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2015
11.30

ジュリエットとロメオのようにComme Juliette et Roméo

Michel Polnareff Comme Juliette et Roméo


今回は、ミッシュル・ポルナレフMichel Polnareff「ジュリエットとロメオのようにComme Juliette et Roméo」。1971年にシングル盤でリリースされました。ロメオはロミオと書かれることが多く、通常は「ロミオとジュリエット」とされますが、原題通りの語順にしました。僕はジュリエットを愛するロミオのようでありたいという歌詞内容です。



Comme Juliette et Roméo  ジュリエットとロメオのように
Michel Polnareff      ミッシュル・ポルナレフ


Juliette , je voudrais être ton Roméo
T'enlever à ce monde insensé
Qui m'empêche de t'aimer , de t'aimer , de t'aimer
Juliette , je ne suis pas ton Roméo
Mais j'aurai pour toi le courage de ce héros
De Juliette

  ジュリエット、僕は君のロメオになりたい
  君を愛することを、君を愛することを、君を愛することを妨げる
  このひどい世界から君を救うために
  ジュリエット、僕は君のロメオじゃない
  でも僕は君のためにこの英雄の勇気を持とう
  ジュリエットの英雄の

Juliette et Roméo1


De Juliette Oh ma Juliette
Tu me fais perdre la tête
Je volerai pour toi
Et je tuerai pour toi
Ah ! pour un sourire , un baiser , un seul mot de toi

  ジュリエットの、おお、僕のジュリエット
  君は僕を狂わせる
  僕は君のために盗みをするし
  僕は君のために殺しもするだろう
  ああ!君の一度の微笑みのため、一度の口づけのため、たった一言のために

Juliette et Roméo5


Juliette , je voudrais être ton Roméo
T'enlever sur mon plus beau coursier
Juliette , Juliette , Oh ma Juliette
Fais de mes nuits
Autant de fêtes
Et si l'on te laissait sortir avec moi
Ah ! je t'emmènerais danser au son des étoiles
Oh ! ma Juliette ...

  ジュリエット、僕は君のロメオになりたい
  君を僕の一番きれいな馬で連れ去りたい
  ジュリエット、ジュリエット、おお、僕のジュリエット
  僕の毎夜を
  祝祭にしておくれ
  そして僕とともに外出することが許されるなら
  ああ!君を星の音色で踊りに連れて行こう
  おお!僕のジュリエット…



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2015
11.29

暗い日曜日Sombre dimanche

damia.jpg


きょうは日曜日なので、この曲を。「暗い日曜日Sombre dimanche」という題名どおりの暗い曲ですが、影響されないで、どうか明るい日曜日をお過ごしください。

もともとは、1933年に作られたハンガリーの曲で、ハンガリーでは、当時のナチス・ドイツによる軍事侵攻の影響もあってか、この歌を聞いて何人もの自殺者(数字は諸説あり)が出たということで「自殺ソング」とも呼ばれ、イギリスBBC放送では放送を禁止しました。本作のヒット後に、作曲者本人も喉の病気のために自殺したそうです。その後、この曲をもとにした小説が1999年にドイツ・ハンガリー共同で映画化されました。日本でも、そのDVDは出ています。

1936年にフランス語でダミアDamiaが歌って世界的に有名になり、1987年には、セルジュ・ゲンスブールSerge GainsbourgのカバーがGroomy Sundayという英語の題名で、アルバム「囚われ者You're Under Arrest」に収録されています。その英語名はジャズにアレンジされた際に用いられたもので、シャンソンの曲だと誤解している人が多いのに、こちらの名称のほうが世界的に知られています。

ダミアは、「現実派シャンソンChanson réaliste」と呼ばれる作品を多く歌った歌手で、黒いドレスに身を包み、悲劇的な歌詞を歌う美貌の彼女は「シャンソンの悲劇女優」とあだ名されました。初めて来日したシャンソン歌手です。



セルジュ・ゲンズブールのラップ調のカバー



ハンガリーの映画の元歌が歌われるシーンです。



Sombre dimanche        暗い日曜日
Damia                ダミア


Sombre dimanche
Les bras tout chargés de fleurs
Je suis entrée dans notre chambre, le cœur las
Car je savais déjà que tu ne viendrais pas
Et j'ai chanté des mots d'amour et de douleur
Je suis restée toute seule et j'ai pleuré tout bas
En écoutant hurler la plainte des frimas 注1
Sombre dimanche
        
  暗い日曜日
  両手いっぱいに花を抱え
  愛の巣に帰ってきた私、心は沈んだまま
  なぜって、あなたが来ないことがもう分かっていたから
  そして、愛の言葉、苦しみの言葉を口ずさんだ
  ひとりっきりで声を押し殺して泣いた
  氷霧を巻き込んだ風がうめくような音を立てるのを聞きながら
  暗い日曜日

Sombre dimanche1


Je mourrai un dimanche où j'aurai trop souffert
Alors tu reviendras mais je serai partie 注2
Des cierges brûleront comme un ardent espoir
Et pour toi, sans effort, mes yeux seront ouverts 注3
N'aie pas peur, mon amour, s'ils ne peuvent te voir
Ils te diront que je t'aimais plus que ma vie
Sombre dimanche

  苦しみにうちひしがれたある日曜日 私は死ぬわ
  あなたが戻って来たとき私はもういない
  ろうそくが大きな希望のように燃えているでしょう
  私の目は、おのずとあなたのほうを向いて開いているでしょう
  恐れないで、あなた、私の目はあなたを見ることができなくても
  私があなたを自分の命より大切に思っていたことを伝えるでしょうから
  暗い日曜日

N’aie pas peur de mes yeux, s’ils ne peuvent te voir
Ils te diront que je t'aimais plus que ma vie
Sombre dimanche

  私の目を恐れないで、私の目はあなたを見ることができなくても
  私があなたを自分の命より大切に思っていたことを伝えるでしょうから
  暗い日曜日

Sombre dimanche3


[注]
1 hurlerは、うなり声をあげる。plainteはうめき声。 frimasは、地面に落ちて霜となる冷たい霧。霧がうなり声をあげるというのは理解しがたいが、物悲しい風の音を立てることをあらわすplainte du ventという表現があることから、うなり声をあげるのは実際は風であろう。その時の女性の様子と重ね合わせた表現。
2 元の歌詞は、女性が暗い日曜日に、先に亡くなった恋人を想って嘆き、最後は自殺を決意するという内容。この歌詞では、恋人が戻ってくるので、違う状況となっている。
3 sans effortの本来の意味は「苦もなく、やすやすと」。ここでは、死んだ人の目のことだから、tout(s) seul(s)「ひとりでに」に近い意味だろう。



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2015
11.28

いつ帰ってくるの? Dis, quand reviendras-tu ?

Barbara Ce matin-là


バルバラBarbaraの「いつ帰ってくるの? Dis, quand reviendras-tu ? 」は、1964年に同名のアルバムに収録された曲。ムルージMouloudjiの「サンフランシスコの6枚の枯葉Six feuilles mortes de San Francisco」は、長い船旅をしている男がパリで待っている女に出すラブレターといった内容でしたが、こちらはパリで男の帰りを待ちあぐねている女の側の心情を歌っています。日本語で女性歌手に好んで歌われる曲の一つです。



いろんな歌手のカヴァーがありますが、意外なところでベナバルBénabarを選びました。



コラ・ヴォケールが歌っていたのも意外でした。



Dis, quand reviendras-tu ?  いつ帰ってくるの?
Barbara          バルバラ


Voilà combien de jours, voilà combien de nuits, 注1
Voilà combien de temps que tu es reparti,
Tu m'as dit cette fois, c'est le dernier voyage,
Pour nos cœurs déchirés, c'est le dernier naufrage,
Au printemps, tu verras, je serai de retour, 注2
Le printemps, c'est joli pour se parler d'amour,
Nous irons voir ensemble les jardins refleuris,
Et déambulerons dans les rues de Paris,

  どれだけの日が過ぎたの、どれだけの夜が過ぎたの、
  どれだけの時が過ぎたの、あなたが去ってから、
  あなたは今回言ったわね、これが最後の航海だ、
  僕たちの張り裂けそうな心にとって、これが最後の難破だと、
  春には、きっと、僕は戻っている、
  春は、恋を語り合うにはいい季節だ、
  再び花が咲いた庭園を一緒に見に行こう、
  それからパリの街を散歩しようよと、

Dis quand reviendras tu0


Dis, quand reviendras-tu,
Dis, au moins le sais-tu,
Que tout le temps qui passe,
Ne se rattrape guère,
Que tout le temps perdu,
Ne se rattrape plus,

  ねえ、いつ帰ってくるの、
  ねえ、すくなくともお分かりでしょう、
  過ぎゆく時は、
  取り戻せやしないって、
  失った時間は、
  戻っては来ないって、

Le printemps s'est enfui depuis longtemps déjà,
Craquent les feuilles mortes, brûlent les feux de bois,
A voir Paris si beau dans cette fin d'automne,
Soudain je m'alanguis, je rêve, je frissonne,
Je tangue, je chavire, et comme la rengaine,
Je vais, je viens, je vire, je tourne, je me traîne, 注4
Ton image me hante, je te parle tout bas,
Et j'ai le mal d'amour, et j'ai le mal de toi, 注5

  春はもうとっくの昔に過ぎ去り、
  枯葉がかさかさ音を立て、薪が燃えている、
  この晩秋の季節にとても美しいパリを見ていて、
  突然 私は力をうしない、夢見心地になり、震え、
  揺れ、崩れ、決まり文句で言われるように、
  行ったり来たり、あちこち向きを変えたり、足を引きずったりする、
  あなたの面影がつきまとい、私はあなたに小声で語りかける、
  そして恋に苦しみ、あなたを恋しく思う、

Dis quand reviendras tu2


Dis, quand reviendras-tu,
Dis, au moins le sais-tu,
Que tout le temps qui passe,
Ne se rattrape guère,
Que tout le temps perdu,
Ne se rattrape plus,

  ねえ、いつ帰ってくるの、
  ねえ、すくなくともお分かりでしょう、
  過ぎゆく時は、
  取り戻せやしないって、
  失った時間は、
  戻っては来ないって、

J'ai beau t'aimer encore, j'ai beau t'aimer toujours, 注6
J'ai beau n'aimer que toi, j'ai beau t'aimer d'amour,
Si tu ne comprends pas qu'il te faut revenir,
Je ferai de nous deux mes plus beaux souvenirs,
Je reprendrai la route, le monde m'émerveille,
J'irai me réchauffer à un autre soleil, 注7
Je ne suis pas de celles qui meurent de chagrin,
Je n'ai pas la vertu des femmes de marins,

  あなたをまだ愛していても無駄、いつも愛していても無駄、
  あなただけ愛していても無駄、愛情込めて愛していても無駄ね、
  あなたが戻らなくてはいけないと分からないのなら、
  私たち二人のことは私の一番きれいな想い出にするわ、
  私は別の道に、私を驚嘆させてくれる世界に向かい、
  新たな太陽でまた温まることにするわ、
  私は悲嘆して死ぬ女たちとは違うし、
  私は船乗りの妻のような貞節は持ち合わせないのよ、

Dis quand reviendras tu1


Dis, quand reviendras-tu,
Dis, au moins le sais-tu,
Que tout le temps qui passe,
Ne se rattrape guère,
Que tout le temps perdu,
Ne se rattrape plus...

  ねえ、いつ帰ってくるの、
  ねえ、すくなくともお分かりでしょう、
  過ぎゆく時は、
  取り戻せやしないって、
  失った時間は、
  戻っては来ないって…

[注]
1 voilà+期間の表現「(…してから)…経つ、…になる」ここではcombien de「どれだけの(期間)」が経つかと言っている。
2 tu verras「後で分かるよ」。「きっと」と意訳した。
4 vire と(se) tournerは「向きを変える、回転する」という同じ意味で、aller et venir「行ったり来たり」と同様、tourner et vire「あっち向いたりこっち向いたり」などとセットにして用いられる。前行でrengaine「決まり文句」と言っているのはそうした意味。se traînerは「這う」と「足を引きずって歩く」の両義があるが、外でのことなので後者にした。
5 avoir le mal d'amourは「恋に苦しむ」だが、 le mal de qn.は「…が恋しい」。
6 avoir beau+inf.「たとえいくら…しても(無駄である)」
7 un autre soleil=un autre homme「別の男」ということだろう。



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2015
11.27

過ぎゆくはしけLe chaland qui passe

Lys Gauty Le chaland qui passe


リス・ゴーティLys Gautyが歌った「過ぎゆくはしけLe chaland qui passe」の原曲は「マリウ 愛の言葉をParlami d'amore, Mariù」というカンツォーネで、1933年に「夜のヴァイオリンUn violon dans la nuit」などを作曲したツェザーレ・アンドレア・ビクシオCesare Andrea Bixioが作曲しました。アンドレ・ド・バデAndré de Badetがフランス語の歌詞を作り、1934年にリス・ゴーティが歌って大ヒットしました。

リス・ゴーティは1908年にパリの郊外で生まれました。デパートの帽子売り場で売り子をしながら歌を勉強し、当初はクラシック音楽を学んでいましたが、次第にシャンソンに傾倒するようになり、1922年にパリのミュージック・ホールで歌い始め、1925年にオランピアに出演。1928年にベルギーで「夢の楽園 Paradis du rêve」をファースト・レコーディング。1930年に「結婚式の日Jour de noces」という映画に出演。1933年に、クルト・ワイル作曲の舞台作品「三文オペラ」中の楽曲である「海賊の花嫁 La fiancée du pirate」が同年度ディスク大賞を受賞しました。この「過ぎゆくはしけ」がヒットした1934年から、ミュージック・ホール「ア・ベ・セA.B.C.」の初代看板スターとなります。いつも白い長いドレスを着て、クラシックの素養に基づいた歌唱力でオリジナルな曲やポピュラーな曲を歌いました。南米公演を成功させたのち、第2次大戦中は活動が制約されていましたが、戦後は、「アランブラl'Alhambra」などで歌いました。一時、レオ・フェレLéo Ferréが彼女のピアニストを務めたこともあります。
1953年頃にステージを退き、その後は、ニースで音楽学校を開いたり、不動産会社の経営を引き継いだりしていましたが、1994年にモンテ・カルロで亡くなりました。

三大テノール カレーラスJosé Carreras、ドミンゴPlácido Domingo、パヴァロッティLuciano Pavarottiの「マリウ 愛の言葉を」



リス・ゴーティの「過ぎゆくはしけ」



Le chaland qui passe  過ぎゆくはしけ
Lys Gauty         リス・ゴーティ


La nuit s'est faite, la berge 注1
S'estompe et se perd...
Seule, au passage une auberge
Cligne ses yeux pers.
Le chaland glisse, sans trêve 注2
Sur l'eau de satin,
Où s'en va-t-il ? ... Vers quel rêve ? ...
Vers quel incertain
Du destin ? ...

  とっぷりと夜が更け、土手は
  かすんで見えなくなる…
  ただ、通りがかりに一軒の宿屋が
  その青緑の灯をちらつかせる。
  舟は滑るように進み続ける
  滑らかな水の上を、
  どこへ行くの?…どんな夢に?…
  どんな未知の
  運命に向かっているのかしら?…

Le chaland qui passe5


{Refrain:}
Ne pensons à rien... le courant
Fait de nous toujours des errants ;
Sur mon chaland, sautant d'un quai,
L'amour peut-être s'est embarqué...
Aimons-nous ce soir sans songer
A ce que demain peu changer,
Au fil de l'eau point de serments : 注3
Ce n'est que sur terre qu'on ment !

  何も考えないことにしましょう…流れが
  私たちをずっとさまよわせるわ;
  私の舟に、どこの岸からか、
  愛が飛び乗って来たようよ…
  今宵は愛し合いましょう
  明日になれば変わってしまうなんて思わずに、
  水の流れにしたがえば、誓いの言葉なんていらないわ:
  人が嘘をつくのは、地上でだけのこと!

Le chaland qui passe4


Ta bouche est triste et j'évoque
Ces fruits mal mûris
Loin d'un soleil qui provoque
Leurs chauds coloris,
Mais sous ma lèvre enfiévrée
Par l'onde et le vent,
Je veux la voir empourprée
Comme au soleil levant
Les auvents ...

  あなたの唇は淋しげで
  情熱的な色づきをもたらす
  陽の光から隔てられて
  熟しきれていない果実を思わせる
  でも私が
  波と風にほてった唇をあてて
  それが真っ赤になるのを見たいわ
  朝陽を浴びた
  舳みたいに真っ赤に…

{Refrain}

[注] chaland「はしけ、平底船」とは、本来、河川・港湾などで大型船と陸との間を往復して貨物や乗客を運ぶ小舟。船幅が広く、平底。ここではただ川で乗客を乗せて運ぶ小舟というだけのようだ。
1 bergeは「土手」「はしけ、平底船」の両義があるが、タイトルのchalandとは別なので、これは前者。
2 sans trêve「絶えず、休みなく」
3 point de「…が全然無い、要らない」



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2015
11.26

夜よさようならAdieu à la nuit

Adieu á la nuit


ミレイユ・マチューMireille Mathieuの「夜よさようならAdieu à la nuit」は、ウィリアム・ワイラーの「将軍たちの夜La nuit des généraux」(1966年)の主題曲としてモーリス・ジャールMaurice Jarreが作曲しました。この映画では、ピーター・オトゥールPeter O'Tooleとオマー・シャリフOmar Sharifという「アラビアのロレンスLawrence of Arabia」のコンビが第2時大戦中のナチスドイツの将軍を演じています。二枚目のピーター・オトゥールは意外なことにこの映画では悪役です。モーリス・ジャールは、この「アラビアのロレンス」のほか、「史上最大の作戦The Longest Day」「ドクトル・ジバゴDoctor Zhivago」「地獄に堕ちた勇者ども La Caduta degli dei」「インドへの道A Passage to India」などなど多くの映画音楽を手がけています。

この曲を同年(1966年)、モーリス・ヴィダランMaurice Vidalinの歌詞でミレイユ・マチューが歌うことになりました。「夜la nuit」という1語以外は映画の内容とは無関係で、平易ながら人を力強く勇気づける歌詞です。日本でも金子由香利ほかの歌で知られています。



Adieu à la nuit   夜よさようなら
Mireille Mathieu  ミレイユ・マチュー


Toi qui marche tête basse
dans un désert sans mirage
Un jour un jour il faudra dire
adieu à la nuit

  蜃気楼もない砂漠のなかを
  こうべを垂れて歩むあなた
  いつの日かいつの日か言わなきゃならない
  夜よさようならと

Adieu á la nuit1


Quand tu te crois seul au monde
quand tu as peur de ton ombre
Il faut essayer de survivre
adieu adieu la nuit

  あなたがこの世でただ独りだと感じるとき
  あなたが自分の影におびえるとき
  乗り越えて生きようとしなきゃならないわ
  夜よさようなら さようならと

Moi j'ai suivi comme toi
des chemins sans gloire
J'ai bu à des sources sans eaux
mais j'espère encore

  私はあなたとおなじように
  栄光なき道を辿った
  涸れた泉で水を求めた
  けれどまだ希みはもっているわ

Moi j'ouvrirai mes fenêtres
moi je me verrai renaître
Demain demain je pourrai dire
adieu à la nuit
Viens nos chemins se rejoignent
prend ma main je t'accompagne
À deux tout sera plus facile
adieu adieu la nuit

  私は窓を開けることにする
  私は自分が生まれ変わるのを見るのよ
  あした あした 私は言えるわ
  夜よさようならと
  来て 私たちの道がひとつになるのよ
  私の手をとって 私 あなたについて行く
  ふたりならなんでもたやすいわ
  夜よさようなら さようなら

Adieu á la nuit2


Moi il fallait que tu viennes
toi il fallait que je vienne
C'est vrai que le soleil existe
adieu adieu la nuit
adieu la nuit
adieu la nuit

  私は あなたに来てもらわなきゃ
  あなたは 私が行かなきゃ
  太陽は本当に存在するのよ
  夜よさようなら さようなら
  夜よさようなら
  夜よさようなら

[注] 題名はAdieu à la nuitで、「夜へのさようなら」といった意味になるが、歌詞中ではadieu la nuit「夜よさようなら」と繰り返されるし、既存の邦題の「夜よさようなら」を用いることにした。



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2015
11.25

二つのギターLes deux guitares

Charles Aznavour Les deux guitares


シャルル・アズナヴールCharles Aznavourの「二つのギターLes deux guitares」(1960年)の原曲は、トラディショナルなロシア系のジプシーソングのようです。

Vladimir Vysotsky の歌う原曲



Les Yeux Noirsというグループ。歌は1分50秒過ぎから始まります。



アズナヴール



Les deux guitares     二つのギター
Charles Aznavour     シャルル・アズナヴール


Deux tziganes sans répit
Grattent leur guitare
Ranimant du fond des nuits
Toute ma mémoire
Sans savoir que roule en moi
Un flot de détresse
Font renaître sous leurs doigts
Ma folle jeunesse

  二人のジプシーが休みなく
  夜の底を震わしながら
  ギターをかき鳴らしている
  すべての想い出が
  われしらず心のなかを駆け巡り
  こみ上げてきた苦しみが
  彼らの指のもと
  僕の狂おしい青春を甦らせる

Les deux guitares1



Ekh raz yechtcho raz yechtcho mnogo mnogo raz
Ekh raz yechtcho raz yechtcho mnogo mnogo raz

  ああもう一度もう一度もっともっと何度も
  ああもう一度もう一度もっともっと何度も

Jouez tziganes jouez pour moi
Avec plus de flamme
Afin de couvrir la voix
Qui dit à mon âme
Où as-tu mal, pourquoi as-tu mal?
Ah t´as mal à la tête
Mais bois un peu moins aujourd´hui tu boiras plus demain
Et encore plus après-demain

  弾いてよジプシーたち、僕のために弾いてよ
  もっと情熱を込めて
  僕の魂にこう語りかける
  声を覆い隠すために
  痛いのかい、なぜ痛いんだい?
  ああ、頭が痛いんだね
  じゃあ今日は飲むのは少なくして明日もっと飲むんだよ
  明後日はもっともっと飲めるさ

Ekh raz yechtcho raz yechtcho mnogo mnogo raz
Ekh raz yechtcho raz yechtcho mnogo mnogo raz

  ああもう一度もう一度もっともっと何度も
  ああもう一度もう一度もっともっと何度も

Je veux rire et chanter
Et soûler ma peine
Pour oublier le passé
Qu´avec moi je traîne
Apportez-moi du vin fort
Car le vin délivre
Oh versez, versez-m´en encore
Pour que je m´enivre

  僕は笑いたい歌いたい
  苦しみを酔いつぶしたい
  僕が引きずっている
  過去を忘れるために
  強いワインを持ってきてよ
  だってワインは解放してくれるから
  おお注いでよ、僕にもっと注いでよ
  僕が酔っぱらえるよう

Les deux guitares3


Ekh raz yechtcho raz yechtcho mnogo mnogo raz
Ekh raz yechtcho raz yechtcho mnogo mnogo raz

  ああもう一度もう一度もっともっと何度も
  ああもう一度もう一度もっともっと何度も

Deux guitares en ma pensée
Jettent un trouble immense
M´expliquant la vanité
De notre existence
Que vivons-nous, pourquoi vivons-nous?
Quelle est la raison d´être?
Tu es vivant aujourd´hui, tu seras mort demain
Et encore plus après-demain

  二つのギターは僕の心のなかに
  大きな不安を投げ込む
  僕たちの存在の
  空しさを説きつつ
  僕たちは何を生きるのか、なぜ生きているのか?
  存在の理由は何なんだ?
  君は今日生きている、明日は死ぬかもしれない
  さらに明後日はどうなんだ

Ekh raz yechtcho raz yechtcho mnogo mnogo raz
Ekh raz yechtcho raz yechtcho mnogo mnogo raz

  ああもう一度もう一度もっともっと何度も
  ああもう一度もう一度もっともっと何度も

Quand je serai ivre-mort
Faible et lamentable
Et que vous verrez mon corps
Rouler sous la table
Alors vous pourrez cesser
Vos chants qui résonnent
En attendant jouez
Jouez je m´abandonne

  脆弱にも情けなくも
  この僕が酔いつぶれた時には
  またテーブルの下に転がっている
  僕の体を見つけた時には
  響き渡る君たちの歌を
  止めてもいいよ
  でもそれまでは弾いておくれ
  弾いておくれ、僕は身を委ねるよ

Les deux guitares2


Ekh raz yechtcho raz yechtcho mnogo mnogo raz
Ekh raz yechtcho raz yechtcho mnogo mnogo raz

  ああもう一度もう一度もっともっと何度も
  ああもう一度もう一度もっともっと何度も

[注] Ekh raz yechtcho raz yechtcho mnogo mnogo razという繰り返し部分は、アズナヴールがアルメニア出身であることからアルメニア語だといわれるが、google翻訳にかけてみると一番近いのがボスニア語のようで、yechtcho以外の語は訳せる。元のジプシー語の歌詞を紹介しているサイトがあり、それによると、アズナヴールの歌詞の繰り返し部分は、Eh raz eshe raz eshe mnogo mnogo razと表記されている。これはgoogle翻訳で ボスニア語としてよりよく解読され、歌詞中に書いたような意味で、shはšと表記されるということが分かった。



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2015
11.24

初めてのギターMa première guitare

Sacha Distel Ma Premiere Guitare


サシャ・ディステルSacha Distelは1933年にパリで生まれたイケメンのギタリスト・歌手・俳優。「雨にぬれてもToute la pluie tombe sur moi」を先にご紹介しています。俳優としては、映画「さよならをもう一度Aimez-vous Brahms ?」(先にご紹介した「ブラームスはお好きQuand tu dors près de moi」がテーマソング)にも出演しています。私生活面では、ブリジッド・バルドーBrigitte Bardotとの関係ののちスキーヤーの女性と結婚。没年は2004年。

今回ご紹介するのは、サシャが自作した「初めてのギターMa première guitare」(1972年)というすてきな曲で、gypsy swingと言われる、フランス在住ジプシーによるジャズの創始者:ジャンゴ・ラインハルトDjango Reinhardtへのオマージュ。当時、ギターを弾き始めた若者たちにとってはカリスマ的存在でした。以前ご紹介したジャンゴの代表作「雲Nuages」は私の大好きな曲です。

サシャ・ディステル



モダン・ジプシー・ポップ・バンドと自称するチコ&ザ・ジプシーズchico & the gypsies。ワールド・ミュージックの大御所であるジプシー・キングズGipsy Kingsからチコが独立して結成したバンドです。



Ma première guitare  初めてのギター
Sacha Distel      サシャ・ディステル


J'avais quinze ans,
C'était le temps
De ma première guitare,
Et tout ce temps
Revient souvent
Du fond de ma mémoire.
Ces quinze ans-là
C'était Django
Qui les mettait en fête.
En ce temps-là 注1
C'était Django
Qu'on avait dans la tête.
Dans sa musique, il y avait comme une odeur de feu de bois,
Il y avait un je-ne-sais-quoi, 注2
Moitié Harlem, 注3
Moitié bohème.
Et sur tout ça passaient, joyeux, de merveilleux nuages, 注4
Pareils à ceux
Qu'ont dans les yeux
Tous les gens du voyage.

  僕は15歳、
  それは僕の初めてのギターを手にした
  時のことだった、
  その時のことが
  僕の記憶のなかから
  ときおりすべて蘇ってくる。
  当時の15歳の僕たちを、
  夢中にさせたのは
  ジャンゴだった。
  その時代に
  僕たちの頭にあったもの、
  それはジャンゴだった。
  彼の音楽のなかには、焚火の匂いのようなものがあった、
  何か名状しがたいものがあった、
  なかば黒人街風で、
  なかばボヘミアン風のものが。
  そしてそれらすべての上を、喜ばしいことに、
  旅する人々すべてが
  目のなかに持つのと同じ
  すばらしい雲が流れる。

Ma première guitare2


Depuis ce temps,
J'ai eu le temps
De changer de guitare,
Et le gitan 注5
De mes quinze ans
Est là dans ma mémoire.
Et, bien des fois,
C'est malgré moi,
Il me vient quelques notes
Comme un refrain
Venu soudain
Du fond d'une roulotte. 注6
Alors je sens sous mes doigts monte l'odeur du feu de bois,
J'entends comme un je-ne-sais-quoi
Moitié Harlem
Moitié bohème.
Et sur mon cœur passent, joyeux, ces merveilleux nuages
Pareils à ceux
Qu'ont dans les yeux
Les enfants du voyage.

  その後、
  僕はギターを替える
  ことになり、
  僕の15歳のときのジプシーは
  僕の記憶のなかにしまい込まれた。
  それから、何度も何度も、
  思いがけず、
  いくつかの音符が
  ルフランのように
  ジプシーの幌馬車の奥から
  突然にやって来る。
  そのとき僕の指の下に焚火の匂いが立ち昇るのを感じる、
  僕には何か名状しがたいものが聴こえる
  なかば黒人街風で、
  なかばボヘミアン風のものが。
  そしてそれらすべての上を、喜ばしいことに、
  旅する者たちすべてが
  目のなかに持つのと同じ
  すばらしい雲が流れる。

Ma première guitare3


[注]
1 動画では、ここを3行前と同様にCes quinze ans-làと歌っているが、私の持っている音源では、En ce temps-làと歌っている。ライブなので言い換えるはずを間違えて同じように歌ったようだ。
2 je-ne-sais-quoi「名状しがたいもの」
3 Harlemアメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市のマンハッタン区北部に位置するアフリカ系アメリカ人の文化とビジネスの中心地。名前の由来はトルコ語のハーレムとは関係なく、オランダの都市ハールレムにちなんでオランダ移民によって名付けられたといわれる。
4 1940年にジャンゴが作曲した曲「雲Nuages」を念頭に入れた表現。1961年のフランソワーズ・サガンFrançoise Saganの小説「すばらしい雲Les merveilleux nuage」とは無関係。
5 le gitan「ジプシー」はジャンゴを指している。
6 roulotte「幌馬車」ジプシーの移動手段であり生活拠点でもある。



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2015
11.23

踊りに行くために一番きれいに(アイドルを探せ)La plus belle pour aller danser

Sylvy Vartan


シルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanの曲はすでに何曲か取り上げましたが、あらためて、彼女のプロフィールをご紹介しましょう。1944年にブルガリアで生まれ、父はフランス国籍のブルガリア人で、母はハンガリア人。52年に一家でパリに移住し、もともとは舞台俳優を夢見ていた少女でしたが、1961年に音楽プロデューサーの兄に頼まれて、にわか出演でデュオで歌ったレコードがヒットし、同年、オランピア劇場に初出演。その後、歌手としての人気が急速に高まっていきました。

「イエイエyéyé」とは、1960年代にパリで流行ったフレンチロックンロール(ロックの影響を受けたシャンソン)のことですが、当時のティーンエイジャーのファッション風俗そのものを指す言葉でもあり、レナウンのファッションブランド名としても用いられました。何度も来日し、少し日本語が話せるヴァルタンは、66年に来日した際にレナウンのコマーシャルに出て「イエイエ わんさか娘」を歌い、「イエイエ娘」というニックネームがつきました。ちなみに、「ウルトラマン」に出てくるバルタン星人の名前は彼女の名前から付けられたといわれるのはデマで、その由来はバルカン半島Balkansであると円谷プロのスタッフが証言しているそうです。

私生活では、1965年にジョニー・アリディJohnny Hallydayと結婚し、80年に離婚。二人の間には、ダヴィド・アリディDavid Hallyday(現シンガー・ソングライター)が生まれています。またその間に、68年に自動車事故に遭い左腕を骨折し、70年の2度目の事故では顔面を負傷。ともに大きな事故であったにもかかわらず、りっぱに再起をはたしました。1984年に現在の夫であるアメリカ人の映画・音楽プロデューサーのトニー・スコッティTony Scottiと結婚。
フランス語の他、英語、イタリア語、スペイン語、ブルガリア語と5カ国語に堪能で、日本語も話し、写真集、自伝、フィットネス本を数冊出版し、1991年ブルガリア赤十字社の下、恵まれない子供や老人の救済を目的とした人道救済非政府団体「Sylvie Vartan pour la Bulgarie」を設立するなど、芸能活動以外の面でも精力的です。

ステージでは、歌だけでなくファッションやダンスでも着目を浴び続けてきた「アイドル」は、もう70代。2011年にはデビュー50周年を迎えましたが、活動は衰えるどころか、毎年のように新譜をリリースしています。今年もオランピアに立ち、今月11月にアルバム:Une vie en musiqueを発売、演劇初主演:Ne me regardez pas comme ça。来年9月にオランピア公演が決まっています。ジュリエット・グレコJuliette Gréco同様、80代まで歌い続ける人でしょう。

1963年の映画「アイドルを探せCherchez l’idole」は、大歌手のシャルル・アブナヴールCharles Aznavourやジョニー・アリディ、ナンシー・ホロウェイNancy Holloway等が出演するミュージカル喜劇。彼女は主演女優とされていますが、今回取り上げる「踊りに行くために一番きれいにLa plus belle pour aller danser」を1シーンで歌っているだけ(下の動画はその映像)。しかしシャルル・アズナヴール作詞のこの歌は大ヒットし、アメリカRCAでLP「Sylvie A Nashville」(日本盤「夢のアイドル」)に収録され、いまなお多くの人々に愛され続けています。動画にしっかりと映っているスキッ歯は、ヴァネッサ・パラディVanessa Paradis、マドンナMadonnaと同様で、フランスでは「幸せの歯dents de bonheur 」と呼ばれて歓迎されているそうです。



La plus belle pour aller danser 踊りに行くために一番きれいに(アイドルを探せ)
Sylvie Vartan            シルヴィー・ヴァルタン


Ce soir, je serai la plus belle
Pour aller danser 注1
Danser
Pour mieux évincer toutes celles
Que tu as aimées
Aimées

  今夜、わたしは一番きれいになるわ
  踊りに行くために
  踊りに
  あなたが愛した女たちをみんなうまく締め出すために
  あなたが愛した

Ce soir je serai la plus tendre
Quand tu me diras
Diras
Tous les mots que je veux entendre
Murmurer par toi
Par toi

  今夜 わたしは一番すなおになるわ
  あなたが私に言ってくれたら
  言ってくれたら
  あなたから囁かれたいすべての言葉を
  あなたから

Sylvy Vartan5


Je fonde l'espoir que la robe que j'ai voulue
Et que j'ai cousue
Point par point
Sera chiffonnée 注2
Et les cheveux que j'ai coiffés
Décoiffés 注3
Par tes mains

  わたしの望みは わたしが欲しかったこのドレスが
  自分で一針一針 縫った
  このドレスが
  くしゃくしゃにされて
  そして わたしが結った髪が
  乱されること
  あなたの手で

Quand la nuit refermait ses ailes
J'ai souvent rêvé
Rêvé
Que dans la soie et la dentelle
Un soir je serai la plus belle
La plus belle pour aller danser
La plus belle pour aller danser
La plus belle pour aller danser

  夜が翼をたたむとき
  わたしはよく夢に見た
  夢に見た
  シルクとレースに包まれて
  ある夜 一番きれいになることを
  踊りに行くために一番きれいに
  踊りに行くために一番きれいに
  踊りに行くために一番きれいに

Sylvy Vartan4


Tu peux me donner le souffle qui manque à ma vie
Dans un premier cri 注4
De bonheur
Si tu veux ce soir cueillir le printemps de mes jours 注5
Et l'amour en mon cœur

  わたしの人生に 今までなかった息吹を
  あなたはわたしに与えることができ
  そのときわたしは喜びの産声に包まれる
  もし今夜あなたが摘み取りたいなら わたしの人生の春を
  そしてわたしの心のなかの愛を

Pour connaître la joie nouvelle
Du premier baiser
Je sais
Qu'au seuil des amours éternelles
Il faut que je sois la plus belle
La plus belle pour aller danser
La plus belle pour aller danser
La plus belle pour aller danser

  初めてのキスの
  新しい喜びを知るために
  わかっているわ
  永遠の愛の始まりに
  一番きれいにならなくてはいけないことを
  踊りに行くために一番きれいに
  踊りに行くために一番きれいに
  踊りに行くために一番きれいに

Sylvy Vartan6


[注]
1 タイトルはこのフレーズの主語と動詞を省いたものである。pour+inf.は「…するために」で、直訳すると、「今夜、わたしは踊りに行くために一番きれいになる」あるいは「今夜、わたしは一番きれいになって踊りに行く」となる。pour mieux évincerも同様にje serai la plus belle につながっている。
したがってタイトルの訳が難しくなり、「踊りに行くなかで一番きれい」という意訳を最初は考えたが、より正しい訳語に変更した。
2 sera chiffonnéeの主語はla robeで、その説明が、que j'ai voulueとque j'ai cousue point par point。
3 seraが省略されている。
4 un premier criは「赤ん坊の産声」で、新規のことがらの発現をたとえる表現。
5 Si tu veuxの主節は、その前のTu puex me donner…。jourは複数形で、人生、生涯、時代を示す。



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2015
11.22

ビギン・ザ・ビギンDivine biguine

Laura Fygi


ちあきなおみの「黄昏のビギン」という曲名でご存じの方も多いでしょうが、ビギンbeguineという音楽があります。そもそもbeguineというのは、もともとは13,14世紀頃の北欧の女子修道会のことで、それが白人女性を意味するようになったものだとか。それがなぜか、西インド諸島、カリブ海のマルチニーク島、セントルシア島で、労働歌カレンダを母体として生まれ古くから踊られている速い2拍子のダンス音楽の名称となったのです。そのビギンはのちに欧米に入ってスローな4拍子の音楽として社交ダンス化され、1930~50年にフランスで流行しました。そして、1935年にアメリカのコール・ポーターCole Porterが「ビギン・ザ・ビギンBegin the Beguine」を作曲し、ジャズのナンバーとして多くの歌手に歌われ、ビギンは全世界で脚光を浴びることになりました。
今回は、その曲をフランス語に翻案した「ビギン・ザ・ビギンDivine biguine」を取り上げます。「時のすぎゆくままにLe temps qui passe」を以前ご紹介したローラ・フィジーLaura Fygiが歌っていて、Rendez-vousという同じアルバムに収録されています。

オルケストル・トラディショネル・ドゥ・ラ・グアドループOrchestre Traditionnel de la Guadeloupeの演奏。すなわちトラディショナルなビギンです。



フランク・シナトラのBegin the Beguine



ローラ・フィジーのDivine biguine



Divine biguine (Begin the Beguine)        ビギン・ザ・ビギン
Laura Fygi                       ローラ・フィジー


Qu'elle est divine la biguine!
De ses doux accents mon cœur se fascine
Elle va chantant perverse et câline 注1
Mêlant jusqu'au jour la danse et l'amour!

  なんて素敵なの、ビギンは!
  その甘い調べに私の心は魅せられる
  ビギンは倒錯的にそして甘美に歌い続ける
  朝までダンスと恋を混ぜ合わせながら!

Divine biguine2


Nos soirs d'autrefois sous les tropiques
Au son de sa voix s'évoquent magiques
Et je les revois plus magnifiques
Qu'elle est divine la biguine

  かつて私たちが常夏の国々で過ごした夜が
  ビギンの歌声で魔力をもってよみがえり
  そして私にはそれらは以前よりすばらしいものとなる
  なんて素敵なの、ビギンは!

Sur ses heureux bords, je l'avais connu 注2
Et l'amour alors était venu...
Ah! les beaux jours! ah! les chères caresses
La douce promesse d'aimer toujours!

  常夏の楽園の国々で、私は彼を知った
  そしてそのとき恋がやって来たのだった…
  ああ!美しい日々!ああ!いとおしい愛撫
  ずっと愛するという甘い約束!

Divine biguine3


Qu'elle était divine la folle biguine!...
Mais soudain l'azur s'obscurcit de sombres nuages
Et notre amour fût englouti dans un brusque orage!
Et tout fut fini, bien fini!

  なんて素敵だったのかしら、狂ったビギンは!…
  でも突如、青空は暗い雲に覆い隠された
  そして私たちの恋は突然の嵐に飲み込まれた!
  すべてが終わった、終わってしまった!

Ah ne jouez plus pour moi la biguine!
Car de ce qui fut, autrefois, tout n'est que ruines
Ce qui fut un beau feu si tendre n'est plus que cendres
Jouez, en sourdine, la biguine! 注3

  ああもう私にビギンを奏でないで!
  だって、かつてあったものは、すべて残骸でしかなくて
  とても優しい美しい炎だったものは灰でしかないのだから
  演奏して、控えめに、ビギンを!

Et pourtant peut-être qu'aux accents si touchants 注4
De cet air de jadis de nos regrets se grisent
Tu te sentiras tout à coup l'âme reprise
Chantant dans un frisson, l'ancienne chanson
Qu'elle est divine la biguine
Qu'elle est divine la biguine
Qu'elle est divine la biguine!

  でもたぶん古くからのこの曲のとても心を打つ調べに
  私たちの懐古の想いが陶酔するのか
  あなたは突然、魂がよみがえるのを感じるでしょう
  身を震わせて、古い歌を歌いながら
  なんて素敵なの、ビギンは
  なんて素敵なの、ビギンは
  なんて素敵なの、ビギンは!

Divine biguine1


[注]
1 aller+現在分詞は継続を示す。
2 ses heureux bords のsesは前節のles tropiquesの、と判断した。heureuxは「幸せな」ではなく「好ましい」の意味。bordは複数で、「海のかなたの国々」をあらわす。
3 en sourdine「弱音器をつけて」→「こっそりと」
4 accent「アクセント、強勢」のほか、「調子、音調」、(複数形で)「調べ、響き」の意味がある。




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2015
11.21

ピエールPierre

Barbara chante Barbara


バルバラBarbaraは、恋人(夫?)の帰りを待つ心境や、恋しくて逢いたい気持ちなどをテーマにした曲をいくつも作り歌っています。今回取り上げる「ピエールPierre」もそのひとつ。少ない言葉のなかにバルバラらしい感性が込められた実に美しい曲で、1964年のアルバム:Barbara chante Barbaraに収録され、このアルバムは翌1965年にACCディスク大賞を受賞しました。このアルバムに収録された曲は皆すばらしいです。「リヨン駅Gare de Lyon」「死に憧れてÀ mourir pour mourir」「ナントに雨が降るNantes」「サン=タマンの森でAu bois de Saint-Amand」「パリ、8月15日Paris, 15 août」「愛していると言えなくてJe ne sais pas dire」をすでに訳しました。あと5曲、少しずつ取りかかる予定です。



Pierre   ピエール
Barbara  バルバラ


Il pleut,
Il pleut,
Sur les jardins alanguis,
Sur les roses de la nuit,
Il pleut des larmes de pluie,
Il pleut,
Et j´entends le clapotis,
Du bassin qui se remplit,
Oh mon Dieu, que c´est joli,
La pluie,

  雨が降る
  雨が降る
  うら淋しい庭に
  夜の薔薇のうえに
  雨粒の涙が降る
  雨が降る
  泉水の溢れる
  ざあざあという音を聞く
  まぁほんとうに、なんと綺麗なの
  雨は

Pierre2.jpg


Quand Pierre rentrera,
Il faut que je lui dise,
Que le toit de la remise,
A fui,
Il faut qu´il rentre du bois,
Car il commence à faire froid,
Ici,

  ピエールが帰って来たら
  言わなきゃ
  倉庫の屋根が
  飛んじゃっちゃったと
  薪をしまわなきゃ
  寒くなってきたから
  この辺りは

Oh, Pierre,
Mon Pierre,

  おお、ピエール
  わたしのピエール

Sur la campagne endormie,
Le silence et puis un cri,
Ce n´est rien, un oiseau de la nuit,
Qui fuit,
Que c´est beau cette pénombre,
Le ciel, le feu et l´ombre,
Qui se glisse jusqu´à moi,
Sans bruit,

  眠り込んだ田園の
  しじまに叫び声
  何でもないわ、夜鳥が
  飛び去る
  なんて美しいのこの薄明りは
  空、光そして影が
  わたしのところまで滑り込んでくる
  音もなく

Pierre3.jpg


Une odeur de foin coupé,
Monte de la terre mouillée,
Une auto descend l´allée,
C´est lui,

  刈り取った干し草の香りが
  湿った地面から立ち昇る
  車が一台、小道をくだって来る
  彼だわ

Oh, Pierre,
Pierre...

  おお、ピエール
  ピエール…


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2015
11.20

5時、パリが目覚めるIl est 5 heures, Paris s'éveille

Jacques Dutronc Il est 5 heures, paris séveille


ジャック・デュトロンJacques Dutroncの「5時、パリが目覚めるIl est 5 heures, Paris s'éveille」は、1968年の5月革命の数週間前に発売され、大ヒットになった曲です。作詞はジャック・ランズマンJacques Lanzmannとアンヌ・スガランAnne Segalen、作曲はデュトロン自身。

デュトロンの曲は、「娘たちが好きJ'aime les filles」「萎れたバラLes roses fanées」、妻であるフランソワーズ・アルディーFrançoise Hardyとのデュオの曲として、「あなたが旅立つというのでPuisque vous partez en voyage」「コルヴィザール通りの霧Brouillard Dans La Rue Corvisart」をすでに取り上げています。



こちらはアン・ピエルレAn Pierléという歌手



そしてZAZです。今回、日本でも歌ってくれました!



Il est 5 heures, Paris s'éveille  5時、パリが目覚める
Jacques Dutronc         ジャック・デュトロン


Je suis l´dauphin d´la place Dauphine 注1
Et la place Blanche a mauvaise mine 注2
Les camions sont pleins de lait
Les balayeurs sont pleins d´balais

  僕はドーフィーヌ広場のドルフィンだ
  そしてブランシュ広場は顔色が悪い
  トラックは牛乳をいっぱい積んでいる
  掃除夫たちは手に手に箒を持っている

Il est cinq heures
Paris s´éveille
Paris s´éveille

  5時だ
  パリが目覚める
  パリが目覚める

Il est 5 heures2


Les travestis vont se raser
Les stripteaseuses sont rhabillées
Les traversins sont écrasés
Les amoureux sont fatigués

  ゲイたちはヒゲを剃る
  ストリッパーたちは服を着る
  長枕は押しつぶされた
  恋人たちはくたびれた

Il est cinq heures
Paris s´éveille
Paris s´éveille

  5時だ
  パリが目覚める
  パリが目覚める

Le café est dans les tasses
Les cafés nettoient leurs glaces
Et sur le boulevard Montparnasse
La gare n´est plus qu´une carcasse

  コーヒーはカップのなか
  カフェは窓ガラスを磨いている
  そしてモンパルナス通りから見ると
  駅はもはや抜け殻にすぎない

Il est cinq heures
Paris s´éveille
Paris s´éveille

  5時だ
  パリが目覚める
  パリが目覚める

La tour Eiffel a froid aux pieds
L´Arc de Triomphe est ranimé
Et l´Obélisque est bien dressé
Entre la nuit et la journée

  エッフェル塔は足が冷えている
  凱旋門は生き返った
  そしてオベリスクはしっかり立っている
  夜と昼のはざまで

Il est 5 heures4


Il est cinq heures
Paris s´éveille
Paris s´éveille

  5時だ
  パリが目覚める
  パリが目覚める

Les banlieusards sont dans les gares
A la Villette on tranche le lard 注3
Paris by night, regagne les cars 注4
Les boulangers font des bâtards

  郊外に住む人々が駅に着く
  ヴィレットでは脂身を切り取っている
  パリは夜陰に紛れて、カーを取り戻す
  パン屋はバタールを焼く

Il est cinq heures
Paris s´éveille
Paris s´éveille

  5時だ
  パリが目覚める
  パリが目覚める

Il est 5 heures3


Les journaux sont imprimés
Les ouvriers sont déprimés
Les gens se lèvent, ils sont brimés
C´est l´heure où je vais me coucher

  新聞が印刷される
  労働者たちは憔悴している
  人々が目覚める、彼らは抑圧されている
  僕が眠りにつく時間だ

Il est cinq heures
Paris se lève
Il est cinq heures
Je n´ai pas sommeil

  5時だ
  パリが目覚める
  5時だ
  僕は眠くない

[注]
1 la place Dauphineはシテ島の裁判所の裏手にある三角形の広場。dauphineは「王太子妃」。dauphin「イルカ」あるいは「王太子」で、ここでは両方をかけているのかも
2 la place Blancheはムーラン・ルージュle Moulin Rougeの前にある広場。
3 la Villetteパリの北東19区にある地区で、ヴィレット公園Le Parc de la Villetteがある。
4 by nightとcarsはなぜか英語。Parisがregagneの主語という形。




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2015
11.19

夜に目が眩みÉblouie par la nuit

ZAZ Eblouie par la nuit


16日の夜、渋谷《オーチャードホール》。ノリノリのエネルギッシュなステージの中ほどで、ザーズZazは1本のローソクを灯し、目に涙を浮かべました。ちょうどパリで正午に黙祷がおこなわれたのと同じ時間でした。
ステージで歌われた曲はすべて素晴らしかったですが、今回の事件が心にのしかかる今、この曲「夜に目が眩みÉblouie par la nuit」が最も訴えるものを持っているように感じました。都会の夜の闇、モノクロームの世界に輝く閃光。麻薬がもたらす「生の幻惑」は「死」と隣り合わせ。あんたは口笛を吹きながらやってきた…。
シンガー・ソングライターのラファエルRaphaël が作詞・作曲。2010年のファースト・アルバム「モンマルトルからのラブレター ZAZ」に収録された後、シングルカットされました。



Éblouie par la nuit  夜に目が眩み
Zaz           ザーズ


Éblouie par la nuit à coup de lumière mortelle 注1
À frôler les bagnoles les yeux comme des têtes d'épingle. 注2
J't'ai attendu 100 ans dans les rues en noir et blanc
Tu es venu en sifflant.

  死ぬほど眩しい閃光で夜に目を眩まされ
  何台かの車をかすめ、瞳孔はピンホールのよう
  無彩色の通りであんたを百年待った
  あんたは口笛を吹きながらやってきた…

Éblouie par la nuit1


Éblouie par la nuit à coup de lumière mortelle
À shooter les canettes aussi paumé qu'un navire
Si j'en ai perdu la tête j't'ai aimé et même pire
Tu es venu en sifflant.

  死ぬほど眩しい閃光で夜に目を眩まされ
  船みたいに迷ってビンを蹴っ飛ばし
  それで頭がイカれたのか、あんたが好きになりもっとひどいことにもなった
  あんたは口笛を吹きながらやってきた

Éblouie par la nuit à coup de lumière mortelle
Faut-il aimer la vie ou la regarder juste passer?
De nos nuits de fumettes, il ne reste presque rien
Que tes cendres au matin
À ce métro rempli de vertiges de la vie 注3
À la prochaine station, petit européen 注4
Mets ta main, descend-là au-dessous de mon cœur 注5

  死ぬほど眩しい閃光で夜に目を眩まされ
  人生を楽しむべきかそれとも過ぎゆくままにすべきか
  大麻を吸って過ごした私たちの夜の名残は、
  あんたが吸った灰ぐらいしか朝には残っちゃいない
  人生の惑乱でいっぱいのこの地下鉄で
  次の駅で、かわいいヨーロッパ人さん
  そこで降りようよ、私の胸元に手を置いてよ

Éblouie par la nuit4


Éblouie par la nuit à coup de lumière mortelle
Un dernier tour de piste avec la mort au bout 注6
J't'ai attendu 100 ans dans les rues en noir et blanc
Tu es venu en sifflant.

  死ぬほど眩しい閃光で夜に目を眩まされ
  ゴールに死が待つトラックの最後の一周
  無彩色の通りであんたを百年待った
  あんたは口笛を吹きながらやってきた

Éblouie par la nuit2


[注] 幾つかの単語は通常の意味の裏にスラングとしての別の意味を持っているかもしれないが追求しきれなかった。何箇所か解釈しづらく、かなり検討は重ねたが、最終的には独断的に判断するしかなかった。
1 éblouie par la nuitはタイトルでもあるが、éblouieはéblouir「(まばゆい光で)目をくらます」の過去分詞で受動的意味。à coup de qc.「…を用いて」。mortelleは「死に至らしめる、致命的な」の意味のほか「程度がひどい」ことも表現する。歌詞全体が「死」を意識した内容なので、「死ぬほど眩しい」とした。この行全体は「夜によって死ぬほど眩しい閃光で目を眩まされた」。
2 frôler「すれすれに通る、かすめる」。動作者は車ではなく私。眩しさで目(瞳孔)が「針の頭のように」小さくなるというのは「ピンホールのように」のほうが分かりやすい。
3 ce métroは「この世の中、社会」のことだろう。
4 petit européenはEuropeという駅のことだとも考えられるが、petitは「かわいい、いとしい」の意味で、tuへの呼びかけと判断した。
5 descend-laとしている歌詞が多いが、mets ta main同様に二人称の命令形ならdescends-laとなるはず。onが主語の命令形descend-làで「次の駅で(この地下鉄=この世の中から)降りましょう」だと判断した。mets ta mainはau-dessous de mon cœurにつながる。
6 la mortをla mainとしている歌詞が多いが、ZAZの発音と意味のつながりから、la mortと判断した。



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2015
11.18

孤独La solitude

Barbara Une petite cantate2


前回のジョルジュ・ムスタキのGeorges Moustakiの「私の孤独Ma solitude」と同様、バルバラBarbaraも、女性名詞であるsolitude(孤独)を一人の女性として擬人化した曲「孤独La solitude」を作りました。でも、語り口はまったく違います。ムスタキの場合は、伴侶、恋人といったニュアンスでしたが、こちらは、自分の分身、自分の影のようなもの。
1964年のアルバム:Le mal de vivreに収録されています。



La solitude  孤独
Barbara    バルバラ


Je l'ai trouvée devant ma porte,
Un soir, que je rentrais chez moi.
Partout, elle me fait escorte.
Elle est revenue, la voilà,
La renifleuse des amours mortes.
Elle m'a suivie, pas à pas.
La garce, que le Diable l'emporte !
Elle est revenue, elle est là

  ドアの前で彼女を見つけた、
  ある夕べ、帰宅したおりに。
  どこにでも、彼女は私のお伴をする。
  彼女は戻って来ている、ほらそこに、
  過去の恋に鼻をすする女が。
  彼女は私について来る、一歩一歩。
  性悪女め、悪魔がさらって行ってくれりゃいい!
  彼女は戻って来ている、ほらそこに

La solitude2


Avec sa gueule de carême
Avec ses larges yeux cernés,
Elle nous fait le cœur à la traîne, 注1
Elle nous fait le cœur à pleurer,
Elle nous fait des matins blêmes
Et de longues nuits désolées.
La garce ! Elle nous ferait même
L'hiver au plein cœur de l'été.

  やつれた顔と
  隈のある大きな目で、
  彼女はひとの心を乱れさせ、
  彼女はひとの心を嘆かせ、
  彼女は朝を生気のないものに、
  長い夜をすさんだものにする。
  性悪女め!彼女は冬さえもたらす
  夏のさなかだというのに。

Dans ta triste robe de moire
Avec tes cheveux mal peignés,
T'as la mine du désespoir,
Tu n'es pas belle à regarder.
Allez, va-t-en porter ailleurs
Ta triste gueule de l'ennui.
Je n'ai pas le goût du malheur.
Va-t-en voir ailleurs si j'y suis !

  モアレの粗末なドレスを着て
  髪も梳かさず、
  絶望の面立ちをして、
  おまえは見る影もない。
  さあさ、余所に持ってお行きよ
  おまえの陰気な心配面を。
  私は不幸なんか好んじゃいない。
  私はここにいるからおまえは余所を訪ねにお行き!

La solitude3


Je veux encore rouler des hanches,
Je veux me saouler de printemps,
Je veux m'en payer des nuits blanches, 注2
A cœur qui bat, à cœur battant.
Avant que sonne l'heure blême
Et jusqu'à mon souffle dernier,
Je veux encore dire "je t'aime"
Et vouloir mourir d'aimer.

  私はまだ腰を振りたいのよ、
  春に酔いしれたいのよ、
  寝ずの夜を楽しみたいのよ、
  心ときめかせ、心躍らせて。
  暁鐘が鳴るまで
  そして最後に息を引き取る時まで、
  私はまだ「愛してる」と言いたい
  そして死ぬほど愛していたいのよ。

Elle a dit : "Ouvre-moi ta porte.
Je t'avais suivie pas à pas.
Je sais que tes amours sont mortes.
Je suis revenue, me voilà.
Ils t'ont récité leurs poèmes,
Tes beaux messieurs, tes beaux enfants,
Tes faux Rimbaud, tes faux Verlaine.
Eh bien ! c'est fini, maintenant."

  彼女は言った、「ドアを開けて。
  あなたについて来たの、一歩一歩。
  あなたの恋がもう終わってしまったのを知っているわ。
  私は戻って来たわ、ほらここに。
  彼らはあなたに自分たちの詩を朗誦したでしょう、
  あなたのすてきな紳士たち、あなたのすてきな男の子たち、
  あなたの偽ランボーたち、偽ヴェルレーヌたち。
  さあて!終わってしまったのよ、今となっては」

La solitude1


Depuis, elle me fait des nuits blanches.
Elle s'est pendue à mon cou,
Elle s'est enroulée à mes hanches
Elle se couche à mes genoux.
Partout, elle me fait escorte
Et elle me suit, pas à pas.
Elle m'attend devant ma porte.
Elle est revenue, elle est là,
La solitude, la solitude...

  以来、彼女は私を眠らせてくれない。
  彼女は私の首にぶら下がり、
  私の腰に巻きつき、
  私の膝元に身を横たえる。
  どこにでも、彼女は私のお伴をする。
  彼女は私について来る、一歩一歩。
  彼女は家のドアの前で私を待つ。
  彼女は戻って来た、ほらそこにいる、
  孤独は、孤独は…

[注]
1 à la traîne「引かれて」「遅れて」「乱雑に、散らかった」という複数の意味がある。
2 s'en payer (une tranche)「楽しい時を過ごす、大いに楽しむ」



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2015
11.17

私の孤独Ma solitude

Georges Moustaki


今回はジョルジュ・ムスタキのGeorges Moustaki「私の孤独Ma solitude」です。この曲は、どうやら1966年に作られたようで、「異国の人Le Métèque」より前なんですね。日本では、1974年4月からTBS系で放映されたテレビ・ドラマ「バラ色の人生」の主題歌として知られるようになりました。劇中にもムスタキの曲が数多く使われたようです。



Ma solitude      私の孤独
Georges Moustaki  ジョルジュ・ムスタキ


Pour avoir si souvent dormi 注1
Avec ma solitude
Je m'en suis fait presqu'une amie
Une douce habitude
Ell' ne me quitte pas d'un pas
Fidèle comme une ombre
Elle m'a suivi çà et là 注2
Aux quatre coins du monde 注3

  私の孤独と
  あまりにも再々いっしょに眠ったので
  まるで自分の女友達みたいにしてしまった
  こころよい習慣だ
  彼女は私から一歩も離れず
  影のように貞節で
  あちこちついて来る
  世界中どこにでも

chat7.jpg


Non, je ne suis jamais seul
Avec ma solitude

  いや、私はけっしてひとりではない
  私の孤独といっしょだから

Quand elle est au creux de mon lit
Elle prend toute la place
Et nous passons de longues nuits
Tous les deux face à face
Je ne sais vraiment pas jusqu'où
Ira cette complice
Faudra-t-il que j'y prenne goût 注4
Ou que je réagisse?

  彼女が私のベッドの窪みにいるとき
  彼女は場所を独り占めし
  私たちは長い夜を過ごす
  二人で向かい合って
  私には本当のところ分からない
  この共犯者がどこまで行くのか
  彼女を好きになるべきなのか
  あるいは抵抗すべきなのか

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Non, je ne suis jamais seul
Avec ma solitude

  いや、私はけっしてひとりではない
  私の孤独といっしょだから

Par elle, j'ai autant appris 注5
Que j'ai versé de larmes
Si parfois je la répudie 注6
Jamais elle ne désarme 注7
Et si je préfère l'amour
D'une autre courtisane
Elle sera à mon dernier jour 注8
Ma dernière compagne

  彼女によって、僕は学んだ
  涙を流すばかりでなくて
  時々僕が彼女を放り出したとしても
  彼女はけっしてめげない
  そしてもし僕が
  ほかの遊び女との恋を好んだとしても
  彼女は僕のいまわの際には
  僕の最後の伴侶になるだろう

chat1.jpg


Non, je ne suis jamais seul
Avec ma solitude
Non, je ne suis jamais seul
Avec ma solitude

  いや、私はけっしてひとりではない
  私の孤独といっしょだから
  いや、私はけっしてひとりではない
  私の孤独といっしょだから

[注] 孤独は画像で表わしづらく猫に置き換えたのであしからず。
1 pour+不定法複合形は、原因・理由をあらわし、「…のために、のせいで」。
2 çà et là「あちらこちら」çà は、ça「それ」とは違ってアクサンがつく。歌詞サイトから引いた歌詞にはついていなかったので訂正した。
3 aux quatre coins du monde「世界中至る所で」
4 prendre goût à qn「…が好きになる、に興味を抱き始める」
5 autant…que…「…と同時に、…ばかりでなく」
6 répudier「(古代社会やイスラムの掟に従って)離縁する」「(主義、信仰など)を捨てる」「(相続などを)放棄する」
7 ne pas désarmer「がんばり通す、めげない」
8 à mon dernier jour「いまわの際」



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2015
11.16

秋来るIl automne

Barbara chatelet


バルバラBarbara「秋来るIl automne」は、今の季節にぴったりなすてきな曲。1987年のChâtelet 87に収録されています。



Il automne            秋来る
Barbara             バルバラ


Il automne, à pas furtifs,
Il automne à pas feutrés,
Il automne à pas craquants
Sous un ciel pourpre et doré.
Sur les jardins dénudés
Se reflètent en transparence
Les brumes d´automne rouillées,
Rouillées
Dans la forêt de tes cheveux
Aux senteurs de poivres mêlés
Et sur nos nuits de mi-novembre,
Il automne miraculeux,
Il automne miraculeux.

  秋来る、ひそかな足取りで、
  秋来る、足音をしのばせ、
  秋来る、かさかさと足音を立て
  緋色と金色に染まった空のもと。
  丸裸の庭の上に
  錆色の
  錆色の秋の靄が、
  透けて見える
  ミックスした胡椒の香りのする
  あなたの髪の茂みのなかに
  そして私たちが過ごす11月半ばの夜に、
  不思議な秋来る、
  不思議な秋来る。

Il automne, il automne des chrysanthèmes
Sur leurs deux cœurs endeuillés.
Il automne des sanglots longs 注1
Sous un ciel gris délavé
Et, de la gare au cimetière
Où ils reviennent chaque année,
De banc de bois en banc de pierre
Et jusqu´à la dernière allée,
On les voit d´escale en escale
Qui n´en peuvent plus d´être vieux. 注2
Sur ce chemin de leur calvaire
Qu´ils refont depuis tant des années,
Il automne désespéré,
Il automne désespéré.

  秋来る、菊の秋来る
  彼らの二つの悲しむ心に。
  長いすすり泣きの秋来る
  薄墨色の空のもと
  そして、彼らが毎年訪ねる
  墓地へと向かう駅から
  木のベンチから石のベンチを経て
  そしてどんづまりの小道まで、
  港から港へと辿る彼らの姿が見受けられ
  彼らは年老いて精魂尽き果てている。
  そして自らの受難の道を
  彼らは何年も繰り返す
  落胆し秋来る、
  落胆し秋来る。

Il automne2


Il automne, il automne,
Il automne des pommes rouges
Sur des cahiers d´écoliers.
Il automne des châtaignes
Aux poches de leur tablier.

  秋来る、秋来る
  紅い林檎の秋来る
  小学生たちのノートの上に。
  栗の秋来る
  彼らのスモックのポケットに。

Regarde les mésanges
En haut du grand marronnier.
Il y a des rouges-gorges
Au jardin de Batignolles
Et les enfants de novembre
Croient que sont venus du ciel
Ces petits oiseaux de plumes
Echappés d´un arc-en-ciel.
Pour les enfants de novembre
Qui ramènent, émerveillés,
Un peu de l´automne rousse
Au fond de leur tablier,
Il automne le paradis
Bien plus beau que le paradis.

  大きなマロニエの梢にいる
  シジュウカラを見て
  バティニョルの公園には
  コマドリがいる
  そして11月の子供たちは
  虹から抜け出したような
  羽を持つこの小鳥たちは
  空から来たのだと信じる。
  スモックのなかに
  赤茶色の秋を、驚きつつ、ちょっぴり持ち帰る
  11月の子供たちにとって、
  秋来り天国だわ
  いえ天国よりも美しいわ

Il automne3


Il automne, il automne
Il automne à pas furtifs,
A pas feutrés,
A pas craquants
Et, sur nos nuits de mi-novembre,
Il automne miraculeux,
Miraculeux, mon amour...

  秋来る、秋来る
  秋来るそっと足をしのばせ、
  押し殺した足取りで、
  かさかさと足音を立て
  そして、私たちが過ごす11月半ばの夜に、
  不思議な秋来る、
  不思議な、いとしいあなた…

[注] タイトルのIl automneは、名詞であるautomne「秋」を動詞とし非人称のilを主語として、「秋になる、秋が来る」という意味を表している。「秋来る」とした。
1 sanglots longsは、ご存知、ヴェルレーヌPaul Verlaineの「秋の歌Chanson d'automne」の冒頭、Les sanglots longs / Des violons / De l'automneを引用している。
2 n´en pouvoir plus de…「…のためにもう力尽きた、もうこれまでだ」




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2015
11.15

病める秋Automne malade

Automne malade1


前回取り上げたレオ・フェレLéo Ferréの「ひとつの星があるY a une étoile」の動画の後半で、フェレはギョーム・アポリネールGuillaume Apolinaireの詩「病める秋Automne malade」をなかば朗読しているような感じで歌っています。
11月の半ば、冬の足音が近づいてきた今にぴったりなのでついでに、歌詞としてご紹介しておきましょう。

Automne malade  病める秋
Léo Ferré    レオ・フェレ


Automne malade et adoré
Tu mourras quand l'ouragan soufflera dans les roseraies
Quand il aura neigé
Dans les vergers

病み慈しまれる秋よ
お前は死ぬだろう 薔薇園に風が吹き荒れるころ
果樹園に 雪が降るころに

Pauvre automne
Meurs en blancheur et en richesse 注1
De neige et de fruits mûrs
Au fond du ciel
Des éperviers planent
Sur les nixes nicettes aux cheveux verts et naines 注2
Qui n'ont jamais aimé

哀れな秋よ
死ぬがいい 白さと豊かさのなかで
雪のそして熟れた果実の
空の高みに
はい鷹が舞っている
たえて恋などしたことのない
緑の髪をした小さいおろかなニンフの上を

Automne malade2

Aux lisières lointaines
Les cerfs ont bramé

遠い森のはずれで
鹿たちが鳴いた

Et que j'aime ô saison que j'aime tes rumeurs 注3
Les fruits tombant sans qu'on les cueille
Le vent et la forêt qui pleurent 注4
outes leurs larmes en automne feuille à feuille

何といとおしいことか おお 季節が お前の物音が
果実は摘みとられずに落ち
風と森は涙する
彼らの涙はすべて 秋に ひとひらひとひらと舞い落ちる

Les feuilles
Qu'on foule
Un train
Qui roule
La vie
S'écoule

踏みしだかれる木の葉
     走りゆく汽車
     流れゆく人生よ

Automne malade3


[注]
1 blancheur de neige、そしてrichesse de fruits
2 nixeはドイツ語由来の名詞で、nymphe「水の精」と同義。nicet(te)「少々ばか正直な」
3 queは感嘆を示す
4 pleurentは複数形でquiの先行詞はle vent et la forêt、また他動詞(pleurer des larmes「涙を流す」)であり、目的語は次行のtoutes leurs larmes。feuille à feuilleはpetit à petitと同様の表現で、「木の葉一枚ずつ」。この2行は意訳した。




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2015
11.14

ひとつの星があるY'a une étoile

Léo Ferré Les vieux copains


レオ・フェレLéo Ferré「ひとつの星があるY'a une étoile」は、1954年に作られましたが、ずっと後の1990年に、アルバムLes vieux copainsに収録されました。ハープだけの伴奏で歌っている美しい曲です。象徴的な内容なので訳すのは易しそうで難しかったです。「ひとつの星」とは…?アナーキストたるフェレの理想を優しく表現しているのでしょう。ジャック・プレヴェールJacques Prévertの詩をジュリエット・グレコJuliette Grécoが歌っている「美しい星でÀ la belle étoile」では、星は地球のことでしたが…。

フェレの動画が削除されて無いので、代わりにケベックの女性歌手ルネ・クロードRenée Claudeを。この曲も収録したアルバム:On a marché sur l'amour(Renée Claude chante Léo Ferré)は1996年にシャルル・クロ・ディスク大賞を受賞しました。



Y'a une étoile  ひとつの星がある
Léo Ferré    レオ・フェレ


Salut, ma vieille copine la terre!
T'es fatiguée? Ben... nous aussi 注1
C'est pas des raisons pour faire des manières 注2
Tant qu'y'a l'soleil qui fait crédit 注3
Salut, ma vieille copine la terre!
Y'a une étoile au-d'ssus d'Paris
Qui m'a fait d'l'oeil la nuit dernière 注4
Ma vieille copine la terre
Et pendant c'temps tu dormais
Enroulée dans les bras de ma mélancolie
Pendant que je déambulais
Comme un oiseau blessé dans la nuit si jolie

  やあ、わが古き友、地球よ !
  君はくたびれたのかい?ああ…僕たちも同じさ
  だからといってもったいぶる理由にはならない
  掛け売りしてくれる太陽があるかぎりは
  やあ、わが古き友、地球よ !
  パリの上方にひとつの星があって
  昨夜、僕に目配せしたんだ
  わが古き友、地球よ
  そしてそのあいだ、君は眠っていた
  わが憂鬱のかいなに抱かれて
  僕が散歩しているあいだ
  とても美しい夜に傷ついた小鳥のように

Y a une étoile1


Salut, ma vieille copine la terre!
Dans tes jardins y a des soucis 注5
Qui font d'beaux printemps à la misère
Et d'jolies fleurs pour les fusils
Salut, ma vieille copine la terre!
Y'a une étoile au-d'ssus d'Paris
Qui m' a fait d'l'oeil la nuit dernière
Ma vieille copine la terre
Et toi pendant c'temps tu peinais
A charrier sur ton dos
Des continents d'misère
Pendant que l'soleil se dorait
Dans sa maison toute bleue
Pour s'refaire une lumière

  やあ、わが古き友、地球よ !
  君んちの庭にはいろんな心づかいがあり
  貧困には美しい春を
  銃に対しては花々をもたらす
  やあ、わが古き友、地球よ !
  パリの上方にひとつの星があって
  昨夜、僕に目配せしたんだ
  わが古き友、地球よ
  そして君はそのあいだ苦労していた
  背中に惨めな大陸を背負って
  太陽が彼の青い住居で
  光を取り戻そうと
  金色に輝いているあいだに

Y a une étoile2


Salut, ma vieille copine la terre!
Y'a des diamants qui font leur nid
En s'fichant pas mal de tes frontières 注6
Qu'il fasse jour, qu'il fasse nuit 注7
Salut, ma vieille copine la terre!
Y'a une étoile au-d'ssus d'Paris
Qui m'a fait d'l'oeil la nuit dernière
Ma vieille copine la terre
Si tu voulais bien en faucher deux ou trois
Ça pourrait faire une drôle de lumière 注8
Et mettre au front d'la société
Des diamants qu'on pourrait tailler à not'manière
Bonjour, ma vieille copine la terre!
Je te salue avec mes mains
Avec ma voix
Avec tout ce que je n'ai pas.

  やあ、わが古き友、地球よ !
  昼でも夜でも
  君が有する国境をなんらものともせずに
  みんなのねぐらを作るダイアモンドがあるんだよ
  パリの上方にひとつの星があって
  昨夜、僕に目配せしたんだ
  やあ、わが古き友、地球よ !
  もし君がそれを二つ三つ切り取ろうと望むなら
  それは不思議な光を発して
  世界の額にダイアモンドを飾ってくれ
  そのダイアモンドを僕たちのやり方でカットすることができるのさ
  こんにちは、わが古き友、地球よ !
  僕は 僕の手と
  僕の声と
  僕が持っていないすべての物で君に挨拶する。

Y a une étoile3


[注] 
1 ben=bien 間投詞として「よろしい、わかった、さて、それでは」などの意味。
2 faire des manière「気取る、もったいぶる」
3 faire crédit「掛け売りをする、支払いを猶予する、信用する」
4 faitre de l'oeil (à qn.)「(…に)目配せする、色目を使う、目をつける」
5 souciは「心配事、心づかい」だが、「キンセンカ」という花の名もかけている。リアンヌ・フォリーLiane Folyの「古き香りLes parfums d'autrefois」参照。des soucisは次行のquiの先行詞。
6 se ficher「…をばかにする、無視する」。pas mal「かなり、多く」。
7 queは仮定の意味で、動詞は接続法となる。
8 une drôle de 「妙な」




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2015
11.13

《東京ヴォーカルコンテスト》

5月6日に《東京シャンソンコンクール》を開催した《東京日仏文化サロン》が、11月13日に《東京ヴォーカルコンテスト》を開催しました。《ラテン・カンツォーネ部門》と《ジャズ部門》の2部門でおこなわれるコンテストです。
10月3日におこなわれた予備審査会の結果、32人の方が予選を通過し、その全員が11月13日の本選に出場されました。→東京日仏文化サロンのサイトに入賞者のお名前が発表されています。

1113vocal.jpg


Vocal.jpg



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2015
11.13

歌いながらEn chantant

Michel Sardou En Chantant


今回は、ミッシェル・サルドウーMichel Sardouの「歌いながらEn chantant」。1978のアルバム:Sardouに収録されました。このアルバムはJe voleというタイトルになり、またこの曲の成功によりEn chantantとなりました。作詞はセルドゥートピエール・ドラノエ Pierre Delanoë との共作で、作曲はイタリアの歌手・作曲家のトト・クトゥーニョToto Cutugno。「歌とともに」という邦題が一般的で、歌詞内容に合ってはいますが、歌詞中のこの言葉の訳としては用いにくいので、直訳で「歌いながら」としました。

サルドウーは、最も知られている「恋の病La maladie d'amour」をすでに取り上げています。



映画「エール!La Famille Bélier」のコーラス



En chantant   歌いながら
Michel Sardou  ミッシェル・サルドウー


En chantant
Quand j'étais petit garçon,
Je repassais mes leçons
En chantant
Et bien des années plus tard,
Je chassais mes idées noires 注1
En chantant.
C'est beaucoup moins inquiétant
De parler du mauvais temps
En chantant
Et c'est tellement plus mignon
De se faire traiter de con
En chanson.

  歌いながら
  僕は授業を復習していた
  歌いながら
  小さな子どもだった頃、  
  それから何年も経って、
  僕は暗い考えを追い払っていた
  歌いながら。
  さほど憂慮すべきことじゃない
  歌いながら
  不遇な時代を語るのは
  そしてずっとすてきなことさ
  歌いながら
  ばかにされていることは。

En chantant1


La vie c'est plus marrant,
C'est moins désespérant
En chantant.

  人生、それはもっと面白いもの、
  それほど絶望的なものじゃない
  歌っていれば。

La première fille de ma vie,
Dans la rue je l'ai suivie
En chantant.
Quand elle s'est déshabillée,
J'ai joué le vieil habitué
En chantant.
J'étais si content de moi
Que j'ai fait l'amour dix fois
En chantant
Mais je n'peux pas m'expliquer
Qu'au matin elle m'ait quitté
Enchantée.

  僕の初めての女の子、
  僕は道で彼女に付いて行った
  歌いながら。
  彼女が脱いだとき、
  僕は老練な男を装った
  歌いながら。
  僕はとても自己満足していた
  歌いながら
  10回セックスしたことに。
  だが僕には理解できなかった
  朝になって彼女が僕のもとを去って行ったことが
  満足げに。

L'amour c'est plus marrant,
C'est moins désespérant
En chantant.

  恋、それはもっと面白いもの、
  それほど絶望的なものじゃない
  歌っていれば。

Tous les hommes vont en galère
A la pêche ou à la guerre
En chantant.
La fleur au bout du fusil,
La victoire se gagne aussi
En chantant.
On ne parle à Jéhovah,
A Jupiter, à Bouddha
Qu'en chantant.
Quelles que soient nos opinions,
On fait sa révolution
En chanson.

  男たちは皆、ガレー船に乗って
  釣りにあるいは戦争に行く
  歌いながら。
  僕たちは、エホヴァに、
  ジュピターに、ブッダに
  歌いながらしか話しかけない。
  僕たちの考え方がどうであっても、
  自己変革するものさ
  歌いながら。

En chantant2


Le monde est plus marrant,
C'est moins désespérant
En chantant.

  世界、それはもっと面白いもの、
  それほど絶望的なものじゃない
  歌っていれば。

Puisqu'il faut mourir enfin,
Que ce soit côté jardin, 注2
En chantant.
Si ma femme a de la peine,
Que mes enfants la soutiennent
En chantant.
Quand j'irai revoir mon père
Qui m'attend les bras ouverts,
En chantant,
J'aimerais que sur la terre,
Tous mes bons copains m'enterrent
En chantant.

  そして最後は死ななきゃならないが、
  それはステージの下手であってほしいな、
  歌いながら。
  もしも僕の妻が悲嘆にくれていたら、
  子供たちが彼女を元気づけてくれるといい
  歌いながら。
  両腕を広げて僕を待っていてくれる父に、
  歌いながら、
  僕が再び会いに行った時に。
  僕の良き友たちが
  僕を地に埋葬してくれるよう願う
  歌いながら。

En chantant3


La mort c'est plus marrant,
C'est moins désespérant
En chantant.

  死、それはもっと面白いもの、
  それほど絶望的なものじゃない
  歌っていれば。

Quand j'étais petit garçon,
Je repassais mes leçons
En chantant
Et bien des années plus tard,
Je chassais mes idées noires
En chantant.
C'est beaucoup moins inquiétant
De parler du mauvais temps
En chantant
Et c'est tellement plus mignon
De se faire traiter de con
En chanson.

  歌いながら
  僕は授業を復習していた
  歌いながら
  小さな子どもだった頃、
  それから何年も経って、
  僕は暗い考えを追い払っていた
  歌いながら。
  さほど憂慮すべきことじゃない
  歌いながら
  不遇な時代を語るのは
  そしてずっとすてきなことさ
  歌いながら
  ばかにされていることは。

[注]
1 chasserは「追いかける」と「追い払う」の両義があり、ここは後者。noirは本来「黒い」だが、ここでは「陰気な」。avoir des idées noires「気がめいっている」という表現がある。
2 Que +sub.願望をあらわす。côté jardin「(舞台の)下手」、客席から見て左側。上手はcôté cour。人生をステージに例えた表現であろう。ピアノは下手に置かれるので、歌い手はその傍らにいるという意味合いか?あるいは、ただ脚韻を合わせるためで深い意味はないのか?




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2015
11.12

シャルメーヌCharmaine

Lucienne Delyle Charmaine


「シャルメーヌCharmaine」という美しいワルツは、1926年に作られた古い英語の曲(作曲:Ernö Rapée、作詞:Lew Pollack)で、マントヴァーニMantovani オーケストラの演奏でも知られています。これを1952年にルイ・ルマルシャンLouis Lemarchandとフェルナン・ヴィモンFernand Vimontがフランス語に翻案し、リュシエンヌ・ドリールLucienne Delyleが歌っています。
原曲には、Charmaineという名の女性を想う男性の立場の歌詞と、Charmaine自身の歌とした女性の立場の歌詞とがあります。フランス語版は、女性が歌うためのものですが、その中に男性が歌うCharmaineへの愛の歌が組み込まれています。

リュシエンヌ・ドリール



Charmaine     シャルメーヌ
Lucienne Delyle  リュシエンヌ・ドリール


Le plus beau moment de ma vie
Charmaine, c'est vous
C'est vous dont jamais je n'oublie
Les yeux si bleus si doux

  僕の生涯で最も美しい瞬間
  シャルメーヌ、それはあなただ
  それはあなただ、そのとても青くとても優しい目を
  僕がけっして忘れられない人は

Charmaine1.jpg


C'est vous qui malgré mes folies
Restez mon seul amour
La seule que j'aimais, que j'aime toujours
Charmaine, Charmaine, c'est vous.

  それはあなただ、僕の無分別にもかかわらず
  僕のただ一人の恋人でいてくれるのは
  僕が愛してきた、僕がずっと愛しているただ一人の人
  シャルメーヌ、シャルメーヌ、それはあなただ

Tous les amants ont leur chanson
J'avais la mienne aussi
Et si je pleure sans raison
L'amour qui s'est enfui

  恋人たちはみなそれぞれの歌をもっている
  私もまた自分の歌を持っていた
  そしてもし私が訳もなく泣くとしたら
  恋が行ってしまった時

Il m'est pourtant resté
Cet air qu'il me chantait

  でも私には残っている
  彼が私に歌ってくれたこの歌が

Charmaine2.jpg


Le plus beau roman de ma vie
Charmaine, c'est vous
C'est vous dont jamais je n'oublie
Les yeux si bleus si doux.

  僕の生涯で最も美しい瞬間
  シャルメーヌ、それはあなただ
  それはあなただ、そのとても青くとても優しい目を
  僕がけっして忘れられない人は

C'est vous qui malgré mes folies
Restez mon seul amour
La seule que j'aimais que j'aime toujours
Charmaine, Charmaine, c'est vous.

  それはあなただ、僕の無分別にもかかわらず
  僕のただ一人の恋人でいてくれるのは
  僕が愛してきた、僕がずっと愛しているただ一人の人
  シャルメーヌ、シャルメーヌ、それはあなただ

[注] Charmaine「シャルメーヌ」は女性の名前で、この語の入っている1・2・5・6節は、彼が歌ってくれた歌の内容。3・4節はCharmaine自身の立場の歌詞。

原曲はこちら。



フランク・シナトラFrank Sinatraも歌っています。



歌詞を付記します。シナトラは後半だけを繰り返しています。

I can't forget the night we met how bright were stars above
That precious memory lingers yet when you declared your love
and then you went away and now each night and day

I wonder why you keep me waiting, Charmaine, my Charmaine
I wonder when bluebirds are mating, will you come back again
I wonder if I keep on praying, will our dreams be the same
I wonder if you ever think of me too ..
I am waiting my Charmaine for you ...

女性ヴァージョン

You went away on dreary day I knew you had to go,
Mid tears and cheers I heard you say "Charmaine, I love you so"
Tho old years turn to new my heart keeps calling you

"I wonder why you keep me waiting" Charmaine cries in vain
"I wonder when bluebirds are mating, will you come back again
I wonder if I keep on praying, will our dreams by the same
I wonder if you ever think of me too"
Charmaine's waiting, just for you.


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2015
11.11

子供を抱いて(マルティーヌに)Prendre un enfant (à Martine)

Yves Duteil Tarentelle


イヴ・デュテイユYves Duteilは、ギターを弾きながら歌うシンガー・ソングラーターで、音楽活動のかたわらパリ郊外のプレシー・シュール・マルヌ村の村長も務めています。「私たちの言葉La langue de chez nous」という歌では、フランス語の美しさを歌っていますが、母国語を心から愛する彼の歌は、フランス語のなめらかな発音の最もいい見本だと、私は思っています。

今回取り上げる「子供を抱いて(マルティーヌに)Prendre un enfant (à Martine)」は77年のアルバム:Tarentelleに収録、レコード発明100周年を記念するSACEMアンケートで「世紀のヒット№1」に選ばれた曲。広く世界中で愛され、和訳も多くの人が試みていますが、私の訳も出すことにいたします。

再婚相手の娘を、本当に自分の子どもとして実感した時の感動を歌ったもので、その娘、マルティーヌに捧げる形で作られました。動詞の不定詞を連ねるというユニークな形態が、彼の実感をより普遍的なものへと昇華する働きをしています。のちに彼は、フランスの厚生・家族・障害者担当大臣からの依頼で「子どもの権利Tous les droits des enfants」という曲を、世界中の子どもの権利について子どもたち自身にもっと知ってもらいたいという願いを込めて作りました。子供たちの澄んだ声のコーラスが美しい曲です。



Prendre un enfant (à Martine)  子供を抱いて(マルティーヌに)
Yves Duteil             イヴ・デュテイユ


{instrumental}
Prendre un enfant par la main
Pour l'emmener vers demain,
Pour lui donner la confiance en son pas,
Prendre un enfant pour un roi.

Prendre un enfant dans ses bras 注1
Et pour la première fois,
Sécher ses larmes en étouffant de joie,  注2
Prendre un enfant dans ses bras.
  
  子供の手をとる
  明日へとみちびくために、
  自分の歩みに自信を持たせるために、
  子供を王様としてあつかう。
  子供を両腕に抱きしめる
  そして初めて、
  歓びにむせびながらその子の涙を乾かし、
  子供を両腕に抱きしめる。

Prendre un enfant 1


Prendre un enfant par le cœur
Pour soulager ses malheurs,
Tout doucement, sans parler, sans pudeur,
Prendre un enfant sur son cœur. 注3
Prendre un enfant dans ses bras
Mais pour la première fois,
Verser des larmes en étouffant sa joie,  注4
Prendre un enfant contre soi.

  子供の心を察する
  その子の不幸を和らげるために、
  とても優しく、言葉を用いず、ためらいもせずに、
  子供を胸に抱きしめる。
  子供を両腕に抱きしめる
  でも初めて、
  自分の歓びを抑えてその子のために涙を流し、
  子供を自分に引き寄せる。

Prendre un enfant 3


La la la…

Prendre un enfant par la main
Et lui chanter des refrains
Pour qu'il s'endorme à la tombée du jour,
Prendre un enfant par l'amour.
Prendre un enfant comme il vient
Et consoler ses chagrins,
Vivre sa vie des années, puis soudain,
Prendre un enfant par la main
En regardant tout au bout du chemin,
Prendre un enfant pour le sien.

  子供の手をとる
  そしてその子に歌を歌う
  日暮れにその子が眠りにつけるようにと、
  子供を愛でとらえる。
  子供をなすがままに受け入れ
  そしてその子の悲しみを慰め、
  何年も好き勝手に暮らしてきて、そして突然、
  子供の手をとる
  行く末をすべて見守りながら、
  子供を自分のものとして受け入れる。

Prendre un enfant 2


[注] 歌詞冒頭部分は動画に合わせ、instrumental(演奏)としたが、CDでは、女声のハミングである。
1 すべて、不定詞を用いた文になっており、主語(動作主)をあらわすとすればonである。3人称の代名詞がun enfantのものか、onのものかは文脈で判断するしかない。ここのses brasと、あとに出てくるsa joie, contre soi, sa vie, le sienはonのほうである。なお、enfant「子供」は男性名詞。特に女の子をあらわしたい場合に、une enfantが用いられることもある。
2 ジェロンディフの主語は、主文節の主語と一致するので、en étouffant de joie は、sécherする人が、歓びで息を詰まらせるのである。
3 sur son cœurは、先のpar le cœurが「心、ハート」であり、ここは「胸に」とした。
4 注1の部分と似た表現だが、deがsaに変わっており、自分の歓びを抑える意味となる。




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2015
11.10

雨が降ってもMême sous la pluie

Françoise Hardy MemeSousLaPluie


今回は、フランソワーズ・アルディーFrançoise Hardyの「雨が降ってもMême sous la pluie」というちょっと不思議なメロディーの曲。作詞:フランク・ジェラールFrank Gérald、作曲:トゥーカTuca。1971年のアルバム:La questionに収録されています。
「悲しい雨が」という邦題がついているようですが、直訳風の題名にしました。帰って来ない男を待つという内容です。



Même sous la pluie   雨が降っても
Françoise Hardy    フランソワーズ・アルディー


Même sous la pluie, dans le vent
Mon amour
Je t'attends
Mon amour
Je t'attends mon amour je t'attends
Même si la nuit, dans le temps 注1
Même au jour
Trop souvent
Mon amour
Je t'attends mon amour je t'attends

  雨が降っても、風が吹いても
  モナムール
  あなたを待つわ
  モナムール
  あなたを待つわ モナムール あなたを待つわ
  夜も、ずっと
  昼も
  たえず
  モナムール
  あなたを待つわ モナムール あなたを待つわ

Même sous la pluie2


Même si mon corps est mouillé mon amour
Il peut encore te brûler mon amour

  わたしの身体は濡れてしまっても モナムール
  あなたを燃やすことができるわ モナムール

Comme un oiseau dans le vent
Au retour du printemps 注2
Mon amour
Je t'attends mon amour je t'attends

  春がまた巡って来たときの
  風のなかの小鳥のように
  モナムール
  あなたを待つわ モナムール あなたを待つわ

Mais je pourrais t'oublier mon amour
Si trop longtemps j'attendais ton retour

  でもあなたを忘れるかも モナムール
  あなたの帰りをあんまり長く待っていたら

Même sous la pluie dans le vent
Je serai libre enfin 注3
Et pourtant
Je t'attends mon amour je t'attends

  雨が降っても風が吹いても
  わたしはやっぱりひとりでしょう
  だけど
  あなたを待つわ モナムール あなたを待つわ

Même sous la pluie1


[注]
1 dans le temps「かつては」の意味もあるが、ここでは継続を意味している。
2 au retour de「…から帰ると」の意味ではなく「…がまた戻って来た時に」。春が来て小鳥がまたやって来るようにあなたが帰って来るのを待つと言っている。
3 libreには「独身、特定の相手がいない」の意味もあり、あなたが帰って来ないということだろう。enfinは「結局は」「それでも」といった意味合い。




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2015
11.09

詩人の魂L'âme des poètes

Charles Trenet L’âme des poètes


「詩人の魂L'âme des poètes」はシャルル・トレネCharles Trenetの1951年の曲で、同年、Maurice Cam監督のBouquet de joieというフランス映画にトレネが本人の役で出演して歌いました。歌詞にあるように、トレネが亡くなったのちも、彼の作ったシャンソンはずっとずっと歌い継がれています。特にこの歌は、シャンソンの代名詞ともいえるほどに親しまれてきました。ほかには、イヴェット・ジローYvette Giraudやジャクリーヌ・フランソワJacqueline François、ジュリエット・グレコJuliette Grécoなどが歌っています。

トレネは、時により、歌詞を変えたり省いたりして歌うので、音源によりかなり違います。できるだけ元の形に近いと思われる動画を選びました。まず出だしの歌詞を言って曲を紹介し、3拍子の軽やかなリズムをジェスチャーで表現したり、緩急の差をつけたり…、また、最後の見上げる視線もいいですね。




映画:Bouquet de joieで歌っているシーン



L'âme des poètes  詩人の魂
Charles Trenet   シャルル・トレネ


Longtemps, longtemps, longtemps
Après que les poètes ont disparu
Leurs chansons courent encore dans les rues
La foule les chante un peu distraite
En ignorant le nom de l'auteur
Sans savoir pour qui battait son cœur 注1
Parfois on change un mot, une phrase
Et quand on est à court d'idées 注2
On fait la la la la la la
La la la la la la

  ずっと ずっと 長い間
  詩人たちが亡くなった後も
  彼らの歌はちまたに流れる
  人々はちょっとうわの空で歌う
  作者の名前も知らぬまま
  作者の心が誰のためにときめいたのかも知らずに
  ときには 言葉やフレーズを変えて
  歌詞を思いつかない時には
  人は ララララララ
  ララララララと

Trenet1.jpg


Longtemps, longtemps, longtemps
Après que les poètes ont disparu
Leurs chansons courent encore dans les rues
Un jour, peut-être, bien après moi
Un jour on chantera
Cet air pour bercer un chagrin
Ou quelqu'heureux destin
Fera-t-il vivre un vieux mendiant
Ou dormir un enfant
Ou quelque part au bord de l'eau 注3
Au printemps tournera-t-il sur un phono

  ずっと ずっと 長い間
  詩人たちが亡くなった後も
  彼らの歌はちまたに流れる
  いつか、たぶん、僕の後も
  いつか 人々は歌うだろう
  この旋律を 悲しみをいやそうと
  なにか幸せな運命を育もうと
  それは年老いた物乞いに生きる力を与えたり
  子供を寝かしつけたりするだろう
  あるいはどこかの水辺で
  春にプレーヤーの上で回るだろう

Longtemps, longtemps, longtemps
Après que les poètes ont disparu
Leur âme légère court encore dans les rues 注4
Leur âme légère, c’est leurs chansons
Qui rendent gais, qui rendent tristes
Filles et garçons
Bourgeois, artistes
Ou vagabonds.

  ずっと ずっと 長い間
  詩人たちが亡くなった後も
  彼らの軽やかな魂と彼らの歌は
  彼らの歌はちまたに流れる
  彼らの軽やかな魂 すなわち彼らの歌は
  陽気にし、悲しくもする
  娘たちや若者たち
  ブルジョワたち、芸術家たち
  あるいは放浪者たちを。

Lâme des poètes


Longtemps, longtemps, longtemps 注5
La la la la la la

  ずっと ずっと 長い間
  ララ ララ ララ

[注]
1 leur cœur (leurs cœurs?)と歌っている時もある。les poètes と合わせた表現になる。l'auteurと合わせるならson cœur。
2 être à court de「…が足りない」
3 この行と次の行が、Tournera-t-il au bord de l'eau / Au printemps sur un phonoとなっている歌詞もある。
4 この行と次の行が、Leur âme légère et leurs chansonsという1行になっている歌詞もある。
5 この部分は歌われないこともある。




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2015
11.08

この愛Cet amour

Poèmes dits par Serge Reggiani


ジャック・プレヴェールJacques Prévertの詩を歌詞とした曲は今までいくつか取り上げていますが、今回はセルジュ・レジアーニSerge Reggianiの歌う「この愛Cet amour」です。詩集「ことばParoles」(1946年)に収録された詩が歌詞になっています。作曲:ジョゼフ・コズマJoseph Kosma。1966年のアルバム:Poèmes dits par Serge Reggianiに入っています。レジアーニはプレヴェールに捧げたアルバムとして、1973年にもPoètes2&3を出していて、これにも収録されています。



コラ・ヴォケールCora Vaucairはレジアーニの歌とはまったく違っています。動画は私があらたに作りました。



ジャンヌ・モローJeanne Moreauの朗読



Cet amour    この愛
Serge Reggiani   セルジュ・レジアーニ


Cet amour
Si violent
Si fragile
Si tendre
Si désespéré
Cet amour
Beau comme le jour
Et mauvais comme le temps
Quand le temps est mauvais

  この愛は
  とても激しく
  とてももろく
  とても優しく
  とても絶望的だ
  この愛は
  陽の光のように美しく
  悪天候の
  天気のように不順だ

Cet amour si vrai
Cet amour si beau
Si heureux
Si joyeux
Et si dérisoire
Tremblant de peur comme un enfant dans le noir
Et si sûr de lui
Comme un homme tranquille au milieu de la nuit

  この愛は真実だ
  この愛は美しい
  とても幸せで
  とても楽しい
  そしてとても馬鹿げている
  暗がりにいる子どものように、怖がって震えている
  そしてまた真夜中に平然としている大人のように
  自信たっぷりだ

Cet amour5


Cet amour qui faisait peur aux autres
Qui les faisait parler
Qui les faisait blêmir
Cet amour guetté
Parce que nous le guettions
Traqué blessé piétiné achevé nié oublié
Parce que nous l’avons traqué blessé piétiné achevé nié oublié

  この愛は、ほかの人たちを恐れさせた
  彼らに勝手にしゃべらせ
  彼らを青ざめさせた
  この愛は狙われていた
  なぜなら、僕たちは、それをずっと待ち焦がれていたから
  追いつめられ、傷つき、踏みつけられ、息の根を止められ、否定され、忘れられた
  なぜなら、僕たちがそれを追いつめ、傷つけ、踏みつけ、息の根を止め、否定し、忘れ去ったから

Cet amour tout entier
Si vivant encore
Et tout ensoleillé
C’est le tien
C’est le mien
Celui qui a été
Cette chose toujours nouvelle
Et qui n’a pas changé
Aussi vrai qu’une plante
Aussi tremblante qu’un oiseau
Aussi chaude aussi vivant que l’été

  この愛は、まるごとそっくり
  いのちを吹き返し
  すっかり晴れやかになる
  それは君のものだ
  それは僕のものだ
  この愛は
  つねに新しいものだったし
  また変わることがなかった
  草木のようにしっかりしていて
  小鳥のようにおどおどし
  夏のように熱くて活気がある

Nous pouvons tous les deux
Aller et revenir
Nous pouvons oublier
Et puis nous rendormir
Nous réveiller souffrir vieillir
Nous endormir encore
Rêver à la mort
Nous éveiller sourire et rire
Et rajeunir

  僕たちは二人とも
  進むかも引き返すかもしれない
  僕たちは忘れるかも
  そしてそれから僕たちは眠りにつき
  僕たちは目覚め、苦労し、年老い
  僕たちはふたたび眠り
  ひたすら夢を見て
  僕たちは目覚め、ほほえみ、笑い
  そして若返るかも

Cet amour7


Notre amour reste là
Têtu comme une bourrique 注1
Vivant comme le désir
Cruel comme la mémoire
Bête comme les regrets
Tendre comme le souvenir
Froid comme le marbre
Beau comme le jour
Fragile comme un enfant
Il nous regarde en souriant
Et il nous parle sans rien dire
Et moi je l’écoute en tremblant

  僕たちの愛はそこにある
  雌ロバのようにやたら頑固で
  欲望のようになまなましく
  記憶のように狂おしく
  後悔のように愚かで
  思い出のように優しい
  大理石のように冷たく
  陽の光のように美しく
  子どものように傷つきやすい
  それは、ほほえみながら僕たちを見つめ
  そして何も言わずに僕たちに語りかける
  そして僕はそれを震えながら聴く

Et je crie
Je crie pour toi
Je crie pour moi
Je te supplie
Pour toi pour moi et pour tous ceux qui s’aiment
Et qui se sont aimés
Oui je lui crie
Pour toi pour moi et pour tous les autres
Que je ne connais pas

  そして僕は叫ぶ
  僕は君のために叫び
  僕自身のために叫ぶ
  お願いだ
  君のために、僕のために、愛し合う者
  そして愛し合った者すべてのために
  そうだよ、その愛に向かって僕は叫ぶ
  君のために、そして僕自身のために、また、
  僕が知り合わなかったほかの人たちみんなのために

Cet amour6


Reste là 注2
Lá où tu es
Lá où tu étais autrefois
Reste là
Ne bouge pas
Ne t’en va pas
Nous qui nous sommes aimés
Nous t’avons oublié
Toi ne nous oublie pas
Nous n’avions que toi sur la terre
Ne nous laisse pas devenir froids
Beaucoup plus loin toujours
Et n’importe où
Donne-nous signe de vie
Beaucoup plus tard au coin d’un bois
Dans la forêt de la mémoire
Surgis soudain
Tends-nous la main
Et sauve-nous.

  そこにいてよ
  おまえが今いるところに
  おまえがかつていたところに
  そこにいてよ
  動かないで
  行ってしまわないで
  愛し合った僕たち
  その僕たちはおまえを忘れたが
  おまえは僕たちのことを忘れない
  この地上で、僕たちにはおまえしかいなかった
  僕たちを冷たくなるままに放っておかないで
  ずっと遠くから、いつも
  そしてどこからでも
  生の証を僕たちに与えておくれ
  ずっとのちに、林の片隅に
  記憶の森の中に
  突然現れて
  僕たちに手を差しのべて
  そして、僕たちを救っておくれ。

[注]
1 (être) êtu comme une bourrique「やたらに頑固である」。être entété comme une bourriqueとも言う。
2 この節は叫ぶ(呼びかける)内容であり、toiすなわちcet amourに対する命令形となっている。前節のJe te supplieもcet amourに対する呼びかけ。それ以外のtoiは、自分の伴侶。




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2015
11.07

誰がおばあさんを殺したの?Qui a tué grand maman ?

Michel Polnareff Qui a tué grand maman


「誰がおばあさんを殺したの?Qui a tué grand maman ?」はミッシェル・ポルナレフMichel Polnareff を世に送り出し、70年に自殺して亡くなった音楽ディレクターのリュシアン・モリスLucien Morisseに捧げられた曲です。リュシアンはダリダDalidaの最初の夫で、5年間の同棲生活ののち結婚しますが、その結婚生活は数か月で破たんします。その後3年間、彼はあらゆる手を使って執拗にダリダの成功を阻もうとします。そして、力尽きて自殺します。ダリダと付き合った男性は4人自殺していますが、その2番目です。

Lucien Morisse


男性であるリュシアンをおばあさんと言うのは変な気がしますが、ポルナレフ自身を含め何人ものミュージシャンを育ててくれた彼を、花々を育ててきた優しいおばあさんに例える、とても悲しく美しいバラードです。



Qui a tué grand maman ?  誰がおばあさんを殺したの?
Michel Polnareff      ミッシェル・ポルナレフ


Il y avait du temps de grand-maman
Des fleurs qui poussaient dans son jardin
Le temps a passé, seules restent les pensées
Et dans tes mains il ne reste plus rien

  おばあさんの時代があった
  彼女の庭には花々が咲いていた
  時は過ぎて、想いだけが残り
  君の両手のなかにはもう何も残らない

Qui a tué grand maman1


{Refrain :}
Qui a tué grand-maman, est-c' le temps
Ou les hommes qui n'ont plus l'temps
D' passer le temps? 注1
La la la la la la...

  誰がおばあさんを殺したの?
  時代なのかあるいは
  余暇の時間を持たない人々なのか?
  ラ ラ ラ ラ ラ ラ…

Il y avait du temps de grand-maman
Du silence à écouter
Des branches sur les arbres, des feuilles sur les branches
Des oiseaux sur les feuilles et qui chantaient

  おばあさんの時代があった
  耳を傾けるべき静けさがあった
  木々の梢の、梢の葉の
  葉の上の小鳥たちのさえずりの

{Refrain}

Le bulldozer a tué grand-maman
Et changé ses fleurs en marteaux-piqueurs
Les oiseaux pour chanter ne trouv' que des chantiers
Est-ce pour cela que l'on te pleure?

  ブルドーザーがおばあさんを殺し
  花々を土木作業員たちに替えてしまった
  小鳥たちは、さえずろうに、工事現場しかない
  こうしたことで君は泣かされているんだね?

Qui a tué grand maman2


{Refrain}

[注] le temps de passer le temps「時間を過ごす時間」は「馬から落ちて落馬する」風の重言だが、passe- temps「余暇・暇つぶし」を開いた表現として訳した。



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2015
11.06

カルティエ・ラタンQuartier latin

Charles Trenet Quartier Latin


前回はレオ・フェレLéo Ferréの「カルティエ・ラタンQuartier latin」でしたが、シャルル・トレネCharles Trenetも同じタイトルの曲を歌っていますのでご紹介しましょう。1945年にトレネ自身が作詞・作曲しました。



Quartier latin        カルティエ・ラタン
Charles Trenet        シャルル・トレネ


Si Montmartre est moins jeune,
Si Montparnasse est triste,
Si les Champs-Élysées ne brillent plus la nuit,
Si, dans les bals musette, on n'voit plus de touristes,
Si, place de l'Opéra, on n'entend plus de bruit,
Si, Boul'vard Saint-Germain, il n'y a plus de douairières,
Si la fête à Neu-Neu n'vend plus de Berlingots  注1
Si la bourse n'est plus le centre des affaires, 注2
Il nous reste pour nous un coin très Parigot : 注3

  もしモンマルトルがあまり若くなくなっても、
  もしモンパルナスがさびれても、
  もしシャンゼリゼがもう夜に輝かなくなっても、
  もし、ミュゼットのダンスホールで、旅行者をもう見かけなくなっても、
  もし、オペラ広場で、もう物音が聞こえなくなっても、
  もし、サンジェルマン大通りに、年老いたご婦人たちがもういなくなっても、
  もしヌーヌーのお祭で薄荷飴がもう売られなくなっても、
  もし財布の中身がもはや問題の中心でなくなっても
  僕たちにはとってもパリっこらしい片隅が残っている


Quartier latin, chez toi, rien n'a changé.
Quartier latin toujours aussi léger,
Quartier latin, pays de mes folles amours,
Quartier latin où j'ai connu mes meilleurs jours,
J'ai retrouvé ma chambre sous les toits
Dont je rêvais : j'étais heureux là-bas
Car je vivais amoureux, sans souci du lendemain,
Quartier latin, quartier latin !

  カルティエ・ラタン、君んちは、何にも変わっちゃいない
  カルティエ・ラタンはいつだって軽やかだ、
  カルティエ・ラタン、僕の狂おしい恋の地、
  カルティエ・ラタンで僕は最良の日々を得た
  僕は屋根の下の自分の部屋を見いだした
  僕が夢見ていたことだった:そこで僕はしあわせだった
  なぜなら僕は愛にあふれて生きていたから、明日のことなど心配せずに
  カルティエ・ラタン、カルティエ・ラタン

Quartier Latin5


Quand on quitt' sa province et qu'un jour on retrouve
Un Paris qui vivait à l'ombre des souv'nirs,
Quand on revoit la Sein', les Tuil'ries et le Louvre,
On sent au fond du cœur un frisson de plaisir.
Quand on r 'voit le Châ'let où, pour vingt sous, mesdames,
On faisait tranquill'ment le tour du monde, assis,
Et la plac'Saint-Michel, le Boul'Mich',ô Paname, 注4
Je suis à toi ce soir, adieu tous mes soucis...

  ひとが自分の田舎を去り、ある日、再び見いだす
  記憶の陰で生きていたひとつのパリを、
  ひとがセーヌ川や、チュイルリーやルーヴルを再び見たとき
  心の底で喜びの震えを感じる。
  ひとがシャトレを再び見たときそこで、20スーで、奥さん方、
  静かに世界一周したんだ、座ってね、
  そしてサン=ミッシェル広場、サン=ミッシェル通り、おおパナム、
  今夜、僕は君のものだ、心配ごとよすべてさよなら…

Quartier latin4


Quartier latin, chez toi, rien n'a changé.
Quartier latin toujours aussi léger,
Quartier latin, pays de mes folles amours,
Quartier latin où j'ai connu mes meilleurs jours,

Oui, j'ai retrouvé ma chambre sous les toits
Dont je rêvais : j'étais heureux là-bas
Car je vivais amoureux, sans souci du lendemain,
Quartier latin, quartier latin !

  カルティエ・ラタン、君んちは、何にも変わっちゃいない
  カルティエ・ラタンはいつだって軽やかだ、
  カルティエ・ラタン、僕の狂おしい恋の地、
  カルティエ・ラタンで僕は最良の日々を得た
  そうさ、僕は屋根の下の自分の部屋を見いだした
  僕が夢見ていたことだった:そこで僕はしあわせだった
  なぜなら僕は愛にあふれて生きていたから、明日のことなど心配せずに
  カルティエ・ラタン、カルティエ・ラタン

[注] トレネは、この歌詞のうちの一部しか歌っていない。歌っていない部分を色分けした。
1 la fête à Neu-Neu=la fête de Neuilly すなわち、パリ近郊の Neuilly-sur-Seine「ヌイイ=シュル=セーヌ」でおこなわれるお祭。
Berlingot「ピラミッド形のはっか入りキャンディー」
2 bourse「財布、(財布の)金」
3 Parigot「パリっ子(の)」
4 Boul'Mich'=Boulevard Saint-Michel「サン=ミッシェル通り」。Paname「パナム」はパリの愛称。




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2015
11.05

カルティエ・ラタンQuartier latin

レオ・フェレLéo Ferréの「カルティエ・ラタンQuartier latin」は、学生時代に過ごしたカルティエ・ラタンを懐かしむ内容の歌詞で、ギター伴奏のたいへん美しい曲です。1974年に歌った曲ですが、2003年の Léo Chante Ferréというアルバムに収録されています。

カルティエ・ラタンは、セーヌ川左岸の5区と6区にまたがる地域で、5区にあるソルボンヌ大学をはじめとして多くの大学や文化施設があり、学生街の代名詞ともされます。前回の曲の題名とされているサンジェルマン・デ・プレSaint-Germain-des-Présは6区にあたる区域で、一部重なっています。



Quartier latin           カルティエ・ラタン
Léo Ferré             レオ・フェレ


Ce quartier
Qui résonne
Dans ma tête

  私の脳裏で
  鳴り響いている
  この地区

Ce passé
Qui me sonne
Et me guette

  私を呼び
  私を見張っている
  この過去

Ce Boul´ Mich´ 注1
Qu´a d´la ligne 注2
En automne

  秋には
  スリムになる
  このサンミッシェル大通り

Quartier latin1


Ces sandwichs 注3
Qui s´alignent
Monotones

  一様に
  並べられた
  これらのサンドイッチ

Quartier latin
Quartier latin
Quartier latin

  カルティエ・ラタン
  カルティエ・ラタン
  カルティエ・ラタン

Chez Dupont 注4
Ça traînait
La journée

  デュポンの店では
  一日が
  だらだらと過ぎていった

C´était l´pont
Qui durait
Tout´ l´année

  一年中
  じっとしているもの
  それは橋だった

Quartier latin3


L´examen
Ça tombait 注5
Comme un´ tête

  試験
  それはどたまみたいに
  ふいにやって来たものだ

Au matin
Sans chiqué
Ni trompettes

  朝に
  もったいぶらず
  ラッパも鳴らさず

Quartier latin
Quartier latin
Quartier latin

  カルティエ・ラタン
  カルティエ・ラタン
  カルティエ・ラタン

Cett´ frangine
Qui vendait
Sa bohèm

  自由奔放な生き方を
  売り物にしていた
  この女

Et ce spleen
Qui traînait
Dans sa traîne

  そして彼女の裳すそに
  漂う
  この憂鬱

J´avais rien
Ni regrets
Ni principes

  僕は何も持たなかった
  後悔も
  信条も

Les putains
Ça m´prenait
Comm´ la grippe

  売女たち
  そいつらは僕を
  流感みたいにみなした

Quartier latin
Quartier latin
Quartier latin

  カルティエ・ラタン
  カルティエ・ラタン
  カルティエ・ラタン

Ce vieux prof
Qui parlait
A son aise 注6

  気楽な様子で
  講義していた
  この老教授

Très bien, sauf
Que c´était
Pour les chaises

  結構だ、
  それが椅子に向かってだったら
  話は別だが

Aujourd´hui
Un diplôme
Ça s´rupine 注7

  今日では
  修了証書は
  やすやす手に入る

Aux amphis
Tu point´s comme
A l´usine

  大教室で
  君は出席を記入する
  工場で出勤を記入するように

Quartier latin6


Quartier latin
Quartier latin
Quartier latin

  カルティエ・ラタン
  カルティエ・ラタン
  カルティエ・ラタン

Les années
Ça dépasse
Comme une ombre

  年月
  それは通り過ぎて行く
  影のように

Le passé
Ça repasse
Et tu sombres

  過去
  それは戻って来る
  そして君は打ち沈む

Rue Soufflot
Les vitrines
Font la gueule 注8

  スフロ通りで
  ショーウィンドーたちは
  あかんべえをする

Sans un mot
J´me débine 注9
J´ferm´ ma gueule

  ひと言も言わず
  僕はずらかる
  僕は口を閉ざす

Je r´trouv´ plus rien
Tell´ment c´est loin
L´Quartier latin

  僕はこれ以上何も思い出せない
  こんなに遠くなってしまった
  カルティエ・ラタンは

Quartier latin2


[注]
1 Boul´ Mich´は、カルティエ・ラタンの真ん中を通るLe boulevard Saint-Michel「サンミッシェル大通り」の略。
2 avoir de la ligne「スリムなスタイルをしている」。並木の木々が葉を落としてスリムになることを言っている。
3 ユケット通りには、ギリシャ風のグリックあるいはトルコ風のケバブなどのサンドイッチの店がある。
4 ライターや高級品のS.T.Dupont「デュポン社」の製品を販売している店のことであろう。
5 Ça tomber「ふいにやって来る」。Comme un´ tête「頭みたいに」というのはちょっと分からない。次の節もこの続き。
6 à son aise「くつろいで、ゆったりと」
7 rupinerは「試験に通る、好成績をあげる」なので、se rupinerは「試験や成績がうまくいく、証書が手に入る」ということだろう。
8 faire la gueule「ふくれっ面をする、嫌な顔をする」
9 débiner は「けなす、くさす」だが、se débinerは「逃げる、ずらかる」。




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2015
11.04

サン=ジェルマン=デ=プレでÀ saint-germain-des-Prés

Léo Ferré À Saint-Germain-des-Prés


アラン・スーションAlain Souchonの「リヴ・ゴーシュRive Gauche」にはリヴ・ゴーシュにゆかりのさまざまな人名が出てくるなかで、「老いたフェレの叫びはまるで嵐だ(Du vieux Ferré les cris la tempête)」というフレーズがありましたが、フェレLéo Ferréは、リヴ・ゴーシュの地名を冠した「サン=ジェルマン=デ=プレでÀ saint-germain-des-Prés」や「カルティエ・ラタンQuartier latin」を歌っています。この2曲を続けて取り上げましょう。



今回は「サン=ジェルマン=デ=プレでÀ Saint-Germain-des-Prés」(1961年)。前回の曲「サンジェルマンへおいでよViens à Saint-Germain」と同様、サン=ジェルマン=デ=プレを歌った曲ですが、まるで違います。この曲には、ヴェルレーヌPaul Marie Verlaine(1844-1896)、アポリネールGuillaume Apollinaire(1880-1918)、ラシーヌJean Racine(1639-1699)、ヴァレリーAmbroise Paul Toussaint Jules Valéry(1871-1945)といった詩人たちの名前が出てきます。彼らはフェレFerré(1916-1993)よりひと時代前の詩人たち。「彼らとランデヴーする」と表現して往時の詩人たちへの共感を示しているようでありながら、実は、サン=ジェルマン=デ=プレで現在(60年代に)生きている芸術家たちのことを言っているのでしょう。

À Saint-Germain-des-Prés  サン=ジェルマン=デ=プレで
Léo Ferré            レオ・フェレ

À saint-germain-des-Prés1
J´habite à Saint-Germain-des-Prés
Et chaque soir j´ai rendez-vous
Avec Verlaine
Ce vieux pierrot n´a pas changé
Et pour courir le guilledou 注1
Près de la Seine
Souvent l´on est flanqué 注2
D´Apollinaire
Qui s´en vient musarder
Chez nos misères
C´est bête, on voulait s´amuser
Mais c´est raté 注3
On était trop fauchés

  私はサン=ジェルマン=デ=プレに住んでいる
  そして毎夜私はランデヴーする
  ヴェルレーヌと
  この年老いたピエロは変わっていない
  そして女をあさるために
  セーヌ河のほとりで
  僕たちはしばしばアポリネールを同伴する
  彼はぶらっと訪ねて来たんだ
  僕たちの侘住居に
  ちくしょう、僕たちは楽しくやりたかった
  だがしくじったんだ
  僕たちはあまりにも文無しだった
À saint-germain-des-Prés2
Regardez-les tous ces voyous
Tous ces poètes de deux sous
Et leur teint blême
Regardez-les tous ces fauchés
Qui font semblant de ne jamais 注4
Finir la semaine
Ils sont riches à crever 注5
D´ailleurs ils crèvent 注6
Tous ces rimeurs fauchés
Font bien des rêves quand même 注7
Ils parlent le latin
Et n´ont plus faim
A Saint-Germain-des-Prés

  この与太者たちみんなをご覧よ
  この三文詩人たちみんなを
  そしてその青白い顔色を
  週日が終わらないふりをしている
  この文無したちみんなをご覧よ
  彼らはとんでもなく豊かだ
  しかも死にそうなんだ
  文無しのへぼ詩人たちはみんな
  なおかつ夢想にふけるのさ
  彼らはラテン語を話し
  もう飢えちゃいない
  サン=ジェルマン=デ=プレじゃ

Si vous passez rue de l´Abbaye
Rue Saint-Benoît, rue Visconti 注8
Près de la Seine
Regardez le monsieur qui sourit
C´est Jean Racine ou Valéry
Peut-être Verlaine
À saint-germain-des-Prés3
  もしもあなたがたがアベイユ通りを
  サン=ブノワ通りを、ヴィスコンティ通りを
  セーヌ河の近くのこれらの通りを通りかかったら
  微笑んでいる男性をご覧なさい
  それはジャン・ラシーヌあるいはヴァレリー
  たぶんヴェルレーヌだ

Alors vous comprendrez,
Gens de passage,
Pourquoi ces grands fauchés
Font du tapage 注9
C´est bête
Il fallait y penser
Saluons-les
A Saint-Germain-des-Prés

  さてあなたがたはお分かりだよね、
  通りかかった方々、
  なぜこれらの偉大なる与太者たちが
  人騒がせをやらかすのか
  しょうがないさ
  考えてみなきゃ
  彼らを歓迎しようって
  サン=ジェルマン=デ=プレで

[注]
1 courir le guilledou「女(男)をあさる」
2 flanquer「付き合う、同伴する」。ここでは受動態で用いられているが、都合で能動的に訳した。
3 c´est raté:ここも受動態を能動的に訳した。
4 faire semblant de+inf.「…するふりをする」。finir la semaine「平日を終える」つまり「休日を迎える」ことがけっしてないふりをする。ずっと仕事をしているふりをする、ということか?
5 à crever「過度に、異常に」
6 d´ailleurs「そのうえ、しかも」
7 faire des rêves「夢想にふける」
8 3つの通りはすべてサン=ジェルマン=デ=プレのセーヌ河の近くにある。
9 faire du tapage「騒動を引き起こす」




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2015
11.03

《第5回 アミカル・コンサート》

11月3日(火祝)に中目黒のライブハウス「トライ」にて、《第5回 アミカル・コンサート》をおこないます。当日券あります。

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曲目をご紹介しましょう。すべて、私の新旧のブログおよび宇藤カザンのブログで取り上げています。クリックするとページが開きます。

Je ne veux pas travailler 働きたくないの
Les feuilles mortes 枯葉
La javanaise ラ・ジャヴァネーズ
Mon mec à moi モン・メッカ・モワ
Le gondolier ゴンドリエ
Un petit poisson, un petit oiseau 小さな魚と小さな鳥
Ces petits riens ささいなこと
L’été 42 おもいでの夏
Je suis seule ce soir 今宵ただひとり
Un jour, tu verras いつの日にか
Les hommes qui passent 通り過ぎる男たち
T’en vas pas 行かないで
Tous les visages de l'amour 忘れじの面影
Et maintenant そして今は
La mer ラ・メール
Vie violence ヴィー・ヴィオランス
Ne me quitte pas 行かないで
Le bal des Laze ラーズ家の舞踏会
Lettre à France フランスへの手紙
Paris, tu m'as pris dans tes bras パリに抱かれて
Paris sera toujour Paris パリはパリ
Boum ! ブン!
Complainte de la Seine セーヌ哀歌
Non, je ne regrette rien 水に流して
La belle histoire d'amour 美しい恋の物語
Mes emmerdes うんざりな事(想い出を見つめて)
Garde la dernière danse pour moi ラストダンスは私に
Je l'aime à mourir 死ぬほど愛する
J'oublie 忘却
Aranjuez mon amour わが心のアランフェス
Je suis malade 恋に病んで
Ave Maria アヴェ・マリア
Mademoiselle chante le blues マドモワゼルはブルースを歌う
Padam…Padam… パダム…パダム…
Les parapluies de Cherbourg シェルブールの雨傘


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2015
11.03

サンジェルマンへおいでよViens à Saint-Germain

Dany Brillant Viens à Saint Germain


今回は、チュニジア出身のシンガー・ソングライターで、俳優でもあるダニー・ブリアン Dany Brillantが作詞・作曲し自分でギターを弾いて歌った「サンジェルマンへおいでよViens à Saint-Germain」(1991年)。ファーストアルバム:C'est ça qui est bonに収録されています。とてもノリのいい曲で、歌いたくなる人が多いようですが、歌詞を知ったらちょいと躊躇するかも。ま、聴いて分かる人はあまりいないから平気で歌って大丈夫でしょう。

ジュリエット・グレコJuliette Grécoが歌った「あとには何もないIl n'y a plus d'après」、そして、ニコレッタNicolettaの「想い出のサン=ジェルマン=デ=プレOù Es-tu passé mon Saint-Germain-des-Prés」は、サン=ジェルマン=デ=プレの様変わりを歌った歌でしたね。

サン=ジェルマン=デ=プレは、パリの右岸の6区に位置する地区で、その中心にはサン=ジェルマン=デ=プレ教会があります。第二次世界大戦後、サン=ジェルマン=デ=プレ地区はパリの知的・文化活動の一大中心地となり、多くの哲学者、著述家、俳優、映画監督、音楽家などの文化人がレ・ドゥ・マゴLes Deux MagotsやCafé de Floreカフェ・ドゥ・フロールCafé de Floreといったカフェやリップ:Lippなどのブラッスリーに集りました。ジャン=ポール・サルトルJean-Paul Sartre 、シモーヌ・ド・ボーヴォワールSimone de Beauvoir、ジュリエット・グレコ Juliette Gréco、ボリス・ヴィアンBoris Vian、ジャン=リュック・ゴダールJean-Luc Godard、フランソワ・トリュフォーFrançois Truffaut、ジャック・プレヴェールJacques Prévert、ジャコメッティGiacomettiなどです。

この曲では、サン=ジェルマン=デ=プレは「知的・文化活動」の中心地、というよりは、「前衛芸術」の活動の場、「若者のエネルギー」の燃焼の場のように描かれています。「哲学を語る」ということもそのなかに含めてのこと。



Viens à Saint-Germain   サンジェルマンへおいでよ
Dany Brillant         ダニー・ブリアン


Tous les samedis après minuit
On se retrouve près de l'île Saint-Louis
Transi de joie et de folie
Pour y parler philosophie

  土曜日の真夜中過ぎにいつも
  喜びと無分別でハイになって
  俺たちゃサン=ルイ島の近くで会うんだ
  そこで哲学を語るためにね

C'est là que ma jeunesse explose
Que les instruments se mettent à hurler
Dans la chaleur et la fumée
Jaillit le moment où l'on ose

  それはそこさ、俺の青春がはじけ
  楽器がうなり始めるのは
  熱気とタバコの煙の中で
  俺たちがことを起こす瞬間が現れる

Si t'as pas d'imagination
Mieux vaut que tu restes à la maison
Ici c'est un endroit sacré
Le mot maître c'est improviser

  もし君が想像力を持ち合わせていないなら
  家にいたほうがましだぜ
  ここは神聖な場所なんだから
  範とすべき言葉は即興さ

Allez viens, viens à Saint-Germain
Allez viens, viens à Saint-Germain

  さあおいでよ、サンジェルマンにおいでよ
  さあおいでよ、サンジェルマンにおいでよ

Frivole ardeur, rire sans fin
C'est d'ivresse que nous avons faim
Parler, chanter et puis s'aimer
On l'avait un peu oublié

  たわいない情熱、際限ない笑い
  俺たちが餓えているのは陶酔なんだ
  語ること、歌うこと、それから愛し合うこと
  そんなのはちょいと忘れてた

Viens à Saint Germain3


On est fou car on a vingt ans
Et on se fout éperdument
De se qui adviendra dans dix ans
Vive la vie, vive l'instant

  みんな狂ってるのさ、だって青春なんだぜ
  10年後に起こる事なんか
  俺たちゃまったく気にしない
  人生万歳、今のこの瞬間万歳

Les jupes sont déboutonnées
Les filles ne pensent qu'a être aimées
Les garçons ont les cheveux longs
Et déboutonnent leurs pantalons

  スカートのボタンを外して
  女の子たちは愛されることしか考えない
  男の子たちは長髪で
  ズボンのボタンを外すんだ

Allez viens, viens, viens à Saint-Germain
Allez viens, viens, viens à Saint-Germain

  さあおいでよ、おいで、サンジェルマンへおいでよ
  さあおいでよ、おいで、サンジェルマンへおいでよ

Allez viens, viens, viens
Allez viens, viens, viens
Allez viens, viens, viens à Saint-Germain

  さあおいでよ、おいで、おいで
  さあおいでよ、おいで、おいで
  さあおいでよ、おいで、サンジェルマンへおいでよ

Laisse les gens aux courtes idées
Avec leurs cervelles étriquées
Leurs faces épaisses et rassurées
Et viens à Saint-Germain-des-Prés

  脳ミソの足りない
  鈍重で安心しきった面構えの
  了見の狭いやつらはほっといてさ
  サン=ジェルマン=デ=プレへおいでよ

Viens à Saint Germain1


Allez viens, viens, viens à Saint-Germain
Allez viens, viens, viens à Saint-Germain

  さあおいでよ、おいで、サンジェルマンへおいでよ
  さあおいでよ、おいで、サンジェルマンへおいでよ

Allez viens, viens, viens
Allez viens, viens, viens
Allez viens, viens, viens à Saint-Germain

  さあおいでよ、おいで、おいで
  さあおいでよ、おいで、おいで
  さあおいでよ、おいで、サンジェルマンへおいでよ

Allez viens
Allez viens
Allez viens à Saint-Germain

  さあおいでよ
  さあおいでよ
  サンジェルマンへおいでよ

[注] タイトルと歌詞で、Saint-Germain-des-PrésをSaint-Germainとはしょっている。その訳語はサン=ジェルマンとはせず、サンジェルマンとした。


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2015
11.02

ささいなことCes petits riens

Catherine Deneuve Ces petits riens


カトリーヌ・ドヌーヴCatherine Deneuveの曲は、2002年の映画「8人の女たちHuit Femmes」で歌った「あなたはけっしてToi jamais」は先に取り上げていますが、1964年の「シェルブールの雨傘Les parapluies de Cherbourg」や、「デルフィーヌの歌La chanson de Delphine」など1967年の「ロシュフォールの恋人たちLes Demoiselles de Rochefort」の曲は、いわゆる口パクでした。
しかしその後、彼女の歌唱力がゲンズブールによって引き出されたようで、1981年に、セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgが作った曲を歌ったアルバムSouviens-toi de m'oublierを出しました。また、ドヌーヴはジェーン・バーキンJane Birkinと別れて落ち込んでいたゲンズブールを支える良き友人だったようです。このアルバムのなかの2曲はゲンズブールとデュオで歌っています。1曲はアルバムのタイトル名の曲で、もう1曲は今回取り上げる「ささいなことCes petits riens」です。ゲンズブール自身の歌はずっと以前の1964年のアルバム:Gainsbourg Percussionsに収録されていました。

カトリーヌ・ドヌーヴ&セルジュ・ゲンズブール



ステイシー・ケントStacey Kent




フランソワーズ・アルディーFrançoise Hardy



ザーズZazも歌っています。



Ces petits riens   ささいなこと
Catherine Deneuve & Serge Gainsbourg
              カトリーヌ・ドヌーヴ&セルジュ・ゲンズブール


Mieux vaut n'penser à rien
Que n'pas penser du tout
Rien c'est déjà
Rien c'est déjà beaucoup
On se souvient de rien
Et puisqu'on oublie tout
Rien c'est bien mieux
Rien c'est bien mieux que tout

  何も思わないほうが
  全く思わないよりもいい
  何もというのはそれだけでも大したことよ
  私たちは何も思い出さない
  そして私たちは全て忘れるから
  何もというのはとてもいいこと
  何もが全てよりずっといいわ

Mieux vaut n'penser à rien
Que de penser à vous
Ça n'me vaut rien
Ça n'me vaut rien du tout
Comme si de rien 注1
N'était je pense à tous
Ces petits riens
Qui me venaient de vous

  何も思わないほうが
  あなたのことを思うよりもいい
  それは私にとって何にもならない
  私にとって全く何にもならないのよ
  まるで何ごともなかったかの
  ように私は思う
  あなたが私にもたらした
  こうした何でもないこと全てを

Ces petits riens4


Si c'était trois fois rien
Trois fois rien entre nous
Evidemment
Ça ne fait pas beaucoup
Ce sont ces petits riens
Que j'ai mis bout à bout 注2
Ces petits riens
Qui me venaient de vous

  もしそれが3倍も何でもなかったら
  私たちの関係は3倍も何でもなかったということよ
  もちろん
  それは大したものにはならない
  私が積み重ねたのは
  こうした何でもないこと
  あなたが私にもたらした
  こうした何でもないことなのよ

Mieux vaut pleurer de rien
Que de rire de tout
Pleurer pour un rien
C'est déjà beaucoup
Mais vous vous n'avez rien
Dans le cœur et j'avoue
Je vous envie
Je vous en veux beaucoup

  すべてを笑うより
  何でもないことに泣くほうがいいわ
  ひとつの何でもないことに泣くこと
  それだけでも大したことよ
  だがあなたは何も
  心に感じないのね でも私は正直言って
  あなたを羨み
  あなたをとても恨むわ

Ces petits riens2


Ce sont ces petits riens
Qui me venaient de vous
Les voulez-vous ?
Tenez ! Que voulez-vous ?
Moi je ne veux pour rien 注3
Au monde plus rien de vous
Pour être à vous
Faut être à moitié fou.

  あなたが私にもたらしたもの
  それはこうした何でもないこと
  あなたはそれを望むの?
  もって行ってよ!あなたは何を望むの?
  私は何もただじゃ望まない
  この世であなたからはもう何も
  あなたのものになるには
  半狂乱にならなきゃならないから。

[注] 「ささいなこと」という既存の邦題を採用したが、歌詞中のces petits riensは文脈上「こうした何でもないこと」と訳した。デュオのパート割りは示していない。
1 Comme si de rien n'était「何事もなかったかのように」
2 bout à bout「端と端を合わせて」「加えて、足して」
3 pour rien「無料で」「わけもなく」



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