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2015
05.04

恋人よ、僕は世界の果てからやってきたMon amour, je viens du bout du monde

Kenji Sawada


沢田研二は1948年生まれ、かつてGSのタイガーズに所属していたヴォーカリストで、ジュリーという愛称で親しまれています。→ウィキペディアの記事
私のページで日本人の歌手を取り上げるのは特例です。彼は、相当な努力をしてフランス語で歌う勉強をしたそうです。
1975年に彼がフランスのポリドールからシングルで出したこの曲「恋人よ、僕は世界の果てからやってきたMon amour, je viens du bout du monde」は、フランス国内のラジオチャートRTLで最高位4位を獲得し、およそ20万枚売れました。続いて、日本語版のシングル「巴里にひとり」やヨーロッパ他各国における複数枚のシングルがリリースされました。フランス向けベストアルバム「KENJI SAWADA」は、パリ・レコーディングのフランス語ヴァージョンと、ロンドン・レコーディングの英語ヴァージョン、東京レコーディングのヒット曲2が収録された国際色豊かなアルバムです。



この歌詞は、パリで金髪の恋人ができるという内容ですが、日本語ヴァージョン「巴里にひとり」では、日本に恋人を残してパリに行くという内容。両方とも本当だとすると、ちょっと無節操ですが…。

Mon amour, je viens du bout du monde 恋人よ、僕は世界の果てからやってきた
Kenji Sawada                沢田 研二


Mon amour, je viens du bout du monde. 注1
Mon amour, sans perdre une seconde. 注2
Ce pays que je ne connais pas,
Je veux le voir avec toi.

  恋人よ、僕は世界の果てからやって来た。
  恋人よ、ひと時も無駄にせず。
  僕の知らないこの国を、
  僕は君といっしょに見たい。

Mon amour, je viens du bout du monde.
Dans tes bras va s'arrêter ma ronde. 注3
Toute ma vie moi je t'ai cherché,
Enfin je t'ai trouvé.

  恋人よ、僕は世界の果てからやって来た。
  君の腕のなかで僕の巡遊はもう停止する。
  今までずっと 僕は君を探し、
  とうとう君を見つけた。

Paris, la Seine, les quais, le ciel,
Je veux enfin tout voir. 注4
On dit que la ville est plus belle 注5
Pour ceux qui s'aiment dans le soir.

  パリ、セーヌ川、波止場、空、
  とにかく僕はすべて見たい。
  街はもっときれいだそうな
  夕べに愛し合う者たちにとって。

Mon amour2


Mon amour, je viens du bout du monde.
C'est fini les courses vagabondes. 注6
Prends ma main et viens tout près de moi
Viens faire les premiers pas. 注7

  恋人よ、僕は世界の果てからやって来た。
  さすらい者の行程は終わった。
  僕の手を取って ずっと僕の近くにおいで
  歩み寄って来ておくれ。

Paris, la Seine, les quais, le ciel
Je veux enfin tout voir.
On dit que la ville est plus belle
Pour ceux qui s'aiment dans le soir.

  パリ、セーヌ川、波止場、空、
  とにかく僕はすべて見たい。
  街はもっときれいだそうな
  夕べに愛し合う者たちにとって。

Mon amour1


Mon amour, je viens du bout du monde.
Pose contre moi ta tête blonde.
Adieu mes amis et mon pays,
Ma vie commence ici.

  恋人よ、僕は世界の果てからやって来た。
  君のブロンドの頭を僕にもたせかけてよ。
  さようなら 友人たちよ そして祖国よ、
  僕の人生はここで始まる。

[注]
1 タイトルの邦名は一般的なものに合わせ、歌詞中の訳語もそれに準じたが、le bout du mondeは日本のことを指すわけだから、「果て」というと大袈裟すぎで、「端」あるいは「はずれ」くらいの意味だろう。ちなみに、松尾芭蕉の「奥の細道」はLa Sente étorite du Bout du Mondeである。
2 une secondeは「1秒」、すなわち「短い時間」のこと。secondeの読みは例外的なので注意されたい。
3 vaの主語はma rondeで、倒置されている。rondeは「輪舞」のみならず、「巡って回る」ことも示す。
4 このenfinは、会話をつなぐような役割の軽い意味。前節の「ついに」という意味の用い方とは異なる。
5 On dit que…「…ということらしい」
6 C'est…のceは、文末に置かれた主語を予測する役割。
7 venir+inf.「…しに来る」faire les premiers pas「第1歩を踏み出す」と言いたい場合は、単数形で表すはずだ。このように複数形で示す場合は、「(赤ん坊が)よちよち歩きを始める」あるいは、「こちらから切り出す、歩み寄る」という意味がもっぱらである。



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2015
05.03

バラはあこがれL'important, c'est la rose

Gilbert Bécaud


今回はベコーの「バラはあこがれL'important, c'est la rose」(1966年)です。人道主義者の詩人ルイ・アマードLouis Amadeの作詞でベコーの作曲。覚えやすいメロディーで、ベコーの味のある声が、孤独に生きる人々を励ましてくれる、とっても暖かい歌です。roseといえば、エディット・ピアフÉdith Piafの「バラ色の人生La vie en rose」がまず思い起こされますが、日本語でも、バラ色は、幸せな楽しい状態をあらわします。この歌では、地位や財産などではなく、心の中に持つべきもっと価値ある美しいものをあらわしています。この歌詞を作ったルイ・アマードにちなんで、スヴニール・ドゥ・ルイ・アマードSouvenir de Louis Amadeというバラの品種が作られました(→歌詞に挿入した画像)。
原題は「大切なもの、それはバラ」という意味で、「バラはあこがれ」という邦訳タイトルは正確な訳ではありませんが、悪くないネーミングなので採用いたします。



L'important, c'est la rose      バラはあこがれ
Gilbert Bécaud           ジルベール・ベコー


Toi qui marches dans le vent
Seul dans la trop grande ville
Avec le cafard tranquille du passant 注1
Toi qu'elle a laissé tomber 注2
Pour courir vers d'autres lunes 注3
Pour courir d'autres fortunes
L'important...
L'important c'est la rose
L'important c'est la rose
L'important c'est la rose
Crois-moi

  風の中を歩く君
  たった一人 大きすぎる都会で
  通行人の静かな憂鬱を抱いて
  彼女は君を振ったね
  別の月に向かって走るように
  他の幸運を追い求めるようにと
  大切なもの…
  大切なもの、それはバラ
  大切なもの、それはバラ
  大切なもの、それはバラ
  僕を信じて

Louis Amade2


Toi qui cherches quelque argent
Pour te boucler la semaine 注4
Dans la ville tu promènes ton ballant 注5
Cascadeur, soleil couchant 注6
Tu passes devant les banques
Si tu n'es que saltimbanque
L'important...
L'important c'est la rose
L'important c'est la rose
L'important c'est la rose
Crois-moi

  なにがしかのお金を求める君
  1週間なんとかやり繰りできるだけの
  君は街のなかをふらつきながら歩く
  空中曲芸師君、夕暮れ時
  君は銀行の前を通る
  もし君が軽業師にすぎないとしても
  大切なもの…
  大切なもの、それはバラ
  大切なもの、それはバラ
  大切なもの、それはバラ
  僕を信じて

Toi, petit, que tes parents
Ont laissé seul sur la terre
Petit oiseau sans lumière, sans printemps
Dans ta veste de drap blanc
Il fait froid comme en Bohème
T'as le cœur comme en carême 注7
Et pourtant...
L'important c'est la rose
L'important c'est la rose
L'important c'est la rose
Crois-moi

  君、小さい君を、君の両親は
  地上に置き去りにしたね
  光を失い春を失った小鳥君
  白い毛織物のコートを着ていても
  ボヘミア地方のように寒くて
  君は四旬節の禁欲中のような気分だ
  だけど…
  大切なもの、それはバラ
  大切なもの、それはバラ
  大切なもの、それはバラ
  僕を信じて

Louis Amade


Toi pour qui, donnant-donnant 注8
J'ai chanté ces quelques lignes
Comme pour te faire un signe en passant
Dis à ton tour maintenant 注9
Que la vie n'a d'importance
Que par une fleur qui danse
Sur le temps...
L'important c'est la rose
L'important c'est la rose
L'important c'est la rose
Crois-moi

  君、君のために、ギブアンドテイクで
  僕はこの数フレーズを歌った
  通りすがりに君にサインを送るみたいにしてね
  さあ今度は君が言う番だよ
  調子よく踊る
  一輪の花によってはじめて
  人生は重要になるんだと…
  大切なもの、それはバラ
  大切なもの、それはバラ
  大切なもの、それはバラ
  僕を信じて

[注]
1 cafardには「ごきぶり」という意味もあるが、ここは「憂鬱」。
2 laisser tomberは、「(恋人を)振る」。elleは君を振った女性。
3 courir vers d'autres lunesのcourirは自動詞。luneは、別の恋や女性などの意味を込めた表現と思われる。次行のcourir d'autres fortunes のcourirは他動詞で、「~を追い求める」。
4 bouclerに期間を示す語が続くと、「(その期間の)やり繰りをする」意味。seが前に付き代名動詞の再帰的用法。
5 他動詞としてのpromenerは「~を持ち運ぶ」。ここはton ballant「揺れ」を運ぶ。
6 冠詞なしの名詞のみの節である。cascadeur「空中曲芸師、スタントマン」は、次節のpetit oiseauとともに、toiをあらわす。soleil couchantは、次節のsans lumière, sans printempsと同様に、状況の説明。
7 carêmeは、キリスト教の四旬節およびその間の節制・禁欲。
8 toi pour qui のquiは関係代名詞で先行詞はtoi。donnant-donnant「ギブアンドテイクで」
9「la vieはune fleurによる以外のd'importanceを持たない」ということを、今、君の番として言え、という内容。そして、une fleurを、qui danse sur le tempsが説明。




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2015
05.02

うるわしの五月Joli mai

Yves Montand Joli mai


花粉たちもいなくなり、まさに「うるわしの五月」と呼ぶにふさわしいさわやかな季節です。
イヴ・モンタンYves Montandの歌う「うるわしの五月Joli mai」は、もともとボリス・アンドレエヴィッチ・モクロウソフБорис Андреевич Мокроусовが1945年頃に作曲し、ミハイル・ワシリーヴィッチ・イサコフスキーМихаил Васильевич Исаковскийが1962年に作詞した、「淋しいアコーディオンОдинокая гармонь」というロシアの曲。日本語では、歌声喫茶などでよく歌われ、加藤登紀子の「ロシアのすたるじい」にも収録されています。
フランス語版はカトリーヌ・ヴァルランCatherine Varlinが作詞。1963年に、クリス・マルケルChris Marker監督のドキュメンタリー映画「美しき五月Le joli mai」(ミッシェル・ルグランMichel Legrandが音楽を担当)にモンタンがナレーターとして出演し、歌いました。うるわしの5月を賛美するというより、行ってしまった五月を惜しむちょっと淋しい内容の歌です。

モンタン



原曲の「淋しいアコーディオン」



Joli mai                 うるわしの五月
Yves Montand            イヴ・モンタン


Joli mai, c'était tous les jours fête
Il était né coiffé de muguet 注1
Sur son cœur il portait la rosette
La légion du bonheur joli mai 注2
Sur son cœur il portait la rosette
La légion du bonheur joli mai.

  うるわしの五月、毎日がお祭りだった
  彼はスズランを髪に飾って生まれた幸運児で
  胸には薔薇飾りを付けていた
  しあわせ勲章、うるわしの五月
  胸には薔薇飾りを付けていた
  しあわせ勲章、うるわしの五月。

Joli mai1


On l'a gardé le temps de le croire
Il est parti pendant qu'on dormait
Emportant la clé de notre histoire
Joli mai ne reviendra jamais
Emportant la clé de notre histoire
Joli mai ne reviendra jamais.

  僕たちは彼を信じるあいだ彼を引き止めた
  僕たちが眠っているあいだに彼は行ってしまった
  僕たちの物語の鍵を持って
  うるわしの五月はもう戻って来ない
  僕たちの物語の鍵を持って
  うるわしの五月はもう戻って来ない。

Joli mai, notre amour était brève 注3
L'été vient qui mûrit le regret
Le soleil met du plomb dans les rêves
Sur la lune, on affiche complet 注4
Le soleil met du plomb dans les rêves 注5
Sur la lune, on affiche complet.

  うるわしの五月、僕たちの恋は短い
  おとずれた夏は悔いをつのらせ
  太陽は夢を重苦しくさせる
  月には、「空席なし」の札がかかる
  太陽は夢を重苦しくさせる
  月には、「空席なし」の札がかかる。

Joli mai, tu as laissé tes songes
Dans Paris pour les enraciner
Ton foulard sur les yeux des mensonges,
Et ton rouge dans la gorge de l'année 注6
Ton foulard sur les yeux des mensonges,
Et ton rouge dans la gorge de l'année

  うるわしの五月、君はパリに
  君の夢を根付かせようと残して行った
  嘘をつく君の目を覆うスカーフ、
  そして年が経っても胸に残る君の口紅
  嘘をつく君の目を覆うスカーフ、
  そして年が経っても胸に残る君の口紅

Joli mai3


[注] 精一杯努力したが解釈に不安が残る。
1 ilはjoli maiのことだが、擬人化した表現なので「彼」と訳した。スズランの花言葉は「幸福の再来」。前回の「すずらんの咲く頃Le temps du muguet」に書いたように5月1日は愛する人のしあわせを願ってスズランを贈る日。être né coiffé(頭に羊膜の一部をかぶって生まれた子供は幸運児とみなされたことから)「幸運に恵まれ続けている」という成句も裏にあるようだ。
2 la légion du bonheur:la Légion d’honnheur(正式にはL'ordre national de la légion d'honneur)「レジオン・ドヌール勲章」をもじっている。前行のrosette「リボンのばら結び」も勲章の「略綬、薔薇飾り」を意味する。ちなみに、イヴ・モンタン自身は受賞を拒否した。
3 amourは男性名詞だが、複数形で女性名詞扱いされることがあり、詩では単数形でも女性名詞扱いされることがあるので、ここではbrefが女性形になっている。
4 afficher complet「(劇場・ホテルなどが)満員(満席・満室)の表示を出す」。lune de miel「蜜月」など、月はロマンチックな夢想的な意味を持ち、自分がそれから締め出されたといった意味か。
5 mettre du plomb dans la tête「より慎重にさせる」の言い換えのような形で、plomb「鉛」は「重苦しさ」をあらわすのだろう。
6 rester dans la gorge「胸につかえている、忘れられない」といった意味をde l'annéeにつなげているようだ。




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2015
05.01

すずらんの咲く頃Le temps du muguet

Danielle Darrieux Le temps du muguet


「モスクワ郊外の夕べ(モスクワの夜は更けて)Les Nuits de Moscou」は、1955年にロシアでヴァシリー・パヴロヴィッチ・ソロヴィヨフ=セドイVassili Soloviov-Sedoï が作曲、ミハイル・マトゥソフスキーMikhaïl Matoussovskiが作詞した曲で、スパルタキアード(ソ連における国体)の記録映画に使用され、1957年の世界青年学生祭典6th World Festival of Youth and Studentsのコンクールで優勝。その後、この曲の出だしの部分が、ソ連国営放送の時報に使用されていました。



1959年にフランスシス・ルマルクFrancis Lemarqueがフランス語の歌詞を作って歌いました。その「すずらんの咲く頃Le temps du muguet」を、女優のダニエル・ダリューDanielle Darrieux、ミレイユ・マチューなども歌っています。
フランスでは、きょう5月1日はメーデーFête du Travailであるとともにスズランの日Jour de muguetという、愛する人のしあわせを願ってスズランを贈る日ともされ、街角では露天商が小さなスズランの花束を売っています。

フランシス・ルマルク



ダニエル・ダリュー



Le temps du muguet             すずらんの咲く頃
Danielle Darrieux               ダニエル・ダリュー


Il est revenu le temps du muguet
Comme un vieil ami retrouvé
Il est revenu flâner le long des quais
Jusqu'au banc où je t'attendais
Et j'ai vu refleurir
L'éclat de ton sourire
Aujourd'hui plus beau que jamais

  すずらんの季節がやって来た
  再会した旧友のように
  私があなたを待っている土手まで
  河岸沿いに散歩しようと戻って来た
  そして私はあなたの微笑が
  ふたたびパッと花咲くのを見た
  今までになく晴れたこの日に

Le temps du muguet 1


Le temps du muguet ne dure jamais
Plus longtemps que le mois de mai
Quand tous ses bouquets déjà se sont fanés
Pour nous deux rien n'aura changé
Aussi belle qu'avant
Notre chanson d'amour
Chantera comme au premier jour

  すずらんの季節はけっして続かない
  5月の月ほど長くは
  花束はもうぜんぶ萎れてしまったけれど
  私たちにとっては何も変わりはしないわ
  以前のように美しい
  私たちの愛の歌は
  初めての日のように響くでしょう

Le temps du muguet3


Il s'en est allé le temps du muguet
Comme un vieil ami fatigué
Pour toute une année pour se faire oublier
En partant il nous a laissé
Un peu de son printemps
Un peu de ses vingt ans
Pour s'aimer pour s'aimer longtemps.

  すずらんの季節は行ってしまった
  くたびれた旧友のように
  1年のあいだずっと自分を忘れさせるために
  去りながら私たちに
  春の気分を少しと
  二十歳の若さを少し残してくれる
  愛し合うために長く愛し合うためにと。

Le temps du muguet 2




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