
ブリジッド・バルドーBrigitte Bardotの「ハーレー・ダヴィッドソンHarley Davidson」は、1967年に、当時恋仲だったセルジュ・ゲンズブールが彼女のために作り、同名のアルバムに収録されました。バルドーに関しては、「ラ・マドラグLa Madrague」のページに解説していますので参照ください。
ハーレー・ダヴィッドソンはアメリカ合衆国のハーレーダビッドソン社製のオートバイのことで、その最大の特徴は、大排気量空冷OHV、V型ツインエンジンがもたらす独特の鼓動感と外観だといわれます。アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグAndré Pieyre de Mandiarguesの小説「オートバイLa Motocyclette」(1963年)を映画化した「あの胸にもう一度La Motocyclette 英題:The girl on a motorcycle」(1968年)という映画は、マリアンヌ・フェイスフルMarianne Faithfull扮する若い女性が、ディオニソスのオートバイに乗って、アラン・ドロンAlain Delon扮する中年の学者に会いにハイデルベルクへく途中で事故で死んでしまうという話でした。
音と鼓動、図体の大きさ、そしてスピードという特性が性そして死とつながる乗り物と美女との組み合わせ。ゲンズブールはマンディアルグからヒントを得たのかもしれませんね。
Harley Davidson ハーレー・ダヴィッドソン
Brigitte Bardot ブリジッド・バルドー
Je n'ai besoin de personne
En Harley Davidson
Je n'reconnais plus personne
En Harley Davidson
J'appuie sur le starter
Et voici que je quitte la terre
J'irai peut-être au Paradis
Mais dans un train d'enfer
誰もいらない
ハーレー・ダヴィッドソンに乗れば
誰のことも覚えちゃいない
ハーレー・ダヴィッドソンに乗れば
スターターを踏むと
わたしはもう地上を離れる
きっと天国へ行くわ
いえ地獄行きの列車のなかよ

Je n'ai besoin de personne
En Harley Davidson
Je ne reconnais plus personne
En Harley Davidson
Et si je meurs demain
C'est que tel était mon destin
Je tiens bien moins à la vie
Qu'à mon terrible engin
誰もいらない
ハーレー・ダヴィッドソンに乗れば
誰のことも覚えちゃいない
ハーレー・ダヴィッドソンに乗れば
もしも明日わたしが死ねば
それがわたしの運命だったのよ
わたしは人生には執着しない
わたしの凄い乗り物にほどは
Je n'ai besoin de personne
En Harley Davidson
Je ne reconnais plus personne
En Harley Davidsonイメージ 4Quand je sens en chemin
Les trépidations de ma machine
Il me monte des désirs
Dans le creux de mes reins
誰もいらない
ハーレー・ダヴィッドソンに乗れば
誰のことも覚えちゃいない
ハーレー・ダヴィッドソンに乗れば
乗っていて
わたしのマシーンの振動を感じると
欲望が湧きあがってくる
腰のくびれのなかから

Je n'ai besoin de personne
En Harley Davidson
Je ne reconnais plus personne
En Harley Davidson
Je vais à plus de cent
Et je me sens à feu et à sang
Que m'importe de mourir
Les cheveux dans le vent
誰もいらない
ハーレー・ダヴィッドソンに乗れば
誰のことも覚えちゃいない
ハーレー・ダヴィッドソンに乗れば
わたしは100kmを超えて
熱く燃えて血がたぎるのを感じる
死んだってかまわない
髪を風になびかせて
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今回はミッシェル・アルノーMichèle Arnaudの歌う「ゾン・ゾン・ゾンZon, zon, zon」(1957年。作詞:モーリス・ヴィダランMaurice Vidalin、作曲:ジャック・ダタンJacques Datin)という変わったタイトルの曲です。
Zon, zon, zonはzonzonと表記されることの多いonomatopée擬音語で、うなったり、震えたりする連続音をあらわし、ハチやハエの羽音、そして弦楽器の音などにも用いられます。歌詞のなかで繰り返され、男たちがハエのようにうるさく付きまとうことをあらわしているようです。日本語では「ブンブン」にあたるわけで、ずいぶん聴こえ方が違うんですね。以前取り上げたリーヌ・ルノーLine Renaudの「フルー・フルーFrou-Frou」は、衣擦れの音で日本語では「サラサラ」にあたりますが、それよりは納得しやすいかもしれません。
テレビ番組での歌唱
コレット・ルナールColette Renardがレイモン・ルフェーブル・オーケストラGrand orchestre de Raymond Lefèvreをバックに歌っています。
Zon, zon, zon ゾン・ゾン・ゾン
Michèle Arnaud ミッシェル・アルノー
Quand je suis devenue belle,
Quand j'ai pris mes seize ans,
Je suis restée demoiselle,
Mais j'ai eu des amants
Z'avaient de bonnes têtes, 注1
Ou z'étaient bons garçons,
M'emmenaient à la fête,
Me chantaient des chansons...
私が美しくなったとき、
私が16になったとき、
私は娘のままだった、
だけど恋人たちを持った
彼らは頭がよかったか、
あるいは優しい男の子たちで、
私を祭に連れて行ってくれ、
私に歌を歌ってくれ…
Zon... Zon... Zon... froissé mon corsage
Et toutes ces choses qui ne servent à rien
Zon... Zon... Zon... puisque c'est l'usage,
Voulu toujours aller plus loin.
ゾン…ゾン…ゾン…と私のブラウスをしわくちゃにした
こうしたことは何にもなりゃしない
ゾン…ゾン…ゾン…それは方便で、
いつももっと先に行くことを望んでいた

De la porte à la chambre
Et du fauteuil au lit,
M'ont fait croire en décembre
Au mois de... Mai Joli
Mais au petit matin blême,
Fallait se rhabiller,
戸口から寝室までの間
そしてソファーからベッドまでの間は、
私を信じさせたわ 12月のさなかに
かぐわしい5月だと
でも青白い暁には、
また衣をまとわなきゃならない、
Y avait plus de «je t'aime»
Et même plus d'amitié...
もう愛の言葉もなかったし
親密さもなかった…
Zon... Zon... Zon... cueilli tant de roses
Que le jardin s'est défleuri.
Zon... Zon... Zon... rien vu de la chose,
Z'avaient l'œil sur le paradis. 注2
ゾン…ゾン…ゾン…いっぱいバラを摘んだから
花園に花がなくなってしまった。
ゾン…ゾン…ゾン…何ごとも眼中になく、
彼らは楽園に目を向けていたのよ。
J'ai laissé ma jeunesse
Au bal des quatre vents 注3
Et me voilà la princesse
D'un drôle de bois dormant. 注4
Chez Marie ça s'appelle,
Mais y a pas de plaque au seuil,
C'est la maison des belles.
La maison «N'a qu'un œil» 注5
私は自分の青春を
開放的なダンスホールにゆだねた
そして私はいまや
おかしな眠れる森の王女よ。
マリーという名前の店で、
でも戸口に表札はない、
それは美女たちの館。
「片目しかない」館

Zon... Zon... Zon... c'est toujours les mêmes,
Z'avaient qu'une corde à leur violon.
Zon... Zon... Zon... besoin qu'on les aime.
Oh mes seize ans... où c'est qu'ils sont ?
ゾン…ゾン…ゾン…それはいつだって同じ、
彼らは自分のバイオリンに1本の弦しか持っていない。
ゾン…ゾン…ゾン…彼らを愛してあげなきゃ。
おお私の16歳…それはどこにあるの?
[注]
1 z'avaient=ils avaient このような言い方があるかどうか不明だが、zonと語呂を合わせているようだ。
2 avoir l'œil sur…「…を見張る」
3 quatre vents「四方位」。être logé au quatre vents「(窓や扉の壊れた)吹きさらしの家に住む」、carrefour des quatre vents「人の行き交う四辻」などの表現から類推。
4 un drôle de「変な」
5 N'a qu'un œil はgentil n'a qu'un œil「優しさは片目しかない」という成句からの表現のようだ。それは、優しすぎる人間はひとの欠点を見ず、長所しか見ない。つまり半分しか見ないので片目しかないという意味である。
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「あなたへの手紙Au fur et à musure」はリアンヌ・フォリーLiane Foly自身が作詞・作曲し、1990年に発売されたシングル曲で、2枚目のアルバムRêve orangeに収録されています。
フォリーの曲としては、「ゆるやかにDoucement」を取り上げ、ダニエル・バラヴォワーヌDaniel Balavoineの「人生は何も教えてくれない La vie ne m'apprend rien」で、彼女の歌をご紹介しています。
この曲では、恋人同士のそれぞれの手紙を「私」「あなた」と表現しています。私たち日本人には理解しにくい発想かもしれません。メールでのやりとりがメインとなった世代にはさらに理解しにくいことでしょうが、この曲がかなりヒットし、YouTubeにこれのカラオケまであることを見ると、注目していい曲だと思います。原題のAu fur et à musureは「徐々に、順々に」という意味ですが、「あなたへの手紙」という既存の分かりやすい邦題を選びました。
Au fur et à mesure あなたへの手紙
Liane Foly リアンヌ・フォリー
Je t’écris des mots purs
J’ai gommé les ratures
Et là sur le papier j’ai effacé tes fautes
Au fur et à mesure 注1
C’est pas d’la grande écriture
Juste un peu de lecture
Quelques instants volés
Qui se sont envolés
Au fur et à mesure
私はあなたに率直な言葉を書く
私は下書きを消した
そして紙上であなたの過ちを消し去った
すこしずつ
それは偉大な執筆家の作品ではなく
ちょっとした読み物にすぎない
盗み取った時間は
消え去って行った
すこしずつ

Et si le facteur assure
Avec deux fois rien 注2
On peut aller très loin
Je serai là demain 注3
Et de tes mains
Tu vas me décol’ter
Me décacheter
Et me déshabiller
Au fur et à mesure
そしてわずかな額で
郵便屋が引き受けてくれれば
私たちはとても遠くに行くことができる
私は明日届く
そしてあなたの手で
私の襟を開き
私を開封し
私を脱がせる
すこしずつ
Je n’suis pas vraiment sûre
Qu’aucune éclaboussure
De tes yeux jaillira
Lorsque tu me liras
Au fur et à mesure
D’aventure en rupture
J’ai connu des fractures 注4
Mais ma plus belle bavure
C’est de t’avoir laissé
Au fur et à mesure
私は確かではない
あなたの目から
なにかしら溢れ出るものがあるのか
すこしずつ
あなたが私を読んでいくとき
断ち切られた恋に
私は辛い思いを体験した
だが私の一番美しいインクの染み
それはあなたに残しておいたのよ
すこしずつ
Et si le facteur assure
Avec deux fois rien
Tu peux aller plus loin
Tu seras là demain
Et de mes mains
Te désenvelopper
Te décacheter
Et te déshabiller
Au fur et à mesure
そしてわずかな額で
郵便屋が引き受けてくれれば
あなたはもっと遠くまで行くことができるわ
あなたは明日届く
だから私の手で
あなたの包みを解き
あなたを開封し
そしてあなたを脱がせるわ
すこしずつ

Et si le facteur assure
Avec deux fois rien
On peut aller très loin
On sera là demain
Et de nos mains
Se désenvelopper
Se décacheter
Et se déshabiller
Au fur et à mesure
そしてわずかな額で
郵便屋が引き受けてくれれば
私たちはとても遠くに行くことが出来るわ
私たちは明日届く
だから私たちの手で
たがいに包みを解き
たがいに開封し
そしてたがいに脱がせるのよ
すこしずつ
Je t’écris des mots purs
J’ai gommé les ratures
Et là sur le papier j’ai effacé mes fautes
Au fur et à mesure …
私はあなたに率直な言葉を書く
私は下書きを消した
そして紙上で私の過ちを消し去った
すこしずつ…
[注]
1 au fur et à mesure「それに応じて、順々に、徐々に」だが、語感から「すこしずつ」と訳した。fur「比率、割合」はこの成句でのみ用いられる。
2 deux fois rien:ユーモア作家Raymond Devosの表現を用いている。ただ(rien)でものが買えるが、それを乗じると、une fois rien「rienの1倍…それはrienそのもの」、deux fois rien「rienの2倍…それは高くない」、trois fois rien「もう買うことができたが、高くなかった」。ここでは、手紙の送料が高くないことを言っている。
3 ここではje、そしてあとの節ではtu、onが「私、あなた、私たち」ではなく、「私の手紙、あなたの手紙、私たちの手紙」の意味で使われる。
4 fracture「骨折」だが、意訳した。
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「私の回転木馬Mon manège à moi 」は、ノルベール・グランズベールNorbert Glanzbergが作曲し ジャン・コンスタンタン Jean Constantin作詞した曲で、1956年のJacques Tati監督の映画「Mon oncle」に用いられて注目され、1958年にエディット・ピアフEdith Piaf が歌い大ヒットしました。イヴ・モンタンYves Montandの歌唱でも知られています。
エディット・ピアフ
イヴ・モンタン
最近のものとして、エティエンヌ・ダオEtienne Dahoが歌っているのがこちら。ずいぶん、雰囲気が違います。
Mon manège à moi 私の回転木馬
Edith Piaf エディット・ピアフ
Tu me fais tourner la tête 注1
Mon manège à moi, c'est toi
Je suis toujours à la fête
Quand tu me tiens dans tes bras
あなたは私の頭をくらくらさせる
私の回転木馬、それはあなたなの
私はいつだってお祭り気分
あなたが私を腕に抱くとき

Je ferais le tour du monde 注2
Ça ne tournerait pas plus que ça
La terre n'est pas assez ronde
Pour m'étourdir autant que toi...
世界一周したとしても
これほど回るわけじゃないわ
地球はそんなに丸いわけじゃない
あなた同様に私の目を回させるほどには…
Ah! Ce qu'on est bien tous les deux
Quand on est ensemble nous deux
Quelle vie on a tous les deux
Quand on s'aime comme nous deux
あぁ!二人ともなんとしあわせなんでしょう
私たち二人がいっしょにいるとき
二人ともなんとステキな生き方してるのかしら
私たち二人のように愛し合ってるとき
On pourrait changer de planète 注3
Tant que j'ai mon cœur près du tien 注4
J'entends les flons-flons de la fête 注5
Et la terre n'y est pour rien 注6
別の惑星に移ることだってできるわ
私の心があなたの心に寄り添うかぎり
お祭りのぷかぷかどんどんが聞こえる
そしてそれは地球には関係ないわ

Ah oui! Parlons-en de la terre
Pour qui elle se prend la terre? 注7
Ma parole, y a qu'elle sur terre!! 注8
Y a qu'elle pour faire tant de mystères!
あぁそうだわ!地球のことを話しましょう
地球はなに様だって思っているのかしら?
おやまあ、世界には地球しかないってわけ!!
たくさん不思議を起こすのは地球だけだっていうの!
Mais pour nous y a pas d'problèmes
Car c'est pour la vie qu'on s'aime
Et si y avait pas de vie, même,
Nous on s'aimerait quand même
でも私たちにとっては問題ないこと
なぜなら私たちは一生愛し合うから
そしていのちがなかったとしても、かわらずに、
私たちは同じように愛し合うわ
Car...
Tu me fais tourner la tête
Mon manège à moi, c'est toi
Je suis toujours à la fête
Quand tu me tiens dans tes bras
なぜって…
あなたは私の頭をくらくらさせる
私の回転木馬、それはあなたなの
私はいつだってお祭り気分
あなたが私を腕に抱くとき

Je ferais le tour du monde
Ça ne tournerait pas plus que ça
La terre n'est pas assez ronde...
Mon manège à moi, c'est toi!
世界一周したとしても
これほど回るわけじゃないわ
地球はそんなに丸いわけじゃない
私の回転木馬、それはあなたなの
[注] 題名のà moiはmonと同義で、自分のものであることを強調した表現。
1 faire tourner la tête à qn.「…の頭をくらくらさせる、目を回させる」
2 Je ferais…と条件法で表されているが、半過去で、Si je faisais…と表すのと同義。
3 une planète「惑星」。une étoileは「恒星」、un satelliteは「衛星」。
4 Tant que…「…である限り、…しているうちは」
5 flons-flons「お囃子の音、ぷかぷかどんどん」フランス語には珍しいオノマトペ、擬音語。
6 n'y être pour rien=n'être pas responsable「関係がない、…のせいではない」
7 se prendre pour+属詞「自分を…だとみなす」 elle=la terre「地球」。本来はTerreと書かれるが。
8 Ma parole「おやまあ、いやはや、まったくもって」(驚き、憤慨などの」強調)。y a que…←il n’y a que…「…しかないのか」ここは反語的表現で、→「いや、そんなことはない」。sur terreここは、表現上の遊びで、「地球の上に地球しかない」と直訳するとまずい。
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ジョルジュ・ムスタキGeorges Moustakiの「異国の人Le Métèque」を出したいと、以前から思っていましたが、同じ1969年のアルバムに収録されている「もう遅すぎるIl est trop tard」を先に出すことにしました。こちらもいい曲です。「時すでに遅し」と訳してもいいような題名ですが、だからもう何をしてもしようがないとあきらめるのではなく、だけど、あいかわらず好きなことをして生きているというのが、結構歳を重ねた私としてはとても同感できます。
Il est trop tard もう遅すぎる
Georges Moustaki ジョルジュ・ムスタキ
Pendant que je dormais
Pendant que je rêvais
Les aiguilles ont tourné
Il es trop tard
Mon enfance est si loin
Il est déjà demain 注1
Passe passe le temps
Il n'y en a plus pour très longtemps 注2
僕が眠っていたあいだ
僕が夢見ていたあいだに
時計の針は回り
もう遅すぎる
幼年時代はとうの昔
すでに「明日」になった
時は流れ流れて
もう残りは長くない

Pendant que je t'aimais
Pendant que je t'avais
L'amour s'en est allé
Il est trop tard
Tu étais si jolie
Je suis seul dans mon lit
Passe passe le temps
Il n'y en a plus très longtemps
君を愛していたあいだ
君が僕のものだったあいだに
愛は去って行った
もう遅すぎる
君はとても美しかった
僕はひとりベッドにいる
時は流れ流れて
もう残りは長くない
Pendant que je chantais
Ma chère liberté 注3
D'autres l'ont enchainée
Il est trop tard
Certains se sont battus
Moi je n'ai jamais su
Passe passe le temps
Il n'y en a plus pour très longtemps
いとおしい自由よと
僕が歌っていたあいだに
誰かが自由を鎖でつないでしまった
もう遅すぎる
戦った人たちもいるが
僕はまったく気づかなかった
時は流れ流れて
もう残りは長くない

Pourtant je vis toujours
Pourtant je fais l'amour
Arrive même de chanter
Sur ma guitarre
Pour l'enfant que j'étais
Pour l'enfant que j'ai fait
Passe passe le temps
Il n'y en a plus pour très longtemps
それでもあいかわらず僕は生きている
それでも僕は恋愛し
ギターを弾いて歌ったりもする
子供のころの僕のために
僕の子供のために
時は流れ流れて
もう残りは長くない
Pendant que je chantais
Pendant que je t'aimais
Pendant que je rêvais
Il était encore temps 注4
歌っていたあいだ
君を愛していたあいだ
夢見ていたあいだ
時間はまだまだあった
[注]
1 Il est déjà demain「すでに(幼年時代からみて)明日だ」
2 n'en avoir pas pour longtemps「(…をするのに)長くはかからない、(命が)長くない」と同様の表現。
3 1980年に、「自由」を、愛する女性として擬人化した「僕の自由Ma liberté」という曲を歌っている。
4 Il était =Il y avait
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ジャン=ジャック・ゴールドマンJean-Jacques Goldmanは、1951年にパリで生まれたシンガー・ソングライターで、1986年にヴィクトワール賞の男性歌手賞を取りました。歌うほか、ギター、ベース、ピアノ、ハーモニカ、ウード、フルート、ヴァイオリンをこなし、プロデューサーとしても活躍しています。パトリシア・カースPatricia Kaasの「はかない愛だとしてもIl me dit que je suis belle」など、他の歌手にも数多く曲を提供しています。
今回は彼が作詞・作曲し、女性歌手シリマSirima とデュオで歌った「かの地Là-bas」を取り上げます。1987年のアルバムEntre gris clair et gris foncéに収録されています。デュオで歌っているシリマは、パリの地下鉄で歌っていてデュオの相手としてスカウトされたそうです。そしてその後、1989年に、嫉妬のために愛人に刺し殺されています。
曲の内容は動画にあらわされています。アフリカに住む若いカップル、男は遠く離れた文明社会(動画ではなぜか中国の街のような画像が用いられていますが、ヨーロッパ、特にフランスと考えたほうが話が合うかと思われます)に憧れて出て行こうとし、女はそれを引き止めようとします。
セリーヌ・ディオンCeline Dion とゴールドマン
ミッシェル・デルペッシュMichel Delpechとセリーヌ・ディオン
Là-bas かの地
Jean-Jacques Goldman ジャン=ジャック・ゴールドマン
Là-bas 注1
Tout est neuf et tout est sauvage
Libre continent sans grillage
Ici, nos rêves sont étroits
C'est pour ça que j'irai là-bas
向こうでは
すべてが新しくすべてがあるがままだ
鉄格子の無い自由な大陸
ここでは、僕らの夢はちっぽけだ
僕が向こうへ行くのはそのためさ
Là-bas
Faut du cœur et faut du courage
Mais tout est possible à mon âge
Si tu as la force et la foi
L'or est à portée de tes doigts 注2
C'est pour ça que j'irai là-bas
向こうでは
やる気がいる 勇気がいる
だが僕らの歳ではすべて可能だ
能力と信念を持ってさえいれば
黄金はこの指でさわれるところにある
僕が向こうへ行くのはそのためさ
N'y va pas
Y a des tempêtes et des naufrages
Le feu, les diables et les mirages
Je te sais si fragile parfois
Reste au creux de moi
行かないで
嵐や海難が起こるわ
火事も、悪魔どもや幻影も
私はあなたがときどきとても軟弱になるって知っている
私のところにとどまって
On a tant d'amour à faire
Tant de bonheur à venir
Je te veux mari et père
Et toi, tu rêves de partir
私たちはたくさん愛し合えるし
幸福だっていっぱいやって来るわ
私はあなたが夫で父であってほしい
でもあなたのほうは、出て行こうと夢みている

Ici, tout est joué d'avance
Et l'on n'y peut rien changer
Tout dépend de ta naissance
Et moi je ne suis pas bien né
ここでは、すべてが前もって操作されている
そしてここでは何も変えられない
すべて自分の出生いかんだ
そして僕は生まれがよくない
Là-bas
Loin de nos vies, de nos villages
J'oublierai ta voix, ton visage
J'ai beau te serrer dans mes bras
Tu m'échappes déjà, là-bas
あなたが向こうに行って
私たちの生活や、私たちの村から遠く離れてしまえば
私はあなたの声を、あなたの顔を忘れるわ
私はあなたを腕のなかに抱きしめようとしても無駄で
あなたはもうわたしの腕をすり抜けてしまう、向こうに
J'aurai ma chance, j'aurai mes droits
(向こうで)僕は自分のチャンスを得、自分の権利を
N'y va pas 注2
行かないで
Et la fierté qu'ici je n'ai pas
そしてここでは持っていない誇りを得るだろう
Là-bas
向こうに
Tout ce que tu mérites est à toi
(向こうでは)得るに値するものはすべて自分のものだ
N'y va pas
行かないで
Ici, les autres imposent leur loi
ここでは、他のやつらが彼らの法則を押し付ける
Là-bas
向こうに
Je te perdrai peut-être là-bas
僕はたぶん君を失うだろう向こうに行けば
N'y va pas
行かないで
Mais je me perds si je reste là
だがもしここにとどまれば僕は自分を見失う
Là-bas
向こうに
La vie ne m'a pas laissé le choix
人生は僕に選択を許さない
N'y va pas
行かないで
Toi et moi, ce sera là-bas ou pas
君と僕、向こうへ行く者あるいは行かない者
Là-bas
向こうに
Tout est neuf et tout est sauvage
(向こうでは)すべてが新しくすべてがあるがままだ

N'y va pas
行かないで
Libre continent sans grillage
鉄格子の無い自由な大陸
Là-bas
向こうに
Beau comme on n'imagine pas
ひとが想像しえないほど美しい大陸なんだ
N'y va pas
行かないで
Ici, même nos rêves sont étroits
ここでは、僕らの夢はちっぽけだ
Là-bas
向こうに
C'est pour ça que j'irai là-bas
僕が向こうへ行くのはそのためさ
N'y va pas
行かないで
On ne m'a pas laissé le choix
僕には選択の余地が残されていないんだ

Là-bas
向こうに
Je me perds si je reste là
もしここにとどまったら僕は自分を見失う
N'y va pas
行かないで
C'est pour ça que j'irai là-bas
僕が向こうへ行くのはそのためさ
N'y va pas…
行かないで…
[注]
1 là-basは邦題としては「かの地」としたが、歌詞中では、会話の言葉らしく「向こう」とした。
2 ここからは短い掛け合いとなり、女性のN'y va pas+Là-basすなわちN'y va pas là-bas「向こうに行かないで」の繰り返しのあいだに、男性が「かの地」の素晴らしさを語る。相手のLà-basという言葉を引き継ぐ形の掛け合いが見られる。
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今回は、クリスマスに相応しい曲、ミッシェル・フュガンMichel Fugainの「すべてが変わるだろうTout va changer」(作詞Pierre Delanoë、作曲Michel Fugain)です。1973年のアルバム「Fugain et le Big Bazar - numéro 2」に収録されています。
私は、クリスチャンでもない日本の人々がクリスマスを祝うことが理解できず、八百万の神々を受け入れてきた、なんでもござれ精神にファッション志向を加えたものくらいにしか思えませんでしたが、この歌を聴いて、再出発、浄化、癒し、喜びといったいろんな要素が託された暖かい風習として受け入れることができました。
Tout va changer すべてが変わるだろう
Michel Fugain ミシェル・フュガン
Tout va changer ce soir
On prend un nouveau départ
La neige a blanchi le monde
Les enfants sont pleins d'espoir
Tout va changer demain
Tu n'as qu'à ouvrir les mains
Pour que de là-haut te tombent
En rafales une pluie de cadeaux 注1
Sous un torrent d'étoiles 注2
Demain il fera beau
今夜すべてが変わるだろう
僕たちはあたらしく出発する
雪は地上を真っ白に染める
子どもたちは希望に胸をふくらませる
明日すべてが変わるだろう
君は手を開きさえすればいい
そうすれば高みから君に落ちてくるのさ
贈り物がどっとたくさん
満天の星のもとで
明日はいい天気だろう

Tout va changer ce soir
Selon notre bon vouloir
Les rues seront des théâtres
On jouera sur les trottoirs
Tout va changer demain
D'hier il ne reste rien
Demain c'est le grand spectacle
Qu'on allume des millions de chandelles
Qu'on change de costumes
Ce soir la vie est belle
今夜すべてが変わるだろう
僕たちの熱い願いのとおりに
街は劇場と化し
僕たちは舗道の上で演じるんだ
明日すべてが変わるだろう
過去はもう残っていない
明日は雄大なスペクタクルだ
僕たちは無数のロウソクに火をともし
コスチュームを変える
今夜人生は美しい

Tout va changer ce soir
On prend un nouveau départ
La neige a blanchi le monde
Les enfants sont pleins d'espoir
Tout a changé déjà
Pendant qu'on chantait tout ça
Demain est venu en douce 注3
Et la course ne s'arrêtera pas 注4
Pas plus que la grande Ourse
Pas plus que toi et moi.
今夜すべてが変わるだろう
僕たちはあたらしく出発する
雪は地上を真っ白に染める
子どもたちは希望に胸をふくらませる
すべてはすでに変わった
僕たちがこうして歌っているあいだに
明日はそっとやって来た
そして時の流れはいつまでも続くだろう
大熊座と同様に
君と僕と同様に。

[注]
1 rafaleは「突風、突発、連射」。en rafalesは、速くておびただしいさまをあらわす表現。
2 torrent「急流、奔流」。un torrent de+無冠詞名詞「…のほとばしり、氾濫」だが、意訳し過ぎたかも。
3 en douce=discrètement「それとなく、控えめに」
4 ne…pas plus que「…と同様に…ない」
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ベナバルBénabarは、1969年にパリの南南東のティエThiaisで生まれたシンガー・ソングライター。1997年にファーストアルバムを出し、L’effet Papillon(2008年)、Le dîner(2005年)などの曲が知られていますが、「田舎ではÀ la campagne」という2008年の曲を今日取り上げましょう。S’il neige à la Noël「クリスマスイヴに雪が降れば」というフレーズが歌詞にあるので。
À la campagne 田舎では
Bénabar ベナバル
À la campagne
Y a toujours un truc à faire
Aller aux champignons
Couper du bois, prendre l’air
À la campagne
On se fout des horaires
Comme les maisons du même nom
C’est secondaire 注1
田舎では
いつだってやることがある
キノコ狩りに行く
木を伐る、散歩する
田舎では
みんな時間を気にしない
同じ名前の家は
別荘なんだから

À la campagne
Y a toujours un truc à voir
Des sangliers, des hérissons
Des vieux sur des tracteurs
À la campagne
Y a des lieux pleins d’Histoire
Des châteaux tout cassés
Et des arbres centenaires
田舎では
いつだって見るものがある
イノシシ、ハリネズミ
トラクターに乗った爺さんたち
田舎には
歴史に満ちた場所がある
壊れた城
樹齢百年の木々
À la campagne
Quand on est citadin
À la campagne
On demande aux paysans
Le temps qu’il fera demain
田舎では
街の人間なら
田舎では
百姓たちに訊く
明日の天気はどうかなと

À la campagne
On veut de l’authentique
Du feu de cheminée
Et du produit régional
À la campagne
Il nous faut du rustique
Un meuble qui n’est pas en bois
Ça nous ruine le moral 注2
田舎では
本物を求める
暖炉の火
そして特産物
田舎では
僕たちは田舎風でなきゃいけない
木でできていない家具は
元気を削ぐものだ
À la campagne
On dit qu’on voudrait rester
Quitter Paris, le bruit,
Le stress et la pollution
À la campagne
C’est la fête aux clichés 注3
La qualité de vie
Et le rythme des saisons
田舎に
とどまりたいとひとは言う
パリを、騒音を、
ストレスそして汚染を離れたいと
田舎では
典型的なものだらけだ
生活の質
季節のリズム
À la campagne
On se prête des pulls
Quand on se traîne sur la terrasse
À la campagne
Y a des jeux de société 注4
Auxquels il manque des pièces
田舎じゃ
セーターを互いに貸し借りする
テラスをうろつくときに
田舎じゃ
モノポリーなどのゲームをやるが
それはコマが欠けているんだ
À la campagne
La nuit on ferme des volets
Y a des bruits dans la maison
Et dehors dans la forêt
À la campagne
Dans mon lit, plutôt que rêver,
Je préfère pas fermer l’œil et flipper
田舎じゃ
夜にはよろい戸を閉める
家のなかや
外の森のなかで物音がする
田舎じゃ
ベッドでは、夢を見るどころか、
目を閉じたくなくて怖いんだ

À la campagne
En principe on se lève tôt
Pas moi, je dors encore
Pour des raisons que vous savez 注5
田舎じゃ
普通はみな早起きだ
僕はちがう、まだ寝てるんだ
ご存じの理由でね
À la montagne,
Y a des chalets, des chamois
Mais c’est pas l’objet
De cette chanson...
J’ voulais juste voir si vous suiviez 注6
山では、
山小屋があり、ヤギがいる
だがそれは
この歌のネタじゃない…
あなた方がちゃんと付いて来ているか見たかったのさ
À la campagne
Quand arrive le dimanche soir
À la campagne
Pour éviter les bouchons
On va p’t-êt’ pas rentrer trop tard 注7
田舎じゃ
日曜の夜になると
田舎じゃ
渋滞を避けるため
たぶんあまり遅くに帰ろうとしないんだ
À la campagne
J’ai envie d’être campagnard
D’avoir une grosse moustache
Et un gilet en velours
À la campagne
J’ai envie de parler terroir
"J’ m’en vas cercler l’ calanchet 注8
Pour pas qu’il vente
Dans les labours"
田舎で
僕は田舎者になって
濃い口ひげを生やしたい
ビロードのチョッキを着たい
田舎で
土地の言葉を話したい
「畑んなか風さ吹かんよう
カランシェにタガ嵌めに行くべ」

Ça me donne envie
D’être robuste et taiseux
Le patriarche bourru
D’une série de l’été de France2 注9
L’histoire d’une famille
Qui lutte pour son domaine
Mais j’ai jamais le temps
Parce que j’ reste que le week-end
あれが僕に思わせたんだ
剛健で寡黙でありたいと
「フランス2」チャンネルの夏の連続ドラマの
野暮な家長
自分の領地を守るために戦う
一族の物語さ
だが僕にはまるでそんな暇ない
だって週末しかいないんだもの
À la campagne
Entends-tu au loin le cri
De la grivette cendrée? 注10
À la campagne
S’il neige à la Noël,
Je rentrerai les bistouquets dans l’étable... 注11
田舎で
遠くで聞こえるかい
灰色のグリヴェット鳥の鳴き声が?
田舎で
クリスマスイヴに雪が降れば、
僕は小屋にヤギを戻すだろう…
[注]
1 secondaire「2番目の、副次的な」同じ名前の家は、すなわち「別荘」で、そこでの生活は時間に追われるようなものではない。
2 moral 形容詞としては「道徳的な」だが、名詞としては「気力、精神」。名詞の「道徳」はmorale。
3 cliché「陰画、印刷用の版」が本義だが、「ステレオタイプ」の意味でも用いられる。fêteは、たくさんあるという意味合い。
4 jeux de société「何人かでするゲーム」
5 前節にあるように、怖くて眠れなかったから。
6 À la campagneじゃなくてÀ la montagneとひっかけて、聴いている人が気が付くかどうか見ているんだという意味。
7 p’t-êt’=peut-être。渋滞を避けるためというのは冗談だろう。
8 方言の例であり、意味はつかめない。訳は間に合わせである。
9 France2は、テレビのチャンネル。
10 griveは「ツグミ」だが、grivetteは幻鳥の一種らしい。
11 bistouquetは辞書にはないが、chèvre「ヤギ」のこと。
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英語の曲でヒットしたI like Chopinは、1983年にイタリアのPierluigi Giombiniが作曲した曲で、作詞は歌っているGazebo。日本語では「雨音はショパンの調べ」というタイトルで小林麻美が歌っています。そしてClementineがChopin et toiというタイトルでフランス語で歌っています。Clementineは「クレモンティーヌ」が公式の仮名表記になっていますのでそれに従います。
2005年のアルバム「メイド・イン・フランスMade in France」に収録されています。
Chopin et toi ショパンとあなた(雨音はショパンの調べ)
Clementine クレモンティーヌ
N'oublie pas ce piano
ses indicibles harmonies
en duos ou en solos
fugaces échos de la vie
このピアノ曲を忘れないで
そのハーモニーを
デュオのあるいはソロの
人生のはかない響きを
Tu disais
Ah! j'aime Chopin
cette musique me rappelle
あなたは言っていたわね
ああ!僕はショパンが好きだ、と
この音楽を聴くと想い出すわ
Jours de pluie ou jours de soleil
près de toi qu'importe c'est pareil
Jours de pluie, reflects dans tes yeux
brefs instants radieux
雨の日々でも晴れた日々でも
あなたに寄り添っていれば同じよ
雨の日々には、あなたの目の輝きが
つかのまの晴れやかな時をもたらしてくれる

Je revois ton visage
dans l'éclat vif de la lumière
ton ineffable image
qui me bouleverse et m'éclaire
あなたの面影が蘇る
光の鮮明な輝きのなかで
表現しがたいあなたのイメージが
私を動揺させ私を照らしてくれる
Tu disais
Ah! j'aime Chopin
cette musique me rappelle
あなたは言っていたわね
ああ!僕はショパンが好きだと
この音楽を聴くと想い出すわ

Jours de pluie ou jours de soleil
près de toi qu'importe c'est pareil
Jours de pluie, reflects dans tes yeux
brefs instants radieux(×3)
雨の日々でもお天気の日々でも
あなたに寄り添っていれば同じよ
雨の日々には、あなたの目の輝きが
つかのまの晴れやかな時をもたらしてくれる

イタリアのシンガー・ソングライターで女優のナタリーNathalie(Nathalie Beatrice Giannitrapani)もJ'aime Chopinと題して、また別の歌詞のフランス語で歌っています。こちらの歌詞は見つかりませんでした。いつか、聴きとって出しましょう。
英語の原曲
I Like Chopin
Gazebo
Remember that piano
So delightful unusual
That classic sensation
Sentimental confusion
Used to say
I like Chopin
Love me now and again
{Chorus :}
Rainy days never say goodbye
To desire when we are together
Rainy days growing in your eyes
Tell me where's my way
Imagine your face
In a sunshine reflection
A vision of blue skies
Forever distractions
Used to say
I like Chopin
Love me now and again
{Repeat Chorus}
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「おじさんと子どもL'homme et l’enfant」は、一編のメルヘンのようなとても美しい曲です。私は最初、ジャック・デュトロンJacques Dutroncがルイーズ・デュヴァルLouise Duvalと歌っているのを聴きましたが、元は1956年に作られた仏伊合作の同名の映画の主題曲(作詞:René Rouzaud, 作曲:Wayne Shanklin)。主演したエディ・コンスタンティーヌEddie Constantineがタニア・コンスタンティーヌTania Constantine(エディの娘?)と歌っています。エディは、1917年10月29日カリフォルニア州ロサンゼルスで生まれたフランス系アメリカ人の歌手・俳優。1993年に亡くなりました。歌手・俳優のレミー・コンスタンティーヌLemmy Constantineは息子です。
映画は第2次大戦後のグラースが舞台で、エディ・コンスタンティーヌは主人公のアメリカ人男性フレッド・バーカーを演じ、タニア・コンスタンティーヌも、その養女キャシーを演じています。彼女は誘拐され、エレーヌという娘を見つけたら彼女を返すと言われ、フレッドは、キャシーを取り戻すため、空から降下してエレーヌを探し始めるが…といったあらすじがWikipediaには書かれています。この映画にジュリエット・グレコJuliette Grécoが出演していることも特筆すべきでしょう。
ジャック・デュトロンの歌は、music Meで聴けます。
L'homme et l’enfant おじさんと子ども
Eddie & Tania Constantine エディ&タニア・コンスタンティーヌ
Dis monsieur, bon monsieur est-ce que la terre est ronde? 注1
Si c'est vrai l'oiseau bleu où est-il dans le monde?
Tous les jours je suis là et pleure en l'attendant
Pleurais-tu comme moi quand tu étais enfant?
Que devient le soleil quand il tombe à la mer?
Et pourquoi le matin le ciel est si clair?
Pourquoi donc je ne peux m'envoler dans le vent?
Et pourquoi, dis monsieur tu pleure en l'écoutant?
ねぇおじさん、優しいおじさん 地球って丸いの?
もしもそれがほんとなら 青い鳥は地球のどこにいるの?
わたしは毎日ここにいてそれを待ちながら泣いてるのよ
あなたも子どものころ わたしみたいに泣いてたの?
お日さまは海に落ちたらどうなっちゃうの?
そしてなぜ朝は空がとってもきれいなの?
それからなぜわたしは風に乗って飛べないの?
そしてなぜ、ねぇおじさん この話を聞きながら泣いてるの?

Mon enfant, mon enfant, c'est vrai la terre est ronde
Et longtemps j'ai cherché l'oiseau bleu dans le monde
Comme toi j'ai pleuré en tendant mes deux bras
Mais pour toi j'en suis sûr un beau jour il viendra
N'ait pas peur le soleil ne meure pas sous les dunes
Il s'en va pour t'offrir un beau clair de lune
Et pourquoi voudrais-tu t'envoler dans le vent
J'ai voulu moi aussi et j'ai des cheveux blancs
かわいい子、かわいい子よ、地球は丸いって本当だよ
そして僕は長いあいだ青い鳥を世界中探したよ
君みたいに両手をさし伸べて泣いたんだ
でも君に保障するよ いつかそれは来てくれるって
怖がらないで 太陽は砂丘に沈んで死んでしまったりしない
太陽はきれいな月の光を君にあげるためにいなくなるだけさ
それから君はどうして風に乗って飛びたいんだい
僕だって飛びたかったよ でも髪がもう白いんだ
Ne pleure plus, bon monsieur, puisque la terre est ronde
Pour t'offrir l'oiseau bleu je vais courir le monde
もう泣かないで、優しいおじさん、だって地球は丸いから
あなたに青い鳥をあげるためにわたし世界を駆けるわ

Mon enfant ne pars pas, ne pars pas pour ailleurs
L'oiseau bleu il est là cherche bien dans ton cœur
かわいい子 行かないで、よそへ行かないで
青い鳥はここにいるよ 君の心のなかをよく探してごらん
Si c'est vrai, dit monsieur, j'irai dans le soleil
Pour cueillir avec lui un morceau de ciel 注2
もしそれがほんとなら、ねえおじさん、わたし太陽まで行って
青い鳥といっしょに空をひとかけらちぎってくるわ
Mon enfant tu iras bien plus loin que le jour 注3
L'oiseau bleu c'est l'amour, l'amour.
かわいい子 君は太陽よりもっと遠くに行くだろう
青い鳥 それは愛なんだよ、愛。

[注]
1 disは呼びかけで「ねぇ」くらいの意味。
2 luiは「青い鳥」。鳥といっしょなら空を飛べる。
3 le jourはl'amour と脚韻を踏むためにle soleilを言い換えている。
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ジョゼフィン・ベーカーJoséphine Baker(1906年-1975年)は、フランス語読みでジョゼフィーヌ・バケールとも呼ばれる、ユダヤ系スペイン人とアフリカ系アメリカ人の混血でアメリカ、セントルイス出身の歌手・女優。
フィラデルフィア、ニューヨークなどアメリカ国内でショーに出演していましたが、1925年にパリのシャンゼリゼ劇場で、la Revue nègreというグループに加わり、チャールストン・ダンスで注目を浴び、バナナを腰の周りにぶら下げただけの衣装が話題になりました。詩人ボードレールは黒人の愛人をもち、黒人女性を賛美したことで知られていますが、彼女も「黒いヴィーナス」と呼ばれ、ラングストン・ヒューズやパブロ・ピカソ、アーネスト・ヘミングウェイなど同時代の作家、画家、彫刻家にとっての美の女神となりました。
東ヨーロッパと南アメリカ公演旅行の後、ベーカーは今度は歌手としてもデビューを果たし、今回取り上げる代表曲「二つの愛J'ai deux amours」(1930年、作詞:Géo Koger、Henri Varna、作曲:Vincent Scotto)をはじめとして、「ハイチHaiti」、「かわいいトンキン娘La petite tonkinoise」、「かわいいベイビーPretty little baby」などを歌いました。
祖国アメリカで、人種的な差別、偏見にさらされてきたベーカーは1937年にフランス国籍を取得したあと、第二次世界大戦中はレジスタンス運動や秘密情報部の活動に携わり、戦後その功績によりレジオン・ドヌール勲章などを授与されました。ヨーロッパの貴族の称号を持つことになった初めてのアフリカ系のアメリカ人女性といわれるベーカーは、さまざまな人種の12人の孤児を養子とし、ランスの古城で生活を共にしたこと、モナコ王妃グレース・ケリーとの交友などでも知られています。1950年代にはアメリカの公民権運動の支援に手を貸し、1963年8月にマーティン・ルーサー・キングの呼びかけで行われたワシントン大行進に参加。1954年には、原爆死没者慰霊碑にも参拝しています。
1956年に舞台からの引退声明を発表し、1961年にカムバック。1973年にはカーネギー・ホールでの公演で大成功を収めました。そして1975年3月24日より、パリのボビノ劇場Le théâtre Bobinoで芸能生活50周年を祝うショーを開催し、その14回目の公演のあと脳溢血で倒れて亡くなりました。私生活では、6度の結婚を経験し、数多くの自叙伝を執筆しています。偉人たちを祀る墓所であるパリのパンテオンに黒人女性として初めて埋葬されました。
ジョゼフィン・ベーカーのダンス
「二つの愛」
「二つの愛」ジャズ的なアレンジ
J'ai deux amours 二つの愛
Joséphine Baker ジョゼフィン・ベーカー
On dit qu'au delà des mers 注1
Là-bas sous le ciel clair
Il existe une cité
Au séjour enchanté
Et sous les grands arbres noirs

Chaque soir
Vers elle s'en va tout mon espoir
海のむこうの
晴れた空の下に
風光明美な
ひとつの都市があるという
大きな黒い木々の下で
毎夜
私の憧れはその都市へと向かう
J'ai deux amours
Mon pays et Paris 注2
Par eux toujours
Mon cœur est ravi
Ma savane est belle
Mais à quoi bon le nier 注3
Ce qui m'ensorcelle
C'est Paris, Paris tout entier
Le voir un jour
C'est mon rêve joli
J'ai deux amours
Mon pays et Paris
私には二人の恋人がいる
私の故郷とパリ
私の心はずっと
彼らに夢中になっている
私のサバンナは美しい
拒んでなんになろう
私を魅惑するものを
それはパリ、パリそのもの
いつかパリを見ることが
私の楽しい夢
私には二人の恋人がいる
私の故郷とパリ

Quand sur la rive parfois
Au lointain j'aperçois
Un paquebot qui s'en va
Vers lui je tends les bras
Et le cœur battant d'émoi
A mi-voix
Doucement je dis "emporte-moi !"
岸辺でときおり
遠くに私は見かける
パリに向かって船出する定期船を
それに向かって私は手を振り
心ときめかせ
小声で
そっと「私を連れてって!」と言うの
J'ai deux amours....
私には二人の恋人がいるのよ…
[注]題名および歌詞中のdeux amoursは通常「二つの愛」と訳されているが、歌詞中では文脈上、「二人の恋人」と訳した。そのうちのmon paysは、ベーカーの実際の故郷であるセントルイスではなく、アフリカと設定されている。
1 On dit que…「…らしい」。au delà de…「…の向こうに」。
2 Mon pays et Paris レジスタンス運動中はMon pays c’est Paris「私の故郷、それはパリ」と歌った。
3 à quoi bon「それが何になるのか」
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1953年のジャンゴ・ラインハルト Django Reinhardtの死去に伴い、ジャック・ヴェリエールJacques Verrières(Vérièresとも表記される)は、翌54年に彼へのオマージュとしてこの曲「ジプシーの友だちMon pot' le gitan」(作曲:Marc Heyra)を書きみずから歌いました。同年バルバラBarbaraも歌っており、2007年に、バルバラの幻の初コンサートが「Barbara a l'atelier, Bruxelles 1954」というタイトルのCDになり、それにこの曲が入っています。イヴ・モンタンYves Montandの歌でも知られています。
(以上、コメントをいただいて調べ直して訂正いたしました。2020年2月7日)
ジャック・ヴェリエール (バックはレイモン・ルフェーヴルRaymond Lefèvreオーケストラ)
バルバラ (彼女の別の面を見る気がしてとても新鮮です。)
イヴ・モンタン
ムルージMouloudji、フランシス・ルマルクFrancis LemarqueもYouTubeにあります。
Mon pot' le gitan ジプシーの友だち
Jacques Verrières ジャック・ヴェリエール
Mon pot’ le gitan c’est un gars curieux
Une gueule toute noir, des carreaux tout bleus 注1
Y reste des heures sans dire un seul mot
Assis près du poêle au fond du bistrot
C’gars-là une roulotte s’promène dans sa tête
Et quand elle voyage jamais ne s’arrête
Des tas d’paysages sortent de ses yeux 注2
Mon pot’ le gitan c’est un gars curieux
Mon pot’ le gitan, c’est pas un marrant
Et dans notre bistrot personne le comprend
Comme tous ces gars-là il a sa guitare
Une guitare crasseuse qui vous colle le noir
Quand y s’met à jouer la vieille roulotte
Galope dans sa tête, les joueurs de belote
S’arrêtent et plus rien... on a mal en dedans
Mon pot’ le gitan c’est pas un marrant
僕のジプシーの友だち それは変なやつだ
真っ黒なツラで、真っ青な目
一言も言わずに何時間も
ビストロの奥のストーブのそばに座っている
そいつの頭のなかでは幌馬車がさまよってるのさ
幌馬車が出発したらけっして止まらない
たくさんの風景が彼の目からあふれ出る
僕のジプシーの友だち それは変なやつだ
僕のジプシーの友だち、それは愉快なやつじゃない
僕らのビストロでは誰もやつを理解できない
この手の輩たち同様に自分のギターを持っている
みなに黒い汚れをくっつけそうな汚らしいギターだ
やつが弾き始めると古い幌馬車は
やつの頭のなかでギャロップし、トランプ遊びをしているやつらは
手をとめてそのままさ…みなは内心イヤな気分になる
僕のジプシーの友だち、それは愉快なやつじゃない

Mon pot’ le gitan un jour est parti

Et Dieu seul sait où il ballade sa vie
Ce type là était un grand musicien 注3
Ça j’en étais sûr, moi je l’sentais bien
Le tôlier m’a dit qu’on est venu l’chercher 注4
Un grand music-hall voulait l’acheter
Mon pot’ le gitan il a refusé
Un haussement d’épaules et il s’est taillé? 注5
僕のジプシーの友だちはある日出て行った
そして神様だけがやつの人生が向かう先をご存じだ
あいつは優れたミュージシャンだった
僕は確信している、僕はね本当にそう感じていた
マスターが言うことにゃ誰かがやつを探しに来たと
大きなミュージック・ホールがやつを物にしようとした
僕のジプシーの友だち やつは断ったんだ
肩をすくめてずらかったのかな
J’ai eu l’impression de perdre un ami
Et pourtant c’gars-là ne m’a jamais rien dit
Mais il m’a laissé un coin de sa roulotte
Et dans ma petite tête j’ai du rêve qui trotte
Sa drôle de musique en moi est restée
Quand je pense à lui, m’arrive de chanter 注6
Toi sacré gitan qui sentait l’cafard 注7
Au fond ta musique était pleine d’espoir.
友だちを失った気がするよ
だけどあいつはなにも言わなかった
しかしやつは自分の幌馬車の片隅を僕に残した
そして僕のちっちゃな頭のなかで動き回る夢があって
やつの変な音楽がまだ残っているんだ
やつのことを考えると、僕は歌いだすことがある
とんだジプシーやろうの君は憂鬱なようすだったが
君の音楽の奥底にはたくさんの希望があった。

[注]
1 carreauは「窓ガラス」「格子」だが、俗語として、複数形で「眼鏡」「目」の意味もある。
2 des tas de「たくさんの」
3 ce type là「あいつ」
4 se tailler俗語で「ずらかる、逃げ去る」
5 tôlierは「板金工」、あるいはtaulierの綴り違いで「(ホテル、レストランなどの)主人、経営者」の意味もあり、こちらがふさわしいだろう。
6 il arrive à qn. de+inf.「…が…することがある」のilが省かれている。
7 sacréは名詞の前で「いまいましい、憎らしい」あるいは「すばらしい、とんでもない」の意味。sentir「…の様子をしている」 l’cafard「憂鬱」。
Comment:2

今回は冬にピッタリの「子どものための冬の歌Chanson pour les enfants l'hiver」。雪だるまが溶けちゃうお話です。ジャック・プレヴェールJacques Prévertの詩集「ものがたりHistoires」(1946年)に収録された詩にジョゼフ・コズマJoseph Kosmaが曲をつけました。ジャック・プレヴェールJacques Prévertの詩を歌詞にした歌はもう何曲もご紹介しました。「美しい星でÀ la belle étoile」のページに、作曲家ジョゼフ・コズマJoseph Kosmaが曲を付けたプレヴェールの詩をリストアップしていますので参照ください。
レ・フレール・ジャックLes Frères Jacquesが歌っています。
Chanson pour les enfants l’hiver 子どものための冬の歌
Les Frères Jacques レ・フレール・ジャック
Dans la nuit de l’hiver
galope un grand homme blanc
galope un grand homme blanc
冬の夜に
大きな白い男が駆けていく
大きな白い男が駆けていく
c’est un bonhomme de neige
avec une pipe en bois
un grand bonhomme de neige
poursuivi par le froid
雪だるまだ
木のパイプを口にくわえて
大きな雪だるまが
寒さに追いかけられている

Il arrive au village
il arrive au village
voyant de la lumière
le voilà rassuré
村に着く
村に着く
明かりを見て
ほっとする
Dans une petite maison
il entre sans frapper
Dans une petite maison
il entre sans frapper
小さな家に
ノックもせずに入る
小さな家に
ノックもせずに入る
et pour se réchauffer
et pour se réchauffer
s’assoit sur le poêle rouge,
et d’un coup disparait
そして温まろうと
そして温まろうと
赤い暖炉の上に座り、
あっという間にいなくなる
ne laissant que sa pipe
au milieu d’une flaque d’eau
ne laissant que sa pipe
et puis son vieux chapeau.
水たまりのまんなかに
パイプだけ残して
パイプと
古い帽子だけ残して。

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フランス版プレスリーと呼ばれるジョニー・アリディJohnny Hallydayは1943年にパリで生まれ、両親が離婚したため、乳児のころからアメリカ人の叔母夫婦に育てられ、ダンスとギターを習いました。11歳で舞台に立ち、14歳の頃からエルヴィス・プレスリーElvis Aron Presleyに憧れてロック歌手をめざします。60年17歳の時、Laisse des fillesが大評判になり同年TVに出演した際にリーヌ・ルノーLine RounaudがIdoles des jeunes(若者たちのアイドル)と紹介し、同名の曲が最大のヒット曲になりました。その後は続々とヒットを出し、yéyé時代の旗手として大活躍します。「踊りに行くために一番きれいに(アイドルを探せ)La plus belle pour aller danser」の記事に書きましたが、65年にシルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanと結婚し、二人のあいだにダヴィッド・アリディDavid Hallydayが生まれました。その間、ニ度の交通事故と自殺未遂を起こし、80年に離婚。女性問題は常にいろいろあったようですが、1996年の5度目の結婚はうまく行っているようです。
長年、俳優業をこなしながら、歌手活動のほうでも、ほぼ2年ごとにアルバムを出し続けています。1999年にシンガー・ソングライターである息子ディヴィッド・アリディDavid Hallydayが全曲手がけたアルバムSang pour sangはヒット・チャートのトップを1ヵ月以上も保ったそうです。2009年に、最後のコンサートだと公言して66歳のメモリアル・コンサートをスタートし、パリ・エッフェル塔前のフリー・コンサートなどは大変話題になりましたが、健康上の理由(大腸癌)で中断。翌年、心身共に回復したということで引退宣言を撤回。70代の今も現役です。50年間に1000曲以上録音。ディスクドール40、プラティナディスク22、ダイアモンドディスク5、ヴィクトワール賞受賞9回。
今回取り上げる「刑務所(朝日のあたる家)Le pénitencier」は元々、19世紀にニューオリンズに実在した娼婦館を歌ったアメリカの民謡The House of the Rising Sunで、1961年頃にはボブ・ディランBob Dylanも歌っていました。1964年にイギリスのロック・バンド、アニマルズThe Animalsが、girlをboyに変えることで娼婦館を少年院に変えた歌詞で歌い、全英・全米チャート第1位に上りました。その同年に、ユーグ・オーフレー Hugues Aufrayと Vline Buggy がフランス語に翻案し、Alan Priceが編曲し、ジョニー・アリディが歌いました。Les portes du pénitencierとも呼ばれます。
日本では、ちあきなおみが「朝日楼(朝日のあたる家)」という題名で、売春宿を歌った元歌のままの意味で日本語で歌っています。
ボブ・ディランの歌は、呑んだくれのギャンブラーに貢いだせいで娼婦館にいる女の話
アニマルズの歌は少年院に入った不良少年の話。父親が呑んだくれのギャンブラーとなっている。
ジョニー・アリディの歌は、罪を犯し刑務所で一生を終える男の話。
Le pénitencier 刑務所(朝日のあたる家)
Johnny Hallyday ジョニー・アリディ
Les portes du pénitencier
Bientôt vont se fermer
Et c’est là que je finirai ma vie
Comm’d’autres gars l’ont finie
Pour moi ma mère a donné 注
Sa robe de mariée
Peux-tu jamais me pardonner
Je t’ai trop fait pleurer
刑務所の扉は
まもなく閉まる
そして俺が人生を終えるのはそこだ
ほかのやつがその人生を終えるように
おふくろは俺のために
自分の花嫁衣装を差し出した
あんたは俺をぜったい許せないだろうな
俺はあんたをあまりにも悲しませた

Le soleil n’est pas fait pour nous
C’est la nuit qu’on peut tricher
Toi qui ce soir a tout perdu
Demain tu peux gagner
お天道様は俺たちを照らさない
悪いことができるのは夜のうちだ
あんたは今夜すべてを失ったが
明日はいいことがあるさ
O mères, écoutez-moi
Ne laissez jamais vos garçons
Seuls la nuit traîner dans les rues
Ils iront tout droit en prison
Toi la fille qui m’a aimé
Je t’ai trop fait pleurer
Les larmes de honte que tu as versées
Il faut les oublier
おふくろさんがたよ、おれの言うことを聞きな
あんたがたの息子を
夜、路上にひとりでうろつかせておいちゃいけないぜ
彼らはまっすぐブタ箱に入っちまうよ
おまえ、俺に惚れた娘よ
俺はおまえをあまりにも悲しませた
おまえが流した屈辱の涙は
忘れることだ

Les portes du pénitencier
Bientôt vont se fermer
Et c’est là que je finirai ma vie
Comm’d’autres gars l’ont finie
刑務所の扉は
まもなく閉まる
そして俺が人生を終えるのはそこだ
ほかのやつがその人生を終えるように
[注] 「自分の花嫁衣装を差し出した」というのは、大事なものをわが子のためにとお金に替えたということか。
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今回はシルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanの「愛の運命C'est fatal」です。邦題は一例に即しましたが、「運命」は「さだめ」と読みます。歌謡曲にありそうな発想かも。1993年のアルバム:La Storiaに収録されています。作詞: ディディエ・バルブリヴィアンDidier Barbelivien、作曲:ミカエル・クレテュMichael Cretu。
C'est fatal 愛の運命
Sylvie Vartan シルヴィー・ヴァルタン
C'est fatal, animal, 注1
La guerre entre nous
Mais le premier qui fera du mal
Deviendra presque fou.
それは宿命的、本能的、
私たちのあいだの戦いは、
でも先に手を染めたほうが
気が狂ったみたいになるだろう。
C'est fatal, animal,
L'amour entre nous
Mais celui qui voudra l'idéal
Aura faux jusqu'au bout.
C'est fatal...
それは宿命的、本能的、
私たちのあいだの愛は
でも理想を求める者は
最後まで道を誤ることになるだろう。
それは宿命的…

C'est fatal, animal,
Comme la corde au cou 注2
Mais le premier de nous
Qui en parle retombera à genoux
それは宿命的、本能的、
首に縄をかけられたみたいに
だが私たちのうち先に
それを口にしたほうがひざまずき従うことになるだろう
C'est fatal, animal,
D'être encore jaloux
Mais celui qui perdra son étoile
Se souviendra de tout.
それは宿命的、本能的、
なおも嫉妬を抱いていることは
だが運命の人を失った者は
すべてを心にとどめるだろう。
Espèce de chien, je t'ai suivi
De mélodrame en mélodie.
Espèce de rien, je t'ai choisi 注3
Au milieu de cent poésies.
犬のように、私はあんたについていく
メロドラマからメロディーへと。
ろくでなし、私はあんたを選んだ
幾多の詩のなかで。
C'est fatal, animal,
D'être encore debout
Mais celui qui ouvrira le bal 注4
Souffrira de partout.
それは宿命的、本能的、
立ったままでいることは
だが最初に踊る者は
あちこちから責めを受けることになるだろう。
C'est fatal, animal,
De s'aimer surtout
Mais le dire serait un vrai scandale
Et le faire un tabou.
C'est fatal...
それは宿命的、本能的、
特に愛し合うことは
だがそれを言うことはまさにスキャンダルになるだろう
そしてそれをなすことはタブーに。
それは宿命的…
C'est fatal, c'est fatal
Mais le premier qui fera du mal
Deviendra presque fou.
C'est fatal, animal
それは宿命的、宿命的、
でも先に手を染めたほうが
気が狂ったみたいになるだろう。
それは宿命的、本能的

Comme la corde au cou
Mais le premier de nous qui en parle
Retombera à genoux.
C'est fatal, animal
L'amour entre nous
Mais celui qui voudra l'idéal
Aura faux jusqu'au bout.
C'est fatal.
首に縄をかけられたみたいに
だが私たちのうち先にそれを口にしたほうが
ひざまずき従うことになるだろう。
それは宿命的、本能的、
私たちのあいだの愛は
でも理想を求める者は
まったく道を誤ることになるだろう。
それは宿命的。
[注]
1 animalは名詞としての本義は「動物」だが、ここはfatalと同様に形容詞であり、人間に関して「動物的な、本能的な」という意味。
2 avoir la corde au couは「絶望的な状況に陥る、全く自由を奪われた状態にある」という意味だが、文字通りの訳語にした。
3 espèceは「種類、種」が本義だが、限定詞なしでののしりの言葉として用いられる。
4 ouvrir le bal「舞踏会で一番目(皮切り)に踊る」
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レオ・フェレLéo Ferréの「それは最高だC'est extra」は非常にヒットした曲ですが、日本ではあまり知られていません。1968年の5月革命で従来の価値観が覆された翌年の1969年、セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgが「69年はエロな年69 année érotique」という曲を出し、「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュJe t’aime moi non plus」をジェーン・バーキンJane Birkinと録音しました。同年に出たフェレのこの曲(アルバムL'Été 68に収録)もエロティックな内容。そしてまた少々、意味不明。しかしながら、非常に美しい曲です。フェレは、イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドのムーディ・ブルースMoody Blues の「サテンの夜Nights in White Satin」という曲を車のなかで聴き、そのクラシック音楽とロックを融合させた形態から着想を得たそうです。フェレの作詞・作曲で、ジャン=ミッシェル・ドファイエJean-Michel Defayeが編曲。
Nights in White Satin
C'est extra
C'est extra それは最高だ
Léo Ferré レオ・フェレ
Une robe de cuir comme un fuseau
Qu’aurait du chien sans l’faire exprès 注1
Et dedans comme un matelot
Une fille qui tangue un air anglais
C’est extra
Un Moody Blues qui chante la nuit
Comme un satin de blanc marié
Et dans le port de cette nuit
Une fille qui tangue et vient mouiller
意図せずとも魅力的な
紡錘形の革のドレス
そしてそれに身を包み水夫のように
イギリス人風に体を揺するひとりの娘
最高だ
白い花嫁衣裳のサテンのように
夜を歌うムーディー・ブルースの曲
そして今夜の港で
体を揺すり濡れに来るひとりの娘

C’est extra c’est extra
C’est extra c’est extra
最高だ 最高だ
最高だ 最高だ
Des cheveux qui tombent comme le soir 注2
Et d’la musique en bas des reins
Ce jazz qui d’jazze dans le noir 注3
Et ce mal qui nous fait du bien 注4
C’est extra
Ces mains qui jouent de l’arc-en-ciel
Sur la guitare de la vie
Et puis ces cris qui montent au ciel
Comme une cigarette qui brille
落日のように落ちる髪
そして腰の下のミュージック
闇のなかでジャズるジャズ
俺たちを喜ばすこの悪
最高だ
生のギターの上で
虹を奏するこれらの手
そして火のついたタバコのように
空へと昇るこれらの叫び
C’est extra c’est extra
C’est extra c’est extra
最高だ 最高だ
最高だ 最高だ
Ces bas qui tiennent hauts perchés
Comme les cordes d’un violon
Et cette chair que vient troubler
L’archet qui coule ma chanson
C’est extra
Et sous le voile à peine clos
Cette touffe de noir jésus 注5
Qui ruisselle dans son berceau
Comme un nageur qu’on n’attend plus
ヴァイオリンの弦のように
上方で留められたこのストッキング
そして欲情をかき立てに来るこの肉体
わが歌を奏する弓
最高だ
ほとんど被っていないヴェールのもとで
この黒い幼子の髪の房は
揺りかごのなかに溢れる
見捨てられた泳ぎ手のように

C’est extra c’est extra
C’est extra c’est extra
最高だ 最高だ
最高だ 最高だ
Une robe de cuir comme un oubli
Qu’aurait du chien sans l’faire exprès
Et dedans comme un matin gris
Une fille qui tangue et qui se tait
C’est extra
Les Moody Blues qui s’en balancent
Cet ampli qui n’veut plus rien dire
Et dans la musique du silence
Une fille qui tangue et vient mourir
革のドレスは忘却のように
意図せずとも魅力的だ
そしてそのなかには灰色の朝のように
体を揺すり黙するひとりの娘
最高だ
揺れ動くムーディー・ブルースの曲たち
このアンプはもうなにも言いたがらない
そして沈黙の音楽のなかで
身体を揺すり死ぬだろうひとりの娘
C’est extra
C’est extra
C’est extra
C’est extra
最高だ
最高だ
最高だ
最高だ
[注]
1 chien「(女性の)肉体的魅力」を意味することがある。faire exprès de+inf.「故意に…する」。
2 髪が抜け落ちる時にもtomberを用いるが、ここでは髪の動きを言う。
3 d’jazzeはたぶんjazzに関連させた造語だろう。
4 faire du bien「利益をもたらす、ためになる」
5 jésus「幼子イエスの像」「幼児、嬰児」。大文字のJésusは「イエス・キリスト」。
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レオ・フェレLéo Ferréの「ムッシュ・ウィリアムMonsieur William」ジャン=ロジェ・コーシモンJean-Roger Caussimonの歌詞にレオ・フェレが曲をつけ、1950年にマルク・エ・アンドレMarc et Andréのデュオが歌い、フェレの歌は、1953年に最初のアルバム「パリ・カナイユParis canaille」に収録されました。その後、多くの歌手が歌っています。
セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgも歌っています。
Monsieur William ムッシュ・ウィリアム
Léo Ferré レオ・フェレ
C´était vraiment un employé modèle Monsieur William
Toujours exact et toujours plein de zèle Monsieur William
Il arriva jusqu´à la quarantaine sans fredaine
Sans le moindre petit drame mais un beau soir du mois d´août, il faisait si beau il faisait si doux
Que Monsieur William s´en alla flâner droit devant lui au hasard et voila!
実におとなしいサラリーマンだった、ムッシュ・ウィリアムは
いつも几帳面でいつも献身的だった、ムッシュ・ウィリアムは
彼は道を外れたおこないもせずほんのささいな悶着も起こさずに40代にさしかかったが、
ある8月の夕べ、あまりに穏やかでいい天気だったので
ムッシュ・ウィリアムは散歩の足をどんどん前に進めて行った、すると!

Monsieur William vous manquez de tenue, qu´alliez-vous faire dans la treizième avenue
Il rencontra une fille bien jeunette Monsieur William
Il lui paya un bouquet de violettes Monsieur William
Il l´entraîna à l´hôtel de la pègre mais un nègre a voulu prendre la femme 注1
Monsieur William.hors de lui, lui a donné des coups de parapluie 注2
Oui mais le nègre dans le noir lui a coupé le cou en deux coups de rasoir
Eh! William vous manquez de tenue mon vieux! qu´alliez-vous faire dans la treizième avenue
ムッシュ・ウィリアム、あんたは行儀が悪いよ、13番目の通りであんたは何をしようとしたんだい
彼はひとりの若々しい娘に出会った、ムッシュ・ウィリアムは
彼は彼女にスミレの花束を買ってあげた、ムッシュ・ウィリアムは
彼は彼女を連れ込みホテルに連れて行った、ところがひとりの黒人が女を奪おうとした
ムッシュ・ウィリアムはかっとなって、彼を傘で一突き食らわせた
そうさ、だがその黒人は闇に紛れて彼の首に切りつけた、剃刀で2回
ああ!ウィリアム、行儀が悪いよあんたは!13番目の通りであんたは何をしようとしたんだい

Il a senti que c´est irrémédiable Monsieur William
Il entendit déjà crier le diable Monsieur William
Aux alentours il n´y avait personne qu´un trombone
Chantant la peine des âmes un aveugle en gémissant
Sans le savoir a marché dans le sang puis dans la nuit a disparu
C´était p´t´être le destin qui marchait dans les rues
Monsieur William vous manquez de tenue! Vous êtes mort dans la treizième avenue.
彼はもうおしまいだと感じた、ムッシュ・ウィリアムは
彼はすでに悪魔が叫ぶのを聞いた、ムッシュ・ウィリアムは
あたりには、魂の苦しみを歌うトロンボーン吹きのほかには誰もいなかった
そんなことも知らずに盲人が呻きながら血の海を歩きそして宵闇を歩き姿を消した
道を歩いていたのはたぶん運命の神だったのだろう
ムッシュ・ウィリアム、あんたは行儀が悪いよ!13番目の通りであんたは死んじまった。

[注] Williamは英語圏の名前だが、ここはパリかロンドンか、あるいは架空の街か…。
1 l´hôtel de la pègreのpègreは「盗賊団、泥棒仲間」が本義である。推測で「連れ込みホテル」とした。
2 hors de soi「我を忘れて」。第1節にil faisait si beau il faisait si doux「あまりに穏やかでいい天気だった」とあるのに、parapluie「傘」を持っていたのはなぜ?たとえばパリでは天気予報は当てにならず、にわか雨が多いという。あるいは雨上がりなのかもしれないが。
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クロード・フランソワClaude Françoisの伝記映画「最後のマイウェイCloclo(My Way)」に出てきた曲「わかっているJe sais」は、失恋してくどくど言っているだけの内容だと思ってお蔵入りにしていましたが、あらためてそれを聴いてみて、音楽的には悪くないなと思い直し、引っ張り出すことにしました。1964年。作曲:クロード・フランソワとジェラール・ギュスタンGérard Gustin、作詞:クロード・フランソワとヴリーヌ・ビュジィVline Buggy。
Je sais わかっている
Claude François クロード・フランソワ
Je sais que cette fois, c´est la fin
Je sais que l´on n´y peut plus rien
Je sais, mais je ne peux pas croire
Je sais qu´il n´y a plus d´espoir
わかっている 今回、これでおしまいだと
わかっている もう何もできないと
わかっている、だが信じることができない
わかっている もう望みはないと
J´ai peur, si peur seul dans la vie
J´ai froid, si froid tout seul, la nuit
Je pleure de haine au petit jour
Je te hais en gémissant d´amour
怖い、とても怖い ひとりで生きて
寒い、とても寒い たった一人、夜に
泣きたい 夜明けが憎くて
愛に苦しみつつ君を憎む

{Refrain:}
Oh, j´ai si mal, si mal
De penser qu´un autre déjà
Te serre dans ses bras
Oh, j´ai si mal, si mal
Et pourtant
Depuis bien longtemps
Je sais, je sais
おお、とても辛い、とても辛い
ほかの男がもう
君を腕に抱いていると思うと
おお、とても辛い、とても辛い
だが
ずっと前から
わかっている、わかっている
Je sais que je n´ai jamais su
Je sais que je n´aurais pas dû
Je sais que souvent, j´ai eu tort
Je sais que notre amour est mort
わかっている 僕はわかっちゃいなかったと
わかっている 僕はそうすべきじゃなかったと
わかっている 僕が悪かったこともしばしばだったと
わかっている 僕たちの恋は終わったんだと
{au Refrain}
Je sais que l´on n´y peut plus rien
Je sais que cette fois, c´est la fin
Je sais, je devrais t´oublier
Je ne devrais pas pleurer
Je ne devrais pas crier
わかっている もう何もできないと
わかっている 今回、これでおしまいだと
わかっている、君を忘れなきゃならない
泣くべきじゃない
叫ぶべきじゃない

Mais je t´aime, je t´aime
Je t´aime, je t´aime
Je t´aime, je t´aime
Je t´´aime
だが、君を愛してる、愛してる
愛してる、愛してる
愛してる、愛してる
愛してる
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今回はザーズZazの「雨La pluie」です。2009年のAcademというアルバムに収録されています。作曲:ヴィヴィアン・ルーストVivian Roost。作詞:ザーズZAZとケル=エディンヌ・ソルターニKer-Eddine Soltani。
歌詞に「12月の日曜日」とあるので今日出しました。東京ではちょっぴり降ってることだし

La pluie 雨
Zaz ザーズ
Le ciel est gris la pluie s'invite comme par surprise 注1
elle est chez nous et comme un rite qui nous enlise 注2
les parapluies s'ouvrent en cadence 注3
comme une danse,
les gouttes tombent en abondance
sur douce France.
空が灰色になり 雨が不意に降り出す
雨はこの国に鎮座し 私たちを立ち往生させる儀式のよう
雨傘たちが調子を合わせて開く
ダンスのように、
雨粒がふんだんに降ってくる
平和なフランスのうえに。

Tombe tombe tombe la pluie 注4
en ce jour de dimanche de décembre
à l'ombre des parapluies
les passants se pressent pressent sans attendre 注5
降る 降る 雨が降る
12月の日曜日のこの日に
雨傘に隠れ
通行人たちは急ぐ 急ぐ さっさと
On l'aime parfois elle hausse la voix elle nous bouscule 注6
elle ne donne plus de ses nouvelles en canicule 注7
puis elle revient comme un besoin par affection 注8
et elle nous chante sa grande chanson
l'inondation 注9
私たちは時には雨を愛し 雨は声音を強め 雨は私たちをど突く
雨は真夏には便りをぷっつりよこさなくなる
そしてまるで愛情ゆえの欲求のように戻って来て
私たちに大仰な歌を歌う
洪水の歌を
Tombe tombe tombe la pluie
en ce jour de dimanche de décembre,
à l'ombre des parapluies
les passants se pressent pressent sans attendre
降る 降る 雨が降る
12月の日曜日のこの日に
雨傘に隠れ
通行人たちは急ぐ 急ぐ さっさと

Tombe tombe tombe la pluie
en ce jour de dimanche de décembre,
à l'ombre des parapluies
les passants se pressent pressent sans attendre
降る降る雨が降る
12月の日曜日のこの日に
雨傘に隠れ
通行人たちは急ぐ 急ぐ さっさと
et tombe et tombe et tombe, tombe
et tombe et tombe et tombe...
降って 降って 降って、降る
降って 降って 降って…
[注]
1 par surprise「不意に、意表をついて」
2 elleは雨のこと。chez nousは「国」のこと。
3 en cadence「規則正しいリズムで、調子を合わせて」。フランスでは天気が変わりやすく降ってもすぐ止むからか傘をあまり持たないという。
4 「雪が降るTombe la neige」と同様、倒置されている。
5 sans attendre「直ちに」
6 hausser la voix「声を強める」。bouscule「突き飛ばす、激しくぶつかる」 のほか「せきたてる、叱りつける」の意味もあり、嵐のさいの「雨」の振る舞いを、怖い母親のように擬人化して表現している。
7 nouvelleは複数で「消息、便り」。caniculeはシリウスの別名から「酷暑、真夏、土用」の意味。フランスの夏は湿度が低く雨が少ない。
8 affection「愛情」は、仏和大辞典によると、人・生き物に対象が限られ、 affection,tendresse<amour<passionという図式となる。英語では、穏やかな献身的な愛情を意味する。私たちに対する母性愛的な愛情を言うようだ。
9 1910年1月に大雨でセーヌ川が氾濫し、パリは湖と化した。100年に一度の雷雨でセーヌ川の大洪水が起こるといわれ、それからもう100年経つ。

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コラ・ヴォケールCora Vaucaireの「フレデFrédé」という曲は、ミッシェル・デルペッシュMichel Delpechの「ロレットの店でChez Laurette」とちょっと似た内容の歌詞で、昔よく通っていたカフェとそのオーナーの思い出を綴っています。

そのカフェとは、モンマルトルの有名なシャンソン喫茶「ラパン・アジールAu Lapin agile」 で、オーナーとは、フレデリック・ジェラールFrédéric Gérard。 その店の建物は1795年に建てられ、開業したのは1860年で、最初Au rendez-vous des voleurs(泥棒たちのたまり場)という名前でしたが、1869年ごろからはCabaret des Assassins(殺し屋たちのキャバレー)と呼ばれました。オーナーの息子が盗賊に殺されたためとか。その後1875年に、画家のアンドレ・ジルAndre Gillがフライパンの上で跳ねるウサギの絵を看板として描き、「ラパン・アジールAu Lapin agile」という現在の名前になりました。これは「ジルのウサギ Le Lapin à Gill」をもじっているのです。店のオーナーは何度か代わり、1903年からフレデリック・ジェラールFrédéric GérardすなわちフレデFrédéが引き継ぎました。彼はもとは青果商で、ロビンソン・クルーソーのように何匹もの動物を引き連れてやってきました。ロバ、イヌ、、サル、カラスそして白ネズミです。そして彼は、店に来る貧乏な芸術家たちに、歌や絵や詩と引き換えに食べ物や飲み物を振舞ったそうです。また、彼自身、チェロやギターの弾き語りで歌いました。
前奏は「モンマルトルの丘La Complainte de la butte」そのものです。1946年、作詞:ミッシェル・ヴォケールMichel Vaucaire、作曲:Daniel White。「枯葉Les feuilles mortes」と同じアルバムLa dame blanche de Saint-Germain-des-Préに収録されています。
Frédé フレデ
Cora Vaucaire コラ・ヴォケール
Une rue qui monte et zigzague
Un petit café tout là-haut,
Juste à côté du terrain vague 注1
Où fut assassiné Nono...
Ça faisait louche à la nuit noire
Ce bistrot au fond du jardin!
On s´en fichait, on venait boire,
Et le patron chantait si bien...
ジグザグの登り道
てっぺんのあそこにある小さなカフェ、
空き地のちょうど隣
そこでノノ…が殺されたんだ
夜の闇のなかでいかがわしげに見えた
庭の奥のこのビストロは!
みんなは気にしなかった、みんなは飲みにやって来た、
そしてマスターはとても上手に歌った…

{Refrain:}
Frédé, joue-moi sur ta guitare
La belle chanson que tu sais
Mais oui, Frédé, la belle histoire
Où l´on n´oublie pas le passé...
Frédé, joue-moi sur ta guitare
L´histoire où l´on s´aime toujours
Ce soir, je me sens le cœur lourd :
J´ai besoin de chanson d´amour!
フレデ、私のためにあなたのギターで弾いてよ
あんたが知ってる美しい歌を
そうよ、フレデ、
過去を忘れないための美しい物語を…
フレデ、私のためにあなたのギターで弾いてよ
私たちがずっと愛し合うための物語を
今夜は、気持ちが沈んでるの:
私には愛の歌が必要なのよ!

On venait là, toujours les mêmes,
Une bande assez mélangée
Y avait des rapins, des bohèmes,
Des filles et des gars du quartier
On chantait la nuit tout entière
Et l´on buvait pas mal aussi;
La vie nous semblait moins amère;
Et Frédé nous faisait crédit... 注2
みんなはそこにやって来た、いつも同じだった、
けっこうごちゃまぜの集団
へぼ絵かきたち、ボヘミアンたち、
その界隈の娘たちや若者たち
みんなは夜通し歌っていた
そしてまたみんなは大いに飲みもした;
人生はさほど辛くないように私たちには思えた;
そしてフレデは、私たちの勘定をツケにしてくれた…
{Refrain}
C´est loin, mais je revois, si blanche,
Ta barbe à travers la fumée
Et ton visage qui se penche,
On dirait que tu vas chanter...
Une douce émotion m´oppresse,
Mais je suis en train de rêver...
Tous mes souvenirs de jeunesse
Sont mêlés à ton nom, Frédé...
それは遠い昔、でも私にはまた見える、真っ白な、
あなたの顎ヒゲが煙の向こうに
そして傾いだあなたの顔が、
まるであなたは歌い出しそう…
熱い思いが私の胸を締め付ける、
でも私は夢を見ているんだわ…
私の青春の思い出は
あなたの名前と交じり合っている、フレデ…

Frédé, où donc est ta guitare?
Et la chanson que j´aimais tant
Lorsque j´avais des idées noires,
Et ça m´arrivait bien souvent...
Frédé, l´existence est bizarre
Beaucoup de ceux que j´ai aimés
Sont loin déjà, dans le passé...
Où sont donc mes vingt ans, Frédé?
フレデ、あなたのギターはどこなの?
私が大好きだった歌は?
私が暗い気持ちを抱いたとき、
しばしばそれが浮かんできた…
フレデ、存在って不思議なものね
私が愛した多くの人たちは
もう遠くに行ってしまった、過去のなかに…
私の二十歳の青春はいったいどこに、フレデ?
[注]
1 terrain vague「空き地」
2 faire crédit「勘定を付けにする」
Comment:1

当日券あります。いつもより15分早い開場・開演なのでお間違えなく。今回はピアノおよびギターの弾き語りもあり、新しい顔ぶれも加わり、もちろんスブリームさんも歌ってくれますし、なかなか面白くなりそうですよ。曲目をご紹介しましょう。クリックすると、その曲のページが開きます(一部は宇藤カザンのブログ)。
*シャルル・トレネCharles Trenet
Ménilmontant メニルモンタン
Route nationale7 国道7号線
Douce France 優しきフランス
La mer ラ・メール
Quartier Latin カルティエ・ラタン
Boum ! ブン!
Que reste-t-il de nos amours ? 恋の名残は?(残されし恋には)
L’âme des poètes 詩人の魂
Le piano de la plage 浜辺のピアノ
Chanson d'automne秋の歌
Y a d’la joie 喜びあり
*リュシエンヌ・ドリールLucienne Delyle
Nuages 雲
Emportez mon amour 恋は切なく
Mon amant de St-Jean サン=ジャンの私の恋人
Charmaine シャルメーヌ
Je suis seule ce soir 今宵ただひとり
J’attendrai 待ちましょう
Quel temps fait-il à Paris パリのお天気は?
Mon cœur est un violon 私の心はヴァイオリン
*コラ・ヴォケールCora Vaucaire
Le temps des cerises 桜んぼの実る頃
Cet amour この愛
La complainte de la butte モンマルトルの丘
Trois petites notes de musique 三つの小さな音符
Comment:1

今回はリュシエンヌ・ドリールLucienne Delyleの曲を。「とてもいいわ」という邦題は、あまりにも漠然としていて、かえって興味をひかれました。原題のJe me sens si bienは「私はとても気持ちがいい、気分がいいと感じる」という意味で、それを簡単に言って「とてもいいわ」となる訳です。恋人がどんな様子でもお構いなく、常に「とてもいいわ」と感じる。そうした受け身な態度が逆に最後には相手を支配することになるというと、なんだか教訓めいた内容に思えますが、ただただナイーヴな気持ちのままそう感じ続けると、相手もそれに答えてくれるというしあわせなストーリー。彼女の夫であるモナコのトランぺッター、エメ・バレッリAimé Barelliとそのオーケストラの伴奏がステキな、ジャズ・バラード風の優しいメロディーの曲です。1956年、作詞:フェルナン・ボニファイFernand Bonifay、作曲:ギ・マジャンタGuy Magenta。
Je me sens si bien とてもいいわ
Lucienne Delyle リュシエンヌ・ドリール
Ça n'a l'air de rien 注1
Mais dès le matin
Quand tu prends ma main
Je me sens si bien
À peine réveillé
Encore mal peigné
Tu viens m'embrasser
Je me sens si bien
それはなんでもないことだけど
朝になって
あなたがわたしの手をとると
わたしはとてもいい気分なの
まだちゃんと目も覚めずに
髪も梳かさずに
あなたはわたしにキスしに来る
わたしはとてもいい気分よ
Tes p'tits mots d'amour
Pour me dire bonjour
Font que, tout le jour,
Je me sens si bien
Ton sourire malicieux
Au fond de tes yeux
Pour moi, c'est bien mieux
Qu'un ciel tout bleu
わたしへの朝の挨拶のための
あなたのちょっとした愛の言葉は
一日中、わたしを
いい気分でいさせてくれる
あなたの瞳の奥の
いたずらっぽい微笑みは
わたしにとって、ずっと素晴らしいのよ
真っ青な空より

Et si je ne dis rien
Quand, près d' moi, tu viens
Je n'en pense pas moins 注2
Je me sens si bien
Même quand tout à coup
Tu prends l'air jaloux
Et que tu casses tout
Je me sens si bien
だからわたしのそばに、あなたが来てくれたときには
わたしがなにも言わなくても
ちゃんと思っているのよ
とてもいい気分だと
あなたが急に
嫉妬深いようすをして
すべてぶち壊しても
わたしはとてもいい気分よ
Sans en avoir l'air 注3
Dans ta crise de nerfs
Je t' trouve du tonnerre
Et j' n'y peux rien
Tu as tout cassé
J' devrais être fâché
Mais je dois t' l'avouer
Je me sens si bien
そんな様子じゃなかったのに
神経が興奮して
あなたが爆発するのを見て
わたしはなにもできず
あなたはすべてぶち壊してしまった
わたしは怒ってもよかったのでしょう
けれどわたしはあなたに告白しなきゃ
わたしはとてもいい気分なの
Que même si j'ai raison
Je te demande pardon
Mais après tout ça
Je fais la loi 注4
Et je sais tellement 注5
Ce qui t' plaît vraiment
Qu'à ton tour enfin
Tu t' sens si bien
たとえわたしのほうが正しくったって
わたしはあなたに謝るわ
でも最後には
わたしの望むとおりになるの
わたしにはあなたの気に入ることが
とてもわかっているから
最後にはあなたのほうも
いい気分になるわ

Et voilà comment on est si bien !
ほらこんなわけでわたしたちはいい気分でいるのよ!
[注]
1 n’avoir l'air de rien「なんでもない様子をしている、たいしたものには見えない」
2 n'en…pas moins「それでもなお…だ」
3 sans en avoir l'air「そうは見えないが、見かけとは違って」
4 faire la loi「…を支配する、従わせる、わが物顔にふるまう」
5 tellementは2行後のqueにつながり、「とても…なので…」。
Comment:3

セルジュ・ラマSerge Lamaの「ピアノを弾く少年L'enfant au piano」(作詞:セルジュ・ラマ、作曲:イヴ・ジルヴェールYves Gilbert)という美しい曲は、1977年の同名のアルバムに収録されています。
作曲したイヴ・ジルヴェールYves Gilbertが弾くピアノの上に座って歌っている動画(←クリックして開いてください。)
L'enfant au piano ピアノを弾く少年
Serge Lama セルジュ・ラマ
Les yeux levés au ciel
Vers le Père éternel 注1
L’enfant au cœur bien gros
Joue du piano
瞳は空を見上げ
永遠なる父に向かい
大きな心を抱いた少年は
ピアノを弾く

Sa maman est partie 注2
Dormir au paradis
Les yeux perdus au ciel
Il joue pour elle
彼の母は逝った
天国で眠るため
瞳を宙に迷わせ
少年は彼女のために弾く
Les anges dans le ciel
Font frissonner leurs ailes
Pour mieux accompagner
Sa mélodie
空の天使たちは
翼を震わせる
彼のメロディーに
もっと寄り添おうと
Sa maman était belle
Quand il jouait pour elle
Et il jouera pour elle
Toute sa vie
彼の母は美しかった
少年が彼女のためにピアノを弾いていた頃
そして少年は彼女のために弾き続けるだろう
一生のあいだ

Les yeux levés au ciel
Vers le Père éternel
L’enfant au cœur bien gros
Joue du piano
瞳は空を見上げ
永遠なる父に向かい
大きな心を抱いた少年は
ピアノを弾く
[注]
1 Père éternel「永遠の父=父なる神」。定冠詞は付けなくてもいい。
2 partir+inf.「…しに出かける」
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今回は「神様はハバナタバコが大好きDieu fumeur de havanes」。カトリーヌ・ドヌーヴCatherine Deneuveが主演し、セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgが音楽を担当し出演もした映画:Je vous aime(1980年。クロード・ベッリClaude Berri監督)で、二人が歌っています。原題は正確には「神様はハバナタバコの喫煙者」という意味。
Nouvelle Star 2015のオーディションでこの曲をギターの弾き語りで歌ったClemという若い女性
Dieu fumeur de havanes 神様はハバナタバコが大好き
Serge Gainsbourg & Catherine Deneuve
セルジュ・ゲンズブール&カトリーヌ・ドヌーヴ
Dieu est un fumeur de havanes
Je vois ses nuages gris
Je sais qu'il fume même la nuit
Comme moi ma chérie
神はハバナタバコを吸う
彼がつくる灰色の雲が見える
彼は夜でも吸うんだよ
僕のようにね いとしい人
Tu n'es qu'un fumeur de gitanes 注1
Je vois tes volutes bleues
Me faire parfois venir les larmes aux yeux
Tu es mon maître après Dieu
あなたはジタンを吸うだけの人
あなたがつくる青い渦巻きが
ときどき私の目に涙を流させる
あなたは神様の次に偉い私のご主人さま

Dieu est un fumeur de havanes
C'est lui-même qui m'a dit
Que la fumée envoie au paradis
Je le sais ma chérie
神はハバナタバコを吸う
煙は天国に連れてってくれると
言ったのは彼自身さ
僕はそれを知ってるよ いとしい人
Tu n'es qu'un fumeur de gitanes
Sans elles tu es malheureux 注2
Au clair de ma lune, ouvre les yeux
Pour l'amour de Dieu
あなたはジタンを吸うだけの人
ジプシー女たちがいなきゃあなたは不幸せ
私の月明かりで、目を開けてよ
神様の愛のために
Dieu est un fumeur de havanes
Tout près de toi, loin de lui
J'aimerais te garder toute ma vie
Comprends-moi ma chérie
神はハバナタバコを吸う
君のすぐそばで、神からは遠いところで
君を一生守りたい
分かっておくれよ いとしい人

Tu n'es qu'un fumeur de gitanes
Et la dernière je veux
La voir briller au fond de mes yeux
Aime-moi nom de Dieu 注3
あなたはジタンを吸うだけの人
そして私は最後の1本が
燃えるのを見たいわ私の目の奥で
私を愛してよ 後生だから

Dieu est un fumeur de havanes
Tout près de toi, loin de lui
J'aimerais te garder toute ma vie
Comprends-moi ma chérie
神はハバナタバコを吸う
君のすぐそばで、神からは遠いところで
君を一生守りたい
分かっておくれよ いとしい人
Tu n'es qu'un fumeur de gitanes
Et la dernière je veux
La voir briller au fond de mes yeux
Aime-moi nom de Dieu
あなたはジタンを吸うだけの人
そして私は最後の1本が
燃えるのを見たいわ私の目の奥で
私を愛してよ 後生だから
[注]
1 gitaneフランスの紙巻タバコの銘柄「ジタン」(正しくは「ジタンヌ」)。シルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartan「恋はジタンのかおりL'amour c'est comme une cigarette」の記事参照のこと。
2 gitaneの原義である「ジプシー女」という意味も含めて、たばこをellesという代名詞で呼んでいる。
3 nom de Dieu罵りの言葉「畜生、ええくそっ」だが、ちょっと抑えた訳語にした。
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マルク・ラヴォワーヌMarc Lavoineは1962年生まれの俳優・歌手。以前、「ミラボー橋Le pont Mirabeau」で彼の動画をご紹介しています。今回は、1987年にシングル盤でリリースされてヒットし、同年、アルバムFabriquéに収録された「たとえ Même si」という曲を取り上げます。ちょっと逆説的な愛の告白といった内容です。
Même si たとえ
Marc Lavoine マルク・ラヴォワーヌ
Même si j´ai envie de toi
Même si tu sens mon cœur qui bat
Si je veux du bout des doigts 注1
Coucher avec toi
Même si je suis sincère
Même si tu peux lire dans mes yeux clairs
Que je fais tout pour te plaire
Ne te laisse pas faire 注2
Même si je suis saoul 注3
Même si j´écris des poèmes
Comme un enfant blême
たとえ僕が君を欲しても
たとえ君が高鳴る僕の心を感じても
僕がそっと
君と関係しようとしても
たとえ僕が本気だとしても
たとえ君が僕の澄んだ目に
君に気に入られるためなら僕が何だってすると読み取れたとしても
そうさせないで
たとえ僕が酔っていても
たとえ僕が青ざめた子どものように
詩を書くとしても

{Refrain:}
N´ouvre pas, sauve-toi, oublie-moi,
Couvre-toi, pense à toi, laisse-moi
Si on s´attache à nous, on va se faire mal 注4
Si on se cache de tous, on va vivre mal
Ça me fait rêver, ça me fait pleurer
Faut pas rêver, faut pas pleurer oh oh
心を開かないで、逃げて、僕を忘れて、
身を守って、自分のことを考えて、僕をほうっておいて
自分たちの世界に没頭したら、僕たちは痛い目にあう
まわりのすべてから身を隠したなら、僕たちは生きづらくなる
それは僕に夢を見させ、僕を泣かせる
夢を見ちゃだめなんだ、泣いちゃだめなんだ、オオ
Même si tu es sûre de moi
Même si tu me veux
Si tu me crois quand je dis n´importe quoi 注5
Dormir avec toi
Même si je suis fou
Même si je sais que je t´aime
Comme un enfant blême
たとえ君が僕のことを確信しても
たとえ君が僕に望んでも
僕が何か言ったときに君が僕を信じたとして
僕が君と寝ることを
たとえ僕が狂っていても
たとえ僕が血色の悪い子どものように
君が好きだということを自分で分かっていても

{au Refrain, 2x}
Ça me fait rêver, ça me fait pleurer
Faut pas rêver, faut pas pleurer oh oh
それは僕に夢を見させ、僕を泣かせる
夢を見ちゃだめなんだ、泣いちゃだめなんだ、オオ
[注]
1 du bout des doigts「そっと、丁寧に」
2 se laisser faire「(抵抗せずに)させておく」
3 saoul=soûl「酔った」
4 se faire mal「けがをする」
5 この行は挿入で、前行のmême si tu me veuxが次行のdormirにつながると思われる。会話調なのでこうした語順もあるかと。
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今回は、ダニエル・ダリューDanielle Darrieuxが出演した1951年の映画「ボナデュー館La Maison Bonnadieu」(日本未公開)の主題曲としてジョルジュ・ヴァン・パリスGeorges Van Parysが作詞・作曲し、ムルージMouloudjiが映画のなかで歌った「不実女の哀歌La complainte des infidèles」。カトリーヌ・ソヴァージュCatherine Sauvageも歌っています。
映画のあらすじを調べてみたところ、さまざまな記述があり、理解に苦しみましたが…。
「ボナデューの館の夫人は19歳の若い男と浮気を重ね、気の弱い夫はその男の社会的地位のため黙認する。そして、妻を愛するがゆえ、自分にも愛人がいるふりをして嫉妬させようとする。そうした状況を、老夫人(夫か妻の母親)が若者と館のメイドとを結婚させることでうまく収めた」といったことのようです。
不実な女たちに、「あなたがたは復讐されて、男たちに与えてきた苦しみを今度は自分が味わうことになるよ」と、いわば因果応報を説く歌詞内容。一般には「不実女の嘆き」という邦題で呼ばれていますが、complainteの原義に即し「不実女の哀歌」とします。
ムルージ
カトリーヌ・ソヴァージュ
La complainte des infidèles 不実女の哀歌
Mouloudji ムルージ
Bonnes gens
Ecoutez la triste ritournelle
Des amants errants en proie à leurs tourments 注1
Parce qu’ils ont aimé des femmes infidèles
Qui les ont trompés ignominieusement
善良な方々よ
お聴きなさい
苦悩にとらわれた迷える情夫たちの悲しいフレーズを
なぜなら彼らは不実な女たちを愛し
彼女たちは彼らを卑劣にも裏切ったのだから
Méfiez-vous, femmes cruelles 注2
Qu’on vous en fasse tout autant 注3
La douleur n’est pas éternelle
Même chez le meilleur des amants 注4
Vaincues par vos propres armes
Vous connaîtrez à votre tour
Et le désespoir et les larmes
De la jalousie et de l’amour
用心なさい、薄情な女たちよ
あなたがたはまったく同じことをされるよ
最良の情夫のもとでも
苦しみは永久に
あなた方自身の力で克服されたわけじゃない
あなた方は自分の番が来て知ることになる
嫉妬のそして愛の
絶望と涙を

{Refrain:}
Cœur pour cœur, dent pour dent 注5
Telle est la loi des amants
Cœur pour cœur, dent pour dent
Telle est la loi des amants.
心には心を、歯には歯を
恋人たちの法則はこういうこと
心には心を、歯には歯を
恋人たちの法則はこういうことさ。
Bonnes gens
c’est le refrain des filles cruelles
Sans foi, ni serment, trompées par leurs amants
Parce qu’ils ont aimé des femmes infidèles 注6
Ils se sont vengés victorieusement 注7
善良なる方々よ
これは薄情な娘たちの常套句
契りもなく、誓いもなく、情人たちにだまされたというのは
彼らは不実な女たちを愛したがゆえ
見事に復讐したのだ
Ah! Souffrez mes tourterelles 注8
Vous voilà en peine d’amants 注9
Des inquiétudes mortelles
C’est vous qui connaîtrez le tourment
Répandez vos jolies larmes
Oui, pleurez, c’est bien votre tour
Vous avez dû rendre vos armes
Et l’amour est mort, vive l’amour!
ああ!わがキジバトたちよ苦しむがいい
あなた方はいま、情夫たちを案じている!
死ぬほどの不安だ
苦悩を思い知らされるのはあなた方だ
美しい涙を流しなさい
そうさ、泣きなさい、あなたの番が来たんだ
武器を棄てて降参すべきだったのに
そして恋は死んだ、恋よ万歳!

{au Refrain}
[注]
1 en proie à「…に襲われる、…のとりこになる」
2 se méfier que+sub.「…しないか気を付ける、…することを用心する」。
3 en…tout autant「まったく同様に…する」。
4 この行は挿入部分で、次行のvaincuesが前行のn’est pas éternelleにつながる。
5 …pour…「…には…を」。同じ語を繰り返して対抗の意味を表す。œil pour œil , dent pour dent「目には目を、歯には歯を」の言い換え。
6 parce queは主節のあとに添えるのが定石だが、強調のため先行させている。
7 vengerは「(…の)仇を討つ、恨みをはらす」という意味だが、se venger も受動・相互等の意味はなく、「復讐する、仕返しする」 である。 victorieusement「成功裏に、勝利を収めて」は、結果を表現するので意訳した。
8 tourterelle「小型のハト、キジバト」。女性名詞で、femme infidèle「不実な女たち」を指す。
9 être en peine de …「…を心配する」
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今回はミッシェル・デルペッシュMichel Delpechの「君のためならPour un flirt avec toi」(1971年)です。flirtは英語由来の言葉で、遊び程度に異性と付き合うこと、いわゆる「ナンパ」のことですが、ちょっと無難な邦題にしました。「青春に乾杯」というもっと無難な(?)邦題がすでにあるようですが…。
Pour un flirt avec toi 君のためなら
Michel Delpech ミッシェル・デルペッシュ
Pour un flirt avec toi 注1
Je ferais n'importe quoi
Pour un flirt avec toi
Je serais prêt à tout
Pour un simple rendez-vous
Pour un flirt avec toi
君と付き合うためなら
僕はなんだってする
君と付き合うためなら
準備万端だ
ただ1度のデートのためなら
君と付き合うためなら

Pour un petit tour, un petit jour 注2
Entre tes bras
Pour un petit tour, au petit jour
Entre tes draps
君の腕に抱かれて
ちょっとしたことするため、夜明けを迎えるためなら
君のシーツに包まれて
ちょっとしたことするため、夜明にね
Je pourrais tout quitter
Quitte à faire démodé
Pour un flirt avec toi
Je pourrais me damner 注3
Pour un seul baiser volé
Pour un flirt avec toi
僕はすべてをやめることができる
時代遅れなことをやめる
君と付き合うためなら
僕は地獄に落ちてもいい
たった1回キスを奪うためなら
君と付き合うためなら
Pour un petit tour, un petit jour
Entre tes bras
Pour un petit tour, au petit jour
Entre tes draps
君の腕に抱かれて
ちょっとしたことするため、夜明けを迎えるためなら
君のシーツに包まれて
ちょっとしたことするため、夜明けにね
Je ferais l'amoureux 注4
Pour te câliner un peu
Pour un flirt avec toi
Je ferais des folies
Pour arriver dans ton lit
Pour un flirt avec toi
僕は愛情たっぷりにふるまう
君をちょっと可愛がるためなら
君と付き合うためなら
僕はばかなことをする
君のベッドに入り込むためなら
君と付き合うためなら

Pour un petit tour, un petit jour
Entre tes bras
Pour un petit tour, au petit jour
Entre tes draps
君の腕に抱かれて
ちょっとしたことするため、夜明けを迎えるためなら
君のシーツに包まれて
ちょっとしたことするため、夜明けね
[注]
1 flirtは英語由来の語で「(遊び程度の)恋愛関係」。avoir un flirt (ou être en flirt)avec qn.「(異性と)付き合う、仲良くする、遊ぶ」
2 jouer(ou faire) un petit tour「ちょっといたずらする」から類推。
3 damner は「地獄に落とす」でse damnerは「地獄に落ちる」だが、se damner pour qn.「(身を滅ぼすほど)…を愛する、…に夢中になる」。ここでは対象は人ではない。
4 faire+定冠詞+名詞化した形容詞「…としてふるまう、装う」
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このブログでは、シャルル・トレネCharles Trenetの曲としては、「恋の名残は?(残されし恋には)Que reste-t-il de nos amours ?」「優しきフランスDouce France」「四月のパリEn avril à Paris」「ベジエの奥方La dame de Béziers」「喜びありY'a de la joie」「浜辺のピアノLe piano de la plage」「風うたいChante le vent」「子守唄Berceuse」「国道7号線Route nationale 7」「あなたの手をとってJ'ai ta main」「詩人の魂L'âme des poètes」「パリに帰りてRetour a paris(あるいはRevoir Paris)」「ブン!Boum!」、ジュリエット・グレコのために作った「街角Coin de rue」をすでに取り上げています。旧ブログでは「ラ・メールLa mer」「くるみUne noix」、「ピアノのなかに探さないで Ne cherchez pas dans les pianos」「僕はミュージック・ホールが好きMoi, j'aime le music-hall」「若かりし頃Mes jeunes années」「パリのロマンスLa romance de Paris」「私は歌うJe chante」も取り上げていますが、徐々にこちらに運んできます。
今回は彼の一番の代表作である「ラ・メールLa mer」を運んできましょう。実は先月28日に信州大学で開かれた「シャンソン研究会」で、この曲についての私の解釈を発表しました。その内容を反映させてこの記事を書きます。歌詞の下の[注]の欄はその論旨に基づいています。
1943年にトレネは、モンペリエMontpellier からペルピニャンPerpignanへ向かう列車に、歌手のロラン・ジェルボーRoland Gerbeau、ピアニストのレオ・ショリァクLéo Chauliacそして自分の秘書といっしょに乗っていました。トー湖l’étang de Thau と外海を隔てる細い陸地すなわち沿岸洲を通る路線を通っているとき、窓から見える風景にインスピレーションを得て「ラ・メールLa Mer」の歌詞を書きました。そして、レオ・ショリァクLéo ChauliacがドビュッシーClaude Debussyの「海La Mer」を元に曲をつけました(Wikipédia より)。 リシャール・カナヴォRichard Canavo 著「トレネ 自由の世紀Trene Le siecle en liberte」(1989年)およびトレネをテーマとするサイトにも、その日のエピソードを語るロラン・ジェルボーの言葉が紹介されています。
トレネは、こんなスィング性に乏しい曲は売れる見込みがないと思って、すぐには録音せず、シュジィ・ソリドールSuzy Solidorに歌ってみないかと持ちかけて断られ、1945年にルネ・ルバRenée Lebasが創唱しました。彼女がLa merの母la mèreとなった訳です。
1946年に、ラウル・ブルトンRaoul Bretonの勧めでトレネ自身がコーラス入りのアルベール・ラスリーAlbert Lasryの編曲で歌い、それはたいへん好評を博しました。
1946年にアメリカの作曲家ジャック・ローレンスJack LawrenceがBeyond the seaと題して英語の歌詞を作り、ボビー・ダーリンBobby Darinほかが歌いました。内容は恋の歌に変わっています。
La mer ラ・メール
Charles Trenet シャルル・トレネ
La mer
Qu' on voit danser le long des golfes clairs
A des reflets d' argent
La mer
Des reflets changeants sous la pluie
明るい湾岸に沿ってダンスしているのが見える
あの海は
銀色に輝いているよ
海は
輝きを変える
雨のもとではね
La mer
Au ciel d' été confond ses blancs moutons 注1
Avec les anges si purs
La mer
Bergère d' azur infinie 注2
海は
夏空のなかで、混同してしまう
自分の白羊たちを
とっても清らかな天使たちと
海は羊飼いの娘
限りなき碧界の

Voyez 注3
Prés des étangs ces grands roseaux mouillés
Voyez
Ces oiseaux blancs et ces maisons rouillées
ごらんよ
潟のそばの
この大きな濡れた葦たちを
ごらんよ
この白い鳥たちを
そしてこの赤錆色の家々を

La mer
Les a bercé le long des golfes clairs 注4
Et d' une chanson d' amour
La mer
A bercé mon cœur pour la vie
海は
明るい湾岸に沿って
それらをやさしく揺すりあやした
そして愛の歌で
海は
僕の心を揺すりあやしてくれたんだ一生のあいだ
(以上2回繰り返し)
[注]
1 confondre (A avec B)「(AとBとを)混同する。「空の雲」「海の波頭」ともにmouton「羊」にたとえられる。ses=de ciel d'étéととってblancs moutons「白い羊たち」を「雲」と解釈することも可能だと思い、かなり検討を重ねたが、文法上の照合性からses=de la merとしてblancs moutonsを「海の白い波頭」とする正統的な解釈を採用せるを得ないと結論した。夏空のもとでトー湖と海の間を通る車中の、まるで海の中を通っているような、海と空も混じり合うような不思議体験のなかでの感情移入であり、あえて言えば「海の波頭」が「空の雲」にまごう世界を表現しているのである。
2 azurは詩語として「碧空」「碧海」ともにあらわし、海と空を合わせた表現だととらえたく、「碧界」という造語を用いた。infinieは空間的な広がりを示している。
3 Voyez「ごらん」は、列車に同乗した3人に対する呼びかけ。トー湖は海の水が入り込む塩水湖で、カキの養殖がさかんな場所である。そこでは、植物や鳥や人々やもろもろの生命が育まれている。カンガルーのお腹あるいは子宮のようでもある。
4 生命が育まれる場所は二重構造になっており、トー湖をその内に含むgolfeは大きな湾で、コートダジュールの東、トゥーロンからジローナ辺りまでの、地中海la Méditerranéeが入り組んだところ全体を指す。トレネの生地ナルボンヌや幼少時に過ごしたペルピニャンも含まれる場所である。それまで、現在形で、「ごらん」といった感じで、臨場感のある表現をしていたのに、ここで突然、過去形の表現に変わり、幼い頃に自分を育んでくれたふるさとの海への思いを表している。最後のpour la vieはそれを時間的に延長して未来へとつなぐ表現であるが、おりしも戦争中で、フランスがドイツの占領下にあったということを思うとこの3語の響きはより重要性を増す。


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今回は「待ちましょうJ'attendrai」を取り上げます。これはもともと1933年に、イタリアでオーケストラの指揮者だったディノ・オルヴィエーリDino OliveriがプッチーニPucciniのオペラの「Madame Butterfly蝶々夫人」 にヒントを得て作ったイタリア語のTorneraiという曲。第2次大戦を目前とした時代に、恋の歌というより出征兵士の帰還を待つというメタファーとなり、戦後になっても、アメリカでも戦争関連映画で多く使われました。 ルイ・ポルトラLouis Poteratによるフランス語の翻案曲は最初、1939年にリナ・ケッティRina Kettyが歌い、同年ティノ・ロッシTino Rossiが、翌年ジャン・サブロンJean Sablonが歌い、1960年にリュシエンヌ・ドリールLucienne Delyle、1976年にはダリダDalidaも歌いました。女性でも男性でもそのまま歌えますが、歌手によって歌詞がかなり異なります。
ジャン・サブロン
リュシエンヌ・ドリール
J'attendrai 待ちましょう
Jean Sablon ジャン・サブロン
J'attendrai
Le jour et la nuit, j'attendrai toujours
Ton retour
J'attendrai
Car l'oiseau qui s'enfuit vient chercher l'oubli
Dans son nid
Le temps passe et court
En battant tristement
Dans mon cœur si lourd
Et pourtant, j'attendrai
Ton retour
待ちましょう
昼も夜も、貴方の帰りをずっと
待ちましょう
飛び去る鳥も記憶を辿り
その巣へと戻って来るのだから
ときは過ぎてゆく
悲しく鼓動しながら
重く苦しい私の胸の裡で
けれど、私は待ちましょう
貴方の帰りを
Reviens bien vite
Les jours sont froids
Et sans limite
Les nuits sans toi
Quand on se quitte
On oubli tout
Mais revenir est si doux
Si ma tristesse peut t'émouvoir
Avec ivresse
Reviens un soir
Et dans mes bras
Tout s'oublira
早く帰ってきて
日々は寒々しい
そして貴方がいない夜は
かぎりなく寒々しい
別れるときは
すべてを忘れるけれど
再会は甘美なもの
もしも私の悲しみが貴方を動かせたなら
浮いたこころのまま
いつか夜に帰ってきて
そうしたら私の腕のなかで
すべてが忘れ去られるから

J'attendrai
Le jour et la nuit, j'attendrai toujours
Ton retour
J'attendrai
Car l'oiseau qui s'enfuit vient chercher l'oubli
Dans son nid
Le temps passe et court
En battant tristement
Dans mon cœur si lourd
Et pourtant, j'attendrai
Ton retour
待ちましょう
昼も夜も、待ちましょうずっと
貴方の帰りを
待ちましょう
飛び去る鳥も記憶を辿り
その巣へと戻って来るのだから
ときは過ぎてゆく
悲しく鼓動しながら
重く苦しい私の胸の裡で
けれど、私は待ちましょう
貴方の帰りを
Le vent m'apporte
Des bruits lointains
Devant ma porte
J'écoute en vain
Helas, plus rien
Plus rien ne vient
J'attendrai
Le jour et la nuit, j'attendrai toujours
Ton retour
風が私に
遠くの物音をとどける
戸口まで
耳を澄ましても
ああ、なにも
なにもやって来ない
待ちましょう
昼も夜も、ずっと待ちましょう
貴方の帰りを

Le temps passe et court
En battant tristement
Dans mon cœur si lourd
Et pourtant, j'attendrai
Ton retour
ときは過ぎてゆく
悲しく鼓動しながら
重く苦しい私の胸の裡で
けれど、私は待ちましょう
貴方の帰りを
[注] ジャン・サブロンの歌詞を採用し、歌っていないところは文字の色を変えて表示した。
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今回は前回と同じタイトルながらずっと新しい曲、ザジZazieの「あなたを愛していないJe ne t'aime pas」です。ヴァンサン・バギアンVincent Baguianとデュオで歌っています。2003年に発売 されたライブ・アルバムZe Live !!に収録されています。DVDも同時発売。このアルバムはフランスとベルギーで12万枚の売上を記録しました。
Je ne t'aime pas あなたを愛していない
Zazie & Vincent Baguian ザジ&ヴァンサン・バギアン
J'étais à l'hôtel Beau Rivage
Un nid douillet face à la plage
J'aurais pu croire au paradis
Tout seul au fond de ce grand lit
私はボー・リヴァージュ・ホテルにいた
浜辺に面した居心地のいい巣
ひとりっきりでこの大きなベッドにいたら
天国にいる気分になれたことだろう
Mais voilà j'ai ouvert les yeux
Et par malheur on était deux
Je rêvais de vivre sans toi
Mais tu étais nu sous mes draps
でも私が目を開けたら
不幸なことに私たちは二人づれ
私はあなたなしで生きることを夢見ていた
だがあなたは私のシーツの下で裸だった
Je ne t'aime pas
C'est plus fort que moi
J'aimerais crier que je t'aime
Je crois bien que j'ai un problème
あなたを愛していない
その気持ちはどうしようもない
あなたを愛していると叫びたいところだ
私にはきっと問題があるんだ

Je ne t'aime pas
C'est plus fort que moi
Les larmes qui coulent sur tes joues
C'est pas facile à dire mais ...
Je m'en fous
Avec horreur dans ton sourire
J'ai lu l'amour et le désir
Alors refermons les paupières
J'ai aussi éteint la lumière
あなたを愛していない
その気持ちはどうしようもない
涙があなたの頬を流れる
言うのは易しくないけれど…
どうでもいい
あなたの微笑みのなかに恐れとともに
私は愛と欲望が読み取れた
そしてまぶたを閉じながら
私は灯りも消した
Je n'ai cédé à tes caresses
Que par fatigue et par paresse
Et je n'ai connu le plaisir
Qu'en t'entendant enfin dormir
私はあなたの愛撫に身を任すのは
ただ疲れと面倒くささのせいだけ
そして私が喜びを感じたのは
あなたがとうとう眠ったのが聞こえたからにすぎない
Je ne t'aime pas
C'est plus fort que moi
J'aimerais crier que je t'aime
Je crois bien que j'ai un problème
あなたを愛していない
その気持ちはどうしようもない
あなたを愛していると叫びたいところだ
私にはきっと問題があるんだ
Je ne t'aime pas
C'est plus fort que moi
Les larmes qui coulent sur tes joues
C'est pas facile à dire mais ...
Je m'en fous
あなたを愛していない
その気持ちはどうしようもない
涙があなたの頬を流れる
言うのは易しくないけれど…
どうでもいい
Tant pis si c'est un peu cruel
Tant de chansons sont consensuelles 注1
On ne peut pas passer son temps
À n'avoir que de bons sentiments
Je ne t'aime pas
しかたない、もしそれがちょっと厄介でも
多くの歌が妥協的
ひとは自分の時間を
いい感情しか持たずに過ごすことはできない
あなたを愛していない
Je ne t'aime pas
あなたを愛していない
C'est plus fort que moi
その気持ちはどうしようもない
C'est plus fort que moi
その気持ちはどうしようもない

J'aimerais crier que je t'aime
Je crois bien que j'ai un problème
あなたを愛していると叫びたいところだ
わたしにはきっと問題があるんだ
Je ne t'aime pas
あなたを愛していない
Je ne t'aime pas
あなたを愛していない
C'est plus fort que moi
その気持ちはどうしようもない
Plus fort que moi
その気持ちはどうしようもない
Les larmes qui coulent sur tes joues
C'est pas facile à dire mais...
C'est pas facile à dire mais...
C'est pas facile à dire
涙があなたの頬を流れる
言うのは易しくないけれど…
言うのは易しくないけれど…
言うのは易しくない
[注] 男女のパートを色分けした。歌詞内容は女性側の立場のみと判断されるので女性の言葉として訳した。
1 consensuel民法の用語で「(当事者の)合意だけで成立する」だが「妥協的」と意訳した。
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