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2015
08.31

スカーフとバラUne écharpe, une rose

Chantal Goya Une écharpe, une rose


シャンタル・ゴヤChantal Goyaは、1942年にサイゴンで生まれ、いまだ現役で活動しているミュージカル歌手です。スヌーピーやミッキー・マウスなどを題材にした子供向けの歌をよく歌い、なかでも、「ベカシーヌ、私のいとこBécassine, c’est ma cousine」が大ヒットしました。(ベカシーヌとは、フランスで長年愛され続けている、丸い顔で口が無くて小さな鼻のお手伝いさんのキャラクター。)リナ・マルジーLina Margyの歌った「ダンスしませんか、おばあ様?Voulez-vousdanser grand-mère ?」なども彼女のレパートリーです。映画女優としては、ジャン=リュック・ゴダールJean-Luc Godard監督の「男性・女性Masculin, féminin」(1966年)やアラン・レネAlain Resnais監督の「戦争は終わったLa Guerre est finie」(1965年)などに出ています。

今回取り上げるのは「スカーフとバラUne écharpe, une rose」というかわいい曲。後に結婚することになるシンガー・ソングライターのジャン・ジャック・ドゥブJean-Jacques Deboutが1965年に作り、シングル盤でリリースされました。日本でも「乙女の涙」という(ちょっと気持ちの悪い)邦題でシングルが発売されヒットしました。



Une écharpe, une rose       スカーフとバラ
Chantal Goya           シャンタル・ゴヤ


Finies sont les vacances
Et moi, j´ai le cœur lourd
Et, sans arrêt, je pense
Dans le train du retour
A celui du village
Qui partageait mes joies
Nous avions le même âge
Et j´emporte avec moi

  ヴァカンスが終わって
  私は、重い心を抱き
  そして、たえず、思う
  帰りの汽車のなかで
  私と喜びを分かち合った
  村にいた彼のことを
  私たちは同い年
  そして私は持ち帰った

Une écharpe, une rose1


{Refrain:}
Une écharpe, une rose
Un rire de garçon
Une écharpe, une rose
Un peu d´une chanson

  一枚のスカーフ、一輪のバラ
  男の子の笑顔を
  一枚のスカーフ、一輪のバラ
  ひとつの歌の断片を

Finies sont les vacances
Et je sais que demain
La vie qui recommence
Effacera mon chagrin
Et pourtant plus jamais
Jamais ne reviendra
L´instant de mon premier baiser
Et tout au fond de moi

  ヴァカンスが終わって
  私には分かっているわ 明日
  また始まる日常が
  私の悲しみを消し去るだろうって
  だけどもうけっして
  けっして戻っては来ない
  私の初めてのキスの瞬間は
  すべては私の心の奥に

Une écharpe, une rose2


{au Refrain}

Finies sont les vacances
Demain c´est la rentrée
C´était sans importance
Et c´était pour s´amuser
Mais j´aimais le village
Et j´aimais bien, je crois,
Un garçon de mon âge
Qui pleure tout là-bas, là-bas

  ヴァカンスが終わって
  明日は新学期
  たいしたことじゃなかった
  遊びだったわ
  でも私は村が好きだった
  そして好きだったわ、そうなの
  同い年のひとりの男の子が
  彼は向こうで向こうで泣いている

{au Refrain}


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2015
08.30

ワイト・イズ・ワイトWight is wight

Michel Delpech Wight is wight


ミッシェル・デルペッシュMichel Delpechは、「哀しみの終わりにLa maison est en ruine」と「ロレットの店でChez Laurette」をすでに取り上げました。「ロレットの店で」の記事で、デルペッシュに関して解説し、今回取り上げる「ワイト・イズ・ワイトWight is wight」(作詞:ミッシェル・デルペッシュ、作曲:ローラン・ヴァンサンRoland Vincent)についても少々触れました。この曲は1969年8月30・31日にイングランド南岸のワイト島で開催された第2回ワイト島ロック・フェスティヴァルIsle of Wight Festivalへのオマージュとして、同年作られました。のんびりした聴きやすい(歌いやすい?)曲です。

フェスティヴァルは1968年から1970年にかけて3回おこなわれ、70年の第3回のほうが、規模的にもジミ・ヘンドリックスJimi Hendrix最後のステージとしても有名ですが、この第2回では、3年ぶりにステージに立ったボブ・ディラン&ザ・バンドBob Dylan and The Bandをメインに、27組のアーティストが出演し15万人の観客を動員しました。ボブ・ディランにとっては復帰コンサートという意味もあり、17曲歌いました。また、歌詞にドノヴァンDonovanが出てきますが、実際には出演していないそうです。
このフェスティヴァルは2002年に復活し、毎年、島内各地で開催されています。(参照→Wikipediaの記事)

動画には、フェスティヴァルの画像がたくさん入っています。(曲の最後にちょっと変な音が入っていますが…)



Wight is wight(en hommage au festival de rock de l'île de Wight)
       ワイト・イズ・ワイト(ワイト島ロック・フェスティヴァルへのオマージュ)
Michel Delpech          ミッシェル・デルペッシュ


Wight is Wight
Dylan is Dylan
Wight is Wight
Viva Donovan
C’est comme un soleil
Dans le gris du ciel
Wight is Wight
Hippie, hippie,...pie 注1
Hippie hippie
Hippie hippie

  ワイト島はワイト島
  ディランはディラン
  ワイト島はワイト島
  ドノヴァン万歳
  それはまるで
  灰色の空に現れる太陽
  ワイト島はワイト島
  ヒッピー、ヒッピー、…ピー
  ヒッピー ヒッピー
  ヒッピー ヒッピー

Ils sont arrivés dans l’île nue 注2
Sans un bagages et les pieds nus
Comme un cyclone inattendu
Comme une fleur avant la saison
Comme une pluie de papillons
A laquelle on a jamais cru

  彼らは裸の島にやって来た
  荷物も持たず裸足で
  予期せぬ嵐みたいに
  早咲きの花みたいに
  蝶の雨みたいに
  皆はまるで信じられなかった

Wight is wight1


Wight is Wight
Dylan is Dylan
Wight is Wight
Viva Donovan
C’est comme un soleil
Dans le gris du ciel
Wight is Wight
Hippie, hippie,...pie
Hippie hippie
Hippie hippie

  ワイト島はワイト島
  ディランはディラン
  ワイト島はワイト島
  ドノヴァン万歳
  それはまるで
  灰色の空に現れる太陽
  ワイト島はワイト島
  ヒッピー、ヒッピー、…ピー
  ヒッピー ヒッピー
  ヒッピー ヒッピー

Toi qui a voulu t’emprisonner
As tu le droit de condamner
Celui qui cherche à s’évader
Chacun mène sa vie comme il veut
Tu ne peux plus baisser les yeux 注3
Car aussi vrai que tu es né 注4

  束縛を望む君は
  逃避しようとする者を
  非難する権利はあるのか
  誰もが自分の望むように人生を送る
  君はもう見ぬふりをすることはできない
  なぜならこれは君が生まれたことと同様に現実なんだ

Wight is wight2


Wight is Wight
Dylan is Dylan
Wight is Wight
Viva Donovan
C’est comme un soleil
Dans le gris du ciel
Wight is Wight
Hippie, hippie,...pie
Hippie hippie
Hippie hippie (×3…)

  ワイト島はワイト島
  ディランはディラン
  ワイト島はワイト島
  ドノヴァン万歳
  それはまるで
  灰色の空に現れる太陽
  ワイト島はワイト島
  ヒッピー、ヒッピー、…ピー
  ヒッピー ヒッピー
  ヒッピー ヒッピー

[注] 題名はWight is whiteをかけているかもしれない。
1 l’île nue「草木の生えていない島」「人気のない島」というより、フェスティヴァルがなければ何の変哲もない島というくらいの意味か。
2 hippieはフランス語では「イッピー」と読む。
3 baisser les yeux「目(視線)を落とす」「つつましやかに振る舞う」といった意味だが、「見ようとしない」という態度をやめて、この現実にちゃんと目を向けろ、あるいは、自分を開いて受け入れ、参加しろといった文脈。
4 Car cela est aussi vrai que tu es néと、cela estを補うと理解される。celaは、このフェスティヴァル。




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2015
08.29

愛し合っていればQuand on s'aime

Michel Legrand Quand on saime


ミッシェル・ルグラン& Michel Legrandとナナ・ムスクーリNana Mouskouriとデュオで歌っている「愛し合っていればQuand on s'aime」(1965年)はとても楽しい曲です。
作曲:ミッシェル・ルグラン、作詞:エディー・マルネイEddy Marnay。



Quand on s'aime             愛し合っていれば
Nana Mouskouri & Michel Legrand  ナナ・ムスクーリ&ミッシェル・ルグラン

       ※二人の掛け合いを色分けしなるべく忠実に表記した。
On peut marcher sous la pluie
Prendre le thé à minuit
Passer l'été à Paris
Quand on s'aime.

  雨の中を歩くことも
  真夜中に紅茶を飲むことも
  パリで夏を過ごすこともできる
  愛し合っていれば。

Quand on saime2


On peut se croire à New-York
Cinq heures du soir, five o'clock
Ou dans un square de Bangkok

Quand on s'aime.

  夕方5時、ファイブ・オクロックに
  ニューヨークにいると
  あるいはバンコックの広場にいると思うことができる
  愛し合っていれば

On peut marcher sur la mer
Danser autour de la Terre
Se balancer dans les airs
On peut tout faire
Quand on s'aime
Quand on s'aime.


  海の上を歩くことも
  地球の周りでダンスすることも
  空中でバランスをとることもできる
  何だってできる
  愛し合っていれば
  愛し合っていれば。

Écoute, écoute le temps
Moi, moi je le trouve hésitant
Puisqu'il varie tout le temps
Entre beau fixe et printemps.
 
On peut voler de soleil en soleil, nuit et jour
Quand on s'aime
Oui, quand on s'aime.


  ねぇ、ちょっと、お天気は
  私はね、お天気なんて分からないものだと思うの
  なぜっていつも変わるから
  晴天続きと春のあいだで。
  太陽から太陽へと飛ぶことができる、夜も昼も
  愛し合っていれば
  そう、愛し合っていれば。

On peut marcher on peut marcher sur la mer
Prendre le thé prendre le thé à minuit
Passer l'été passer l'été à Paris
Quand on s'aime

  海の上を歩くことも
  真夜中に紅茶を飲むことも
  パリで夏を過ごすこともできる
  愛し合っていれば

Quand on saime3


On peut se croire on peut se croire à New-York à New-York
Cinq heures du soir, cinq heures du soir, five o'clock five o'clock
Ou dans un square ou dans un square de Bangkok de Bangkok
Quand on s'aime.

  夕方5時に、ファイブ・オクロックに
  ニューヨークにいると
  あるいはバンコックの広場にいると思うことができる
  愛し合っていれば。

{Scat}

On peut marcher à New-York
Sous la pluie
Prendre le thé à five 0'clock
A minuit
Passer l'été à Bangkok
A Paris
Quand on s'aime.

  ニュー・ヨークを歩くことも
  雨のなかを
  5時に紅茶を飲むことも
  真夜中に
  バンコックで夏を過ごすことも
  パリで
  愛し合っていれば。

On peut marcher sur la terre
Ou danser autour ou danser autour de la mer de la mer
Prendre l'été prendre l'été pour l'hiver pour l'hiver
Quand on s'aime

  地面の上を歩くことも
  海の周りでダンスすることも
  夏を冬だと思い込むこともできる
  愛し合っていれば

{Scat}

Écoute, écoute écoute le temps
Moi, moi je le trouve hésitant
Puisqu'il varie tout le temps
Entre beau fixe et printemps.
On peut voler de soleil en soleil, nuit et jour
Quand on s'aime

Puisqu'il varie tout le temps
Entre beau fixe et printemps.

On peut voler de soleil en soleil, nuit et jour
Quand on s'aime
Oui, quand on s'aime.


  ねぇ、ちょっと、ちょっと、お天気は
  僕はね、お天気なんて分からないものだと思う
  なぜっていつも変わるから
  晴天続きと春のあいだで。
  太陽から太陽へと飛ぶことができる、夜も昼も
  愛し合っていれば
  なぜっていつも変わるから
  晴天続きと春のあいだで。
  太陽から太陽へと飛ぶことができる、夜も昼も
  愛し合っていれば
  そう、愛し合っていれば。

Quand on saime1


[注] beau fixe「長続きする晴天」。天気が変わると言うが、「晴天」も「春」もともにいい天気。つまり、愛し合っていれば、悪天候にはならないということ。



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2015
08.28

おもいでの夏L'été 42

Lété 42


今回の曲は、1971年のアメリカ映画「おもいでの夏Summer of '42」のテーマ・ミュージックです。1975年。作詞:ジャン・ドレジャックJean Dréjac 作曲:ミッシェル・ルグランMichel Legrand。

フランス語の歌は、ポーランド人の歌手Irena Jarocka。



コーラスで歌っています。



英語ではよく歌われています。



L'été 42           おもいでの夏
Michel Legrand       ミッシェル・ルグラン


C’était l’été 42
On hésitait
Encore un peu
Entre l’amour et l’amitié
Et puis un jour
Tout simplement tu t’es offerte

  それは42年の夏だった
  僕たちはまだすこしためらっていた
  愛情と友情とのあいだで
  そしてある日 とてもあっけなく
  君は自分を差しだした

Lété 42-1


C’était l’été 42
J’avais quinze ans
Tu étais belle
Autour de nous c’était la guerre
Et moi dans tes bras
Je criais : je t’aime!
Dans mes bras
Tu pleurais : je t’aime
On avait peur
On était heureux

  それは42年の夏だった
  僕は15歳だった
  君は美しかった
  僕たちのまわりでは戦争が起こっていた
  そしてこの僕は 君の腕のなかで「君を愛してる」と叫んでいた
  君は僕の腕のなかで「あなたを愛してる」と言って泣いていた
  僕たちは怖かった
  だが幸せだった

Lété 42-2


C’était l’été 42
J’avais quinze ans
Tu étais belle
C’était l’été de mon premier amour{x2:}

  それは42年の夏だった
  僕は15歳だった
  君は美しかった
  それは僕の初恋の夏だった


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2015
08.27

恋は一日のようにL'amour c'est comme un jour

Charles Aznavour Lamour cest comme un jour


「夏の日の恋」というありふれたテーマも、シャルル・アズナヴールCharles Aznavourが歌うと、美しい名曲となります。今回は、「恋は一日のようにL'amour c'est comme un jour」(1962年、作詞:イヴ・ベルナールYves Bernard、作曲:シャルル・アズナヴール)です。



スティングStingとのデュオ。これは、アズナヴール自身の曲をさまざまな歌手とデュオで歌ったDuosという2枚組アルバム(2008年)に収録されています。




L'amour c'est comme un jour         恋は一日のように
Charles Aznavour               シャルル・アズナヴール


Le soleil brille à pleins feux
Mais je ne vois que tes yeux
La blancheur de ton corps nu
Devant mes mains éperdues
Viens, ne laisse pas s´enfuir
Les matins brodés d´amour
Viens, ne laisse pas mourir
Les printemps, nos plaisirs

  太陽が燦々と輝いている
  だが僕には 君の瞳しか
  僕の制しようもない手の前の
  君の裸体の白さしか見えない
  おいで、逃さないで
  愛に縁どられた朝を
  おいで、死なせないで
  春を、僕たちの喜びを

Lamour cest comme un jour 1


L´amour c´est comme un jour
Ça s´en va, ça s´en va l´amour
C´est comme un jour de soleil en ripaille 
Et de lune en chamaille
Et de pluie en bataille
L´amour c´est comme un jour
Ça s´en va, ça s´en va l´amour

  恋は一日のように
  過ぎて行く、恋は過ぎて行く
  太陽が大宴会している一日のように
  そして月が口げんかしている一日のように
  そして雨が戦争している一日のように
  恋は一日のように
  過ぎて行く、恋は過ぎて行く

C´est comme un jour d´un infini sourire
Une infinie tendresse
Une infinie caresse
L´amour c´est comme un jour
Ça s´en va mon amour

  それは終わりのない微笑みの
  終りのない優しさの
  終りのない愛撫の一日のようだ
  恋は一日のように
  行ってしまう、僕の恋人は

Notre été s´en est allé
Et tes yeux m´ont oublié
Te souviens-tu de ces jours
Où nos cœurs parlaient d´amour
Nous n´avons pu retenir
Que des lambeaux de bonheur
S´il n´y a plus d´avenir
Il nous reste un souvenir

  僕たちの夏は行ってしまい
  君の瞳は僕を忘れてしまった
  君は覚えているかい
  僕たちの心が愛を語ったあの日々を
  僕たちはしあわせのかけらしか
  記憶に留めることができなかった
  もしももう先がないとしても
  僕たちには一つの想い出が残っている

Lamour cest comme un jour 2




L´amour c´est comme un jour
Ça s´en va, ça s´en va l´amour
C´est comme un jour de soleil en ripaille
Et de lune en chamaille
Et de pluie en bataille
L´amour c´est comme un jour
Ça s´en va, ça s´en va l´amour

  恋は一日のように
  過ぎて行く、恋は過ぎて行く
  太陽が大宴会している一日のように
  そして月が口げんかしている一日のように
  そして雨が戦争している一日のように
  恋は一日のように
  過ぎて行く、恋は過ぎて行く

C´est comme un jour d´un infini sourire
Une infinie tendresse
Une infinie caresse
L´amour c´est comme un jour
Ça s´en va mon amour

  それは終わりのない微笑みの
  終りのない優しさの
  終りのない愛撫の一日のようだ
  恋は一日のように
  行ってしまう、僕の恋人は

[注] ripaille「大宴会、御馳走」、次行のchamailleは「つまらない言い争い、口喧嘩」、その次のbatailleと韻を踏んで、いろんな一日があることを、深い意味を持たせず表現しているようだ。


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2015
08.26

口先でDu bout des lèvres

Barbara Le soleil noir


バルバラBarbara の「口先でDu bout des lèvres」という曲は、1968年のアルバム「黒い太陽Le Soleil noir」に収録されています。アルバム名となっている「黒い太陽Le Soleil noir」はあまりにも強い表現の大曲ですから、こんな軽い歌を入れてバランスを取っているのかなと。おしゃれでステキな曲です。

即物的でせっかちな男性に、女性は、嘘でもいいから愛の言葉をささやいてよ、もっと時間をかけてロマンティックに進めてよと言う。そんな状況を表現しています。



Du bout des lèvres             口先で
Barbara                    バルバラ


Dites-le-moi du bout des lèvres. 
Moi, je l´entends du bout du cœur.
Moins fort, calmez donc cette fièvre.
Oui, j´écoute.

  口先だけでも私にそれを言って。
  私はね、私は心の隅でそれを受け止めるわ。
  もっと穏やかに、ねぇその高ぶりを鎮めて。
  ええ、私は聞くわ。

Oh, dites-le-moi doucement.
Murmurez-le-moi simplement.
Je vous écouterais bien mieux
Sans doute

  おお、私に優しくそれを言って。
  ただ私に優しくそれをささやいて。
  私はあなたの言うことをもっとよく聞くわよ
  たぶんね

Du bout des lèvres2


Si vous parlez du bout des lèvres.
J´entends très bien du bout du cœur
Et je peux continuer mon rêve,
Mon rêve.

  もしあなたが口先だけでも私に語ってくれたら。
  私は心の隅でうまく受け止めて
  私の夢を持ち続けることができるわ、
  私の夢を。

Que l´amour soit à mon oreille,
Doux comme le chant des abeilles,
En été, un jour, au soleil,
Au soleil.

  愛が私の耳元に、
  ミツバチの歌のように甘く聞こえてほしい、
  夏に、ある日、太陽のもとで、
  太陽のもとで。

Regarde, dans le soir qui se penche
Là-bas, le voilier qui balance.
Qu´elle est jolie, sa voile blanche
Qui danse.

  ご覧なさい、日が暮れゆくなか
  あそこに、ヨットが揺れている。
  なんて美しいんでしょう、
  ダンスしている白い帆は。

Du bout des lèvres5


Je vous le dis du bout des lèvres :
Vous m´agacez du bout du cœur.
Vos cris me dérangent, je rêve,
Je rêve.

  私はあなたにそれを口先で言うわ
  あなたは私の心の端っこをちょっぴりイラつかせる。
  あなたの叫びは私をかき乱す、私は夢を見る、
  私は夢を見るのよ。

Venez donc me parler d´amour
A voix basse, dans ce contre-jour
Et faites-moi, je vous en prie,
Silence.

  さあ私に愛を語りに来て
  小声で、この逆光のなかで
  そして私を、どうか、
  黙らせて。

Prenons plutôt le soir qui penche,
Là-bas, ce voilier qui balance.
Qu´elle est jolie, sa voile blanche
Qui danse.

  それより 夕暮れの時間、
  むこうで、揺れているあのヨットに乗りましょうよ。
  なんて美しいんでしょう、
  ダンスしている白い帆は。

Je vous dirai du bout des lèvres :
"Je vous aime du bout du cœur."
Et nous pourrons vivre mon rêve
Mon rêve...

  私はあなたに口先だけで言うでしょう:
  「私はあなたを心の隅で愛しているわ。」って
  そして私たちは私の夢を生きることができるわ
  私の夢を…

Du bout des lèvres4


[注] タイトルでもあるDu bout des lèvresは、成句として「いやいや、しぶしぶ」といった意味の言葉で、du bout des dents「歯の先で」とも言う。日本語でも、本心でないうわべだけの言葉を「口先だけ」と表現するので、邦題は文字通りに「口先で」とした。歌詞のなかではdu bout du cœuという言葉とともに何度も繰り返される。こちらは直訳すれば「心の端で」となるが、文章用語でdu bout des lèvresと同義。成句としての意味を意識しつつ、「口先」「心の端」という原義をなるべく活かす形で訳してみた。
Dites-le-moiのleとは何なのか、歌詞を読んでいくと察しがつく。少々ぎこちないが「それ」と直訳した。




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2015
08.25

パリに帰りてRetour à Paris

Charles Trenet Retour a paris


「パリに帰りてRetour à paris」は、1947年に、シャルル・トレネCharles Trenetが作詞、トレネと、彼のピアノ伴奏者であるアルベール・ラスリーAlbert Lasryが作曲した曲で、Revoir Parisとも呼ばれます。第2次大戦が終わってパリのわが家へと帰る喜びを歌っています。44年8月25日のパリ開放のニュースを耳にしながらも、すぐには帰れない人々もいたのです。トレネはその年はパリにいましたが、翌45年から54年までアメリカ、カナダ、南米各国を公演して回り、その間にたくさんの曲を作りました。この曲もそのうちのひとつです。戦時中の1943年に歌った「優しきフランスDouce France」とともに、祖国への想いを歌う歌としてフランスの人々に愛聴されてきました。



Retour à Paris                パリに帰りて
Charles Trenet                シャルル・トレネ


Revoir Paris
Un petit séjour d´un mois
Revoir Paris
Et me retrouver chez moi
Seul sous la pluie
Parmi la foule des grands boulevards
Quelle joie inouïe
D´aller ainsi au hasard
Prendre un taxi

  パリに戻る
  ひと月の短い滞在
  パリに戻る
  わが家にふたたび帰る
  ひとり雨のなかを
  大通りの人ごみをくぐり抜け
  なんと素晴らしい喜びだろう
  こんな風に気楽に
  タクシーに乗るなんて

Retour a paris1


Qui va le long de la Seine
Et me revoici  注1
Au fond du Bois de Vincennes
Roulant joyeux
Vers ma maison de banlieue
Où ma mère m´attend
Les larmes aux yeux
Le cœur content

  タクシーはセーヌ川に沿って走り
  そして僕は
  うきうき気分で車に揺られ
  ヴァンサンヌの森の奥にまた来た
  目に涙を浮かべ
  心満ちて
  母が僕を待っている
  郊外のわが家に向かって

Mon Dieu que tout le monde est gentil
Mon Dieu quel sourire à la vie
Mon Dieu merci
Mon Dieu merci d´être ici

  おお神よ世の人々はすべてなんと心やさしいのか
  おお神よ人生になんという笑顔を向けていることか
  おお神よありがとう
  おお神よここに来られたことを感謝する

Ce n´est pas un rêve
C´est l´île d´amour que je vois
Le jour se lève
Et sèche les pleurs des bois
Dans la petite gare
Un sémaphore appelle ces gens 注2
Tous ces braves gens
De la Varenne et de Nogent 注3

  夢じゃない
  僕が見ているのは愛の島だ
  日は昇り
  森の涙を乾かす
  小さな駅では
  信号機がこれらの人々を呼ぶ
  ヴァレンヌとノジャンの
  これらの勇敢な人々を

Bonjour la vie
Bonjour mon vieux soleil
Bonjour ma mie
Bonjour l´automne vermeil
Je suis un enfant
Rien qu´un enfant tu sais
Je suis un petit Français 注4
Rien qu´un enfant
Tout simplement

  こんにちは人生よ
  こんにちはわが古き太陽よ
  こんにちはわが人生よ
  こんにちは朱色の秋よ
  僕は小さなフランス人だ
  ただ単に
  ひとりの子供にすぎない

Retour a paris3


Paris

  パリよ

[注]  画像は1944年8月25日のパリ開放。
1 revoici「またここに来た」の意味の副詞。
2 sémaphore(鉄道の)「(腕木)信号機」
3 la Varenneは、パリの南東の郊外にある駅名のようである。Nogent はパリの東の郊外のNogent sur Marneだと思われる。どちらもセーヌ河の支流のマルヌ河沿いでそれほど離れていない。
4 フランス人だと強調するため、頭文字を大文字にしてFrançaisと表記している。



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2015
08.24

何でもないさCe n'est rien

Julien Clerc Ce nest rien


ジュリアン・クレールJulien Clercの「何でもないさCe n'est rien」を今回、取り上げましょう。作詞:エティエンヌ・ロダ=ジルÉtienne Roda-Gil、作曲:ジュリアン・クレールJulien Clerc。1971年に出た彼の3枚目のアルバム「ナイアガラNiagara」に収録されています。直訳の邦題にしましたが、一般には「時は過ぎゆく」という邦題で呼ばれています。

失恋した男を友人が慰めているような内容ですが、あるいは、自分で自分に言い聞かせているのかも。



Ce n'est rien  何でもないさ
Julien Clerc  ジュリアン・クレール


Ce n'est rien
Tu le sais bien
Le temps passe
Ce n'est rien

  何でもないさ
  君もよく知ってのとおり
  時は過ぎていくもの
  何でもないさ

Tu sais bien
Elles s'en vont comme les bateaux
Et soudain
Ça revient

  君もよく知ってのとおり
  彼女たちは船のように行ってしまい
  そして突然
  戻って来る

Pour un bateau qui s'en va
Et revient
II y a mille coquilles de noix 注1
Sur ton chemin
Qui coulent et c'est très bien

  でも行っては戻って来る
  船のかわりに
  たくさんの小船が
  君の行く手に
  流れて来る それはすてきなことさ

Ce nest rien1


Et c'est comme une tourterelle 注2
Et qui s'éloigne à tire d'aile 注3
En emportant le duvet
Qui était ton lit
Un beau matin...

  そして恋ってのは一羽のキジバトのようで
  君の寝床だった
  羽毛をうばって
  あっという間に離れていく
  ある朝…

Et ce n'est qu'une fleur nouvelle
Et qui s'en va vers la grêle
Comme un petit radeau frêle
Sur l'Océan...

  また恋は咲き初めた一輪の花にすぎず
  雹に遭って散って行く
  まるで大海原を漂う
  たよりない小さな筏のようだ…

Ce n'est rien
Tu le sais bien
Le temps passe
Ce n'est rien

  何でもないさ
  君もよく知ってのとおり
  時は過ぎていくもの
  何でもないさ

Tu sais bien
Elles s'en vont comme les bateaux
Et soudain
Ça prévient
Comme un bateau qui revient
Et soudain
Il y a mille sirènes de joie 注4
Sur ton chemin
Qui résonnent et c'est très bien

  君もよく知ってのとおり
  彼女たちは船のように行ってしまい
  そして突然
  予告がある
  一艘の船が戻って来るという
  そして突然
  君の行く手には
  たくさんの喜びのサイレンが
  鳴り響く それはすてきじゃないか

Ce nest rien2


Et ce n'est qu'une tourterelle
Qui revient à tire d'aile
En rapportant le duvet
Qui était ton lit
Un beau matin...

  そして恋は一羽のキジバトにすぎず
  君の寝床だった
  羽毛を運んで
  あっという間に戻って来る
  ある朝…

Et ce n'est qu'une fleur nouvelle
Et qui s'en va vers la grêle
Comme un petit radeau frêle
Sur l'Océan...

  だが恋は咲き初めた一輪の花にすぎず
  雹にうたれて散って行く
  まるで大海原を漂う
  たよりない小さな筏のように…

Ça prévient...
Comme un bateau qui revient
Et soudain
Il y a mille sirènes de joie
Sur ton chemin
Qui résonnent et c'est très bien

  予告がある…
  一艘の船が戻って来るという
  そして突然
  君の行く手には
  たくさんの喜びのサイレンが
  鳴り響く それはすてきじゃないか

Et ce n'est qu'une tourterelle
Qui reviendra à tire d'aile
En rapportant le duvet
Qui était son nid
Un beau matin

  そして恋は一羽のキジバトにすぎず
  君の寝床だった
  羽毛を運んで
  あっという間に戻って来るだろう
  ある朝…

Et ce n'est qu'une fleur nouvelle
Et qui s'en va vers la grêle
Comme un petit radeau frêle
Sur l'Océan...

  だが恋は咲き初めた一輪の花にすぎず
  雹にうたれて散って行く
  まるで大海原を漂う
  たよりない小さな筏のように…

[注]
1 coquille de noix「くるみの殻」は「小舟」の意味でも用いられる。
2 ceは続く文脈から「恋」のことで、「ハバネラ (恋は野の鳥)Habanera」を踏まえているのかもしれない。tourterelle「キジバト」は野生のハトで、一般的には番(つがい)で見られることが多いが、繁殖がうまくいかなかった場合は、1シーズンで番を解消するパターンも多いという。タイトルのCe n'est rienは失恋という事態を言うようであり「何でもないさ」と訳したが、「恋というものはたいしたものじゃない」というとらえ方もできる。
この節と相似した内容があと2回繰り返されるが、s'éloigneがrevient およびreviendraに変わり、emportant がrapportantに変わる。
3 à tire d'aile「全速力で、すばやく」
4 sirèneは、résonnent「鳴り響く」というからには「人魚」ではなく「サイレン」。




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2015
08.23

カプリ、セ・フィニCapri, c'est fini

Hervé Vilard Capri


エルヴェ・ヴィラールHervé Vilard は1946年にパリで生まれたシンガー・ソングライター。彼のヒット曲はなんといっても、1965 年に19歳で出した「カプリ、セ・フィニCapri, c'est fini 」で、今までに4千万枚売れました。
2001年のマルグリット・デュラスMarguerite Durasの晩年の実生活を描いた映画「愛人 ラマン 最終章」では、ジャンヌ・モローJeanne Moreau演じる主人公がこの曲が好きだと言って、相手の青年といっしょに聴くシーンがありました。

エルヴェの曲は、「彼女を笑わせろFais-la rire」をすでに取り上げています。



スペイン語で歌っています。



Capri, c'est fini カプリ、セ・フィニ
Hervé Vilard   エルヴェ・ヴィラール


Nous n'irons plus jamais,
Où tu m'as dit je t'aime,
Nous n'irons plus jamais,
Tu viens de décider,
Nous n'irons plus jamais,
Ce soir c'est plus la peine, 注1
Nous n'irons plus jamais,
Comme les autres années;

  僕たちはもうけっして行くことはない、
  君が僕に愛しているといったその地に、
  僕たちはもう行くことはない、
  君は決めたんだ、
  僕たちはもうけっして行くことはない、
  今夜、もうその必要はない、
  僕たちはもうけっして行くことはない、
  今までの年のように、

Capri2.jpg


Capri, c'est fini,
Et dire que c'était la ville 注2
De mon premier amour,
Capri, c'est fini,
Je ne crois pas
Que j'y retournerai un jour.

  カプリ、それは終わった、
  それは僕の初恋の町だったのに、
  カプリ、それは終わった、
  僕は思ってはいない
  いつかそこに戻ることがあるとは。

Capri, c'est fini,
Et dire que c'était la ville
De mon premier amour,
Capri, c'est fini,
Je ne crois pas
Que j'y retournerai un jour.

  カプリ、それは終わった、
  それは僕の
  初恋の町だったのに、
  カプリ、それは終わった、
  僕は思ってはいない
  いつかそこに戻ることがあるとは。

Nous n'irons plus jamais,
Où tu m'as dit je t'aime,
Nous n'irons plus jamais,
Comme les autres années;
Parfois je voudrais bien,
Te dire recommençons,
Mais je perds le courage,
Sachant que tu diras non.

  僕たちはもうけっして行くことはない、
  君が僕に愛しているといったその地に、
  僕たちはもう行くことはない、
  今までの年のように、
  僕たちはもうけっして行くことはない;
  ときには、
  君にやり直そうと言いたくなる、
  だが勇気をなくしたんだ、
  君がイヤと言うだろうと察して。

Capri1.jpg


Capri, c'est fini,
Et dire que c'était la ville
De mon premier amour,
Capri, c'est fini,
Je ne crois pas
Que j'y retournerai un jour.

  カプリ、それは終わった、
  それは僕の
  初恋の町だったのに、
  カプリ、それは終わった、
  僕は思ってはいない
  いつかそこに戻ることがあるとは。

Capri, c'est fini,
Et dire que c'était la ville
De mon premier amour,
Capri, c'est fini,
Je ne crois pas
Que j'y retournerai un jour.

  カプリ、それは終わった、
  それは僕の
  初恋の町だったのに、
  カプリ、それは終わった、
  僕は思ってはいない
  いつかそこに戻ることがあるとは。

Nous n'irons plus jamais,
Mais je me souviendrais,
Du premier rendez-vous,
Que tu m'avais donné, 注3
Nous n'irons plus jamais,
Comme les autres années,
Nous n'irons plus jamais,
Plus jamais, plus jamais.

  僕たちはもうけっして行くことはない、
  だが僕は思い出すだろう
  君が僕に応じてくれた
  初めてのデートを、
  僕たちはもうけっして行くことはない、
  今までの年のように、
  僕たちはもうけっして行くことはない、
  もうけっして、もうけっして

Capri3.jpg


Capri, c'est fini,
Et dire que c'était la ville
De mon premier amour,
Capri, c'est fini,
Je ne crois pas
Que j'y retournerai un jour.

  カプリ、それは終わった、
  それは僕の
  初恋の町だったのに、
  カプリ、それは終わった、
  僕は思ってはいない
  いつかそこに戻ることがあるとは。

Capri, oh c'est fini,
Et dire que c'était la ville
De mon premier amour,
Capri,oh c'est fini,
Je ne crois pas
Que j'y retournerai un jour.

  カプリ、それは終わった、
  それは僕の
  初恋の町だったのに、
  カプリ、それは終わった、
  僕は思ってはいない
  いつかそこに戻ることがあるとは。

Oh capri, oh c'est fini,
Et dire que c'était la ville
De mon premier amour
Oh capri, c'est fini,
Je ne crois pas
Que j'y retournerai un jour.

  カプリ、それは終わった、
  それは僕の
  初恋の町だったのに、
  カプリ、それは終わった、
  僕は思ってはいない
  いつかそこに戻ることがあるとは。

Oh capri, oh c'est fini,
Et dire que c'était la ville
De mon premier amour
Oh capri, c'est fini,
Je ne crois pas
Que j'y retournerai un jour.

  カプリ、それは終わった、
  それは僕の
  初恋の町だったのに、
  カプリ、それは終わった、
  僕は思ってはいない
  いつかそこに戻ることがあるとは。

[注] Capri, c'est fini:題名は原語の読みにしたが、歌詞中は訳語で記した。
1 c'est plus la peine は、ce n’est pas la peine「その必要はない、それには及ばない」と類似の表現。neが省略されている。
2 (Et) dire que「…というじゃないか,…だとはなぁ」など、驚き、憤慨をあらわす表現。ここでは「…だというのに」といったニュアンス。
3 doner (un) rendez-vous à qn.「…と会う約束をする」なので、ここは、「君が申し出てくれたデート」ともとれるが、「僕からの申し出に応じてくれた、機会を与えてくれたデート」と解釈した。



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2015
08.22

いとしのヴェロニックChère Véronique

Michel Polnareff La Poupée qui fait non


今回はミッシェル・ポルナレフMichel Polnareffの「いとしのヴェロニックChère Véronique」。1966年に「ノンノン人形La Poupée qui fait non」と同じEPに収録された曲です。この曲のほうがすばらしい(と私は思う)のに、なぜ「ノンノン人形」のほうが注目されたんでしょうかね?「可愛いヴェロニック」という邦題がつけられていましたが、ラブレターにふさわしく「いとしの」に変えました。



Chère Véronique      いとしのヴェロニック
Michel Polnareff      ミッシェル・ポルナレフ


Chère Véronique, quand tu vas me lire
Chère Véronique, ne te moque pas
Chère Véronique, je voudrais te dire
Mais je n'ose pas 注1

  いとしのヴェロニック、僕の手紙を読むところなら
  いとしのヴェロニック、バカにしないで
  いとしのヴェロニック、君に言いたいんだが
  でもとてもできないんだ

Chère Véronique1


Chère Véronique, si nos deux familles
Etaient brouillées à mort autrefois 注2
Du mur voisin, au travers des grilles
Moi, je rêve de toi

  いとしのヴェロニック、もしも僕たちの両家が
  昔ひどく仲たがいしていたなら
  隣の壁から、柵越しに
  僕はね、君を夢見るよ

Et perché dans les branches 注3
Du grand magnolia dominant le parc
J'ai passé l'été à te guetter

  そして公園にそびえ立つ大きな木蓮の
  枝にとまって
  僕は君を見張りながら夏を過ごす

Chère Véronique5


Chère Véronique, quand tu vas me lire
Chère Véronique, ne te moque pas
Chère Véronique, je voudrais te dire
Mais je n'ose pas

  いとしのヴェロニック、僕の手紙を読むところなら
  いとしのヴェロニック、バカにしないで
  いとしのヴェロニック、君に言いたいんだが
  でもとてもできないんだ

La nuit de la Saint-Jean 注4
L'orage m'étouffait
Je cherchais le frais sous la véranda
Quand quelqu'un chanta

  サン=ジャン祭の夜
  雷雨が僕の息を詰まらせた
  僕はベランダの下に涼を求めた
  そのとき誰かが歌った

Chère Véronique2


Chère Véronique, ta voix trouble et tendre
Cette nuit-là chantait ma chanson
Et j'ai perdu la tête à l'entendre 注5
J'ai fui la maison

  いとしのヴェロニック、君の震えるやさしい声が
  その夜、僕の歌を歌っていた
  僕はそれを聴いてのぼせ上がった
  僕は館を逃げ出した

Depuis on me surveille, mais
Dans mon sommeil
J'effleure tes doigts, tes cheveux défaits
Tes yeux d'un bleuet 注6

  以来、僕は監視されている、だが
  僕は眠っているあいだ
  君の指に、君の乱れた髪に
  君のブルーベリーの瞳にそっと触れる

Chère Véronique, la nuit je délire
Et le matin t'arrache à mes bras
Chère Véronique, quand tu vas me lire
Ne te moque pas

  いとしのヴェロニック、夜、僕はうわ言を言う
  朝は君を僕の腕からもぎ取る
  いとしのヴェロニック、僕の手紙を読むところなら
  バカにしないで

Au petit jour, demain
Je pars pour longtemps
On m'envoie très loin
Moins pour travailler
Que pour t'oublier

  明日、早朝に
  僕は出て行き長い間いなくなる
  とても遠いところに連れて行かれるんだ
  仕事をするためというより
  君を忘れるために

Chère Véronique, quand tu vas me lire
Chère Véronique, ne te moque pas
Chère Véronique, je voudrais te dire
Mais je n'ose pas

  いとしのヴェロニック、僕の手紙を読むところなら
  いとしのヴェロニック、バカにしないで
  いとしのヴェロニック、君に言いたいんだが
  でもとてもできないんだ

Chère Véronique, jamais ne va lire
La pauvre lettre de son amoureux
Chère Véronique, car je la déchire
Et la jette au feu, et la jette au feu, et la jette au
feu.

  いとしのヴェロニック、けっして読もうとしないで
  君を愛する男の哀れな手紙を
  いとしのヴェロニック、なぜなら僕はそれを破いて
  火に投げ込む、火に投げ込む、火に投げ込む
  から。

Chère Véronique3


[注]
1 n'oser pas はoser「思い切って…する」の否定形で、「(勇気がなくて)敢行できない」。
2 être brouillé「不仲の、仲たがいした」 à mort「死ぬほど、ひどく」。ここは、ロメオとジュリエットを想定した表現。
3ほとんどの歌詞サイトでbancheとしているが、明らかに間違い。ごくわずかbrancheとしているサイトがあり、こちらを採用した。
4 la Saint-Jean6月24日におこなわれる「サン=ジャン祭」。「サン=ジャンの私の恋人Mon amant de Saint-Jean」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-356.htmlの記事参照。
5 perdre la tête「逆上する、ぼうっとなる」
6 bleuet「ヤグルマギク」。カナダでは「ブルーベリー」で、こちらのほうがしっくりくる。




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2015
08.21

思春期L'adolescente

Ladolescente.jpg


ジャンヌ・モローJeanne Moreauが監督した仏・西共作映画「ジャンヌ・モローの思春期」(1979年)は、戦争の影が忍び寄る1939年の夏、初潮を迎えた娘が不安を抱えながら成長する姿を描いた映画です。この映画の同名の主題曲を、モローがイヴ・デュテイユYves Duteilとデュオで歌っています。モロー自身が作詞し、作曲は映画の音楽を担当したフィリップ・サルドPhilippe Sarde。今回はこの曲をご紹介しましょう。原題はadolescent「思春期の人」の女性形で、「若い娘」の意味ですが、「思春期」といたします。

1994年に出されたイヴ・デュテイユYves Duteilの「ぼくと彼女たちの間にはEntre elles et moi」は、複数の女性歌手とのデュオの曲を集めたすてきなアルバムで、これにも収録されました。以前にご紹介した「モンソー公園でAu parc Monceau」のエンゾエンゾEnzoEnzoとのデュオも入っているアルバムです。



L'adolescente               思春期
Yves Duteil & Jeanne Moreau      イヴ・デュテイユ&ジャンヌ・モロー


※二人のパート分けを文字色で示しています。

Dis, où est l´amour
Le grand amour
Que j´attendais?
Est-il, dans une ville
Ou dans une île
Qu´on a perdu?Ladolescente1.jpg


  ねえ、愛は
  私が待っていた
  大きな愛はどこにあるの?
  街のなか
  それとも私たちが見うしなった
  島にあるの?


Il est dans le berceau des destins
A la croisée des chemins
Sous les rameaux de jasmins
Dans la chaleur de l´été
Caché dans le creux des mains
Tout près de la vérité

  それは運命の生まれるところに
  道の交わるところに
  ジャスミンの枝のしたに
  夏の暑さのなかに
  手に握り隠され
  真実のすぐそばにある

Dis, c´est quoi l´amour
Le grand amour
Que j´attendais?
Est-il un oiseau fou
Un chien, un loup
Qui s´est perdu?

  ねえ、愛って
  私が待っていた
  大きな愛ってなんなの?
  狂った鳥
  犬、
  迷子になったオオカミなの?


Ladolescente3.png


Il est un voyageur étranger
Un solitaire messager
Qui vient pour tout déranger
Dans la chaleur de l´été
Il est la peur du berger
Qui garde la vérité

  それは異国の旅人
  夏の暑さのなか
  すべてを混乱させるためにやって来た
  孤独なメッセンジャー
  真実を護る
  牧者の恐れだ

Dis, qui est l´amour
Le grand amour
Que j´attendais?
Est-il fort comme le vent
Long comme le temps
 
Le temps perdu?

  ねえ、愛って
  私が待っていた
  大きな愛って誰なの?
  風のように荒々しいの
  時のように長いの
  失われた時のように?

Ladolescente2.jpg


Il est, comme le trajet de la fronde
Comme la course du monde
La mélodie de la ronde
Dans la chaleur de l´été
Comme les fleurs qui abondent
Tout près de la vérité

  それは、投石の軌跡のように
  世の中の流れのように
  夏の暑さのさなかの
  ロンドのメロディーのように
  咲き乱れる花々のように
  真実のすぐそばにある

Oui, c´est toi l´amour
Le grand amour
Que j´attendais
Tu es l´ange, le fou,
L´oiseau, le loup
Jamais perdu

  ええ、愛って
  私が待っていた
  大きな愛ってあなたなのね
  あなたは
  天使、気狂い、
  鳥、
  迷うことのないオオカミなのね


[注] longとした部分は、ほとんどの歌詞サイトでblondとなっている。明確には聞き取れないが、Le Blog à Part d'Yves DuteilおよびCD付属の歌詞を採用した。



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2015
08.20

僕の島でDans mon île

Henri Salvador Dans mon île


今回は、1957年にアンリ・サルヴァドールHenri Salvadorが作った「僕の島でDans mon île」。この曲は、アントニオ・カルロス・ジョビンAntônio Carlos Brasileiro de Almeida Jobimに影響を与え、ボサノヴァの誕生に貢献した曲だといわれます。



Dans mon île                  僕の島で
Henri Salvador                アンリ・サルヴァドール


Dans mon île
Ah comme on est bien
Dans mon île
On n'fait jamais rien
On se dore au soleil
Qui nous caresse
Et l'on paresse
Sans songer à demain
Dans mon île
Ah comme il fait doux
Bien tranquille
Près de ma doudou 注1
Sous les grands cocotiers qui se balancent
En silence, nous rêvons de nous. 注2

  僕の島で
  ああなんて気持ちいいんだろう
  僕の島で
  な〜んにもしない
  太陽に肌を焼く
  太陽は僕たちを優しくなでる
  そして僕たちはのうのうとする
  先のことなんか考えずにね
  僕の島で
  ああなんて心地いいんだろう
  とっても平穏だ
  彼女のそばにいると
  揺れている大きなヤシの木の下で
  ただ黙って自分たちのことを夢みる

Dans mon île1


Dans mon île
Un parfum d'amour
Se faufile
Dès la fin du jour
Elle accourt me tendant ses bras dociles
Douce et fragile
Dans ses plus beaux atours
Ses yeux brillent
Et ses cheveux bruns
S'éparpillent
Sur le sable fin
Et nous jouons au jeu d'Adam et Eve
Jeu facile
Qu'ils nous ont appris 注3
Car mon île c'est le Paradis.

  僕の島に
  恋の香りが
  入り込む
  彼女は僕に
  一日の終わりに
  彼女は柔らかい腕を僕に差し伸べながら駆け寄ってくる
  優しくて華奢な人
  とても綺麗な飾りに包まれて
  彼女の目は輝き
  彼女の褐色の髪は
  細かい砂の上に
  広がる
  そして僕たちはアダムとイヴの遊戯をする
  彼らが僕たちに教えてくれた
  易しい遊戯を
  だって僕の島、それは天国だから

Dans mon île2


[注]
1 doudou(西インド諸島で)「若い女、愛人、妻」
2 en silence「ものを言わずに、静かに、黙々と」
3 ils「彼ら」とはもちろんAdam et Eve「アダムとイヴ」。



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2015
08.19

怒れるパリParis en colère

Tino Rossi Paris en colère


今回はティノ・ロッシTino Rossiの歌う「怒れるパリParis en colère」。1966年のレネ・クレマンRené Clément監督の米仏合作映画「パリは燃えているかParis brûle t-il?」で用いられた曲です。この映画は、1944年8月19日のレジスタンスの蜂起開始から、アメリカ軍の援護を受けて、8月25日にパリが解放されるまでの戦い、すなわち「パリの解放Libération de Paris」を描いたもので、イヴ・モンタンYves Montandも出演しています。

曲の作詞はモーリス・ヴィダランMaurice Vidalin作曲はモーリス・ジャールMaurice Jarreで、ミレイユ・マチューMireille Mathieuが1966年に歌い、続いて同年にロッシが歌いました。



ミレイユ・マチュー



Paris en colère            怒れるパリ
Tino Rossi               ティノ・ロッシ


Que l'on touche à la liberté 注1
Et Paris se met en colère
Et Paris commence à gronder
Et le lendemain, c'est la guerre

  人が自由を傷つけるから
  パリは怒り出す
  パリはうなり出す
  そして明日、戦争だ

Paris se réveille
Et il ouvre ses prisons
Paris a la fièvre:
Il la soigne à sa façon

  パリは目覚める
  パリは監獄を開放する
  パリは熱を出す:
  パリはその熱に自分なりに対処する

Il faut voir les pavés sauter
Quand Paris se met en colère
Faut les voir, ces fusils rouillés
Qui clignent de l'œil aux fenêtres
Sur les barricades
Qui jaillissent dans les rues
Chacun sa grenade
Son couteau ou ses mains nues

  吹っ飛ぶ舗石を見ることになる
  パリが怒り出したとき
  見ることになる、これらの錆びた鉄砲が
  窓辺でチカチカ火花を出すのを
  バリケードの上に
  おのおの手榴弾を持ち
  ナイフを持ちあるいは素手で
  街に姿をあらわす彼らを

Paris en colère1


La vie, la mort ne comptent plus
On a gagné on a perdu
Mais on pourra se présenter là-haut
Une fleur au chapeau

  生、死はどうでもいい
  俺たちは勝利し俺たちは敗北した
  だが俺たちは高みに立つことができる
  帽子に花を飾って

On veut être libres
A n'importe quel prix
On veut vivre, vivre, vivre
Vivre libre à Paris

  ひとは自由でありたい
  どんな代価を払っても
  俺たちは生きたい、生きたい、生きたい
  パリで自由に生きたいんだ

Attention, ça va toujours loin 注2
Quand Paris se met en colère
Quand Paris sonne le tocsin
Ça s'entend au bout de la terre
Et le monde tremble
Quand Paris est en danger
Et le monde chante
Quand Paris s'est libéré

  気をつけろ、ことは常に深刻に進展する
  パリが怒り出すとき
  パリが警鐘を鳴らすとき
  この事態は地の果てにまで届き
  世界はおののく
  パリが危機に瀕したとき
  世界は歌う
  パリが開放されたとき

C'est la fête à la liberté
Et Paris n'est plus en colère
Et Paris peut aller danser
Il a retrouvé la lumière

  それは自由を祝うお祭りだ
  そしてパリはもう怒ってはいない
  そしてパリは踊りに行くことができるんだ
  パリは光を見い出したんだ

Paris en colère2


Après la tempête
Après la peur et le froid
Paris est en fête
Et Paris pleure de joie

  嵐のあと
  恐れと寒さのあと
  パリはお祭り気分だ
  そしてパリは喜びに泣くのさ

[注]
1 Que…は理由を示す。toucher à…「手を出す、傷つける」
2 aller loin「進展する、重大な結果に至る」



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2015
08.18

太陽の子供たちDeux enfants au soleil

Jean Ferrat Deux enfants au soleil


人生は美しいC'est beau la vie」「ふるさとの山La montagne」をすでにご紹介したジャン・フェラJean Ferratの「太陽の子供たちDeux enfants au soleil」を今回は取り上げます。この曲は1961年にクロード・ドレクリューズClaude Delécluseが作詞し、フェラが作曲し歌い、同名のアルバムに収録されました。そして翌62年にイザベル・オーブレIsabelle Aubretとミュージシャン同士としての衝撃的な出逢いをし、彼女もこの曲を歌うことになりました。のちに、イザベルが深刻な交通事故を生き延びた時に捧げられたのが、「人生は美しい」でした。

これはフェラらしい暖かいまなざしで、真夏の太陽のもと浜辺で恋に目覚めた二人の姿を描いた曲です。「若者jeune」ではなく「子供enfant」、これはひとつのメルヘンです。 私は、この曲から、1948年に作られ1980年にリメイクされた映画「青い珊瑚礁The Blue Lagoon」(原作:ヘンリー・ドヴィア・スタックプールHenry De Vere Stacpoole)を思い出します。遭難し孤島に流れ着いた少年と少女は助け合いながら生き延びていき、思春期を迎え、性の知識もないまま愛し合い、子供が生まれる…。いえ、フェラはこの物語に基づいてこの曲を作ったわけではないでしょうが。

フェラ



イザベル・オーブレ



Deux enfants au soleil          太陽の子供たち 
Jean Ferrat                ジャン・フェラ


La mer sans arrêt
Roulait ses galets
Les cheveux défaits
Ils se regardaient
Dans l'odeur des pins
Du sable et du thym
Qui baignait la plage
Ils se regardaient
Tous deux sans parler
Comme s'ils buvaient l'eau de leurs visages
Et c'était comme si tout recommençait
La même innocence les faisait trembler
Devant le merveilleux
Le miraculeux
Voyage de l'amour

  海はたえず
  小石を転がしていた
  乱れた髪で
  彼らは見つめ合っていた
  浜辺を浸す
  松と砂とタイムの香りに包まれて
  二人はことばも交わさずに
  彼らは見つめ合っていた
  まるでたがいの顔のしずくを飲んでいるかのように
  そしてすべてが新しく始まったかのようだった
  おなじ無垢な心が彼らを震えさせた
  素晴らしく
  不思議な
  愛の旅を前にして

Deux enfants au soleil1


Dehors ils ont passé la nuit
L'un contre l'autre ils ont dormi
La mer longtemps les a bercés
Et quand ils se sont éveillés
C'était comme s'ils venaient au monde
Dans le premier matin du monde

  戸外で彼らは夜を過ごした
  たがいに身を寄せ合って彼らは眠った
  海はずっと彼らをあやしてくれた
  そして彼らが目覚めたとき
  彼らはまるで世界の最初の朝に
  世界に出てきたみたいだった

La mer sans arrêt
Roulait ses galets
Quand ils ont couru
Dans l'eau les pieds nus
À l'ombre des pins
Se sont pris la main
Et sans se défendre
Sont tombés dans l'eau
Comme deux oiseaux
Sous le baiser chaud de leurs bouches tendres
Et c'était comme si tout recommençait
La vie, l'espérance et la liberté
Avec le merveilleux
Le miraculeux
Voyage de l'amour

  海はたえず
  小石を転がしていた
  水のなかを裸足で
  彼らが走るとき
  松の陰で
  手をつないだ
  そして無防備に
  水に飛び込んだ
  二羽の鳥のように
  甘い唇で熱い口づけをかわしながら
  そしてすべてが新しく始まったかのようだった
  人生が、経験が、そして自由が
  素晴らしく
  不思議な
  愛の旅とともに

Deux enfants au soleil5





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2015
08.17

イパネマの娘La fille d'Ipanema

Jacqueline François La fille dIpanema


「イパネマの娘Garota de Ipanema」はブラジルのアントニオ・カルロス・ジョビンAntonio Carlos Jobimが1962年に作曲したボサノヴァの曲。原曲は宇藤カザンのブログ:アミカル・ド・シャンソンに紹介されていますので参照ください。英語の歌詞も記載されています。

原曲



私は、フランス語に翻案されたLa fille d'Ipanemaをご紹介しましょう。ジャクリーヌ・フランソワJacqueline Françoisが歌っています。



La fille d'Ipanema            イパネマの娘
Jacqueline François           ジャクリーヌ・フランソワ


Grande, mince, belle et douce
La fille d'Ipanema se pousse
Sur le rivage
Et toute le plage
Fait Ah ! ...

  背が高く、すらりとして、きれいで優しい
  イパネマの娘が
  海岸をのし歩く
  すると浜辺の人たちはみな
  ああ!と感嘆する…

La fille dIpanema1


Elle marche comme une algue
Portée sur l'aile d'une vague
Jusqu'au rivage
Et toute le plage
Fait Ah ! ...

  彼女は歩く
  海岸まで
  波の翼に運ばれる海草のように
  すると浜辺にいる人たちはみな
  ああ!と感嘆する…

Oh les garçons la regardent
Et leurs idées qui bavardent
Ont des chansons qui s'attardent
Sur le corps de la fille aux yeux clairs
Mais elle, elle ne voit que la mer
Grande, mince, belle et douce
Comme une voile dans sa course
Ils ne voient qu'elle
Mais elle ne voit que la mer
elle ne voit que la mer ...

  おお男の子たちは彼女を見つめる
  そしてつぶやく彼らの心は
  澄んだ瞳の娘の体にまつわる
  歌を持っている
  だが彼女は、彼女は海しか見ない
  背が高く、すらりとして、きれいで優しい
  航行する船の帆のように
  彼らは彼女しか見ない
  だが彼女は海しか見ない
  彼女は海しか見ない

La fille dIpanema2


Oh les garçons la regardent
Et leurs idées qui bavardent
Ont des chansons qui s'attardent
Sur le corps de la fille aux yeux clairs
Mais elle, elle ne voit que la mer
Grande et mince et belle et douce
Comme une voile dans sa course
Ils ne voient qu'elle
Mais elle, elle ne voit que la mer
Elle ne voit que la mer ...

  おお男の子たちは彼女を見つめる
  そしてつぶやく彼らの心は
  澄んだ瞳の娘の体にまつわる
  歌を持っている
  だが彼女は、彼女は海しか見ない
  背が高く、すらりとして、きれいで優しい
  航行する船の帆のように
  彼らは彼女しか見ない
  だが彼女は海しか見ない
  彼女は海しか見ない



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2015
08.16

彼女Elle

Didier Barbelivien Elle


今回はディディエ・バルブリヴィアンDidier Barbelivienの1980年の最初のヒット曲「彼女Elle」です。先に取り上げた「もしもあなたに会えずにいたらQue serais-je sans toi」のページでバルブリヴィアンのことを少々解説していますのでご覧ください。



Elle           彼女
Didier Barbelivien  ディディエ・バルブリヴィアン


Elle a la peau couleur du soleil
Elle a le secret des abeilles
Elle sait comment faire des enfants
Elle, c´est un avion blanc dans le ciel
Elle a déjà brûlé ses ailes
Elle est née dans un ouragan

  彼女は太陽の色の肌をしている
  彼女はミツバチたちの秘密を持っている
  彼女はどうして子どもを作るか知っている
  彼女、それは空の白い飛行機だ
  彼女は自分の翼をもう燃やしてしまった
  彼女は暴風雨のなかで生まれた

Elle, je l´ai croquée comme une pomme
Elle n´en veut parler à personne
Elle a les yeux de l´océan
Elle, moitié Venise et moitié Rome
Elle a déjà aimé des hommes
Elle a le cœur comme un diamant

  彼女、僕は彼女をリンゴのようにかじった
  彼女はそのことを誰にも話したがらない
  彼女の目は海を思わせる
  彼女、なかばヴェニス風でなかばローマ風
  彼女はすでに男たちを愛した
  彼女はダイアモンドのような心を持っている

Elle4.jpg


{Refrain :}
Elle, c´est un loup, une tourterelle
C´est un animal étonnant
Elle moitié velours, moitié dentelle
Toujours cruelle et cependant
C´est une lady lady elle
C´est une femme tout simplement

  彼女、それはオオカミ、キジバト
  驚ろくべき動物だ
  彼女、半分はビロード、半分はレース
  つねに獰猛ながら
  淑女だ、淑女だ、彼女は
  まったく単に女なんだ

Elle, je connais ses chapeaux de paille
Elle a grandi à la campagne
Elle a le sourire de ces gens
Elle, en toutes ces soirées de la ville
Elle a le feeling et le style
Elle fait tout ça naturellement

  彼女、僕は彼女の麦藁帽を知っている
  彼女は田舎で育った
  彼女はそこの人たちらしい微笑みを持っている
  彼女、都会のこうした夜にはいつも
  彼女はフィーリングとスタイルを備えている
  彼女はこうしたことをすべて自然におこなう

Elle6.jpg


{au Refrain}

Elle a la peau couleur du soleil
Elle a des larmes au goût de miel
Elle pleure comme pleure les enfants
Elle, c´est le plus violent des poèmes
Elle n´a pas peur de dire je t´aime
Elle fait l´amour exclusivement

  彼女は太陽の色の肌をしている
  彼女は蜜の味の涙を持っている
  彼女は子どもたちが泣くみたいに泣く
  彼女、それは詩のなかでもっとも激しい
  彼女はジュテームと言うことを恐れない
  彼女はひたすら情事をおこなう

{au Refrain}


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2015
08.15

パリ、8月15日Paris, 15 août

Barbara chante Barbara


バルバラBarbaraの「パリ、8月15日Paris, 15 août」は、1964年のアルバム:Barbara chante Barbaraに収録され、このアルバムは翌1965年にACCディスク大賞を受賞しました。
この曲は、シャンソンとしては珍しく、妻子のある男性との恋、愛人の立場という日本の歌謡曲や演歌にありがちな内容の歌詞。でも、やはりバルバラです。



Paris, 15 août パリ、8月15日
Barbara     バルバラ


Paris, 15 août, Paris, 15 août,
Nous aurions pu l´avoir tout à nous.
Paris est désert en ce moi d´août,
Mais tu es parti, en Espagne.

  パリ、8月15日、パリ、8月15日
  私たちはそのすべてを独占できたはずなのに。
  この8月という月、パリには人けがない、
  なのにあなたは出発した、スペインへ。

Je le sais bien, tu n´y peux rien :
Tes enfants ont besoin de vacances
Et chaque mois d´août, ça recommence.
Tu pars avec eux, en Espagne.

  私は分かっているわ、あなたにはどうしようもないって
  あなたの子供たちにはヴァカンスが必要で
  8月になるといつも、それがまた始まる。
  あなたは子どもたちと出発する、スペインへ。

Paris, 15 août1


Je t´imagine et je devine
Que pour moi, mon amour, tu t´inquiètes.
Je sais bien que, parfois, tu t´embêtes
Avec ta famille, en Espagne.

  私はあなたの様子を想像し
  愛しいひと、あなたが心配しているのが見てとれる。
  私にはよく分かる、ときどき、あなたがうんざりしていることが
  家族と、スペインにいて。

Il n´y a pas, il n´y a pas
Que ceux qui s´aiment et qui s´émerveillent,
Que ceux qui rêvent d´aller au soleil
Qui s´en vont ensemble, en Espagne.

  愛し合い、心ときめかせている人たちしかいないわけじゃない、
  太陽の下に行くことを夢見て
  スペインに、いっしょに旅立つ人たちしか
  いないわけじゃないのよ。

Et tous ceux-là, qui comme toi,
Chéri, ont des amours clandestines,
Ceux qui, au départ, font grise mine 注1
Attendent leur retour, d'Espagne...

  そして、あなたのように、
  ねぇ愛しい人、人目を避けた恋をしている人たちは皆、
  出発の時に、不機嫌な顔になり
  帰りを待つのよ、スペインからの…

Ce sera long, ce sera long,
Mais bientôt dans Paris retrouvé
Et comme avant, nous pourrons nous aimer
Et rêver ensemble Espagne.

  それは長く、長く感じられることでしょう、
  でもパリに戻ったらすぐ
  以前のように、私たちは愛し合えるわ
  いっしょにスペインを夢見ることができるわ。

Paris, 15 août 5


En attendant, en attendant,
Soyez heureux près de vos enfants
Et n’ayez pour moi aucun tourment.
Demain je pars seule en Bretagne...

  待ちながら、待ちながら、
  子どもたちのそばでしあわせに過ごしてね
  そしてわたしのためになにも苦しまないで。
  明日、わたしはひとりブルターニュに出発するわ…

[注] 歌詞サイトで見つかる歌詞では5節までで、5節目はバルバラの歌と少し違っているので、それを直し、6・7節目はバルバラの歌を聞き取って加えた。
1 faire grise mine「…に冷たく当たる、嫌な顔をする」



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2015
08.14

君の手をとってJ'ai ta main

Charles Trenet Jai ta main


1938年にシャルル・トレネCharles Trenetが歌った「君の手をとってJ'ai ta main」は、とてもおしゃれな曲。バルバラBarbara、ダリダDalidaそしてパトリック・ブリュエルPatrick Bruelなどにも歌われています。すべての動画を入れてご紹介しましょう。

シャルル・トレネ



バルバラ



ダリダ



パトリック・ブリュエル



J'ai ta main            君の手をとって
Charles Trenet          シャルル・トレネ


Nous sommes allongés
Sur l´herbe de l´été.
Il est tard.
On entend chanter
Des amoureux et des oiseaux.

  夏草のうえに
  僕たちは寝そべっている。
  夜も更けた。
  恋人たちがそして小鳥たちが
  歌うのを僕たちは聴く。

On entend chuchoter
Le vent dans la campagne.
On entend chanter la montagne.

  田園に風が
  ざわめくのを僕たちは聴く。
  山が歌うのを僕たちは聴く。

J´ai ta main dans ma main.
Je joue avec tes doigts.
J´ai mes yeux dans tes yeux
Et partout, l´on ne voit

  僕は君の手を僕の手のなかにとる。
  僕は君の指で戯れる。
  僕は君と見つめ合い
  そしてあたり一面、見えるのは

Que la nuit, belle nuit, que le ciel merveilleux,
Tout fleuri, palpitant, tendre et mystérieux.

  夜だけ、美しい夜だけ、素晴らしくて
  とても華やかで、胸ときめかす、優美で神秘的な空だけだ。

Viens plus près, mon amour,
Ton cœur contre mon cœur
Et dis-moi qu´il n´est pas de plus charmant bonheur
Que ces yeux dans le ciel, que ce ciel dans tes yeux,
Que ta main qui joue avec ma main.

  もっと近くにおいで、恋人よ、
  君の胸を僕の胸にもたせかけて
  空にあるこの目より、君の目のなかのこの空より、
  私の手と戯れる君の手より
  すてきな幸せはないと僕に言っておくれ。

Jai ta main1


Je ne te connais pas.
Tu ne sais rien de moi.
Nous ne sommes que deux vagabonds,
Fille des bois, mauvais garçon.

  僕は君のことを知らない。
  君は僕のことを何も分かっちゃいない。
  僕たちは二人の放浪者、
  森の娘と、不良少年にすぎない。

Ta robe est déchirée.
Je n´ai plus de maison.
Je n´ai plus que la belle saison

  君の服は破れている。
  僕はもう家を持っていない。
  僕は美しい季節しか持っていない。

Et ta main dans ma main
Qui joue avec mes doigts.
J´ai mes yeux dans tes yeux
Et partout, l´on ne voit

  僕の手のなかの
  君の手は僕の指に戯れる。
  僕は君と見つめ合い
  そしてあたり一面、見えるのは

Jai ta main2


Que la nuit, belle nuit, que le ciel merveilleux,
Tout fleuri, palpitant, tendre et mystérieux.

  夜だけ、美しい夜だけ、素晴らしくて
  とても華やかで、胸ときめかす、優美で神秘的な空だけだ。

Viens plus près, mon amour,
Ton cœur contre mon cœur
Et dis-moi qu´il n´est pas de plus charmant bonheur.
On oublie l´aventure et la route et demain
Mais qu´importe puisque j´ai ta main.
Mais qu´importe puisque j´ai ta main.
Mais qu´importe puisque j´ai ta main.

  もっと近くにおいで、恋人よ、
  君の胸を僕の胸にもたせかけて
  これほどすてきな幸せはないと言っておくれ。
  僕たちは出来事も道のりも明日も忘れる
  だがかまわないさ 僕は君の手をとっているのだから。
  だがかまわないさ 僕は君の手をとっているのだから。
  だがかまわないさ 僕は君の手をとっているのだから。

[注] 女性歌手が歌う場合は、ta robe「君のスカート」がma robe「わたしのスカート」となるなど、歌詞が若干変わる。



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2015
08.13

セレナードSérénade

Juan Diego Flórez


NHKの「みんなのうた」で放送された「小さな木の実」という歌は、ジョルジュ・ビゼーGeorges Bizetが作った全4幕のオペラ「美しきパースの娘La jolie fille de Perth」(1866年。原作:ウォルター・スコットSir Walter ScottのThe Fair Maid of Perth)の中のアリア「セレナードSérénade」の旋律の一部に日本語の歌詞をつけたものです。コメント欄にてこの原曲の訳を希望されたので、シャンソンではありませんが例外的に掲載することにしました。

ファン・ディエゴ・フローレスJuan Diego Flórezを選びました。



Sérénade            セレナード(小さな木の実)

À la voix
D'un amant fidèle
Ah, réponds, ma belle,
Ainsi qu'autrefois !
À ma voix
Daigne encor' paraître,
Ouvre ta fenêtre
Ainsi qu'autrefois.
Ah, parais,
Tu sais si j'admire
Ton charmant sourire,
Tes divins attraits !
De tes yeux
Qu'un rayon de flamme
Pénètre mon âme
Et m'ouvre les cieux.

  忠実な恋人の
  声に
  ああ!答えてよ、僕の美しい人、
  かつてのように!
  僕の声に
  また姿を見せておくれ、
  窓を開けてよ
  かつてのように。
  ああ!姿を見せて、
  僕はどんなに感じ入ることか
  君のすてきな微笑みに、
  君の神々しい魅力に!
  どうか君の瞳の
  きらめく光が
  僕の魂を貫き
  僕に天国を開いてくれたなら。

Sérénade1


Je t'attends,
Et vers toi, d'avance,
Mon cœur qui s'élance
Compte les instants.
Jusqu'au jour
Quand chacun sommeille,
Seul mon amour veille
Pour chanter l'amour.
À la voix
D'un amant fidèle
Ah ! réponds, ma belle,
Ainsi qu'autrefois.
À ma voix
Daigne encor' paraître,
Ouvre ta fenêtre
Ainsi qu'autrefois.

  君を待っている、
  君に向かって、もうすでに
  はやる僕の心は
  時を数える。
  人みな眠り、
  恋の歌を歌うために
  僕の恋心だけが眠らずにいる
  その日まで。
  忠実な恋人の
  声に
  ああ!答えてよ、僕の美しい人、
  かつてのように!
  僕の声に
  また姿を見せておくれ
  窓を開けてよ、
  かつてのように。



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2015
08.13

今までも、今も、これからも愛すJe t'aimais, je t'aime, je t'aimerai

Je taimais, je taime et je taimerai


フランシス・カブレルは1953年生まれのイタリア系フランス人。ボブ・ディランに心酔し、ギターの弾き語りで歌うシンガー・ソングライター。彼のプロフィールとしてまず挙げられるのはこの2点。2008年度、フランスの歌手のなかで最も稼いだ人だということ(新アルバムを70万枚売り上げて400~800万ユーロ=約4.6億~9.2億円)と、フランス南西部のシャトー(ワイン醸造所)、ドメーヌ・デュ・ボワロンの所有者だということです。

彼のアルバムで最も売れたのは、1994年に出したSamedi soir sur la Terreで、なんと330万枚。闘牛に反対するメッセージを込めた曲が入っているアルバムです。それに収録されている彼の代表曲「今までも、今も、これからも愛すJe t'aimais, je t'aime, je t'aimerai」を今回は取り上げます。



Je t'aimais, je t'aime et je t'aimerai  今までも、今も、これからも愛す
Francis Cabrel               フランシス・カブレル


Mon enfant, nue sur les galets 注1
Le vent dans tes cheveux défaits
Comme un printemps sur mon trajet 注2
Un diamant tombé d'un coffret
Seule la lumière pourrait
Défaire nos repères secrets
Où mes doigts pris sur tes poignets
Je t'aimais, je t'aime et je t'aimerai

  僕の恋人は、小石の浜で裸体だ
  みだれた君の髪に風が吹き抜ける
  僕の道程の始まりのように
  小箱からこぼれ落ちたダイアモンド
  光だけが消すことができる
  君の両手首に僕の指がからまった
  僕たちの秘密の目印を
  僕は君を、今までも、今も、これからも愛す

Je taimais3


{Refrain:}
Et quoi que tu fasses 注3
L'amour est partout où tu regardes
Dans les moindres recoins de l'espace
Dans le moindre rêve où tu t'attardes
L'amour comme s'il en pleuvait 注4
Nu sur les galets

  君が何をしようと
  愛は君が目を向けるあらゆるところにある
  宇宙のどんな小さな片隅にも
  君がかかずらわるどんな小さな夢にも
  あふれる愛は
  小石の浜で裸体だ

Le Ciel prétend qu'il te connaît
Il est si beau c'est sûrement vrai
Lui qui ne s'approche jamais
Je l'ai vu pris dans tes filets
Le monde a tellement de regrets
Tellement de choses qu'on promet
Une seule pour laquelle je suis fait 注5
Je t'aimais, je t'aime et je t'aimerai

  空は君を知っているつもりでいる
  空はとても美しい それはたしかに本当だ
  けっして近づいてこない空
  その空が君の網にかかるのを僕は見たんだ
  世界はこんなにも後悔に満ち
  ひとが約束することがらに満ちている
  僕にぴったりの約束はこれだけだ
  僕は君を、今までも、今も、これからも愛す

{au Refrain}

On s'envolera du même quai
Les yeux dans les mêmes reflets
Pour cette vie et celle d'après
Tu seras mon unique projet
Je m'en irai poser tes portraits
A tous les plafonds de tous les palais
Sur tous les murs que je trouverai
Et juste en dessous, j'écrirai

  僕たちは同じ波止場から飛び立つ
  同じ輝きの目をして、
  君は今生と来世のための
  僕の唯一のプランだ
  僕は君の肖像画を掲げよう
  すべての宮殿のすべての天井に
  僕が見つけるすべての壁に
  そしてその下に、僕は書くだろう

Que seule la lumière pourrait...

  それは光だけが…

Je taimais2


Et mes doigts pris sur tes poignets
Je t'aimais, je t'aime et je t'aimerai

  そして君の両手首に僕の指がからみ、
  僕は君を、今までも、今も、これからも愛す

[注] 詩的すぎる歌詞で、具体的な意味が不明なままの訳文となったが、今のところこれで精一杯。
1 enfantは男女同形で、母音で始まるので女の子の場合もmonとなる。nuが女性形nueになっているので女の子と特定できる。
2 printemps「始まりの時」
3 quoi que +sub.「何を…しようと」
4 comme s'il en pleuvait「ふんだんに」
5 être fait pour「(…に)適した、向いた」



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2015
08.12

国道7号線Route nationale7

Charles Trenet Route nationale 7


シャルル・トレネCharles Trenetの「国道7号線Route nationale7」は、1955年にトレネ自身が作った曲。1936年に、当時の人民戦線内閣が2週間の夏の有給休暇を定めて以来、フランスの人々は、長いヴァカンスを楽しむようになりました。行き先は南仏がメインで、パリと南仏をつなぐ国道7号線Route nationale 7は、La route des vacancesあるいはLa route bleuの愛称で呼ばれ、ヴァカンス・シーズンには大いににぎわいます。



Route nationale7            国道7号線
Charles Trenet             シャルル・トレネ


De toutes les routes de France, d´Europe
Celle que j´ préfère est celle qui conduit
En auto ou en auto-stop
Vers les rivages du Midi

  フランスの、ヨーロッパの道路のなかで
  僕が好きなのは
  車であるいはヒッチハイクで
  南仏の海辺へと行くことのできる道路だ

Nationale Sept
Il faut la prendre, qu´on aille à Rome, à Sète
Que l´on soit deux, trois, quatre, cinq, six ou sept
C´est une route qui fait recette 注1

  7号線
  ローマへ、セートへ行くには、それを通らなきゃならない
  2人、3人、4人、5人、6人あるいは7人でも
  それは大人気の道路だ

Route nationale 72


Route des vacances
Qui traverse la Bourgogne et la Provence
Qui fait de Paris un petit faubourg de Valence 注2
Et la banlieue de Saint-Paul de Vence 注3

  ブルゴーニュとプロヴァンスを横切り
  パリをヴァランスの町外れに
  そしてサン=ポール・ド・ヴァンスの郊外に変えてしまう
  ヴァカンス用の道路だ

Le ciel d´été
Remplit nos cœurs de sa lucidité
Chasse les aigreurs et les acidités
Qui font l´ malheur des grandes cités

  夏の空は
  僕たちの心をその輝きで満たし
  大都会の不幸を産んでいる
  とげとげやひりひりを追い払う

Tout excités, on chante, on fête
Les oliviers sont bleus, ma p´tite Lisette, 注3
L´amour joyeux est là qui fait risette
On est heureux Nationale Sept

  わくわくして、僕たちは歌い、お祭り騒ぎをする
  オリーブの木は青く、僕のかわいいリゼットは
  にっこり微笑む、陽気な恋はここにある
  僕たちは幸せだ 7号線で

Route nationale 73


{Scat}

Route des vacances
Qui traverse la plus belle partie de la France
Qui fait de Paris un petit faubourg de Valence
Et la banlieue de Saint-Paul de Vence
Wowowo…

  フランスの一番美しい地域を横切り
  パリをヴァランスの町外れに
  そしてサン=ポール・ド・ヴァンスの郊外に変えてしまう
  ヴァカンス用の道路だ

Le ciel d´été
Remplit nos cœurs de sa lucidité
Chasse les aigreurs et les acidités
Qui font l´ malheur des grandes cités

  夏の空は
  僕たちの心をその輝きで満たし
  大都会の不幸を産んでいる
  とげとげやひりひりを追い払う

Tout excités, on chante, on fête
Les oliviers sont bleus, ma p´tite Lisette,
L´amour joyeux est là qui fait risette
On est heureux Nationale Sept
On est heureux Nationale Sept
On est heureux Nationale Sept

  わくわくして、僕たちは歌い、お祭り騒ぎをする
  オリーブの木は青く、僕のかわいいリゼットは
  にっこり微笑む、陽気な恋はここにある
  僕たちは幸せだ 7号線で
  僕たちは幸せだ 7号線で
  僕たちは幸せだ 7号線で

Route nationale 71


[注]
1 faire recette「(芝居などが)大当たりする、成功する」だが、ここでは「人気のある」くらいの意味。
2 この2行では、ヴァカンス・シーズンには、南が中心になりパリが場末になると表現している。Valenceはローヌ・アルプRhône-Alpes地方の町。Saint-Paul de Vence「サン=ポール・ド・ヴァンス」はコート・ダジュールProvence-Alpes-Côte d'Azurの観光地で、印象派の画家たちの活動拠点として知られる。
3 Lisetteは、詩や民謡などでは「陽気な若い下町女」、喜劇では「抜け目のない小間使い」をあらわす。ここでは前者の意味を含ませて彼女の名前にしている。




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2015
08.11

星の雨の下で(上を向いて歩こう)Sous une pluie d'étoiles

Claude Valade Sous une pluie détoiles


坂本九が歌って世界的なヒット曲となった「上を向いて歩こう」(作詞:永六輔、作曲:中村八大)は、Sukiyakiという名前で呼ばれ、英語をはじめ各国語に翻案されて世界中で歌われました。
フランス語では「星の雨の下でSous une pluie d'étoiles」というタイトルで、ケベックの二人の歌手クロード・ヴァラドClaude Valadeとマーゴット・ルフェーブルMargot Lefebvreがともに1963年に歌いました。
「涙がこぼれないように上を向いて歩こう」というのはとても捨てがたい内容の歌詞ですが、星の雨の下で二人が出会うというのもなかなかステキです。ゴッホVincent Willem van Goghの「星降る夜」「星月夜」と題された絵は知られてますが、私も「星降る夜」「満天の星」といったものを体験したことが1度だけあります。もう半世紀も昔、高校の美術部の合宿で和歌山県の海岸のペンションに泊まった時のこと。都会の夜空はまがい物で、これが、ほんとうはどこでも見えているはずのものだったんだと心底実感しました。

クロード・ヴァラド



マーゴット・ルフェーブル



Sous une pluie d'étoiles      星の雨の下で(上を向いて歩こう)
Claude Valade           クロード・ヴァラド


Sous une pluie d'étoiles, douce pluie d'étoiles
Nous écoutions tous les deux chanter les cigales
Nous étions seuls, seuls dans la nuit
Perdus sous une pluie d'étoiles

  星の雨の、星の優しい雨の下で
  私たちは二人ともセミが鳴くのを聴いていた
  私たちは二人っきり、夜に二人っきりで
  星の雨の下で道に迷っていた

pluie etoiles


Mon cœur s'est laissé prendre, là dans l'herbe tendre 注1
Où nous rêvions tous les deux sous la lune pâle
Qui souriait dans son palais
Vêtue d'un long manteau d'étoiles

  私は、そこ、柔らかい草むらに心引かれた
  そこで私たちは二人とも青白い月の下で夢見ていた
  月は星々でできた長いマントを着て
  宮殿で微笑んでいた

J'ai fermé les yeux quand tu m'as embrassé
Alors j'ai senti que la terre tournait
Car toutes les étoiles et la lune pâle
Donnaient un bal , un grand bal pour nos fiançailles

  あなたがキスしたとき私は目を閉じた
  そのとき地球が回っているのを感じた
  だってすべての星々と青白い月が
  舞踏会を、大舞踏会を私たちの婚約のお祝いのために開いてくれたから

Les yeux fermés, j'ai vu danser au moins 200 millions d'étoiles

  目を閉じて、私は少なくとも2億個以上もの星が踊るのを見た

pluie détoiles4


Nous étions seuls , seuls dans la nuit
Perdus sous une pluie d'étoiles

  私たちは二人っきり、夜に二人っきりで
  星の降る下で道に迷っていた

Ce premier amour est gravé dans ma vie
Et jamais mon cœur n'oubliera cette nuit
Où toutes les étoiles et la lune pâle
Donnaient un bal ,un grand bal avec les cigales

  この初めての恋は私の人生に刻み付けられた
  私の心はけっしてこの夜を忘れないだろう
  この夜、すべての星々と青白い月が
  舞踏会を、大舞踏会をセミたちといっしょに開いてくれた

Pour deux enfants qui s'embrassaient
Perdus sous une pluie d'étoiles
Perdus sous une pluie d'étoiles

  星の降る下で道に迷って
  星の降る下で道に迷って
  キスを交わす二人の子どもたちのために

[注] se laisser prendre「捕まる、だまされる」


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2015
08.10

ひまわりTournesol

montand chante prevert


イヴ・モンタンの歌う「ひまわりTournesol」は、1950年に、4つのスケッチで構成された映画「忘れられた記憶Souvenirs Perdus」で用いられた曲で、ジャック・プレヴェールJacques Prévertの詩にジョゼフ・コズマJoseph Kosmaが作曲。したがって「枯葉」と同じコンビによって作られた曲です。単純な内容ですが、歌人の塚本邦雄氏が著書「薔薇色のゴリラ-名作シャンソン百花譜」(北沢図書出版)で、「詞・曲・歌手の三位一体」と評されたのは実に当たっています。プレヴェールとコズマのコンビで作られた曲は「美しい星でÀ la belle étoile」のページにリストアップしていますのでご覧ください。

ナナ・ムスクーリNana Mouskouri の「ひまわりLe tournesol」も、また、ソフィア・ローレンSophia Lorenの出たイタリア映画「ひまわりI girasoli」の主題曲(ヘンリー・マンシーニH.Mancini作)も別の曲です。こちらは後に、英語(Loss of Love)および日本語で歌われています。イタリア語で歌われている「ひまわりI girasoli」という曲もあって、そのYouTubeの動画では、映画のシーンを用いていますが、エンリコ・モリコーネE.Morricone作の別の曲です。

動画の画面には塚本邦雄氏の訳が出ています。またYouTubeでは、動画の下には、氏の著書「薔薇色のゴリラ」からの引用文が掲載されています。



Tournesol             ひまわり
Yves Montand           イヴ・モンタン


Tous les jours de la semaine
En hiver en automne
Dans le ciel de Paris
Les cheminées d'usines ne fument que du gris
Mais le printemps qui s'amène, une fleur sur l'oreille
Au bras une jolie fille

  何曜日でも
  冬でも秋でも
  パリの空に
  工場が吹かす煙はいつだって灰色さ
  でも春がやってくるよ、耳に花をつけ
  きれいな娘を腕に抱き

Tournesol2.jpg


Tournesol
Tournesol
C'est le nom de la fleur
Le surnom de la fille
Elle n'a pas de grand nom 注1
Pas de nom de famille
Et danse aux coins des rues
A Belleville
A Séville
Tournesol
Tournesol
Tournesol
Valse des coins des rues

  ひまわり
  ひまわり
  それは花の名
  娘のあだ名
  その子はりっぱな名前も
  姓も持たず
  街角で踊るのさ
  ベルヴィルや
  セヴィリアの
  ひまわり
  ひまわり
  ひまわり
  街角のワルツ

Tournesol3.jpg


Et les beaux jours sont venus 注2
La belle vie avec eux
Le génie de la Bastille 注3
Fume une gitane bleue 注4
Dans le ciel amoureux
Dans le ciel de Séville
Dans le ciel de Belleville
Et même de n'importe où

  そして青春の日々がおとずれ
  同時にすてきな生活が始まった
  バスティーユの精は
  青箱のジタン煙草を吹かす
  恋の空に
  セヴィリアの空に
  ベルヴィルの空に
  どこの空にだって

Tournesol
Tournesol
C'est le nom de la fleur
Le surnom de la fille
Elle n'a pas de grand nom
Pas de nom de famille
Et danse aux coins des rues
A Belleville
A Séville
Tournesol
Tournesol
Tournesol
Valse des coins des rues

  ひまわり
  ひまわり
  それは花の名
  娘のあだ名
  その子はりっぱな名前も
  姓も持たず
  街角で踊るのさ
  ベルヴィルや
  セヴィリアの
  ひまわり
  ひまわり
  ひまわり
  街角のワルツ

Tournesol5.jpg


Et danse aux coins des rues
A Belleville
A Séville
Tournesol
Tournesol
Tournesol
Valse des coins des rues

  街角で踊るのさ
  ベルヴィルや
  セヴィリアの
  ひまわり
  ひまわり
  ひまわり
  街角のワルツ

[注]
1 grand nom「貴族」「姓」。次行のnom de familleが「姓」の意味なので、ここは訳語を意図的に変えた。
2 les beaux jours「気候のよい季節、春、青春時代」
3 génie「精霊、守護神、権化」
4 gitaneはフランス煙草の銘柄。シルヴィー・ヴァルタンの「恋はジタンのかおりL'amour c'est comme une cigarette」のページの「注」を参照されたい。




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2015
08.09

想い出のサントロペJe n'irai pas à St-Tropez

Cora Vaucaire Je nirai pas à St-Tropez


コラ・ヴォケールCora Vaucaireの「想い出のサントロペJe n'irai pas à St-Tropez」は、美しい曲ですが、歌詞の内容はちょっとショッキングです。コラの夫ミッシェル・ヴォケール Michel Vaucaire の作詞、フランシス・レイ Francis Lai の作曲。1970年のアルバムComme au théâtreに収録されています。日本語でもよく歌われる曲です。フランス語の原曲は入手困難ですが、YouTubeなどで聴くことができます。

歳をとってからの歌唱のようで…。



inaのほうがお勧めです。(←クリックしてご覧ください。)


Je n'irai pas à St-Tropez         想い出のサントロペ
Cora Vaucaire              コラ・ヴォケール


Je n'irai pas à St-Tropez, Madame
Au mois d'août cette année
Dans la maison que vous m'avez
Déjà louée l'année dernière

  私はサントロペへは参りません、奥様
  今年の8月は
  去年あなたがお貸しくださった
  家には

Je nirai pas à St-Tropez1


Je n'irai pas à St-Tropez, Madame
Il faut me pardonner
Mais je suis sure que vous allez
Trouver très vite un locataire

  私はサントロペへは参りません、奥様
  お許しください
  でもあなたはきっと
  新しい借り手をすぐに見つけられることでしょう

Votre maison est si jolie
Et l'odeur des amandes amères
S'y mêlent au parfum de la mer
Qu'apporte le vent de la nuit

  あなたの家はとてもすてきですわ
  ビターアーモンドの香りが
  夜風が運んでくる
  磯の香りと溶け合って

Je nirai pas à St-Tropez2


Je n'irai pas à St-Tropez, Madame
Au mois d'août cette année
J'avais pourtant tout préparé
Comme on prépare un jour de fête

  私はサントロペへは参りません、奥様
  今年の8月は
  でも私は支度をすべて整えていました
  お祭りの日の準備をするみたいに

Je n'irai pas à St-Tropez
Je n'ai plus personne a aimer
Et plus de fête à souhaiter
Car ce soir j'ai perdu la tête 注1

  私はサントロペへは参りません
  私にはもう愛する人はいません
  待ち望む楽しみもありません
  今夜私はどうかしてしまったんです

Votre maison est si jolie
C'est sous son toit que j'ai passé
Le plus bel été de ma vie
Mais c'est fini mes beaux étés

  あなたの家はとてもすてき
  私は人生でもっとも美しい夏を
  この家の屋根の下で過ごしましたわ
  けれど私の美しい夏は終わりました

Je nirai pas à St-Tropez3


Je n'irai pas à St-Tropez
Ni cette année ni jamais plus
Mon amour n'ira pas non plus
Car je l'ai tué tout à l'heure

  私はサントロペへは参りません
  今年もそののちも決して
  私のあの人もまた参りません
  ついさっき私は彼を殺しました

On va venir et m'arrêter
Vous pouvez donc garder les arrhes
Que je vous ai versé et croire 注2
À mes sentiments les meilleurs

  ひとが来て私を捕えるでしょう
  お支払いした
  手付はお納めになって
  私の精一杯の気持ちをお受け止めください

Je n'irai pas à St-Tropez
Jamais plus
Jamais plus
Jamais plus
Jamais plus

  私はサントロペへは参りません
  もう決して
  もう決して
  もう決して
  もう決して

[注]
1 perdre la tête「気がふれる、逆上する」
2 je vous prie de croire à mes sentiments distingués「敬具」と同様、手紙の末尾の決まり文句だが、文字通りに訳した。



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2015
08.08

黒い太陽Le soleil noir

Barbara Du bout des lèvres


今回はバルバラBarbaraが1968年に作り歌った「黒い太陽Le soleil noir」です。この曲およびアルバムのタイトルである「黒い太陽Le soleil noir」は、いわゆる「撞着語法oxymoron」(形容詞や連体修飾語・句・節などが、修飾される名詞と矛盾した形容矛盾の語法)で、ジェラール・ド・ネルヴァルGérard de Nerval の1854年の14行詩「廃嫡者El Desdichado」(「幻想詩集Les Chimères」に収録)の一節を踏まえているようです。

Ma seule Étoile est morte, – et mon luth constellé
 私の唯ひとつの星は死んだ、―そして星をちりばめた私のリュートは
Porte le Soleil noir de la Mélancolie.
 憂鬱の黒い太陽をかかえている。

この曲の歌詞は、ちょっと分かりにくい内容です。
暗い北の地を逃げ出して行った南の国は、まさに楽園でしたが、どこかで、大地が割れ、男たちが閉じ込められ、子供が死ぬような事件が起こって、心傷ついて、恋人の待つ北の国に帰る、といった話。大地が割れるというのは、地震のようですし、男たちが閉じ込められ、子供が死ぬというのは内乱、あるいはトンネルか炭鉱の落盤事故でしょうか…。「黒い太陽」は、ショックを受けた心情を表した表現でしょうが、「黒い」というのは、石炭ともつながり、どうやら1956年8月8日にベルギーのシャルルロアCharleroiのマルシネルMarcinelleにあった炭鉱Le bois du Cazier で起こった炭鉱事故のことのようです。12の国籍の262 人が亡くなり、そのうち136人がイタリア人で95人がベルギー人でした。炭鉱はその後、1967年(この曲が作られた前の年)からは博物館となっています。ちなみにバルバラは1950年頃シャルルロアにいたことがあります。

また、この曲が作られた1968年の3月16日に、「ソンミ村虐殺事件My Lai Massacre」が起こっています。ベトナム戦争中のことで、アメリカ軍兵士がクアンガイ省ソンミ村(現:ティンケ村)で非武装のベトナム人住民504人(男149人、妊婦を含む女183人、乳幼児を含む子ども173人)を無差別射撃などで虐殺した事件です。
バラバラは、10年以上も前の落盤事故のことのように見せながら、この事件のことを重ね合わせて言っていたのではないかと、私は思うのです。



マチュー・ロザスMathieu Rosaz



Le soleil noir  黒い太陽
Barbara     バルバラ


Pour ne plus, jamais plus, vous parler de la pluie,
Plus jamais du ciel lourd, jamais des matins gris,
Je suis sortie des brumes et je me suis enfuie,
Sous des ciels plus légers, pays de paradis,
Oh, que j´aurais voulu vous ramener ce soir,
Des mers en furie, des musiques barbares,
Des chants heureux, des rires qui résonnent bizarres,
Et vous feraient le bruit d´un heureux tintamarre,
Des coquillages blancs et des cailloux salés,
Qui roulent sous les vagues, mille fois ramenés,
Des rouges éclatants, des soleils éclatés, 注1
Dont le feu brûlerait d´éternels étés,

  もう、もう決して、あなたに雨のことを
  もう決してよどんだ空のことを、決して灰色の朝のことを話さないために、
  私は靄を抜けて逃げ出した、
  もっと軽やかな空のもとへと、パラダイスの国へと、
  おお、どんなにあなたに今夜届けたかったことか、
  荒れ狂う海、野蛮な音楽を、
  好ましい歌声、奇妙に響く笑い声を、
  そしてそれらはあなたに愉快な騒音となったことでしょう
  白い貝と塩のからんだ小石、
  それらは波の下を転がる、何度も何度も押し戻されて、
  鮮やかな赤、散らばった陽光、
  その炎は永遠の夏を燃え立たせた

Mais j´ai tout essayé,
J´ai fait semblant de croire, 注2
Et je reviens de loin,
Et mon soleil est noir,
Mais j´ai tout essayé,
Et vous pouvez me croire,
Je reviens fatiguée,
Et j´ai le désespoir,

  でも私はさんざん試みた
  信じるふりをした、
  そして私は遠方から戻る
  私の太陽は黒い、
  でも私はさんざん試みた、
  だからあなたは私を信じてもいい、
  私はくたびれて戻る、
  そして絶望を抱えている、

Le soleil noir 1


Légère, si légère, j´allais court vêtue,
Je faisais mon affaire du premier venu, 注3
Et c´était le repos, l´heure de nonchalance,
A bouche que veux-tu, et j´entrais dans la danse, 注4
J´ai appris le banjo sur des airs de guitare,
J´ai frissonné du dos, j´ai oublié Mozart,
Enfin j´allais pouvoir enfin vous revenir, 
Avec l´œil alangui, vague de souvenirs,
Et j´étais l´ouragan et la rage de vivre,
Et j´étais le torrent et la force de vivre,
J´ai aimé, j´ai brûlé, rattrapé mon retard,
Que la vie était belle et folle mon histoire,

  軽装で、しごく軽装で、私は簡素な身なりで出かけた、
  私はさしあたって必要なことをおこなった、
  またそれはたっぷりとした休暇、気楽な時間だった、
  私はダンスに加わった、
  私はギターの旋律でバンジョーを弾くことを覚えた、
  私は背筋をぞくぞくさせた、私はモーツアルトを忘れた、
  結局は可能になったのよ結局はあなたのもとに帰ることが、
  くたびれた目と、不確かな記憶を抱えて、
  そして私は生きる嵐であり突風だった、
  そして私は生きる急流であり力だった、
  私は愛し、燃え、遅れを取り戻した、
  人生はなんと美しかったか、私の話はなんと尋常じゃないものか、

Mais la terre s´est ouverte,
Là-bas, quelque part,
Mais la terre s´est ouverte,
Et le soleil est noir,
Des hommes sont murés,
Tout là-bas, quelque part,
Les hommes sont murés,
Et c´est le désespoir,

  だが大地が割れた、
  向こうで、どこかで、
  だが大地が割れた、
  そして太陽は黒い、
  男たちは閉じ込められた、
  まさしく向こうで、どこかで、
  男たちは閉じ込められた、
  そしてそれは絶望そのものだ、

J´ai conjuré le sort, j´ai recherché l´oubli,
J´ai refusé la mort, j´ai rejeté l´ennui,
Et j´ai serré les poings pour m´ordonner de croire,
Que la vie était belle, fascinant le hasard,
Qui me menait ici, ailleurs ou autre part,
Où la fleur était rouge, où le sable était blond,
Où le bruit de la mer était une chanson,
Oui, le bruit de la mer était une chanson,

  私は運命を払いのけた、私は忘却を求めた、
  私は死を拒んだ、不安を押しのけた、
  そして私はこぶしを握り締め、信じるように自分に強いた、
  人生は美しく、巡り合せは魅惑的だと、
  私をここに、よそにあるいは別の場所にせよ、連れてきた巡り合せは、
  そこでは花は赤かった、そこでは砂は金色だった、
  そこでは海の音は歌だった、
  ええ、海の音は歌だった、

Mais un enfant est mort,
Là-bas, quelque part,
Mais un enfant est mort,
Et le soleil est noir,
J´entends le glas qui sonne,
Tout là-bas, quelque part,
J´entends le glas sonner,
Et c´est le désespoir,

  だが子供がひとり死んだ、
  まさしく向こうで、どこかで、
  だが子供がひとり死んだ、
  そして太陽は黒い、
  弔鐘が鳴るのが聞こえる、
  そしてそれは絶望そのものだ、

Le soleil noir 2


Je ne ramène rien, je suis écartelée,
Je vous reviens ce soir, le cœur égratigné,
Car, de les regarder, de les entendre vivre,
Avec eux j´ai eu mal, avec aux j´étais ivre,
Je ne ramène rien, je reviens solitaire,
Du bout de ce voyage au-delà des frontières,
Est-il un coin de terre où rien ne se déchire,
Et que faut-il donc faire, pouvez-vous me le dire,
S´il faut aller plus loin pour effacer vos larmes,
Et si je pouvais, seule, faire taire les armes,
Je jure que, demain, je reprends l´aventure,
Pour que cessent à jamais toutes ces déchirures,

  私は何も持ち帰らず、心引き裂かれて、
  私は今夜あなたのもとに帰る、心乱れて、
  なぜなら、彼らが生きるのを見聞きして、
  私は彼らとともに痛みを感じ、彼らとともに酔っていた
  私は何も持ち帰らず、ひとりで帰る、
  国境の向こう側への旅の果てから
  それは一切傷つくことのない世界の片隅のことなのか、
  そしていったい何をなすべきか、あなたは私に言えるの、
  あなたの涙を拭いさるためにもっと遠くに行かねばならないのか、
  そして、ただ、兵器を黙らせることさえ私にできたなら、
  誓うわ、明日、私はまたアヴァンチュールを始めるわ、
  この心の傷をすべて永遠に封じるために

Je veux bien essayer,
Et je veux bien y croire,
Mais je suis fatiguée,
Et mon soleil est noir,
Pardon de vous le dire,
Mais je reviens ce soir,
Le cœur égratigné,
Et j´ai le désespoir,
Le cœur égratigné,
Et j´ai le désespoir...

  私は試みたい、
  そしてそれを信じたい、
  でも私は疲れた、
  そして私の太陽は黒い、
  あなたにこの話をするのを許して、
  でも今夜帰るわ、
  心乱れ、
  そして絶望を抱え、
  心乱れ、
  そして絶望を抱え…

Le soleil noir 3


[注]
1 soleil「太陽」 が複数形。éclatéはéclater「爆発する、きらきら輝く」の過去分詞だが、「砕けた」が本義。
2 faire semblant de+inf.「…するふりをする」
3 le premier venu「最初に来たもの」「どんなものでも」
4 à bouche que veux-tu「豊富に、たっぷりと」



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2015
08.07

情熱の花Tout l'amour

Caterina Valente Tout lamour


「情熱の花Passion Flower」は、ベートーヴェンLudwig van Beethovenの「エリーゼのためにFür Elise」のメロディをアレンジしてバニー・ボトキンBunny Botkinらによって作られました。

1957年に、アメリカのデュオ、フラタニティ・ブラザーズFraternity Brotherswerが録音しましたが、アメリカではヒットせず、翌58年にイタリアで大ヒット。のちにミーナMinaも英語で歌っています。

そして59年にDario Morenoが作詞したフランス語の「情熱の花Tout l'amour」を、イタリアのカテリーナ・ヴァレンテCaterina Valenteが、ドイツのウェルナー・ミューラーWerner Müller(リカルド・サントスRicardo Santos)楽団をバックに歌いました。同年、ザ・ピーナッツが日本語でカヴァー。ダリダDalidaも、のちにフランス語で歌っています。またこの曲は、スペイン語でも歌われています。

原曲「情熱の花Passion Flower」のpassionは「情熱」ですが、パッション・フラワーpassion flowerという実在の花においてはpassionはキリストの「受難」の意味で、花の形がキリストの十字架にかけられた姿に似ていることから付けられた名称です。その和名はトケイソウ(時計草)で、パッションフルーツpassion fruitは、同じトケイソウ科トケイソウ目の果物である時計草の実。
フランス語のタイトルTout l'amourは、「(わたしのあなたへの)愛のすべて」という意味ですが、英語の原曲から来た邦題「情熱の花」があまりにもよく知られているのでこちらを選びました。

カテリーナ・ヴァレンテ



Tout l'amour               情熱の花
Caterina Valente             カテリーナ・ヴァレンテ


La la la la la la la la 
La la la la la la la

  ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ
  ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ

Tout l'amour que j'ai pour toi
Est brûlant comme un feu
Il est grand et plein d'éclat
C'est si bon d'être heureux
Mes cris de joie
Je te les dois
Car rien pour moi
N'est plus que toi
Même quand tu n'es pas là
Tu es présent, bien présent

  あなたへの愛のすべてが
  火のように熱く燃えているわ
  それはとても大きくて輝きで満ちている
  しあわせでいるって素敵なこと
  わたしの喜びの声は
  あなたのおかげよ
  だってわたしには
  もうあなたしかいない
  あなたがいない時だって
  あなたはいるわ、ちゃんといるわ

Tout lamour1


Tout l'amour que j'ai pour toi
Est plus fort chaque jour
Je crois bien qu'il durera
Pour la vie, pour toujours
Quelle obsession, que ma passion
Je dis non
Tout bas, tout bas
Au moindre bruit de tes pas
Mon cœur bat, mon cœur bat

  あなたへの愛は
  日に日に強くなる
  わたしは信じるわ その愛は
  一生、ずっと続くって
  わたしの情熱はなんという妄想なのかしら
  そうじゃないわ
  小さな声で、小さな声で
  あなたの足音がわずか聞こえただけで
  わたしの胸は高鳴る、高鳴るのよ

Je veux crier au monde entier
Que rien ne peut nous séparer
Tout l'amour que j'ai pour toi
C'est vraiment, tout pour moi
Tout l'amour que j'ai pour toi
C'est vraiment, tout pour moi

  世界中に叫びたいわ
  何もわたしたちを引き裂けないって
  あなたへの愛は
  ほんとうに、すべてわたしのためのものよ
  あなたへの愛は
  ほんとうに、すべてわたしのためのものよ

[注] Ya ya ya…と表記している歌詞もあるが、音源を聴いてLa la la…とした。

Tout lamour2


フラタニティ・ブラザーズの英語の原曲



Passion flower             情熱の花

Passion flower of my heart
I love you, only you.
Passion flower of my dreams
Say that you love me too.
I hear your name
My heart's a flame
I go insane
And you're to blame.
Passion flower can't you see
You were meant just for me.
Passion flower please be fair
Let your lips show you care.
Passion flower take a chance
Come with me find romance.
I hear your name
My heart's a flame
I go insane
And you're to blame.
Passion flower hear me please
And surrender to me

  わが心の情熱の花よ
  君を愛する、君だけを。
  わが夢の情熱の花よ
  君もまた僕を愛するって言っておくれ。
  君の名を聞いて
  僕の心は炎と燃え
  正気を失う
  だから君のせいだ。
  情熱の花よ分からないか
  君はまさに僕にふさわしい。
  情熱の花よ優しくしておくれ
  気があることを君の唇で示しておくれ。
  情熱の花よチャンスをとらえ
  僕といっしょに来てロマンスを見つけるんだ。
  君の名を聞いて
  僕の心は炎と燃え
  正気を失う
  だから君のせいだ。
  情熱の花よどうか僕の言うことを聞いておくれ
  そして僕に自分を委ねておくれ

Tout lamour3

今何時?

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2015
08.06

ヒロシマHiroshima

この記事を書くにあたって、先に申し述べます。
私は、憲法第9条によって禁じられている集団的自衛権の行使を政府が従来の解釈・見解の変更によって容認することや、集団的自衛権の行使を容認する憲法違反の法案の立法に強く反対いたします。

Georges Moustaki Hiroshima


1945年8月6日月曜日、午前8時15分。ちょうど70年前の今日でした。

Hiroshima2.jpg


ジョルジュ・ムスタキGeorges Moustakiの「ヒロシマHiroshima」は平和を呼びかけるメッセージ・ソングで、1972年のアルバムMoustakiに収録されています。冒頭の画像は日本盤のジャケット。
歌詞のそれぞれの節の最後に、「彼女(elle)は明日やってくるだろう」とあります。そして最後に、その彼女とは「平和La Paix」のことだと示されます。女性名詞だということで、ひとりの女性であるかのような表現がされているのです。これは、ムスタキのほかの曲「僕の自由Ma liberté」も「私の孤独Ma solitude」でもそうでしたね。

YouTubeには、彼自身の歌が見つからなかったので、動画を作って投稿しました。



Hiroshima            ヒロシマ
Georges Moustaki         ジョルジュ・ムスタキ


Par la colombe et l'olivier, 注1
Par la détresse du prisonnier,
Par l'enfant qui n'y est pour rien, 注2
Peut-être viendra-t-elle demain. 

  鳩とオリーブの木により、
  囚人の苦しみにより、
  なんら咎のない子供たちにより、
  彼女はたぶん明日やって来るだろう。

Avec les mots de tous les jours,
Avec les gestes de l'amour,
Avec la peur, avec la faim, 注3
Peut-être viendra-t-elle demain.

  日々の言葉とともに、
  愛の表現とともに、
  怖れ、そして飢えとともに、
  彼女はたぶん明日やって来るだろう。

Par tous ceux qui sont déjà morts,
Par tous ceux qui vivent encore,
Par ceux qui voudraient vivre enfin,
Peut-être viendra-t-elle demain.

  すでに死んだ者たちすべてによって、
  まだ生きている者たちすべてによって、
  つまりは生きたいと望むものたちによって、
  彼女はたぶん明日やって来るだろう。

Avec les faibles, avec les forts,
Avec tous ceux qui sont d'accord,
Ne seraient-ils que quelques-uns, 注4
Peut-être viendra-t-elle demain.

  弱き者たちとともに、強き者たちとともに、
  合意する者たちすべてとともに、
  たとえそれがわずかの人々にすぎなかったとしても、
  彼女はたぶん明日やって来るだろう。

Par tous les rêves piétinés, 注5
Par l'espérance abandonnée,

  踏みつけられた夢によって、
  放棄された希望によって、

À Hiroshima, ou plus loin,
Peut-être viendra-t-elle demain,(×3)

  ヒロシマに、あるいはもっと遠いところに、
  彼女はたぶん明日やって来るだろう、

La Paix!

  平和は!

Hiroshima1.jpg


[注]
1 鳩とオリーブは平和の象徴。
2 n'y être pour rienは、それについてpas renponsable「責任がない」の意味。易しい単語だけの文ほど難しい。
3 前の2行ではプラスの内容が示されている。la peur「恐れ」と la faim「飢え」はマイナスの要素だが、そのために欲求が生まれることがプラスに働く。
4 言い換えると、Même s'ils ne sont pas nombreux.
5 これは、他によって抑えつけられた夢。次行は、自分があきらめて放棄してしまった希望。




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2015
08.05

お誕生日おめでとうBon anniversaire

André Claveau Bon anniversaire


「お誕生日おめでとうBon anniversaire」(作詞:ジャック・ラリュJacques Larue, 作曲:ルイギイLouiguy)は、フランス版「ハッピー・バースディ・トゥ・ユーHappy Birthday To You」。1951年に、ジャン=ルネ・ルグランJean-René Legrand 監督の映画:Un jour avec vousで、アンドレ・クラヴォーAndré Claveau 自身が出演し歌いました。

実はシャルル・アズナヴールCharles Aznavourが同じ原題の曲を歌っています。「結婚記念日Bon anniversaire」です。邦題が示すように、こちらは、anniversaireが誕生日ではなく結婚記念日という意味です。



Bon anniversaire お誕生日おめでとう
André Claveau   アンドレ・クラヴォー


{Refrain:}
Bon anniversaire, nos vœux les plus sincères
Que ces quelques fleurs vous apportent le bonheur
Que l´année entière vous soit douce et légère
Et que l´an fini, nous soyons tous réunis
Pour chanter en chœur: "Bon Anniversaire!"

  お誕生日おめでとう、僕たちの心からのお願いです
  この花束があなたにしあわせを運びますように
  1年間ずっとあなたが穏やかで軽やかでいられますように
  そして1年経って、僕たちみんながともに集いますように
  声を合わせて歌うために「お誕生日おめでとう!」と

Bon anniversaire1


Pour tante Elisa ou l´oncle Firmin
On a tous chanté ça, nos bouquets à la main
On se dandinait d´un air sans malice
Comme dans"Maman les p´tits bateaux"
Le cœur y était mais l´œil en coulisse
On cherchait plutôt le fameux gâteau!

  エリザおばさんかフィルマンおじさんのために
  僕たちはみんなそれを歌った、花束を手に持って
  僕たちはまじめな様子で体を揺すった
  「ママン小さなお舟」を歌うときにそうするように
  心はそこにあるけど目は盗み見をしていた
  僕たちはどちらかというとおいしいケーキを探していたんだ

Bon anniversaire2


{Refrain}

Autant de bougies, autant de printemps 
Et soudain par magie on arrive à vingt ans
Alors ce jour-là, parmi tous les rires,
C´est vous, sur cetair, que l´on attend
On voudrait crâner mais on a beau dire
Ca fait quelque chose quand on entend...

  ロウソクの数と同じだけの春が過ぎて
  そして突然、不思議なことに二十歳になるんだ
  そしてこの日、たくさんの笑い声のなかで、
  この曲を歌いながら、みんなが待っているのは、あなたなんだ
  もったいぶりたいでしょうが何を言ってもムダさ
  何かが起こるんだ、それを聴いたときには…

{Au refrain}

Que l´année entière vous soit douce et légère
Et que l´an fini, nous soyons tous réunis
Pour chanter en chœur: "Bon Anniversaire!"

  1年間ずっとあなたが穏やかで軽やかでいられますように
  そして1年経って、僕たちみんながともに集いますように
  声を合わせて歌うために「お誕生日おめでとう!」と

Bon anniversaire3


[注] autant de… autant de「…と同じくらい、同じ数だけ」



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2015
08.05

《Kazanライブ》

アミカル・ド・シャンソンの共同主宰者の宇藤カザンが8月5日に原宿のアコ・スタディオで誕生日記念のソロ・ライブをおこないます。小関美央さん(Envie)、井上葉子さんそして私も出ます!ピアノのアニエス晶子さん、ヴァイオリンの会田桃子さんの伴奏です。お時間があればぜひいらしてください。

kazanlive201585.jpg




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2015
08.04

浜辺(夜霧のしのび逢い)La plage

Marie Laforêt - La plage


クロード・チアリClaude Ciariのギター演奏でお馴染みの「夜霧のしのび逢い」。この曲のオリジナルは、フランスのハワイアンバンドの作曲者兼ギタリストであったベルギー人のジョー・ヴァン・ヴェッターJo van Wetterが1964年に作りロス・マヤスLos Mayasというバンド名でギターのインストルメンタル曲として演奏した「浜辺La playa」という曲です。Los Mayasは同年来日。



また同年、クロード・チアリClaude Ciariのカヴァーが45ヶ国でヒットし、フランスのACCディスク大賞を受賞。



そして同年、女優のマリー・ラフォレMarie Laforetが歌う3ヶ国語のヴァージョンが作られました。

ピエール・バルーPierre Barouhがもじどおり浜辺での恋の物語にしたのがフランス語ヴァージョン「浜辺La plage」。



フランシスコ・カレーラスFrancisco Carrerasの作詞したスペイン語ヴァージョンLa playaも浜辺での恋の物語。



ダニエレ・パチェDaniele Paceの作詞したイタリア語ヴァージョンE se qualcuno s'innamorerà di meは、オリジナルがギター曲だということで、まだ見ぬ恋人を待ちわびるギタリストの話にしています。



この曲がギリシャ映画「夜霧のしのび逢いThe Red Lanterns」(1963年)のテーマソングだとされることが多いのですが、この曲と映画とはもともとは無関係で、日本でのみ、クロード・チアリの演奏を映画の随所に使用して公開されたというだけだそうです。そして、岩谷時子が、「夜霧のしのび逢い」という邦題で、映画の情景さながら、夜霧のたち込める裏町での不幸な恋をあらわした日本語の歌詞を付け、グラシェラ・スサーナなどが歌いました。

La plage            浜辺(夜霧のしのび逢い)
Marie Laforêt         マリー・ラフォレ


Quand sur la plage
Tous les plaisirs de l'été
Avec leurs joies
Venaient à moi
De tous côtés 注1
L'amour offrait l'éternité
A cette image
De la plage ensoleillée.

  浜辺で
  夏の歓びがすべて
  その楽しさとともに
  わたしのところに
  あらゆるところから
  やって来たとき
  愛は永遠を与えた
  太陽の降り注ぐ浜辺の
  このすがたに。

C'est bien dommage
Mais les amours de l'été
Bien trop souvent
Craignent les vents
En liberté
Mon cœur cherchant sa vérité
Vient fair' naufrage 注2
Sur la plage désertée.

  でも 残念なことに
  夏の恋は
  しばしば
  自由の風を恐れる
  わたしの心は
  自身の真実を求めて
  難破してしまう
  人気のない浜辺で。

La plage5


Le sable et l'océan
Tout est en place
De tous nos jeux pourtant
Je perds la trace
Un peu comme le temps
La vague efface
L'empreinte des beaux jours
De notre amour.

  砂と海は
  すべてもとのまま
  でも わたしたちの戯れすべての
  足跡をわたしは失う
  時のしぐさにちょっと似て
  波は
  私たちの恋の
  美しい日々の痕跡を消す

La plage6


Mais sur la plage
Le soleil revient déjà
Passe le temps
Le cœur content
Reprends ses droits 注3
A l'horizon s'offre pour moi
Mieux qu'un mirage
Une plage retrouvée
Mieux qu'un mirage
C'est la plage ensoleillée.

  けれど浜辺には
  太陽がすでに戻り
  時が経ち
  満たされた心は
  元通りに立ち直る
  水平線には わたしのために
  幻影よりも好ましい
  かつての浜辺が現れる
  幻影よりも好ましいもの
  それは陽の降り注ぐ浜辺

La plage2


[注]
1 venir+inf.(可能性・強調・抗議などを表し)「…するようになる」。
2 de tous côtés「あらゆるところを、あらゆるところから」
3 reprendre ses droits「以前そうであった状態に戻る」





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2015
08.03

愛は太陽L'amour est un soleil

Hélène Ségara humaine


今回は、エレーヌ・セガラHélène Ségaraの「愛は太陽L'amour est un soleil」(Romano Musumarra,Roberto Zanelli,Luc Plamondon)です。この曲は2003年にシングルで出たあと、アルバムHumaineに収録されました。アルバムは70万枚売れ、フランスではその年の売り上げ№1となりました。この年に彼女は結婚。この曲にはその喜びがいっぱいあふれています。



L'amour est un soleil           愛は太陽
Hélène Ségara               エレーヌ・セガラ


J'ai ouvert ma fenêtre
Pour laisser entrer le soleil
Pendant que tu dormais
A poings fermés 注1
  
  わたしは窓を開けた
  陽のひかりが入るようにと
  あなたはぐっすりと
  眠っているけれど

Lamour est un soleil1


J'ai fait du café noir
Pour voir si je ne rêvais pas
Je ne voulais pas y croire
Y croire encore une fois

  ブラック・コーヒーを入れた
  これが夢じゃないって知るために
  夢だと思いたくなかった
  またそう思いたくは

L'amour est un soleil
Qui m'a souvent chauffé le cœur
Mais quand il brûle trop fort
Il me fait peur

  愛は太陽
  わたしの心を暖めてくれる
  でもあまりにも熱く燃えるとき
  わたしを怖がらせる

Tu arrives,
Et tu me donnes envie de vivre,
Et moi qui hier encore,
Voulais me jeter dans le vide

  あなたがやって来て、
  わたしに生きる意欲を与えてくれる、
  昨日はまだ、
  虚しさに身を投じたかったこのわたしに

Je m'éveille,
A la douceur de notre corps, 注2
Et l'amour est un soleil,
Qui brille à nouveau sur mes jours

  わたしは目覚める、
  わたしたちの身体の優しさを感じて、
  そして愛は、
  わたしの日々にあらたに輝く太陽

On va se faire un monde
Où on se prendra par la main 注3
Toi tu me donneras
La force d'aller plus loin

  わたしたちは自分たちの世界を作り
  そこでたがいに手をとりあう
  あなたはわたしに
  先へと進むちからをくれるわ

Lamour est un soleil3


L'amour est un soleil
Qui m'a souvent brûlé les ailes 注4
Mais dis-moi qu'avec toi
Ça n'sera pas pareil

  愛は太陽
  それはわたしを痛めつけたことが多かったけれど
  ねぇ でもあなたといっしょなら
  同じことにはならないわ

Tu arrives,
Et tu me donnes envie de vivre,
Et moi qui hier encore,
Voulais me jeter dans le vide

  あなたがやって来て、
  わたしに生きる意欲を与えてくれる、
  昨日はまだ、
  虚しさに身を投じたかったこのわたしに

Je m'éveille,
A la douceur de notre corps,
Et l'amour est un soleil,
Qui brille à nouveau sur mes jours

  わたしは目覚める、
  わたしたちの身体の優しさを感じて、
  そして愛は、
  わたしの日々にあらたに輝く太陽

Tu arrives,
Et tu me donnes envie de vivre,
Et moi qui hier encore,
Voulais me jeter dans le vide

  あなたがやって来て、
  わたしに生きる意欲を与えてくれる、
  昨日はまだ、
  虚しさに身を投じたかったこのわたしに

Je m'éveille,
A la douceur de notre corps,
Et l'amour est un soleil,
Qui brille à nouveau sur mes jours

  わたしは目覚める、
  わたしたちの身体の優しさを感じて、
  そして愛は、
  わたしの日々にあらたに輝く太陽

[注]
1 dormir à poings fermés「ぐっすり眠る」
2 d'un autre corpsとなっている歌詞もある。
3 se prendre par la main再帰的用法では「(自分の)気力を奮い起こす」だが、ここは相互的用法で「(互いに)手を取り合う、手をつなぐ」。
4 se brûler les ailes「身を危うくする、信用(評判)を落とす」という成句がある。ここでは代名動詞ではないが、「わたしの翼を焼く」ということは「わたしの身を危うくさせる」と解釈できる。



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