズナヴールCharles Aznavourの「コメディアンLes comédiens」はいわゆる旅役者がテーマ。1973年にシングルカットされています。



Les comédiens    コメディアン
Charles Aznavour  シャルル・アズナヴール


{Refrain:}
Viens, voir les comédiens,
Voir les musiciens,
Voir les magiciens,
Qui arrivent(×2)

  おいでよ、コメディアンたちを見に、
  ミュージシャンたちを見に、
  マジシャンたちを見に、
  やって来たぜ

Les comédiens
Ont installé leur tréteau
Ils ont dressé leur estrade
Et tendu des calicots
Les comédiens
Ont parcouru les faubourgs
Ils ont donné la parade
A grands renforts de tambours 注1

  コメディアンたちは
  小屋を建て
  舞台を作って
  幕を張った
  コメディアンたちは
  町のまわりを巡り
  行進をしたよ
  いっぱい太鼓を鳴らしながら

Les comédiens5


Devant l'église,
Une roulotte peinte en vert
Avec les chaises
D'un theâtre à ciel ouvert
Et derrière eux
Comme un cortège en folie
Ils drainent tout le pays
Les comédiens

  教会の前には、
  緑色に塗られたトレーラーと
  青空劇場の
  椅子が並ぶ
  その後ろには
  狂ったような一団
  彼らはあらゆる国々からの寄せ集めだ
  コメディアンたちは

{Refrain×2}

Si vous voulez
Voir confondu le coquin
Dans une histoire un peu triste
Où tout s'arrange à la fin
Si vous aimez
Voir comblés les amoureux
Vous lamenter sur Baptiste 注2
Ou rire avec les heureux

  あなた方がもし
  万事めでたく終わる
  ちょいと悲しい物語に
  いたずらっ子が紛れ込むのを見たかったら
  あなた方がもし
  恋人たちが満ち足りているを見たかったら
  バティストにそそられてわが身を嘆いたり
  幸せな輩といっしょに笑いたかったら

Les comédiens8


Poussez la toile
Et entrez donc vous installer
Sous les étoiles
Le rideau va se lever
Quand les trois coups
Retentiront dans la nuit
Ils vont renaître à la vie 注3
Les comédiens

  帳を押して
  入ってお座りなさい
  星空のもとで
  幕が上がるよ
  三発の合図が
  宵闇に鳴り響いたら
  活き返るんだよ
  コメディアンたちが

{Refrain×2}

Les comédiens
Ont démonté leur tréteau
Ils ont ôté leur estrade
Et plié leurs calicots
Ils laisseront
Au fond du cœur de chacun
Un peu de la sérénade
Et du bonheur d'Harlequin 注4

  コメディアンたちは
  小屋を解体し
  舞台を片付け
  幕を畳んだ
  彼らは人々の心の奥に
  恋の歌と
  道化の喜びをちょっぴり
  残すことだろう

Demain matin
Quand le soleil va se lever
Ils seront loin
Et nous croirons avoir rêvé
Mais pour l'instant
Ils traversent dans la nuit
D'autres villages endormis
Les comédiens

  翌朝
  陽が昇る頃には
  彼らは遠くに行ってしまっているだろう
  そして僕たちは夢だったかのように思うだろう
  だが彼らは今頃
  眠っている別の村を
  宵闇のなか通り抜けていることだろう
  コメディアンたちは

Les comédiens1


{Refrain×4}

Viens, voir les comédiens,
Voir les musiciens...

  おいでよ、コメディアンたちを見に、
  ミュージシャンたちを見に…

[注]
1 à grands renforts de「多くの…を使って」
2 Baptiste頭が小文字ならキリスト教バティスト派の信者だが、大文字なので人名。18~19世紀に活動したバティスト家Famille Baptiste(別名:La famille Anselme)という喜劇役者の家系がある。
3 renaître à la vie「元気を回復する、回生する」
4 Harlequin =Arlequin「アルルカン」 イタリア喜劇の道化役




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2016
07.06

彼は立ってピアノを弾いたIl jouait du piano debout

Il jouait du piano debout


今日7月6日は「ピアノの日」だそうなので、フランス・ギャルFrance Gallの「彼は立ってピアノを弾いたIl jouait du piano debout」(1980年)を。夫ミッシェル・ベルジェMichel Bergerが作詞・作曲したこの曲は、夫妻の友人のエルトン・ジョンElton Johnに捧げられたもので、エルトン・ジョンはそれに答えてI'm still standingを歌ったんだ、と言われてきましたが、どうやらそれは誤解らしいです。

アメリカのロッカーで、エルヴィス・プレスリーElvis Presleyと同年代のジェリー・リー・ルイスJerry Lee Lewis(1935年生まれ)というピアニストがいて、ベルジェは、立って演奏している彼のコンサートのテレビ放映を見て感動し、この曲を作り彼に捧げたというのが真相のようです。

ジェリー・リー・ルイスは、その挑発的な演奏スタイルによって、1950年代に多くの人々にショックを与えたといわれます。もう、なんでもありで、今見てもすごいですね。



エルトン・ジョンのI'm still standing。彼はジェリー・リー・ルイスの影響を多大に受けたと言われます。



フランス・ギャルの「彼は立ってピアノを弾いた」



Il jouait du piano debout  彼は立ってピアノを弾いた
France Gall          フランス・ギャル


Ne me dites pas que ce garçon était fou
Il ne vivait pas comme les autres, c'est tout
Et pour quelles raisons étranges
Les gens qui n'sont pas comme nous,
Ça nous dérange

  この男が気ちがいだったなんて言わないで
  彼は他の人たちのように生きていなかった、ただそれだけ
  そしてどんな変わった理由で
  私たちと異なる人たち、
  彼らが私たちに迷惑をかけるというのよ

Ne me dites pas que ce garçon n'valait rien
Il avait choisi un autre chemin
Et pour quelles raisons étranges
Les gens qui pensent autrement
Ça nous dérange
Ça nous dérange

  この男が何の価値もなかったなんて言わないで
  彼は別の道を選んだのよ
  そしてどんな変わった理由で
  私たちと異なる考えかたの人たち、
  彼らが私たちに迷惑をかけるというのよ
  彼らが私たちに迷惑をかけるというのよ

Il jouait du piano debout
C'est peut-être un détail pour vous
Mais pour moi, ça veut dire beaucoup 注1
Ça veut dire qu'il était libre
Heureux d'être là malgré tout
Il jouait du piano debout
Quand les trouillards sont à genoux 注2
Et les soldats au garde à vous 注3
Simplement sur ses deux pieds,
Il voulait être lui, vous comprenez 注4

  彼は立ってピアノを弾いた
  それはあなた方にはささいなことかもしれないけど
  私にとっては、重要なこと
  つまり彼は自由だった
  そこにいてやっぱり幸せだったという意味
  彼は立ってピアノを弾いた
  腰抜けたちが膝まづいていても
  兵隊たちが「気を付け」をしていても
  ただ2本の足に乗っかって、
  自分自身でありたかったのよ、あなた分かる

Jerry Lee Lewis2


Il n'y a que pour la musique, qu'il était patriote
Il s'rait mort au champ d'honneur pour quelques notes 注5
Et pour quelles raisons étranges,
Les gens qui tiennent à leurs rêves, 注6
Ça nous dérange

  音楽のためでしかなかった、彼は愛国者だったのは
  彼は幾らかの音符のためなら戦場で死んでもよかった
  そしてどんな変わった理由で、
  夢に執着する人々、
  彼らが私たちに迷惑をかけるというのよ

Lui et son piano, ils pleuraient quelquesfois
Mais c’est quand les autres n'étaient pas là
Et pour quelles raisons bizarres,
Son image a marqué ma mémoire,
Ma mémoire..

  彼とそのピアノ、彼らは時々泣いた
  だがそれは他の人たちがいなかったときだ
  またどんな妙な理由で、
  彼のイメージが私の記憶に痕跡をとどめたのだろう、
  私の記憶に…

Il jouait du piano debout
Il chantait sur des rythmes fous
Et pour moi ça veut dire beaucoup
Ça veut dire essaie de vivre
Essaie d'être heureux,
Ça vaut le coup. 注7

  彼は立ってピアノを弾いた
  彼は狂ったリズムで歌った
  そしてそれは私にとっては、重要なこと
  それは生きようとすること
  幸せであろうとすること、
  それは一考に値すること。

Jerry Lee Lewis1


[注]
1 ça veut dire 「…を意味する」。ça veut dire beaucoup「重要である」。
2 être à genoux「膝まづく」
3 au garde à vous「気を付け」
4 être lui= être lui-même「彼自身であること」
5 au champ d'honneur「戦場で」
6 tenir à「…に執着する」。Je tiens à toi.はJe t’aime.の1歩手前くらいの表現。
7 Ça vaut le coup.「一考に値する」



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2016
07.05

恋の病Maladie d’amour

Henri Salvador Maladie d’amour


ミッシェル・サルドゥーMichel Sardouの「恋の病La maladie d’amour」はよく知られていますが、アンリ・サルヴァドールHenri Salvadorも「恋の病Maladie d’amour」を歌っています。こちらはサルヴァドールの叔母のレオナ・ガブリエルLéona Gabrielが1931年に創唱したビギンで、1947年にサルヴァドールがそれをアレンジして歌い、たいへんヒットしました。サセムにはサルヴァドールの名で登録されています。お聴きになってお分かりのように、彼が実際に歌っている歌詞は普通のフランス語ではありません。これはレオナ・ガブリエルLéona Gabrielが作詞した母国の言葉のようで、一般的なフランス語の歌詞はジャン・マルクランJean Marclandが作ったようです。両方の歌詞を示しました。



その後、この曲は、ジャン・サブロンJean Sablonやサッシャ・ディステルSacha Distelなど多くの歌手に歌われ、英語、スペイン語、ドイツ語にも翻案されて歌われました。英語曲のタイトルはもっぱらMelodie d’amourですが、ディーン・マーティンDean Martin はCha cha cha d'amour。



Maladie d’amour 恋の病
Henri Salvador  アンリ・サルヴァドール


(歌っている歌詞)
Maladie d'amour,
Maladie des amoureux,
chè chè si-w enmé mwen,
wa maché dèyè mwen,
Maladie d'amour,
maladie de la jeunesse,
chè chè si-w enmé mwen,
wa maché dèyè mwen.
Pich Mimin piti,
i piti tou piti,
sé on ti sèpan raj,
mézanmi méfyé-li,
kan ti tèt li an lè,
véyé gadé lang
Ii,en bout-li sé la mo,
sémityè emba tè.
Ii,en bout-li sé la mo,
sémityè emba tè.(×2)

(一般的なフランス語の歌詞)
Maladie d’amour,
Maladie des amoureux
Si tu n’aimes que moi
Reste tout près de moi
Maladie d’amour
Maladie de jeunesse
Si tu n’aimes que moi
Viens, mais prend garde à toi
Quand l’amour est petit
C’est joli si joli
Mais quand il devient fort
Méfiez vous des amis 
Caché sous le feuillage
C’est comme un serpent gris
N’allez pas car il mord
Si vous le réveillez

  恋の病、
  恋人たちの病
  もしも君が僕しか愛さないのなら
  僕のすぐそばにいておくれ
  恋の病
  青春の病
  もしも君が僕しか愛さないのなら
  おいで、だが気を付けて
  恋が小さいとき
  それはすてきだ とてもすてきだ
  だがそれがとても強くなったとき
  友だちにはご用心
  葉陰に隠れて
  それは灰色の蛇のよう
  動いちゃいけない そいつは噛むよ
  目を覚まさせたら

Maladie d’amour1


Maladie d’amour,
Maladie des amoureux
Si je n’aime que toi
Reste tout près de toi
Maladie d’amour
Maladie de jeunesse
Si je n’aime que moi
Viens, mais prend garde à toi
Quand l’amour est petit
C’est joli si joli
Mais quand il devient fort
C’est plus beau que la vie
J’irai sous le feuillage
Chercher le serpent gris
Car l’amour c’est la mort
Mais c’est le Paradis
Car l’amour c’est la mort
Mais c’est le Paradis

  恋の病、
  恋人たちの病
  もしも君が僕しか愛さないのなら
  僕のすぐそばにいておくれ
  恋の病
  青春の病
  もしも君が僕しか愛さないのなら
  おいで、だが気を付けて
  恋が小さいとき
  それはすてきだ とてもすてきだ
  だがそれがとても強くなったとき
  それは人生より美しい
  僕は灰色の蛇を探しに
  葉陰に行く
  恋それは死だ
  だがそれは天国だ
  恋それは死だ
  だがそれは天国だ

Maladie d’amour2


[注] vousは「不特定な人、人間一般」。amiは、気を許している対象。

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