
シャルル・アズナヴールCharles Aznavourは1924年生まれで今年92歳を迎え、彼の「最後の日本ツアー」が来月おこなわれます。行きたい気もしますが、ちょっと高いし、往年の歌をCDで聴くだけでいいかなと。
今回取り上げる曲のタイトルの原名はEt pourtant。直訳すると「だけど」という意味ですが、「想い出の瞳」という邦名で知られていて、そのタイトルで加藤登紀子が日本語で歌っています(灰田勝彦の同名の曲は違いますし、「灰色の瞳」も別の曲です)。以前、こちらを先に聴いて感じるところがあり、アズナヴールの原曲を買い求めました。原曲(1963年にEPとシングル盤で発売され、その後いくつかのアルバムに収録されています。作詞:アズナヴール自身、作曲:ジョルジュ・ガルヴァランツGeorges Garvarentz)は、未練を断ち切って去りゆく男が、たとえ面影は忘れてしまっても、「だけど、僕は君しか愛さない」という歌詞ですが、日本語では、立ち去って行った男を見送る女性の立場の歌詞になっています。その面影は忘れてしまっても、「だけど、だけど、好きなのよ」と言うのだったと記憶しています。面影を忘れてしまうわけですから「想い出の瞳」という邦題は矛盾していますが副題としましょう。
Et pourtant だけど(想い出の瞳)
Charles Aznavour シャルル・アズナヴール
Un beau matin je sais que je m’éveillerai
Différemment de tous les autres jours
Et mon cœur délivré enfin de notre amour
Et pourtant, et pourtant
Sans un remords, sans un regret je partirai
Droit devant moi sans espoir de retour
Loin des yeux loin du cœur j’oublierai pour toujours 注1
Et ton cœur et tes bras
Et ta voix
Mon amour
ある朝 僕は目が覚めるだろう
ほかの日と違ったふうに
そして僕の心は僕らの恋からついに自由になる
だけど、だけど
後悔もなく、未練もなく僕は出て行く
まっすぐ前を向いて、戻る望みももたずに
日毎に遠くなり 僕は永遠に忘れるだろう
君の心も 君の腕も
君の声も
愛する人よ

Et pourtant, pourtant, je n’aime que toi
Et pourtant, pourtant, je n’aime que toi
Et pourtant, pourtant, je n’aime que toi
Et pourtant
だけど、だけど、僕は君しか愛さない
だけど、だけど、僕は君しか愛さない
だけど、だけど、僕は君しか愛さない
だけど
J’arracherai sans une larme, sans un cri
Les liens secrets qui déchirent ma peau 注2
Me libérant de toi pour trouver le repos
Et pourtant, et pourtant
Je marcherai vers d’autres cieux, d’autres pays 注3
En oubliant ta cruelle froideur
Les mains pleines d’amour j’offrirai au bonheur
Et les jour et les nuits
Et la vie
De mon cœur 注4
皮膚を傷つけながらも 僕は涙も流さず、叫びもせずに
隠れたきずなを引きはがし
休息を見出すために君から自分を自由にする
だけど、だけど
僕は異郷へと、他国へと向かって歩む
君のつれない冷たさを忘れるために
愛でいっぱいの両手を
大事な人の幸福のために
その人の昼と夜と
人生のために差し出すだろう
Et pourtant, pourtant, je n’aime que toi
Et pourtant, pourtant, je n’aime que toi
Et pourtant, pourtant, je n’aime que toi
Et pourtant
だけど、だけど、僕は君しか愛さない
だけど、だけど、僕は君しか愛さない
だけど、だけど、僕は君しか愛さない
だけど
Il faudra bien que je retrouve ma raison 注5
Mon insouciance et mes élans de joie
Que je parte à jamais pour échapper à toi 注6
Dans d’autres bras quand j’oublirai jusqu’à ton nom 注7
Quand je pourrai repenser l’avenir
Tu deviendras pour moi qu’un lointain souvenir
Quand mon mal et ma peur
Et mes pleurs
Vont finir
僕は自分の理性や
気楽さや歓びの高まりをまた見出さなければならない
永遠に君から逃れるために
ほかの人の腕のなかへと その時僕は君の名すら忘れているだろう
その時僕は未来のことをまた考えられるだろう
君は僕にとって遠い思い出に過ぎなくなる
その時僕の苦しみや僕の恐れや
僕の涙は
終わりを告げる

Et pourtant, pourtant, je n’aime que toi
Et pourtant, pourtant, je n’aime que toi
Pourtant, pourtant, je n’aime que toi
Pourtant, pourtant, je n’aime que toi...
だけど、だけど、僕は君しか愛さない
だけど、だけど、僕は君しか愛さない
だけど、だけど、僕は君しか愛さない
だけど、だけど、僕は君しか愛さない、
[注]
1 loin des yeux loin du cœur「去る者は日々に疎し」
2 déchirer ma peau「皮膚を傷つける、引き裂く」のは、quiの先行詞であるles liens secrets「隠れたきずな」だが、それをarracher「引き剥がす」時に「皮膚を傷つける」訳である。
3 cieuxはcielの複数形で、通常は「天国、天上」の意味でcielsと使い分けられるが、詩では多用され、また、aller à d’autres cieux「異郷へ旅立つ」などの熟語で用いられる。
4 mon cœur「大事な人、愛する人」mon amourと同義だが、未来の恋人を、君すなわち今までの恋人と区別するために異なる語を用いている。
5 あえて、定冠詞ではなく所有形容詞を用いて、自身のことだと強調している。
6接続詞queは目的を示し、parteが接続法になっている。 à jamais「永遠に」
7 ここでは、A quand Bの形は、「Bする時、Aする」ではなく、「Aする、その時Bする」という意味。
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レオ・フェレLéo Ferréの「ラブLOVE」という曲は10分以上もの大曲。 1975年のアルバムFerré muet... dirigeに収録されています。
Amourとすべきところを英語の大文字でLOVEとあらわしているのには、なにかしら深い思い入れがあるようです。フランス語ではロヴと発音するようですが。
ピア・コロンボPia Colomboも素晴らしいです。1975年のPia Colombo chante Ferré 75というアルバムに収録されています。
LOVE ラブ
Léo Ferré レオ・フェレ
Cette parole
Que j'attendais sans te connaître
Que j'accrochais à ma fenêtre
Qui traînait pas dans les affaires
Des gens qui me faisaient la guerre
Cette parole
Qui met dans mon vocabulaire
De quoi t'apprendre les manières 注1
Cette parole
この言葉を
君を知らないうちから待っていた
それを僕は窓辺に掲げていた
それは僕に戦いを挑んできたやつらとの
もめ事に埋もれることはなかった
この言葉は
君に所作を教えるに必要なものを
僕の言葉遣いに加える
この言葉
LOVE LOVE LOVE LOVE LOVE
ラブ ラブ ラブ ラブ ラブは

Cette parole
Qui traîne au nez des catastrophes 注2
Qui vaut bien cent dix mille strophes
Qui te suffit quand je la chante
Qui coule en toi quand je t'enchante
Cette parole
Qui fait du vice la vertu
Qui met le pouvoir dans la rue
Cette parole
この言葉は
破局の寸前まで残っている
それは11万の詩節の価値がある
僕が歌うとそれは君を満足させる
僕が君を喜ばせるとそれは君のなかを巡る
この言葉は
悪徳を美徳にする
それは街中で力を発揮する
この言葉
LOVE LOVE LOVE LOVE
ラブ ラブ ラブ ラブは
Cette parole
Que tu syllabes après la fête
Qui met la fête dans la tête
Et puis ta tête dans la mienne
Et puis ma tête dans la tienne
Cette parole
Qui s'est barrée du dictionnaire
Où elle n'avait plus rien à faire
Cette parole
この言葉を
楽しみのあとで君は音節を区切るように言う
それはうきうきした気持ちにさせる
そして僕は君をよく理解し
そして君は僕をよく理解する
この言葉は辞書から脱け落ちる
辞書のなかではもはやこの言葉は何もすることがない
この言葉
LOVE LOVE LOVE…
ラブ ラブ ラブ…は

Qui peuple notre solitude
Qui meurt au seuil de l'habitude
Qui se fait avant de se dire
Qu'on dit quand y'a plus rien à dire
Cette parole
Qui fait les hommes fraternels
Qui sort les filles du bordel
Cette parole
この言葉は
僕たちの孤独を満たす
それは習慣が始まると死ぬ
それは口にされる前に実行される
ひとはもはや言うことがなくなったときにそれを言う
この言葉は
人々をたがいに親しくさせる
それは娘たちを売春宿から抜け出させる
この言葉
LOVE LOVE LOVE LOVE LOVE LOVE
ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブは
Cette parole
Comme une arme contre l'offense
Comme un sourire du silence
Comme un passeur de l'autre monde
Comme un destin qui fait sa ronde
Cette parole
Comme la raison qui pâlit
Comme le prix de la folie
Cette parole
この言葉は
屈辱への武器のようだ
静かな微笑みのようだ
別世界への渡し守のようだ
見回る運命のようだ
この言葉は
青ざめた理性
狂気の価値のようだ
この言葉
LOVE LOVE LOVE…
ラブ ラブ ラブ…は

Cette parole
Comme une porte sur le large 注3
Comme mon texte dans ta marge
Comme tes yeux dans mon ramage
Comme moi dans ton fuselage 注4
Cette parole
Comme le salaire du rêve
Et comme le pavé qui lève
Cette parole
この言葉は
外海への門戸のようだ
君の余白のなかの僕の台詞のようだ
僕のおしゃべりのなかの君の瞳のようだ
君の体のなかの僕のようだ
この言葉は
夢からの報酬のようだ
そして起き上がった舗石のようだ
この言葉
LOVE LOVE…
ラブ ラブ…は
[注]
1 au nez de「…の目の前で、鼻先で」
2 de quoi+inf.「…するに(足りる)もの、…するに必要なもの、…する理由(原因)」
3 large名詞で「沖、外海」
4 fuselage本来は「(飛行機の)胴体、機体」
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エディット・ピアフÉdith Piafの「群衆La foule」にも歌われているファランドールとは、プロヴァンスの民族舞踊。今回はそのファランドールをテーマにした曲「マガリMagali」です。1962年に作られ (作詞:Robert Nyel 作曲:Gaby Verlor)、先に「ボン・ヴォワヤージュBon voyage」を取り上げたグロリア・ラッソGloria Lasso と男性歌手のロベール・リパRobert Ripaが歌いました。マガリMagaliは、マグダラのマリアMaria Magdalenaに因むとされる女性の名前で、男性の立場で作られた歌詞ですが、グロリア・ラッソの曲としてご紹介します。
ロベール・リパ
グロリア・ラッソ
プロヴァンス地方のオック語の民謡に、同名の曲があります。これは男性コーラスです。
Magali マガリ
Gloria Lasso グロリア・ラッソ
Magali, Magali Qu'est-c'qui m'a pris de t'emmener aux Saintes Maries de la Mer 注1
Ah si j'avais pu deviner que le malheur était dans l'air Magali
Tu as préféré les guitares au son des fifr's et tambourins 注2
La farandole provençale ne me donnera plus la main 注3
マガリ、マガリ 何が僕に君をサント・マリー・ド・ラ・メールへ連れて行かせた?
あぁ僕がもし不穏な空気を見抜けていたら マガリ
君はファイフや太鼓よりギターを好んだ
プロヴァンスのファランドールはもう僕に手をさし伸べてくれない
Oh! Magali, tu te rappelles ces tambourins, comme ils sonnaient
La farandole était si belle jusqu'à l'espère, on l'a dansée 注4
Magali depuis trois jours dans la Camargue, je te réclame sans arrêt 注5
Avec ce soleil qui me nargue, en tournoyant dans les cyprès
おー!マガリ、君はこれらの太鼓を思い出す、どんなふうに鳴ったのか
ファランドールはとても美しくて心ゆくまで、ひとは踊った
マガリ カマルグで3日前から、僕はずっと君を呼び求めている
僕をあざ笑うこの太陽を受けて、糸杉のあいだでくるくる回りながら

Magali, Magali qu'est-c'qui t'a pris de t'en aller pour le pays de nulle part 注5
Parc'qu'un gitan t'a regardée en faisant chanter sa guitar' Magali
Toute la Crau résonne encore d'Arles et de Nîmes jusqu'à Marseille 注6
De ma voix qui criait si fort que j'ai gardé mal aux oreilles
マガリ、マガリ なにが君をどこかの国へ行かせたの
ひとりのジプシーがギターをかき鳴らしながら君に目を向けたせいなのか マガリ
クロー平野中に さらにはアルルやニームからマルセイユまで響く
自分の耳が痛くなるほど大きく叫ぶ僕の声の反響が
Oh! Magali, que tu me manques, voici déjà les tambourins
La farandole est impatiente de nous revoir main dans la main, Magali
Et le soleil de la Camargue se moque de me voir languir
Oh je t'en prie, si tu t'attardes les tambourins vont repartir
おー!マガリ、君がなんて恋しいのか、ほらもう太鼓たちが集まっている
ファランドールは僕たちが手を取り合うのを見るのが待ちきれないんだ、マガリ
カマルグの太陽は僕がしょげているのを見ても知らん顔だ
おー!お願いだ、君がぐずぐずしていたら太鼓たちはまた行ってしまう

Magali, Magali sous le soleil de la Provence, ma tête est prête à éclater
J'entends les fifres qui s'avancent, rien ne peut plus les arrêter, Magali
Ma tête cogne encor plus fort, le soleil n'a plus de pitié
Qu'est-c'qui t'a pris de me quitter ?
マガリ、マガリ プロヴァンスの太陽のもとで、僕の頭は爆発寸前だ
ファイフの音が昂進するのが聴こえる、なにもそれを止められないんだ、マガリ
僕の頭はさらにもっとガンガンし、太陽はもう容赦してくれない
君を僕から去らせたのは何なんだ?
Oh! Magali, je te retrouve, ne me refuse plus ta main 注7
La farandole enfin s'entrouvre, nous danserons jusqu'au matin, Magali, 注8
Et toute entière la Camargue fait résonner cent mille accords,
Sous le soleil qui nous regarde, Oh Magali, dansons encore.
おー!マガリ、君をまた見つけたよ、もう手を僕に出すのを拒まないでくれ
ファランドールはとうとう輪を開いてくれる、僕たちは朝まで踊ろう、マガリ、
カマルグは全域に10万もの合唱を響かせる、
僕たちを見守る太陽のもとで、おー、マガリ、また踊ろう。

[注]
1 Saintes Maries de la mer:プロヴァンス地方のカマルグの首都。マグダラのマリアともう二人のマリアがこの地に来て、マグダラのマリアは去り、残った二人のマリアに因んで、この地はそう呼ばれるようになった。
2 fifre「ファイフ」は、小さなフルート。tambourinは、タンバリンではなく、大きな長太鼓(歌詞中の写真参照)。これらの、昔からのファランドール用の楽器よりも、新しいギターに惹かれてマガリは行ってしまったということだ。
3 farandole「ファランドール」は、プロヴァンス地方の民族舞踊。男女が交互に並んで手をつないで踊る。ここは、パートナーがいないから輪に入れてもらえないという意味。
4 espèreは、古プロヴァンス語 esperar「期待する=espèrer」由来の古語で「待ち伏せ」。
5 de nulle part「どこにも(…ない)」だが、少し妙な用い方だ。
6 la Crau「クロー平野」カマルグの東側に広がる広大な平野。
7 この節にある、マガリが帰ってきていっしょに踊るというのは、空想上のことのようだ。前節に、頭がおかしいとあるので、妄想状態なのであろう。
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「小さな灰色のロバLe petit âne gris」という優しい曲は、シンガー・ソングライターのユーグ・オーフレイHugues Aufrayが1968年に作り歌いました。彼の歌にもバックコーラスが入っていますが、全部コーラスで歌われてボーイスカウトの愛唱歌ともなっているそうです。
ユーグの曲としては、以前「僕は信じていた(イエスタディ)Je croyais」を取り上げました。そのページで彼のプロフィールも紹介していますので参照ください。
Le petit âne gris 小さな灰色のロバ
Hugues Aufray ユーグ・オーフレイ
Ecoutez cette histoire
Que l´on m´a racontée.
Du fond de ma mémoire,
Je vais vous la chanter.
Elle se passe en Provence,
Au milieu des moutons,
Dans le sud de la France,
Au pays des santons. 注1
ひとが僕に語ってくれた
この小さな物語を聞いてくれ。
僕の記憶の底から、
君たちにそれを歌おう。
その物語はプロヴァンスで起こった、
羊たちに囲まれて、
フランスの南の、
サントン人形の国で。
Quand il vint au domaine,
Y avait un beau troupeau.
Les étables étaient pleines
De brebis et d´agneaux.
Marchant toujours en tête 注2
Aux premières lueurs,
Pour tirer sa charrette,
Il mettait tout son cœur.
彼がこの地にやって来たときには
美しい羊の群れがいた。
家畜小屋は
雌羊と子羊であふれていた。
明け方の光のなかを、
いつも先頭を歩みつつ
荷車を牽くために、
彼は全霊を傾けていた。

Au temps des transhumances,
Il s´en allait heureux,
Remontant la Durance,
Honnête et courageux
Mais un jour, de Marseille,
Des messieurs sont venus.
La ferme était bien vieille,
Alors on l´a vendue.
家畜の移動の時期には、
彼は嬉しそうだった、
デュランス川を遡りつつ、
誠実で勤勉に働いた
だがある日、マルセイユから、
男たちがやって来た。
農園はけっこう古かった、
それで農園は売られたんだ。
Il resta au village.
Tout le monde l´aimait bien,
Vaillant, malgré son âge
Et malgré son chagrin.
Image d´évangile,
Vivant d´humilité,
Il se rendait utile
Auprés du cantonnier.
彼は村に残った。
みんなは彼をとても愛した、
しゃんとしていた、歳にかかわらず、
また辛い気持ちにもかかわらず。
福音の象徴、
謙虚さの体現だった、
彼は役立てられた
道路工事夫の傍らで。
Cette vie honorable,
Un soir, s´est terminée.
Dans le fond d´une étable,
Tout seul il s´est couché.
Pauvre bête de somme, 注3
Il a fermé les yeux.
Abandonne des hommes,
Il est mort sans adieux.
この敬すべき命は、
ある夜、終わった。
家畜小屋の奥で、
たった独りで彼は横たわった。
哀れなケモノ、
彼は目を閉じた。
人々に打ち捨てられて、
彼は別れの言葉もかけられずに死んだ。

Mm mm mmm mm...
Cette chanson sans gloire
Vous racontait la vie,
Vous racontait l´histoire
D´un petit âne gris...
ムム ムム ムムム ムム…
誉れなきこの歌は
君たちに生命を語った、
君たちに物語を語った
小さな灰色のロバの物語を…
[注]
1 santon「托鉢僧」の意味と「サントン人形」というプロヴァンス地方の)小さな土人形の意味とがある。「故郷の九月C'est en septembre」の注に、この人形について解説した。
2 en tête「先頭に」
3 bête de somme「駄獣」。卑しめる言葉だが、愛情を込めた表現。
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今回は、「小雨降る径Il pleut sur la route」でご存知のティノ・ロッシTino Rossiの大ヒット曲「マリネラMarinella」を。1936年のピエール・キャロンPierre Caronが制作し、ティノ・ロッシが主演した映画「マリネラMarinella」の主題歌です。作詞:ルネ・ピュジョルRené Pujol、エミール・オーディフレEmile Audiffred、ジェオ・コジェGéo Koger、作曲:ヴァンサン・スコットVincent Scotto。

マリネラMarinellaはペルーのダンスのこと。でもこの曲はルンバですし、歌詞でもルンバを踊ると言っていて、女性の名前のようにもとれます。甘いマスクのロッシに甘い声で甘い言葉の歌詞を歌われて、当時の女性たちがもうメロメロにとろけたのが分かる気がします。音楽的にも、起伏に富んだ味のある曲です。
Marinella マリネラ
Tino Rossi ティノ・ロッシ
Marinella !
Ah, reste encore dans mes bras,
Avec toi je veux jusqu'au jour
Danser cette rumba d'amour
Son rythme doux
Nous emporte bien loin de tout,
Vers un pays mystérieux,
Le beau pays des rêves bleus
マリネラ!
あぁ、僕の腕のなかにとどまっておくれ
君といっしょに夜が明けるまで
この愛のルンバを踊っていたい
その甘いリズムは
僕たちをすべてから遠いところに運んでくれる、
不思議な国へ、
青い夢のなかの美しい国へと

Blottie contre mon épaule
Tandis que nos mains se frôlent,
Je vois tes yeux qui m'enjôlent
D'un regard plein de douceur
Et quand nos cœurs se confondent
Je ne connais rien au monde
De meilleur
僕の肩にもたれておくれ
僕たちの手が触れ合っているあいだ、
甘美さをたたえた視線で
僕を籠絡する君の目を僕は見る
僕たちの心がひとつに融けあうとき
これ以上すてきなものは
世界にないと僕には分かっている
Marinella !
Ah, reste encore dans mes bras
Avec toi je veux jusqu'au jour
Danser cette rumba d'amour
マリネラ!
あぁ、僕の腕のなかにとどまっておくれ
君といっしょに夜が明けるまで
この愛のルンバを踊っていたい
Quand je te tiens là, sur mon cœur,
Pour moi c'est un tel bonheur
Qu'aucun mot ne peut l'exprimer.
Tout mon être est transformé
Et je voudrais que ce moment
Qui me trouble éperdûment
Se prolonge éternellement
君をここに、わが胸に抱くとき
僕にとってそれはなんという幸せだろう
どんな言葉もそれを言い表せない。
僕の存在はすべて変容し
僕を狂おしく惑わせるこの瞬間が
永遠に続くよう願う

Ah...,
Marinella !
Ah, reste encore dans mes bras,
Avec toi je veux jusqu'au jour
Chanter cette rumba d'amour
マリネラ!
あぁ、僕の腕のなかにとどまっておくれ
君といっしょに夜が明けるまで
この愛のルンバを歌っていたい
[注]
1 jusqu'au jour「朝まで」
2 最後だけchanterと歌っているので、歌詞をそれに合わせたが、アドリブで変えたのかもしれない。
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今回はカルラ・ブルーニCarla Bruniの「青春時代Ma jeunesse」。2008年にリリースしたアルバムComme si de rien n'étaitに収録されています。このアルバムの曲は、「石を散らしてDéranger les pierres」を先に取り上げています。彼女は、当時の仏大統領ニコラ・サルコジNicolas Paul Stéphane Sarközy de Nagy-Bocsaと同年1月に結婚しました。この曲には、過去を精算して新たな人生に向かう決意が込められているようです。
Ma jeunesse 青春時代
Carla Bruni カルラ・ブルーニ
Dans ma jeunesse, y a des rues dangereuses
Dans ma jeunesse, y a des villes moroses
Des fugues au creux d’ la nuit silencieuse 注1
私の青春には、いくつもの危険な通りがある
私の青春には、陰気な街があり
静かな夜のふところへの逃避もある

Dans ma jeunesse, quand tombe le soir
C’est la course à tous les espoirs
Je danse toute seule devant mon miroir
私の青春では、日暮れ時
それはすべての希望に向けての疾走の時
私は鏡の前で一人っきりで踊る
Mais ma jeunesse me regarde sérieuse, elle me dit 注2
"Qu’as-tu fait de nos heures?
Qu’as-tu fait de nos heures précieuses?
Maintenant, souffle le vent d’hiver"
けれど私の青春は私を真剣な目で見て、言う
「私たちの時間にあなたは何をしたの?
貴重な私たちの時間にあなたは何をしたの?
今は、冬の風が吹いているわ」と
Dans ma jeunesse, y a de beaux départs
Mon cœur qui tremble au moindre regard
L’incertitude au bout du couloir
私の青春には、いろんなすばらしい始まりがある
ほんのわずかな視線で震える私の心
廊下の奥はぼんやりとしている

Dans ma jeunesse, y a des interstices
Des vols planés en état d’ivresse
Des atterrissages de détresse
私の青春には、いくつかの狭間がある
酔いながらの滑翔
苦悩の着地
Mais ma jeunesse me regarde sévère, elle me dit
"Qu’as-tu fait de nos nuits? 注3
Qu’as tu fait de nos nuits d’aventure?
Maintenant, le temps reprend son pli" 注4
けれど私の青春は私を厳しい目で見て、言う
「私たちの夜をあなたはどうしたの?
私たちのアヴァンチュールの夜をあなたはどうしたの?
今は、変わり目の時よ」
Dans ma jeunesse, il y a une prière
Une prouesse à dire ou à faire 注5
Une promesse, un genre de mystère
Dans ma jeunesse, il y a une fleur
Que j’ai cueillie en pleine douceur
Que j’ai saisie en pleine frayeur
私の青春時代には、ひとつの祈りがある
言い得たあるいはおこない得たことある
ひとつの約束、ある種の不思議がある
私の青春には、一輪の花がある
それを私はとても優しく摘んだ
それを私はとても怯えながら掴んだ

Mais ma jeunesse me regarde, cruelle,
Elle me dit "C’est le temps du départ"
Je retourne à d’autres étoiles
Et je te laisse la fin de l’histoire {x2} 注6
けれど私の青春は私に目を向けた、残酷な目を、
彼女は私に言う「出発の時よ」と
私はまたほかの星に行く
そして私は物語の結末をあなたに委ねる
[注]
1 fugue音楽用語では「フーガ、遁走曲」だが、「一時的に姿をくらますこと、徘徊、疾走」をも意味する。
2 題名は「青春時代」としたが、この節ほかで、ma jeunesse を「私」を批判してくれる存在として擬人化している部分は「私の青春」と訳した。
3 Que+faire+de…「…をどうする」
4 pliは「ひだ、折り目」以外に「癖、習慣」の意味があり、prendre un pli「癖がつく、習慣になる」から類推すると、le temps reprend son pliは「時が自分の習慣を変える」といったニュアンスも含むようだ。
5 prouess「業績、手柄」。à dire ou à faireを加え、意訳した。
6 te「あなた」は特定の人物、これから人生をともにする相手、すなわちサルコジ氏のことかと思われる。
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今回は、「男と女(恋のデュエット)Un homme et une femme」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-650.htmlで知られるニコル・クロワジルNicole Croisilleの「あなたとともにUne femme avec toi」。1975 年のアルバム:Femme…に収録されています。この曲、最後のほうはまるで「叫び」です。原曲はイタリア語のDonna con te (作詞・作曲:Fred Ferrari, Vito Pallavicini)で、ピエール・ドラノエPierre Delanoëがフランス語に翻案しました。原曲とフランス語盤は同じ意味のタイトルですが、アルバムにはWoman in your armsという英語のタイトルも添えられています。既存の邦題を用いましたが、歌詞中は「あなたとともに生きる女」と、言葉を補って訳しました。意味的には「あなたの女」でいいのでしょうが、これはやめましょう。
Anna Oxaの歌う原曲のDonna con te
ニコル・クロワジルNicole Croisille
ララ・ファビアンLara Fabianも歌っています。
Une femme avec toi あなたとともに
Nicole Croisille ニコル・クロワジル
Je fréquentais alors des hommes un peu bizarres
Aussi légers que la cendre de leurs cigares
Ils donnaient des soirées au château de Versailles
Ce n'étaient que des châteaux de paille
Et je perdais mon temps dans ce désert doré
J'étais seule quand je t'ai rencontré
Les autres s'enterraient, toi tu étais vivant
Tu chantais comme chante un enfant
Tu étais gai comme un italien
Quand il sait qu'il aura de l'amour et du vin
Et enfin pour la première fois
Je me suis enfin sentie:
Femme, femme, une femme avec toi
Femme, femme, une femme avec toi
当時、私は付き合っていたわ
彼らのタバコの灰くらいに軽いちょっと変な男たちと
彼らはヴェルサイユの城の夜会を開いてくれた
それは藁でできた城に過ぎなかった
そして私はこの金ぴかの砂漠で自分の時間を無駄にした
私はあなたに出会ったときひとりぼっちだった
ほかの男たちは葬むられ、あなたは生きていた
あなたは子どもが歌うみたいに歌っていた
恋とワインが手に入るだろうと分かったときの
イタリア人みたいにあなたは陽気だった
そしてついに初めて
私はついに自覚したの:
女、女、あなたとともに生きる女
女、女、あなたとともに生きる女だと

Tu ressemblais un peu à cet air d'avant
Où galopaient des chevaux tous blancs
Ton visage était grave et ton sourire clair
Je marchais tout droit vers ta lumière
Aujourd'hui quoi qu'on fasse
Nous faisons l'amour
Près de toi le temps parait si court
Parce que tu es un homme et que tu es gentil
Et tu sais rendre belles nos vies
Toi tu es gai comme un italien
Quand il sait qu'il aura de l'amour et du vin
C'est toujours comme la première fois
Quand je suis enfin devenue:
Femme, femme, une femme avec toi
Femme, oh! femme, une femme avec toi
Femme, femme, une femme avec toi.
あなたは真っ白な馬が駆けていく
目前のこの空のようだった
あなたの顔立ちは厳粛であなたの微笑みは晴れやかだった
私はあなたの発する光に向かってまっすぐ歩いて行った
今、ひとが何をしようと
私たちは愛し合うわ
あなたのそばでは時間がとても早く過ぎるみたい
だってあなたは男だからそして優しいから
そしてあなたは私たちの生を美しくする術を知っている
恋とワインが手に入るだろうと分かったときの
イタリア人みたいにあなたは陽気ね
ずっと同じよ初めての時と
私がついに、
女、女、おお!あなたとともに生きる女
女、女、あなたとともに生きる女になった時と。

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エディット・ピアフÉdith Piafの「旅芸人の道Le chemin des forains」という曲は、ピアフの父親が曲芸師だったということが背景にあるようです。1955年。作詞:ジャン・ドレジャックJean Dréjac、作曲:アンリ・ソゲHenri Sauguet。
Le chemin des forains 旅芸人の道
Édith Piaf エディット・ピアフ
Ils ont troué la nuit
D'un éclair de paillettes d'argent.
Ils vont tuer l'ennui
Pour un soir dans la tête des gens.
A danser sur un fil, à marcher sur les mains,
Ils vont faire des tours à se briser les reins,
Les forains...
Une musique en plein vent, 注1
Un petit singe savant
Qui croque une noisette en rêvant
Sur l'épaule d'un vieux musicien
Qui, lui, ne rêve de rien.
Ils ont troué la nuit
D'un grand rire entremêlé de pleurs.
Ils ont tué l'ennui
Par l'écho de leur propre douleur.
彼らは夜を穿った
銀色のスパンコールの光で。
彼らは退屈を消し去ろうとする
一晩のあいだ人々の頭のなかから。
綱の上で踊り、逆立ちして歩き、
腰を痛めるほどに体を曲げようとする、
旅芸人たちは…
屋外に流れる音楽、
芸を仕込まれた小猿
そいつは年老いたミュージシャンの肩の上で
ハシバミの実を夢見ごこちでかじる
ミュージシャンのほうはなにも夢見たりしない。
彼らは夜を穿った
涙混じりの大笑いで。
彼らは退屈を消し去った
彼ら自身の苦しみの残響で。

Ils ont pris la monnaie dans le creux de leurs mains.
Ils ont plié bagages et repris leur chemin,
Les forains...
Leurs gestes d'enfants joyeux
Et leurs habits merveilleux,
Pour toujours, sont gravés dans les yeux
Des badauds d'un village endormi
Qui va rêver cette nuit...
Va rêver cette nuit
D'un éclair de paillettes d'argent
Qui vient tuer l'ennui,
Dans le cœur et la tête des gens,
Mais l'ombre se referme au détour du chemin 注2
Et Dieu seul peut savoir où ils seront demain,
Les forains...
Qui s'en vont dans la nuit...
彼らはてのひらに小銭を受け取った。
彼らは荷物をまとめてまた旅を続ける、
旅芸人たち…
彼らの陽気な子どもっぽい身ぶり
そして彼らのすばらしい衣装は、
眠りこんでいた村の見物人たちの
目にずっと、焼付けられ
その村は今夜、夢を見ることになる…
銀色のスパンコールの光で
夢を見ることになり
その光は退屈を消し去るんだ
人々の心と頭から、
だが、道の曲がり角で闇は再び閉ざされ
彼らが明日どこにいるかは神のみぞ知る、
旅芸人たち…
彼らは夜の闇に消え去った…

[注]
1 en plein vent「屋外で、野外で」
2 au détour du chemin「道の曲がり角で」
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アメリカ映画「俺たちに明日はないBonnie and Clyde」(1967年)で、フェイ・ダナウェイFaye Dunawayとウォーレン・ベイティWarren Beattyが演じたボニーとクライドは、大恐慌時代の実在の銀行強盗。アメリカ中西部で銀行強盗や殺人を繰り返したのち、1934年5月23日に警官隊によって射殺されました。詳しくはウィキペディアの記事を参照ください。
1968年に、そのボニーとクライドをテーマにした曲「ボニーとクライドBonnie and clyde」をセルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgが作り、歌っています。1968年1月に、二人の曲を組み合わせた同名のアルバム「ボニーとクライドBonnie and Clyde」に収録され、また同年6月にアルバム:イニシャルB.B."Initials B.B."にも収録。
ブリジッド・バルドーBrigitte Bardotとのデユオ。バルドーはボニーのトレードマークであるベレー帽をかぶり機関銃を持っています。
Bonnie and clyde ボニーとクライド
Serge Gainsbourg&Brigitte Bardot セルジュ・ゲンズブール&ブリジッド・バルドー
Vous avez lu l´histoire
De Jesse James
Comment il vécu
Comment il est mort
Ça vous a plus hein 注1
Vous en d´mandez encore
Et bien
Ecoutez l´histoire
De Bonnie and Clyde
あなたがたは読んだろう
ジェシー・ジェームズの物語を
彼がどのように生きたか
どのように死んだか
それはあなたがたの気に入ったんだね
あなたがたはそうしたものをもっと求める
さぁそれじゃ
お聞きなさい
ボニーとクライドの物語を

Alors voilà
Clyde a une petite amie
Elle est belle et son prénom
C´est Bonnie
A eux deux ils forment
Le gang Barrow
Leurs noms
Bonnie Parker et Clyde Barrow
さてさて
クライドにはカノジョがいる
その女はきれいで名前は
ボニーよ
彼ら二人が組んで
ギャング・バローになった
彼らの名前は
ボニー・パーカーとクライド・バロー
Bonnie and Clyde
Bonnie and Clyde
ボニーとクライド
ボニーとクライド
Moi lorsque j´ai connu Clyde
Autrefois
C´était un gars loyal
Honnête et droit
Il faut croire
Que c´est la société
Qui m´a définitivement abîmé
わたしがね その昔
クライドを知ったとき
あいつはまっとうな男だったわ
実直でまっすぐでね
オレを徹底的に打ちのめしたのは
社会だってこと
信じろよ
Bonnie and Clyde
Bonnie and Clyde
ボニーとクライド
ボニーとクライド
Qu´est-c´ qu´on a pas écrit
Sur elle et moi
On prétend que nous tuons
De sang-froid
C´est pas drôl´ 注2
Mais on est bien obligé
De fair´ tair´
Celui qui se met à gueuler
彼女とオレについて
ひとが書かなかったことは何だろう
わたしたちが冷血な殺人をしたと
ひとは言い張るのよ
イヤだね
だがしかたないのさ
文句を言うヤツを
黙らせるしかね
Bonnie and Clyde
Bonnie and Clyde
ボニーとクライド
ボニーとクライド
Chaqu´fois qu´un polic´man
Se fait buter 注3
Qu´un garage ou qu´un´ banque
Se fait braquer 注4
Pour la polic´
Ça ne fait d´myster
C´est signé Clyde Barrow 注5
Bonnie Parker
ポリ公が
殺られたり
ガレージあるいは銀行が
襲われたりするたびに
サツにとっちゃ
なんの不思議もない
それは明らかにクライド・バローと
ボニー・パーカーの仕業よ

Bonnie and Clyde
Bonnie and Clyde
ボニーとクライド
ボニーとクライド
Maint´nant chaqu´fois
Qu´on essaie d´se ranger 注6
De s´installer tranquill´s
Dans un meublé
Dans les trois jours
Voilà le tac tac tac
Des mitaillett´s 注7
Qui revienn´t à l´attaqu´
近頃
オレたちがかたぎになろうとするたび
住処に
静かに落ち着こうとするたび
三日も経たず
ほらタ・タ・タ…と響くよ
襲撃をまたおっぱじめる
サブマシンガンの音が
Bonnie and Clyde
Bonnie and Clyde
ボニーとクライド
ボニーとクライド
Un de ces quatr´
Nous tomberons ensemble
Moi j´m´n fous
C´est pour Bonnie que je tremble
Quelle importanc´
Qu´ils me fassent la peau 注8
Moi Bonnie
Je tremble pour Clyde Barrow
四日のうちに
オレたちゃいっしょにあの世行きだろう
オレは平気さ
震えてるのはボニーのためだ
どうってことないわよ
ヤツらがわたしを殺すなんて
わたしボニーはね
わたしはクライド・バローのために震えてんのよ
Bonnie and Clyde
Bonnie and Clyde
ボニーとクライド
ボニーとクライド
D´tout´facon
Ils n´pouvaient plus s´en sortir
La seule solution
C´était mourir
Mais plus d´un les a suivis
En enfer
Quand sont morts
Barrow et Bonnie Parker
どっちみち
彼らはもう逃げられなかった
残る道はただ一つ
それは死ぬことだった
だが一人のみならず彼らの道連れになった
地獄への
バローとボニー・パーカーが
死んだとき

Bonnie and Clyde
Bonnie and Clyde
ボニーとクライド
ボニーとクライド
[注]
1 plaire「…の気に入る」の過去分詞pluが直接補語のvousに性・数一致してplusとなっている。heinは、驚きや問いをあらわしたり、同意を求めたり、脅しをかけたりと多義な間投詞。
2 Ce n’est pas drôle.「面白くない、ひどく嫌だ」
3 buter=butter(隠語で)「殺す、ばらす」
4 braquer(俗語で)「武器で襲う」
5 C’est signé「誰の仕業か明々白々だ、一目瞭然」
6 se ranger(話し言葉で)「素行(身持ち)がよくなる、生活態度を改める」
7 mitraillette「サブマシンガン」肩から下げて持ち運ぶ軽機関銃。その名のスナックもある。
8 faire la peau à qn.「…を殺す、ばらす」
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バルバラBarbaraの「生きる苦しみLe mal de vivre」は1965年に発表された同名のアルバムに収録されています。
Le mal de vivre 生きる苦しみ
Barbara バルバラ
Ça ne prévient pas quand ça arrive
Ça vient de loin
Ça c'est promené de rive en rive
La gueule en coin 注1
Et puis un matin, au réveil
C'est presque rien
Mais c'est là, ça vous ensommeille
Au creux des reins
それは予告もなくやって来る
それは遠くからやって来る
それは岸から岸へとうろつく
口元にすねた表情を浮かべて
そしてある朝、目覚めると
ほとんど消えている
でもそこに、腰のくびれにいて
それはあなたの眠気をさそう
Le mal de vivre
Le mal de vivre
Qu'il faut bien vivre
Vaille que vivre 注2
生きる苦しみ
生きる苦しみ
なにせ生きねば
なんとか生きねば
On peut le mettre en bandoulière
Ou comme un bijou à la main
Comme une fleur en boutonnière
Ou juste à la pointe du sein
C'est pas forcément la misère
C'est pas Valmy, c'est pas Verdun
Mais c'est des larmes aux paupières
Au jour qui meurt, au jour qui vient
それは負い革に入れることもできるし
手にとった宝石のようでも
ボタン穴に挿した花のようでもあり
まるで乳首のようでもある
べつに惨事でもなく
ヴァルミーの戦いでも、ヴェルダンの戦いでもない
でもそれは一日が過ぎ去るとき、一日がやって来るとき
まぶたに浮かぶ涙だ

Ce mal de vivre
Ce mal de vivre
Qu'il nous faut bien vivre
Vaille que vivre
この生きる苦しみ
この生きる苦しみ
私たちはなにせ生きねば
なんとか生きねば
Qu'on soit de Rome ou d'Amérique
Qu'on soit de Londres ou de Pékin
Qu'on soit d'Egypte ou bien d'Afrique
Ou de la porte Saint-Martin
On fait tous la même prière
On fait tous le même chemin
Qu'il est long lorsqu'il faut le faire
Avec son mal au creux des reins
ローマからでも、アメリカからでも
ロンドンからでも、北京からでも
エジプトからでも、アフリカからでも
あるいはサン・マルタン門からでも
ひとは同じ祈りを捧げ
同じ道を辿る
腰のくびれに苦しみを抱えながら
そうしなければならないのはなんと長い道のりなのか

Ils ont beau vouloir nous comprendre
Ceux qui nous viennent les mains nues
Nous ne voulons plus les entendre
On ne peut pas, on n'en peut plus
Et tous seuls dans le silence
D'une nuit qui n'en finit plus
Voilà que soudain on y pense
A ceux qui n'en sont pas revenus
手に何も持たずに訪れる彼らが
私たちに分かってもらおうとしたって無駄だ
私たちはもう彼らの言うことは聞きたくない
それはできない、もうできない
けれど終わりのない夜の
静寂のなかで一人っきりになったとき
私たちはとつぜん思いを向ける
戻って来なかった彼らに
Du mal de vivre
Leur mal de vivre
Qu'ils devaient vivre
Vaille que vivre
生きる苦しみ
彼らの生きる苦しみ
彼らは生きねばならなかった
なんとか生きねば
Et sans prévenir, ça arrive
Ça vient de loin
Ça c'est promené de rive en rive
Le rire en coin
Et puis un matin, au réveil
C'est presque rien
Mais c'est là, ça vous émerveille
Au creux des reins
それは予告もなくやって来る
それは遠くからやって来る
それは岸から岸へとうろつく
口元に笑いを浮かべて
そしてある朝、目覚めると
ほとんど消えている
でもそこに、腰のくびれにいて
それはあなたの眠気をさそう

La joie de vivre
La joie de vivre
Oh, viens la vivre
Ta joie de vivre
生きる喜び
生きる喜び
おお、それを生きてよ
あなたの生きる喜びを
[注]
1 (faire) la gueule「嫌な顔をする、膨れっ面をする」。 en coin「目の端」あるいは「口の端」
2 il faut bien vivre は「食うためには仕方がない」という成句。vaille que vivreのvailleはvaloirの接続法。vaille que vaille「どうにかこうにか、ともかく」をもじった表現だろう。
3 ヴァルミーValmy:1792年9月20日にフランス軍とプロイセン軍の戦いが行われた。非常に大きな戦列艦が建造され、この戦いの後にヴァルミーと名付けられた。ヴェルダンVerdun:1916年2月21日より、ドイツ軍とフランス軍の戦いが行われた。第一次世界大戦における主要な戦いの一つである。
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エディット・ピアフÉdith Piafがバラの花を歌った曲としては「バラ色の人生La vie en rose」がまず挙げられますが、「恋人が一輪の花をくれたMon ami m'a donné」(1952年。作詞:レイモン・アッソRaymond Asso、作曲:クロード・ヴァレリーClaude Valéry)もバラを歌っています。こちらは白いバラ。ちなみに、昨日、「東京シャンソンフェスティヴァル《~五月の風にのせて~》」では、響くんが今回のコンクール優勝曲、ベルト・シルヴァBerthe Sylvaの「白いバラLes roses blanches」を歌ってくれましたね。
ピアフの動画を、私が自分で作ってYouTubeに投稿したのですが、ブロックされて公開できませんでした。こちらは、ほかの方が出している動画です。
Mon ami m'a donné 恋人が一輪の花をくれた
Édith Piaf エディット・ピアフ
Mon ami m´a donné une fleur,
Une fleur que j´ai mise à mon cœur,
Sur mon cœur plein de lui.
Que la rose était belle.
Dans mon cœur plein de lui,
Le bonheur a fleuri.
恋人がわたしに一輪の花をくれた、
一輪の花をわたしは心に置いた、
彼のことでいっぱいのわたしの心のなかに
バラはなんて美しいのかしら。
彼のことでいっぱいのわたしの心のなかに、
しあわせが花開いた。

Mon ami m´a donné un baiser,
Près du cœur, doucement l´a posé.
A mon cœur plein d´amour,
Que sa lèvre était douce.
Ce baiser plein d´amour,
L´ai donné à mon tour.
恋人がわたしに口づけをくれた、
心に寄り添うように、優しく口づけしてくれた。
愛でいっぱいのわたしの心に、
彼の唇はなんて甘いのかしら。
愛でいっぱいのこの口づけを
今度はわたしが彼にしてあげた。
Mon ami m´a donné un serment,
Le serment de m´aimer si longtemps,
Si longtemps que les fleurs
Pousseront sur la terre,
Si longtemps que la fleur
Restera sur mon cœur.
恋人がわたしに誓いをしてくれた、
とても長いことわたしを愛するという誓いを、
花々が地上に芽吹くくらい
長いこと、
この花がわたしの心に
留まるだけ長いこと。
Mon ami m´a donné du pleurer,
Du pleurer que n´ai pas mérité. 注1
Pour essuyer mes pleurs,
J´ai pris la rose blanche,
J´ai pris la rose fleur
Qui était sur mon cœur.
恋人がわたしに涙をくれた、
私にはふさわしくない涙を。
涙をぬぐうため、
わたしは白バラを取った、
わたしの心にあった
バラの花を取った。

Mon ami viendra me voir demain.
Plus de fleurs et beaucoup de chagrin.
J´irai voler des fleurs
Dans les jardins du monde.
J´irai voler des fleurs
La plus belle à mon cœur.
恋人は明日わたしに会いに来るでしょう。
花ではなく悲しみをいっぱい持って。
わたしは花を盗みに行くわ
世界中の庭に。
花を盗みに行くわ
わたしの心にとっていちばん美しい花を。
En prison, si l´on veut me jeter,
Je dirai à qui va me juger :
"Faites battre tambours
Et dressez la potence. 注2
Plutôt que perdre amour,
Je volerai la France
Et le roi dans sa cour 注3
Plutôt que perdre amour..."
牢獄に、ひとがわたしを投げ込もうとしたら
わたしを裁こうとする人に言うわ
「太鼓を打ち鳴らし
絞首台を立てなさい。
愛を失うくらいなら、
わたしはフランスを盗むわ
宮殿にいるその王を
愛を失うくらいなら…」
[注]
1 que je n´ai pas méritéのjeが略されている。
2 dresser la potence「絞首台の柱を立てる」
3 王とは恋人のこと?
第3回コンクールのグランプリ受賞者:響くん、Com'Ci Com'Çaのお二人。第2回コンクールのグランプリ受賞者:八木章夫さん、 入江珠子さんほか、入賞者たちをメインに、個性あふれる歌い手たちが素晴らしい伴奏で素晴らしい歌を聴かせます。5月20日、杉並公会堂B2の小ホールで、13時半開場、14時開演。当日券あります。お問い合わせは、下のフライヤーに記載された電話番号・アドレスまで。

今年、日本語部門グランプリ受賞の響くんは2曲歌います。

フランス語部門グランプリ受賞のCom'Ci Com'Çaのお二人、寺島寧環さんと北島はるかさんはデュオを2曲とソロをそれぞれ1曲ずつ歌います。北島はるかさんは、去年、準グランプリを受賞しています。

去年の日本語部門グランプリの八木章夫さん、フランス語部門グランプリの入江珠子さんもそれぞれ2曲ずつ歌います。

さらに詳細な記事が宇藤カザンのブログにありますのでご覧ください。

今年、日本語部門グランプリ受賞の響くんは2曲歌います。

フランス語部門グランプリ受賞のCom'Ci Com'Çaのお二人、寺島寧環さんと北島はるかさんはデュオを2曲とソロをそれぞれ1曲ずつ歌います。北島はるかさんは、去年、準グランプリを受賞しています。

去年の日本語部門グランプリの八木章夫さん、フランス語部門グランプリの入江珠子さんもそれぞれ2曲ずつ歌います。

さらに詳細な記事が宇藤カザンのブログにありますのでご覧ください。
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今回はセリーヌ・ディオンCéline DionとガルーGarouのデュオの曲「風に乗ってSous le vent」です。アルジェリア生まれのシンガー・ソングライターJacques Venerusoが作りました。2000年に、ガルーのアルバムSeulに収録されたのち、2001年にシングル版がリリースされ、ミリオン・セラーとなりました。2005年のセリーヌ・ディオンのアルバムOn ne change pasにも収録されています。
ガルーはセリーヌ・デイオン同様、カナダのケベック州の生まれ(1972年)。1998年にパリで初演されたミュージカル「ノートルダム・ド・パリNotre Dame de Paris」のカジモドQuasimodo役で一躍有名になりました。低い特徴のある声の歌手です。
Sous le vent 風に乗って
Céline Dion&Garou セリーヌ・ディオン&ガルー
Et si tu crois que j´ai eu peur
C´est faux
Je donne des vacances à mon cœur
Un peu de repos
そして僕が恐怖を感じたと、もしも君が思うのなら
それは間違いだ
僕は自分の心に休暇を
ちょっとした休息を与えるんだ
Et si tu crois que j´ai eu tort
Attends
Respire un peu le souffle d´or
Qui me pousse en avant
Et...
そして僕が間違いをしたと、もしも君が思うのなら
待ってくれ
僕を前へと押してくれる
黄金色の息吹をちょっと吸ってみて
そして…

Fais comme si j´avais pris la mer 注1
J´ai sorti la grand´voile 注2
Et j´ai glissé sous le vent
Fais comme si je quittais la terre
J´ai trouvé mon étoile
Je l´ai suivie un instant
(Sous le vent) 注3
まるで僕が海を捉えたみたいだと思ってよ
僕は大滑空を始め
そして風に乗って滑って行った
まるで僕が地球を離れたみたいだと思ってよ
僕は自分の星を見つけ
ひとときの間ついて行った
(風に乗って)

Et si tu crois que c´est fini 注4
Jamais
C´est juste une pause, un répit
Après les dangers
そしてもしもあなたが
もう終わったことだと思うのなら
そんなことないわ
それはただひとつの休止、一つの休息よ
危険が過ぎたあとの
Et si tu crois que je t´oublie
Écoute
Ouvre ton corps aux vents de la nuit
Ferme les yeux
Et...
そしてもし私があなたを忘れるとあなたが思うのなら
聴いて
夜風に身体を開いて
目を閉じて
そして…
Fais comme si j´avais pris la mer
J´ai sorti la grand´voile
Et j´ai glissé sous le vent
Fais comme si je quittais la terre
J´ai trouvé mon étoile
Je l´ai suivie un instant
(Sous le vent)
まるで私が海を捉えたみたいだと思ってよ
私は大滑空を始め
そして風に乗って滑って行った
まるで私が地球を離れたみたいだと思ってよ
私は自分の星を見つけ
ひとときの間ついて行った
(風に乗って)

Et si tu crois que c´est fini
Jamais
(Sous le vent)
C´est juste une pause, un répit
Après les dangers
そしてもしも君が
もう終わったことだと思うのなら
そんなことはない
(風に乗って)
それはただひとつの休止、一つの休息だ
危険が過ぎたあとの
Fais comme si j´avais pris la mer,
J´ai sorti la grand´voile,
Et j´ai glissé sous le vent
Fais comme si je quittais la terre,
J´ai trouvé mon étoile,
Je l´ai suivie un instant.
まるで僕が海を捉えたみたいだと思ってよ
僕は大滑空を始め
そして風に乗って滑って行った
まるで僕が地球を離れたみたいだと思ってよ
僕は自分の星を見つけ
ひとときの間ついて行った。
Fais comme si j´avais pris la mer,
J´ai sorti la grand´voile,
Et j´ai glissé sous le vent
Fais comme si je quittais la terre,
J´ai trouvé mon étoile,
Je l´ai suivie un instant,sous le vent.
まるで僕が海を捉えたみたいだと思ってよ
僕は大滑空を始め
そして風に乗って滑って行った
まるで僕が地球を離れたみたいだと思ってよ
僕は自分の星を見つけ
ひとときの間ついて行った、風に乗って
Sous le vent....
風に乗って…。
[注] 画像はハング・グライダーからデルタ・グライダーまで。
1 faireは「みなす、と思う」の意味で、ここは2人称単数の命令形と解釈。相手に「そう思ってみて」と言うようなニュアンス。
2 女性名詞のvoileは「帆」以外に「滑空、グライダー操縦」の意味がある。
3 sous le vent「風下に」で、つまりは「風に乗って」という意味。「風上に」はau vent。
4 c´est finiのceは、二人の関係のこと。
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「白いバラLes roses blanches」は、ベルト・シルヴァBerthe Sylva(1885~1941)が1926に創唱した、とても古いシャンソン。泣かずにはいられない曲で、いまだにフランスの人々が一番好きな歌として挙げる大ロングセラーです。
ほかの歌手のカヴァーとしては、ティノ・ロッシTino Rossiやセリーヌ・ディオンCeline Dionが知られていますが、やはりこの御本家の「花屋のおばさん」風がいいですね。
Les roses blanches 白いバラ
Berthe Sylva ベルト・シルヴァ
C'était un gamin, un gosse de Paris,
Pour famille il n'avait qu' sa mère
Une pauvre fille aux grands yeux rougis,
Par les chagrins et la misère
Elle aimait les fleurs, les roses surtout,
Et le cher bambin tous les dimanche
Lui apportait de belles roses blanches,
Au lieu d'acheter des joujoux
La câlinant bien tendrement,
Il disait en les lui donnant :
それはひとりの男の子、パリに住むちびっこで、
家族は母親だけ
その母親は、悲しみと貧困で
赤く泣きはらした大きな眼をした貧しい娘だった
彼女は花が、とくに白バラが好きで、
かわいいおちびちゃんは日曜日ごとに
おもちゃを買うかわりに
彼女にきれいな白バラを運んでいた
彼女をとてもやさしく撫でつつ、
バラを彼女に捧げながら彼は言っていた
"C' est aujourd'hui dimanche, tiens ma jolie maman
Voici des roses blanches, toi qui les aime tant
Va quand je serai grand, j'achèterai au marchand
Toutes ses roses blanches, pour toi jolie maman"
「きょうは日曜日だよ、ほら、僕のすてきなママン
白バラだよ、とっても好きなんでしょ
僕が大きくなったら、花屋さんで
お店の白バラをぜんぶ買うよ、すてきなママンのために」

Au printemps dernier, le destin brutal,
Vint frapper la blonde ouvrière 注1
Elle tomba malade et pour l'hôpital,
Le gamin vit partir sa mère
Un matin d'avril parmi les promeneurs
N' ayant plus un sous dans sa poche 注2
Sur un marché tout tremblant le pauvre mioche,
Furtivement vola des fleurs
La marchande l'ayant surpris,
En baissant la tête, il lui dit :
この前の春のこと、残酷な運命が
働く金髪娘をおそった
彼女は病気になり、
4月の朝、道を歩く人々の間から
男の子は、母親が病院に運ばれるのを見た
ポケットにはお金がもう無くて
市場で、あわれなチビは震えながら
すばやく花を盗んだ
花屋が彼を取り押さえたところ、
こうべを垂れながら、彼は言った:
"C'est aujourd'hui dimanche et j'allais voir maman
J'ai pris ces roses blanches elle les aime tant
Sur son petit lit blanc, là-bas elle m'attend
J'ai pris ces roses blanches, pour ma jolie maman"
「きょうは日曜日で僕はママンに会いに行くの
僕はこのバラをとった、ママンがとっても好きなもんだから
ちっちゃな白いベッドの上で、あっちで僕を待っているんだ
僕はこの白バラをとった、僕のすてきなママンのために」
La marchande émue, doucement lui dit,
"Emporte-les je te les donne"
Elle l'embrassa et l'enfant partit,
Tout rayonnant qu'on le pardonne 注3
Puis à l'hôpital il vint en courant,
Pour offrir les fleurs à sa mère
Mais en le voyant, une infirmière,
Tout bas lui dit "Tu n'as plus de maman"
Et le gamin s'agenouillant dit,
Devant le petit lit blanc :
花屋は胸がいっぱいになって、やさしく彼に言った
「持ってお行き、あんたにあげるわ」
彼女は彼にキスをし、子供は出て行った、
彼女が彼を許したのですっかり喜んで
それから彼は走って病院に向かった、
花を母親に上げようと
けれど彼を見て、ひとりの看護婦が言った、
「もうママンはいないのよ」
そして男の子は小さな白いベッドの前で
膝まずきながら言った、
"C'est aujourd'hui dimanche, tiens ma jolie maman
Voici des roses blanches, toi qui les aimais tant
Et quand tu t'en iras, au grand jardin là-bas
Toutes ces roses blanches, tu les emporteras"
「きょうは日曜日だよ、ほら、僕のすてきなママン
白バラだよ、とっても好きなんでしょ
ママンが行くとき、天国の大きなお庭に
この白バラをぜんぶ持ってってね」

[注]
1 ここから、事態の急変により、時制が半過去から単純過去に変わる。
2 ここから、現在分詞とジェロンディフがいくつも続く。一つ一つ役割は違うが、状況描写にうまく用いられている。
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今回はちょっと古い歌。1937年にジャン・サブロンJean Sablonが歌った「ちまたの歌La chanson des rues」です。コラ・ヴォケールCora Vaucaireの夫でエディット・ピアフÉdith Piafの「いいえ、私は何も悔やまない(水に流して)Non, je ne regrette rien」の作詞で知られるミッシェル・ヴォケールMichel Vaucaireが作詞し、ゴエル・リュドルフGoer Rudolfが作曲しました。
La chanson des rues ちまたの歌
Jean Sablon ジャン・サブロン
Bien des gens s´arrêtent 注1
Et la voix émue
Sans façon répètent 注2
La chanson des rues
たくさんの人が立ち止まる
そして感動に満ちた声が
さりげなく繰り返す
ちまたの歌を
Dans la rue chaque soir
Un accordéon prélude
Dans la rue chaque soir
Au beau milieu du trottoir 注3
Les passants s´arrêtent
Et reprennent en chœur 注4
Le refrain que tout le monde sait par cœur 注5
ちまたでは毎晩
アコーデオンが演奏を始める
ちまたでは毎晩
歩道の真ん中で
通行人たちが立ち止まり
声を合わせて繰り返す
誰もがそらんじているルフランを

Bien des gens s´arrêtent
Et la voix émue
Sans façon répètent
La vieille chanson des rues
たくさんの人が立ち止まる
そして感動に満ちた声が
さりげなく繰り返す
古いちまたの歌を
Modeste musique
Poésie d´un sou 注6
Mais cet air mélancolique
Vous poursuit partout
On y parle de tristesse
De rêves et d´amours déçus
Et du regret que vous laissent
Les années qui ne sont plus
月並みな旋律
お粗末な歌詞
だがこのメランコリックな調べは
いたるところでつきまとってくる
ひとはそのなかで語る 悲しみを
夢を終わった恋を
そして過ぎ去った年月が心に残す
哀惜の念を

Bien des gens s´arrêtent
Et la voix émue
Sans façon répètent
La triste chanson des rues
たくさんの人が立ち止まる
そして感動に満ちた声が
さりげなく繰り返す
悲しいちまたの歌を
[注]
1 bien des+名詞「多くの、たくさんの」
2 sans façon「気取らずに、もったいぶらずに」
3 au beau milieu de「…のど真ん中で、…の真っ最中に」
4 en chœur「声を合わせて、全員一致して」
5 par cœur「暗記して、そらんじて」
6 d´un sou「安物の、値打ちのない」
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前回に引き続きダリダDalidaです。「求めつづけてPour en arriver là 」(1984年。作詞・作曲: Jeff Barnell, Michel Jean Marie Jouveaux)はアルバムDali に収録された曲。この曲名Pour en arriver là は1987年にダリダが亡くなった年にリリースされた追悼アルバムのタイトルにもなっています(副題はDalida for ever)。en arriver là は「ついにそうなる」という意味の成句で、「歌手としての栄光の座を得る」ということでしょう。歌詞では、「そこに至るために」と訳しましたが、邦題は、「歌いつづけて」に習って「求めつづけて」とすることに。
Pour en arriver là 求めつづけて
Dalida ダリダ
J'ai traversé des nuits et des jours sans sommeil
Pour en arriver là
J'ai eu chaud sous la pluie et froid en plein soleil
Pour en arriver là
J'ai parlé à la peur et fait taire le silence
J'ai maquillé les heures j'ai vendu des dimanches
Pour en arriver là, pour en arriver là
J'ai pleuré tant de fois que je n'ai plus de larmes
Pour en arriver là
Je suis tombé cent fois mais sans tomber les armes
Pour en arriver là
J'ai marché sur ma vie plus souvent qu'à mon tour 注1
J'ai mis le mot fini presque à tous mes amours
Pour en arriver là, pour en arriver là
私は眠らずに何晩も何日も過ごした
そこに至るために
雨のもとで暑さを炎天下で寒さを覚えた
そこに至るために
恐怖に話しかけ静寂を黙らせた
時間を捏造し休日を売った
そこに至るために、そこに至るために
私は涙が枯れるほど何度も泣いた
そこに至るために
百回も倒れたが武器は手離さなかった
そこに至るために
私はしょっちゅう自分の生をないがしろにした
ほとんどすべての恋に終わりの言葉を記した
そこに至るために、そこに至るために

Pour en arriver là j'ai trop douté de tout
De moi de Dieu de vous
J'ai laissé derrière moi tous mes rêves d'enfance
Aujourd'hui j'ai le cœur presque en état d'urgence 注2
Pour en arriver là
Je crois bien qu'avec vous si j'avais rendez-vous
sans l'ombre d'un regret
Pour en arriver là
Je recommencerai
そこに至るために私はあまりにも疑った
私のすべて、神のすべて、あなたのすべてを
私は幼い頃の夢をすべて置き去りにした
今、私の心はほとんど差し迫った状況にある
そこに至るために
私は信じるわ、あなたとなら、逢引きしても
後悔の影が忍び寄ることはないと
そこに至るために
私は再出発するわ
J'ai appris à hurler juste en dedans de moi
Pour en arriver là
Pour ne pas vous montrer qu'on me montre du doigt
Pour en arriver là
J'ai fait le tour du monde mais je n'ai rien pu voir
L'absence est si profonde qu'elle salit mes miroirs
Pour en arriver là, pour en arriver là
私は自分の内側だけで呻くことを学んだ
そこに至るために
ひとが私をあざけるのをあなたに見せないために
そこに至るために
私は世界を回ったけれど何も見られなかった
欠如はとても深刻で私の鏡を汚す
そこに至るために、そこに至るために

Pour en arriver là
J'ai trop douté de tout de moi de dieu de vous
J'ai laissé derrière moi tous mes rêves d'enfance
Aujourd'hui j'ai le cœur presque en état d'urgence
Pour en arriver là
Je crois bien qu'avec vous si j'avais rendez-vous
Sans l'ombre d'un regret pour en arriver là
Je recommencerai
そこに至るために私はあまりにも疑った
私のすべて、神のすべて、あなたのすべてを
私は幼い頃の夢をすべて置き去りにした
今、私の心はほとんど差し迫った状況にある
そこに至るために
私は信じるわ、あなたとなら、逢引きしても
後悔の影が忍び寄ることはないと
そこに至るために
私は再出発するわ
Pour en arriver là
J'ai souvent oublié de prendre deux billets
Ou de dire attends-moi
Pour aller nulle part
J'ai mis dans ma mémoire
Que des débuts d'histoires
Pour en arriver là
Je crois bien qu'avec vous
Si j'avais rendez-vous
Sans l'ombre d'un regret
Je recommencerai
Pour arriver là.
そこに至るために
私はしばしば2枚の切符を買うことを
あるいは私を待ってと言うことを忘れた
どこにも行かないために
私は自分の記憶のなかに
物語の冒頭だけを置いた
そこに至るために
私は信じるわ、あなたとなら、逢引きしても
後悔の影が忍び寄ることはないと
そこに至るために
私は再出発するわ
そこに至るために。
[注]
1 marcher sur qc.「…を踏みつけにする、ないがしろにする」。plus souvent qu'à mon tour「いつもより頻繁に」
2 état d'urgence「非常事態、緊急事態」
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1960年のユーロヴィジョン・コンテストで、イタリア代表のレナート・ラシェルRenato Rascelが「ロマンティカRomantica」を歌い、8位となりました。ダリダDalidaがその曲をフランス語で歌っています。今回はそれを取り上げましょう。
レナート・ラシェルの、ユーロヴィジョン・コンテストでの歌唱
ダリダ
Romantica ロマンティカ
Dalida ダリダ
Tu es étrange, tu n´en laisses rien paraître
Et nul ne peut te connaître
Tu es étrange, jamais tes yeux ne s´enflamment
Mais j´ai deviné ton âme
あなたは変わってる、あなたはそれをまるで表に出さない
そして誰もあなたを理解できない
あなたは変わっている、あなたの目はけっして燃えない
でも私はあなたの本性を見たわ

Tu es romantica, romantique et bohème
Tu t´en défend parfois
Mais moi, je sais, je sais tout ça
Tu es romantica, voilà pourquoi je t´aime
Tes yeux sont malheureux
Quand notre ciel paraît moins bleu
あなたはロマンティカ、ロマンティックで自由気まま
あなたはしばしばそれを否定する
でも私は、知ってる、全部知ってるわ
あなたはロマンティカ、だから私はあなたが好き
あなたの目は陰る
空の青みが薄まったように見えるとき
Le rire d´un enfant, une fleur au printemps
Le chant d´un feu de bois
Au fond, tu n´aimes que ça
Et quand tu viens vers moi
Tu sais rester toi-même
De peur qu´on rie tout bas
Tu n´aimes pas montrer tes joies
Car tu veux les garder pour toi
子どもの笑顔、春の花
焚き火のはじける音
ほんとうは、あなたはそんなものしか愛さない
そしてあなたが私のもとに来る時
あなたは本来のあなたでいられる
ひとが裏で笑うことを恐れて
あなたは自分の喜びを示したがらない
なぜならその喜びを自分に取っておきたいから
Tu es romantica, c´est pour ça que je t´aime
Tu as fait de ma vie un univers de poésie
あなたはロマンティカ、だから私はあなたが好き
あなたは私の人生を詩的な世界にした

Est-ce là ton secret? Mais je le connais
Tous mes rêves sont fait à ton image, c´est vrai
Et lorsque je te vois romantique et bohème
Je pense qu´ici-bas tout mon bonheur, je te le dois
それってあなたの秘密なの?でも私には分かってるわ
私の夢はすべてあなたの姿に合わせてできている、そうなのよ
そして私があなたをロマンティックで自由気ままだと見ているから
ここに私のしあわせのすべてがあると思うの、それはあなたのおかげよ
Tu es romantica, tu es romantica, tu es romantica
Pour moi
あなたはロマンティカ、あなたはロマンティカ、あなたはロマンティカ
私にとって
[注] romanticaはイタリア語で「ロマン主義の」あるいは「熱情的な」の意味の形容詞romanticoの女性形。もともと男性歌手が歌っていたイタリア語の歌詞の言葉をそのまま用いているのだが、女性が相手の男性のことを言うなら、本来はromanticoとすべきだ。
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布施明が「青春の旅立ち」という邦題で歌っているのは、ミッシェル・サルドゥーMichel Sardouの「もしも貧乏になってSi l'on revient moins riches」という曲。作詞:サルドゥー自身とディディエ・バルブリヴィアン Didier Barbelivien、作曲:ジャック・ルヴォーJacques Revaux。1983年に、アルバムVladimir Ilitchに収録されています。「二人で旅に出よう」と恋人にもちかける内容の歌詞で、旅に出て「もしも貧乏になって戻って来るとしても」、それでもいいじゃないか、それはたぶんより良いことだ、というのです。ちょうどイソップ寓話の「アリとキリギリス」のキリギリスのように冬が来たときに食べ物の蓄えがなかったとしてもいいじゃないか、アリたちがリッチであろうと、そんなこと知ったことじゃないさと言っているようですが、社会に組み込まれて実益にのみ目を向けるみじめな生活から抜け出して広い世界に飛び出そう、いのちを輝かせて生きようというステキな提案なのです。
Si l'on revient moins riches 貧乏になって(青春の旅立ち)
Michel Sardou ミッシェル・サルドゥー
Et si j’te racontais 注1
Notre prochain voyage?
J’veux dire... en plein délire, 注2
En plein vagabondage.
J’ai l’air de plaisanter
Mais j’rigole pas du tout :
Etre une fois cinglés, 注3
Une fois vraiment fous.
じゃあ、君に語ろうかな
僕たちの今度の旅について?
つまり…気違い沙汰で、
放浪そのものなのさ。
僕は冗談を言っているみたいだけど
笑ったりなんかしないんだ:
ちょっと頭がおかしくなったり、
またほんとうに狂ってしまったりすることを。

Partir, bon Dieu! partir
Sans savoir où l’on va,
Faire de la planche à voile
Au détour d’un delta,
D’accord, on prend la fuite :
Imaginons la suite,
Pour un mois pour un an,
J’sais pas.
出発するんだ、なんとまぁ!出発するんだよ
どこへ行くのかは知らないが、
三角州を回って
ウィンドサフィンをやるのさ、
よし、僕たちは脱出しよう:
続きは想像しよう、
ひと月後一年後は、
僕には分からない
Et si l’on revient moins riches,
Qu’est-ce que ça peut faire?
D’ailleurs qui seront les riches?
C’est pas notre affaire.
Je rêve d’une route en plein soleil,
D’île aux oiseaux
Où nous aurions toujours sommeil.
僕たちがもしも貧乏になって戻ってきても
それが何なんだ?
他の人たちは金持ちだろうって?
そんなこと知ったことじゃない。
僕は太陽の降り注ぐ道を夢見る、
鳥たちのいる島を
そこで僕たちはずっとまどろむんだ。

Et si l’on revient moins riches,
C’est tout aussi bien.
D’ailleurs qui seront les riches?
Ça je n’en sait rien.
僕たちがもしも貧乏になって戻ってきても
それでもいいじゃないか。
他の人たちは金持ちだろうって?
そんなこと僕は知らない。
Je t’aurai vue nager 注4
Sous un ciel d’occident,
Rêver tout éveillée
Devant un océan,
Un été éternel
D’un amour aquarelle,
C’est pas original
C’est bleu carte postale.
僕は君が泳ぐのを見ることだろう
西方の空のもとで、
はっきりと目覚めながら夢みる
海原をまえに、
常夏
水彩画に描かれた恋、
それは新奇なものじゃない
それは青い絵ハガキだ。

Nous garderons, tant pis,
Même si c’est un peu bête,
Ces reflets de la vie
Comme un mauvais poète.
On aura eu l’idée
D’un paradis sur terre.
On aura joué la pièce entière.
僕たちは保っていよう、しかたないさ
それがちょっとばかげたものでも、
まずい詩みたいな
この生の輝きを。
僕たちは思い描く
地上の天国を。
僕たちは劇作品をまるごと演じるだろう。
Et si l’on revient moins riches,
Qu’est-ce que ça peut faire?
D’ailleurs qui seront les riches?
C’est pas notre affaire.
Je rêve d’une route en plein soleil,
D’île aux oiseaux
Où nous aurions toujours sommeil.
そして僕たちがもしも貧乏になって戻ってきても
それが何なんだ?
他の人たちは金持ちだろうって?
そんなこと知ったことじゃない。
僕は太陽の降り注ぐ道を夢見る、
鳥たちのいる島を
そこで僕たちはずっとまどろむんだ。
Et si l’on revient moins riches,
C’est peut-être mieux.
Avant que l’on en finisse,
Avant d’être vieux,
On aura eu des souvenirs,
Des nuits entières
A rêver sans dormir
そして僕たちがもしも貧乏になって戻ってきても、
それはたぶんより良いことだ。
僕たちが死ぬ前に
歳を取る前に、
僕たちはいろんな想い出をもつだろう
幾晩も夜通し、
眠らずに夢見ることだろう
[注]
1 si+半過去?の形で、主語がjeで主節が省略されている。願望を述べながら相手の意向を伺う内容。
2 en plein+n.「…のただなかで、真ん中で」が本義だが、訳語としてはまったく異なる表現にならざるを得ない。
3 une fois…une fois「ある時は…、またある時は…」
4 前未来という時制のここでの使い方は、未来の様子をリアルに想像しているようでもあり、夢見た内容を語っているようでもある。
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ダミアDamiaが歌った「街La rue」(作詞:シャルル・ファローCharles Fallot、作曲イヴァン・ゴスランYvan Gosselin)という曲をご紹介しましょう。1936年に出たレコードには「異国の人L'étranger」も収録されています。日本語の歌詞もあるのでご存じの方も多いでしょう。ダミアはLa rue de notre amourという曲も歌っていますが、これは別の曲です。
利用できる動画がなかったので私が作りました。
La rue 街
Damia ダミア
{Refrain:}
La rue la rue
La rue m'attire malgré moi
Et je vais, sans savoir pourquoi
Au hasard, dans la rue
街、街
街はいやおうもなく私を引きつける
なぜとも知らず、私は行く
あてどなく、街のなかを

Elle a des coins d'ombre
De plus en plus sombres 注1
Nul n'en sait le nombre même moi
Elle a ses misères elle a ses colères
Elle a ses mystères comme moi
La rue est féroce
Elle est bonne ou rosse
Douce ou bien atroce comme moi
La rue est farouche
Froide, laide et louche ...
Pourtant on y couche
Comme moi
街には暗い片隅が
もっともっと暗い片隅がある
誰もその数を知らない 私でさえ
街には街の悲哀があり 街には街の怒りがあり
街には街の神秘がある 私みたいに
街は冷酷だ
街はお人よしだったり意地悪だったりする
優しかったり残忍だったりする 私みたいに
街はとっつきにくい
冷淡で、醜悪でいかがわしい…
でもみんなそこにやすらぐ
私みたいに
{Refrain}
Il pleut, quelle boue en faisant la moue 注2
Chacun se secoue comme moi 注3
Mais les beaux dimanches
Dans leurs robes blanches
Roulant de la hanche comme moi 注4
Quand le soleil brille
Il faut voir les filles
Qui rient et babillent près de moi
Et la nuit... poême
Et bonheur suprême
Dans la rue on aime
Même moi
雨が降りゃ、なんて泥んこなんだと口をとがらせながら
みな元気をふりしぼる 私みたいに
でも晴れた日曜日は
白い衣装に身を包み
腰を振って歩く 私みたいに
太陽が輝いたら
娘たちを見なきゃ
笑っておしゃべりしているよ 私のそばで
そして夜には…詩と
この上ないしあわせがある
街でみんな恋をする
私みたいに

{Refrain}
Devant les terrasses
Des gens viennent, passent
La démarche lasse comme moi
La nuit près des halles
Traînant leurs sandales
Des pouilleux très sales comme moi
Vont coûte que coûte 注5
Pour chercher leur croûte
Chacun les redoute
Mais pas moi
Puis la nuit s'achève
Adieu les beaux rèves
Et de froid l'on crève
Comme moi
テラスの前を
人々は行ったり来たりする
疲れた足どりで 私みたいに
夜に卸売市場の付近に
サンダルを引きずって
私みたいなとっても汚い乞食たちが
なんとしてでもやって来る
自分たちのパン屑を探すために
みな彼らを怖がる
でも私はそうじゃない
それから夜が更け
美しい夢にさよならだ
そして寒さに耐えかねる
私みたいに
{Refrain}
La foule en cohue,
Certains jours se rue
Dans toutes les rues avec moi
Elle hurle et crie
Tempête, injurie,
Prise de folie comme moi
C'est une hécatombe
Fusils, canons, bombes
Et des hommes tombent près de moi
Le peuple se venge on balaie la frange
Et puis rien ne change
Croyez moi !
群衆はひしめきあって
ある日押しかける
あらゆる街に 私といっしょに
群衆はわめき叫ぶ
まるで嵐だ、ののしる、
狂気にとりつかれて 私みたいに
それは大殺戮だ
銃だ、大砲だ、爆弾だ
そして男たちは倒れる 私のそばに
人々は仇を討ち少数派を一掃する
そして何も変わらないんだ
本当さ!

{Refrain}
[注] ダミアは色を変えた部分は歌っていない。
1 de plus en plus「ますます、しだいに」
2 faire la moue「口をとがらす、ふくれっつらをする」
3 se secouer「(自分の)体を振る」の意味から「しゃんとする、気合を入れる」。
4 rouler de la hanche (ou les hanches)「腰を振って歩く」
5 coûte que coûte「どんな犠牲を払っても」
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「いつものようにComme d'habitude(My way)」を歌ったクロクロClocloことクロード・フランソワClaude Françoisの「ベル!ベル!ベル!Belles! Belles! Belles!」を今回は取り上げます。元歌は、Girls Girls Girls (are made to love)という英語の曲で、1962年にアメリカの兄弟デュオのEverly BrothersのPhil Everlyが作って彼らが創唱し、歌手で俳優でもあったエディー・ホッジスEddie Hodges が14歳で歌ったもの。それを同年フランス語に翻案してクロクロがKôkôという芸名で歌い、彼の最初のヒットとなりました。ノリのいいツイストのメロディーで、「ケセラセラ」の男性版のような歌詞内容です。
クロクロに関しては、「いつものようにComme d'habitude」のページで解説しています。
エディー・ホッジスEddie Hodges のGirls Girls Girls (are made to love)
クロクロの「ベル!ベル!ベル!」
Belles! Belles! Belles! ベル!ベル!ベル!
Claude François クロード・フランソワ
Un jour mon père me dit:
fiston, je te vois sortir le soir
A ton âge, il y a des choses qu'un garçon doit savoir
Les filles, tu sais, méfie-toi, c'est pas ce que tu crois
ある日おやじが僕に言った:
息子よ、おまえは今夜出かけるようだが
おまえの年頃には、男の子が知っておかなきゃならんことがある
娘たちにゃ、おまえ、気をつけろ、おまえが思うようなもんじゃない
Elles sont toutes
Belles, belles, belles comme le jour
Belles, belles, belles comme l'amour
Elles te rendront fou de joie 注1
Fou de douleur, mais crois-moi plus fou
D'elles, d'elles, d'elles de jour en jour 注2
彼女らはみな
きれい、きれい、太陽のようにきれいだ
きれい、きれい、愛のようにきれいだ
彼女らは喜びでわれを忘れさせ
苦しみで狂わんばかりにもさせる、だがな
彼女たちに、彼女たちに、彼女たち自身にしだいに夢中にさせていくんだ

Et puis des filles de plus en plus tu vas en rencontrer 注3
Peut-être même qu'un soir tu oublieras de rentrer
Plus t'en verras, plus t'en auras, et plus tu comprendras
Dans ces moments, tu te souviendras que ton vieux père disait
そして娘たちにおまえはますます足繁く逢いに行く
おそらくある夜に、おまえは帰るのを忘れるだろう
娘たちに逢うにつれ、娘たちと付き合うにつれ、おまえは分かってくる
そのとき、おまえのおやじが言っていたことを思い出すだろう
Elles sont toutes
Belles, belles, belles comme le jour
Belles, belles, belles comme l'amour
Elles te rendront fou de joie
Fou de douleur, mais crois-moi plus fou
D'elles, d'elles, d'elles de jour en jour
彼女らはみな
きれい、きれい、太陽のようにきれいだ
きれい、きれい、愛のようにきれいだ
彼女らは喜びで我を忘れさせ
苦しみで狂わんばかりにもさせる、だがな
彼女たちに、彼女たちに、彼女たち自身にしだいに夢中にさせていくんだ

Un jour enfin, tu la verras, tu ne peux pas te tromper
Tu voudras lui dire: je t'aime, mais tu ne pourras plus parler
En un clin d'oeil, vous serez unis pour le pire et le meilleur 注4
Mais tu tiendras là le vrai bonheur aux yeux de ton coeur 注5
ある日ついに、その娘に会うだろう、おまえは自分を欺くことはできない
おまえは彼女に言いたくなるだろう、愛していると、
だがおまえはそれ以上言えまい
またたくまに、おまえたちは苦楽をともにすべく結ばれるだろう
だがおまえはそこで本当のおまえの心に適う幸せを得るだろう
Elle sera belle, belle, belle comme le jour
Belle, belle, belle comme l'amour
Comme j'ai dit à ta maman
Tu lui diras, en l'embrassant
Tu es belle, belle, belle comme le jour
Belle, belle, belle comme l'amour
Belle, belle, belle comme le jour
Belle, belle, belle comme l'amour
彼女はきれい、きれい、太陽のようにきれいだろう
きれい、きれい、愛のようにきれいだろう
僕がおまえのかあさんに言ったように
おまえは彼女に言うだろう、キスをしながら
きれい、きれい、太陽のようにきれいだ
きれい、きれい、愛のようにきれいだ
きれい、きれい、太陽のようにきれいだ
きれい、きれい、愛のようにきれいだと

[注]
1 fou de…「…で狂わんばかりになる、夢中になる」
2 de jour en jour「日に日に、しだいに」
3 de plus en plus「ますます」
4 en un clin d'oeil「またたくまに」。uni(s) pour le pire et le meilleur「苦楽をともにすべく結ばれた」
5 aux yeux de「…の目の前で、…の見解では」
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ジャック・プレヴェールJacques Prévertの詩の数多くがシャンソンとして歌われています。ジュリエット・グレコJuliette Gréco「美しい星でÀ la belle étoile」のページにリストアップしています。「鳥の絵を描くためにPour faire le portrait d'un oiseau」という、私の好きな詩をイヴ・モンタンYves Montandが歌っているというので聴いてみましたが、歌っているわけではなく、単純な音楽をバックに語っていました。
これも歌ってはいませんが、声が気に入りました。
ミッシェル・ベルグMichael Berg (Michel Van Bergen Henegouwen)という人が作曲し歌っています。
オランダ人だということしか分かりませんが、この人の歌としてご紹介しましょう。
Pour faire le portrait d´un oiseau 鳥の絵を描くために
Michael Berg ミッシェル・ベルグ
Peindre d´abord une cage
avec une porte ouverte
まずカゴを描く
開いた戸をつけて

peindre ensuite
quelque chose de joli
quelque chose de simple
quelque chose de beau
quelque chose d´utile
pour l´oiseau
つぎに描くんだ
可愛いなにかを
シンプルななにかを
美しいなにかを
役に立つなにかを
鳥にとってね
placer ensuite la toile contre un arbre
dans un jardin
dans un bois
ou dans une forêt
つぎにキャンバスを木に立てかける
庭の
林の
あるいは森の木に

se cacher derrière l´arbre
sans rien dire
sans bouger...
木の陰に隠れる
なんにも言わず
じっとして…
Parfois l´oiseau arrive vite
mais il peut aussi mettre de longues années
avant de se décider
鳥がすぐやって来ることもある
だがまた長年かかることもある
ケリがつくまでに
Ne pas se décourager
attendre
attendre s´il le faut pendant des années
la vitesse ou la lenteur de l´arrivée de l´oiseau
n´ayant aucun rapport
avec la réussite du tableau
がっかりすることはないさ
待つんだ
何年もかかろうが待つんだ
鳥の到着の早いか遅いかは
なんら関係がない
絵の出来とはね
Quand l´oiseau arrive
s´il arrive
observer le plus profond silence
attendre que l´oiseau entre dans la cage
et quand il est entré
fermer doucement la porte avec le pinceau
鳥がやって来たら
もしもやって来たら
うんと静かにして
鳥がカゴに入るのを待つんだ
そして入ったら
筆でそっと戸を閉める
puis
effacer un à un tous les barreaux
en ayant soin de ne toucher aucune des plumes de l´oiseau
それから
すべての格子をひとつひとつ消す
鳥のどの羽にも触れないように気をつけながら

Faire ensuite le portrait de l´arbre
en choisissant la plus belle de ses branches
pour l´oiseau
つぎに木の形を描く
鳥のために
いちばん美しい枝を選んで
peindre aussi le vert feuillage et la fraîcheur du vent
la poussière du soleil
et le bruit des bêtes de l´herbe dans la chaleur de l´été
et puis attendre que l´oiseau se décide à chanter
また緑の葉も爽やかな風も
陽の光の粒子も
夏の暑さにうだる草葉の陰の虫の音も描く
そして鳥がさえずろうと決心するのを待つ
Si l´oiseau ne chante pas
C´est mauvais signe
signe que le tableau est mauvais
mais s´il chante c´est bon signe
signe que vous pouvez signer
鳥がさえずらなかったなら
それは悪いサインだ
絵がまずいというサインだ
だが鳥がさえずったらいいサインだ
あなたがサインできるというサインだ
Alors vous arrachez tout doucement
une des plumes de l´oiseau
et vous écrivez votre nom dans un coin du tableau.
そしたらあなたはそっとそっと引き抜きなさい
鳥の羽を1本
そして絵の隅にあなたの名をお書きなさい
[注] 最後の部分以外は料理のレシピのように不定詞で書かれている。不定詞を多用した曲としては、イヴ・デュテイユYves Duteilの「子供を抱いて(マルティーヌに)Prendre un enfant (à Martine) 」、「アヴォワールとエートルAvoir et Être」、シルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanの「愛するAimer」、フローラン・パニーFlorent Pagnyの「愛せることSavoir aimer」、シャルル・アズナヴールCharles Aznavourの「君のために死ぬAy, mourir pour toi」などが挙げられる。
これも歌ってはいませんが、声が気に入りました。
ミッシェル・ベルグMichael Berg (Michel Van Bergen Henegouwen)という人が作曲し歌っています。
オランダ人だということしか分かりませんが、この人の歌としてご紹介しましょう。
Pour faire le portrait d´un oiseau 鳥の絵を描くために
Michael Berg ミッシェル・ベルグ
Peindre d´abord une cage
avec une porte ouverte
まずカゴを描く
開いた戸をつけて

peindre ensuite
quelque chose de joli
quelque chose de simple
quelque chose de beau
quelque chose d´utile
pour l´oiseau
つぎに描くんだ
可愛いなにかを
シンプルななにかを
美しいなにかを
役に立つなにかを
鳥にとってね
placer ensuite la toile contre un arbre
dans un jardin
dans un bois
ou dans une forêt
つぎにキャンバスを木に立てかける
庭の
林の
あるいは森の木に

se cacher derrière l´arbre
sans rien dire
sans bouger...
木の陰に隠れる
なんにも言わず
じっとして…
Parfois l´oiseau arrive vite
mais il peut aussi mettre de longues années
avant de se décider
鳥がすぐやって来ることもある
だがまた長年かかることもある
ケリがつくまでに
Ne pas se décourager
attendre
attendre s´il le faut pendant des années
la vitesse ou la lenteur de l´arrivée de l´oiseau
n´ayant aucun rapport
avec la réussite du tableau
がっかりすることはないさ
待つんだ
何年もかかろうが待つんだ
鳥の到着の早いか遅いかは
なんら関係がない
絵の出来とはね
Quand l´oiseau arrive
s´il arrive
observer le plus profond silence
attendre que l´oiseau entre dans la cage
et quand il est entré
fermer doucement la porte avec le pinceau
鳥がやって来たら
もしもやって来たら
うんと静かにして
鳥がカゴに入るのを待つんだ
そして入ったら
筆でそっと戸を閉める
puis
effacer un à un tous les barreaux
en ayant soin de ne toucher aucune des plumes de l´oiseau
それから
すべての格子をひとつひとつ消す
鳥のどの羽にも触れないように気をつけながら

Faire ensuite le portrait de l´arbre
en choisissant la plus belle de ses branches
pour l´oiseau
つぎに木の形を描く
鳥のために
いちばん美しい枝を選んで
peindre aussi le vert feuillage et la fraîcheur du vent
la poussière du soleil
et le bruit des bêtes de l´herbe dans la chaleur de l´été
et puis attendre que l´oiseau se décide à chanter
また緑の葉も爽やかな風も
陽の光の粒子も
夏の暑さにうだる草葉の陰の虫の音も描く
そして鳥がさえずろうと決心するのを待つ

Si l´oiseau ne chante pas
C´est mauvais signe
signe que le tableau est mauvais
mais s´il chante c´est bon signe
signe que vous pouvez signer
鳥がさえずらなかったなら
それは悪いサインだ
絵がまずいというサインだ
だが鳥がさえずったらいいサインだ
あなたがサインできるというサインだ
Alors vous arrachez tout doucement
une des plumes de l´oiseau
et vous écrivez votre nom dans un coin du tableau.
そしたらあなたはそっとそっと引き抜きなさい
鳥の羽を1本
そして絵の隅にあなたの名をお書きなさい
[注] 最後の部分以外は料理のレシピのように不定詞で書かれている。不定詞を多用した曲としては、イヴ・デュテイユYves Duteilの「子供を抱いて(マルティーヌに)Prendre un enfant (à Martine) 」、「アヴォワールとエートルAvoir et Être」、シルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanの「愛するAimer」、フローラン・パニーFlorent Pagnyの「愛せることSavoir aimer」、シャルル・アズナヴールCharles Aznavourの「君のために死ぬAy, mourir pour toi」などが挙げられる。
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ジュリエット・グレコJuliette Grécoの「脱がせてちょうだいDéshabillez-moi」の記事に、この曲は彼女がちょうど40歳のときに発表され、その倍の歳を過ぎてまだ歌っている…すごいなぁ、なんてことを書きましたが、これは男をリードするたいへん強い表現の歌詞でした。同様の内容を男の立場でもっと優しく美しく表現している曲があります。前回の「そして祭りはつづくEt la fête continue」や「ひまわりTournesol」「バルバラBarbara」「学校から出てきたらEn sortant de l'école」 そして「枯葉Les feuilles mortes」「僕の家でDans ma maison」と同様、ジャック・プレヴェールJacques Prévertの詩による歌詞でイヴ・モンタンYves Montandが歌っている、「サンギーヌSanguine」です。1962年のアルバム「イヴ・モンタン、ジャック・プレヴェールを歌うYves Montand Chante Jacques Prévert」に収録されています。
Sanguineとは「ブラッド・オレンジ(血ミカン)」というかんきつ類のこと。皮に縦に切れ目を入れて剥くと、血のように赤い果実があらわれることに、ファスナーを下すと、女性の身体があらわれることを例えています。わが身、賞味期限は過ぎたとしても、消費期限はまだかも…と、ふと思ってしまいます。
Sanguine サンギーヌ
Yves Montand イヴ・モンタン
La fermeture éclair 注1
A glissé sur tes reins
Et tout l'orage heureux 注2
De ton corps amoureux
Au beau milieu de l'ombre 注3
A éclaté soudain
ファスナーの稲妻が
きみの腰を滑ると
恋するきみの肉体の
歓喜の嵐が
闇のなかで
とつぜんに湧き起こる

Et ta robe en tombant
Sur le parquet ciré 注4
N'a pas fait plus de bruit
Qu'une écorce d'orange
Tombant sur un tapis
きみのドレスは
蠟引きの床に落ちるとき
絨毯にオレンジの皮が落ちるほどの
音も立てなかったが
Mais sous nos pieds
Ces petits boutons de nacre
Craquaient comme des pépins
Ô Sanguine joli fruit !
僕たちの足のしたで
小さな貝ボタンは
種のようにプチッとつぶれた
おー サンギーヌ うつくしい果実!

La pointe de ton sein
A tracé tendrement
La ligne de ma chance 注5
Dans le creux de ma main.
Sanguine, joli fruit
Soleil de nuit.
きみの乳首の尖端は
僕のてのひらに
あらたな運命線を
やさしく引いた
サンギーヌ うつくしい果実
真夜中の太陽

[注] sanguineは、sang「血」から派生した形容詞sanguin「血液の、血管の」が名詞化されたもので、かんきつ類の名称以外に、「多血質、短気な人」を示すほか、「ベネチアン・レッド、ベンガラ」という顔料の名前でもある。ちなみに、スペインのサングリアsangriaという飲み物は、赤ワインにかんきつ類の果汁を加えたもの。
1 éclair「稲妻」は、ファスナーが引き下ろされて開き、光りながら落ちて行く様子を例えている。闇のなかであり、ファスナーは金属製で、肌に直にまとっていたドレスの生地は滑りやすく柔らかく少し重みのある絹だろうといったことが見てとれる。
2 l'orage heureuxはオレンジorangeをかけた表現だろう。
3 au beau milieu de「…真っ最中に」「…のど真ん中で」
4 parquetには複数の意味があるが、ここでは「寄せ木張りの床」。parquet ciré「ワックスで磨かれた床」
5 ligne de chance「運命線」という言葉は、フランス語にもあるようだ。運命線をなぞるのではなく引いたということは、「僕の今後の運命ma chance」がこの女性によってここで決定されたということになる。(あまりおおっぴらには書けないことだが、la pointe de ton seinがtracer la ligneするというのは、女性の身体状況を暗に表している。)
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今回はジャック・プレヴェールJacques Prévertの詩を歌詞にした曲。イヴ・モンタンYves Montandが歌う「そして祭りはつづくEt la fête continue」です。1946年の詩集「ことばParoles」に収められた詩で、1947年にジョゼフ・コズマJoseph Kosmaが作曲。モンタンは酔っぱらいを表現しながら歌い、とても味のある楽しい歌です。
私の地元、府中の大國魂神社では、4月30日から5月6日まで、「くらやみ祭」という大掛かりなお祭りが開かれていました。気になりながら、コンクールの準備に追われて行けませんでした。残念!でも「コンクール」も「コンサート」もお祭りですから、まさに「祭りはつづく」です。次のお祭りは20日のコンサート「~五月の風にのせて~」です。ぜひいらしてください!
動画には、歌人の塚本邦雄氏の邦訳が入っています。
Et la fête continue そして祭りはつづく
Yves Montand イヴ・モンタン
Debout devant le zinc
Sur le coup de dix heures
Un grand plombier zingueur habillé en dimanche et pourtant c´est lundi 注1
Chante pour lui tout seul
Chante que c´est jeudiQu´il n´ira pas en classe, que la guerre est finie et le travail aussi.
十時の時計の音が鳴って
カウンターの前で立ち上がった
のっぽの亜鉛管工は日曜の晴着すがた、だけどきょうは月曜
聴かせる相手は自分ひとり
彼は歌う きょうは木曜日だよと
学校へは行かないよと、戦争はおわりで仕事もおわりだよと。

Que la vie est si belle et les filles si jolies et titubant devant le zinc
Mais guidé par son fil à plomb il s´arrête pile devant le patron 注2
Trois paysans passeront et vous paieront puis disparaît dans le soleil
Sans régler les consommations disparaît dans le soleil
Tout en continuant sa chanson
La la la la la… (×2)
人生は美しいし娘たちはキレイだよと、カウンターの前でよろけつつ
自分の「下げ振り」の糸に導かれマスターの前でピタッと止まる
3人の農夫が通りかかってあんたに払うさ そして陽の光のなかに消える
勘定を払わずに陽の光のなかに消える
歌い続けながら
ラララララ…

[注]
1 前日の日曜日から夜通し飲んでいたようだ。夜ではなく朝の十時。
2 plomb「下げ振り」測量や現場で鉛直を出すための円錐形の振り子で、配管工の道具。s´arrête pile「ピタッと止まる」
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「君のために死ぬAy, mourir pour toi」は、シャルル・アズナヴールCharles Aznavour自身が作詞・作曲。1957年のアルバムBravos du music-hallに収録されています。
当時新人歌手だったダリダDalidaや、ファドの女王と呼ばれるアマリア・ロドリゲスAmalia Rodriguesも歌っています。ダニー・ブリアンDany Brillant(musicMeで聴けます)もなかなかイケます。
同じ歌が、歌手によってこんなに変わるとは。いいヒントをもらった気がします。
ダリダ
アマリア・ロドリゲス
Ay, mourir pour toi 君のために死ぬ
Charles Aznavour シャルル・アズナヴール
Ay, mourir pour toi
A l´instant où ta main me frôle
Laisser ma vie sur ton épaule
Bercé par le son de ta voix
ああ、君のために死ぬよ
君の手が僕に触れた瞬間に
君の肩の上で僕の生命が
君の声であやされるのに任せるよ
Ay, mourir d´amour
T´offrir ma dernière seconde
Et sans regret quitter le monde
En emportant mon plus beau jour
ああ、恋い焦がれて死ぬよ
君に僕の最後の瞬間を捧げ
そして悔やむことなくこの世を去るよ
僕のもっとも美しい日を携えて

Pour garder notre bonheur comme il est là
Ne pas connaître la douleur pour toi
Et la terrible certitude
De la solitude
今の僕たちのしあわせを保つため
君への辛い想いや
孤独に対する
おぞましい確信は持つまい
Ay, mourir pour toi
Prendre le meilleur de nous-mêmes 注1
Dans le souffle de ton "je t´aime"
Et m´endormir avec mes joies
ああ、君のために死ぬよ
君の「愛しているわ」というささやきを聞きながら
僕たち自身のこの上ない高みを享受し
そして喜びをいだいて眠りにつくよ
Parle-moi, console-moi
J´ai peur du jour qui va naître
Il sera le dernier peut-être
Que notre bonheur va connaître
僕に語りかけ、僕を慰めてくれ
僕は始まらんとする一日を恐れる
それはたぶん僕たちのしあわせにとっての
最後の日となるだろう
Serre-moi, apaise-moi
Quand j´ai l´angoisse du pire
Ne ris pas quand tu m´entends dire
Qu´au fond mourir pour mourir 注2
僕が最悪の不安に陥ったとき
僕を抱きしめ、僕をなだめてくれ
結局どうせ死ぬのならなどと
僕が言うのを聞いても笑わないでくれ
Ay, mourir pour toi
A l´instant où ta main me frôle
Laisser ma vie sur ton épaule
Bercé par le son de ta voix
ああ、君のために死ぬよ
君の手が僕に触れた瞬間に
君の肩の上で僕の生命が
君の声であやされるのに任せるよ

Ay, mourir d´amour
T´offrir ma dernière seconde
Et sans regret quitter le monde
En emportant mon plus beau jour
ああ、恋い焦がれて死ぬよ
君に僕の最後の瞬間を捧げ
そして悔やむことなくこの世を去るよ
僕のもっとも美しい日を携えて
Pour garder notre bonheur comme il est là
Ne pas connaître la douleur par toi
Et la terrible certitude
De la solitude
今の僕たちのしあわせを保つために
君への辛い想いや
孤独に対する
おぞましい確信は持つまい
Ay, mourir pour toi
Prendre le meilleur de nous-mêmes
Dans le souffle de ton "je t´aime"
Et m´endormir avec mes joies
Mourir pour toi.
ああ、君のために死ぬよ
君の「愛しているわ」というささやきを聞きながら
僕たち自身のこの上ない高みを享受し
そして喜びとともに眠りにつくよ
[注] タイトルのay は、悲哀、後悔、驚きをあらわす英語の古い間投詞ay(現在ではah,oh)だろう。mourirほか不定詞を使った表現が歌詞中にも繰り返されるが、便宜上、Je veuxを省いていると考えると分かりやすい。
1 持って回った表現だが、言ってしまえば愛の営みのこと。
2 au fond「実は、結局は」。mourir pour mourir「どうせ死ぬなら」同じ語を反復して選択を表現する表現。ここでは、mourir d´amourおよびmourir pour toiが結語であろう。バルバラBarbaraの「死に憧れてÀ mourir pour mourir」参照のこと。
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5月7日におこなわれた、《第3回 東京シャンソンコンクール》本選の入賞者を発表いたします。
フランス語部門
グランプリ
Com'Ci Com'Ça Quand on s'aime
準グランプリ
玉井大司 Mon cœur d'attache
プルミエ・プリ(6名出演順)
日栄照美 T'en vas pas
上村良子 Aranjuez, mon amour
大木明 Barbara
岸本真知子 Ave Maria païen
佐藤眞弓 Quand on a que l'amour
土屋悦子 Dis, quand reviendres-tu?
日本語部門
グランプリ
響 白いバラ
準グランプリ
菊地優 オルガ
歌唱賞 (7名出演順)
Li-ra シェルブールの雨傘
伊藤桂子 旅芸人の道
島田えまり 風のささやき
西田詩朗 モンマルトルに帰りて
堀江順子 私の兵隊さん
ポール岡田 君を愛す
水沢こよみ それはあなた
宇藤カザンのブログ《アミカル・ド・シャンソン》に写真入りの詳細な記事がありますのでご覧ください。
5月20日の杉並公会堂の「~五月の風にのせて~」のコンサートは今回のグランプリのCom'Ci Com'Ça(コムシ・コムサ)の北島はるかさんと寺島寧環さん、響君に加え、前回のグランプリの入江珠子さん、八木章夫さんが参加されます。他の出演者もステキな方ばかりですので是非お聴き逃し無く!当日券もあります♪
グランプリ
Com'Ci Com'Ça Quand on s'aime
準グランプリ
玉井大司 Mon cœur d'attache
プルミエ・プリ(6名出演順)
日栄照美 T'en vas pas
上村良子 Aranjuez, mon amour
大木明 Barbara
岸本真知子 Ave Maria païen
佐藤眞弓 Quand on a que l'amour
土屋悦子 Dis, quand reviendres-tu?
日本語部門
グランプリ
響 白いバラ
準グランプリ
菊地優 オルガ
歌唱賞 (7名出演順)
Li-ra シェルブールの雨傘
伊藤桂子 旅芸人の道
島田えまり 風のささやき
西田詩朗 モンマルトルに帰りて
堀江順子 私の兵隊さん
ポール岡田 君を愛す
水沢こよみ それはあなた
宇藤カザンのブログ《アミカル・ド・シャンソン》に写真入りの詳細な記事がありますのでご覧ください。
5月20日の杉並公会堂の「~五月の風にのせて~」のコンサートは今回のグランプリのCom'Ci Com'Ça(コムシ・コムサ)の北島はるかさんと寺島寧環さん、響君に加え、前回のグランプリの入江珠子さん、八木章夫さんが参加されます。他の出演者もステキな方ばかりですので是非お聴き逃し無く!当日券もあります♪
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今日5月8日は母の日ですから、「ママは世界一美しいMaman la plus belle du monde」という曲を。マリオ・マリーニMarino Mariniの La più bella del mondoというイタリアの曲(1957年)を、フェルナン・ボニファイFernand Bonifayがシャンソンにしたもので、「恋のナイチンゲールRossignol de mes amours」でご紹介したルイス・マリアーノLuis Marianoやティノ・ロッシTino Rossi の歌で知られていますが、後年、ダリダDaidaほかも歌っています。
ルイス・マリアーノの歌は、フランス映画「八日目Le Huitième Jour」(1996年。ジャコ・ヴァン・ドルマル監督Jaco Van Dormael)およびカナダ映画「マイ・マザー/青春の傷口J'ai tué ma mère」(2009年。グザヴィエ・ドランXavier Dolan監督)に用いられました。
マリオ・マリーニの歌う原曲
ルイス・マリアーノ
Maman la plus belle du Monde ママは世界一美しい
Luis Mariano ルイス・マリアーノ
Maman, c'est toi la plus belle du monde,
Aucune autre à la ronde,
N'est plus jolie.
Tu as,pour moi,avoue que c'est étrange,
Le visage d'un ange, du paradis.
ママ、世界一美しいのはあなただ
まわりの誰も、
あなたよりきれいじゃない。
あなたは、僕の目には、変なことだけど、
天国の天使の顔をしてるよ。
Dans tous mes voyages
J'ai vu des paysages
Mais rien ne vaut l'image
De tes beaux cheveux gris.
旅をしてきたなかで
僕はいろんな風景を見た
でもあなたの美しい灰色の髪のようすに
匹敵するものなんかない。

Maman, c'est toi, la plus belle du monde
Et ma joie est profonde
Lorsqu'à mon bras
Maman, tu mets ton bras
ママ、世界一美しいのはあなただ
そして僕はとってもうれしいんだ
僕の腕に
ママ、あなたが腕を重ねてくれるとき
Maman, c'est toi, la plus belle du monde
Car tant d'amour inonde tes jolis yeux
Pour toi, c'est vrai, je suis malgré mon âge
Le petit enfant sage des jours heureux
ママ、世界一美しいのはあなただ
だってママのきれいな目から愛がいっぱいあふれるから
あなたにとって、ほんとうに、僕はこの年になっても
幸せな日を送るちっちゃなお利口さんなのさ

J'avais fait des rêves
Où l'on m'aimait sans trève
Mais les rêves s'achèvent
Et toi seule m'est restée
僕は夢見ていた
みんながいつも僕を愛してくれると
でも夢は消えてしまい
そしてあなただけが僕に残された
Maman, c'est toi, la plus belle du monde
Et lorsque tout s'effondre autour de moi
Maman, toi tu es là!
ママ、それはあなただ、世界一きれいなのは
そして僕の周囲のものがすべて崩れてしまっても
ママ、あなたはここにいてくれるんだ!
[注]
à la ronde「四方に、まわりに」
avouerここでは「告白する」ではなく「(事実、正当性を)認める」の意味。
sans trêve「休みなく、絶えず」
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4月5日におこなわれた審査会で、本選出場者が決定しました。東京日仏文化サロンのHPに発表されています。
5月7日の本選会のチケットを販売中です。下のフライヤーに記載されたメールアドレスまたは電話FAX番号にご連絡ください。

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今回は、アニー・コルディーAnnie Cordyの「音楽を流してEnvoyez la musique」という楽しい歌です。1983年。作詞:ジャック・マルイユJacques Mareuil、作曲:ジェラール・ギュスタンGerard Gustin。envoyerは「運ぶ、送る」という意味ですが、意訳して「音楽を流して」という邦題にしました。
Envoyez la musique 音楽を流して
Annie Cordy アニー・コルディー
La la la ラ ラ ラ
La musique est partout 音楽はいたるところにある
Elle est là ここにある
Elle tourne autour de nous 私たちのまわりを回ってる
Lalalala ララララ
Lalalala ララララ
Envoyez la musique ! 音楽を流して!
Jour et nuit 昼も夜も
Au tempo de son cœur 自分の鼓動のテンポで
Ma vie chante et s’éclate en bonheur 私のいのちは歌いしあわせではじける
Lalalala ララララ
Lalalala ララララ
Envoyez la musique ! 音楽を流して!
Ecoutez la chanson de la rue 街の歌を聴いてよ
On dirait un final de revue レヴューのフィナーレみたい
C’est bien いいね
C’est bon すてきよ
C’est beau うつくしいわ
C’est toute la musique それは音楽そのもの
Les moineaux スズメたち
Les autos クルマ
Le métro 地下鉄
Les cabots ワンちゃんたち
La radio ラジオ
Les juke-box ジューク・ボックス
Des bistrots ビストロ
C’est unique ユニークで
Fantastique ファンタスティック
Envoyez la musique ! 音楽を流して!
Mais souvent でもたびたび
C’qui me plaît 私はね
C’est de voir 見たくなるの
En ouvrant les volets よろい戸を開けて
L’horizon 地平線を
Le ciel clair 澄んだ空を
La campagne 田園を
Ou le bord de la mer それとも海辺をね
La ville est loin 街は遠くなって
Et je l’oublie 忘れてしまうわ
Pourtant でも
J’entends 聞こえるの
Le chant de la vie いのちの歌が

La la la ラ ラ ラ
La musique est partout音楽はいたるところにある
Elle est là ここにある
ELle tourne autour de nous 私たちのまわりを回ってる
Lalalala ララララ
Lalalala ララララ
Envoyez la musique ! 音楽を流して!
Le matin 朝には
J’me lève au chant du coq オンドリの鳴き声で私は目覚め
Et la nuit 夜には
J’m’endors au son du rock ロックの音で眠る
Lalalala ララララ
Lalalala ララララ
Envoyez la musique ! 音楽を流して!
La sonnerie d’un passage à niveau
Le grand vent dans les voiles d’un bateau
C’est bien いいね
C’est bon すてきよ
C’est beau うつくしいわ
C’est toute la musique それは音楽そのもの
Les canards カモたち
Les guitares ギター
Les motards バイク野郎たち
Les moutards ちびっこたち
Le p’tit air ちょっとした旋律
Qui s’balade それは歩き回る
Au hasard 気の向くままに
C’est unique ユニークで
Fantastique ファンタスティックよ
Envoyez la musique ! 音楽を流して!

La la la lalala lalala ラ ラ ラ ラララ ラララ
La la la lalala lalala ラ ラ ラ ラララ ラララ
Lalalala ララララ
Lalalala ララララ
Envoyez la musique ! 音楽を流して!
La la la lalala lalala ラ ラ ラ ラララ ラララ
La la la lalala lalala ラ ラ ラ ラララ ラララ
Lalalala ララララ
Lalalala ララララ
Envoyez la musique ! 音楽を流して!
Ecoutez 聞いてよ
La chanson de la rue 街の音楽を
On di-rait それはまるで
Un final de revue
C’est bien いいね
C’est bon すてきよ
C’est beau うつくしいわ
C’est toute la musique それは音楽そのもの
Cet orchestre このオーケストラも
Aussi beau また美しくて
Qui nous colle 私たちに 注
A la peau ぴったり合うわ
C’est la vie いのちが
Qui nous en 私たちに
Fait cadeau 贈ってくれるのよ
C’est unique ユニークで
Fantastique ファンタスティックで
C’est unique ユニークで
Fantastique ファンタスティックで
Magnifique すばらしいわ
Envoyez la musique ! 音楽を流して!
[注] coller à la peau「(ぴったりと)身についている」

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今回は、シャルル・アズナヴールCharles Aznavour「忘れえぬひとInoubliable」。ピエール・ドラノエPierre Delanoëが作詞、アズナヴール自身が作曲、ロジェ・ルベールRoger Loubertがアレンジし、1994年のアルバムToi et moiに収録されています。
アズナヴールお得意の「愛のシャンソンchansons d’amour」のひとつ。「忘れえぬひと」というと、別れてから懐かしんでいるようですが、歌詞では、「いつも心から離れないひと」といった意味に思えます。日本語で女性歌手に歌われる際には「それはあなた」という邦題が用いられます。
Inoubliable 忘れえぬひと
Charles Aznavour シャルル・アズナヴール
Inoubliable
Jolie en diable 注
Créature de Dieu
Follement femme
Eau et flamme
L´amour pour toi n´est que
Jeux
忘れえぬひと
とても美しい
神の創造物
この上なく女性的なひと
水でもあり炎でもある
君にとって愛は
戯れにすぎない

Inoubliable
Comme le sable
Tu files entre les doigts
J´ai beau me dire
Que t´aimer c´est du délire
Oui mais ma vie, c´est toi
On s´est aimés, engagés
Enchaînés, désirés, déchirés
Comme des amants
Terribles et enragés
Mais hormis la mort
Rien ne peut nous briser
Unis éternellement
Dans un pacte plus fort
Que le sang
忘れえぬひと
砂のように
君は指の間をすり抜ける
君を愛することは気狂い沙汰だと
自分に言い聞かせても無駄だ
ああ、だが僕の生命、それは君だ
僕たちは愛し合い、睦み合い、
つながり、求め合い、傷つけ合った
狂った熱烈な恋人たちのように
だが死以外の
何物も僕たちを引き裂くことはできない
血よりも
強い契りで
永遠に結ばれている
Inoubliable
Indispensable
Lumière de mon cœur
Tu me fascines
Nuit et jour tu illumines
Par ta présence
Mon existence
Assoiffée de bonheur
忘れえぬひと
いなくてはならないひと
わが心の光
君は僕を魅惑する
夜も昼も
君はそこにいることで
幸福に飢えていた
僕の有り様に
光を投げかけてくれる

Inoubliable
Incontrôlable
Mi-ange et mi-démon
Sous tous tes masques
Tu restes belle et fantasque
Toi, fille d´Ève
Quand je te rêve
Au lit de mes passions
忘れえぬひと
ままならぬひと
なかば天使そしてなかば悪魔
どんな仮面をかぶろうが、その内側の
君は美しく素晴らしいままだ
君はイヴの娘よ
僕の情熱のしとねで
君を夢想するときには
[注] en diable「非常に」
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ジョニー・アリディJohnny Hallydayの「気違いのためのレクイエムRequiem pour un fou」(作詞:ジル・チボーGilles Thibaut、作曲:ジェラール・ラヤニGérard Layani)は、1976年にアルバム:Derrière l'amourに収録され、たいへんにヒットし、同年、シングル盤がリリースされました。そして、1998年にララ・ファビアンLara Fabianとデュオで歌い、Enfoirés en cœur と Stade de France 98 Johnny allume le feuという二つのアルバムに収録されました。非常に大袈裟な曲で、私の好みではありませんが…。
ジョニー・アリディ
ララ・ファビアンとのデュオ
このデュオ盤の歌詞としてご紹介しましょう。
Requiem pour un fou 気違いのためのレクイエム
Lara Fabian & Johnny Hallyday ララ・ファビアン&ジョニー・アリディ
Je vous préviens, n'approchez pas
Que vous soyez flics ou badauds
Je tues celui qui fait un pas
Non je ne ferais pas de cadeau
Éteignez tous ces projecteurs
Et baissez vos fusils braqués
Non je ne vais pas m'envoler sans elle
警告する、近づくな
おまえらが警官であろうが野次馬であろうが
俺は足を踏み出したやつを殺す
いや俺は容赦はしない
このライトを消せ
構えている銃を下ろせ
いや俺はあいつなしじゃずらかりやしない

Dites au curé, dites au pasteur
Qu'ailleurs, qu'ils aillent se faire pendre 注1
Le diable est passé de bonne heure 注2
Et mon âme n'est plus à vendre
Si vous me laissez cette nuit
A l'aube, je vous donnerai ma vie
Car que serait ma vie sans lui ?
Yehehehe
神父に言って、牧師に言ってよ
お宅らはどこかで縛り首にでもなりゃいいと
あいつは早くに出て行っちゃった
それに私の魂はもう売り物じゃないわ
もしあんたたちが今夜私を放してくれたら
夜明けに、私はあんたたちに私の命をあげるわ
だってあいつなしに私の命がなんになるの?
イェエエエ
Je n'étais qu'un fou
Et par l'amour
Elle a fait de moi un fou, un fou d'amour
俺は狂った男に過ぎなかった
恋によって
あいつは俺を狂わせた、恋に狂わせたんだ
Mon ciel s'était ses yeux, sa bouche
Ma vie c'était son corps, son corps
私の空はあいつの目、あいつの口
私の命はあいつの体、あいつの体
Je l'aimais tant 注3
Que pour la garder je l'ai tuée
Pour qu'un grand amour
俺はあいつをとても愛してるから
あいつを守るためにあいつを殺すんだ
大きな愛のために
Pour qu'un grand amour
大きな愛が
Dure toujours
ずっと続いて欲しいがために
Oh toujours
オーずっと

Il faut qu'il meure, ouais qu'il
meure d'amour
やつは死なねばならない、オオやつは
恋に死なねば
Ohhhhhhhh
オーーーーーーーー
Le jour se lève, la nuit pâlit
Les chasseurs et les chiens ont faaiim 注4
C'est l'heure de sonner l'hallalie 注5
La bête doit mourir ce matin
日が昇り、夜が薄れる
追っ手どもと犬どもは腹をすかせている
角笛が鳴る時間だ
ケモノは今朝死なねばならない
Ohhhhh je vais ouvrir grand les volets
Crevez moi le cœur, je suis prête
Je veux m'endormir pour toujours, pour
toujours
Ehhhhh
オーーーーー、私はシャッターを開け放つわ
私の心臓をえぐってよ、覚悟はできてるわ
私は眠りにつきたいの、えい
えんに
エーーーーー
Je n'étais qu'un fou
俺は狂った男に過ぎなかった
Qu'un fou
狂った男に
Et par l'amour
そして恋で
Par l'amour
恋で
Elle a fait de moi un fou, un fou
d'amour
あいつは俺を狂わせた、恋に狂わせたんだ
Mon ciel s'était ses yeux, sa bouche
Ma vie c'était son corps, son corps
私の空はあいつの目、あいつの口
私の命はあいつの体、あいつの体
Je l'aimais tant
Que pour la garder je l'ai tuée
Je ne suis qu'un fou
俺はあいつをとても愛してるから
あいつを守るためにあいつを殺すんだ
俺は狂った男に過ぎない
Oh tu n'es qu'un fou
オオあんたは狂った男に過ぎない
Un fou d'amour
恋に狂った男
LARA: Rien qu'un fou
狂った男にほかならない
Un pauvre fou ouais qui meurt
d'amooouuuur
恋イーーーーに
死ぬ、哀れな狂った男

Ohhhhhhhh tu meurs ouhouhouhouh
ouhyehehe
オーーーーーーーー あんたは死ぬウウウウー
ウイェエ
Oh qui meurt d'amour
おー恋に死ぬ
Ohhhhhhhh tu meurs, tu meurs, tu
meurs, tu meurs, tu meurs
オーーーーーーーー あんたは死ぬ、あんたは
死ぬ、あんたは死ぬ、あんたは死ぬ
Oh qui meurt d'amooooouuuuur
オー恋イーーーーーーーーーーに死ぬ
Tu meurs, tu meurs d'amour
Ohhhhhhhhh houyehéhéhéhé
Tu meurs, tu meurs, tu meurs
Ooooohhhhhhhhhh
あんたは死ぬ、あんたは恋に死ぬ
オーーーーーーーーー ウエエエエエ
あんたは死ぬ、あんたは死ぬ、あんたは死ぬ
オオオオオーーーーーーーーーー
[注]
1 Qu'il aille se faire pendre ailleurs !;Va te faire pendre ailleurs !「どこかよそで縛り首になりに行くがいい」悪いことをした人を自分で罰せず追い出す時に言う。ilsはcuré「神父」やpasteur「牧師」。
2 diable「悪魔」が本義だが、親愛を込めた表現で「やつ、男」のこと。de bonne heure「朝早く、早い時間に」
ne pas être à vendre「売り物じゃない、お金で買えるものじゃない」
3 je l'aimaisは半過去形、je l'ai tuée複合過去形になっているが、現在および未来に位置する内容である。
4 faimを引き伸ばした表記。擬音語も含め多用している。
5 hallalie「あらららら」という獲物を追い詰めた合図のオノマトペから「合図の呼び声、角笛」「勝ち鬨」のこと。
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ミレイユ・マチューMireille Mathieuは、 1946年にフランスのアヴィニョンの貧しい石切工の家で14人兄弟の長女として生まれ、弟が7人妹が6人がいました。公衆の面前で歌ったのは4歳のときにミサで歌ったのが最初で、家計を助けるために工場で働きながら、歌への思いを培っていました。
19歳のとき、テレビの歌番組でエディット・ピアフÉdith Piafの「愛の讃歌La vie en rose」を歌って優勝し、その歌唱力は「ピアフの再来」とも評されシャンソン界に大きな波紋を引き起こしました。1966年、二十歳のときポール・モーリア作曲の「愛の信条Mon credo」でデビュー。以後、フランスを代表する女性歌手として絶大な人気を博しました。2005年には、オランピア劇場でデビュー40周年記念コンサートを開きました。シャンソンのディスクを世界で一番多く出し、歌った曲は9カ国語で1,200にもおよぶというインターナショナルな歌手で、40年間でのディスク売り上げ数は1億5千万枚。英国のエリザベス女王、アメリカ合衆国のレーガン大統領、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の前で歌ったことでも知られ、来日公演も幾度かおこなっています。2011年2月には、レジオン・ドヌールのオフィシエ勲章を受章。エリゼ宮でサルコジ大統領から直接授与されたそうです。
当時の「愛の讃歌La vie en rose」「愛の信条Mon credo」はYouTubeで聴けますが、やはりすごいです。声量も「r」の音の震わせかたもピアフ以上です。彼女は今年7月には70歳になりますが、髪型はずっと丸いおかっぱのままで、歌い上げる歌唱法も変わらなくて、年齢不詳の最たるものです。153cmという小柄な体は、エディット・ピアフやシャルル・アズナヴールと共通し、ある人の意見では、小柄なほうが余分な維持エネルギーを使わなくて済むからだろうとのこと。私生活に関するデータを探しましたが、どのサイトでも、歌手活動のことにしか触れていませんでした。人生のすべてを歌に捧げてきたということでしょうか、なにかご存じの方教えてください。
今回、「愛の信条Mon credo」を取り上げようかとも思ったのですが、こちらを選びました。ご存じ、アバABBAのヒット曲The winner takes it allを、内容に忠実にフランス語に翻案した歌詞で、彼女の歌唱力がよく活かされた1曲です。この原曲は1999年公開のミュージカル「マンマ・ミーア!Mamma Mia!」と、メリル・ストリープMeryl Streepが出演した同名の映画.(2008年)でも用いられています。下の歌詞に挿入した画像はその映画のシーン。
ABBAのThe winner takes it all
映画「マンマ・ミーア」のメリル・ストリープの歌。下の歌詞に挿入した画像もその映画のシーン。
Bravo tu as gagné あなたの勝ちよ
Mireille Mathieu ミレイユ・マチュー
Nous avons joué notre vie ensemble
Et puis un beau jour la chance a tourné
On ne finira pas la partie ensemble 注1
Et chacun s'en va seul de son côté
私達は自らの人生をいっしょに賭けたわ
そしてある日ツキが変わった
ともにゲームを終えることはなく
それぞれが独りで自分の側に去るのよ

Bravo tu as gagné, et moi j'ai tout perdu
On s'est tellement aimé, on ne s'aime plus
J'étais sûre de moi, je vivais tranquille
Et ta main dans ma main je croisais les doigts
Et tous les tricheurs de la grande ville
Ne me faisaient pas peur quand tu étais là
おめでとうあなたの勝ち、私は全敗よ
こんなに愛し合った、でももう愛し合えない
私には自信があって、静かに生きていた
あなたの手を握り指を絡ませていた
あなたがいれば、大都会のペテン師だって皆怖くなかった
Mais les dés sont jetés, pair impair, rouge ou noir 注2
Qui est le plus heureux de nous deux ce soir ?
Bravo tu as gagné, et moi j'ai tout perdu
On s'est tellement aimé, on ne s'aime plus
でもサイは投げられた、偶数か奇数か、赤か黒か
今宵 私達二人のどちらが幸せなの?
おめでとうあなたの勝ち、私は全敗よ
こんなに愛し合った、でももう愛し合えない

Est-ce qu'elle est ta complice cette partenaire
Que tu as choisi pour me remplacer ?
En amour la loi c'est comme à la guerre
Le plus fort des deux reste le dernier
Et notre amour si beau finit pourtant si mal
On le juge à huis clos dans un tribunal 注3
Bravo tu as gagné, et moi j'ai tout perdu
On s'est tellement aimé, on ne s'aime plus
私の替りにあなたが選んだこのパートナー
彼女があなたの共犯者なの?
恋の掟は戦いと同様
二人のうちの強い方が最後に残る
かくも美しい私達の恋、けれど
それは非公開裁判で酷い裁かれ方をする
おめでとうあなたの勝ち、私は全敗よ
こんなに愛し合った、でももう愛し合えない
Nous avons joué notre vie ensemble
Et puis un beau jour la chance a tourné
On ne finira pas la partie ensemble
Et chacun s'en va seul de son côté
Bravo tu as gagné, bravo tu as gagné
私達は自らの人生をいっしょに賭けたわ
そしてある日ツキが変わった
ともにゲームを終えることはなく
それぞれが独りで自分の側に去るのよ
おめでとうあなたの勝ち、おめでとうあなたの勝ち
{Chœur}
Il a gagné - j'ai tout perdu - on s'est aimé - on n'aime plus
Amour si bon pourtant, si mal juge à huis clos... 注4
彼の勝ち-私の全敗-愛し合った-もう愛し合えない
愛はこんなに素晴らしい、なのに密かにこんなに酷い裁き方を…
[注]
1 partieには「部分」「分野」「娯楽、パーティー」などの意味もあるが、ここでは「勝負、ゲーム」。
2 les dés sont jetés「賽は投げられた」は、ルビコン川を渡る決意をした時の・ジュリアス・シーザー(カエサル)の言葉の引用。この歌詞では、すべてがポーカー等のゲームに喩えられており、これも、「運命の歯車は既に回ってしまった」というシーザーの言葉の意味と、サイコロが投げられてゲームが始まったこととを掛け合わせている。pair impair, rouge ou noirもポーカーやルーレットに直結している。
3 juger「裁く」 à huis「門、扉」 clos「閉ざされた」→すなわち、「公開せずに裁く」。juge à huis clos dans un tribunal全体で、「非公開裁判で裁く」。前行のsi malはこの文を修飾し、主語のonは行為者を明示しない用法なので、受動態風に訳した。
4 コーラス部は総括的な内容であり、ここは、注3の内容を継承した表現。ただし、注3の部分では、amourはjugerされる対象であったが、ここでは形の上から、jugerの主語はamour(無冠詞)となる。
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