2015
10.31

行かないで(彼と彼女のソネット)T'en va pas

elsa.jpg


「行かないで(彼と彼女のソネット)T'en va pas」はジャック・ブレルJacques Brelが歌う「行かないでNe me quitte pas」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-121.htmlとは別の曲です。当時13歳のエルザ・ランギーニElsa Lunghiniが、映画「悲しみのヴァイオリンLa Femme de ma vie」(監督:レジス・ヴァルニエRegis Wargnier。ジェーン・バーキンJane Birkin主演。)に出演し、そのなかで歌った曲。「哀しみのアダージョ(副題:彼と彼女のソネット)」という邦題がつけられ、ピエール・ポルトPierre Porteによる演奏でも知られています。



歌詞はちょっと複雑な映画の内容と一致して、出て行こうとする父親(というより母親の恋人)に「行かないで」と言う、娘の言葉です。原田知世の日本語のカバーもYouTubeで見られますが、男と女の話に変えられています。

また、レーモン・ルフェーヴルRaymond Lefèvreにも「哀しみのアダージョ」という同名の曲があり、こちらは、映画「寄宿舎(副題:悲しみの天使)」の主題曲で、もともと、スペインのPop Topsが歌っていた曲で、そのまた原曲はスペインのミカエル・ヴァケスMichael Vacquezによるアダージョ・カルディナルAdajio Cardinal。
そして、マルティーヌ・クレマンソーMartine Clémenceauが、そのアダージョ・カルディナルをフランス語で歌っています。このブログですでに取り上げた「アダージョ・カルディナル(哀愁のアダージョ)Adajo cardinal」です。

このように、「哀しみのアダージョ」には別曲があることですし、ここでは、原名の直訳に副題を添えて表記しました。

エルザは、史上最年少でパリのオランピア劇場でのコンサートを開き、また、フランスのヒット・チャート第1位を史上最年少で獲得した歌手ですが、日本ではあまり知られていません。デヴュー当時、ヴァネッサ・パラディVanessa Paradisとよく比較されたようですが、その後はヴァネッサのほうがよく知られるようになりました。

T'en va pas   行かないで(彼と彼女のソネット)
Elsa Lunghini  エルザ・ランギーニ


T'en va pas 注1
Si tu l'aimes, t'en va pas 注2
Papa si tu l'aimes dis-lui
Qu'elle est la femme de ta vie vie vie
Papa ne t'en va pas
On peut pas vivre sans toi 注3
T'en va pas au bout d'la nuit

  行かないで
  彼女を愛してるなら、行かないで
  パパ、彼女を愛してるなら、言って
  生涯かけて愛した女性だと
  パパ、行かないで
  あなたなしには生きていけないわ
  行かないで、夜の終わりに

Ten va pas1


Nuit tu me fais peur 注4
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur
Il est parti sans moi
On ira plus au cine tous les trois

  夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに
  彼はわたしを置いて行ってしまった
  もう三人で映画館に行くことはないのね

Nuit tu me fais peur
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur
Il est parti sans moi
Papa si tu pensais un peu a moi 注5

  夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに
  彼はわたしを置いて行ってしまった
  パパ、ちょっとはわたしのことも考えてほしいわ

{instrumental}

Où tu vas, quand tu t'en va d'ici?
J'arrive pas a vivre sans toi
Avec la femme de ta vie vie vie
Papa fais pas d'connerie
Quand on s'aime on s'en va pas 注6
On ne part pas en pleine nuit

  あなたはここから立ち去って、どこへ行くの?
  あなたなしで生きていけないわ
  あなたが命懸けで愛した女性とともに
  パパ、ばかなことをしないで
  お互い愛し合ってるのなら、行かないわ
  真夜中に立ち去ったりしないわ

Ten va pas2


Nuit tu me fais peur
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur
Il est parti sans moi
Tu m'emmeneras jamais aux USA 注7

  夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに
  彼はわたしを置いて行ってしまった
  もうわたしをアメリカへ連れて行ってくれない

Nuit tu me fais peur
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur
Il est parti sans moi
Papa j't'assure arrete ton cinema 注8

  夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに
  彼はわたしを置いて行ってしまった
  パパ、芝居がかったことはやめてくれるわね

Nuit tu me fais peur
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur
Il est parti sans moi
Papa j'suis sure qu'un jour tu reviendras

  夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに
  彼はわたしを置いて行ってしまった
  パパ、いつか帰って来ると信じてるわ

{instrumental}

Nuit,Nuit tu me fais peur
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur

  夜、夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに

Papa j't'assure arrete ton cinema
Nuit tu me fais peur
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur

  パパ、芝居がかったことはやめてくれるわね
  夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに

Papa j'suis sure qu'un jour tu reviendras

  パパ、いつか帰って来ると信じてるわ

[注]
1 否定の命令形。neの省略は、口語ではよくおこなわれる。t'en va pas「行かないで」と引き止める言葉は、この最初の段落だけで、あとは、引き止めてももう無理な状況を示すような歌詞になっている。ジャック・ブレルの歌では、「行かないで」と言い続けるが…。
2 la, lui, elle すなわちpapaが愛する彼女とは、彼の妻、本人の母親。
3 onが何度もでてくるが、nous「私たち」と同義の場合が多い。ただし、それは、父・母・娘全員の場合に限らない、ここでは母と娘だけを指す。
4 この段落では、それまでのpapa への語りかけから、nuit「夜」に対しての語りかけに変わり、papaをil「彼」と表現する。最後の行のonは書かれているとおり、3人全員。
5 この段落では、nuit「夜」に対しての語りかけが、最後の行でpapa への語りかけに戻る。
6 ここの2行は、私たちというより、不特定な人の普遍的な事実という形で述べている。on s'aime のs'aimerは、複数者間での相互的な意味だが、on s'en va pasと後のon ne part pasでは、相互的な意味は含まれず、立ち去るのは一人。
7 aux USAは、xとU間のリエゾンのみならず、SとAもアルファベットのフランス語読みでアンシェヌマンするので、「オズューエサー」のような発音になる。
8 j’t’assure の、jeのeの発音が飛ばされている部分は、ジュではなくシュを更に子音だけのように短く発音する。cinemaは、「はったり、芝居、人騒がせなまね」。前にあった、On ira plus au cine「もう映画館に行かない」というのとは無関係。



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2015
10.30

働きたくないのJe ne veux pas travailler

Pink Martini


ピンク・マルティーニPink Martiniは、1994年にピアニストのトーマス・ローダーデールThomas Lauderdaleを中心にアメリカで結成された13人のジャズ・オーケストラ。その名前はジンとベルモットのカクテルから。

彼らの大ヒット曲「働きたくないのJe ne veux pas travailler」は1997年に出したアルバム Sympathiqueに収録されています。女性歌手はチャイナ・フォーブスChina Forbes。
この曲の歌詞はギヨーム・アポリネールGuillaume Apollinaireの詩にインスピレーションを得て作られたそうです。それは「ホテルHôtel」という1913.年に書かれた詩。

フランシス・プーランクFrancis Poulenc が先に、この詩を元にした曲を作っています。1940年のソプラノとピアノによるアンサンブル:Banalitésの5曲のうちの1曲です。



Hôtel            ホテル
Guillaume Apollinaire  ギヨーム・アポリネール


Ma chambre a la forme d’une cage
Le soleil passe son bras par la fenêtre
Mais moi qui veux fumer pour faire des mirages
J’allume au feu du jour ma cigarette
Je ne veux pas travailler je veux fumer

  僕の部屋は鳥かごの形だ
  太陽が窓から腕を差し伸べる
  だが僕は煙草を吸いたい、まぼろしを描くために
  僕は陽光で煙草に火をつける
  僕は働きたくない、煙草を吸いたい




Je ne veux pas travailler    働きたくないの
Pink Martini            ピンク・マルティーニ


Ma chambre a la forme d'une cage
Le soleil passe son bras par la fenêtre
Les chasseurs à ma porte
Comme les p'tits soldats
Qui veulent me prendre

  私の部屋は鳥かごの形
  太陽が窓から腕を差し伸べ
  戸口には
  私を捕まえようとする
  小さな兵隊みたいな
  ハンターたち

Je ne veux pas travailler1


Je ne veux pas travailler
Je ne veux pas déjeuner
Je veux seulement l'oublier
Et puis je fume

  働きたくない
  朝食もいらない
  ただ彼を忘れたい
  だからタバコを吸う

Déjà j'ai connu le parfum de l'amour
Un million de roses
N'embaumeraient pas autant
Maintenant une seule fleur
Dans mes entourages
Me rend malade

  私はすでに愛の香りを知った
  百万本のバラだって
  あれほどはかぐわしくない
  取り巻きたちのなかで
  今はたった一輪の花が
  私をさいなむ

Je ne veux pas travailler
Je ne veux pas déjeuner
Je veux seulement l'oublier
Et puis je fume

  働きたくない
  朝食もいらない
  ただ彼を忘れたい
  だからタバコを吸う

Je ne veux pas travailler2


Je ne suis pas fière de ça 
Vie qui veut me tuer
C'est magnifique
Être sympathique
Mais je ne le connais jamais

  私をつぶそうとする人生なんて
  うんざりよ
  情のある人は
  すばらしいわ
  でも私はまるで縁がないの

{Refrain }

Je ne suis pas fière de ça
Vie qui veut me tuer
C'est magnifique
Être sympathique
Mais je ne le connais jamais

  私をつぶそうとする人生なんて
  うんざりよ
  情のある人は
  すばらしいわ
  でも私はまるで縁がないの

{Refrain }

[注] être fière de n.「…を誇らしく思う」。Je ne suis pas fière de ça(=vie)「自分の人生を誇らしく思わない」ということだが意訳した。


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2015
10.29

いいえ、私は何も悔やまない(水に流して)Non, je ne regrette rien

Édith Piaf Non, je ne regrette rien


前回に引き続きエディット・ピアフÉdith Piafです。1960年に、ミッシェル・ヴォケールMichel Vaucaireが作詞し、シャルル・デュモンCharles Dumontが作曲し、ピアフが歌うNon, je ne regrette rienを、今回取り上げます。「いいえ、私は何も悔やまない」という直訳の題名を新たに付け、「水に流して」という既成の邦題を添えます。

その前年、ピアフはニューヨーク・ツアーの最中に舞台で倒れ、消化器の潰瘍のため複数の手術を受けたのち、パリに戻りました。またこの時は、「ミロールMilord」を作詞したジョルジュ・ムスタキGeorges Moustakiと別れたことによる心の痛手も抱えていました。過去を一掃し再出発する決意を示すこの曲の背景には、そうしたピアフ自身の状況があったのです。

この曲をフランス語で歌うには、日本人には難しいフランス語の<r>の発音をマスターする必要があります。というより、この曲はその練習材料にぴったりです。
<r>の前にまず<l>から。<l>は舌先を上の前歯の後ろの硬口蓋に、日本語の<ラリルレロ>の場合より鋭く押し付けます。
<r>は母音の発音と同様、舌先は下の前歯の後ろに残します。そして舌の奥のほうを持ち上げるのです。
つまり、<la>と言うためには、舌先は上から下に瞬時に移動しますが、<ra>の場合は舌先は上下しません。
日本語の<ガギグゲゴ>の場合は舌の奥を軟口蓋にくっつけ、<ハヒフヘホ>はくっつけません。<r>はその中間をねらうといいようです。ちょうど「うがい」をするような感じ。



Non, je ne regrette rien  いいえ、私は何も悔やまない(水に流して)
Édith Piaf          エディット・ピアフ


Non! Rien de rien
Non! Je ne regrette rien
Ni le bien qu’on m’a fait
Ni le mal tout ça m’est bien égal!

  いいえ!まるで何も
  いいえ!私は何も悔やんではいない
  ひとが私にした良いことも
  悪いこともみな私にとっては同じこと

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Non! Rien de rien
Non! Je ne regrette rien
C’est payé, balayé, oublié 
Je me fous du passé!

  いいえ!まるで何も
  いいえ!私は何も悔やんではいない
  贖い、一掃し、忘れた
  過去なんかどうでもいい

Avec mes souvenirs
J’ai allumé le feu
Mes chagrins, mes plaisirs
Je n’ai plus besoin d’eux!

  過去の思い出をくべて
  私は火を起こす
  悲しかったこと、うれしかったこと
  そんなものはもう要らない

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Balayées les amours
Avec leurs trémolos
Balayés pour toujours
Je repars à zéro

  過去の恋を
  そして震える気持ちもいっしょに一掃した
  永遠に消し去り
  私はゼロから再出発する

Non! Rien de rien
Non! Je ne regrette rien
Ni le bien, qu’on m’a fait
Ni le mal, tout ça m’est bien égal!

  いいえ!まるで何も
  いいえ!私は何も悔やんではいない
  ひとが私にした良いことも
  悪いこともみな私にとっては同じこと

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Non! Rien de rien
Non! Je ne regrette rien
Car ma vie, car mes joies
Aujourd’hui, ça commence avec toi!

  いいえ!まるで何も
  いいえ!私は何も悔やんではいない
  だって私の人生は、だって私の喜びは
  いま、あなたとともに始まるのよ!

[注] balayerは「掃除する、追い払う」という意味で、過去の恋をbalayerするというのを、「清算する」と訳すことが多いが、どうも形のうえでケリをつけるようなニュアンスになってしまう。邦題の「水に流して」を当てはめることを考えたが、考え直して、「消し去る、一掃する」に変更した。


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2015
10.28

愛の讃歌Hymne à l'amour

Edith Piaf Hymne à lamour


「愛の讃歌Hymne à l'amour」は1949年に、エディット・ピアフÉdith Piafが作詞し、ピアフおよびマルグリット・モノーMargrite Monnot が作曲し、本来は、イヴェット・ジローYvette Giraudが歌うことになっていました。当時ピアフと恋仲だったマルセル・セルダンMarcel Cerdanというミドル級の世界チャンピオンのボクサーへの想いを込めて、ピアフはこの曲を書いたそうです。同年、彼は、リベンジ試合のため(ピアフに会うためともいわれます)ニューヨークに向かう途中、飛行機事故で帰らぬ人となります。10月28日のことでした。その日のステージで、ピアフは「マルセル・セルダンのために歌います。」と言って、この歌を歌い、ステージの上で倒れてしまいます。ピアフは恋多き女性で、口の悪いフランス人はhomme mangeuse(意味はご想像ください)と呼ぶそうですが、セルダンとの恋は特別だったようで、クロード・ルルーシュClaude Lelouchの映画「恋に生きた女ピアフ Édith et Marcel」(1983年)でも、2007年に封切りされた「エディット・ピアフ~愛の讃歌~La Môme」でも、この恋は中心テーマになっています。ピアフは歌詞の内容通りに後追いすることはありませんでしたが、この歌は彼女の一番の代表作となりました。

原詞は、岩谷時子が翻案した歌詞とはまるで違って、あなたのためだったらどんな背徳的なことだってなんだってやるという、かなり毒気のあるものです。永田文夫や長谷川きよしの作った歌詞はその内容に忠実なものです。(下の動画の美輪明宏の歌の前半の語りの部分を永田文夫の歌詞だと思い込んでいましたが、コメントいただき、間違いに気づきましたので訂正いたします。)
私も今回、邦訳の代わりに、原詞の意味に即して日本語で歌える歌詞を作ってみました。そのなかで気づいたんですが、原詞には「あなたを愛しているje t’aime」という表現は一度も出てきません。「あなたがわたしを愛しているtu m’aimes」のみ繰り返します。愛されているという確信ほど強いものはなく、それさえあれば何でもできるというのです。セルダンには妻子があり、彼の愛を確信することは彼女にとって一番重要なことだったんでしょう。分かる気がします。そして最後に、あの世で「わたしたちは愛し合うon s'aime」というのです。

エディット・ピアフの渾身の歌唱。



美輪明宏は、自ら訳した日本語詞を語り、その後、フランス語で歌っています。たしかに迫力があります。相手は逃げたくなるかも。



Hymne à l'amour  愛の讃歌
Édith Piaf      エディット・ピアフ


Le ciel bleu sur nous peut s'effondrer
Et la terre peut bien s'écrouler
Peu m'importe si tu m'aimes
Je me fous du monde entier
Tant qu'l'amour inond'ra mes matins
Tant que mon corps frémira sous tes mains
Peu m'importe les problèmes
Mon amour puisque tu m'aimes

  青い空が崩れ
  大地が張り裂けても
  平気よ あなたに
  愛されていれば
  愛に満たされた朝
  抱かれて震えるからだ
  なにも怖くはないわ
  あなたの愛があれば

Hymne à lamour3


J'irais jusqu'au bout du monde
Je me ferais teindre en blonde
Si tu me le demandais
J'irais décrocher la lune
J'irais voler la fortune
Si tu me le demandais

  地の果てまでも行くわ
  髪だって染めるわ
  あなたが望めば
  月だって 財宝だって
  盗みに行くわ
  あなたが望めば

Je renierais ma patrie
Je renierais mes amis
Si tu me le demandais
On peut bien rire de moi
Je ferais n'importe quoi
Si tu me le demandais

  国を裏切り
  友を裏切るわ
  あなたが望めば
  笑われたってかまわない
  何だってするわ
  あなたが望めば

Hymne à lamour1


Si un jour la vie t'arrache à moi
Si tu meurs que tu sois loin de moi
Peu m'importe si tu m'aimes
Car moi je mourrais aussi
Nous aurons pour nous l'éternité
Dans le bleu de toute l'immensité
Dans le ciel plus de problèmes
Mon amour crois-tu qu'on s'aime

  いつか別れの日が来て
  あなたが死んでしまっても
  つらくはないわ
  私もついて行く
  永遠のいのちを得て
  広い空のかなたの
  悩みのない世界で
  二人は愛し合うわ

Dieu réunit ceux qui s'aiment

  神に結ばれるのよ



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2015
10.27

ルナ・ロッサLuna rossa

Lucienne Delyle luna rossa


今日、10月27日は満月ですから月に因む曲を。
「ルナ・ロッサLuna rossa」は、もとはカンツォーネ・ナポリターナ。1950年にヴィンチェンツィオ・デ・クレシェンゾVincenzo De Crescenzoが作詞、アントニオ・ヴィアンAntonio Vianが作曲、ジョルジオ・コンソリーニGiorgio Consoliniなどが歌いました。1952年にフェルナン・ボニファイFernand Bonifayが「月への祈りPrière à la lune」というタイトルでフランス語歌詞を作り、リュシエンヌ・ドリールLucienne Delyleが歌いました。でも、Luna rossaという原名で呼ばれ、Prière à la luneが副題とされることが多いようです。その後、さまざまな言語に翻案され、フランク・シナトラFrank Sinatraはじめ世界中の多くの歌手に歌われています。

「ルナ・ロッサ」とは赤い月のことですが、月が地球の影に入る皆既月食のとき、月は赤黒く見えます。今年は4月4日の21時頃でした(YouTubeに複数の動画あり)。また、地平線や水平線の近くに月があるときは、月からの光が厚い大気の中を通過することになり、青い光は届きにくく赤い光だけが私達の目に届くので、月が赤っぽく見えるそうです。この歌詞ではそうした実際の自然現象とは関係なく自分の恋を見守ってくれるもののイメージとして選んだようです。

なお、リュシエンヌ・ドリールの曲はすでに複数取り上げ、「サン=ジャンの私の恋人Mon amant de Saint-Jean」のページでプロフィールをご紹介しています。

Claudio Villa(イタリア語)



フランク・シナトラ(英語)



リュシエンヌ・ドリール



Luna rossa (Prière à la lune)  ルナ・ロッサ(月への祈り)
Lucienne Delyle          リュシエンヌ・ドリール


Dans la ville endormie
Le vent frissonne
A tous mes souvenirs
Je m'abandonne

  寝しずまった街のなかで
  風がふるえ
  もろもろの想い出に
  わたしは浸り込む

Pour me parler de toi
Dans la nuit brune 注1
Je n'ai plus qu'une amie
Et c'est la lune

  暗い夜のなかで
  あなたのことを話してくれるのは
  ひとりの友だけ
  それは月

Luna rossa


Ô Luna rossa, reine des nuits
Du haut des cieux, toi qui me souris
Veux-tu porter cette mélodie
A celui que j'adore ?

  おお赤い月よ、夜の女王よ
  空の高みから、あなたはわたしに微笑みかける
  この調べを運んでくれないかしら
  わが想うひとへ?

Puisque toi seule en as le pouvoir
Luna rossa, je voudrais savoir
Si son amour m'est resté ce soir 注2
Toujours aussi fidèle

  だってそれができるのはあなただけ
  赤い月よ、わたしは知りたいの
  あのひとの愛が今夜まだわたしに
  ひたすら向けられているのか

Luna Rossa
Est-il encore sincère ?
Luna Rossa
Ne mens pas, tant pis pour moi 注3
Si je dois en pleurer

  赤い月よ
  あのひとはまだ真摯な気持ちなの?
  赤い月よ
  嘘はつかないでね、わたしとしてはしかたないわ
  もしもそれで泣くことになっても

Luna rossa3


On m'a déjà menti tant de fois
On m'a déjà volé tant de joies

  わたしはもう何度も騙されてきた
  もう何度もよろこびを奪われてきた

Ô Luna Rossa, je ne veux pas
Qu'à ton tour tu me trompes

  おお赤い月よ、それはいやよ
  今度はあなたがわたしを欺くなんて

Ô Luna Rossa, reine des nuits
Tu as connu toutes nos folies
Et tu savais quand sonnait minuit
Te couvrir d'un nuage

  おお赤い月よ、夜の女王よ
  あなたはわたしたちの熱愛をすべて知っている
  そして真夜中の時が告げられると
  あなたは雲で身を隠すのを心得ていてくれた

Ô Luna Rossa, les soirs d'été
Tu nous guidais parmi les sentiers
Où nos deux ombres semblaient flâner
Ne formant qu'une image

  おお赤い月よ、夏の夕べには
  あなたはわたしたちを小径にいざなってくれた
  そこではわたしたちの二つの影は
  一つに合わさって歩いているみたいだった

Luna rossa4


Luna Rossa
Tu sais combien je l'aime
Luna Rossa
Promets-moi que, loin de moi,
Tu le protègeras

  赤い月よ
  わたしがどれだけあのひとを愛しているかご存じね
  赤い月よ
  約束して、わたしから遠いところで、
  あのひとを守ってくれると

Et quand bientôt il me reviendra
Luna Rossa, nous prierons tout bas
Car tous les deux nous croyons en toi
Autant qu'en la Madone

  まもなく あのひとがわたしのところに戻ってきたら
  赤い月よ、わたしたちは静かに祈るわ
  わたしたちは二人ともあなたを信じているから
  聖母さまを信じるように

Luna Rossa
Luna Rossa

  赤い月よ
  赤い月よ

[注]
1 brune「褐色の」。古くは「暗い、陰鬱な」の意味もあった。
2 son amour m'est resté ce soir toujours aussi fidèle直訳すると、「彼の愛が今夜も相変わらず誠実なまま私に残されているか」。
3 tant pis「しかたがない、残念だ」。pisはmalの優等比較級「より悪く」。



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2015
10.26

女の子たちを振ってごらんLaisse tomber les filles

laisse tomber les filles


セルジュ・ゲンズブール Serge Gainsbourgがフランス・ギャルFrance Gallのために作った曲は、1965年のユーロビジョン・ソング・コンテストConcours Eurovision de la Chansonの優勝曲「夢見るシャンソン人形Poupée de cire, Poupée de son」と、同年の「待って、さもなきゃ行って(涙のシャンソン日記)Attends ou va t'en」をすでに取り上げています。今回はその1年前の1964年の曲、Laisse tomber les fillesです。「娘たちにかまわないで」という一般的な邦題は完全な誤訳で、laisser tomberは、「恋人を振るとか捨てるとか」いった意味。命令形ながら条件を表し、「…してごらんなさい、そうしたら…という結果になるから」といったニュアンスですから、「女の子たちを振ってごらん」という題にあたらしく付け直しました。そういえば、セルジュ自身、自堕落のすえに、妻のジェーン・バーキンJane Birkinに見限られてしまいましたね。

フランス語で歌う口の練習に最適の曲です。調子よく歌えるとスカッとします。



サリュ・レ・コパンSalut Les CopainsというグループのClip Officiel



イントロが「ドリフのズンドコ節」と似ているといわれますが、これは本当!興味のある方は聴いてみてください。

Laisse tomber les filles   女の子たちを振ってごらん
France Gall        フランス・ギャル


Laisse tomber les filles 注1    女の子たちを振ってごらん
Laisse tomber les filles    女の子たちを振ってごらん
Un jour c'est toi qu'on laissera    いつか振られるのはあんたのほうよ
Laisse tomber les filles    女の子たちを振ってごらん
Laisse tomber les filles    女の子たちを振ってごらん
Un jour c'est toi qui pleureras    いつか泣くのはあんたのほうよ
Oui j'ai pleuré mais ce jour-là    ええ私は泣いたけど 今度は
Non je ne pleurerai pas    いいえ私は泣かないわ
Non je ne pleurerai pas    いいえ私は泣かないわ
Je dirai c'est bien fait pour toi 注2    あんたにざまぁみろって言うわ
Je dirai ça t'apprendra 注3    思い知っただろうって言うわ
Je dirai ça t'apprendra    思い知っただろうって言うわ 

Laisse tomber les filles4

Laisse tomber les filles    女の子たちを振ってごらん
Laisse tomber les filles    女の子たちを振ってごらん
Ça te jouera un mauvais tour 注4     あんたひどい目にあうわよ
Laisse tomber les filles    女の子たちを振ってごらん
Laisse tomber les filles    女の子たちを振ってごらん
Tu le paieras un de ces jours 注5    あんたいつか付けを返す羽目になるわ
On ne joue pas impunément    お咎めなしじゃ遊べないのよ
Avec un cœur innocent    うぶな子とね
Avec un cœur innocent    うぶな子とね
Tu verras ce que je ressens    私の気持ちきっと分かるわ
Avant qu'il ne soit longtemps 注6    近いうちにね
Avant qu'il ne soit longtemps    近いうちにね

Laisse tomber les filles1

La chance abandonne      運命は見捨てるのよ
Celui qui ne sait    ↓人を傷つけることしか
Que laisser les cœurs blessés    ↑能のない人をね
Tu n'auras personne    あんたには誰もいないわ
Pour te consoler    なぐさめてくれる人が
Tu ne l'auras pas volé 注7    当然の報いよ

Laisse tomber les filles3

Laisse tomber les filles    女の子たちを振ってごらん
Laisse tomber les filles    女の子たちを振ってごらん
Un jour c'est toi qu'on laissera    いつか振られるのはあんたのほうよ
Laisse tomber les filles    女の子たちを振ってごらん
Laisse tomber les filles    女の子たちを振ってごらん
Un jour c'est toi qui pleureras    いつか泣くのはあんたのほうよ
Non pour te plaindre il n'y aura    同情してくれる人なんていないのよ
Personne d'autre que toi    あんた自身以外に誰もね
Personne d'autre que toi    あんた自身以外に誰もね
Alors tu te rappelleras    そのとき思い出すわよ
Tout ce que je te dis là    私があんたに言ったことをぜんぶ
Tout ce que je te dis là    私があんたに言ったことをぜんぶ


[注]
1 laisser tomber「(恋人を)振る、棄てる」
2 (C’est) bien fait (pour qn).「(…には)当然の報いだ、いい気味だ」
3 Cela(Ça) vous(t') apprendra (à qc/inf.)「これで(…がどういうことか)分かるだろう」
4 jouer un mauvais tour à qn「…に一杯食わせる、をだます」
5 payer「(過ちなどを)購う」。 un de ces jours「そのうち、近いうちに」
6 avant que (ne) +subj.「…する前に」avant qu'il ne soit longtemps=avant longtemps「間もなく、近いうちに」
7 ne pas l’avoir volé「当然の報いである、自業自得だ」



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2015
10.25

アコーデオン弾きL'accordéoniste

Edith Piaf LAccordeoniste


ミッシェル・エメールMichel Emerが作ったエディット・ピアフÉdith Piafの曲で、もっと知られているのは「アコーデオン弾きL'accordéoniste」です。エメールは1939年に戦地に赴く前にピアフにこの曲を渡したそうです。翌40年に創唱し、大戦前のピアフの最大のヒット(一説には85万枚)となりました。今回はこれを取り上げましょう。Arrêtez!という最後の絶叫は、何度聴いても背筋を凍らせます。
ちなみに、晩年に結婚したテオ・サラポThéo Sarapoとのデュエット「恋は何のためにÀ quoi ça sert l'amour?」もエメールの作品です。

1954年の録画。



シメーヌ・バディChimène Badiもなかなか聴かせてくれます。



L'accordéoniste  アコーデオン弾き
Édith Piaf      エディット・ピアフ


La fille de joie est belle 注1
Au coin de la rue Labas
Elle a une clientèle 注2
Qui lui remplit son bas 注3
Quand son boulot s'achève
Elle s'en va à son tour 注4
Chercher un peu de rêve
Dans un bal du faubourg
Son homme est un artiste
C'est un drôle de petit gars
Un accordéoniste
Qui sait jouer la java

  ラバ通りの街角にいる
  その娼婦は綺麗で
  彼女は貢いでくれる
  顧客を持っている
  仕事が終わると
  今度は彼女が楽しむ番で
  ささやかな夢を求め
  町外れのダンスホールに向かう
  彼氏はミュージシャン
  小柄な変わった男で
  アコーデオン弾き
  ジャヴァを弾くのがうまい

Laccordéoniste2


Elle écoute la java
Mais elle ne la danse pas
Elle ne regarde même pas la piste
Et ses yeux amoureux
Suivent le jeu nerveux
Et les doigts secs et longs de l'artiste
Ça lui rentre dans la peau
Par le bas, par le haut
Elle a envie de chanter
C'est physique 注5
Tout son être est tendu
Son souffle est suspendu
C'est une vraie tordue de la musique 注6

  彼女はジャヴァを聴く
  でもジャヴァを踊らない
  ホールのフロアには目を向けず
  愛のこもった目で
  活き活きとした演奏を
  演奏者の細く長い指を追う
  音楽は頭のてっぺんからつま先まで
  彼女の皮膚に入り込み
  彼女は歌いたくなる
  どうしようもないことで
  全身がこわばり
  呼吸は止まり
  音楽に翻弄されてしまっている

La fille de joie est triste
Au coin de la rue Labas
Son accordéoniste
Il est parti soldat
Quand y reviendra de la guerre 注7
Ils prendront une maison
Elle sera la caissière
Et lui, sera le patron
Que la vie sera belle
Ils seront de vrais pachas 注8
Et tous les soirs pour elle
Il jouera la java

  ラバ通りの街角にいる
  その娼婦は悲しんでいる
  彼女のアコーデオン弾き
  彼は兵隊になって行ってしまった
  戦争から帰ってきたら
  二人で店を持ち
  私はレジ係
  彼のほうは店主
  なんて人生は素晴らしいことでしょう
  二人は本当の王侯になるわ
  そして彼は夜ごと、私のために
  アコーデオンを弾くわ

Elle écoute la java 注9
Qu'elle fredonne tout bas
Elle revoit son accordéoniste
Et ses yeux amoureux
Suivent le jeu nerveux
Et les doigts secs et longs de l'artiste
Ça lui rentre dans la peau
Par le bas, par le haut
Elle a envie de pleurer
C'est physique
Tout son être est tendu
Son souffle est suspendu
C'est une vraie tordue de la musique

  彼女はジャヴァを小さな声で口ずさみ
  それを聴く
  愛しいアコーデオン弾きが目に浮かぶ
  愛のこもった目で
  活き活きとした演奏を
  アコーデオン弾きの細く長い指を追う
  音楽は頭のてっぺんからつま先まで
  彼女の皮膚に入り込み
  彼女は泣きたくなる
  どうしようもないことで
  全身がこわばり
  呼吸は止まり
  音楽に翻弄されてしまっている

La fille de joie est seule
Au coin de la rue Labas
Les filles qui font la gueule 注10
Les hommes n'en veulent pas 注11
Et tant pis si elle crève 注12
Son homme ne reviendra plus
Adieux tous les beaux rêves
Sa vie, elle est foutue 注13
Pourtant ses jambes tristes
L'emmènent au boui-boui 注14
Où y a un autre artiste
Qui joue toute la nuit

  ラバ通りの街角にいる
  その娼婦は1人ぼっち
  女たちは嫌な顔をする
  男たちは寄り付かない
  彼女がくたばったならおあいにくさまさ
  愛しい男はもう戻って来ない
  すべての美しい夢よさようなら
  彼女の人生はうち棄てられた
  それでも悲しみを引きずる足は
  彼女を安キャバレーへと運ぶ
  そこでは別のミュージシャンが
  夜通し演奏している

Laccordéoniste3


Elle écoute la java...
... elle entend la java
... elle a fermé les yeux
... et les doigts secs et nerveux ...
Ça lui rentre dans la peau
Par le bas, par le haut
Elle a envie de gueuler
C'est physique
Alors pour oublier
Elle s'est mise à danser, à tourner
Au son de la musique...

  彼女はジャヴァに耳を傾ける…
  …あのジャヴァが聴こえる
  …目を閉じる…
  …あの細く繊細な指…
  音楽は頭のてっぺんからつま先まで
  彼女の皮膚に入り込み
  彼女はがなりたくなる
  それはどうしようもないこと
  そしてすべてを忘れるために
  踊り始め、回り始める
  音楽に合わせて…

Arrêtez!
Arrêtez la musique...

  ヤメテ!
  音楽を止めて…

[注]
1 fille de joie「娼婦」
2 clientèle集合名詞で「顧客(層)」、「ひいき」。女性名詞だが、娼婦の客なので実際は男性。
3 bas「へそくりの隠し場所」
4 à son tour「今度は…の番で」。客を楽しませた彼女だが、今度は自分が楽しむ番だということ。
5 physique「身体的な、生理的な」。身体の生理的な反応としてそうなってしまう。
6 tordu「頭のおかしい人」女性形は稀だとされる。C'estのceはde la musiqueを予告するとはとらえず、彼女がその音楽で頭が変になってしまったととらえた。
7 ここからの未来形の部分は彼女のひとりごとのような内容なので、elleを「私」と訳した。
8 pachaは、オスマン・トルコ帝国の軍司令官の称号で、安逸で豪奢な生活を送る人の譬えとして用いられる。
9 この節は、実際はいないアコーデオン弾きを思い浮かべている内容。
10 faire la gueule「嫌な顔をする」
11 Les hommes n'en veulent pas彼女を買おうとはしないことを言っている。
12 tant pis「しかたない、残念だ」。crever「くたばる」。女たち男たちの態度を代弁している。
13 elleはsa vie。foutre「ほうる、うっちゃる」。ここでは受動態。
14 boui-boui「いかがわしい場所」、特に「低俗な演芸場、キャバレー」。




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2015
10.24

ベルヴィルの理髪師Le barbier de Belleville

Serge Reggiani Le barbier de Belleville


セルジュ・レジアーニSerge Reggianiの「ベルヴィルの理髪師Le barbier de Belleville」(1977年、作詞:クロード・ルメルClaude Lemesle、作曲:アリス・ドナAlice Dona)は、フランスの劇作家ボーマルシェBeaumarchaisの書いた戯曲「セビリアの理髪師Le barbier de Séville」および、それを元にしたジョアキーノ・ロッシーニGioachino Rossiniのオペラ「セビリアの理髪師Il barbiere di Siviglia」をもじった曲。そしてまた、レジアーニが最初は親の後をついで理髪師になろうとしたことも背景にあるようです。



Le barbier de Belleville  ベルヴィルの理髪師
Serge Reggiani      セルジュ・レジアーニ


Je suis le roi du ciseau,
De la barbiche en biseau,
Je suis le barbier de Belleville,
Des petits poils jusqu'aux cheveux
Je fais vraiment ce que je veux.
J'ai toujours été hanté
Par le désir de chanter
Manon, Carmen ou Corneville, 注1
Alors, avouez que c'est râlant
D'avoir la vocation sans le talent!...

  僕は鋏の王だ、
  縁取りした顎鬚の、
  僕はベルヴィルの理髪師だ、
  小さな体毛から髪の毛まで
  僕はほんとに思いどおりにする。
  僕はいつもつきまとわれる
  歌いたいという欲望に
  マノン、カルメンもしくはコルヌヴィルを、
  さて、正直におっしゃい、けしからんことだと
  才能なくして傾倒するものを持つなんて!…

Le barbier de Belleville1


Je n'ai pas de voix,
J'essaye quelquefois,
Mais ça ne vient pas,
Je ne suis pas doué pour l'opéra!...

  僕はいい声を持っていない、
  何度も試みた、
  だがうまくいかない、
  僕はオペラに向いていない!…

Les clients me comparent au
Fameux raseur Figaro, 注2
Je ne suis que le barbier de Belleville,
Je peux vous passer un shampooing,
Mais vous faire un cours de chant, point... , 注3
Je suis, je prends les paris
Le meilleur de tout Paris,
Pour tous les goûts, dans tous les styles,
Je fais un métier que j'adore,
Mais je voudrais chanter ''Toréador''...  注4

  客たちは僕を比較する
  かの有名な剃り屋フィガロと、
  僕はベルヴィルの理髪師にすぎないんだ、
  僕は皆さん方にシャンプーを施したい、
  だがあなた方に歌を講義することは、なしだ…
  僕は賭けるよ、僕はね
  パリ全体で一番なんだ、
  すべての好みに合わせ、すべてのスタイルで、
  僕は自分の大好きな仕事をしている、
  だが、「闘牛士の歌」を歌いたいんだよ…

Je n'ai pas de voix,
J'essaye quelquefois,
Mais ça ne vient pas,
Je ne suis pas doué pour l'opéra!...

  僕はいい声を持っていない、
  何度も試みた、
  だがうまくいかない、
  僕はオペラに向いていない!…

C'est comme ça, je ne suis ni
Caruso, ni Rossini,
Je suis le barbier de Belleville,
Je ne serai jamais, hélas,
Le partenaire de la Callas...  注5
Alors, de mon bistouri
Je taille les favoris 注6
Des bonnes gens de la grande ville,
En rêvant que je suis à la
Salle Garnier ou bien à La Scala...  注7

  こういうことさ、僕は
  カルーソでも、ロッシーニでもない
  僕はベルヴィルの理髪師なんだ
  僕はけっしてならないだろう、ああ、
  カラスの相手役には…
  だから、剃刀で
  僕は大都会の善良市民の
  頬髯を剃るのさ、
  ガルニエのホールかスカラ座に
  いることを夢見ながら

Le barbier de Belleville2


Je n'ai pas de voix,
J'essaye quelquefois,
Mais ça ne vient pas,
Je ne suis pas doué pour l'opéra!...

  僕はいい声を持っていない、
  何度も試みた、
  だがうまくいかない、
  僕はオペラに向いていない!…

[注] Belleville「ベルヴィル」パリ20区にある街
1 Manon Lescaut「マノン・レスコー」はジャコモ・プッチーニGiacomo Pucciniのオペラ。Carmen「カルメン」はジョルジュ・ビゼーGeorges Bizetのオペラ。Corneville→Cloches de Corneville「コルヌヴィルの鐘」ロベール・プランケットRobert Planquetteのオペラ。
2 Figaroは「フィガロ三部作」すなわち「セビリアの理髪師Le barbier de Séville」「フィガロの結婚Les noces de Figaro」「罪ある母La Mère coupable」の主人公。
3 chant, point は前行のshampooingと同じ発音。次行のpari「賭け」もその次の行のParis「パリ」に合わせている。
4 Toréador「闘牛士の歌」はオペラCarmen「カルメン」で歌われるアリア。
5 Maria Callas「マリア・カラス」は20世紀最高のソプラノ歌手とまで言われたギリシャ系アメリカ人の歌手。
6 favori複数形で「長い頬髯」
7 Salle Garnier「サル・ガルニエ」モナコのモンテカルロにあるオペラハウス。bien à La Scala「スカラ座」イタリアのミラノにあるオペラハウス






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2015
10.23

通り過ぎる男たちLes hommes qui passent

Patricia Kass Kennedy rose


今回は、パトリシア・カースPatricia Kaas の「通り過ぎる男たちLes hommes qui passent」。1990年の2枚目のアルバムScène de vieに収録されています。作詞はディディエ・バルブリヴィアンDidier Barbelivien、作曲はフランソワ・ベルンハイムFrançois Bernheim。バルブリヴィアンは、カースの「マドモアゼルはブルースを歌うMademoiselle chante le blues」も作詞しています。
ちなみに、バルブリヴィアン自身も歌手で、「もしもあなたに会えずにいたらQue serais-je sans toi」を取り上げ、そのページに彼について詳しく紹介していますので参照ください。



チェロの前奏から始まるライブステージです。、歌が終わってからも演奏が続き、その間カースはアコーディオニストにまとわりつくようにして踊ります。



Les hommes qui passent  通り過ぎる男たち
Patricia Kaas        パトリシア・カース


Les hommes qui passent Maman
M'envoient toujours des cartes postales
Des Bahamas Maman
Les hommes qui passent tout le temps
Sont musiciens artistes peintres
Ou comédiens
Souvent

  通り過ぎる男たちは ママン
  絵葉書をいつだって送ってくるわ
  バハマのね、ママン
  絶え間なく通り過ぎる男たちは
  ミュージシャン、芸術家、画家、
  あるいは俳優よ
  時にはね

Les hommes qui passent1


Les hommes qui passent Maman
M'offrent toujours une jolie chambre
Avec terrasse Maman
Les hommes qui passent je sens
Qu'ils ont le cœur à marée basse des
Envies d'océan

  通り過ぎる男たちは ママン
  いつだってきれいな部屋を与えてくれるわ
  テラス付きのねママン
  通り過ぎる男たちはね まるで
  大洋を求める
  干上がった心を持っているみたいなの

{Refrain:}
Les hommes qui passent pourtant
Qu'est-ce que j'aimerai en voler un
Pour un mois pour un an
Les hommes qui passent Maman
Ne me donnent jamais rien que de l'argent

  通り過ぎる男たちを だけど
  どれだけ手に入れたいことか
  1ヶ月か1年にひとりでも
  通り過ぎる男たちは ママン
  お金しかくれやしない

Les hommes qui passent2


Les hommes qui passent Maman
Leurs nuits d'amour sont des étoiles
Qui laissent des traces Maman
Les hommes qui passent violents
Sont toujours ceux qui ont gardé
Un cœur d'enfant perdant 

  通り過ぎる男たちの ママン
  愛の夜は流れ星
  軌跡を残すわ ママン
  荒々しく通り過ぎる男たちは
  いつだって迷い子の心を
  持ち続けている男たちよ

{Refrain}

Les hommes qui passent Maman
Ont des sourires qui sont un peu
Comme des grimaces Maman
Les hommes qui passent troublants
Me laissent toujours avec mes rêves
Et mes angoisses d'avant

  通り過ぎる男たちの ママン
  微笑みはね ちょっと
  見せかけみたいなものよママン
  ひとの心をかき乱して
  通り過ぎる男たちは
  いつだって夢を抱かせたまま
  まずは不安を抱かせたまま私を残して行った

Les hommes qui passent3


{Refrain}

Les hommes qui passent Maman
…la la la la la la

  通り過ぎる男たちは ママン
  …ララララララ

Les hommes qui passent Maman
…la la la la la la

通り過ぎる男たちは ママン
  …ララララララ

Les hommes qui passent pourtant
…la la la la la la

通り過ぎる男たちを だけど
  …ララララララ

[注] perdantは「敗者の、勝ち目のない」「(くじなどが)外れた」の意味だが、韻を踏むために、enfant perdu「迷子」をenfant perdantとしている。


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2015
10.22

リヴ・ゴーシュRive Gauche

Alain Souchon Rive Gauche


アラン・スーションAlain Souchonを続けます。かつてのパリ左岸にアーティスト達が息づいていた時代を懐かしむ「リヴ・ゴーシュRive Gauche」(1999年、arbum:Au ras des pâquerettes)です。言葉遊びや、固有名詞が複数組み込まれた歌詞なので、訳はちょっとてこずりました。



Rive Gauche   リヴ・ゴーシュRive Gauche11
Alain Souchon  アラン・スーション


Les chansons de Prévert me reviennent 注1
De tous les souffleurs de vers...laine 注2
Du vieux Ferré les cris la tempête 注3
Boris Vian ça s’écrit à la trompette 注4

  プレヴェールのいくつもの歌が僕の心によみがえる
  (ヴェルレーヌの)詩句をささやく人たち(ガラス吹き職人たち)すべてによって、
  老いたフェレの叫びはまるでタンペット(嵐)だ
  ボリス・ヴィアンの場合はトランペットで曲が書かれる

Rive Gauche à Paris
Adieu mon pays
De musique et de poésieRive Gauche3
Les marchands malappris
Qui ailleurs ont déjà tout pris
Viennent vendre leurs habits en librairie 注5
En librairie

  パリのリヴ・ゴーシュよ
  音楽と詩の
  ふるさとよさらば
  よそですべての店を手に入れた
  粗野な商人どもが
  本屋で服を売りにやって来る
  本屋で
Rive Gauche8
Si tendre soit la nuit 注6
Elle passe
Ô ma Zelda c’est fini Montparnasse 注7
Miles Davis qui sonne sa Gréco 注8
Tous les morts y sonnent leur Nico 注9

  夜がいくら甘美だとしても
  過ぎてしまうものだ
  おおわがゼルダよモンパルナスは終わってしまった
  愛人のグレコのために演奏するマイルス・デイビス
  モリソン(死者)たちはすべて愛するニコのために演奏する

Ô mon îleRive Gauche4
Rive Gauche à Paris
Ô mon pays
De musique et de poésie
D’art et de liberté éprise
Elle s’est fait prendre, elle est prise
Elle va mourir quoi qu’on en dise 注10
Et ma chanson la mélancolise

  パリのリヴ・ゴーシュよ
  おおわが島よ
  おお音楽と詩と
  芸術と魅せられた自由の  ふるさとよ
  その自由は囚われ、束縛され
  なにはともあれ死に瀕しているRive Gauche6
  そして僕の歌はそれを憂鬱に歌う

La vie c’est du théâtre et des souvenirs
Et nous sommes opiniâtres à ne pas mourir
A traîner sur les berges venez voir
On dirait Jane et Serge sur le pont des Arts 注11

  人生、それは劇場であり追憶である
  そして僕たちは死ぬまいと頑なになる
  土手をぶらついて見に来てごらん
  ポン・デ・ザールの橋の上にジェーンとセルジュ
  がいるようだよ

Rive Gauche à ParisRive gauche7
Adieu mon pays
Adieu le jazz adieu la nuit
Un état dans l’état d’esprit 注12
Traité par le mépris
Comme le Québec par les États-Unis
Comme nous aussi
Ah! le mépris
Ah! le mépris

  パリのリヴ・ゴーシュよ
  ふるさとよさらば
  ジャズよさらば 夜よさらば
  精神性の豊かな状態の国は
  軽蔑を受ける
  ケベックがアメリカに軽蔑されるのと同じように
  僕たちと同じように
  ああ軽蔑だ
  ああ軽蔑だ

[注]
1 ジャック・プレヴェールJacque Prévertの詩を歌詞にした曲は数多く、「美しい星でÀ la belle étoile」のページにリストアップしてあるので参照されたい。
2 三重の言葉遊び。les souffleurs de vers「詩句をささやく人々」という表向きの表現のなかに、les souffleurs de verre「ガラスを吹き職人」が重ねられ、laine「羊毛」を意味なく加えることで、Verlaine「詩人ヴェルレーヌ」の名に重ねている。
3 les cris du vieux Ferréが倒置されている。レオ・フェレLéo Ferréは「ミラボー橋Le Pont Mirabeau」「春が来たC'est le printemps」「ジョリ・モームJolie môme」を取り上げたが、「幸せな愛はないIl n'y a pas d'amour heureux」「時の流れにAvec le temps」ほかもろもろ旧ブログから移すあるいはあらたに取り上げる予定。
4 ボリス・ヴィアンBoris Vianは、「僕はスノッブだJ'suis snob」「脱走兵Le déserteur」をすでに取り上げた。
5 本屋が服屋に取って代わられる。
6 Même si la nuit est très tendreの意味。
7ゼルダ・フィッツジェラルド Zelda Fitzgeraldは、「グレート・ギャツビーThe Great Gatsby」で知られるアメリカの小説家フランシス・スコット・キー・フィッツジェラルドFrancis Scott Key Fitzgeraldの妻で作家。統合失調症を患い、48歳で死ぬまで二十代の若さを保ち続けたといわれる。
8 マイルス・デイビスMiles DavisはGréco と恋仲だった。sonnerは他動詞として複数の意味がある。「(管楽器を)吹く」「(ベルを鳴らして人を)呼ぶ」「ガッカリさせる、(顔などに)パンチを食らわす」「検査する」など。彼はトランペッターなので、目的語sa Grécoに対する愛をトランペットで歌い上げたととらえよう。
9 les morts y sonnent:1965年に結成されたアメリカのロックバンド、ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドThe Velvet Undergroundの歌手スターリング・モリソンSterling Morrisonの名前の複数形にかけていて、les Morrison(ファミリーの名前なので単数形)と表記した歌詞もある。Nico:同グループに途中から参加したドイツ生まれの女性歌手ニコNico。ニコを推薦したアンディ―・ウォーホルによるバナナのジャケットで有名なアルバム「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコThe Velvet Underground and Nico」を出した後、ニコは脱退した。
10 quoi qu’on en dise=on peut tout dire,mais「ひとが何を言おうと」
11 On dirait…「…のようだ」。ジェーン・バーキンJane Birkinとセルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourg。二人の曲はそれぞれすでに多数取り上げた。
12 最初のétatは「国」、2番めは「状態」と、使い分けられている。




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2015
10.21

センチメンタル族Foule sentimentale

Alain Souchon Foule sentimentale


今回取り上げるのは、アラン・スーションAlain Souchonの最大のヒット曲。1993年のアルバム:C'est déjà çaに収録されているFoule sentimentaleです。この曲の邦訳名としては、「センチメンタルな大衆」が一般的なようで、原名の読み風に「フール・センチメンタル」としているのも見かけます。それではまるでバゲット・サンドイッチみたいですから、「フール・サンティマンタル」にすべきじゃないでしょうか。歌詞のなかでのこの言葉の意味合いなどを考えた上で、このページでは、新規の名称「センチメンタル族」を用いることにしました。

シャンソンには、何らかのメッセージが込められた歌がたくさんあります。この曲は、消費社会に対して疑問をなげかける内容。ですが、この曲が流行りCDが売れたことは、消費を促進することになったかも…。

アラン・スーションに関しては、先に取り上げた「ボクは10才J'ai dix ans」で簡単にご紹介しています。「女の子のスカートの下 Sous les jupes des filles」も取り上げました。ほかにも「インチキ野郎Bidon」などおもしろい曲が多数あり、個人的には「ジムのバラードLa ballade de Jim」が好きです。これらもいずれ取り上げましょう。



Foule sentimentale      センチメンタル族
Alain Souchon         アラン・スーション


Oh la la la vie en rose 注1
Le rose qu'on nous propose 注2
D'avoir les quantités d'choses
Qui donnent envie d'autre chose
Aïe, on nous fait croire
Que le bonheur c'est d'avoir
De l'avoir plein nos armoires
Dérisions de nous dérisoires car

  オー・ラ・ラ・バラ色の生活
  僕らが勧められるバラ色ってのは
  たくさん物を持つことさ
  他の物をさらに欲しくなる物をね
  やれやれ、僕らは信じさせられる
  幸せって持つことだって
  タンスいっぱい持つことだって
  ちんけな僕らに見合ったちんけなものをね なにせ

Foule sentimentale4


Foule sentimentale 注3
On a soif d'idéal
Attirée par les étoiles, les voiles
Que des choses pas commerciales
Foule sentimentale
Il faut voir comme on nous parle 注4
Comme on nous parle

  センチメンタル族なのさ
  理想を渇望するんだ
  商業的ではない物
  星々や船の帆に引きつけられる
  センチメンタル族なのさ
  彼らがどんな風に僕らに語るか知るべきだよ
  どんな風に語るか

Il se dégage
De ces cartons d'emballage
Des gens lavés, hors d'usage
Et tristes et sans aucun avantage
On nous inflige
Des désirs qui nous affligent
On nous prend faut pas déconner dès qu'on est né 注5
Pour des cons alors qu'on est 注6
Des

  洗脳された人々用の、不要の
  そしてくだらなくてなんら有用でない
  これらの段ボール箱から
  彼は自分を解放する
  僕らに苦しみを与える欲望を
  ひとは僕らに押し付ける
  ひとは僕らをまぬけ扱いするが
  のっけから馬鹿を言うんじゃない
  だって僕らも

foule sentimentale1


Foules sentimentales 注7
Avec soif d'idéal
Attirées par les étoiles, les voiles
Que des choses pas commerciales
Foule sentimentale
Il faut voir comme on nous parle
Comme on nous parle

  センチメンタル族の仲間なのさ
  理想への渇望を抱き
  星々や船の帆に
  商業的ではない物だけに引きつけられる
  センチメンタル族なのさ
  彼らが僕らにどんな風に語るか知るべきだよ
  どんな風に語るか

foule sentimentale3


On nous Claudia Schieffer 注8
On nous Paul-Loup Sulitzer
Oh le mal qu'on peut nous faire
Et qui ravagea la moukère 注9
Du ciel dévale
Un désir qui nous emballe 注10
Pour demain nos enfants pâles
Un mieux, un rêve, un cheval

  ひとは僕らにクラウディア・シーファーを押し付ける
  ひとは僕らにポール=ルー・シュリッツェルを押し付ける
  おー、ひとが僕らになしうる悪
  そしてかつて女性を苛んだ悪のなんたるや
  僕らを熱狂させるひとつの願望が
  空から降ってくる
  明日 僕らのひ弱な子供たちが
  マシなことを、夢を、馬を、という

Foule sentimentale
On a soif d'idéal
Attirée par les étoiles, les voiles
Que des choses pas commerciales
Foule sentimentale
Il faut voir comme on nous parle
Comme on nous parle

  センチメンタル族なのさ
  彼らは理想を渇望するんだ
  星々や船の帆に
  商業的ではない物だけに引きつけられるんだ
  センチメンタル族なのさ
  彼らが僕らにどんな風に語るか知るべきだよ
  どんな風に語るか

Foule sentimentale2


[注]
1 la vie en roseはご存じ、エディット・ピアフのシャンソンのタイトルに掛けた表現。2行目のroseは男性名詞なので「バラ色」。「花のバラ」のroseは女性名詞。今回の歌詞では、バラ色は否定的なニュアンスで用いられている。
2 onは、人間一般、不特定の人、私たち、あなたがた、彼らなど複数の意味でもちいられる語で、この歌詞では、商業的価値を押し付ける側を示す場合と、foule sentimentaleの側すなわち自分の側を示す場合とがあり、読み分ける必要がある。
3 foule sentimentaleは、直訳すれば「感じやすい大衆」で、sentimentalは、「おセンチな」という意味ではない。また、fouleは「民衆、大衆」という集合名詞で、主語として用いられた場合、動詞は単数形・複数形いずれも可能。
4 onはここではfoule sentimentaleを指し、すなわち自分も含まれるわけだが、「彼ら」と訳した。間接目的語のnousは「ひとに」くらいの意味。
5 il ne faut pas déconner「馬鹿言うんじゃない」のil neが省略されている。dès qu'on est néは、déconnerとの語呂を合わせで、ここのonも次行のonもnousの側。直訳すれば、「生まれるやいなや」。
6 conは「馬鹿」。alors que…は「…なのに」。
7 注3で示したfoule sentimentaleがここでは複数形にされている。前節のqu'on est des foules sentimentalesとつながり、des=de+lesで、on「僕たち」がles foules sentimentalesの一部であるということ。
8 Claudia Schiefferはスーパーモデルで女優、Paul-Loup Sulitzerは実業家で、マネーゲームを題材にした小説で知られるベストセラー作家。ともに大消費化社会の象徴ということで、その名前が動詞的に用いられている。
9 moukèreは「女性」を示す単語で、もとはイスラム系の語だったらしい。
10 emballerは話し言葉で「熱中させる」の意味。un désir qui nous emballeと単数で示されており、前出のdes désirs qui nous affligentという悪しき諸願望と対比的に、ひとつのよき願望を示している。具体的には、後続の内容で、子供たちがいい夢を持つようになること。



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2015
10.20

太陽と月Le soleil et la lune

Charles Trenet Le soleil et la lune


シャルル・トレネCharles Trenetの「太陽と月Le soleil et la lune」というメルヘンティックな曲です。1939年、作詞:トレネ自身、作曲:トレネとラズリーLasry。アルバム:Le Fou Chantant!に収録されています。太陽と月がランデヴーしようとするお話。以前取り上げた、アンリ・サルヴァドールHenri Salvadorの「ミツバチとチョウチョL'abeille et le papillon」もジュリエット・グレコJuliette Grécoの「小さな魚と小さな鳥Un petit poisson,un petit oiseau」もハッピーエンドでしたが、太陽と月はすれ違いのまま?



Le soleil et la lune   太陽と月
Charles Trenet     シャルル・トレネ


Sur le toit de l'hôtel où je vis avec toi
Quand j'attends ta venue mon amie
Quand la nuit fait chanter plus fort et mieux que moi
Tous les chats tous les chats tous les chats
Que sur les toits que répètent les voix 注1
De ces chats de ces chats qui s'ennuient
Des chansons que je sais que je traduis pour toi
Les voici les voici les voilà

  僕が君と泊まっているホテルの屋根の上に
  いとしい人、僕が君が来るのを待っているとき
  そのとき、ネコたちみんなネコたちみんなネコたちみんなを
  夜が、僕よりも大声でそしてもっとうまく歌わせる    
  退屈しているネコたちのネコたちの声は
  どうやら屋根の上で反響しているんだ
  その歌を君のために訳してあげることができるよ
  こんな歌こんな歌だよほら

Le soleil et la lune1


{Refrain :}
Le soleil a rendez-vous avec la lune
Mais la lune n'est pas là et le soleil l'attend
Ici-bas souvent chacun pour sa chacune 注2
Chacun doit en faire autant
La lune est là, la lune est là
La lune est là, mais le soleil ne la voit pas
Pour la trouver il faut la nuit
Il faut la nuit mais le soleil ne le sait pas et toujours luit
Le soleil a rendez-vous avec la lune
Mais la lune n'est pas là et le soleil l'attend
Papa dit qu'il a vu ça lui… 注3

  太陽が月とデートの約束をしたよ
  でも月は来なくて太陽は待ってる
  地上でもしょちゅうオスはメスを待つ
  オスはそうしなきゃならないの
  月がやって来た、月がやって来た
  月がやって来た、でも太陽は会えないの
  月に会うには夜にならなきゃ
  夜にならなきゃいけないのに、太陽はそれがわからず輝きっぱなし
  太陽が月とデートの約束をしたの
  でも月は来なくて太陽は待ってる
  パパはねそういう光景を見たって言ってるよ…

Des savants avertis par la pluie et le vent
Annonçaient un jour la fin du monde
Les journaux commentaient en termes émouvants
Les avis les aveux des savants
Bien des gens affolés demandaient aux agents
Si le monde était pris dans la ronde 注4
C'est alors que docteurs savants et professeurs
Entonnèrent subito tous en chœur 注5

  雨や風によって気づいた知恵者たちは
  ある日、地球の終わりを知らせる
  新聞は煽るような言葉遣いで
  知恵者たちの意見や証言を解説する
  取り乱した多くの人々が官吏たちに尋ねる
  地球が止まっちゃったんじゃないかと
  その時、先生たち知恵者たちや学者たちは
  突然、みんな声をそろえて歌いだす

{Refrain}

Philosophes écoutez cette phrase est pour vous 注6
Le bonheur est un astre volage
Qui s'enfuit à l'appel de bien des rendez-vous
Il s'efface il se meurt devant nous
Quand on croit qu'il est loin il est là tout près de vous
Il voyage il voyage il voyage
Puis il part il revient il s'en va n'importe où
Cherchez-le il est un peu partout…

  哲学者たちお聞きなさい、このフレーズはあなたたちのためのもの
  幸福は移り気な星で
  ランデヴーしょうと呼びかけると逃げ出す
  幸福は姿を消し僕たちの前で死んでしまう
  幸福が遠くにいると思っているときにはあなた方のすぐ近くにいる
  幸福は旅をする旅をする旅をする
  そして出て行っては戻って来てどこにだって行ってしまう
  幸福を探しなさい それはきっとあちこちにいるよ…

Le soleil et la lune3


[注]
1 この行が分かりにくかったが、les voix「声」がsur les toits「屋根の上に」répèter「反響する」ということで、たくさんの猫が大きな声で上手に歌っているように聴こえたということだろう。
2 chacun「各人、各々」は男性でchacuneは女性形でその恋人。猫の場合として「オス」「メス」と訳した。
3 papaが見たのは、太陽が輝きっぱなしで月を待っている状況。つまり夜にならないので、次の節の、この世の終わりじゃないかという内容につながる。
4 pris(prendreの過去分詞)は「つかまった、固まった」の意味。rondeは「輪舞、ロンド」あるいは「(警備員・兵士などの)巡回、見回り」。地球が回転を止めたんじゃないかと言っている。
5 subitoはラテン語
5 un peuは反語的な強調
6 cette phraseこのフレーズとはルフランの部分、すなわち猫たちの歌のこと。
7 le bonheur「幸福」とは「月」のことを言う、というより、「月」 とは「幸福」のことを言っていたわけだ。




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2015
10.19

もう取り返せない(別離)C'est irréparable

C’est irreparable


日本語でよく歌われる「別離」の原曲は、ニノ・フェレールNino Ferrerが作り歌ったC'est irréparableで、1963年に出した最初のアルバム(45回転のEP)に入っていました。1965年に、ミーナMinaがUn anno d'amoreの曲名でイタリア語で(日本語でも)歌い、それがヒットしたことで、フェレールの元の歌が注目されるようになったそうです。フランス語ではダリダDalidaも歌っています。日本語の歌と比べて勢いがあり、印象がまったく異なりますので、本語の歌のイメージから分離させたいということで、原題を直訳した「もう取り返せない」という題名を用いることにし、「別離」という邦題は副題としました。フェレールに関しては、先に取り上げた「泉の傍の家La maison près de la fontaine」のページで解説していますので参照ください。



ミーナのUn anno d'amore



C'est irréparable  もう取り返せない(別離)
Nino Ferrer      ニノ・フェレール


Je sais que c'est fini
Je sais mais je t'en prie
Écoute-moi quand même
Écoute-moi car je t'aime
Depuis qu'on s'est quitté
Je suis seul étonné
Mes jours sont tellement lents
Et vides et obsédants
Je suis seul, la nuit vient
Et je me souviens

  終ったことだと分かってるさ
  分かってる だがお願いだ
  それでも聞いてくれ
  聞いてくれ 君を愛しているのだから
  別れてこのかた
  僕はひとり困惑している
  日々はこんなにも遅々として過ぎ
  空虚で執拗だ
  僕はひとり、夜になると
  想い出す

D'un an d'amour
Les matins indolents
Les soirs de pluie
Les vacances et le vent
Et ton corps blond
De soleil et de sable
Un an d'amour
C'est irréparable
Un an d'amour
C'est irréparable

  恋の1年を
  けだるい朝
  雨の夜
  ヴァカンスと風
  そして太陽と砂に染まった
  君の黄金色の体
  恋の1年間
  それはもう取り返せない
  恋の1年間
  それはもう取り返せない

Cest irreparable4


Maintenant ce n'est plus moi
Un autre est avec toi
Et toi, tu lui souris
Comme tu m'avais souri
Et ce sourire, tu vois
Je te hais pour cela
Je te hais mais je t'aime
Au fond ça revient au même 注1
Je t'aime, le comprends-tu ?
T'ai-je vraiment perdue ?

  今ではもう僕ではなく
  ほかの男が君といっしょにいる
  そして君は、彼に微笑みかける
  かつて僕に微笑みかけたように
  その微笑み、そうさ
  僕はそのせいで君が憎い
  君が憎いけれど君を愛している
  つまり結局はあい変わらず
  君を愛している、分かってくれるか?
  僕は本当に君を失ってしまったのか?

Un an d'amour
Des années de regrets
Des feuilles mortes 注2
Et le temps passé
L'automne emporte
Les rêves et les fables
Un an d'amour
C'est irréparable
L'automne emporte
Les rêves et les fables
Un an d'amour
C'est irréparable

  恋の1年間
  悔恨の数年間
  枯葉
  過ぎ去った時
  秋は運んでくる
  夢と寓話を
  恋の1年間
  それはもう取り返せない
  秋は運んでくる
  夢と寓話を
  恋の1年間
  それはもう取り返せない

Cest irreparable5


[注]
1 au fond「実は、結局は」。ça revient au même「(いずれにせよ結局は)同じことだ」。
2 シャンソンの名曲「枯葉Les feuilles mortes」に歌われるように、夏の恋が秋には去っていくということをdes feuilles mortesは象徴し、1年間の恋と言いながら、恋の経過と季節の移り変わりを重ねた表現になっている。




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2015
10.18

釣りができますIci l'on pêche

Jean Tranchant Ici lon pêche


「釣りができますIci l'on pêche」という曲は、1934年にジャン・トランシャンJean Tranchantが作り歌いました。彼は1904年にパリで生まれました。たいへん多才な人で、シンガー・ソングライターの走りで、ピアノも弾く美貌の歌手だっただけではなく、絵画や造形にも才能を発揮しました。恋の歌を作るのが得意で、30年代にはリュシエンヌ・ボワイエLucienne Boyerやジョゼフィン・ベーカー Joséphine Baker、マリアンヌ・オズワルド、Marianne Oswald、リス・ゴーティLys Gauty、マルレーネ・ディートリッヒMarlène Dietrichなどに、そしてのちにはジュリエット・グレコJuliette Grécoに曲を提供しました。スィング調のルフランの使用はシャルル・トレネCharles Trenetなどにインスピレーションを与えました。ホモセクシュアルであることを隠していましたが、男女の恋を歌うかに見える歌詞には、秘められたもう一つの意味を読み取ることができるとも言われます。後年、スイスやベルギー、南アメリカなどに移り住んだのちにフランスに戻り、さほどの栄光を勝ち取ることなく1972年に世を去りました。

ジャン・トランシャンJean Tranchantが、ステファン・グラッペリStéphane Grappelliのヴァイオリンとジャンゴ・ラインハルトDjango Reinhardtのギターと共に自身もピアノを弾いて歌っています。



ジェルメーヌ・サブロンGermaine Sablonがジャンゴ・ラインハルトDjango Reinhardt のギター+オーケストラの伴奏で歌っています。



ジャクリーヌ・フランソワJacqueline Françoisの歌は先の二人よりずっと新しく、歌唱、録音ともに素晴らしいです。



Ici l'on pêche                 釣りができます
Jean Tranchant               ジャン・トランシャン


Près du grand chemin de halage
Où les bateaux vont doucement
Dans un berceau de verts feuillages
Se cache un petit restaurant
L'air embaume les pommes frites
Les gaufres et les lilas blancs
Les bleuets et les marguerites
Prennent rendez-vous sous les bancs
Oui, sous les bancs

  船が静かに通っていく
  大きな引き船道の近く
  緑の葉むらのトンネルのなかに
  小さなレストランが隠れている
  空気はフライドポテト
  ゴーフルや白いリラの匂いがし
  ヤグルマギクやマーガレットが
  ベンチの下でランデヴーしてる

Ici lon pêche1


Allez-y donc, qui vous empêche ?
C'est à côté, pas loin d'ici
Ça porte un nom : "Ici l'on pêche"
Vous y pêcherez aussi

  行こうよ、誰が君の邪魔をするというんだい?
  すぐ近くだよ、ここから遠くないよ
  こんな名前がついている「釣りをするところ」と
  君もそこで釣りをしようよ

La patronne est une amoureuse
Le patron est un amoureux
Le vin est bon, l'auberge heureuse
Et les repas sont plantureux
Dans les massifs partout fredonnent
Des mots d'amour et des chansons
Et tous les baisers qu'on se donne
Ne sont pas mis sur l'addition
Sur l'addition

  女店主は恋する女で
  店主は恋する男
  ワインは美味しくて、いい宿屋
  そして食事はたっぷり
  植え込みのなかでは、あちこちで
  愛の言葉や歌が聞こえる
  そして交わすくちづけはすべて
  勘定書には記載されない
  勘定書には

Ici lon pêche2


Allez-y donc, qui vous empêche ?
C'est à côté, pas loin d'ici
Ça porte un nom : "Ici l'on pêche"
Vous y pêcherez aussi

  行こうよ、誰が君の邪魔をするというんだい?
  すぐ近くだよ、ここから遠くないよ
  こんな名前がついている「釣りをするところ」と
  君もそこで釣りをしようよ

C'est là qu'un grand jour de ma vie
J'ai rencontré sur mon chemin
Celle qui devint ma folie
Et je l'ai prise par la main
Elle avait de belles manières
Je l'ai suivie sans sourciller
Et si elle est ma prisonnière
Je suis aussi son prisonnier

  僕の人生の大切な日はこの日
  道すがら出会った
  僕が夢中になった彼女に
  そして僕は彼女の手を取った
  彼女は優美な物腰だった
  僕は案じることなく彼女について行った
  そして彼女は僕のとりこになり
  僕もまた彼女のとりこになった

Allez-y donc, qui vous empêche ?
Je suis bien sûre que vous irez
Ça porte un nom : "Ici l'on pêche"
m m m m m m
Comme moi, vous pêcherez

  行こうよ、誰が君の邪魔をするというんだい?
  きっと君は行くと思うよ
  こんな名前がついている「釣りをするところ」と
  ム ム ム ム ム ム
  僕のように、君も釣りをするんだよ

Ici lon pêche4


ジャクリーヌ・フランソワJacqueline Françoisの歌う女性ヴァージョンを、語句の異なる5節目のみ示します。               

C'est là qu'un grand jour de ma vie
J'ai rencontré sur mon chemin
C’est lui qui devint ma folie
Et qu'il m'a prise par la main
Il avait de belles manières
Je l'ai suivi sans sourciller
Et je suis sa prisonnière
Il est aussi mon prisonnier
Ah ah ah ah

  私の人生の大切な日はこの日
  私は道すがら出会った
  それは彼、私が夢中になった人
  そして彼は私の手を取った
  彼は優美な物腰だった
  私は怖じることなく彼について行った
  そして私は彼のとりこになり
  彼もまた私のとりこになった
  ア ア ア ア

[注]  "Ici l'on pêche"は、邦題としては一般的な「釣りができます」としたが、正確に訳すと「ここで人は釣りをする」となる。そして、auberge(レストランを兼ねた宿屋)にそういう名前が付いているということなので、「釣りをするところ」としたほうがよかろう。だが、単に「魚を釣る」ということだろうか?歌詞の中に、ここが恋人たちのための場所であることを意味する内容が含まれているので、「女(男)を釣る」といった暗喩かもしれない。さらには、pêcherと類似した動詞のpécherは、「(宗教上の)罪を犯す」という意味であり(エディット・ピアフÉdith Piafの「メア・キュルパ(夜は恋人) Mea culpa」を参照されたい)、これをかけているのではないかとも思う。


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2015
10.17

サン=ラザールにてÀ Saint-Lazare

Barbara À Saint-Lazare


今回は、アリスティード・ブリュアンAristide Bruantが1887年に作った「サン=ラザールにてÀ Saint-Lazare」。1892 年に創唱したユージェニー・ビュッフェEugénie Buffetの歌はこちらで聴けます。

サン=ラザールSaint-Lazareとは、パリ第10区のサン=ラザール刑務所Prison Saint-Lazareのこと。もともと12世紀にハンセン病の病院として建造され、17世紀に刑務所として使用されるようになり、1789年のフランス革命時にはロベスピエールを中心とするジャコバン派が行った恐怖政治では多くの人々が投獄されました。1857年頃からは、刑務所、売春婦の収容更生施設、親が娘たちを託す感化院という3つのセクションで警視庁が管轄するようになりました。この曲はこの時代に刑務所に投獄された女性の立場の歌詞でしょうが、著名な女囚の誰かではなく、一人の売春婦のように思われます。
その後、1927年に閉鎖された後、1955年にはサン=ラザール病院となりました。病院は1998年に閉鎖され、2005年には歴史的建造物に指定されました。(以上、Wikipédiaフランス語の記事より)

パタシューPatachou



バルバラBarbara



ほかには、ジェルメーヌ・モンテロGermaine Montero、リナ・マルジーLina Margy、ヴェロニク・サンソンVéronique Sansonなどが歌い、ムルージMouloudjiは朗読しています。

À Saint-Lazare  サン=ラザールにて
Barbara      バルバラ


C'est de la prison que j't'écris
Mon pauvr' Polyte 注1
Hier je n'sais pas c'qui m'a pris
À la visite
C'est des maladies qui s'voient pas
Quand ça s'déclare
N'empêche qu'aujourd'hui j'suis dans l'tas 注2
À Saint-Lazare

  牢獄のことをあんたに書くわ
  いとしいポリット
  昨日、やって来て
  私を捕らえたのが誰なのか分からない
  襲ってきたときに
  姿を見せないものそれはまるで病気よ
  ともかくも、現に私は
  サン=ラザールの集団のなかにいるのよ

À Saint-Lazare3


Mais pendant c'temps-là, toi, vieux chien,
Qué'tu vas faire ?
Je n'peux t'envoyer rien de rien,
C'est la misère.
Ici tout l'monde est décavé,
La braise est rare ; 注3
Faut trois mois pour faire un linvé 注4
À Saint-Lazare.

  だがこの間、おいぼれ犬のあんたは、
  何をしようとしているの?
  私はあんたに何も届けられない、
  ひどいことだわ。
  ここでは皆すべて巻き上げられ
  お金はわずかしかない;
  1リーブル作るのに3ヶ月かかるわ
  サン=ラザールでは。

Vrai d't'savoir comme' ça sans l'sou
Je m'fais une bile
T'es capabl' de faire un sal' coup
J'suis pas tranquille.
T'as trop d'fierté pour ramasser
Des bouts d'cigare
Pendant tout l'temps que j'vas passer
À Saint Lazare

  一文無しでいることがどんなことか
  私は気が気じゃないの
  あんたは裏の手を使えるわ
  私は心穏やかじゃない。
  あんたはたばこの吸殻を集めるには
  あまりにも自尊心がありすぎる
  サン=ラザールで
  私が時を過ごしている間に

À Saint-Lazare1


Va t'en trouver la grand' Nana
Dis que j'la prie
D'casquer pour moi, j'y rendrai ça
À ma sortie
Surtout n'y fais pas d'boniments
Pendant qu'je m'marre
Et que j'bois des médicaments
À Saint-Lazare

  偉大なるナナを探して来て
  私がお願いしていると言って
  私にお金を出して、あとで返すからと
  出所するためにね
  ふざけたり
  薬を飲んだりして
  出まかせを言っているんじゃないわ
  サン=ラザールで

Et puis mon gros loup, bois pas trop 注5
Tu sais qu't'es teigne
Et quand t'as un petit coup d'sirop 注6
Tu fous la beigne
Si tu t'faisais coffrer un soir
Dans un' bagarre
Y'a pus personn' qui viendrait m'voir
À Saint-Lazare

  それからねお前さん、飲みすぎないでよ
  あんたは根性が悪い
  あんたがシロップをちょっぴり飲むと
  あんたは一発殴る
  もしあんたがある晩
  けんかなんかして牢屋に入ったら
  私に会いに来る人はいなくなるわ
  サン=ラザールに

J'finis ma lettre en t'embrassant
Adieu mon homme
Malgré qu'tu sois pas caressant
Ah j't'ador' comme
J'adorais l'bon Dieu comm' papa
Quand j'étais p'tite
Et qu'j'allais communier à
Sainte-Marguerite.

  あんたにキスを送りながら手紙を終えるわ
  さよなら私のいい人
  あんたが優しくしてくれなくても
  ああ私はあんたを愛している
  私が小さかったときに
  聖マルグリット教会に
  聖体拝領に行ったときに
  神さまをパパとして愛したみたいに

[注]
1 Polyte「ポリット」は男性の名前Hippolyte「イポリット」の愛称。
2 N'empêche que(ou Il n'empêche que)+ind.「それにもかかわらず、…であることに変わりはない」。dans le tas「多くの物(人)の中に」。
3 braise「赤くおこった炭火」が本義だが、「金銭」の意味もある。
4 linvé=pièce de un franc「中世から17世紀に用いられた金貨(銀貨)、リーヴルlivreに等しい貨幣単位」
5 mon gros loupは、子供や親しい者に対する愛称。
6 sirop「シロップ」はここでは酒のことを言う。1行目のtropと韻を踏むため。


À Saint-Lazare2



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2015
10.16

気まぐれを許してPardonne-moi ce caprice d'enfant

Mireille Mathieu Pardonne-moi ce caprice denfant


ミレイユ・マチューMireille Mathieuが1970年に歌ってヒットした「気まぐれを許してPardonne-moi ce caprice d'enfant」は、イタリア生まれのシンガー・ソングライターであるパトリシア・カルリPatricia Carliが作った曲で、ポール・モーリアPaul Mauriatの演奏でも知られています。



Pardonne-moi ce caprice d'enfant       気まぐれを許して
Mireille Mathieu                   ミレイユ・マチュー


{Refrain:}
Pardonne-moi ce caprice d'enfant
Pardonne-moi, reviens moi comme avant
Je t'aime trop et je ne peux pas vivre sans toi
Pardonne-moi ce caprice d'enfant
Pardonne-moi, reviens moi comme avant
Je t'aime trop et je ne peux pas vivre sans toi

  私の子どもじみた気まぐれを許して
  許して、以前のように私のところに戻って来て
  あなたをあまりにも愛していて あなたなしじゃ生きていけない
  私の子どもじみた気まぐれを許して
  許して、以前のように私のところに戻って来て
  あなたをあまりにも愛していて あなたなしじゃ生きていけない

C'était le temps des "je t'aime"
Nous deux on vivait heureux dans nos rêves
C'était le temps des "je t'aime"
Et puis j'ai voulu voler de mes ailes
Je voulais vivre d'autres amours
D'autres "je t'aime", d'autres "toujours"
Mais c'est de toi que je rêvais la nuit
Mon amour

  「愛してる」という言葉を交わし合っていたあの頃
  私たちはともにふたりの夢のなかに生きていた
  「愛してる」という言葉を交わし合っていたあの頃
  そして私は自分の翼で飛び立ちたくなった
  別の恋を生きたくなったの
  別の「愛してる」、別の「いつまでも」を
  でも私が夜、夢に見たのはあなただったわ
  愛するひと

Pardonne-moi ce caprice denfant1


{au Refrain}

C'était vouloir et connaître
Tout de la vie, trop vite peut-être
C'était découvrir la vie
Avec ses peines, ses joies, ses folies
Je voulais vivre comme le temps
Suivre mes heures, vivre au présent
Plus je vivais, plus encore je t'aimais
Tendrement

  それは望むことであり知ることだったわ、たぶん
  人生のすべてを、駆け足で
  それは人生を目のあたりに見ることだった
  その苦しみ、その喜び、その熱情を
  時が私の時間についてくるように生きること、
  今を生きることを私は望んでいた
  生きれば生きるだけ、ますます私はあなたが
  心底いとおしくなったわ

{au Refrain}

Pardonne-moi ce caprice denfant2


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2015
10.15

いや、僕は何も忘れてはいない(遠い想い出)Non, je n'ai rien oublié

Charles Aznavour Non, je nai rien oublié


シャルル・アズナヴールCharles Aznavourの「いや、僕は何も忘れてはいない(遠い想い出)Non, je n'ai rien oublié」は、前回のニコレッタNicolettaの「再会Je n'pourrai jamais t'oublier」の男性版のような曲です。でもこちらは再会を機に昔の恋が蘇る敗者復活戦。1971年に作られ、作詞はシャルル・アズナヴール自身、作曲はジョルジュ・ガルヴァレンツGeorges Garvarentz。邦題は、原題を直訳した「いや、僕は何も忘れてはいない」を用いることにしました。一般に知られている「遠い想い出」は、歌詞内容とちょっとずれている気がしますが、添えることにしました。
ニコレッタの曲では、女性側の一方的な語りかけであり、男性にはもう新しい彼女がいるという状況でしたが、アズナヴールの曲では、饒舌すぎる(!)男性側の言葉しか出てきませんが、女性の受け答えが伺え、互いに新しい相手はまだいなくて、また二人でやり直そうじゃないかという提案で終わります。



Non, je n'ai rien oublié  いや、僕は何も忘れてはいない(遠い想い出)
Charles Aznavour     シャルル・アズナヴール


Je n´aurais jamais cru qu´on se rencontrerait
Le hasard est curieux, il provoque les choses
Et le destin pressé un instant prend la pause
Non je n´ai rien oublié

  僕たちがまた会うなんてまったく思いもしていなかった
  偶然というものは奇妙なもので、いろんな事態を引き起こす
  そして急ぎ足の運命は一時中断する
  いや、僕は何も忘れてはいない

Je souris malgré moi, rien qu´à te regarder
Si les mois, les années marquent souvent les êtres
Toi, tu n´as pas changé, la coiffure peut-être
Non je n´ai rien oublié

  僕は心ならずも微笑んだ、ただ君を見つめるために
  もしも歳月が人の心に痕跡を留めることがしばしばあるとすれば
  君、君は変えていない、髪型をたぶん
  いや、僕は何も忘れてはいない

Non, je nai rien oublié2


Marié, moi? allons donc, je n´en ai nulle envie 注1
J´aime ma liberté, et puis, de toi à moi 注2
Je n´ai pas rencontré la femme de ma vie
Mais allons prendre un verre, et parle-moi de toi

  結婚、僕が?まさか、まったくそんな気はないよ
  僕は自由がいいのさ、そして、君と僕だけの話だが
  生涯連れ添うような女性に巡り会わなかった
  だが乾杯しよう、それから君のことを話してくれ

Qu´as-tu fait de tes jours? es-tu riche et comblée?
Tu vis seule à Paris? mais alors ce mariage?
Entre nous, tes parents ont dû crever de rage
Non je n´ai rien oublié

  君は何をやっているの?裕福で満足しているのかい?
  パリにひとりで住んでいるの?だがさてこの結婚は?
  僕たちのことに関し、君の両親は怒りに狂うしかなかった
  いや、僕は何も忘れてはいない

Qui m´aurait dit qu´un jour sans l´avoir provoqué
Le destin tout à coup nous mettrait face à face
Je croyais que tout meurt avec le temps qui passe
Non je n´ai rien oublié

  彼らは僕に言ったようだ いつか、ことさら引き起こすまでもなく
  運命に僕たちが直面する事態が突然起こるだろうと
  僕は時が過ぎゆくにつれすべて消え去ると信じていた
  いや、僕は何も忘れてはいない

Je ne sais trop que dire, ni par où commencer 注3
Les souvenirs foisonnent, envahissent ma tête
Mon passé revient du fond de sa défaite
Non je n´ai rien oublié, rien oublié

  どれだけ言えばいいのか、どこから始めたらいいのかも分からない
  想い出は溢れるほどで、僕の脳裏を満たしている
  僕の過去は敗北の底から立ち戻って来る
  いや、僕は何も忘れてはいない、何も忘れてはいない

A l´age où je portais mon cœur pour toute arme
Ton père ayant pour toi bien d´autres ambitions
A brisé notre amour et fait jaillir nos larmes
Pour un mari choisi sur sa situation

  僕が自分の心を唯一の拠り所としていた時期に
  君の父親は君のためにまた別のもくろみを抱いて
  僕たちの愛を壊し僕たちの涙を溢れ出させた
  彼の立場上の理由で選んだ夫のために

J´ai voulu te revoir mais tu étais cloîtrée
Je t´ai écrit cent fois, mais toujours sans réponse
Cela m´a pris longtemps avant que je renonce
Non je n´ai rien oublié

  君にまた会いたかったが君は監禁されていた
  僕は何度も君に手紙を書いた、だがいつも返事は返って来なかった
  諦めるまでには長い間かかった
  いや、僕は何も忘れてはいない

L´heure court et déjà le café va fermer
Viens je te raccompagne à travers les rues mortes
Comme au temps des baisers qu´on volait sous ta porte
Non je n´ai rien oublié

  時は短くもうカフェは閉まるところだ
  さぁ静まり返った通りを横切って君を送って行こう
  君の家の戸口で口づけを交わした時代のように
  いや、僕は何も忘れてはいない

Non, je nai rien oublié3


Chaque saison était notre saison d´aimer
Et nous ne redoutions ni l´hiver ni l´automne
C´est toujours le printemps quand nos vingt ans résonnent
Non je n´ai rien oublié, rien oublié

  どの季節も僕たちの愛の季節だった
  そして僕たちは冬も秋も恐れはしなかった
  僕たちの青春が鳴り響いていた頃はいつだって春だった
  いや、僕は何も忘れてはいない、何も忘れてはいない

Cela m´a fait du bien de sentir ta présence
Je me sens différent, comme un peu plus léger
On a souvent besoin d´un bain d´adolescence 注4
C´est doux de revenir aux sources du passé

  君の存在を感じることは僕を元気にさせてくれる
  自分が変わった気がする、少し気分が軽くなったようだ
  時々は青春の気分に浸ることが必要だ
  過去の源泉に立ち戻ることは素敵なことだ

Je voudrais, si tu veux, sans vouloir te forcer
Te revoir à nouveau, enfin... si c´est possible
Si tu en as envie, si tu es disponible
Si tu n´as rien oublié
Comme moi qui n´ai rien oublié

  どうだろう、もしよかったら、強いる気はないが
  もう一度、つまり…もし可能なら
  もし君がそれを望み、もし君が自由だったら
  もし君が何も忘れていないのなら
  何も忘れていない僕と同じように

[注]
1 allons donc「まさか、ばかな」
2 de vous(toi) à moi「あなた(君)と私の間だけのこと」
3 ne savoir trop+inf「いくら…してもしすぎることはない」。ni以下もJe ne saisにつながる。
4 prendre un bain de Jouvence「青春の泉につかる、若さを取り戻す」と類似した表現。



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2015
10.14

再会Je n'pourrai jamais t'oublier

Je npourrai jamais toublier


金子由香利ほか、日本人歌手が好んで歌う「再会」の原曲は、ニコレッタNicolettaのJe n'pourrai jamais t'oublier(1969年。作詞:パトリシア・カルリPatricia Carli、作曲:エミル・ディミトロフEmil Dimitrov)です。ニコレッタにしては珍しく、おとなしい歌い方で、フランスではあまりヒットせず、歌詞を検索しても、フランス系のサイトにはほとんど出ていませんでした。日本語の「再会」はあらかた同じ内容。ひとりで語っているような曲想が日本人好みだったようですね。原題を直訳すると「私はあなたをけっして忘れられないわ」となって長すぎるし、内容的には合致しているので、この邦題を使いましょう。別れた男女が偶然再会し、女性のほうが相手への想いを語ります。結局、男性は一言もしゃべらなかったのかな?とヤボな私は思ってしまいます。



Paul Mauriatの1981年の演奏。このまま、カラオケに使えます。



Je n'pourrai jamais t'oublier 再会
Nicoletta           ニコレッタ


Tiens, bonjour, comment vas-tu, dis-moi
Dis, te souviens-tu encore de moi?
Moi, il m'arrive souvent de penser à toi  
Mais à part ça, comment ça va?

  あら、こんにちは、どう、ご機嫌いかが
  ねえ、あなた私をまだ覚えてらして?
  私、あなたのことを考えてしまうことがよくあるわ
  まあそれはともかく、あなたお元気?

Toi, vraiment tu n’as pas trop changé
Moi, tu sais, j’ai beaucoup voyagé
Oui, en effet j’ai découvert d’autres pays
Et toi, qu’as-tu fait de ta vie?

  あなた、ほんとにあまりお変わりないわね
  私は、ほら、たくさん旅をしたわ
  ええ、つまりよその国々を見てきたの
  であなたは、今何をしてらっしゃるの?

Je npourrai jamais toublier1


Je parle trop, tu es pressé
Je ne voudrais pas te déranger
Si j’en dis trop, c’est pour t’aider
À retrouver le temps passé

  私しゃべりすぎね、お急ぎでしょう
  あなたの邪魔をしたくはないのよ
  私の口数が多いのは、それはあなたが
  昔を思い出してくださるようになの

Est-il vrai qu’elle me ressemble un peu?
On dit qu’elle a aussi les yeux bleus
Es-tu certain d’être plus heureux maintenant?
Moi, je t’aime, je t’aime toujours autant

  私と似てらっしゃるってほんと?
  あの方も青い目なんですってね
  あなたは今、以前よりも幸せだと感じてらっしゃるの?
  私、私はあなたを愛してる、変わらずずっと愛しているわ

C’est la vie, on n’y peut rien changer
Nous sommes aujourd’hui deux étrangers
Je vois très bien dans tes yeux
Qu’il n’en reste rien de notre amour
Que tu es loin

  これが人生ね、何も変えられやしない
  私たちは今ではもう他人同士
  あなたの目に見てとれるわ
  かつての愛はもう残っていないこと
  あなたがもう遠くなってしまったことが

Je parle trop, tu es pressé, je sais
Je ne veux plus te retarder
Encore un mot et je m’en vais, tu sais
Je n'pourrai jamais t’oublier
Encore un mot et je m’en vais, tu sais
Je n'pourrai jamais t’oublier

  私しゃべりすぎね、お急ぎでしょ、きっと
  もうこれ以上あなたを引き止めないわ
  もう一言だけ言わせて、そしたら行くわ、ね
  「私あなたをけっして忘れることはできないわ」
  もう一言だけ言わせて、そしたら行くわ、ね
  「私あなたをけっして忘れることはできないわ」

[注] この行は、Oui, dans ma vie souvent j'ai pensé à toiとなっている歌詞があるが、ニコレッタの歌に合わせた。


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2015
10.13

いつかの二人Les amants d'un jour

Édith Piaf Les amants dun jour


エディット・ピアフÉdith Piafが歌う「いつかの二人Les amants d'un jour」を、私は、ジュリエット・グレコJuliette Grécoの数年前の来日公演で初めて聴きました。とても心に引っかかるような曲です。1956年に、クロード・ドレクルーズClaude Delécluseとミッシェル・サンリスMichèle Senlisが作詞し、マルグリット・モノーMarguerite Monnotが作曲しました。

ジュリエット・グレコJuliette Grécoの歌が、私は気に入っています。



エディット・ピアフÉdith Piaf



アラン・バシュングAlain Bashungも歌っています。



Les amants d'un jour いつかの二人
Édith Piaf         エディット・ピアフ


Moi, j'essuie les verres
Au fond du café
J'ai bien trop à faire
Pour pouvoir rêver
Et dans ce décor
Banal à pleurer 
Il me semble encore
Les voir arriver...

  私はグラスを拭く
  カフェの奥で
  やることが多すぎて
  夢なんか見ていられないのよ
  けれど、ひどくありふれた
  この場所に
  彼らが来るのを見るような
  そんな気がまだする…

Ils sont arrivés
Se tenant par la main
L'air émerveillé
De deux chérubins
Portant le soleil
Ils ont demandé
D'une voix tranquille
Un toit pour s'aimer
Au cœur de la ville
Et je me rappelle
Qu'ils ont regardé
D'un air attendri
La chambre d'hôtel
Au papier jauni
Et quand j'ai fermé
La porte sur eux
Y avait tant de soleil
Au fond de leurs yeux
Que ça m'a fait mal,
Que ça m'a fait mal...

  彼らはやって来た
  手をとりあって
  二人の天使たちの
  うっとりした様子は
  太陽を運んできたわ
  静かな声で
  彼らは求めた
  街の真ん中で
  愛し合うための部屋を
  私は思い出す
  彼らが感動した様子で
  壁紙の色あせた
  ホテルの部屋を眺めたのを
  そして私が彼らの部屋の
  ドアを閉めたとき
  彼らの目の奥には
  太陽がいっぱい輝いていた
  思い出すと辛いわ、
  思い出すと辛いわ…

Les amants dun jour2


Moi, j'essuie les verres
Au fond du café
J'ai bien trop à faire
Pour pouvoir rêver
Et dans ce décor
Banal à pleurer
C'est corps contre corps
Qu'on les a trouvés...

  私はグラスを拭く
  カフェの奥で
  やることが多すぎて
  夢なんか見ていられないのよ
  そして、ひどくありふれた
  この場所で
  彼らは見つかった
  体と体を寄せ合った姿で

On les a trouvés
Se tenant par la main
Les yeux refermés
Vers d'autres matins
Remplis de soleil
On les a couchés
Unis et tranquilles
Dans un lit creusé
Au cœur de la ville
Et je me rappelle
Avoir refermé
Dans le petit jour
La chambre d'hôtel
Des amants d'un jour

  彼らは見つかった
  手を取り合い
  太陽に満ち溢れた
  新たな朝には
  目を閉ざしたままで
  彼らを寝かせたわ
  いっしょに静かに
  街の真ん中の
  窪んだベッドに
  私は思い出すわ
  早朝に
  ある日の恋人たちの
  ホテルの部屋のドアを
  また再び閉めたことを

Mais ils m'ont planté
Tout au fond du cœur
Un goût de leur soleil
Et tant de couleurs
Que ça me fait mal,
Que ça me fait mal...

  けれど彼らは
  私の心の奥に
  彼らの太陽の味を
  そして豊かな色彩を
  植えつけてくれた
  思い出すと辛いわ、
  思い出すと辛いわ…

Les amants dun jour1


Moi, j'essuie les verres
Au fond du café
J'ai bien trop à faire
Pour pouvoir rêver
Et dans ce décor
Banal à pleurer
Y a toujours dehors...
La chambre à louer...

  私はグラスを拭く
  カフェの奥で
  やることが多すぎて
  夢なんか見ていられないのよ
  そして、ひどくありふれた
  この場所には
  いつも看板が出てる…
  貸し部屋ありと…

[注] à pleurer「泣きたいほど、ひどく」



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2015
10.12

プティ・コンセール《ポルナレフ・ルグラン・サルヴァドールを歌う》

10月12日(月祝)に、原宿アコスタディオにて、《ポルナレフ・ルグラン・サルヴァドールを歌う》と題して、ミッシェル・ポルナレフMichel Polnareff、ミッシェル・ルグランMichel Legrand、アンリ・サルヴァドールHenri Salvadorの曲を歌うプティ・コンセールをおこないます。フランス語そして英語です。出演者は、井上葉子、寺島寧環、上村良子、北島はるか、野村幸子、橋本裕子、スブリーム、宇藤カザンそして私。ピアノ伴奏は上里知巳さんです。

20151012-2.jpg


曲目をご紹介しましょう。ブログですでに取り上げている曲はクリックするとそのページが開きます(※の曲は宇藤カザンのブログです。)

*ミシェル・ポルナレフMichel Polnareff
Le bal des Lazeラーズ家の舞踏会 
Holidaysホリディ 
Lettre à Franceフランスへの手紙(哀しみのエトランゼ) 
Ça n'arrive qu'aux autres哀しみの終るとき 
Tout, tout pour ma chérieシェーリーに口づけ※ 
Qui a tué grand-maman? 誰がおばあさんを殺したの※ 

*ミッシェル・ルグランMichel Legrand
La chanson de Delphineデルフィーヌの歌 
Les Parapluies de Cherbourgシェルブールの雨傘 
L'été 42おもいでの夏
What are you doing the rest of your life
Les moulins de mon cœurわが心の風車(風の囁き) 
La chanson des jumelles 双子姉妹の歌&La chanson d'un jour d'été夏の日の歌 メドレー
Quand on s'aime愛し合っていれば 
La valse des lilasリラのワルツ 
Love me please love me愛の願い

*アンリ・サルヴァドールHenri Salvador
Dans mon île僕の島で 
Quand je monte chez toi君の部屋へと登るとき 
Jardin d'hiver冬の庭(温室) 
Syracuseシラキューズ 
Petite fleur小さな花 
L'abeille et le papillonミツバチとチョウチョ 


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2015
10.12

エルザの瞳Les yeux d'Elsa

Les yeux dElsa


甘い声と口ひげがトレードマークのジャン・フェラJean Ferratは、1930年パリ近郊でユダヤ系ロシア人として生まれました。1964年、「ふるさとの山La montagne 」がヒットしスターに。「いつの日かUn jour un jour 」あたりから反政府的な歌を歌い始め、「自由の空気Un air de liberté」はベトナム戦争の矛盾を告発し、「ちびっ子のための子守唄Berceuse pour un petit loupiot」では消費社会を揶揄し、ルイ・アラゴンLouis Aragonの詩も好んで歌いました。代表曲「夜と霧Nuit et brouillard」は、父親をナチスの強制収容所で失った経験から生み出されたユダヤ人犠牲者の追悼曲ですが、当初は放送禁止になっていました。2010年に死去、79歳でした。

今回取り上げるのは、ルイ・アラゴンの詩を歌詞にした「エルザの瞳Les yeux d'Elsa」。
詩人ルイ・アラゴンはシュールレアリスム運動の中心人物で、のちに共産党員となり、対独レジスタンスに参加し、抵抗詩を書き続け、戦後はコミュニスト知識人の代表格とされました。
膨大な量の詩、小説、評論を執筆し、恋人エルザに多くの詩集を捧げています。この詩はそのうちの一つ「エルザの瞳Les yeux d'Elsa」(1942)に含まれた同名の詩で、1956年にフェラによって作曲され、アンドレ・クラヴォーAndré Claveauの持ち歌ともなりました。レオ・フェレLéo Férréも、アラゴンの詩を好んで歌っています。
歌詞はちょっと難しい(私にはすごく難しかった)ですが、歌っている彼の目元・口元からいろんなものが伝わってくる気がしてうれしいです。



アンドレ・クラヴォー



Les yeux d'Elsa      エルザの瞳
Jean Ferrat        ジャン・フェラ


Tes yeux sont si profonds qu'en me penchant pour boire
J'ai vu tous les soleils y venir se mirer
S'y jeter à mourir tous les désespérés
Tes yeux sont si profonds que j'y perds la mémoire

  きみの瞳はあまりに奥深くて 飲もうとして身を屈めつつ
  ぼくには見えた すべての太陽が姿を映しに
  絶望したすべての者が身を投げに訪れるのが
  きみの瞳はあまりに奥深くて ぼくはそこで記憶を失う

À l'ombre des oiseaux c'est l'océan troublé
Puis le beau temps soudain se lève et tes yeux changent
L'été taille la nue au tablier des anges
Le ciel n'est jamais bleu comme il l'est sur les blés
 注1

  鳥たちの陰にあっては それは荒れ狂う海だ
  また 突如晴れわたり きみの瞳はさま変わりする
  夏は雲を 天使の白衣に裁断する
  空は小麦の上にあるとき この上なく青い


Les yeux dElsa2


Les vents chassent en vain les chagrins de l'azur
Tes yeux plus clairs que lui lorsqu'une larme y luit
Tes yeux rendent jaloux le ciel d'après la pluie
Le verre n'est jamais si bleu qu'à sa brisure

   風は碧空の悲しみを 吹き払い得ない
   きみの瞳は 涙が一粒輝くとき 碧空よりもっと澄み渡る
   きみの瞳は 雨上がりの空に 妬み心を抱かせる
   ガラスの器も その割れ口ほどに青くはない

Mère des Sept douleurs ô lumière mouillée 注2
Sept glaives ont percé le prisme des couleurs
Le jour est plus poignant qui point entre les pleurs
L'iris troué de noir plus bleu d'être endeuillé

  7つの苦しみの聖母 おお 濡れた光よ
  7つの剣が七色のプリズムを貫いた
  涙を刺し通すとき 太陽は辛辣さを増し
  深い悲しみにあって 黒くえぐられた虹彩は青みを増す

Les yeux dElsa1


Tes yeux dans le malheur ouvrent la double brèche
Par où se reproduit le miracle des Rois
Lorsque le cœur battant ils virent tous les trois
Le manteau de Marie accroché dans la crèche

  きみの瞳は 不幸のさなか ふたえの裂け目を開き
  そこに 東方の三博士の奇蹟がよみがえる
  イエスのまぐさに掛けられたマリアのマントを
  胸ときめかせ 3人そろって見まもったときの(奇蹟が)

Une bouche suffit au mois de Mai des mots
Pour toutes les chansons et pour tous les hélas
Trop peu d'un firmament pour des millions d'astres
Il leur fallait tes yeux et leurs secrets gémeaux

  言葉あふれる5月 あらゆる唄 あらゆる嘆息には
  ひとつの口でこと足りるが
  数百万の星々には ひとつの空は あまりにもちっぽけで
  きみの瞳とその双子の秘密とが必要なのだ

L'enfant accaparé par les belles images
Écarquille les siens moins démesurément
Quand tu fais les grands yeux je ne sais si tu mens
On dirait que l'averse ouvre des fleurs sauvages 注3

  美しい絵に夢中になった子供が
  瞳をめいっぱい開いても とてもおよばない
  きみが瞳を見ひらくとき きみは欺いているにせよ
  にわか雨が野の花々を開かせるようだ

Cachent-ils des éclairs dans cette lavande où
Des insectes défont leurs amours violentes
Je suis pris au filet des étoiles filantes
Comme un marin qui meurt en mer en plein mois d'août

  きみの瞳はいなずまを秘めているのか
  昆虫たちが荒々しい愛の営みを解く このラヴェンダーの花の中に
  ぼくは 流星たちの網に囚われた
  8月のさなかに海で死ぬ水夫のように

Les yeux dElsa3


J'ai retiré ce radium de la pechblende
Et j'ai brûlé mes doigts à ce feu défendu
Ô paradis cent fois retrouvé reperdu
Tes yeux sont mon Pérou ma Golconde mes Indes
注4

  ぼくはウラン鉱からラディウムを取りだし
  この禁断の炎で指を焼いた
  おお 幾度となく見出され 見失われた楽園よ
  きみの瞳は ぼくのペルー ぼくのゴルコンド ぼくのインド諸島

Il advint qu'un beau soir l'univers se brisa 注5
Sur des récifs que les naufrageurs enflammèrent
Moi je voyais briller au-dessus de la mer
Les yeux d'Elsa les yeux d'Elsa les yeux d'Elsa

  ある夕べ 世界は砕け散った
  略奪者たちが火を放った暗礁に乗り上げて
  ぼく自身は 海の上(の空)に輝くのを見ていた
  エルザの瞳 エルザの瞳 エルザの瞳が

Les yeux dElsa4


[注]ジャン・フェラ、アンドレ・クラヴォーともに、この詩を全節は歌っていない。ジャン・フェラの歌っていない節はグレーの字で表記した。
この詩集は、ドイツ軍の検閲を免れるべく、隠喩という手段を用いて、エルザへの愛を語りつつ、その裏に占領下の状況と祖国への愛を織り込んでいる。この詩では、空飛ぶ鳥たちは、爆撃機。les naufrageursは船を難破させて略奪する者、すなわちナチス軍だろうということはわかるが、全体的に、多くの比喩で構成されているため、厳密な解釈は不能である。
1 n'être jamais…comme~「~ほど…ではない」すなわち、「~がもっとも…である」
2 ここからの2節はキリスト誕生に関わる話。
Mère des Sept douleursは聖母マリア。七つの苦しみとは、シメオンの予言の時、エジプトヘの脱出の時、イエスの死の時、カルヴォリオの丘への途上イエスと会った時、十字架の下に立った時、十字架からイエスのおろされた時、イエス埋葬の時にマリアの威じた苦しみをいう。
sept glaives七つの剣は、七つの苦しみに同じで、苦しみを剣にたとえた。
le prismeはエルザの瞳。
le prisme des couleursは、プリズムの光の七色を、七つの剣・七つの苦しみと重ねている。
le jourは太陽。l'irisは虹彩で、プリズムの七色、虹をもあらわす。
3 On dirait que…「…のようだ」
4 Golcondeは古代ヒンドゥスタンの首都で、財宝の都とされている。Indesは複数であり、インド諸島。ペルーも含め、財宝の眠る場所である。
5 Il advenir que+直説法/接続法 「…になる」 実際に起こったことは直説法、起こり得ることは接続法で示す。



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2015
10.11

わたしは要らないJ'envoie valser

zazie.jpg


今回は、ザジZazieの「わたしは要らないJ'envoie valser」を取り上げましょう。1964年にパリ近郊のブーローニュ・ビィヤンクールで生まれたシンガー・ソングライターZazie。その名前は、映画にもなったレイモン・クノーRaymond Queneauの小説「地下鉄のザジZazie dans le métro」からとったものだそうです。今までに出した8枚のアルバムのうち7枚がプラチナ・ディスクを獲得しています。Wikipédiaを見ますと、かなり変わった経歴。16歳で文学の学士号を取ったのち、3年間、運動療法の勉強をし、またその後、英語、スペイン語、日本語という外国語の勉強もしました。また、その間、シンセサイザーの練習に空いた時間を宛てていました。続いて10年くらい、1,76 mの身長を活かし、イヴ・サンローランYves Saint-Laurentやケンゾーなどのマネキンを務めました。ファッションの世界に嫌気がさしていた時、コーラスに加わる機会を得て1986年に初めてテレビ出演をします。また、ラジオやテレビのコマーシャルで声の出演をし、Les Nulsというグループに誘われて広報のコマーシャルソングも歌います。そして、1990年になって初めて、本格的な歌手活動を始めます。1992年にファースト・アルバムを出し、翌年以降、ヴィクトワール賞を5回、NRJミュージック賞を1回受賞しています。また、フローラン・パニーFlorent Pagny、パトリシア・カースPatricia Kaas、ジョニー・アリディー Johnny Hallyday、ジェーン・バーキンJane Birkin、イザベル・ブーレィIsabelle Boulay、カルジェロCalogeroなどなど多くの歌手に曲を提供し、複数の歌手とデュオで歌い、コーラスの参加も多く、オリジナルなバンドを結成したりと多面的な活動を続けています。
今月30日にはEncore heureuxというニューアルバムが出る予定です。

J'envoie valserという原題の意味は、「私はワルツをしに行かせる」ではなく、目的語を伴って「わたしは放り出す」という意味ですが、「わたしは要らない」という題名にしました。1995年に出た彼女の2枚目のアルバムZenに収録されています。

これをフランス語で歌えるようになったら本物でしょうね。挑戦したいです。



オリヴィア ルイズOlivia Ruiz。こちらのほうがメロディーが分かりやすいかも。



J'envoie valser  わたしは要らない
Zazie        ザジ


J'en vois des qui s'donnent 注1
Donnent des bijoux dans le cou 注2
C'est beau mais quand même
Ce ne sont que des cailloux
Des pierres qui vous roulent 注3
Roulent et qui vous coulent sur les joues
J'aime mieux que tu m'aimes
Sans dépenser des sous...

  わたしはみかける
  相手の首に宝石をかけ合っている人たちを
  それは美しいけれど だけど
  それは小石にすぎないわ
  肌を転がる石に
  転がり 頬を滑る石に
  わたしはあなたがお金なんか使わないで
  愛してくれるほうがいいわ…

Jenvoie valser2


Moi je m'en moque
J'envoie valser 注4
Les trucs en toc 注5
Les cages dorées 注6
Toi quand tu m'serres très fort
C'est comme un trésor
Et ça, et ça vaut de l'or...

  わたしは気にしない
  わたしは放り出すわ
  そうしたまがい物を
  金メッキの檻を
  放り出すわ
  あなたが私を強く抱きしめるとき
  それは宝物みたい
  そしてそれはね、それは黄金にも値するものよ…

J'en vois des qui s'lancent
Des regards et des fleurs
Puis qui s'laissent
Quelque part ou ailleurs
Entre les roses et les choux 注7
J'en connais des tas
Qui feraient mieux de s'aimer un peu
Un peu comme nous
Qui nous aimons beaucoup...

  たがいに視線を交わし、花々を捧げ合う人たちをみかける
  その後、たがいに相手をどこかに
  締め出し追い払う人たちを
  わたしはこんな人たちをたくさん知っている
  わたしたちみたいに愛し合ったらいいような人たちを
  ちょっとわたしたちをまねて
  とっても愛しあっているわたしたちを…

Et d'envoyer
Ailleurs valser
Les bagues et les cœurs en collier
Car quand on s'aime très fort
C'est comme un trésor
Et ça, et ça vaut de l'or...

  そして放り出すわ
  どこかへ
  指輪や首飾りのハート型を
  なぜなら人がとても強く愛し合っているとき
  そのことはまるで宝物みたいだから
  そしてそれはね、それは黄金にも値するものよ…

Jenvoie valser3


Et pour toujours
J'envoie valser
Les preuves d'amour
En or plaqué
Puisque tu m'serres très fort
C'est là mon trésor
C'est toi, toi qui vaut de l'or

  だから永遠に
  放り出すわ
  金メッキした
  愛の証しの品々を
  だってあなたがわたしをとても強く抱きしめるから
  それはここよ わたしの宝物があるのは
  それはあなた、あなたよ 黄金に値するのは

[注]
1 des「ある人々、数人、数個」
2 dans le couは、首飾りを首にかける場合、dansを用いるのは異例だろう。
3 vousは不特定の人々を示している。
4 envoyer valser「…を投げ出す、破棄する」。
5 truc「あれ、それ」 en toc「まがい物の」
6 cage「籠、檻」小鳥や動物を閉じ込めるもの、たとえば結婚指輪など、相手を所有することを示す宝飾品を象徴した表現。「あなたがわたしを強く抱きしめる」ということがいちばん素晴らしいcageになるのだという。
7 好意を示しあっていたのが、その後は背反する状態になるという文脈である。envoyer qn.sur les rosesは、バラには棘があることから、「…をこっぴどくはねつける、追っ払う」。être dans le chou「窮地に陥る」。したがって、se laisser les roses et les chouxは、「たがいに相手を締め出し追い払う」ことを示すと解釈する。



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2015
10.10

永遠の愛Une vie d'amour

Charles Aznavour Une vie damour


今回もデュオの曲を。「永遠の愛Une vie d'amour」は、1981年のソ連・フランス・スイス合作の映画「テヘラン43 Тегеран-43」のなかで、シャルル・アズナヴールCharles Aznavourとミレイユ・マチューMireille Mathieu のデュオで歌われた曲。この第二次大戦秘話的スパイスリラー映画は3時間強の大作で、モスクワ国際映画祭金賞を受賞しました。日本では劇場公開されず、それを大幅にカットして、刑事役として出演したアラン・ドロンAlain Delonの主演作品のように見せかけたビデオが「テヘラン」というタイトルで発売されただけだそうです。

この曲の内容は、映画に描かれているソ連工作員アンドレイとマリーという女性との恋(→歌詞中の画像の二人)に関連するようですが、Georges Garvarentzの曲に、Natalia Konchalovsky がロシア語で作詞し、アズナヴールがフランス語で作詞しました。映画が封切りされた年にフランスで、Téhéran 43と Une vie d'amourの2つのアルバムに収録されました。2004年のAutobiographieというアズナヴールのアルバムにも、アズナヴールがフランス語で歌っているもの、ロシア語で歌っているもの、マチューとデュオでフランス語で歌っているものの3曲が収録されています。ロシア語の題名はВічне коханняで「永遠の愛」という意味。フランス語の題名は「愛の生活」という意味ですが、ロシア語の題名に合わせて邦題を選びました。



Une vie d'amour   永遠の愛
Charles Aznavour&Mireille Mathieu
            シャルル・アズナヴール&ミレイユ・マチュー


Une vie d'amour
Que l'on s'était jurée
Et que le temps a désarticulée
Jour après jour
 注1
Blesse mes pensées
Tant des mots d'amour 注2
En nos cœurs étouffés
Dans un sanglot l'espace d'un baiser
 注3
Sont restés sourds 注4
À tout, mais n'ont rien changé

  誓い合っていたのに
  時が崩してしまった
  愛の生活が
  来る日も来る日も
  僕の心を傷つける
  僕たちの心のなかで押し殺された
  愛の言葉の多くは
  嗚咽のなか 接吻のあいだ
  耳を閉ざしたままだった
  すべてに、だがなにも変えることはなかった

Car un au revoir 注5
Ne peut être un adieu
Avec espoir
Je m'en remets à Dieu
Pour te revoir
Et te parler encore

Et te jurer encore

  なぜなら「また会おう」は
  「永遠にさようなら」になるはずもなく
  希望をもって
  僕は神に託す
  君にまた会い
  君にまた話し
  君にまた誓うために

Une vie damour6


Une vie d'amour
Remplie de rires clairs
Un seul chemin
Déchirant nos enfers
Allant plus loin
Que la nuit
La nuit
des nuits

  明るい笑いに満たされた
  愛の生活
  ただひとつの道
  それは僕たちの地獄をうち破り
  夜よりも
  もっと先に向かう
  夜の中の夜に

Que l'on s'était jurée
Et que le temps a désarticulée
Jour après jour
Blesse mes pensées
Tant des mots d'amour
Que nos cœurs ont criés

De mots tremblés, de larmes soulignées
Dernier recours
De joies désharmonisées
 注6

  誓い合っていたのに
  時が崩してしまった
  ひとつの愛の生活が
  来る日も来る日も
  僕の心を傷つける
  震える言葉で、強調された涙で
  僕たちの心が叫ぶ
  愛の言葉の多くは
  調和しない喜びの
  最後の手段なのだ

Des aubes en fleurs
Aux crépuscules gris
Tout va, tout meurt
Mais la flamme survit
Dans la chaleur
D'un immortel été
D'un éternel été

  花々の咲きそめる夜明けから
  灰色のたそがれまでのあいだに
  すべては去り、すべては死ぬ
  だが炎は生き残る
  夏の
  永遠の夏の
  不滅の夏の 熱をもって

Une vie damour5


Une vie d'amour
Une vie pour s'aimer
Aveuglément
Jusqu'au souffle dernier
 注7
Bon an mal an
Mon amour

M'aimer encore

  愛の生活
  息を引き取るときまで
  盲目的に
  愛し合うための生活
  いい年も悪い年も
  愛する人よ
  僕を愛することだ ふたたび

Et toujours

  そしていつまでも

[注] ミレイユ・マチューのパートを色分けしたが、アズナヴールが一人で歌うヴァージョンもあるので、訳語は男性の言葉で表現した。
1 jour après jour「毎日毎日、来る日も来る日も」
2 tantのあと、deではなくdesになっているのは、部分を示すため。
3 l'espace de (時間的に)「…の間」
4 sourd à qn.(…を)「聞き入れようとしない」
5 au revoirは、もう会うことがない場合のadieu「さようなら」に対して、また会える場合の「じゃ、またね」という挨拶だが、4行後のPour te revoirに合わせて、「また会おう」とした。
6 désharmonisé=dés+harmonisé
7 dernierは通常は名詞の前に置かれる形容詞だが、例外的に名詞の後に置かれている。この部分は意訳した。



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2015
10.09

夏の日の歌La chanson d'un jour d'été

Catherine Deneuve La chanson de Delphine


前回に引き続き、映画「ロシュフォールの恋人たちLes Demoiselles de Rochefort」のデルフィーヌDelphineとソランジュSolangeの歌を取り上げます。「夏の日の歌La chanson d'un jour d'été」(作詞:ジャック・ドゥミーJacques Demy、作曲:ミシェル・ルグランMichel Legrand)です。映画では、お祭りの野外ステージで二人は歌います。



La chanson d'un jour d'été  夏の日の歌

Quand l'été a disparu
Quand le temps s'en est allé est allé
Du côté des saisons, ma saison
On ne peut que soupirer
Regretter l'été
Mais pour revivre un jour d'été
Lorsque l'hiver s'est installé
Et que votre cœur s'est glacé
Il faut aimer

  夏が消え去ったとき
  時が過ぎ去ったとき
  季節としては、私の季節だもの
  ため息をつくしか
  夏を惜しむことしかできないわ
  でも夏の日を再び生きるために
  冬が居座ったとき
  あなたの心が凍りついたときには
  愛さなくっちゃ

{Refrain :}
Aimer la vie, aimer les fleurs
Aimer les rires et les pleurs
Aimer le jour, aimer la nuit
Aimer le soleil et la pluie
Aimer l'hiver, aimer le vent
Aimer les villes et les champs
Aimer la mer, aimer le feu
Aimer la terre pour être heureux

  いのちを愛し、花を愛し
  笑いと涙を愛し
  昼を愛し、夜を愛し
  太陽と雨を愛し
  冬を愛し、風を愛し
  町を野原を愛し
  海を愛し、炎を愛し
  大地を愛すことよ、幸せになるために

La chanson dun jour dété


Quand l'amour a disparu
Quand le cœur s'en est allé est allé
Du côté des jamais, plus jamais
On ne peut que regretter
L'amour envolé
Mais pour ressusciter l'amour
Si votre cœur vide est trop lourd
Si l'ennui menace vos jours
Il faut aimer

  恋が消え去ったとき
  心が消沈したとき
  けっして、もうけっしてと思う際には
  悔やむことしかできない
  去ってしまった恋を
  でも恋をよみがえらせるために
  もしもあなたのうつろな心があまりに重苦しかったり
  憂うつがあなたの日々を脅かしたりするのなら
  愛さなくっちゃ

{Refrain }

Devant la joie retrouvée la joie
Quand le cœur s'est installé
Du côté du grand amour
Chaque jour est un été
Plus bel été
Et devant la joie retrouvée
Devant l'été recommencé
Devant l'amour émerveillé
Il faut chanter

  再び見いだした喜びを前に
  心が偉大なる恋のかたわらに
  身を落ち着かせたとき
  毎日が夏に
  もっと美しい夏になる
  そして再び見いだした喜びを前に
  再び始まった夏を前に
  驚異的な恋を前にして
  歌わなくっちゃ
La chanson dun jour dété2

{Refrain }

Chanter la vie, chanter les fleurs
Chanter les rires et les pleurs
Chanter le jour, chanter la nuit
Chanter le soleil et la pluie
Chanter l'hiver, chanter le vent
Chanter les villes et les champs
Chanter la mer, chanter le feu
Chanter la vie, chanter les fleurs
Chanter les rires, chanter les pleurs
Chanter la mer, chanter le feu
Chanter la terre pour être heureux!

  いのちを愛し、花を愛し
  笑いと涙を愛し
  昼を愛し、夜を愛し
  太陽と雨を愛し
  冬を愛し、風を愛し
  町を野原を愛し
  海を愛し、炎を愛し
  いのちを愛し、花を愛し
  笑いと涙を愛し
  海を愛し、炎を愛し
  大地を愛すことよ、幸せになるために

※二人のパート分けは省いているが、後日加える予定。



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2015
10.08

双子姉妹の歌Chanson des jumelles

Catherine Deneuve La chanson de Delphine


1967年に封切られた、ジャック・ドゥミJacques Demy監督の「ロシュフォールの恋人たちLes Demoiselles de Rochefort」には、ミッシェル・ルグランMichel Legrandが作曲しジャック・ドゥミーが作詞した素敵な曲がいっぱいです。「デルフィーヌの歌La chanson de Delphine」を先に取り上げましたが、今回は、デルフィーヌDelphine役のカトリーヌ・ドヌーブCatherine Deneuve(吹き替え:アンヌ・ジェルマンAnne Germain)とソランジュSolange役のドヌーヴの実の姉フランソワーズ・ドルレアックFrançoise Dorléac(吹き替え:クロード・パランClaude Parent)のデュオの曲「双子姉妹の歌Chanson des jumelles」です。フランソワーズは、この映画のクランクイン前に自動車事故で25歳で亡くなりました。映画のなかの生き生きとした姿を見ると、複雑な気持ちになります。



Chanson des jumelles  双子姉妹の歌
         ※デルフィーヌDelphineのパートは■色で、二人で歌う部分は太文字。

Nous sommes deux sœurs jumelles
Nées sous le signe des gémeaux
Mi fa sol la mi ré, ré mi fa sol sol sol ré do
Toutes deux demoiselles
 注1
Ayant eu des amants très tôt
Mi fa sol la mi ré, ré mi fa sol sol sol ré do

  私たちは双子の姉妹
  双子座の星の下に生まれたの
  ミファソラミレ、レミファソソソレド
  ニ人の娘はそれぞれ
  とっくに何人かのボーイフレンドをもったわ
  ミファソラミレ、レミファソソソレド


Chanson des jumelles1


Nous fûmes toutes deux élevées par Maman
Qui pour nous se priva, travailla vaillamment
 注2

  私たちはニ人ともママンに育てられたの
  ママンは、私たちのために生活を切り詰め、がんばって働いてくれたのよ


Elle voulait de nous faire des érudites
Et pour cela vendit toute sa vie des frites.

  ママンは、私たちを教養のある人間にしたくて
  そのために一生、フライドポテトを売ってきたの。

Nous sommes toutes deux nées de père inconnu
Cela ne se voit pas, mais quand nous sommes nues
Nous avons toutes deux au creux des reins
C'est fou...

  私たちはニ人とも、誰だか分からない父親から生まれた
  それは分からないの、でも裸になると
  私たちはニ人とも腰のくぼみに
  おかしなことに…


... là un grain de beauté...

  そこに、ほくろがあるの…


... qu'il avait sur la joue

  …パパの頬にあったと同じのが

Nous sommes deux sœurs jumelles
Nées sous le signe des gémeaux
Mi fa sol la mi ré, ré mi fa sol sol sol ré do
Aimant la ritournelle, les calembours et les bons mots
Mi fa sol la mi ré, ré mi fa sol sol sol rédo.

  私たちは双子の姉妹
  双子座の星の下に生まれたの
  ミファソラミレ レミファソソソレド
  繰り返し文句や、言葉遊びやしゃれた言葉が好きよ
  ミファソラミレ レミファソソソレド


Chanson des jumelles2


Nous sommes toutes deux joyeuses et ingénues...

  私たちは二人とも陽気でうぶなの…


... attendant de l'amour ce qu'il est convenu... 注3

  …愛を待っていて、それはこう呼ばれるもの…

... d'appeler coup de foudre... 注4

  …一目ぼれとか…

... ou sauvage passion...

  …あるいは野性的な情熱とか…

... nous sommes toutes deux prêtes à perdre raison
Nous avons toutes deux une âme délicate

  …私たちは二人とも、理性を失う覚悟はあるわ
  私たちは二人とも繊細な魂を持っていて


Artistes passionnées...

  情熱的なアーティスト…


... musiciennes...

  …ミュージシャン…

... acrobates...

  …アクロバットダンサー…


... cherchant un homme bon...

  …探しているわ、いい男を…

... cherchant un homme beau...

  …探しているわ、すてきな男を…


... bref un homme idéal, avec ou sans défauts
Nous sommes deux sœurs jumelles
Nées sous le signe des gémeaux
Mi fa sol la mi ré, ré mi fa sol sol sol ré do
Du plomb dans la cervelle, de la fantaisie à gogo
 注5
Mi fa sol la mi ré, ré mi fa sol sol sol ré do

  …つまり理想的な男を、欠点があってもなくてもね
  私たちは双子の姉妹
  双子座の星の下に生まれたの
  ミファソラミレ レミファソソソレド
  思慮深さも、空想力もたっぷりあるわ
  ミファソラミレ、レミファソソソレド


Je n'enseignerai pas toujours l'art de l'arpège
J'ai vécu jusqu'ici de leçons de solfège
Mais j'en ai jusque-là, la province m'ennuit
Je veux vivre à présent de mon art à Paris.

  私はいつまでもアルペッジョの技法を教えてはいないわ。
  いままではソルフェージュのレッスンで生きてきたの。
  でもそれもここまでよ、田舎暮らしにはうんざりだわ
  今は、私の技術でパリで生きていきたいの。

Je n'enseignerai pas toute ma vie la danse
A Paris moi aussi je tenterai ma chance
Pourquoi passer mon temps à enseigner des pas
Alors que j'ai envie d'aller à l'opéra

  私は一生、ダンスを教えてはいない
  私はねパリで運を試してみるわ
  どうしてステップを教えて時間を費やすの
  私はオペラに行きたいというのに


Nous sommes deux sœurs jumelles
Nées sous le signe des gémeaux
Mi fa sol la mi ré, ré mi fa sol sol sol ré do
Deux cœurs, quatre prunelles, à embarquer allegreto
 注6
Mi fa sol la mi ré, ré mi fa sol sol sol ré do

  私たちは双子の姉妹
  双子座の星の下に生まれたの
  ミファソラミレ レミファソソソレド
  二つの心、四つの瞳、速やかにさらわれることになってるの
  ミファソラミレ レミファソソソレド


[注]
1 tous,toutes les +数詞+無冠詞名詞「…ごとに」
2 se priver de…「…を自分に禁じる、断つ」。目的語無しでは「生活を切り詰める」。
3 ce il est convenu d’appler …「…と命名されているもの、と呼ばれているもの」
4 coup de foudre「一目ぼれ」
5 du plomb dans la cervelle「慎重さ、思慮深さ」。 à gogo「ふんだんに、ありあまるほど」
6 à+inf.は必要・予定・適応などを示す。embarquer「(乗物に)…を乗せる、積み込む」 が本義だが、「かっぱらう」「連行する」「(女を)たらし込む」などの意味でも用いられる。allegreto音楽用語の「アレグレット」で「やや速く」の意味。



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2015
10.07

ラーズ家の舞踏会Le bal des Laze

Michel Polnareff Le bal des Laze


ミシェル・ポルナレフMichel Polnareffの「ラーズ家の舞踏会Le bal des Laze」は非常に美しい曲です。作詞:ピエール・ドラノエPiere Delanoë、作曲:ポルナレフ自身。1968年の同名のアルバムに収められています。
Wikipédiaの記事によると、5千本のろうそくが灯されたスタジオで録音したと、彼の自伝には述べられているけれど、実際はもうちょっと少なかったとか。ポルナレフはパリのサン・トゥスターシュ教会l'église Saint-Eustacheのオルガンを借りることも考えたけれど録音上の問題があり実現しなかったとか。

歌詞内容はフィクションであり、何世紀ごろでしょうか、王朝時代の英国を舞台にした身分違いの悲しい恋をあらわしたもののようですが、エロトマニアErotomania (別名:クレランボー症候群Clérambault's syndrome)、すなわち自分が相手に愛されているものだと曲解する妄想癖を持った精神病をあらわしたものだともいわれます。

Je serai pendu demain matin「明朝、僕は吊るし首になるだろう」から始まるこの曲は、発売当時、ヒットしながらもラジオ放送は控えられていたそうです。

映画「ヴィクトリア女王 世紀の愛The Young Victoria」(2009年)の映像を用いた動画



ピアノ弾き語り



Le bal des Laze     ラーズ家の舞踏会
Michel Polnareff     ミシェル・ポルナレフ

                ※挿入した画像はThe Young Victoriaより
Je serai pendu demain matin
Ma vie n'était pas faite
Pour les châteaux.
Tout est arrivé ce soir de juin
On donnait une fête
Dans le château.

  明朝、僕は吊るし首になるだろう
  僕の存在は城の世界には
  そぐわない。
  すべては6月の今夜に起こった
  城では
  盛大な祭典が行われた。

Dans le château de Laze
Le plus grand bal de Londres
Lord et Lady de Laze
Recevaient le grand monde
Diamants, rubis, topazes
Et blanches robes longues
Caché dans le jardin
Moi je serrais les poings 注1
Je regardais danser
Jane et son fiancé. 注2

  ラーズ城では
  ロンドンで最も大きな舞踏会が催され
  ラーズ卿と奥方は
  たくさんの賓客を迎えた
  ダイヤモンド、ルビー、トパーズ
  そして純白のロングドレス
  庭に潜んで
  こぶしを握り締めながら
  僕は見ていた
  ジェーンとフィアンセが踊るのを

Le bal des Laze1


Je serai pendu demain au jour
Dommage pour la fille
De ce château.
Car je crois qu'elle aimait bien l'amour
Que l'on faisait tranquille
Loin du château.

  明朝、僕は吊るし首になるだろう
  この城の
  娘にとっては悲しいことなんだ。
  なぜなら僕には分かっているから、
  城から遠く離れたところで
  こっそりと逢引きするのが彼女は好きだったって。

Le bal des Laze4


Dans le château de Laze
Pour les vingt ans de Jane
Lord et Lady de Laze
Avaient reçu la Reine
Moi le fou que l'on toise
Moi je crevais de haine
Caché dans le jardin
Moi je serrais les poings
Je regardais danser
Jane et son fiancé.

  ラーズ城では
  ジェーンの成人を祝い
  ラーズ卿と奥方は
  女王陛下をお迎えした
  みなにじろじろ見られる愚か者の僕
  僕は憎しみで死にそうだった
  庭に潜んで
  僕はこぶしを握り締めながら
  ジェーンとフィアンセが
  踊るのを見ていた。

Le bal des Laze2


Je serai pendu demain matin
Ça fera quatre lignes
Dans les journaux.
Je ne suis qu'un vulgaire assassin
Un vagabond indigne
De ce château.

  明朝、僕は吊るし首になるだろう
  でも新聞には
  ほんの数行の記事だけだろう。
  僕は取るに足らない殺人者に
  この城には
  ふさわしくない浮浪者にすぎない.

Dans le château de Laze
Peut-être bien que Jane
A l'heure où l'on m'écrase
Aura un peu de peine
Mais ma dernière phrase
Sera pour qu'on me plaigne
Puisqu'on va lui donner
Un autre fiancé
Et que je n' pourrai pas
Supprimer celui-là

  ラーズ城で
  たぶんジェーンは
  僕が処刑される時に
  ほんのちょっぴり心の痛みを感じるだろう
  けれど僕の辞世に
  みなは僕を哀れんでくれることだろう
  なぜなら彼らはジェーンに
  また別のフィアンセを与えるだろうが
  そいつを抹殺することは
  僕にはできないから

[注] タイトルのLe bal des Lazeに関してだが、Laze「ラーズ」という名称は実在の家柄ではなく架空の名称。ちなみに英語のlazeは「怠けて過ごす」の意味の動詞および名詞である。また、王朝以外の一家族をあらわす場合に複数形をとらないためLazesとはならない。
1 serrer les poings「怒りをこらえる」「力を振り絞る」の両義があり、ここでは前者だが、「こぶしを握り締める」と文字通りに訳した。
2 Jane「ジェーン」は英国女性の一般的な名前だが、英語で「名無しの権兵衛」に相当するジョン・ドウJohn Doeの女性形はジェーン・ドウJane Doeであり、架空であることを匂わせる。



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2015
10.06

ピガールの娘たちLes petites femmes de Pigalle

Serge Lama


今回はセルジュ・ラマSerge Lamaの「ピガールの娘たちLes petites femmes de Pigalle」を取り上げましょう。「僕は病んでいるJe suis malade 」が収録された同名のアルバム(1973年) に入っていた曲で、2005年に出たライブアルバムにも入っています。

ピガールはモンマルトルの西南麓、第9区と第18区のあいだ、ピガール広場の周辺のことで、彫刻家のジャン=バティスト・ピガールJean-Baptiste Pigalleのアトリエが近くにあったので彼の名前が付けられたそうです。ジョルジュ・ユルメールGeorges Ulmerが1946年に歌った「ピガールPigalle」によってこの地域は知られるようになりましたが、ここはいわゆる歓楽街で、キャバレ-、ナイトクラブ、風俗店、ビデオ店、アダルトショップなどが立ち並んでいます。最も有名な観光スポットはムーランルージュ。ジャック・プレヴェールJacques Prévertやボリス・ヴィアンBoris Vianも住んでいましたし、エロティシズム博物館もあり、危ない場所であると同時に魅力的な場所でもあります。

「ピガールの娘たち」は妻を寝取られた男のお話。ちょっとコミカルな内容の軽快な曲です。ちなみにジョルジュ・ブラッサンスGeorges Brassensにも「寝取られ男Le cocu」と題した曲があり、こちらもコミカルで軽快。こんなテーマで沈痛な歌なら聴きたくありませんものね。



Les petites femmes de Pigalle   ピガールの娘たち
Serge Lama              セルジュ・ラマ


Un voyou m'a volé la femme de ma vie 注1
Il m'a déshonoré, me disent mes amis
Mais j'm'en fous pas mal aujourd'hui 注2
Mais j'm'en fous pas mal car depuis
Chaque nuit

  あるヤローが僕の大事な女房を寝取った
  そいつはお前の名誉を傷つけたぜと、友達は僕に言った
  だがまぁどうだっていいことさ 今となっちゃ
  だがまぁどうだっていいことさ なぜってその後は
  毎晩

Je m'en vais voir les p'tites femmes de Pigalle
Toutes les nuits j'effeuille les fleurs du mal
Je mets mes mains partout, je suis comme un bambin
J'm'aperçois qu'en amour je n'y connaissais rien 注3

  僕はピガールのカワイ子ちゃんたちに会いに行くから
  夜ごと 僕は悪の花々を摘み取る
  僕は手当たり次第に手をつける、小さなガキみたいに
  僕は愛に関しちゃまるで勝手が分かっていなかったことに気づいた

Les petites femmes de Pigalle1


Je m'en vais voir les p'tites femmes de Pigalle
J'étais fourmi et je deviens cigale 注4
Et j'suis content, j'suis content, j'suis content 注5
J'suis content, j'suis cocu mais content

  僕はピガールのカワイ子ちゃんたちに会いに行くのさ
  僕は働き者のアリだった だが能天気なセミになった
  それで僕は満足さ、満足さ、満足さ
  満足さ、寝取られ男ながらも満足さ

Un voyou s'est vautré dans mon lit conjugal
Il m'a couvert de boue, d'opprobre et de scandale
Mais j'm'en fous pas mal aujourd'hui
Mais j'm'en fous pas mal car depuis
Grâce à lui

  あるヤローが僕ら夫婦のベッドに寝転がっていた
  そいつは僕の顔に泥を塗り、恥をかかせ、ひんしゅくを買わせた
  だがまぁどうだっていいことさ 今となっちゃ
  だがまぁどうだっていいことさ なぜってその後は
  そいつのお蔭で

Je m'en vais voir les p'tites femmes de Pigalle
Tous les maquereaux du coin me rincent la dalle 注6
J'm'aperçois qu'en amour je n'valais pas un sou
Mais grâce à leurs p'tits cours je vais apprendre tout

  僕はピガールのカワイ子ちゃんたちに会いに行くのさ
  街角のヒモたちはみな僕に一杯おごってくれる
  僕は恋に関しちゃ1文の値打ちもなかったことに気づいた
  だが彼らのちょっとした教えのお蔭で僕はすべて学んでいる

Je m'en vais voir les p'tites femmes de Pigalle
Tous les marins m'appellent "l'amiral"
Et j'suis content, j'suis content, j'suis content
J'suis content, j'suis cocu mais content

  僕はピガールのカワイ子ちゃんたちに会いに行く
  船乗りたちはみな僕を「提督」と呼ぶ
  それで僕は満足さ、満足さ、満足さ
  満足さ、寝取られ男ながらも満足さ

Je m'en vais voir les p'tites femmes de Pigalle
Dans toutes les gares j'attends les filles de salle 注7
Je fais tous les endroits que l'Eglise condamne 注8
Même qu'un soir par hasard j'y ai r'trouvé ma femme 注9

  僕はピガールのカワイ子ちゃんたちに会いに行く
  いろんな駅で僕はホステスたちを待つ
  僕は教会が非難するどんな場所にだって行く
  またあろうことに、ある晩たまたまそこで僕の女房に出会った

Je m'en vais voir les p'tites femmes de Pigalle
C'est mon péché, ma drogue, mon gardénal
Et j'suis content, j'suis content, j'suis content
J'suis content, j'suis cocu mais content

  僕はピガールのカワイ子ちゃんたちに会いに行く
  それは僕の罪だ、僕の麻薬だ、僕の睡眠薬だ
  それで僕は満足さ、満足さ、満足さ
  満足さ、寝取られ男ながらも満足さ

Les petites femmes de Pigalle2


{Chœurs}
Il s'en va voir les p'tites femmes de Pigalle
Dans toutes les gares il guette les filles de salle
Il fait tous les endroits que l'Eglise condamne
Même qu'un soir par hasard il y a r'trouvé sa femme

  彼はピガールのカワイ子ちゃんたちに会いに行くわ
  いろんな駅で彼はホステスたちをつけ狙う
  彼は教会が非難するどんな場所にだって行くわ
  またあろうことに、ある晩たまたまそこで彼の妻に出会ったの

Il s'en va voir les p'tites femmes de Pigalle
C'est son péché, sa drogue, son gardénal
Il est content, il est content, il est content
Il est content, il est cocu mais content

  彼はピガールのカワイ子ちゃんたちに会いに行くわ
  それは彼の罪よ、彼の麻薬よ、彼の睡眠薬よ
  それで彼は満足よ、満足よ、満足よ
  満足よ、寝取られ男ながらも満足よ


[注] les p'tites femmes は、題名では「娘たち」と、歌詞中は「カワイ子ちゃんたち」と訳した。
1 la femme de ma vie「生涯にかかわる女性」
2 Je m'en fous.「そんなことどうだっていい」。pas mal (neを伴わずに)「かなり」。
3 je n'y connais rien「勝手(わけ)がわからない」
4 fourmi「アリ」は「勤勉な人、倹約家」、 cigale「セミ」は「のんきな浪費家、先見の明のない人間」。ラ・フォンテーヌの寓話La cigale et la fourmiから。
5 cocu, battu et content「全くおめでたい」という成句がある。
6 se rincer la dalleが「一杯やる」だから、「一杯おごる」。
7 fille de salle「ウエイトレス、(病院の)雑役婦」。実際は娼婦を指すということが分かりやすいように「ホステス」と訳した。
8 faireは「行く、訪れる」の意味。
9 Même que「しかも…だ」



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2015
10.05

メランコリーMélancolie

Jacqueline François


ジャクリーヌ・フランソワJacqueline Françoisは1922年、パリ郊外で生まれました。第2次大戦直後の1945年に23歳のとき、パリの放送局の素人のど自慢コンテストで優勝したのをきっかけにデヴューし、1948年には、アメリカ映画の主題曲「春なのにC'est le printemps」でディスク大賞を受賞。同年に、映画「パリのスキャンダル」のなかで影歌としてすでに吹き込んであった「パリのお嬢さんMadmoiselle de Paris」(後日取り上げます)が、翌年の映画封切り時には受賞がすでに知れ渡っていたこともあって大ヒットし、この曲名が彼女の代名詞ともなりました。彼女は2009年に亡くなっています。

ほかのヒット曲としては「ラ・セーヌLa Seine」「ポルトガルの洗濯女Les lavandières du Portugal」などがあります。シャンソンのスタンダード曲のほか、英語の曲をフランス語にアレンジしたものもとてもいい出来で、「ネイチャー・ボーイEtrange garçon (Nature boy)」など、私は好きです。

今回取り上げる「メランコリーMélancolie」は少しマイナーな曲で、1947年の映画「ジブラルタルの鮫Requins De Gibraltar」の主題歌。作詞はピエール・デュダンPierre Dudan、作曲はアラン・ロマンAlain Romansで、デュダン自身が歌っていました。
ジャクリーヌ・フランソワの代表曲は大体がのびやかで明るいワルツ調なのに、これは暗くけだるい感じの曲です。お聴きになって、越路吹雪が歌っていた曲だと思いだされる方もあるでしょう。

動画は私が作成しました。



ピエール・デュダン



Mélancolie           メランコリー
Jacqueline François     ジャクリーヌ・フランソワ


C'est une chanson nostalgique
Que l'on chantait dans les bars
Les bars de n'importe où
Bars de hasard, bars du cafard 注1

  これは懐かしい唄
  ひとはこの唄を酒場で唄っていた
  どこの酒場だっていい
  通りすがりの酒場、陰気な酒場で


Mélancolie2


Mélancolie un jour s'achève
Mélancolie on n'y peut rien 注2
Chaque jour dans la fumée et dans l'alcool, on noie ses rêves 注3
Seul jusqu'au matin...

  メランコリー 日が暮れて
  メランコリー 為すすべもなく
  日ごと 煙と酒に、
  ひとは自分の夢を紛らわせる
  ひとり 夜明けまで…

Et chaque nuit, ça recommence
Pour torturer le cœur trop lourd 注4
Le cafard dans la fumée et dans l'alcool, mène la danse
Jusqu'au jour

  夜ごと、それは繰り返し
  心をひどく苛む
  煙と酒にまみれた陰気な気分が、
  ダンスをリードする
  日が昇るまで

Demain, y aura de l'amour et de la lumière 注5
Peut-être bien, ça m'est égal... 注6
Barman jusqu'au matin, remplis mon verre
Je veux rêver que j'ai moins mal 注7

  明日は、愛がそして光が見えるわ
  たぶんね、でもわたしにはどうでもいいこと
  バーテンは朝まで、わたしのグラスを満たし続けてよ
  苦しみがましになった気になりたいから

Mélancolie... tu nous enchaînes
Plus fortement qu'un grand amour
Un beau soir dans la fumée et dans l'alcool, on noie ses peines 注8
Pour toujours.

  メランコリーよ… おまえはわたしたちを
  おおきな愛よりも強くつなぎ止める
  ある夜 煙と酒に、ひとは自分の苦痛を紛らす
  永遠に。

Mélancolie1


Le rire est bien trop près des larmes
Et ton cœur trop loin du mien
Ton oublie me fait mal
A moi qui n'ai presque plus rien.

  笑いは涙のすぐ近くにあり
  あなたの心はわたしの心からとても遠い
  あなたの忘却はわたしを苦しめる
  ほとんどもう何も持たないわたしを。


[注] 最初と最後の、色を変えた部分は歌っていない。間奏のあと、Mélancolie... tu nous enchaînesの節を繰り返して歌っている。
1 cafardは憂鬱。つまりはmélancolieと同義。
2 n'y pouvoir rien「手の施しようがない、どうにもできない」
3 noyer son (désespoir ou chagrin) dans l’alcool「やけ酒を飲む」ここはdans la fuméeも加えてses rêvesをnoyer「溺れさせる」、すなわち「やけ煙草とやけ酒で自分の夢を紛れさせる」。
4 lourdは、形容詞ではなく副詞。
5 Il y auraのIlが省略されている。
6 ça est égal à qn.「それは…にとってどうでもいい」
この辺から、訳語は女性の口調にしたが、元の歌詞は男性がそのまま歌っても問題ない。
7 avoir mal( à…)は「(…が)痛い」で、ここでは胸の痛み、心の苦しみをいう。あとに出てくるfair mal à qn.は「…を(精神的に)痛めつける、苦しめる」
8 un beau jourが「ある日」という意味であるのと同様、un beau soirは「ある夜」すなわち不特定な夜。そのあと、注4で示したのと相似の表現(ses rêvesとses peinesの違い)が続く。 注4の行では、chaque jourとなっていて、chaque nuit,ça recommence「それが繰り返される」ことが示されていた。ここでは、 un beau soirで始まり、あとにpour toujoursがつながる。一時的なごまかしに過ぎない一夜の行為がなぜ「永遠に」という表現とつながるのだろうか。同じことが永遠に繰り返されるのか?あるいは「永遠に苦痛が紛れる」ということを望んでのことだというのか?



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2015
10.04

サバの女王Ma reine de Saba

Michel Laurent


ミッシェル・ローランMichel Laurentが1967年に自分で作詞・作曲して歌った「サバの女王Ma reine de Saba」は、私はグラシェラ・スサーナの日本語の歌で知りました。Reine de Sabaは、アラビア語ではMalikat Sabaで、旧約聖書に登場する女王。ヘブライ語Malkat Shvaの読みから「シバの女王」とも呼ばれます。相手の女性をその女王に譬えて、戻って来てくれと歌っています。



ローランは、スサーナの歌っている日本語歌詞(訳詩:なかにし礼)も歌っています。→こちらをクリック。

シルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanも歌っています。



Ma reine de Saba  サバの女王
Michel Laurent    ミッシェル・ローラン


Ah ! Qu'elle revienne 注1
Ah ! Qu'elle m'entraîne
Cette folie
Qui avait bouleversé ma vie

  ああ!戻って来て欲しい
  ああ!私を連れ去って欲しい
  私の人生をめちゃめちゃにした
  あの熱愛に

Je le questionne 注2
Mais il déraisonne
Ce cœur perdu
Dans l'infini du souvenir

  私は問うた
  果てしない記憶のなかでさ迷う
  この心に
  だが心は屁理屈を返すばかりだった

Viens reprendre ton royaume
Toi, ma reine de Saba
Reviens me faire l'aumône
D'un petit peu de toi
J'ai essayé de comprendre
Un autre regard déjà
Mais je n'ai pas pu attendre
Un autre bruit de pas

  君の王国を奪還しに来てくれ
  君、私のサバの女王
  私に情けを掛けに戻って来てくれ
  ほんの少しばかり
  私はほかに目を向ける術を得んと
  すでに試みてみた
  だが待つことなどできなかった
  他の人の足音など

Reine4.jpg


Dis, tu m'écoutes ?
Tu es sans doute
Déjà partie
Si loin de tous nos souvenirs

  ねぇ、君は私の言葉を聴いているの?
  君はたぶん
  もう行ってしまったのだろう
  私たちの思い出から遠く離れたところに

Est-ce ma faute ?
Est-ce ta faute ?
Si, malgré moi,
Je ne peux plus vivre sans toi

  それは私の過ちなのか?
  君の過ちなのか?
  いや、心ならずも、
  私は君なしでは生きていけない

Viens reprendre ton royaume
Toi, ma reine de Saba
Reviens me faire l'aumône
D'un petit peu de toi
Viens reprendre ton royaume
Il attend que tu sois là
Pour revivre, ce royaume,
Ma reine de Saba !

  君の王国を取り戻しに来ておくれ
  君、私のサバの女王
  私に情けを掛けに戻って来ておくれ
  ほんの少しばかり
  君の王国を奪還しに来てくれ
  この王国は、蘇えるために
  君が君臨するのを待っている
  わがサバの女王よ!

Reine3.jpg


[注]
1 elleは3行目のcette folie「熱愛」だが、女性を指すようなニュアンスも含ませている。
2 leは3行目のce cœur。
3 ilは前行のton royaume。




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2015
10.03

シックな下着Les dessous chics

Jane Birkin Baby alone in Babylone


セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgが作りジェーン・バーキンJane Birkinが歌った「シックな下着Les dessous chics」は、ゲンズブール特有の言葉遊びを用いて、「女性の下着、それは…だ」と多様に表現しています。「シック」という邦題で呼ばれますが、原題どおり「シックな下着」としました。この曲は1983 年に作られ、同年リリースされたアルバムBaby alone in Babyloneに収録されました。



セルジュ・ゲンズブールのステージ



ガドゥーGadouも歌っています。



Les dessous chics           シックな下着
Jane Birkin                ジェーン・バーキン


Les dessous chics 注1
C´est ne rien dévoiler du tout
se dire que lorsqu´on est à bout 注2
c´est tabou

  シックな下着
  それはまったく何も露わにしないもの
  ぎりぎりのところでつぶやくもの
  それはタブーよと

Les dessous chics2


les dessous chics
c´est une jarretelle qui claque
dans la tête comme une paire de claques 注3

  シックな下着
  それは頭のなかでパチンという靴下止め
  往復ビンタみたいに

les dessous chics
ce sont des contrats résiliés
qui comme des bas résillés 注4
ont filé 注5

  シックな下着
  それは解約された契約書
  網ストッキングが伝線するみたいに
  ほどけてしまったわ

les dessous chics
c´est la pudeur des sentiments
maquillés outrageusement
rouge sang

  シックな下着
  それは恥じらう気持ち
  血のような赤で
  ひどく厚化粧してるから

les dessous chics
c´est se garder au fond de soi
fragile comme un bas de soie

  シックな下着
  それは心の奥に
  絹のストッキングのような弱さを保つこと

les dessous chics
c´est des dentelles et des rubans
d´amertume sur un paravent 注6
désolant

  シックな下着
  それは嫌な
  目隠しに付いた
  刺々しいレースやリボン

Les dessous chics1


{Instremental}

les dessous chics
c´est des dentelles et des rubans
d´amertume sur un paravent
désolant

  シックな下着
  それは嫌な
  目隠しに付いた
  刺々しいレースやリボン

les dessous chics
ce serait comme un talon aiguille
qui transpercerait le cœur des filles... 注7

  シックな下着
  それは娘たちの心をさいなむ
  尖ったヒールのようなものかしら…

[注]
1 dessousは複数で「(女性の)下着」。chic「粋な、垢抜けた」。日本でも「シック」は外来語として定着している。
2 se dire que「(…だと(自分自身に)言う、思う」。à bout「疲れ果てている、いらいらを募らせている」あるいは「(体力、忍耐などが)限界に来ている」。
3 une paire de claques「往復びんた」
4 résilléは辞書にないが、「網状のもの」を指すrésilleという語があり、bas résilléは「網ストッキング」のこと。
5 filer「(ストッキングなどが)伝線する」
6 paravent「風よけ」のことだが、「屏風、ついたて」のほか「遮蔽物」「口実」をも意味する。
7 transpercer le cœurは「心をさいなむ」あるいは「心臓を貫く」、いずれでも解釈できるが、前者を採った。



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2015
10.02

コルヴィザール通りの霧Brouillard dans la rue Corvisart

Brouillard Dans La Rue Corvisart


今回は、フランソワーズ・アルディーFrançoise Hardyとジャック・デュトロンJacques Dutronc夫婦のデュオの曲として、「あなたが旅発つというのでPuisque vous partez en voyage」に続いて2曲目で、「コルヴィザール通りの霧Brouillard dans la rue Corvisart」というタイトルのおしゃれな曲(1978年、作詞:ミッシェル・ジョナスMichel Jonasz作曲:アラン・ゴールドシュタインAlain Goldstein)。「霧のコルヴィザール」という邦題もあるようです。歌詞の内容は、まさに霧のたち込めるごとくに、ちょっと不明瞭ですが、二人の息の合った掛け合いが楽しめることは必定。
ナポレオンの侍医だったコルヴィザールの名を冠したコルヴィザール通りはパリの第13区にあり、地下鉄6番線のコルヴィザール駅を起点に西北に走っています。



Brouillard dans la rue Corvisart          コルヴィザール通りの霧
Françoise Hardy & Jacques Dutronc
                  フランソワーズ・アルディとジャック・デュトロン


Toutes ces choses-là, on s'les murmure tout bas
Le soir dans la rue Corvisart
Le bar-tabac a éteint ses billards
Brouillard dans la rue Corvisart
Toujours les mêmes
  こうしたことをみな、人はひとり小さな声でつぶやくのさ
  コルヴィザール通りで夕べに
  タバコ・バーはビリヤード台の灯りを消す
  コルヴィザール通りには霧
  いつも同じさ


Mêmes pavés, mêmes paumés
  同じ舗道、同じ文無したち


Toujours les mêmes
  いつも同じさ


Mêmes soupirs, mêmes souv'nirs, même détresse, même adresse
  同じため息、同じ想い出、同じ窮状、同じ住所


Mêmes saisons, mêmes maisons
  同じ四季、同じ家々


Toujours les mêmes
  いつも同じね


Mêmes chansons, même plus d'bar
  同じ歌、バーはもう無くて


Brouillard dans la rue Corvisart
  コルヴィザール通りには霧


Brouillard Dans La Rue Corvisart1


Toutes ces choses-là, on s'les murmure tout bas
Le soir dans la rue Corvisart
  こうしたことをみな、人はひとり小さな声でつぶやくのさ
  コルヴィザール通りで夕べに


Si seul'ment une seule fois
  もしもたった一度だけ


Brouillard
  霧


Un homme
  ひとりの男


Dans la rue Corvisart
  コルヴィザール通りで

Toujours les mêmes
  いつも同じよ


Mêmes pavés, mêmes paumés
  同じ舗道、同じ文無したち


Toujours les mêmes
  いつも同じよ


Mêmes trottoirs, même histoire, mêmes blessures, mêmes chaussures
  同じ歩道、同じ話、同じ怪我、同じ靴


Même migraine, même rengaine
  同じ頭痛、同じ口癖


Toujours les mêmes
  いつも同じさ


Même cafard, même mouchoir
  同じ憂鬱、同じハンカチ


Brouillard dans la rue Corvisart
  コルヴィザール通りには霧


Brouillard Dans La Rue Corvisart2


Toutes ces choses-là, on s'les murmure tout bas
Le soir dans la rue Corvisart
  こうしたことをみな、人はひとり小さな声でつぶやくのよ
  コルヴィザール通りで夕べに


Si seulement une seule fois
  もしもたった一度だけ


Brouillard
  霧


Une femme
  ひとりの女


Dans la rue Corvisart, si seulement une seule fois
Quelqu'un dans la rue Corvisart
  コルヴィザール通りで、もしもたった一度だけ
  コルヴィザール通りで誰か

Un homme
  ひとりの男


Une femme
  ひとりの女


Juste une seule fois, brouillard dans la rue Corvisart.
  たったの一度、コルヴィザール通りには霧。

Brouillard Dans La Rue Corvisart3



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